転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

数年振りに重い風邪に苦しむ今日この頃……どこでもらって来たかなぁ…?

読者の皆様も風邪やコロナに気をつけて過ごしてくださいね…。


それでは、最新話をどうぞ!


幕間〜襲撃後のカオス〜

【行政評議会よりシティの皆様にお知らせします…只今を以て緊急事態宣言を解除します、アカデミアの兵士達はセキュリティ、並びにランサーズ・有志のフレンドシップカップ参加者によって撃退されました……シティの皆様の協力に感謝します──繰り返します────】

 

 

『どうやら、アカデミアの撃退は済んだようだな…俺も準備はしていたが…』

 

行政評議会からの連絡に沸き立つデュエルパレスにて、玉座からジャックが立ち上がる。

ジャックはシティの『キング』として…敢えて迎撃に向かわず、玉座で待ち続けていた……シティにおいて最強であるジャックが()()()()()事でシティの人々を安心させる為である。

 

その使命を終えたジャックは行政評議会へと向かっていた…。

 

 

 

『(戦闘中、赤き竜の痣が2回光を放った…一度目は龍亞の覚醒を──2回目は異常な()()を知らせるもの……一度、状況と被害を把握しなければ…)』

本来のシンクロ次元のジャックならば…街の被害と言われても、そこまで気にする事はなかっただろう…だが、今の彼は…『チーム5D's』の記録を得た彼は違う。

 

様々な王の背中を見た彼は…本当の意味で『王』として、シティの事を考えていたのだ。

 

 

 

 

『あっ…ジャックさん!?』

 

『はっ──?』

 

そんな彼が行政評議会で目にしたのは…明らかに人数が増えたランサーズ達とシグナーの仲間に…自身のライバルにそっくりな、別人の少年の姿だった。

 

 

 

 

………

 

 

 

 

「えっ…?えっ!?遊星が2人いる!?!?」

 

「ど、どうなってるの…?」

 

《これはややこしい事に…どう説明すればいいでしょうか…》

 

 

最小限の被害でオベリスクフォースを撃退し、柚子とセレナを死守する事に成功したランサーズ・セキュリティ・フレンドシップカップ参加者・シグナーの連合チーム……だったが、新たな人物によって混乱の中にいた…。

 

 

 

「君の、名前は…」

 

『えっと…()()流星です…おじ………遊星さん…』

 

「『不動』って……お前…遊星の生き別れの兄弟かなんかかよ!?」

エクシーズ次元からレジスタンスとして救援に駆けつけた流星だったが…まさか、シンクロ次元に不動遊星やクロウ・ホーガンが存在するとは思わず…さらに、顔が遊星とそっくり(髪のメッシュの色が違う)な事で、混乱の元となっていた…。

 

 

『遊星とクロウ、お前達…流星の事を知らねぇのか?赤き竜にアッチの()()を貰ったんだろ??』

 

「オレ達が見せられたのはもう一人の『オレ』がネオ童実野シティで戦い、全ての戦いが終わって痣を赤き竜に()()()所まで、なんだ…だから、彼の事は知らないんだが……」

 

『あっちゃー……そういう事かよ…』

遊星に流星の事を聞いた牛尾が額に手を当てる…シグナー達はDM世界の『自分』の全てを知っている訳ではなかったのだ。

 

 

 

『流星…俺はお前が知ってる、「牛尾の爺ちゃん」だ……この遊星やアキ達はお前の祖父、不動遊星の()()()()()()って思えばいいのさ』

 

『あ、なるほど………って!?余計にどういう事ですか!?なんでシンクロ次元に!?いや、スタンダード次元には亡くなった武藤遊戯さんや海馬瀬人さんがいたとは聞きましたけど!?』

 

「……本当に混沌って奴だな、この状況は……ああ、もう!遊海!早く戻って来い─!!」

牛尾の説明でなおさら頭がこんがらがる流星…遊星譲りの頭の良さがあるとはいえ、この状況は彼の理解を超えていた…あまりの混沌とした状況に牛尾が遊海の名前を呼んでしまう程に…。

 

 

スタン!

 

 

『お望み通り、白波遊海を連れて来たぞ……死にかけだがな』

 

『お前…!?』

 

「なっ…あなた、は…!?」

 

『ラプラスさん!』

そして、混沌とした状況がさらにカオスになる───死に体の遊海を肩に担いだ、白いコートに黒いバイザーを着けた男──人間体に擬態したラプラスが現れたからだ。

その登場に牛尾と遊星は驚愕し…流星は親しげに駆け寄る、ただ…当のラプラス本人は────

 

 

『───おいテメェ、どうやったらこんな事が起きるんだ!この大馬鹿!!』

 

「ぶげっ……そんな事、おれに、いわれても………」

 

『ラプラスさん!?』

 

《マスター!?》

 

「ゆ、遊海ぃぃ!?」

混沌とした状況に気付いたラプラスが肩に担いでいた遊海を乱暴に地面に叩き落とす、遊海にとっても想定外のこの事態は説明のしようがないのだが……。

 

そして…遊海の()()が悪かった、服はボロボロ、両手は変色し、明らかに折れていると分かる状態…さらに右目は潰れ、叩き落とされた拍子に吐血……明らかに瀕死の状態だった。

遊海のそんな状態を目にした遊矢と柚子はパニックに、流星とアヤカは慌て…牛尾は頭を抱えてしまう、事情を知らないシンジや徳松は言葉を失っている…。

 

 

 

「あー……心配するな、遊矢、柚子ちゃん……こんな怪我、すぐに、治すから……」

 

「いや、治るわけないじゃん!?というか死なないでよ─!?」

 

「いや、遊海さんの言う通りだ……彼は『英雄』と呼ばれる決闘者──すぐに元気になるさ、そうだろ──ラプラス」

 

『遊星……ああ、一晩も休ませて回復させれば問題ねぇよ』

 

「えっ…?いやいやいや……」

遊矢達を不安にさせないように軽く応える遊海、遊矢は瀕死の遊海を前に慌てていたが…落ち着いている遊星とラプラスという男の言葉に戸惑っていた。

 

 

『(あっ……絶対、この人だ…カイザーが言ってた()()……僕のデュエリストの勘がそう言ってる…)』

そんなドタバタの中…素良はボロボロの遊海を見て、彼こそが『英雄』であると確信した……そう感じるだけの覇気が彼から漏れ出していたからだ。

  

 

キキーッ!

 

 

『相変わらずだね、ラプラス…Dホイールより速いなんて──流星!?どうしてきみが!?しかも縮んでる!?』

 

「えっ…遊星が2人いる!?」

 

「どうなってるの…?」

 

『あっ…ブルーノさん!……それに…龍亞さんと龍可さん!?小さっ!?』

 

『『「「ブルーノ!?」」』』

 

「…………ああ、もう…タイミングが悪いというか、なんというか………」

 

《カオス、ですね……》

 

《フォウ、フォウ…(どうするの、コレ?)》

死にかけの遊海は混沌とする状況に思わず天を仰いだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ずいぶんと人数が増えましたな…】

 

【まずは、それぞれの状況を確かめる必要がありますね…赤馬零児、進行を頼んでもいいかな?】

 

『ええ、構いません…私も状況を整理したいと思っていました』

少し時間が流れ…シティ防衛戦に参加した者達は行政評議会の議場に集められていた。

 

 

セキュリティの代表として牛尾

 

ランサーズの零児・零羅・月影・遊矢・沢渡・権現坂・黒咲・セレナ・柚子、そして遊海(応急処置・車イス・ミイラの姿)と人間体の彩華、協力者の素良

 

フレンドシップカップ参加者から徳松・遊星・クロウ・シンジ

 

シグナーとしてアキ・龍亞・龍可

 

レジスタンスの流星

 

そしてラプラスとブルーノ……合計21人となった。

 

 

………なお、ディヴァインは「アキや遊星に合わせる顔がない」と言ってコンテナ街から立ち去っていた。

 

 

 

 

『………なんだ、この状況は…』

 

『あっ…ジャックさん!?』

 

『はっ─?遊星が2人──?』

そんな時、シティのキング、ジャック・アトラスが行政評議会を訪れる……その状況にジャックは思わず目を見張る…。

 

 

「ジャック、とりあえず…それを含めて状況確認と説明の時間だ………少し大人しくしててくれ」

 

『遊海っ!?……分かった』

戸惑うジャックに遊海が声を掛ける…重傷の遊海の姿を見て言葉を失ったジャックだったが、言葉を飲み込んで評議会の自身の席に腰掛けた…。

 

 

 

 

【初めに…行政評議会を代表して、礼を言わせて貰おう……ランサーズの諸君、有志のデュエリスト諸君、そしてセキュリティの諸君…君達の戦いによってシティは守られた……感謝します】

 

『いえ、こうしてアカデミアに対抗するのがランサーズの役目…その責務を果たす事ができ、私も嬉しく思います』

話を始める前にホワイト議長がデュエリスト達に感謝を伝える…彼らの奮闘でシティへの被害は少なくなっていた…。

 

 

 

【まずはシティの被害から、報告が上がっている限りでは…評議会ビル前の損傷・デュエルによる道路の破壊が数カ所・コンテナの破損が数件…牛尾捜査官、セキュリティの被害は?】

 

『怪我人は多数出ましたが…カード化された者はゼロ、アカデミアが目的に集中し、移動を優先した為と思われます』

 

【なるほど…それは結構、モノは直せるが…失われた命は戻らんからな…】

行政評議会の問いに牛尾が答える…シティへの物的・人的被害は最小限で収まっていた。

 

 

【次は増えた人数についてだが…まずは水色の髪の君、名前を聞かせてもらえるかな?】

 

「僕は紫雲院素良……()アカデミアのデュエリスト……でも、今は遊矢や柚子の……ランサーズの味方だよ」

ホワイト議長の問いに素良が答える…一部の人間(黒咲や沢渡)は疑わしい目をしていたが…。

 

 

【君の事は監視カメラで確認させてもらった…セキュリティやランサーズと共にオベリスクフォースを倒す姿を……行政評議会は君の言葉を信じよう、赤馬零児…キミはどうかね?】

 

『紫雲院素良…キミがスタンダード次元にスパイとして侵入し、混乱を齎したのは事実…だが、今回の活躍で一先ずは不問としよう……その代わり、アカデミアの情報を提供してほしい』

 

「分かった、僕に話せる事は話すよ」

 

「素良、良かったな…」

評議会も零児も素良の事を受け入れる…それを聞いた遊矢や柚子、権現坂は嬉しそうな表情をしていた。

 

 

 

【次は……不動遊星によく似た君、君はエクシーズ次元レジスタンスの所属と聞いたが…】

 

「それは俺が保証する…彼は不動流星、エクシーズ次元を守る勇士の1人だ……シンクロ使いとは知らなかったが」

 

『あはは…隼とは一緒に戦う機会が少なかったもんね…』

次に問いかけられた流星の身元を同じレジスタンスの黒咲が保証する…流星は照れくさそうに笑っている…。

 

 

 

『流星、キミはシティのデュエリスト…不動遊星と同じ名字、顔も瓜二つ……キミは何者だ?』

 

『それを説明するには、オレ達の事を話さなきゃならない』

遊星とそっくりな流星について訊ねる零児…その時、ラプラスが前に歩み出る。

 

【君は……ラプラス、と呼ばれていたな…流星と関係があるのかな?】

 

『……遊海、()()()()話すぞ?構わないな?』

 

「代わりにたのむ…長い時間喋るのは、少しキツい……」

 

『軟弱な……仕方ない……オレ達とエクシーズ次元レジスタンスの一部、そしてここにいる白波遊海は───スタンダード・エクシーズ・シンクロ・融合……()()()()()()()()()()()

 

【『「『「なんだって!?」』」』】

ラプラスの言葉にランサーズやシンクロ次元組の驚愕の声が重なる…自分達の聞いた4つの次元とは違う、さらなる別次元があると言われれば仕方ないだろう…。

 

 

【それはキングの言っていた……違う自分がいた、という『世界の果て』という場所と同じ、と解釈してもいいかな?】

 

『その認識で構わない、次元と区別する為に「世界」と呼ばせてもらうが……このバカ………失礼、白波遊海が()()によって「世界」から投げ出されたのが、全ての始まりだ』

 

「酷いなおい…いや、違わないけどさ…」

そして、ラプラスは遊海やアヤカから確認した情報に少しの嘘を交えながら経緯を説明する。

 

 

「世界」で発生した事故で白波遊海がスタンダード次元に漂着した事。

 

遊海を救う為に救出隊が出発したが…次元を突破する際にトラブルに巻き込まれ…エクシーズ次元へと不時着、アカデミアへ対抗しながら遊海を探していた事。

 

自身とブルーノは「世界」で様子を見ていたが…抜け穴を見つけてこの次元にやって来た事を…。

 

 

 

「抜け穴…?次元間には『嵐』が吹き荒れてて、並大抵の力じゃ、移動は…」

 

『うん…また詳しく話すけど…赤き竜がボク達を導いてくれたんだ』

ブルーノが遊海へと耳打ちする…自分達がシンクロ次元に来た経緯を…。

 

 

 

 

Side???

 

 

 

「なに…?遊星達がシンクロ次元のビジョンを見た?」

 

『ああ…一瞬だったらしいけど、遊海とジャックじゃない『ジャック・アトラス』が戦うイメージが見えたらしいんだ』

遊馬達がARC次元に向かって()()()のアストラル世界…そこでラプラスとブルーノは遊星達が見たというシンクロ次元のビジョンについて話し合っていた…。

 

 

『それでアーククレイドルから観測してみたら…大量の遊星粒子がARC次元に流れ込んだ形跡が見つかった』

 

「大量の遊星粒子………まさか、遊海のシグナーの痣をビーコンにして、赤き竜がシンクロ次元に向かったのか…?ずいぶんと優しい事だな…」

ブルーノからの情報、そして前世の知識からラプラスは仮説を立てる…それは奇しくも遊海と似た考えだった。

 

 

『そして…ARC次元を覆う「嵐」、流星や翠さんが巻き込まれたその嵐の層の一部が薄くなっているのを確認できたんだ…!』

 

「まさに『抜け穴』だな…おそらく、繋げる働きを持つ遊星粒子が人間界とARC次元を結んだ…と考えるべきか……時間を遡る事も考えたら、不可能な話ではない……行くつもりか?アンチノミー」

 

『ああ、ボクのデルタイーグルとトップクリアマインド…アクセルシンクロの力を使えば、嵐の中を走れるはずだ……ボクも、遊海の力になりたい……チーム5D'sの1人、ブルーノとして!』

光の速さを超えるスピードの境地・トップクリアマインド…その速さはブラックホールからの脱出すらも可能とする……ブルーノはその力で嵐を突破しようと考えていた…。

 

 

「ならば──オレも同行しよう、アストラル人の体は精神生命体……光の速さで動けるからな、お前の補佐ができるだろう」

そしてラプラスはブルーノに同行する事を決める…それは無茶をしようとするブルーノを守る為でもあった。

 

 

『それはボクも嬉しいけど…ミドリ…エメルがなんて言うか……』

 

「心配しないで…私は止めないわ、遊海さんと翠の力になってあげて…あなた」

 

「──ああ、心配するな……すぐに帰ってくる、あの阿呆を一発ぶん殴ってな」

 

「もう、素直じゃないんだから…」

エメルに背中を押されたブルーノとラプラスはARC次元に突入…無事に遊海と合流する事ができたのだった。

 

 

 

 

Side OUT

 

 

 

 

『───という訳で、不動流星は「世界」における不動遊星の子孫、という事になる……まさかこんなタイミングで合流する事になるとは思っていなかったがな』

 

【それは…また眉唾な……我々の世界に近い、言わば『並行世界』が存在するとは…】

簡単に遊海と流星、そして自分達の関係を説明するラプラス…その話にホワイト議長は頭を抱えていた…。

ラプラスはDM世界の事を4つの次元の並行世界である、という形で説明した…その方が混乱し難いと考えたからだ。

 

 

『4つの次元とは別の「世界」……その世界は我々の味方、と考えてもいいのか?』

 

『味方…というよりは()()だな、こっちの次元みたいに簡単に次元移動はできないし、そもそも来られない…流星達レジスタンスの奴らが戦ってるのは──あいつらが本当にお人好しで、理不尽な悪を憎み…揺らがない正義を持つ決闘者だからだ、その点は信頼してもらっていい』

「世界」が新たな脅威になる事を危惧する零児…その問いにラプラスは静かに答える、DM世界からARC次元に向かえる力を持つ者は限られている…それ故に『中立』という形で…。

 

 

 

 

 

【とりあえず、この話はここまでにしよう…まずは目先の脅威、アカデミアの対処からじゃ……再びアカデミアが攻めてくる可能性は?】

 

『その可能性は低いだろう…柊柚子とセレナの拉致に失敗し、アカデミアのエリート部隊オベリスクフォースを70人近くを撃退された…それはアカデミアにとって紛れもない『敗北』、さらなる戦力を差し向けてもおかしくないが…シンクロ次元のデュエリスト達の強さと連携を知った状態でエクシーズ次元と同時に攻める、という選択肢は選ばないはずだ』

 

【確かに…我々を攻めている間にエクシーズ次元のレジスタンスが押し返す可能性もある……その推論は正しいな】

ホワイト議長の心配に零児が答える…融合次元がシンクロ次元とエクシーズ次元を同時に相手取る事はないと…。

 

 

 

「なら…エクシーズ次元を倒してから、シンクロ次元を攻める可能性が高い……流星、レジスタンスの状況は…」

 

『今の所は大丈夫です!一度、大規模攻勢があったけど…レジスタンスは防衛戦を展開、大きな被害もなくアカデミアを撤退させました!遊馬や凌牙、璃緒…翠さん…みんな無事です』

 

「そうか…安心、した──」

 

《あ、マスター……》

 

『馬鹿が…意識の糸を手放すんじゃねぇ』

零児の言葉を受けてエクシーズ次元へのさらなる侵攻を警戒する遊海だったが……流星の言葉を聞いて緊張が緩んだのか、意識を手放してしまった…。

 

 

 

【………あえて、触れないようにしていたが……白波遊海は大丈夫なのかな…?明らかに死にかけている状態に見えるが……】

 

『心配はいらない、この大馬鹿はこれくらいでは死なん……失礼、この程度で死んでいたら…こいつはオレ達の世界で「英雄」とは呼ばれてはいない───むしろ、こいつの怪我体質は()()()()だ…少しは反省しろ、阿呆』

 

「「『『(すごい辛辣…)』』」」

ホワイト議長の困った様子にラプラスが反応する…ただ、その辛辣さにランサーズ達は遊海に同情し…ある程度の事情を知っているシグナー組と牛尾は苦笑いしていた。

 

 

 

【さて…最後に明日のフレンドシップカップ、準決勝・決勝の事だが…】

 

【準決勝出場者の1人、ユーゴが姿を消してしまった……セキュリティ達に捜索はさせているが……】

 

【アカデミアの動きを考えると敗者復活を行なっている余裕はない…故に、不動遊星…キミは──】

 

『遊星──俺と戦え』

 

【キング?】

 

『『「「!?」」』』

フレンドシップカップの話となった時、沈黙していたジャックが遊星に話しかける…熱い魂を宿して…。

 

 

『準決勝が不戦勝で進んでは観客達も満足しないだろう…それに、お前には3年前の借りがある』

 

「ジャック……良いだろう、お前とのデュエル…受けて立つ!」

ジャックと遊星が静かに火花を散らす…それは例え、世界が違おうとも2人を結ぶ『宿命』だった。

 

 

 

【話は決まったの……フレンドシップカップ準決勝は予定通り、午前中に準決勝、午後に決勝を行なう!遊矢にクロウ、遊星にキング…それぞれの活躍を見せて貰おう】

 

「クロウ…!」

 

「へっ…容赦はしないぜ、遊矢!」

ホワイト議長の決定がランサーズや出場者達に伝えられる…それはシンクロ次元、最後の戦いの始まりを示していた…。

 

 

 

 

…………

 

 

『少し待ってくれないか?ラプラス』

 

『なんだ?赤馬零児…オレは遊海の治療をしなければならん、用があるのなら手短にな』

話し合いが解散した後、ランサーズや出場者達が部屋に戻り、シグナー組が帰宅した後…行政評議会を信頼できると判断したアヤカが遊海と流星の為の部屋を確保、その部屋に移動している時…零児がラプラス達へと声を掛けた。

 

 

 

『異世界の話やアカデミアの話で有耶無耶にされてしまったが……君達は()()()()()を何一つ話していない、遊海の味方という事は分かるが……君達は何者だ?』

 

『ラプラスさん…』

 

『赤馬零児、世界には1つや2つ…()()()()()()()()()がある、オレ達は遊海の…お前達の味方だ、それでいいだろう?』

 

『………いや、不安要素は減らしておきたい…教えてくれないか?貴方達の事を…!』

零児はまっすぐにラプラスを見つめる…彼らの真意を見極める為に…。

 

 

『はぁ、強情だな……アヤカ、赤馬零児は信頼できるか?』

 

《ええ、口の堅さも理解力も…この次元では信頼できます、既に監視カメラはハッキング済み、人避け結界も発動しているので…伝えるならばどうぞ》

 

『そうか』

アヤカから零児の評価を聞いたラプラスは擬態を解く…そこに現れたのは──光が擬人化されたような存在だった。

 

 

 

『っ─!?』

 

『改めて名乗ろう、オレはラプラス……高位次元、アストラル世界の決闘者だ』

 

『じゃあボクも…ボクはブルーノ、「世界」での遊星達シグナーの仲間…そしてデュエルロイド、アンドロイドの決闘者さ!』

 

『───人間、では…なかったのか』

 

『はは…そりゃ、驚くよね…』

明かされた真実に思わず硬直する零児…その横では流星が困ったように笑っている…。

 

 

 

 

『世界には知らない方がいい事もある……オレ達の存在もその1つだ、そして……お前達が本当に()()()()()の事もな』

 

『私達が本当に戦うべき敵……凌牙からアカデミア以上の「敵」になり得る存在──白波遊海を襲った「災厄」がいる、と聞いたが…』

 

『そうだ、この世界には()()が潜んでいる……だが、それについて話すのは遊海(馬鹿)の仕事だ……お前はアカデミアの目的の阻止を優先してくれればいい──それだけでも、遊海の負担は減るからな』

 

『遊海は全部一人で抱えちゃうからね…本当ならすぐにでもエクシーズ次元に行きたいはずのに……困ってるキミや遊矢、シンクロ次元の人達を放っておけなかった……それが白波遊海っていう男さ』

 

『……話は済んだな?エクシーズ次元に向かうタイミングが決まったら教えろ…それまでには遊海を治しておく』

 

『……ああ、真実を伝えてもらい感謝する』

零児へと真実の一端を明かしたラプラスは再び擬態し、部屋へと向かう…零児はその背中を見送るしかなかった…。

 

『(高位次元…災厄…魔物……そして、4つの次元以外の『世界』……いったい、何が起きようとしている…!?)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラプラス…あんまり、零児にストレスをかけるなよ……ただでさえ、重い責任を背負ってる、んだから……」

 

『起きてやがったか…テメェは人の心配より、自分の事をなんとかしやがれ……翠を1人にするんじゃねえよ!このドアホ!!』

 

「ぎゃん!?……きゅ〜……」

 

『ら、ラプラスさん…怪我人には優しくしないと……(汗)』

 

『あはは…この2人の関係だと、それは難しいかな〜…』

 

《(今回はマスターが全面的に悪いのでフォローできませんね…)》

 

《フォウ…(だからって本気で拳骨する事はないのに…)》

  

 

ほんの少しドタバタしたものの、混沌の夜は静かに更けていった。

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