転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
ちょっとスランプ気味の今日この頃…なんとか仕上がりました…。
そして25日にはメインゲームのFGOの二部7章が開幕……今年中にもう一話更新できたらいいなぁ…。
それでは、最新話をどうぞ!
「はぁ……」
行政評議会、ペントハウス…割り振られた部屋で遊矢は頭を抱えていた。
ジャックによって自分の「エンタメ」を否定されてしまった遊矢…それが遊矢に影を落としていた……だが、遊矢を落ち込ませていたのはそれだけが理由ではなかった…。
「……遊海とジャックのデュエル、みんな…盛り上がってたな……」
ジャックに完膚なきまでに叩き潰された自分を守るように現れた遊海…その後のデュエルはまさに『圧巻』の一言だった。
ジャックのエース『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』に似た…その起源と言えるモンスターを呼び出し、その進化体をも呼び出した。
そしてジャックの一撃を受け止め、それを上回るパワーで圧倒した。
遊海がしていたのは
「遊海の演説…いがみ合っていたはずのトップスとコモンズを引き込んで、アカデミアだったロジェをそのトップスとコモンズの手で倒させる…まるで、革命家みたいなやり方だった…」
ジャックを倒した遊海は突然現れた『赤き竜』に選ばれたデュエリスト達──シグナーと言うらしい、と共に自分達の目的を明かした…それは赤馬零児の演説というよりも、海馬瀬人社長に近い人々に訴えかける…『魂』の込められた言葉だった。
それによってシンクロ次元における『闇』の存在を明かし…その考えを認めた上で諫めた……観客の一部が失神するほどの力強さで…。
そして遊海によって融合次元の人間であることがバレたロジェ…それを倒したのは遊海ではなく、シグナーのデュエリスト達…コモンズの代表である不動遊星、そしてトップスの代表である十六夜アキという少女だった。
…きっと、遊海ならばロジェですら簡単に一蹴できただろう……それでも、遊海は2人にロジェへの対処を任せた……トップスとコモンズが手を取り合う、そんな未来へとシンクロ次元を導く為に…。
「……でも、そんな遊海があんなに慌てるなんて……あのダークシグナーとか、冥界の邪神って何だったんだ…?」
遊星とアキによってロジェは倒され、全てが解決したかに思われた……だが、突然…ロジェの腹心、セルゲイが冥界の使者──ダークシグナーとして目覚め、さらに巨大な黒いナニカがシティへと現れた。
それまである程度の余裕を持っていた遊海が動揺するほどの緊急事態……そして、冥界の使者へと遊海は立ち向かう……その肩にシンクロ次元の未来を背負って…。
「……ネクサス……絆の奇跡、か……」
常識外れの空中でのライディングデュエル、遊海は遊星から託された『スターダスト・ドラゴン』を進化させ…『シューティング・スター・ドラゴン』を呼び出し、セルゲイの攻撃に備えた……そして現れたのは巨大なコンドルの姿の邪神『地縛神』だった。
スタジアムにいた人々や街の人々を取り込んだ邪神は『相手のライフを1にする』という回避不可能な効果を使って遊海へと襲いかかった……遊海にはそれを避ける算段があったようだが…冥界の邪神による『攻撃』によって叶わず、遊海は致命傷を負って海へと沈んでしまった。
だが…遊海は光と共に復活した。
それは…榊遊希が舞網チャンピオンシップにおいて梁山泊塾の松星戦で見せた「暴走形態」……だが、それは真実ではなかった。
仲間との絆を繋ぎ、勇気を力として世界を脅かす『闇』へと立ち向かう絆の奇跡──『NEXUS』
遊矢が知らない…遊海の仲間との『絆』、そして『赤き竜』の奇跡の力を借りた遊海は輝く希望の竜『シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴン』を呼び出し──邪神を打ち倒した。
遠くからその戦いを見ていた遊矢には『地縛神』の脅威はよく分からなかった……ただ、分かったのは……もしも、自分が戦っていたら──負けていただろう、という事だった。
「遊海……本当に『
遊海の姿を思い出した遊矢は昔、父・遊勝が行方不明になる前にエンタメの勉強として一緒に行ったヒーローショーの事を思い出した。
悪を倒す為に力を振るい、ピンチになろうとも人々の声援から力を得て、必ず事件を解決する……現実にそんなヒーローが存在するとは遊矢は思ってもいなかった…。
「オレのデュエルって…エンタメって、なんなんだろう……遊希兄…父さん…!」
ジャックの圧倒的な力とあまりに大きすぎる遊海の背中、その2つを目の当たりにした遊矢の自信は……プライドは粉々だった…。
コンコンコン
『榊遊矢様、お客様です』
「えっ…?」
そんな時、部屋付きのボーイがドアをノックする…そしてやって来たのは…。
「「遊矢!」」
「あっ…柚子!権現坂!」
「うおおっ!遊矢!無事で良かったぞぉぉ!!!」
「く、くるひい……」
「あはは…権現坂も相変わらずね…」
やって来たのは柚子と真新しいライダースーツを着た権現坂だった…そして、遊矢はまた権現坂の胸板に沈む事になり……柚子は苦笑いしたのだった。
………
「権現坂…その服…?」
「おう、これか?行政評議会からフレンドシップカップのトップバッターに指名されたのだ!俺とデニスの興行が話題になったらしくてな!相手は…お前の知り合いのクロウとらしいな」
「クロウと…!」
「その戦いの前にお前の様子を見に来たのだが…そうしたら部屋の前で柚子と鉢合わせしてな…映像で知っていたとはいえ、無事な姿を見れて安心したぞ!」
「ごめんなさい……みんなに心配かけちゃって…!」
「柚子…気にすんなよ!柚子だって来たくてシンクロ次元に来た訳じゃないんだしさ」
「うん…ありがとう、遊矢」
フレンドシップカップの初戦を任された権現坂は試合の前に遊矢の顔を見る為に遊矢のもとへやって来た…そして柚子は遊矢に聞きたい事があって部屋を訪ね、ちょうど権現坂と合流できたのだ。
「遊矢、権現坂…教えて欲しいの、バトルロイヤルで何が起きたのか……遊希さんに、何があったのか…!」
「柚子…」
「……遊海さんから、遊矢達が『ランサーズ』として私を助けに来てくれたのは聞いたの……そこまでに何があったのか、教えて欲しいの…!」
柚子がやって来た目的…それは、舞網チャンピオンシップで何が起きたのかを聞く為だったのだ…。
「ならば…タイミングが良かったな、俺も含めればバトルロイヤルで起きた事をほぼ話せるだろう」
「ああ……実は……」
そして、遊矢と権現坂はバトルロイヤルで何が起きたのかを柚子へと伝える…。
まずは遊矢、柚子や遊希と別れた後に梁山泊塾からの報復デュエルを仕掛けられ、助けに入ったデニス・マックフィールドの助けを得てそれを退けた事。
そして…遺跡エリアで黒咲と出会ったものの、ナイト・オブ・デュエルズが黒咲に報復デュエルを仕掛け──そこへ融合次元の戦士、オベリスク・フォースを従えた素良が襲来…そこで記憶が途切れてしまった事。
次に権現坂、柚子と別れた後、デュエルフィールドを探索する中でオベリスク・フォースと勝鬨戦のように豹変した遊矢の恐ろしいデュエルを目撃…『覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン』をエクシーズ召喚した遊矢がオベリスク・フォースを吹っ飛ばし──そこへ、異形の怪物と化した遊希が乱入し…暴走した遊矢を叩き潰してしまった事を伝える…。
「遊希さんが…!?」
「うむ……このあとに出てくる凌牙によると、別のオベリスク・フォースに城之内殿と舞網アドベンチャー・スクールの聖目殿がカード化されてしまったらしくてな……そのショックで遊希に秘められていた『力』が暴走してしまったらしいのだ…」
「オレ…その時の事、まったく覚えてないんだよな…」
「話を続けるぞ…」
暴走遊矢を倒した遊希は本当の意味で遊矢へと『トドメ』を刺そうとした…そこへ現れたのはエクシーズ次元のレジスタンス、凌牙だった。
やはり、記憶喪失になる前の遊希を知っていた凌牙は狂戦士──『厄災』と化した遊希を救う為に立ち向かう……黒咲以上のタクティクスで立ち向かう凌牙だったが、遊希が呼び出したのは見た事もないエクシーズ封じのデッキ…その異常な力で凌牙は僅かなターンで追い詰められてしまう。
だが、凌牙が託されていた『奇跡』が活路を開き、渾身の一撃が遊希に直撃…暴走を鎮める事に成功したのだった。
「……オレが気を失ってる間に、そんな事が……」
「うむ…お前にもあの『金色の龍』の姿を見せたかったぞ……そうして俺達は茂古田殿と大漁旗の力を借り、気を失った遊希と遊矢をジャングルエリアへと匿ったのだ」
「柚子…お前は、その時どうしてたんだ…?」
「うん…」
次は柚子の番…タッグデュエルの後、権現坂と別れた柚子はデニスにデュエルを仕掛けられて敗北…その直後、自分によく似た少女・セレナと出会う事になる。
デニスをエクシーズ次元の人間と勘違いしてデュエルを仕掛けたセレナはデニスに圧勝……その直後、セレナを追ってオベリスク・フォースが出現……襲われる寸前で風魔塾の日影・月影の2人に助けられて窮地を脱する事ができた…。
そして…柚子はセレナと話し合い、セレナが融合次元の人間であり…アカデミアの戦士として誇り高く戦いに来た事を知る…。
だが…そのセレナは柚子がユートから知らされた事実──ハンティングゲーム感覚で人々を襲う『次元戦争』の現実を知って取り乱してしまう……そして柚子はセレナと服を交換し、セレナと黒咲か凌牙が出会えるように囮を買って出たのだ…。
「柚子…なんて無茶な事を…!」
「ごめんなさい…その時、私も狙われてるって知らなかったの…………それで、私…オベリスク・フォースから逃げたんだけど……襲われたの、遊矢に似た…紫色の奴に…!」
「オレに似た奴!?」
「ユートのように遊矢に似た男がいたのか…!!」
「うん…怖かった…!!」
オベリスクフォースに追いかけられていた柚子の前に現れたのは、融合次元の戦士・ユーリ……既にLDSのオルガとハリルをカード化していたユーリは柚子を捕らえるべくデュエルを仕掛ける………そして、一晩中追いかけられる事になってしまったのだ…。
「一晩中も…!?なんとしつこい奴なのだ…!!」
「許せない…!柚子をそんなに怖がらせるなんて!!」
「……私、もうダメだと思ったの……そしたら……」
朝方となり、ユーリに追い詰められる柚子…その時、ブレスレットが光を放ってユーリが消える……その代わりに現れたのがDホイールに乗ったシンクロ次元のデュエリスト、ユーゴだったのだ。
「そして柚子はそのユーゴと一緒にシンクロ次元に飛ばされてしまった、と……大変だったな…」
「うん…いきなりセキュリティに追いかけられたり、ユーゴは毎回私をリンって女の子と間違えたり……それで、遊矢達は…」
「うん、遊希兄より先に目が覚めたオレは権現坂達から話を聞いて…とにかく柚子や他の選手達と合流しようと思って、未知夫達とデュエルフィールドに散らばったんだ…」
遊矢達は融合次元の脅威を伝え、狙われている柚子を探してデュエルフィールドに散らばった……そして、未知夫達が素良とのデュエルで負傷した黒咲と合流したセレナ、そして月影とオベリスク・フォースが戦う姿を見つけて助けに入る…だが、オベリスク・フォースは強く…乱入ペナルティでライフを失っていた未知夫が一撃で倒され、カード化される直前──
「目覚めた遊希……いいや、『
「遊希さんの…本当の姿…」
カード化の光を防ぎながら、その男は現れた…傷だらけだった肌は綺麗に治り、失った左目を取り戻した…赤帽子のデュエリスト…白波遊海が…。
「遊海は強かった…三人組のオベリスク・フォースを一人で半壊させ、絶望的な状況を変えてしまった…そして……沢渡を追ってきた新たなオベリスク・フォース6人を1ターンキルで倒してしまったのだ!」
「あの仮面の奴らを!?強すぎよ!!」
権現坂の思わぬ言葉に柚子は叫ぶ…オベリスク・フォースの強さは身を以て知っているからだ…。
「オレはその時、素良とデュエルしてたから詳しくは知らないんだけど……遊海はオレや遊希兄とは違うペンデュラムカードの使い手らしいんだ……そして、戦いの度にデッキを変える…オレ達とは別次元の戦いをするデュエリストだったんだ」
「別次元の…デュエリスト…」
そして、遊海がオベリスク・フォースと戦っていた頃、遊矢は素良とデュエルをしていた…アカデミアの使命に殉じようとする素良に笑顔を取り戻す為に…だが、そのデュエルは無情なタイムアップによって終わってしまった…。
「それで、柚子が行方不明になった事を知って…素良も融合次元に戻っちゃって………そこへ、赤馬零児が現れたんだ」
「そして舞網チャンピオンシップが対融合次元を見据えた防衛隊『ランサーズ』を選抜する為の大会だった事…そして、セレナが舞網にオベリスク・フォースを呼び寄せてしまい…それを迎撃する為に、俺達が戦わされた事を知ったのだ…!」
「ひどい…舞網チャンピオンシップで、そんな事が…!」
遊矢達から舞網チャンピオンシップの真実を知らされた柚子は胸を痛める…、
結局、ジュニアユースとして参加した20人のうち重傷3人、カード化7人、行方不明1人…そしてオベリスクフォースの迎撃に当たったユース8人のうち4人がカード化されるという大きな被害で舞網チャンピオンシップは幕を閉じる事になったのだ…そして……。
「記憶を取り戻した遊希兄……遊海は、オレの…オレ達の事、なんにも覚えてなかったんだ…!!」
「そんな…!」
遊矢の言葉に柚子は悲しみの声を漏らす、そして思い出した……この次元で遊海を遊希と勘違いして抱きついた時、「俺は違うんだ」と悲しそうな表情で告げた遊海の事を…。
「それで、オレは…オレ達を利用した零児が許せなくて、デュエルして…負けたよ…ボコボコにされて……それで、柚子を助ける為にランサーズに入ったんだ…」
「そしてLDS…レオ・コーポレーションは融合次元の脅威を明かし、ランサーズの結成を舞網市……スタンダード次元全体へと発表したのだ」
「それが、私がシンクロ次元に来た後にあった事…」
「ああ、あとは…その夜に母さん……流れ星ヨーコとデュエルした事くらいかな」
「流れ星ヨーコ?なにそれ…?」
「母さん…舞網の女暴走族の総長だったんだって…」
「なにそれ!?というか…なんでデュエルしたの!?」
「あはは…」
零児に敗北し、柚子を助ける為に融合次元への怒りに燃える遊矢…だが、その姿を見た洋子が遊矢へとデュエルを仕掛ける……父の信念を…デュエルはなんの為にあるのかを伝える為に…。
「そして…母さんから父さんのカード、『スマイル・ワールド』を託されたオレは権現坂に沢渡、デニスに黒咲、月影と零児、セレナ…それから零羅と遊海…10人でシンクロ次元に来たんだ」
「あれ…?凌牙は?」
「凌牙は…遊海の指示でエクシーズ次元に戻ったんだ、融合次元に動きがあるかもしれないからって…」
「そうなんだ……そういえば…凌牙と遊希…遊海さんの関係って……?」
「うむ…驚かないで欲しいのだが………」
「
「えっ……ええぇぇ───!?」
遊矢達から思わぬ真実を知った柚子はこの日で一番驚いたのだった…。
………
「別次元で事故に遭って、私達の世界に…しかも身体も縮んで……」
「融合次元には人をカードにしてしまう技術もあるのだ…摩訶不思議な事があってもおかしくはない」
「オレと母さんも遊海から聞かされた時は驚いたよ…奥さんがいるって知ってさらに驚いたけど…」
「……奥さん、きっと心配してるんだろうなぁ…」
遊矢から遊海の来歴や経緯を伝えられた柚子はふとそんな事を思う…たった数日でも心細いのに…何年も離れていたら、絶対に心配しているだろうと…。
「……話を戻すぞ、シンクロ次元に着いた俺とデニスはアクションデュエルの興行をしながら柚子の情報を集めていたのだが…地下デュエルのプロモーターに目を付けられてな……その地下デュエル場で黒咲と合流できたのだが…セキュリティに捕まって収容所に送られてしまったのだ」
「オレは沢渡にセレナ、それから零羅とシンクロ次元に着いたんだけど…たぶん、柚子とユーゴに間違われたんだな…いきなりセキュリティに捕まりかけてさ…クロウ達に助けられたんだけど……結局、まとめて収容所送りさ…」
「ご、ごめんね?遊矢…」
「気にすんなって…収容所でも出会いがあったんだ」
紆余曲折を経て収容所送りとなったランサーズ…その収容所で遊矢は不動博士、そして収容所のボスだった徳松と出会う…そして遊矢のエンタメによって徳松へと笑顔を取り戻し…そして…。
「クロウやシンジ達が脱獄を考えてさ…失敗しかけた時、遊海が助けに来てくれたんだ…鉄の扉を吹っ飛ばして……みんな目が点になってたよ…」
「うむ…いや、いくら体を鍛えても…あそこまでになると……」
「……遊海さんって、何者なの…?(汗)」
「本人は『
シンクロ次元で別行動を取っていた遊海が遊矢達を救う為に牢獄破りを実行…さらに、セキュリティ本隊が駆けつけるも…治安維持局と交渉していた零児によってランサーズがフレンドシップカップに出場する事が決まり、難を逃れたのだった…。
「改めて振り返ると……これが舞網チャンピオンシップから約一週間の出来事とは信じられんな…」
「でも、戦いはこれからだ…柚子は助けられたけど、シンクロ次元と同盟を結んで…融合次元を止めないと、世界は平和にならないんだ…」
「……遊矢、私…決めた!私もランサーズに入る!!」
「「柚子!?」」
今までの出来事の振り返りを終えた柚子が遊矢達に決意を伝える…その言葉に遊矢と権現坂の驚きが重なった。
「だって…舞網に戻っても、またアカデミアが来るかもしれない…なら、遊矢達と一緒にいた方が安全だもの…!それに私だって、戦える…デュエルを戦争に使うアカデミアを許せないのは私も同じよ!」
「柚子…」
遊矢は柚子の瞳を見て決意の強さを知る…人々をカードゲームしてしまうアカデミアを許せないという柚子の強い思いを…。
「………わかった、今度こそ…柚子はオレが守る!!」
「遊矢…うむ!それでこそ漢だ!」
「ふふっ…ありがとう、遊矢!……いつもどおりの遊矢で、良かった…」
「えっ…?」
柚子の思いを聞いた遊矢が決意を固める…その姿を見た柚子は
安堵の言葉を漏らした…。
「私ね、心配だったの…昨日のキングとのデュエル…それから、遊海さんのデュエルを見て…また遊矢が落ち込んでるんじゃないかって……私もびっくりしたもん!遊海さんってあんなに強いんだって!……それに、デュエルが終わった後の遊矢の表情が暗かったから…」
「あっ……」
昨日のデュエルの時、ずっと遊矢の隣にいた柚子は気付いていたのだ…遊矢が遊海のデュエルを見て落ち込んでいる事に…。
「遊矢、気に病む事はない!人にはそれぞれ得手不得手がある…それに昨日のデュエルは遊矢にとっての平常心ではなかった…いられない状況だったのは分かっている!またリベンジすれば良いのだ!」
「権現坂…」
「それに…遊海とお前を比べる必要はない!上手く言えんのだが…遊海と俺達では
「2人とも…」
柚子も権現坂も遊矢の傷心を見抜いていた…2人は遊矢を励ます為に、その為だけにやって来たのだ。
「……ありがとう、柚子…権現坂…オレ、必ずジャックにリベンジする…オレのエンタメをジャックに見せつけるんだ!」
「うむ、その意気だ!」
柚子と権現坂の言葉で遊矢は奮起する…自身のエンタメを否定したジャックに、今度こそリベンジするのだと…!
コンコンコン!
『権現坂様、まもなく時間です…準備をお願いします』
「むっ…そんな時間か!往かなければ!」
「あっ…私も第三試合だって言われたから…そろそろ行かないと」
「柚子…権現坂……大丈夫か?」
「心配するな、遊矢!負けても部屋に戻って良い事になったのだ!……おそらく、行政評議会の者達も遊海の力に恐れをなしたのだろうな!」
「あの人の思いに応えられるようなデュエルにしないとね、遊矢!」
「……ああ!」
試合を控えた権現坂がボーイの青年に声を掛けられる…そして自分の試合を思い出した柚子も立ち上がった。
「あっ…そうだ……遊矢、もし…もしもユーゴに会っても、悪く言わないであげて…ユーゴも、大切な人をアカデミアに拐われたみたいなの…」
「えっ…!?そうなのか!?」
「うん…こっちに来てから聞いたの……たぶん、紫色の奴……ユーリって奴が私に似た瑠璃とユーゴの大切な人、リンを攫った犯人なのよ…!」
「……まさか、ユートも、ユーゴも…お互いに人違いしてたのか!?」
部屋を去る直前、柚子の言葉に遊矢は驚く…そして理解した、舞網中央公園で衝突した2人はお互いに相手を誘拐犯だと勘違いして戦ってしまったのだと…。
「ユーゴはちょっと能天気で、デリカシーのない奴だったけど…悪い人じゃなかった!」
「わかった…ありがとう、柚子…頑張れよ!!」
「うん!私…頑張る!」
遊矢の応援を受けた柚子は戦いへと向かった…。
「ユート……なんて、救いのない……」
柚子の背中を見送った遊矢はペンデュラムを握り締めて呟く…「デュエルで笑顔を」と言葉を託して消えてしまったユートは…どれほど悔しかったのだろうと…。
「ユート……今度こそ、オレのエンタメでシンクロ次元の人々を…ジャックを笑顔にしてみせる、父さんや遊海みたいに…!」
ユートへとジャックのリベンジを誓う遊矢…そんな時だった。
『あの……遊矢、様……少し良いですか…?』
「君は…昨日の…」
『サム、と言います』
決意を固めた遊矢に声をかけたのはデュエルパレスで遊矢を案内した付き人の少年、サムだった。
『遊矢様……このカードを、ジャックに返して欲しいのです…貴方が決勝まで勝ち上がって…ジャックにリベンジする時に…!』
「このカードは……『調律の魔術師』…?」
サムは頭を下げながら、遊矢に一枚のカードを差し出す…それはレベル1のモンスターカードだった…。
「……どうして、このカードをオレに?」
『ジャックは僕の…コモンズの希望の星でした……憧れだったんです…!』
サムはぽつりぽつりと語り出した…。
コモンズ出身でありながら、トップスを倒していくジャックに憧れていた事。
勝者が富を手にするシティで段々と傲慢になり、コモンズを見下し始めた事。
その中で応援の言葉を伝えた時…「お前に相応しいカード」だと言われ、低ステータスのこのカードを渡された事を…。
「ジャックがそんな事を…?」
『キングになってお金持ちになったジャックは…コモンズの裏切り者なんだ…!!』
「裏切り者…」
その言葉を聞いた遊矢はクロウが言っていた言葉の意味を理解した…だが、同時に思った…あのジャック・アトラスが…遊海と激戦を繰り広げて笑っていた男が…そんな事をするのか?と…。
「なぁ、サム……本当にジャックは
『えっ…?』
悔しげな表情のサムに遊矢は視線を合わせて問いかける。
「確かに、ジャックは強かった…俺も
『……笑って、ました……鋼の鎧の人と戦いながら……』
「ああ、オレも近くで見てた……きっと、ジャックは本当のエンターティナーだ……そんな奴が考えなしに、カードを渡すとは思えないんだ…」
遊矢は自分の負けた悔しさを棚上げしてサムに伝える…人々の笑顔が好きなのはエンターティナーとしてジャックも同じのはず……だったら、このカードにも『意味』があるのではないかと…。
「懐かしいな、そのカードは…」
「えっ…あ、アンタは…!!不動博士の…」
「扉が開いていたから覗いて見たら…つい話が聞こえてな、改めて初めましてだな…オレは不動遊星、収容所では親父が世話になったな…榊遊矢」
開いていた部屋の扉から特徴的な髪型をした青年が現れる…それは不動博士の息子、不動遊星だった。
「サムと言ったな……君は何故、ジャックがキングを目指したか知っているか?」
『えっ…お金持ちになる…トップスになる為じゃ…?』
「いいや、ジャックはそのカード…『調律の魔術師』の為にキングを目指したんだ」
「『えっ…?』」
遊星の言葉にサムと遊矢の声が重なる…ジャックの原点が、この一枚から始まったというのだ。
「昔、ジャックから聞いた事がある……幼い頃のある日、トップスが捨てたのだろうこのカードがジャックの目の前に落ちてきた……そのカードを拾った時、ジャックは決めたんだ…そのカードを元の場所に返してあげよう、その為に強くなるんだと……」
『じゃあ、このカードは……』
「ジャックは君に期待していたんだ…『いつか、このカードと共に俺に向かって来い』と……ジャックは言葉が足りないからな……時々勘違いされるんだ」
「やっぱり…ジャックは考えがあって…」
ジャックと旧知の仲らしい遊星の言葉に遊矢は納得する…ジャックはサムの事をしっかり考えていたのだと…。
『でも…こんなカードで、どうすれば…!』
「『不必要なカードなんてない、全てのカードには役割がある』……それが、オレとジャックの合言葉だった……それは遊矢、お前にも言える事だ」
「オレにも…?」
「ジャックはきっと、お前に
「エンターティナーとして…伝えたい事…」
遊星の言葉を聞いた遊矢はジャックの言葉を思い返す…『鍛え直して来い』と言ったジャックの姿を…。
「……サム、このカード…預かってもいいかな?」
『えっ…?』
「ジャックがオレに何を求めてるのかは分からない……でも、見つけて見せる…オレに足りない『何か』を…!」
「ふっ…」
遊矢はサムに託されたカードを握りしめる…ジャックの思いに応える『何か』を見つける為に…。
《……マスターに代わってフォローをしに来ましたが、杞憂だったみたいですね》
決意を固めた遊矢の姿を見ながら人間体のアヤカが呟く…戦闘不能の遊海に代わって遊矢のメンタルケアをしに来たのだが、期を逃してしまったのだ。
《…さて、手ぶらで戻るのもなんですし…ランサーズの乗るDホイールの安全装置を強化して……トリシューラプリンでも買って戻りましょうか》
僅かに微笑んでアヤカは空気に融けたのだった…。
気まぐれアンケート 好きなボスは?
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邪神ゲー
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ゾーク・ネクロファデス
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三幻魔
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ユベル
-
ダークネス
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地縛神
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究極時械神セフィロン
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No.92
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CiNo.1000
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冀望皇バリアン
-
覇王龍ズァーク