転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは、S,Kです!

な、なんとか…4月中に、ここまで書けた……おまたせ、しました…。

たくさんのデュエリストの思いを背負い、遊矢とジャックが激突する…その勝負の行方は…!

それでは、最新話をどうぞ!!


フレンドシップカップ・決勝!〜己の信じるデュエル〜

「ん……うぅ…」

 

《おはようございます、マスター…気分はどうですか?》

 

「アヤカ……ああ、ずいぶんと良くなった……零児は…?」

 

《マスターが眠ってしまったので…紫雲院素良の事情聴取の為に退出しました》

 

「そうか…悪い事しちゃったな…」

しばらく眠っていた遊海が目を覚ます、酷い倦怠感以外には特に異常は無く…気分も落ち着いていた…。

 

 

 

「いまの、状況は…?」

 

《フレンドシップカップの準決勝2試合が終了、決勝は榊遊矢とジャックの対決になりました…クロウと榊遊矢のデュエルは本当の真剣勝負、最後まで諦めなかった遊矢の粘り勝ちでした》

 

《フォウ、フォウ…フォーウ!(遊星とジャック、すごいデュエルだったよ!流星も不動博士も楽しそうだった!)》

 

「ははっ…そうか、俺も見たかったなぁ…」

アヤカとフォウに状況を聞く遊海…フォウの楽しそうな様子から遊星対ジャックのデュエルは本当に盛り上がる決闘だったのだろうと察した。

 

 

《…マスター、先程のラプラスの言葉通り…今のマスターはエネルギー切れの状態です、何か食べられそうですか?》

 

「ああ…元気にならないと、翠に会いに行けないもんな…」

 

《では…ルームサービスに料理を頼みましょうか》

 

「ありがとう、アヤカ」

遊海の言葉を聞いたアヤカは人間体となって備え付けの電話に向かう…その表情は明るかった。

 

 

 

………

 

 

 

「ついに、決勝だ…!オレは…ジャックに勝つ!」

評議会ビル・ペントハウス…ライダースーツに身を包んだ遊矢は気合いを入れ直していた。

 

前夜祭で父・遊勝から受け継いだエンタメデュエルを否定され、手も足も出ずにジャックに敗北してしまった遊矢…しかし、遊矢は戦いの中で成長した…ジャックの原点のカード『調律の魔術師』の力を借りてペンデュラムシンクロを成功させ、シグナーである龍亞やクロウ、シンジとの戦いを乗り越えてきた。

 

遊矢はこのデュエルで自身の成長をジャックに示そうとしていた…!

 

 

コンコンコン!

 

 

「ん?…はーい!」

 

「遊矢!ついに決勝ね!!」

 

「ジャックにリベンジする時が来たな!」

 

「柚子!権現坂!」

来客を知らせるノック…やって来たのは柚子と権現坂だった、戦いを前に遊矢の応援にやってきたのだ。

 

 

 

「遊矢…笑って!遊勝塾のモットーはみんなを楽しませるエンタメデュエル!…きっと、アカデミアの襲撃でまだ不安に思ってる人もいると思うの…だから、遊矢のデュエルでみんなを笑顔にしてあげて!」

 

「遊海が俺達のデュエルが受け入れられるように下地を作ってくれた…観客達もデュエルは面白く、楽しむものだと気付き始めている……本家本元のエンタメデュエルでシティの人々を魅了するのだ!」

 

「ああ…!オレは、オレのデュエルをジャックに示してみせる!」

2人からの激励に遊矢は決意を込めた声で応える…だが…。

 

 

「ところで遊矢…ジャックに示す「答え」は見つかったのか?」

 

「………実は───見つかってなかったりして………」

 

「「ええー!?」」

そう、遊矢はまだ…ジャックに伝えるべき答えを見いだせていなかったのだ。

 

 

 

「ジャックの言いたい事は、伝えたい事は…なんとなくは分かるんだ、でも……」

 

「悩んでいても、仕方あるまい!俺達はデュエリストだ……見つからぬ答えならば、()()()()()()で見つけるしかない!」

 

「うん、遊矢はデュエルの中で成長して…たくさんのデュエリストを乗り越えてきた、だから今回も……!」

 

「権現坂…柚子…ありがとう!」

未だに不安を抱える遊矢の背中を押す2人の言葉…それは遊矢の道標となる…!

 

 

『遊矢さん、まもなくお時間です!準備はよろしいですか?』

 

「サム!いつもありがとう!」

そして、遊矢の戦いの時が迫る…サムが迎えにやって来たのだ。

 

 

『遊矢さん…僕、さっきジャックに会う事ができたんです!ジャックは変わっていませんでした…遊星さんの言葉も、僕に「調律の魔術師」を渡した事も覚えていてくれたんです!』

 

「そうか…!やっぱり、ジャックは…」

サムの言葉に遊矢の表情が明るくなる、ジャックは傲慢な男ではない…彼は何かを伝えようとしてくれていると確信できたからだ…。

 

 

『それで…ジャックから、遊矢さんに伝言を預かってきました!』

 

「伝言?」

 

『えっ…と…「クロウとのデュエル、絶体絶命の状況からの逆転は見事だった…今のお前ならば、王座を競うに値するだろう」「決勝の舞台で示してみせろ、お前が信じるデュエルを」「何かを成し遂げたいと思うのなら、怯むな!!」と…!』

 

「ジャック…!」

サムからジャックのメッセージを聞いた遊矢は気を引き締める、圧倒的な『王者』──ジャックの魂からの言葉に応える為に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『フレンドシップカップもついに決勝…楽しみですな、議長』

 

【そうですねぇ】

行政評議会・議場、ホワイト議長を始めとした議員達はフレンドシップカップの最後の試合を前に話し合っていた…なお、この場には零児達の姿はない…試合ギリギリまで素良の事情聴取をしているようだ。

 

 

 

【榊遊矢にキング、ジャック・アトラス…どちらが勝ってもこの街は大きく変わる事になるでしょう】

 

『人々が手を取り合い、新たな未来を目指す……今までの我らならば考えつかない事でした』

 

『我らの安泰がシティの安泰…ロジェを懐柔する事でシティの安泰を維持しようと考えていましたが……ランサーズ、赤き竜のシグナー達、そして…白波遊海がこの街を変えるキッカケとなった』

 

【潮時、なのでしょうね】

 

『『『『議長…』』』』

デュエルを前に評議会達は大きな『決断』をしようとしていた。

コモンズを虐げる事で成り立ってきたトップスの──シティの偽りの平穏…歪んだ世界を作ってしまった事への贖罪を…。

 

 

【この大会を以て我々、行政評議会は辞職…新たなリーダーの下にシティを再編する…よろしいかな?】

 

『『『『異議なし!』』』』

ホワイト議長の言葉に議員達が賛同する───

 

 

 

 

「大いに異議アリ!…なのです」

 

 

 

『『『『!?』』』』

その時、議場に異議を伝える声が響く…そこへ現れたのは──

 

 

 

【おや、イェーガー()()…もう出張からお戻りで?】

 

「あたり前です、ジャックと別次元から現れたデュエリスト…榊遊矢の決闘を見逃すはずないでしょう?」

評議会の決定に待ったをかけた人物、それは成人男性ながらも小柄な…ピエロのような化粧をした人物──シティの市長、イェーガーだった。

だが、市長とは言っても本当は行政評議会の用意した傀儡の市長……その言葉の上手さで抜擢された男だった。

 

 

 

……『英雄』がこの次元を訪れるまでは。

 

 

 

「確かに、貴方方…そして私の罪は重い、辞める事に異存はありません…ですが、()()()()()が悪い」

 

【タイミング…?】

 

「この街、いいえ…次元には融合次元による侵略の魔の手が迫っています…そんな状態でバトンを渡されても、困るのはシティの人々でしょう?そして…ランサーズや『決闘王』…白波遊海もまもなくこの街を離れてしまう………全ての罪を償うのは──この次元戦争を乗り切ってからです!それが為政者として、我々が果たすべき役目のはずですが?」

 

【イェーガー、市長…?もしや、あなたも…!?】

 

「ええ、私も()()()()()()とも……差別や偏見を乗り越えて、輝く未来を掴んだ世界の事を!」

 

 

最後の『転生者』がシティを希望の未来へと導く最後の鍵となった…。

 

 

 

 

 

 

『この空に太陽は1つ!輝く王座もまた1つ…数々の激闘が繰り広げられたフレンドシップカップも…ついに、決勝戦を迎えました!!』

 

「「「『『『うおおお──!!』』』」」」

快晴のデュエルパレスにメリッサの実況と観客達の歓声が響く、そこにはフレンドシップカップ前夜祭のようなピリピリとした緊張感はない…コモンズもトップスもなく、人々は戦いの始まりを待っていた…!

 

 

『さぁ!まず入場してくるのは…今大会の台風の目!前夜祭でジャックに未熟さを突き付けられながらも、数々のデュエリストを乗り越えて決勝の舞台へ駆け上がってきたデュエリスト──榊遊矢!!』

赤いDホイールと共に遊矢がデュエルパレスへと入場する!

 

 

「遊矢君!頑張れ!応援してるぞ─!」

 

「「「遊矢兄ちゃん!頑張れ─!」」」

 

「不動博士、みんな…!」

観客席から不動博士やアマンダ達の応援が響く…他観客達も声援で遊矢を迎える!

 

 

 

 

「ついに始まるか…シンクロ次元を希望の未来に導くデュエルが…」

 

「ラプラス…別にこんな場所で見なくてもいいんじゃない?遊海達と一緒に部屋で見ようよ〜」

 

「あんなドカ食いしてるアホの横で落ち着いてデュエルを見ていられるか」

 

「……もしかして、食事ができないから拗ねてる?」

 

「……………………それは言うな、エメルも気にしてるんだ…」

デュエルパレスの屋根の上…そこでは気の抜けた会話をしながらラプラスとブルーノがコースを見下ろしていた。

 

 

 

 

 

『続いて入場するのは…我らの希望の星!先程、不動遊星選手との熱い激闘を制した…我らがキング!ジャック・アトラス!!』

 

『キングは1人、この俺だ!!』

 

『『「「うおおおっ!!」」』』

ホイール・オブ・フォーチュンと共に、先程の疲れを見せないジャックが入場する!!

 

 

「「ジャック!頑張って─!!」」

 

『むっ…?ふっ、その()()()は俺達のモノではないだろうに…』

観客席で手作りの旗を振って応援する龍亞龍可兄妹とアキ…その旗に描かれていたのは──『チーム5D's』のマークだった。

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

「もぐもぐもぐ、もぐもぐもぐもぐもぐ……」

 

「ゆ、遊海さんって…意外と大食いだったんだ…(汗)」

 

《しばらくまともな食事をしていなかったからなぁ…ほら、そんなに焦って食べては喉に詰まらせるぞ?》

 

「もきゅ、もぐもぐもぐもぐもぐ……むぐっ!?」

 

《言わんこっちゃない…》

 

《フォーウ♪(ベーコンおいし〜!)》

一方その頃、遊海は凄まじい勢いで食事をしていた…既に机の上には十数枚の皿や器が重ねられている。

 

その横ではびっくりした様子の流星と呆れた様子のメガロックがその様子を見守り、フォウは久しぶりのベーコンを楽しんでいた。

 

 

 

「ごくごくごく……ふぅ………ん?そろそろデュエルが始まるか……頑張れよ、ジャック…遊矢……お前達のデュエルが、シティを変える最後のピースになるんだから…」

詰まらせた食べ物を飲み込みながら、遊海はモニターに目を向けた。

 

 

 

 

 

【(フン、お前の影響があるとはいえ…差別と欲望で歪みきったこの世界が──簡単に変わるとは思えんがな)】

 

「(いいや、変わるさ……正しく、強い信念を持っている決闘者達がいるからな)」

 

【(楽観的な事だ)】

精神世界から遊海へ声が届くようになっていた混沌の神の言葉に応えながら…。

 

 

 

 

【(ところで、そのオヤコドンとやら──美味そうだな)】

 

「(お前、食事に興味あったのか…!?)」

 

 

 

 

……………

 

 

 

『前夜祭よりはマシな顔になったようだな、榊遊矢』

 

「ああ、あの時のオレより…今のオレは強くなれた…!」

スタートラインについた遊矢とジャックは言葉を交わす…。

 

 

『だが…それは()()()()()()ではない、芽吹いたばかりのデュエリストがいた…コモンズの為に戦ったデュエリストがいた…子供達の笑顔の為に戦ったデュエリストがいた……そして、この世界の常識を破壊し──シティが変わり始めるキッカケを作った英雄がいた……お前は様々な役割を背負ったデュエリスト達に導かれ、この舞台に立っている!』

 

「龍亞…シンジ…クロウ…そして、遊海…」

ジャックの言葉に遊矢は戦ってきたデュエリスト達の顔を…そして、前夜祭で見た英雄の背中を思い出す…。

 

 

『特に、だ…白波遊海がいなければ──お前はこの舞台に上がるまでにさらなる苦難を強いられたはずだ、想像してみるがいい…トップスとコモンズの対立、ロジェの野望…そしてアカデミアの襲撃──このシンクロ次元を襲うはずだった数多の陰謀を…』

 

「っ…」

それは『もしも』の可能性──いがみ合うトップスとコモンズ、敗者に厳しいシティの構造…シティを我が物にしようとしたロジェの野望、静観する行政評議会、襲撃してきたアカデミア………様々な陰謀によって混沌に支配されたシンクロ次元の姿…それを想像した遊矢は冷や汗を流す。

 

 

 

『お前が依然()()()である事に変わりはない…だが、お前に貫くべき信念があるのなら!キングたるこの俺に示してみせろ!!』

 

「ジャック…オレは…!オレは…フレンドシップカップで負けていったみんなや、応援してくれた人達の思いを背負ってここにいる!!勝負だ、ジャック・アトラス!!仲間達の思いと一緒に…オレは戦う!!」

圧倒的な王気を纏うジャック…しかし、その覇気に怯む事なく…遊矢は戦いを挑む!

 

 

 

『スタジアムの盛り上がりも、2人の闘志も最高潮!!ついに決勝の幕が上がります!アクションフィールド・オン!フィールド魔法「クロス・オーバー・アクセル」発動!!』

メリッサの宣言と共にライディングコースがアクションフィールドに彩られていく…!

 

 

 

『「ライディングデュエル!アクセラレーション!!」』

スタートの合図と共に2台のDホイールが飛び出す…最後の決闘が始まった…!

 

 

 

 

 

デュエルダイジェスト 遊矢対ジャック

 

 

 

 

 

先攻を取ったのはジャック、彼は前夜祭のデュエルを再現するかのように『レッド・ワイバーン』を喚び出す。

 

ジャックの意図に気付いた遊矢は父から()()()()()本当のエンタメデュエルを見せるべく、エンタメスタイルのプレイングでペンデュラム召喚と共に母から託された魔法カード『スマイル・ワールド』を発動…強化された『刻剣の魔術師』と共にジャックに切り込むが──

 

 

『…だから、お前は独り善がりだと言っている!!』

 

 

 

遊矢を一喝したジャックは罠カード『王者の調和(キングス・シンクロ)』によってエースたる荒ぶる魔竜『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』を召喚、その攻撃を撥ね退けた…!

 

 

 

『半人前と言ったのは…俺の見込み違いだったか、お前は──前夜祭から成長などしていない!』

 

「っ…違う!『スマイル・ワールド』がオレの…父さんの!」

 

『そんなカードにいつまでもこだわっているからお前は気づけんのだ……()()()()()()に!!』

遊矢の攻撃を阻止したジャックが再び遊矢を一喝する…!

 

 

『借り物の夢で…()()()()()()で語るな!俺にお前のエンタメとやらを示したいのならば()()()()()()()で──デュエルで語ってみせろ!!』

 

「オレの、言葉…!?」

エンターテイナーとして、決闘者の先達として遊矢の欠点を叩きつけるジャック…そして、その意味を遊矢が理解する前に攻勢に出る!

 

 

 

『夢の中の父親の背中に縋り、憧れの()()に固執した榊遊矢…貴様は遊星や遊海の足元にも及ばん…!決闘の真髄を理解できぬ者と戦う意味はない!!消え去るがいい!「レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト」の効果発動!アブソリュート・パワー・フレイム!!』

それは全てを薙ぎ払う破壊の炎…それが遊矢へと迫る─!

 

 

「うおおおっ!!アクションマジック『加速』!!効果ダメージは0になる!」

 

『効果は躱したか…だが、攻撃は残っている!道化を打ち砕け!灼熱のクリムゾン・ヘルバーニング!!』

 

「がああっ!!?」

効果ダメージは回避した遊矢だったが…紅蓮の息吹がそのライフを大きく削る…!

 

 

「っ…アクションマジック、『ダメージ・ドロー』発動…!2000以上のバトルダメージを受けた事で、2枚ドローできる…!」

大きくライフを削られた遊矢だが…さらなるドローで希望を繋いだ…。

 

 

 

 

「(オレは…ずっと父さんのデュエルをものにしようと思って頑張ってきた…父さんのエンタメデュエルが()()()()()()()だと信じて…)」

ジャックからの激を受けた遊矢は考え込む、遊矢にとっての『原点』…それは父・遊勝の魅せた、人々を笑顔にするエンタメデュエル……だが、シンクロ次元にやって来てから…遊矢はさらなるデュエルを目にしていた…。

 

 

「(遊希兄…遊星…)」

一つは前夜祭における遊海とジャックのデュエル、紅蓮の炎と熱き魂の衝突はデュエルパレスの観客全員を興奮させ…シンクロ次元を変える最初のキッカケとなった。

 

そして、もう一つは準決勝のジャックと遊星のデュエル、まさに宿命のデュエルというべきその戦いは…今までに見た事がないほどジャックを荒ぶらせ──その魂を燃え上がらせていた。

 

 

「(今、オレは…何をすればいいのかわからない………でも、やれる事を精一杯やるんだ!!)」

未だに見えぬ「答え」…その中で遊矢は全力を尽くす!

 

 

 

 

「剛毅の光を纏う勇者の剣!今、閃光と共に目覚めよ!シンクロ召喚!!『覚醒の魔導剣士』!エンライトメント・パラディン!!」

「調律の魔術師」を引き当てた遊矢はシンクロ次元における絆の象徴──『覚醒の魔導剣士』を喚び出す!

 

 

 

「オレは…オレにシンクロモンスターを与えてくれたアンタに感謝してる…でも、父さんのデュエルも否定しない!!」

魔導剣士の効果で墓地の「スマイル・ワールド」を回収した遊矢は「EMライフ・ソードマン」の効果で魔導剣士を強化し、攻撃を仕掛ける!

 

 

『甘い!罠カード「レッド・クリスタル」発動!「レッド」モンスターはこのターン破壊されん!』

しかし、ジャックは攻撃を一蹴…荒ぶる魔竜は倒れない…!

 

 

『フン…「覚醒」の名を持っているようだが、聞いて呆れる……真の()()とは、窮地を挽回するほどの力がなければならん!!その程度の覚悟で我が魂を砕けると思うな!!』

遊矢の一撃を一蹴したジャックは遊矢にトドメを刺すべく動き出す!

 

 

『砕けるがいい!アブソリュート・パワーフレイム!!』

 

「『EMバブルドッグ』のペンデュラム効果発動!ペンデュラムモンスター以外のエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが破壊される時、このカードを代わりに破壊する!」

 

『ならば攻撃だ!アブソリュート・パワーフォース!!』

 

「『EMゴムゴムートン』のペンデュラム効果発動!!1ターンに1度、モンスターの戦闘破壊を無効にする!!」

迫りくるジャックの容赦ない連撃、遊矢はそれをペンデュラム効果を駆使してギリギリで回避する…だが、その残りライフは僅か100となってしまった…!

 

 

 

『フン…ペンデュラム効果でモンスターを守ったか、それがお前の()()()になればいいがな』

 

「ペンデュラムが…オレの突破口に────あっ」

追い詰められた遊矢を前にジャックが口にした言葉…それを聞いた遊矢は今までの事を思い返す。

ペンデュラム召喚の「始祖」として、もう1人のペンデュラム使いとなった遊希と共にスタンダード次元から戦い抜いてきた遊矢……ジャックに示すべき「答え」は───最初からその手の中にあったのだ。

 

 

 

「オレはペンデュラム召喚を最初にやったデュエリスト…ペンデュラムこそが、借り物じゃない…オレ自身の言葉!!」

答えを掴んだ遊矢の脳裏に新たなイメージが浮かぶ、それは…反撃の一手となる!

 

 

「────見えたぞ、ジャック!()()()()()()()が!!」

 

『ならば…その言葉で叫んでみろ!お前自身のデュエルを!!』

 

 

 

 

「オレは──レベル2『EMチアモール』にレベル8の『覚醒の魔導剣士』をチューニング!!」

 

『なにっ…!?「覚醒の魔導剣士」はチューナーモンスターではないはず!?』

 

「このシンクロモンスターは…ペンデュラム召喚されたモンスターとシンクロモンスターをリリースする事で、特殊召喚できる!!」

 

『なんだと!?』

『相克の魔術師』と『ゴムゴムートン』のペンデュラム召喚によって現れた『EMチアモール』…そして魔導剣士が真の覚醒の時を迎える!!

 

 

「平穏なる時の彼方から…遍く世界に光を放ち、蘇れ!シンクロ召喚!!現れろ!レベル10!『涅槃の超魔導剣士』!ニルヴァーナ・ハイパラディン!!」

 

『これが…お前の「言葉」か!!』

それはペンデュラムが導いた新たな奇跡…青き鎧を纏いし、ペンデュラム・シンクロモンスター…『涅槃の超魔導剣士』!!

 

 

 

『ふっ…ハハハハハ!!面白い!やはりお前は面白いぞ!榊遊矢!!ようやく自分の殻を破ったか!!』

新たな覚醒を遂げた遊矢を見たジャックは思わず笑い声を上げる。

 

……そもそも、ジャックは遊矢のエンタメデュエルそのものや榊遊勝のエンタメを否定していた訳ではない。

ペンデュラム召喚という未知の召喚法を使いながらも、それを生かしたデュエルをせず…固執するように見えぬ『誰か』のデュエルをなぞっていた遊矢の戦い方が気に食わなかっただけなのだ。

 

そして…ジャックの慧眼は──遊矢に秘められた可能性にいち早く気づいていたのだ。

 

 

「いくぞ…!『ニルヴァーナハイパラディン』で『スカーライト』を攻撃!トゥルース・スカーヴァティ!!」

涅槃の剣士の剣に螺旋の魔力が集中…スカーライトへと振り下ろされる!

 

『罠カード発動!「キング・スカーレット」!「スカーライト」の破壊を無効にし、このカードをチューナーとして特殊召喚!!』

ダメージこそ受けたが…ジャックは再び魂のカードを守りきる!!

 

 

 

 

 

『ようやく、自分の言葉で語り始めたな榊遊矢…ならば──俺も…俺のデュエルで応えてやろう!!』

 

「ジャック!?そっちは─!?」

遊矢の成長を目の当たりにしたジャックは遊矢との並走から外れ、コースの分岐に入り込む…だが、そこは───

 

 

 

『俺のターン!チューナーモンスター「ミラー・リゾネーター」を召喚!』

 

「チューナーが、2体…!?まさか!!」

 

『見せてやろう…我が魂の境地を!!荒ぶる魂……バーニング・ソウル!!』

 

キィン─!

 

右腕を心臓に当てるジャック…その胸から紅蓮の炎が燃え上がり、ジャックの全身を包んでいく!!

 

 

『じ、ジャックが燃えています!!これは、前夜祭の───あ、ま、待って!!ジャックの進む先に()()()()!?』

ジャックの変化を実況していたメリッサが異変に気付く…ジャックの進む先の道が途切れていたのだ!

 

 

「ジャック─!!」

 

『俺の行く道は俺が作る…聞くがいい!俺の荒ぶる魂の鼓動を!感じるがいい、俺の命の昂りを!!見るがいい!!これが俺のデュエル!!飽くなき挑戦を続ける王者の叫び!!

道がない事を知りつつも、ジャックは加速する…ジャックは識っている、宿命のライバルのその姿を!!

 

 

《キュオオォォオオン─!!》

 

『俺はレベル8の「スカーライト」にレベル1の「キングスカーレット」とレベル1の「ミラーリゾネーター」をダブルチューニング!!』

躊躇なくコースから跳び上がるジャック…その荒ぶる魂が赤き竜を呼び寄せ──新たな力を覚醒させる!

 

 

王者と悪魔!今ここに交わる!赤き竜の魂に触れ、天地創造の雄たけびをあげよ!シンクロ召喚!現れろ!レベル10!「レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント」!

それは、荒ぶる魂を覚醒させたジャックの新たな力…傷を癒し、さらなる力を手にした「紅蓮の暴君」が咆哮する!

 

 

 

 

「遊海と同じ…ダブルチューニングを…!?」

 

『否!あの力の源流は(ジャック)にある!!荒ぶる魂の力…その身に刻むがいい!!』

無事にコースに着地し、遊矢と再び合流したジャックは「境地」の力を解き放つ!

 

 

『「タイラント」の効果発動!1ターンに1度、自身以外のフィールドのカード全てを破壊する!!アブソリュート・パワー・インフェルノ!!』

 

「全部のカード…!?ペンデュラムカードもか!うわあああっ!?」

破壊力を増した破壊の炎があらゆるモノを吹き飛ばす!!

 

 

「でも、『ニルヴァーナハイパラディン』の効果発動!破壊されたこのカードをペンデュラムゾーンに置く!!」

 

『ならば…この攻撃で終わりだ!「タイラント」でダイレクトアタック!獄炎のクリムゾン・ヘルタイド!!』

 

「まだだ!アクションマジック『回避』──」

 

『「タイラント」が攻撃する時、相手が発動した魔法カードを無効にして破壊!さらに自身の攻撃力を500アップする!』

 

「なっ…!?」

フィールドをガラ空きにされた遊矢はアクションカードによる回避を狙うが…暴君はあらゆる障害を粉砕する!

 

 

「なら…!自分の魔法カードが破壊された事で『曲芸の魔術師』は特殊召喚できる!!ぐううっ!!?そして、破壊されたこのカードをペンデュラムゾーンへ!」

 

『首の皮1枚繋がったか…これも想定内か?』

 

「いいや、オレは…オレが今できる事を精一杯やってるだけだ!」

 

『そうか…ふっはははは!お前も運命を味方につけるか!面白い!!』

ギリギリでジャックの猛攻を凌いだ遊矢、その言葉を聞いたジャックは笑い声を上げる…その荒ぶる魂は遊海戦や遊星戦と同じレベルまで昂ぶっていた!

 

 

 

 

『榊遊矢…お前はようやく、自分の意思を伝える事ができるようになった…!』

 

「自分の、意思…?」

 

『デュエルとは…デュエリスト同士の「魂の対話」!そこで使う「言葉」は誰に習ってもいい…大事なのは、その「言葉」をどう使いこなし、相手に自分の意思を伝えるかだ…そこにデュエルの真髄がある!』

 

「デュエルの真髄…」

ジャックから求められていた「答え」を伝えられた遊矢は思い返す。

この舞台に上がるまでに戦ってきたデュエリスト達や舞網チャンピオンシップで戦ったデュエリスト達、そして…柚子や遊希、権現坂、修造塾長…たくさんの仲間達に支えられ、その思いを背負って遊矢は戦い続けてきたのだと…。

 

みんなとのデュエルがあったからこそ、遊矢のペンデュラム召喚は進化できたのだと…!

 

 

「わかったよ、ジャック…借り物じゃない…オレの独り善がりじゃないデュエルがどういうものか…!」

戦ってきたデュエリスト達の思いを背負い、遊矢は最後の攻撃を仕掛ける!

 

 

 

 

「ペンデュラム召喚!現われろ!レベル3!『刻剣の魔術師』!『レベル4!『ラディッシュホース』!レベル5!『ゴムゴムートン』!レベル6!『バブルドッグ』そして…レベル7!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」

 

『5体のモンスターの同時召喚だと!?』

それはペンデュラム召喚の力を最大限に生かした『ストレートペンデュラム』…5体のモンスターが力を合わせ、暴君に立ち向かう。

 

父から受け継いだ『スマイル・ワールド』によってフィールド上のモンスター全体の攻撃力をアップ、さらに『ラディッシュホース』による『タイラント』の弱体化、そして『刻剣の魔術師』による『オッドアイズ』の強化を狙うが…ジャックは一筋縄ではいかない相手…最後の罠カード『オーバー・ザ・レッド』に『タイラント』攻撃力を倍化、さらに墓地の『スカーライト』を除外する事で『タイラント』の攻撃力を10000まで上昇させる。

 

しかし、遊矢は『涅槃の超魔導剣士』のペンデュラム効果を発動する…その効果は『このターンにペンデュラム召喚された、レベルの一番低いモンスターに破壊耐性と戦闘ダメージを0にする効果を与え、戦闘破壊されなかった相手モンスターの攻撃力を攻撃モンスターの攻撃力分ダウンさせる』効果、そして『最初の効果の対象をレベルが1つ高いモンスターに移す』効果。

 

…その効果には遊矢のメッセージが込められていた…『1つ1つの声は小さく、弱くても…必ずその声は成果を出す事ができる』と…!

 

それは遊矢から、シティの人々へのエール…人々が手を取り合い、助け合う世界を目指して欲しいという願いだった。

 

 

 

 

「バトル!『オッドアイズペンデュラムドラゴン』で『レッドデーモンズドラゴンタイラント』を攻撃!螺旋のストライク・バースト!!」

 

『ぐううっ…!だが、俺のライフを削り切る事はできんぞ()()!!』

 

「いいや…『オッドアイズ』がレベル5以上のモンスターとバトルする時!与えるダメージは2倍になる!!リアクション・フォース!!」

 

『────見事だ!!』

螺旋の炎が暴君を撃ち抜く…遊矢はついに成し遂げたのだ、ジャックへのリベンジを…そして本当の意味でシンクロ次元の人々を1つする事を…。

 

 

 

ジャックLP0

 

遊矢WIN!

 

 

 

 

 

『ふ、フレンドシップカップ…ついに決着!!その王座に輝いたのは……弱冠14歳!エンタメデュエルとペンデュラム召喚を使う、期待の超新星!榊遊矢選手──!!』

メリッサの実況がスタジアムに…シティ全体へと響く……そしてシティが()()()、人々の歓声が…新たな希望への喜びが大地を揺らしていた…!

 

そこにはトップスも、コモンズも関係ない…人々の理想の姿があった…!

 

 

 

 

 

 

「……ありがとう、キング」

 

『フン…もはや、俺はキングではない…フレンドシップカップを制し、新たなキングとなったのはお前だ、遊矢』

 

「ジャック…」

遊矢コールが響く中、デュエルパレスに帰ってきた遊矢は自分を成長させてくれたジャックへと感謝を伝える…その表情は清々しくもあり、次の戦いを見据えた獰猛さもあった…!

 

 

 

『デュエルで笑顔を……その考え方は遊海の思いにも似ているな、これがお前の…「スマイルワールド」の力か?』

 

「いいや…オレの力だけじゃない、ジャック・アトラスと戦えたから…シティの人々をこんなに笑顔に出来たんだ!」

 

『フッ…そうか』

遊矢の言葉を聞いたジャックは遊矢へと歩み寄り、勝者を示すようにその腕を突き上げさせる!

 

 

『シティ住民の諸君…俺は今、最高な幸せの境地にいる!この榊遊矢こそ、俺が探していたデュエルで語り合う事ができる本物の決闘者だ!!俺は今日、この男と戦えた事を誇りに思う!!』

 

 

『『『「「「うおおおっ!!」」」』』』

ジャックの宣言に再びシティが沸き立つ…遊矢のエンタメはシンクロ次元にも受け入れられたのだ!

 

 

 

「遊矢!!」

 

「遊矢!おめでとう─!!」

 

「へっ…派手に目立ちやがって、いいデュエルだったぜ?」

 

「権現坂!柚子!沢渡…みんな!」

そしてスタジアムに柚子を始めとしたランサーズの仲間達や徳松達が駆けつける……遊矢の勝利を祝福する為に!

 

 

 

 

「へっ…ずいぶんと潔いじゃねぇかよ?ジャック」

 

『フン…今回は負けたが……次は勝つ!』

 

「その立ち直りの早さは相変わらずだな…」

 

「ジャック〜!『タイラント』のカード見せて─!」

 

「龍亞!まだ終わってないんだから!」

 

「これで…シティもネオ童実野シティと同じ、希望の街に生まれ変われるのね…!」

そして、ジャックの周りにはシグナーの仲間達が集まる…その表情は一様に明るかった…。

 

 

『遊海も…このデュエルを見ていたはずだな』

 

「ああ、目は覚めてる…あとで会いに行こう」

評議会ビルを見つめながら遊海を気にするジャック…そんな時だった。

 

 

 

キィン─

 

 

 

【シティの住民の皆さん…少し、我々の言葉を聞いてもらいたい】

 

「行政評議会!?」

 

「お偉方がどうしたんだ?」

 

「あ、イェーガー市長もいる!」

熱狂のシティやデュエルパレスに行政評議会、そしてランサーズの見覚えのない小柄な人物、イェーガー市長の姿が3Dビジョンで投影される…人々は突然の事にどよめいている…。

 

 

 

 

【フレンドシップカップの全試合が終了した今、行政評議会はシティの皆さんに告白しなければならない事があります】

ホワイト議長の言葉を皮切りに、行政評議会はシティの人々に真実を明かす。

 

トップス・コモンズの融和の象徴として開かれて街のいたフレンドシップカップ、その頂点たるキングは行政評議会の地位を脅かさねば誰でも良い存在だった事。

 

しかし、白波遊海やランサーズの一件…ロジェの野望からその考え方が間違いだった事に気付き──ジャックと遊矢のデュエルが新しい街の姿を……人々が手を取り合い、助け合う…理想を見せてくれた事を…

 

 

【本来であれば、我らは責任を取って辞職する…と言いたい所ですが……状況が悪い】

 

【榊遊矢を始めとしたランサーズの…我々の敵、融合次元の脅威が迫っているからです…故に、我らは次元戦争解決後に辞職し、若い世代へとバトンを託す事を約束します】

 

【そして我ら…シンクロ次元はスタンダード次元、ランサーズと同盟を結び…融合次元の脅威へと立ち向かいます…!】

 

【この提案に賛同してくださる方は……拍手を以て認めてもらいたい…!!】

 

「「「『『『おおおお─!!』』』」」」

行政評議会の言葉と共にシティの各所で拍手が響き、地面が揺れる…この街は穏やかに、しかし確実に変わろうとしていた…。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…これでシンクロ次元の物語も一段落か………次はお前の番だぞ?遊海───さっさと翠を迎えに行きやがれ」

希望に沸くシティを見つめながら…ラプラスは静かに呟いた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラプラス〜!アヤカから精霊用のご飯分けてもらってきたよ〜」

 

 

「……………空気を読んでくれ、アンチノミー」

 

「??」

 

 

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