転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
久しぶりに執筆エンジンがかかりました!…どこまで続くか分からないけど、やれるだけやってみます!
それでは、最新話をどうぞ!
「お疲れ!権現坂!柚子!二人ともいいデュエルだった!」
「うむ…負けてしまったのは悔しいが……少しはランサーズとしての強さは見せられただろうか…?」
「大丈夫よ!権現坂と…クロウが一番にお客さん達を盛り上げてくれたから、私と徳松さんも気持ちのいいデュエルができたのよ?」
「……そう言ってくれるなら、俺も頑張った甲斐があるというものだ!」
フレンドシップカップ1日目の夜、部屋でそれぞれに夕食を終えた権現坂と柚子は遊矢の部屋に集まっていた…一応、評議会からは夜10時までに部屋に戻るようにと言い渡されている。
「ああ、みんなからのメッセージ…しっかりと伝わってきた…!これなら、明日の試合でオレもエンタメできそうだよ!」
「うむ!それでこそ遊矢だ…だが、気をつけるのだ…シティの人々は勝者には寛容だが、敗者には厳しい面がある…それを乗り越え、遊矢らしいエンタメを見せてくれ!」
「うん!」
「(遊矢が元気になって良かった…これなら安心ね)」
権現坂達からのエールを受け取った遊矢のやる気は充分…敗者の強制労働という「枷」もなく、力出し切る事が出来そうだった。
「そういえば…遊矢、柚子、前夜祭のデュエルパレスでは何が起きていたのだ…?俺達は映像や窓越しだった故、状況が分かっておらんのだ…特にセルゲイ某と遊海のデュエルは…」
「……オレも、よくわからないんだ…まるでジェットコースターみたいな勢いで物事が動いたから…」
「私も…遊希……遊海さんがすごい人だっていうのは分かったんだけど……」
「一度、状況を整理しなければならんな…それがシンクロ次元、そして遊海の事を知る手掛かりになるかもしれん」
権現坂の言葉で遊矢達は前夜祭で起きた出来事を振り返る事になった…。
………
「まずは…ジャックとの戦いだな、まさかDホイールから投げ出されたオレを空中で助けてくれるなんて…」
「そうなの!遊矢が投げ出された瞬間、隣にいた遊海さんが消えちゃって…一瞬で遊矢の所にいたのよ!私もユーゴも驚いたわ…」
「数百メートルを瞬間的に移動した…なんという身体能力なのだ…!?いくら鍛えていても限度があるぞ…」
ジャックとの戦いに敗れ、Dホイールから投げ出されてしまった遊矢…そして、それを救った遊海…そこから彼の舞台の幕が上がった。
「オレと柚子を再会させてくれて…そして遊海はジャックに宣戦布告を叩きつけた……」
「うん…ジャックを前にしても、すごい堂々としてたわ…」
「思い返せば…遊海が別行動をしていたのも、この為だったのだろうな…ジャックと本当に戦いたいのならばフレンドシップカップを勝ち抜かねばならん…だが、それでは時間が掛かると考えたのだろう…力があるが故の
「それで、遊海が呼び出したのは…」
「『レッド・デーモンズ・ドラゴン』…ジャックの『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』に瓜二つのモンスター…お客さん達もびっくりしてたわ」
「そして…その進化した姿、『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』に『スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン』…あの凄まじい熱気は窓越しでも伝わってきた……遊海はいったい、何処であのドラゴンを手にしたのだ…?」
「……わからない、母さんと話を聞いた時も『別次元』から来た…としか言ってなかったし……」
遊矢達が思い返したのはジャックとの紅蓮のライディングデュエル…息をつかせぬ、パワーの応酬の決闘だった…。
「それも気になるけど…あの赤いドラゴン…遊海さんは『赤き竜』って言ってたけど…あのドラゴンはなんだったのかしら…?」
「あっ…評議会の人達が言ってた、『赤き竜』は善い神様らしくて…遊海やジャック達が『シグナー』っていう使者の素質があったらしいんだって」
「そういえば…クロウの右腕に収容所の時には無かった痣があったな……しかし、おかしくはないか?百歩譲ってシンクロ次元の人間であるクロウやジャックにその適性があるのは分かるが……なぜ、別次元出身の遊海にその適性がある…?」
「あっ…それ、
「遊海に宿ってたドラゴンが…ジャック達を見つけて、力を与えた…のかな…?」
「つくづく…遊海はスケールのデカい男だな…」
ジャックとのデュエル中に現れた『赤き竜』…そこから事態は加速していく…。
「そういえば…遊海がデュエルの決着をつけた後、二人とも少しの間、固まってた…よな…?」
「うん…ほんの僅かな時間だけど……その後からジャックの態度が少し変わったような…?」
「『赤き竜』とやらが『神様』だと言うなら──選ばれた者達に啓示のようなモノを与えたのかもしれんな…現に、評議会の会場ではジャックを憎んでいたクロウが…あの場に現れた時にはジャックと冗談を言い合っていたしな」
「いったい、何を言われたんだろう…?」
「それで…遊海さんが演説をし始めたのよね…」
デュエルの決着と共にスタジアムに現れたクロウ・遊星・
「まさか、いきなりランサーズや次元戦争の事を話し始めるとは思わなかったよなぁ」
「そして、シンクロ次元との同盟の否定……だが、シンクロ次元の事情が分かっているからこその言葉だったのだな…」
「…本当に一言、一言に魂が込められてるみたいだった…すごかった…」
遊海はシティの人々に次元戦争の脅威を明かし…そしてシティの闇へと切り込んだ…!
「それにしても…まさか、ロジェがアカデミアだったなんて…」
「うむ…遊海の言葉を借りるなら『逃亡者』…アカデミアから離反し、シンクロ次元を手中に収めんと暗躍していたのだな」
「それでシグナーの遊星さん?とアキさん?の二人をロジェと戦わせた……どうして、あの二人だったんだろう?」
「……きっと、こう思ってたんだよ…『シティの未来を切り拓くのは──シンクロ次元の人間じゃないと意味がない』って…トップスとコモンズは手を取り合えるんだって…!」
シティの闇…そして、アカデミアからの侵略者だったロジェの野望を暴いた遊海はトップスとコモンズのデュエリストにその対処を委ねた…そして激戦の末、二人は侵略者を撃ち破った…だが…!
「変貌したデュエリスト…セルゲイが暴れ出した、映像越しでも狂気が伝わってきたぞ…それに、海から現れた巨大な影……あれはなんだったのだ…?」
「あの巨人は『冥界の王』、そしてセルゲイは冥府の使徒、ダークシグナーって呼ばれてた……赤き竜と対になる悪い神様だって…遊海は本当に取り乱してたよ…」
「セルゲイはロジェのせいで半分ゾンビみたいな状態だったから、邪神に目をつけられたって彩華さんが言ってたわ」
ロジェによる度重なる人体改造によって「生きた死体」同然だった凶悪犯セルゲイ…その狂気はシンクロ次元を闇に染める為に牙を剥いた…。
「そして…遊海は1人でセルゲイと邪神に立ち向かった、遊星から託されたドラゴン…『スターダスト・ドラゴン』の進化体…『シューティング・スター・ドラゴン』と一緒に……だけど…」
「セルゲイは大きな鳥みたいなモンスター…『地縛神』を呼び出したの…」
「『地縛神』…それがあのモンスターの名前か…アレが現れる寸前、カメラの映像が乱れてな…いったい何が起きていたのだ?窓越しに無数の光が空に昇っていくのが見えたが…?」
「信じられない話、かもしれないけどさ…あのモンスター、観客達を、食べたんだ…!みんなを光に…魂に変えて…!!」
「たべっ…!?!?お前達は大丈夫だったのか!?いや、今大丈夫なのは分かるが!!」
「………大丈夫、じゃ…なかったね……」
「心臓を鷲掴みにされた、みたいな……急に足元に穴が開いたみたいな……すっごい嫌な感覚だった……ジャックやクロウが「シグナー」の力で守ってくれたから…」
「それは…想像するのも、恐ろしいな…」
夜闇の中で脈動する「地縛神」の心臓、それは数多の人々の魂を取り込み──コンドルの邪神として顕現した。
遊矢や柚子も取り込まれかけたが…シグナーの結界が彼らを守ってくれたのだ…。
「そして「地縛神」は遊海に襲いかかった…あんまり遠すぎて状況は分からなかったけど……遊海は「地縛神」と冥界の邪神の挟み撃ちを受けて…」
「攻撃の直後に小さな何かが海に沈むのが見えたが…遊海だったのか…待て、この評議会ビルより高い所から落ちた!?それでは…!!」
「…でも、遊海さんは帰って来たの…!希望の光を纏って!」
邪神の一撃によって致命傷を負い、海に沈む遊海…デュエルを見守っていたシグナーや遊矢達が絶望する中、海から光の柱が立ち昇る…その中から威風堂々たる希望の決闘者『NEXUS』が蘇ったのだ…!
「そして遊海は絆の力と『赤き竜』の奇跡で希望のドラゴン──『シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴン』を呼び出して、セルゲイと邪神に勝ったんだ!」
「それがあの光り輝くドラゴンの正体か……ところで…遊海は大丈夫だったのか?」
「なんとか私達の所には戻ってきたんだけど……その直後に倒れて……」
「…彩華が連れて行っちゃったもんな…遊星は大丈夫だろうって言ったけど、それだけが心配だな…」
前夜祭の振り返りを終え、遊海の状況を心配する遊矢達…居場所がわからない以上、彼らにできる事はなかった…。
「とにかく、遊海のもたらした『光』がシンクロ次元を変え始めたのは事実……俺達も人々を変えるようなデュエルを目指さねばならんな」
「ああ…!オレの…
「二人とも…なんだか話がズレてない?(汗)」
デュエリスト達は英気を養う…次なる戦いに備えて…。
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『ほう…では、キングは初日に登場したデュエリストの中では柊柚子が一番だったと…』
「ああ、技量はともかく──何かを訴えよう、誰かに伝えたいという意志の強さを感じた…おそらくはしっかりと
『確かに…彼女のデュエルはとても生き生きとしていたわ』
『エンジョイ長次郎もしっかりとそれに応えた魅せるデュエルをしてくれた…年甲斐もなく楽しんでしまったよ!』
『議長は長次郎氏がお気に入りですからな…しっかりと
一方その頃、零児と零羅は行政評議会の議員達、そして…キング、ジャック・アトラスとの夕食会に参加していた…ホワイト議長が零児達を誘ったのだ。
…なお、部屋の外では月影が控え、万が一に備えている…。
「赤馬零児…と言ったな?お前の横の少年も出場者だったはずだが?」
「ええ、申し訳ありません…事情で別の者に変更させていただきました」
『月影という忍者ですな?無口かと思いきや…相手への叱咤には驚いた、お主の指示かな?』
「いいえ…ですが、月影には『シンクロ次元のデュエリストの実力を確かめる』という任務を与えていました…彼はシンジ・ウェーバーの力を見極める為にデュエルに集中できていなかった彼に喝を入れたのでしょう」
ジャックやホワイト議長の問いに丁寧に答える零児…その横では零羅が心なしか暗い顔をしていた…。
「赤馬零児……俺は、その子のデュエルを見てみたかったと思っている」
「零羅のデュエルを?それはどうして…」
「俺も似たような目をしていたのだ…友や、
「──なるほど、失礼ながら…キングはコモンズの出身だとお聞きしましたが…」
「失礼な事ではない、コモンズに生まれ…どん底から這い上がったからこそ、今の『俺』がある…コモンズこそが俺の誇りであり、原点だ」
そしてジャックは語る…コモンズからキングを目指すに至った原点、1枚のカードのから得た天啓を…。
…………
「お前達は異世界…スタンダード次元という世界から来たらしいな?次元戦争については遊海から聞かせて貰った、お前達は普通ならばできない事を為そうとしている、それを成し遂げようと思うならば───
ジャックは戦いに臨もうとする零児へ…そして零羅へと激励を送る…シティの頂点に立つ決闘者として…。
「零羅、と言ったな?お前が何かを決意し、雄々しく戦う日が来る事を期待しているぞ?」
「あっ…!」
「…光栄ですキング、零羅もその言葉を誇りに思うでしょう」
ジャックの激励を聞いた零羅の瞳に小さな光が宿る…この言葉がとある人物の背中を押すのは…また、別の話である。
「そういえばキング、ついでながら…もう一つ、お尋ねしても?」
「む…?いいだろう、何を聞きたい?」
「昨晩の前夜祭、そこで出会った白波遊海…という男についてです」
「その事か……ふっ、エキシビションとはいえ…あれほど気持ちのいい負け方をしたのは──それこそ3年振りだったな」
ジャックに対して遊海の事を尋ねる零児…その問いを聞いたジャックは僅かだが表情を崩す…笑顔の中に荒ぶる炎を宿すかのように…。
「キングと白波遊海はこの次元では初対面だったはず…ですが、デュエルの後、まるで久方ぶりに会った友人同士のような関係に見えましたが……」
「フン…全てはこの『痣』──赤き竜の痣、ドラゴン・ウイングの導きだ」
キングは右袖を託し上げる…そこにはV字のような形の痣が刻まれていた…。
『キング、ワシも疑問に思っていたのだ…善神であるという「赤き竜」、その使者であるシグナーの証……ワシらもずいぶんと長く生きてきたが、そんな神話はとんと聞いた覚えがない』
「どこまで話したものか……元々、この世界には海から現れた闇の巨人、『冥界の王』の因子が強く含まれていたのだ……そのせいで人々の心は荒み、競争社会が加速する事になった…その原因たる『冥界の王』を再び倒す為、遊海に宿る痣を通じ…
「別の世界…!?それはいったい…!」
「俺達には到底届かぬ『世界の果て』…というしかあるまいな、お前も薄々は気付いているだろう?白波遊海は『この世界』の存在ではないのだと…奴のような英雄が最初からいれば『次元戦争』など起きるはずもない…大方、動けない状態だったか──記憶を失っていたかだな、違うか?」
「っ…その通りです、彼はつい最近まで記憶を失っていた」
僅かな情報から遊海の状態を当てたジャックの言葉に零児は静かに驚く…。
「はるかな世界の果て…そこで俺、いいやその世界の
「あのレベルのモンスターが、7体…!?」
『なるほど…世界には似た顔が三人はいる、と言うが…キングはその『別の世界のジャック・アトラス』の歩みを知った、という事ですな』
「その通りだ、そしてその世界で倒されたはずの『冥界の王』がこの次元に紛れ込んでいた……遊海はそれを祓い、我らを含めたシンクロ次元の人々全員を救ったのだ……まぁ、本人がそれに気付いたのはセルゲイと戦う直前だったようだが」
「(…私は融合次元や父の野望を止める事に集中していたのに──彼は、
ジャックから遊海の行動の真意を聞いた零児は脱帽した…遊海は──自身以上に広い視界で状況を見ていたのだと…。
「赤馬零児、お前の心労は察するが…考えるだけ無駄だ、奴は「記録」の中における
「決闘、王…」
真剣な眼差しで遊海の一番重要な情報を零児に伝えるジャック。
『決闘王』…その言葉の意味は零児には図りきれない、それでも…それは『デュエルチャンピオン』や『キング』よりも重みのある称号である事は分かった…。
………
「……ホワイト議長、
『ええ、キングから依頼であれば…多少の無茶は通しましょう』
「例の件…?」
宴もたけなわ…夕食会が終わりかけた頃、ジャックがホワイト議長に何事かを尋ねる…それは零児には知らされていない事だった。
「フッ…半人前のエンターティナーに与える
「…榊遊矢に…?」
零児の問いにジャックは意味深な笑みを見せた…。
「ふぅ…これで明日は一回戦の残り四試合だから、私はお休みね!遊矢の事、しっかり応援しないと!」
遊矢や権現坂との語らいを終え、部屋へと向かう柚子…そんな時…
トンテンカン! カチャ…キィィィ…!
「あれ…これ、なんの音かしら…?」
廊下に響く小さな工作音…それは参加者の1人の部屋から聞こえていた。
『ああ、先程評議会の指示でとある参加者の方に機材をお渡ししたんです…なんでも、キング直々のご指名だとか…』
「そうなんですか…何を作ってるんだろう?」
柚子に付き添うボーイが音の原因を伝える…原因を知った柚子はなんとなく気になりながらも部屋に向かった…。
「まったく、相変わらずジャックは無茶な事を……だが、