転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは、S,Kです……見事に三ヶ月も更新できずにすいませんでした!!
昨年末からの忙しさ+メインゲームの「FGO」の攻略を優先していた為に更新が遅れてしまいました……無事に水晶蜘蛛亜種は撃破できました。

……「勇者王」カマソッソがカッコ良かった…あと■-■■■■■■も救われて欲しいなぁ…。



またのんびり更新となってしまいますが、よろしくお願いします!



開幕!フレンドシップカップ!〜鎬を削るデュエリスト達

「すぅ…すぅ……」

 

《きゅう…くぅ……》

 

《ただいま戻りました…トフェニ、マスターの様子は?》

 

《変化はない…深く眠ったままだ》

 

シティ近海、ステルスモードの『アポクリフォート・キラー』内部…シティから戻ったアヤカがトフェニに遊海の容態を訊ねる…傷付いた遊海は枕元のフォウと共に深く眠っていた…。

 

 

《アヤカよ、榊遊矢の方は大丈夫だったのか?》

 

《ええ、どうやらマスターの行動の影響で軟禁状態が弛んだようで…柊柚子と権現坂昇、それから遊星のおかげで精神的には持ち直したようです、私がフォローする必要もない程に……あ、これはお土産のトリシューラプリンです、みんなで食べましょう》

 

《……人間体を得たからか、ずいぶんと人間味が増したなぁ……頂こう》

遊矢の安定をメガロックへと伝えたアヤカは買ってきたトリシューラプリンを広げる……イリアステル製のデュエルロイドは高性能、食べ物からもエネルギーを補給できるのだ。

 

 

 

《もぐもぐ……さて、遊海の活躍でフレンドシップカップはどう変わるのか……セルゲイが抜けた穴には遊星が入るのだろう?》

 

《もきゅ…ええ、それ以外のメンバー変更はないはずですが……ああ、セキュリティがロジェの悪事が関係する場所を一斉捜査するらしいですね、もしかするとデュエルチェイサー227も駆り出される可能性が…》

 

《それは…大丈夫なのか?本来の榊遊矢の相手がいなくなるのは……うん、シンクロ次元のトリシューラプリンも美味だな》

 

《大丈夫でしょう、今までの経験から予測すると……誰かがその穴埋めに入り、大会も問題なく進むはずです》

プリンを食べながら話し合う精霊達…その関心はフレンドシップカップ、そしてその先へと移っていた…。

 

 

《主殿がシンクロ次元を変える為の風穴を開いた……この先はランサーズの出番という事か…》

 

《……それより、次の問題はシンクロ次元に侵攻するオベリスク・フォースの事です……最重要人物である柊柚子とセレナは最悪、私達が保護すればいい話ですが……》

 

《……遊海が派手に啖呵を切ってしまったからなぁ…》

 

《とにかく…主殿の回復を待たなければ…》

精霊達は静かに眠り続ける遊海を見守るしかなかった…。

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

『さぁ、見えてまいりました!今日もデュエルパレスは20万人の観客で大盛況!本日からフレンドシップカップが開会いたします…!とーう!!』

同じ頃、大観衆に埋め尽くされたデュエルパレスに司会を務めるアナウンサー、メリッサの実況が響く…そして彼女はパラシュートを背負って上空からデュエルパレスへと飛び降りる─!

 

 

 

『シティは1つ!!』

 

「「「みんな友達─!!」」」

 

 

 

『We are Friends』…フレンドシップカップのスローガンが描かれたパラシュートを広げながら、メリッサは地上へと降り立つ……会場の盛り上がりは『原作』以上となっていた。

 

 

『よいしょ…掴みはOKね!波乱の前夜祭から一夜が明けてシティはトップス・コモンズ関係ない盛り上がりに包まれているわ!……私には、何が起きたのかさっぱりだったけど──みんなが楽しめているならオールOK!って感じ!』

地上に降りたメリッサが会場を見回しながら笑顔で実況する。

 

一夜にしてシティは変わり始めた、明かされた治安維持局長官の野望…突如として現れた邪神の脅威──そして、全ての闇を吹き飛ばした『絆の光』………それは差別によっていがみ合っていたトップスとコモンズ、シティの人々の心を氷解させ…新たな未来へ向かうキッカケとなろうとしていた…。

 

 

 

『さぁ!この勢いで今回出場する16名の選手達の紹介とまいりましょう!まずはこの人!昨夜のキングとのデュエルで「エンターティナー」失格の烙印を押されてしまった()()()のデュエリスト!榊遊矢!本戦ではそのイメージを払拭できるのか!?………あら?ずいぶん文章が柔らかいわね?続いては──』

そしてメリッサによって出場する選手達が紹介されていく、ランサーズからは遊矢・権現坂・沢渡・黒咲・セレナ・零羅・デニス、シティからは治安維持局代表のデュエルチェイサー227、コモンズからシンジ・クロウ・デイモン・トニー・遊星、さらに長次郎…そしてユーゴに柚子、それぞれのソリッドビジョンと共に紹介が終わったのだが…。

 

 

「おーい!メリッサ!昨日の()()()()()()デュエリストは本戦には出ないのか〜?」

 

「あの人のデュエルもう一度見たいぞ〜!」

 

『えっ……ああ!鋼の騎士、白波遊海ね!……それが、行方が分からないのよ〜!まぁ、あれだけの戦いの後だから厳しいんじゃないかな〜…ごめんなさいね!今度インタビューするから!』

観客の一部からシティを変えた決闘者──遊海の出場を望む声が上がる……だが、遊海はシティにはおらず、療養中の為にそれは叶わない事だった…。

 

 

 

『時間も押してるから先にいくわ!まずは今日のデュエル、栄えある開幕戦に登場するのは〜…!面白いストリートデュエルを魅せてくれた権現坂昇選手対クロウ・ホーガン選手!!それじゃあ準備をお願いするわ!!』

フレンドシップ開幕戦…その初戦を飾るのはランサーズの不動の漢、権現坂…そして、シグナーとしての記憶を得たコモンズの鉄砲玉、クロウだった…!

 

 

 

 

 

「遊矢の見せてしまった不甲斐ない姿…俺はそれを挽回してみせる…!この後に戦う遊矢の為にも…!」

 

 

『フレンドシップカップ、か……まぁ『記憶』のフォーチュンカップ──いや、WRGPよりはマシだな……さーて、ガキ共に元気な姿を見せてやらないとな!』

遊矢の不名誉を雪ぐ為に気合を入れる権現坂、そして『歴戦の記憶』を得た事で余裕があるクロウ…二人の戦いが始まろうとしていた…!

 

 

…………

 

 

 

『それでは!選手の入場です──!』

メリッサの声と共に茶色の量産型Dホイールに乗った権現坂、そしてブラックバード号に乗ったクロウがコースへと進入する…なお、権現坂は当然ながら運転に慣れておらず、車体がぐらついている。

 

 

 

「──フン(クロウ、貴様もシグナーの端くれならば──この程度の壁、乗り越えてみせろ)」

 

「ケッ、ジャックのヤロー…!待ってやがれよ─!」

そして玉座からコースを眺めるジャックとクロウの視線が交わる…友人の1人として、シグナーの仲間として…クロウはジャックの言わんとする事が解っていた。

 

 

「クロウ!収容所では世話になったが…ランサーズの力を示す為、全力で戦わせてもらうぞ!」

 

「おう!望む所だ!スタンダード仕込みのデュエル、見せてもらうぜ!」

スタート位置についた権現坂とクロウが言葉を交わす…本来なら、スタジアムはトップスとコモンズの衝突で混沌とした状況となるのだが──スタジアムはデュエルを前にした熱狂を除けば落ち着いていた。

 

 

『それじゃあ、アクションフィールドON!フィールド魔法「クロスオーバー・アクセル」!』

 

【【デュエルモード、オン!オートパイロットスタンバイ!】】

メリッサの宣言と共にデュエルモードが開放される!

 

 

 

 

「クロウ兄ちゃーん!!」

 

「頑張って─!!」

 

「あっ…お前ら…!」

その時、クロウは観客席から声援を送る子供達…アマンダ・フランク・タナーの姿を見つける──本来なら、無理矢理にクロウの応援に行こうとして係員に追われる羽目になるのだが……宿舎に入る前の遊星が気を利かせてチケットを渡していたのだ。

 

 

「(ああ、そうだ…オレにとっての原点──それはあいつらだ、あいつらの為に…オレは勝つ!)」

それはシンクロ次元におけるクロウの原点…それは子供達の笑顔、シティの未来を担う彼らに希望を示す為─クロウはハンドルを握り締める!

 

 

 

「「ライディングデュエル!アクセラレーション!!」」

 

 

 

 

デュエルダイジェスト 権現坂対クロウ

 

 

 

 

 

それは大会の開幕戦に相応しい激戦となった、先攻を取ったクロウは黒き翼を持つ鳥人『BF』(ブラック・フェザー)さらにシンクロモンスター『A BF』(アサルト・ブラック・フェザー)によって万全の態勢を整える。

 

対する権現坂は慣れないDホイールを操りながらも攻撃誘導効果を持つ『超重武者ジシャ-Q』2体を展開する事によるロックで迎え撃つが…クロウはそれを上回る。

エースモンスターである『ABF-驟雨のライキリ』による破壊効果を駆使してロックを突破、権現坂へと大ダメージを与える…だが、不動のデュエルを信条とする権現坂は揺らがない。

 

レオ・コーポレーション製のペンデュラムカード『超重武者ヒス-E』『超重武者サン-5』によってペンデュラム召喚を介し─権現坂は新たな切り札を呼び覚ます!

 

 

「動かざる事連山の如し、大岩に宿りし魂よ…いま!聳え立つ砦となれ!シンクロ召喚!!いでよ!レベル9!『超重魔獣キュウ-B』!!」

それは権現坂のペンデュラムシンクロ…妖狐の力を宿すモンスターが現れ、スタジアムは熱狂に包まれる。

 

 

クロウが多用する特殊召喚を利用して守備力を上げる効果を持つ『キュウ-B』は『ライキリ』を一蹴、さらに『超重武者』に連続攻撃を与える『ヒス-E』によってクロウは追い詰められるが…アクションカード『回避』によって窮地を脱する!

 

 

「やるじゃねぇか!それがスタンダードの力か!アクションカードってのも面白え…!まるでコストなしの『Sp-』みてぇだ!」

 

「そうだ!アクションカードの応酬とタクティクスによるデュエルの盛り上がり…それがアクションデュエル!さぁ、お前の本当の力を見せてみろ!」

 

「おう!鉄砲玉のクロウ…シンクロ次元のオレの力を見せてやる!」

子供達の騒動がなかった事でプレイミスをしなかったクロウはその力を開放する!

 

 

 

「漆黒の翼、叢雲に翻し…天空を分かつ剣となれ!シンクロ召喚!降臨せよ!レベル9!『ABF-叢雲のクサナギ』!!」

クロウは新たなシンクロモンスター…日本神話の伝説の剣の名を持つ鳥人を呼び出す!

 

「いくぜ…権現坂!『クサナギ』の攻撃力はシンクロ素材とした『BF』モンスターの攻撃力の合計分アップする!!」

 

「なんだと!?」

それは仲間との連携を重視する「BF」の真骨頂…その攻撃力は6000となる!! 

 

 

「だが、守備表示の『キュウ-B』を破壊されたとてダメージは受けん!」

 

「いいや…『クサナギ』は貫通効果持ちだ─!」

 

「しまった─!?」

それはまさに神話の再現──不動の妖狐は神の力を宿す七支刀によって砕かれた…!

 

 

 

権現坂LP0

 

クロウWIN!

 

 

 

 

『決まった〜!開幕戦、劇的な勝利を飾ったのは…クロウ・ホーガン選手だ〜!!』

 

「ふぃ〜…守備表示で攻撃するなんて、とんだインチキ効果モンスターだったぜ…」

スタジアムにメリッサの勝利宣言が木霊する…その中でクロウは観客席で喜ぶ子供達に手を振り返した。

 

 

「クロウ!見せてもらったぞ、お前の本気のデュエル!俺もまだ精進が足りんな」

 

「いーや、まだ14歳なんだろ?なら充分さ、いつでもリベンジ受けてやるぜ?」

 

「うむ!次こそは乗り越えてみせよう!」

そしてクロウは権現坂とお互いの健闘を讃え合う…がっちりと握手を交わしながら…

 

 

「クロウ!いいデュエルだったぞ!」

 

「ブラボー!」

そんな二人を観客達は拍手で讃えたのだった…。

 

 

 

 

…………

 

 

 

『熱狂冷めやらぬデュエルパレス…うーん!いい感じね!さぁ、この調子で第二試合の組み合わせ発表よ!』

クロウと権現坂が退場し、再びスタジアムにメリッサの実況が響く!

 

『続いての組み合わせは〜…まずは1人目!コモンズ出身!シンジ・ウェーバー選手!二人目は……今大会最年少!赤馬零羅選手!!って……この子、Dホイールに乗れるのかしら??』

組み合わせを発表したメリッサだったが…あまりに幼い零羅の姿を見て思わず首を傾げた…。

 

 

 

 

 

 

Side???

 

 

 

「権現坂、クロウ…すごいデュエルだったな…それに、観客達も…」

少しだけ時間が巻き戻る、遊矢はゲストハウスの部屋から権現坂とクロウのデュエルを観戦していたのだが…権現坂達のデュエル、そして観客達の変わり様に驚いていた。

 

「昨日はトップスとコモンズがいがみ合ってて、雰囲気が悪かったけど…今日は本当にデュエルを楽しんでた……この感じなら、オレのエンタメデュエルでも………だけど……」

ジャックに「独り善がり」と否定されてしまった遊矢のデュエル…遊矢はそれに対する「答え」を見つけられず、ため息を吐いた…。

 

 

コンコンコン

 

 

「あ…はーい…?」

 

「おーう!元気そうで何よりだな!遊矢」

 

「あ…徳松さん!」

そんな時、遊矢の部屋を訪れる者がいた…それはシンクロ次元におけるエンタメ──エンジョイデュエルの先駆者、徳松だった。

 

 

「今の権現坂達のデュエルは良いデュエルだったなぁ!俺が腐ってた10年でデュエルも進歩したもんだぜ」

 

「ああ!お客さん達も盛り上がってたね!オレの時よりも…」

 

「うん…?おいおい、そんなに悔しそうな顔すんなって…お前さんの戦いはこれからだろうが…」

権現坂とクロウのデュエルの熱さに盛り上がる徳松…そんな彼を前に遊矢は少し暗い表情をしていたが、徳松はそんな遊矢を元気づける。

 

 

「ありがとう、徳松さん…そういえば、なんでオレの部屋に…?」

 

「おおっ、そうだった…ほら、昨日の前夜祭の時に鋼の兄ちゃんが言ってただろ?ゴミ処理場がどうとか…お前さんも気になってると思って情報を仕入れてきたのさ」

 

「あっ…!そういえば…!?」

徳松の言葉に遊矢は遊海の演説の言葉を思い出す…それはフレンドシップカップの敗者に関する思わぬ末路だった。

 

「俺の部屋の前にいたボーイに聞いたんだが──」

徳松曰く、シティの地下にはトップスの捨てたゴミを処分する為の「ゴミ処理場」があり、フレンドシップカップの敗者や収容所や刑務所で問題を起こした者はそこに送り込まれ…奴隷同然に働かされていた…という話だった…。

 

「……待ってよ、それじゃあ権現坂は…!?」

 

「おおっと!心配すんな、それはもう無くなったらしい!」

 

「えっ…?」

徳松の話を聞いた遊矢はたったいま負けてしまった権現坂の事を案じるが…徳松は慌てた様子で腕を振る。

 

 

「ボーイ共の話によると評議会の奴らが心変わりしたみたいでな、犯罪者や負けた奴を送り込むのを止めて、コモンズから作業員を正当に()()って話になるそうだ……コモンズにやらせるってのは気に入らねぇけどな……しかし、本当にすげえ奴だな!鋼の兄ちゃん、白波遊海って奴は!1人で本当にシティの慣習を変えちまいやがった!」

 

「遊海…」

遊矢が思い出したのはシティを覆った闇を吹き飛ばした、奇跡の『光』……それは本当に人々を変える、希望となったのだと…。

 

 

 

 

 

『それでは!続いての組み合わせは〜…まずは1人目!コモンズ出身!シンジ・ウェーバー選手!二人目は……今大会最年少!赤馬零羅選手!』

 

 

 

「えっ…零羅!?」

 

「……おいおい、あんなちびっ子に戦わせるのか…?」

そんな時、モニターから第二試合の組み合わせが発表される…そこにあったのは幼い零羅の名前、それを見た徳松と遊矢は思わず顔を見合わせる…。

 

 

「俺はスタンダード次元って場所の事はわからねぇが…あんなちびっ子がライディングデュエルって…大丈夫なのか?」

 

「いや、大丈夫じゃないって!!零羅はまだ子供で、ジュニアクラスなんだ!本当ならリアルソリッドビジョンのデュエルも危ないのに!!」

徳松の疑問に遊矢は慌てて答える、零羅は小学校低学年レベル…ジュニアクラスのデュエリスト、本来ならば柔らかなソリッドビジョンで戦うはずの子供なのだ…。

 

 

「っ…零児もこの建物の何処かにいる…!止めないと────」

危険なライディングデュエルに零羅を出場させない為に兄である赤馬零児を探しに行こうとする遊矢…その時だった。

 

 

ガタン!!

 

 

「うわっ!?」

 

『っ───!!』

 

「れ、零羅─!?」

遊矢の部屋の前で待っていたボーイを押し退け、小さな影が部屋へと飛び込み、遊矢へと抱きつく…その影の正体は──零羅だった。

零羅は小さな手にぬいぐるみを握り締め…ひどく怯えていた…。

 

 

 

「零羅…!どうしたんだ…!?」

尋常ではない様子で震え、怯えた零羅を抱きしめる遊矢…そこへ…。

 

 

『失礼する』

 

「赤馬零児…!」

静かにやってきたのは零羅…兄、零児だった…そして遊矢は()()()()()()()を察した…。

 

 

『なに、考えてんだよ…!!どうして零羅を戦わせる!?まだ子供で、LDSでもジュニアクラスなのに!なんでデュエルキングのジャックがいるような大会に無理矢理引っ張り出そうとするんだ!!』

シンクロ次元に来て数日、遊矢は零羅の事を少しだけ知る事ができた…同じ世代である遊勝塾の子供達よりも控えめで引っ込み思案…自分の意見を言葉にしにくい──優しい子なのだと、そんな零羅を()()()()()とする零児に対し、遊矢は静かに怒りを露わにする。

 

 

「そもそも、どうして零羅をランサーズに入れたんだ…!オレは柚子を助ける為に自分の()()で次元を越えてきた…権現坂や沢渡、黒咲やセレナも遊海も…自分の目的があって次元を越えてきたはずだ……アカデミアと戦う危険性も分かってる……でも、零羅が…自分の意思で来たとは思えない!お前が無理矢理()()()()()んだろ…?どうして、こんなに幼い子を連れてきたんだ!答えろ、赤馬零児!!」

零羅を怖がらせないように静かに…しかし強い怒りを露わにした遊矢は零児を睨みつける…!

 

 

 

『………その質問に答えよう、まずは何故、零羅をフレンドシップカップに出場させるのか──それは零羅に実戦経験を積ませるためだ、零羅の実力は君たちにも匹敵する』

 

「実戦っ…!?力があっても零羅はまだジュニアクラス…!」

 

『次に何故、ランサーズに入れたか…確かに、それは零羅の意志ではない…私の()()に従ったからだ』

 

「命令…!?」

淡々と遊矢の疑問に答える零児…その言葉に感情は感じられなかった…。

 

 

『そして…何故、私が零羅の参加に固執するのか…それは、零羅がアカデミアとの戦いにおいて…零羅が必要な存在になり得るからだ』

 

「必要…!?零羅の力が…!?こんな子供が、戦いに必要だって言うのか!!その考えは…間違ってる!!」

戦いの中で零羅の力が必要になると言う零児…その言葉を遊矢は否定する…!

 

 

 

「バトルロイヤルの後に海馬社長が言ってたよな…!『戦う意思のない、覚悟の無い者ほど弱いモノはない』って…!シンクロ次元に来てから!零羅は怯えながら、ずっとお前の事を探して、心配してたんだぞ!?こんなにお前を求めて!慕ってるのに!お前は零羅の事を戦う為に必要だって言うのか!?こんなに怯えてる零羅が…戦えるわけないだろう!!本当の()()のお前が、()を守らないでどうするんだよ!!」

 

『……』

それは遊矢の精一杯の叫び…幾度となく『(遊希)』に守られてきた遊矢だからこそ分かる、零羅を守る為の言葉だった…。

 

 

『白波遊海にも釘を刺されたな…「覚悟のない者をデュエル戦士にするな」と、だが……零羅、答えろ……お前が出場を()()理由はなんだ?』

 

「っ…そんなの、戦いが怖いからに決まって──!」

 

『く、クロウの…ともだち、だから…………お菓子も、くれた…から……』

 

「零羅…?あの時……」

それは零羅の小さな答え…クロウの家に世話になっていた時、シンジは零羅にもお菓子を分け与えていた…優しくしてくれたシンジとは戦いたくなかったのだ…。

 

 

『なるほど、施しを受けた相手とは戦えない…という事か………月影、零羅の()()()に出場してもらう』

 

「──承知」

零羅から理由を聞いた零児は控えていた月影に指示を出す…そして、静かに零羅へと歩み寄る。

 

 

『───部屋に戻るぞ、零羅……今回は()()()()()()()

 

「『えっ…?』」

あっさりと、零児は零羅と月影の交代を認めた…思わぬ程早い決定に遊矢と零羅の声が重なる。

 

 

「意外…だな、お前なら無理矢理にでも…」

 

『………私も()()だ、血も涙もある…それにあんなモノを見せられてはな……』

動揺する遊矢に対して零児は昨夜の出来事を思い出した…。

 

 

 

 

Side零児

 

 

『これは…!デュエルパレスで何が起きている!?』

 

『セルゲイ・ヴォルコフ…ロジェの支配下にあるはずの奴が…!』

 

『…………』

 

『(あの白波遊海が動揺している…それほどの事態、という事か…!)』

 

『兄さま…』

前夜祭最中の行政評議会は動揺に包まれていた、遊海によって野望を暴かれたロジェとコモンズの遊星、そしてトップスのアキによるタッグデュエル…それによってスタジアムの空気が変わった矢先、沈黙していたセルゲイが暴走し始めた……そして零児は映像越しながらも遊海の動揺を見抜き、事態の重大さを悟っていた…。

 

 

………

 

 

『っ…白波遊海が、落ちていく…』

 

『捕縛隊を一蹴し、ジャック・アトラスを正面から打ち負かした彼が…!?あの巨大な影はなんなのだ!?』

 

『これは…少々、不味い事態のようですね』

 

『(少々どころではない…!あのコンドルのようなモンスター、そして『闇の巨人』…あれはリアルソリッドビジョンのレベルを超えている…!人を殺すほどのソリッドビジョンなど、アカデミア以上の…!!)』

そして行政評議会は絶望した、空中に現れた『炎の地上絵』の中で始まった遊海とセルゲイのライディングデュエル…だが、万全の態勢を整えたように見えた遊海は──炎に飲まれ、海へと沈んでしまった。

表面上はポーカーフェイスを保っていた零児も思わず冷や汗を流す状況…だが、希望は消えていなかった…!

 

 

 

──闇を祓う、絆の輝き!!NEXUS!!──

 

 

 

『白波遊海が、飛んでいる…!?』

 

『あの光は…まるで、太陽のような……』

 

『人々を照らす、暖かな光……』

 

『なるほど、あれが彼の──全力、という事ですね』

 

『(あの姿は榊遊希が見せた姿に似ている…いや、こちらが()()()姿()という事……人々に安心感を与える、この光は……)』

 

『きれい……』

海から光の柱が立ち昇る…その中から光の爆発と共に、金色の粒子を纏い、鎧に身を包んだ遊海が現れる…その光景に行政評議会は目を奪われ──零児は本当の意味で遊海が『人外』の存在である事を確信した。

 

 

 

…………

 

 

『一先ず、シティに迫った危機は去った……おや、これは…?』

 

『穏やかな、光…』

 

『まるで…シティの人々を祝福しているかのようですねぇ』

 

『………(評議員達から感じていた()()が抜けていく、白波遊海…お前は、本当にシティ…シンクロ次元の在り方を変えてしまったというのか…?まるで…空想のヒーローのように…)』

シティに迫った冥界の王の脅威は遊海の呼び出した『絆の奇跡』によって倒された、そしてシティには穏やかな光が舞い落ちる……零児はその光が起こした変化にいち早く気付いていた。

 

 

『覚悟のない者が戦う必要はない…覚悟のある者が、全身全霊で戦えばいい…これが、お前の在り方か…白波遊海』

それは舞網を離れる前に遊海が口にした言葉…覚悟を決めた『決闘者』である遊海の力を零児は実感した……映像の中で力を使い果たし、倒れ込む遊海の姿を見ながら…。

 

 

 

Side OUT

 

 

 

『零羅、今回はお前の中に「自分」というモノが芽生え始めている事を確認できて良かった、お前の力はまた別の機会に発揮してもらう……いいな?』

 

『……はい、兄さま…』

 

「零羅……自分…?」

ほんの僅かに態度を緩めた零児の言葉を聞いた零羅は立ち上がる…その様子を見た遊矢は零羅の動揺が収まったのを感じ取る、そして小さな疑問も…。

 

『自我の発達…強さはデュエリストの成長に大きく寄与する、自ら戦略を考え…戦術を駆使する基礎となるからだ……零羅にはまだ伸びしろがある』

 

「零児…お前…」

 

『機会がくれば…君にも全てを話すとしよう、行くぞ零羅』

 

『はい…』

意味深な言葉を残して零児は零羅と手を繋いで去って行った…。

 

 

 

「零羅…」

 

「どうやら、零羅って子はオメェよりもあのメガネの兄貴の方が好きらしいな……少し歪んでるが、あれも兄弟のカタチなのかもしれねぇなぁ…」

 

「徳松さん…」

去っていく零児の背中を見送る遊矢…事態を静観していた徳松は遊矢を労るようにそう声をかけた…。

 

 

 

 

『(母様が今の零羅の事を知れば舌打ちするかもしれない…『人形が心を持ってはならない』と……それでも、私は…)』

零羅の小さな手を繋ぎながら、零児は柔らかな瞳で零羅を見る…遊海の『絆の光』は……確かに、彼の心にも届いていた…。

 

 

 

 

SideOUT

 

 

 

 

 

デュエルダイジェスト シンジ対月影

 

 

 

トラブルによって時間から少し遅れて始まったシンジ対零羅…もとい、代理の風魔月影のライディングデュエル…だが、状況は本来より少し変わっていた…。

 

 

 

 

「どうした?デュエルに身が入っておらぬようだが…?」

 

「くっ…」

デュエル中盤、月影がシンジへと声をかける…デュエルは月影が優勢、ヒットアンドアウェイに「忍者」による忍術を使った搦手を得意とする月影がシンジの蜂の軍隊「B・F(ビー・フォース)」を追い詰めていた。

だが…シンジには何処となく覇気がなく、デュエルに集中できていない様子だったのだ。

 

 

「戦う意味が分からなくなっちまった…オレのやろうとしてた革命なんて、意味があったのかよ…」

 

「むっ…?」

 

この時点でシンジの闘争心は折れていた、全ては遊海の介入による影響が大きい。

シンジは抑圧されてきたコモンズをトップスから開放する為の『革命』を計画していた…自分達を見下すトップスを引きずり降ろそうとしていた……のだが、計算外の事が起きる…遊海による介入である。

 

目の前で見せつけられた圧倒的な力、そして(シンジは知る由もないが)長きに渡って世界を守ってきた遊海の圧倒的な覇気を見せつけられた事で反骨心を砕かれ……さらに、前夜祭のデュエルによってトップスとコモンズに和解の兆しが見えた事で今のシンジは戦う意義を見失ってしまっていたのだ…。

 

 

 

 

「なんだよ…昨日までトップスもコモンズもいがみ合ってたじゃねぇか……なのに、なんでみんな楽しそうにデュエルを見てやがんだよ…なんで、そんなに楽しそうなんだよ…!」

本当なら、シンジはこのデュエルでコモンズの人々の反抗心を煽り、「革命」への火種にしようと考えていた…しかし、今のデュエルパレスにそんな雰囲気はない…そこに広がっていたのはトップスもコモンズもなく、純粋にデュエルを楽しむ人々の笑顔だったからだ…。

 

 

「これじゃ…オレだけが空回りしてるみてぇじゃねぇかよ……」

 

「シンジ殿…」

…本来の「物語」なら、シンジはデュエルの度にコモンズの人々の反抗心を煽り、ついには「コモンズ革命」を引き起こす…だが、彼の目指した理想は歪み暴走──暴徒としてシティに混乱を齎す事になるはずだった、しかし…今のシンジにはそれほどの力はないだろう…。

 

 

「……シンジ殿、()()()()()

 

「なんだよ…」

そんなシンジに声を掛けたのは月影だった、本来ならば口数は少ない彼なのだが…シンジの姿をただ見ている事ができなかったのだ。

 

 

「お主はなんの為にデュエルをしている?お主は…コモンズの子供達を守る為にデュエルをしていたのではなかったのか?拙者は見ていたぞ、子供達に優しい思いを向けるお前の姿を…!」

 

「お前…」

月影は静かに語りかける…月影は物陰から零羅を護衛しながら見ていたのだ、コモンズの子供達の為に働き…彼らを守ろうとしたシンジの姿を…。

 

「拙者はこの次元に来て日が浅い故、お主の境遇などは分からぬ…だが、お主がデュエリストであるのなら……デュエルの時に向き合うべき事は分かっているはずだ!!」

 

「っ──」

それは月影による一喝、それは周りが見えなくなっていたシンジの目を覚まさせる…!

 

 

「シンジ!頑張れよー!!」

 

「お前とクロウが俺達の代表なんだぞー!!」

 

「頑張れ〜!」

 

「みんな…!」

スタジアムに響くコモンズ達の声援…それは消えかけていたシンジの闘志に炎を灯す…!

 

 

「お前…後悔するなよ…!眠ってた蜂の巣を突いた事を─!」

 

「望むところ─!」

コモンズの声援を聞いたシンジは闘志を取り戻す………余談だが、忍者の技能には『人心掌握術』などのコミュニケーション能力も必要とされる、彼の任務にはそれが必要だったのだ。

 

 

………

 

 

「結集した絆の力にて傲岸たる壁を射抜け!シンクロ召喚!!現れろ!レベル12!『B・F─決戦のビッグ・バリスタ』!!」

 

「レベル12のシンクロモンスター…!」

月影によって追い詰められたシンジ…だが、彼は逆境から切り札を呼び出した…!

 

 

「『ビッグ・バリスタ』は墓地の『B・F』モンスターを除外し、1体につき相手モンスターの攻撃力・守備力を500ダウンさせる!これで『黄昏の忍者将軍─ゲツガ』の守備力は2500ダウンする!」

 

「だが、破壊されたところでダメージは…!」

 

「いいや、『ビッグバリスタ』は貫通効果を持っている!受けてみやがれ…蜂の一刺しを!」

 

「……見事…!」

蜂の決戦兵器が頑強なる将軍を貫く…月影はシンジの健闘を讃えながらDホイールから投げ出されたが……何事もなく着地する。

 

あえて、発動しなかったアクションマジック『回避』を手にしながら…。

 

 

月影LP0

 

シンジWIN!

 

 

 

「見事なデュエルだ、シンジ殿…次の試合でも健闘を祈る」

 

「ありがとよ、忍者…このままキングまで登り詰めてやるぜ!」

デュエルが終わり、二人は短く挨拶を交わす…その結末にデュエルパレスはお互いを讃える拍手に包まれた…。

 

 

 

「(シンジ殿は逆境に強く、カードの連携も見事…ランサーズに相応しい強さを持っているな…この先の戦いでどう転がるかが心配だが…)」

今回の月影の任務は「シンクロ次元のデュエリストの強さを見極める」事…その任務は無事に果たしたのだった。

 

 

 

………

 

 

 

『さぁ、どんどんいくわよ〜!続いては第三試合!まず登場するのはこの男!十年の沈黙を破り、あの男が帰ってきた!エンジョイ長次郎こと徳松長次郎選手──!!』

 

「待たせたなぁ諸君!エンジョイ長次郎…今戻って来たぜぇ!!」

 

「「「うおおっ!!」」」

メリッサの紹介と共にデュエルパレスが歓声に包まれる、10年の時を経ても…エンジョイ長次郎の記憶は人々の中に残っていた…!

 

「(ああ、やっぱりいいなぁ歓声は……これもデュエルをエンジョイする事を思い出させてくれた遊矢や、子分達のおかげだ…あいつらに恥じないデュエルで、勝ち抜いてやるぜ!)」

人々の歓声を聞いて昔を思い出す徳松…負けを恥じず、勝って驕らず…その精神でデュエルに挑もうとしていた。

 

 

『続いてはフレンドシップカップ初の女性参加者!昨日の抱擁はアツアツだったわね?柊柚子選手!!』

 

「ちょっ……そんな大きな声で言わないでよ──!!」

メリッサの冷やかしに頬を染めながら…桃色のライディングスーツを着た柚子が徳松の隣に並ぶ!

 

 

 

Side遊矢

 

 

 

「ちょっ…柚子と、徳松さんのデュエル!?柚子、大丈夫かなぁ…」

同じ頃、ゲストハウスで遊矢は驚きの声を上げていた…この世界における元トップデュエリストである徳松、その強さは遊矢が身を以て知っている…アクションデュエルによる地の利があるとはいえ、柚子が敵うかどうか分からなかったからだ…。

 

「柚子…徳松さん…ああ、もう!なんでこんな組み合わせなんだよ──!?」

お互いの事を知っている遊矢は頭を抱えるしかなかった…。

 

 

SideOUT

 

 

 

「ユズ…って事は、お前さんが遊矢が探してた嬢ちゃんか?遊矢には世話になったんだが…悪いが手は抜けねぇぜ?」

 

「貴方が遊矢の言ってた徳松さん…手加減なんていりません!私も全力のエンタメデュエルで戦います!」

 

「おぉっ?威勢がいい嬢ちゃんだ!」

間接的にお互いの事を知る二人が挨拶を交わす…お互いにエンタメを知る者である二人のデュエルは──

 

 

『ライディングデュエル!アクセラレーション!!』

 

 

「「きゃあああ!?/おわあああっ!?」」

 

 

……Dホイールに乗り慣れない、なさけない悲鳴と共に始まった(汗)

 

 

 

 

 

デュエルダイジェスト 柚子対徳松

 

 

エンジョイデュエル対エンタメデュエルの激突、それは予想通りの盛り上がりを見せていく事となった。

最初こそ乗り慣れないDホイールに振り回された二人だったが、徐々に実力を発揮…徳松はエースモンスターである『花札衛(カーディアン)─雨四光』で柚子を攻め、柚子は『幻奏』の連携で立ち向かう…そしてお互いのエンタメとエンジョイの応酬の末、徳松は切り札を呼び出す!

 

 

 

「その神々しきは聖なる光!今、天と地と水と土と金となりて世界を照らせ!シンクロ召喚!!レベル10!『花札衛─五光』!!」

 

「攻撃力、5000…!」

それは花札における最高位の『大役』、雄々しき武人が降臨する!

 

 

 

「すまねぇな嬢ちゃん!『五光』で『幻奏の音女アリア』を攻撃すれば決着だ!」

 

「いいえ、まだよ!装備魔法『聖楽器(セイント・インスツルメント)』の効果で貴方は装備モンスターの『幻奏の音姫─プロディジー・モーツァルト』しか攻撃できない!」

 

「だが大ダメージは避けられねぇ!『五光』で『モーツァルト』を攻撃!」

 

「まだ…!アクションカード──!!」

柚子は攻撃力5000を誇る五光に臆せず立ち向かう!

 

 

「アクションマジック『立体交差』!バトルするお互いのモンスターの攻撃力を入れ替えるわ!」

 

「『五光』の効果発動!相手の発動した魔法カードの効果を無効にし、破壊する!」

 

「そんなっ!きゃあ!?」

五光の一太刀がアクションカードを両断…さらに背中の光輪から放たれた光が大ダメージを与える!

 

 

「既に発動している永続魔法『フォルテッシモ』の効果は無効にできないが…嬢ちゃんの魔法カードの発動は封じさせて貰った!」

 

「(これじゃ、『融合』も発動できない……でも、私は諦めない!!)」

実質的に切り札である融合召喚を封じられてしまった柚子…それでも柚子は諦めない、不安を抱える遊矢の自信を取り戻させる為に!

 

 

 

「このドローに、想いを乗せて───ドロー!……きた!!」

想いを乗せて柚子はカードを引く…それは起死回生の1枚!

 

「『幻奏の歌姫─ソプラノ』を召喚!このカードを融合素材にする時、『融合』なしで融合召喚できる!!」

 

「そうかい…!運命の1枚、見事に引き当てたみてぇだな…!魅せてみな!嬢ちゃん!」

 

 

「響き渡る歌声よ!天使のさえずりよ!タクトの導きにより、力重ねよ!融合召喚!!今こそ舞台に勝利の歌を!『幻奏の華歌聖─プルーム・ディーヴァ』!!」

それは柚子の切り札…咲き誇る歌聖がスピードの世界に舞い踊る!

 

 

「バトルよ!『プルームディーヴァ』で『五光』を攻撃!」

 

「んなっ…そんな事したら…!」

 

「『プルームディーヴァ』は戦闘では破壊されず、バトルしたモンスターを破壊!そして、私が受けるダメージは相手が受ける!」

 

「やるなぁ…!だが、『五光』はバトルする相手モンスターの効果をも無効にできる!」

 

「っ…!まだ!!」

柚子の渾身の一撃を上回る徳松…だが、柚子は諦めず…アクションカードに手を伸ばす!!

 

 

「アクションマジック『立体交差』!!」

 

「無駄だぜ、嬢ちゃん!『五光』でアクションマジックは無効だ!!」

 

「いいえ…ここからが本番よ!!手札の『幻奏の音女スコア』の効果発動!このカードを墓地に送り、墓地に存在する同名の魔法カード2枚を除外して、その効果を発動できる!『五光』は魔法カードとバトルするモンスターの効果を無効にできても──手札のモンスター効果は無効にできない!!」

 

「なんだと!?」

それは逆転の一手…歌姫と武人の攻撃力が入れ替わる!

 

 

「『プルームディーヴァ』!リフレクト・シャウト─!!」

 

「う、うおおっっ!?」

歌聖の絶唱がエンジョイデュエルの幕を降ろした。

 

 

 

徳松LP0

 

柚子WIN!

 

 

 

『決まった〜!手に汗握る激戦を制したのは、柊柚子ちゃん─!よくやったわ〜!』

 

「か、勝てた…!」

メリッサの実況がデュエルパレスに響く…その中で柚子は胸を撫で下ろした。

 

「ふぃ〜…楽しかったぜ嬢ちゃん!流石は遊矢のオンナだな!」

 

「ふぇ…!?ち、違いますって〜!?!?」

 

「ありゃ、違うのかい?そりゃ悪かった!」

 

「悪いじゃすみません─!!」

 

「あっだぁ!?ハリセンは勘弁してくれぃ!?」

デリカシーのない発言に徳松は柚子の大ハリセンの餌食になるのであった。

 

 

「さぁて…オチがついたところで…!デュエルとはすなわち人生なり!人生は1度っきり!勝つ日もあれば負ける日もある…負けを恥じず、勝っても驕らず!すなわち…レッツ、エンジョイ!!ってな!」

 

「「「うおおおっ!!」」」

徳松は自身の十八番の口上で場を締める…往年の名口上に観客達は惜しみない拍手を贈ったのだった。

 

 

 

…………

 

 

 

『さぁて!ついに第四試合!本日最後の対戦は〜!二人目の女性出場者!セレナ対コモンズ出身!トニー・シモンズ!』

第四試合はランサーズのセレナとクロウ達の仲間、トニーのデュエル…それは予想通り──

 

 

デュエルダイジェスト セレナ対トニー

 

 

…………

 

 

「『月光舞豹姫(ムーンライト・パンサー・ダンサー)』で2体目の『アンデット・スカル・デーモン』を攻撃!これで終わりだ!」

 

「うわああっ!?」

アカデミアでもエリートクラスの実力を誇るセレナが負けるはずもなく、華麗に勝利を掴んだのだった。

 

 

トニーLP0

 

セレナWIN!

 

 

 

 

 

『以上を持ちましてフレンドシップカップの一日目は全て終了!みんなは楽しんでくれたかな?最後はこの合言葉で締めましょう!シティは1つ!

 

『『「「みんな友達──!!」」』』

 

 

デュエルパレスに歓声が木霊する…本来の物語よりも平和的に、フレンドシップカップ1日目は幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《……イレギュラーが無いようで良かった、これならばオベリスクフォース襲来までは大きなトラブルはなさそうです》

 

《そのようだ…それまでに主殿が目覚めてくれれば良いが…》

 

夕暮れのデュエルパレス上空で言葉を交わすコアモードのアヤカとトフェニ…念の為にスタジアムの様子を見に来ていたのだ。

 

 

《おや…?》

その時、アヤカは少し気になる光景を見つける…緑髪の兄妹が金髪の男──ジャックと話し込んでいたのだ。

 

 

 

 

《……なるほど、()()()()()()()…さて、どうなる事やら…》

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