転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

ついに再会を果たした遊海と翠、彼らの再会はエクシーズ次元に希望をもたらしていく…だが…。


それでは、最新話をどうぞ!


発覚

「……知らない天井だ……」

 

《フォウ!(あ、起きた!)》

 

生死の境を彷徨っていた遊海が目を覚ますと、そこは少し薄暗い室内だった…目が慣れてくるとランタンに照らされた、大きめのテントの中らしいと気が付く…寝かされていた枕元にはフォウが寄り添っていた。

 

 

 

「あっ…!お父さん!!」

 

「遊海さん!」

 

「───ああ、よかった………夢じゃない───ただいま…翠、璃緒…」

そして、ベッドの横で遊海の手を握っていた青色の髪の少女──璃緒と可愛らしい姿になってしまった翠が遊海が目を覚ました事に気付く…そして遊海は安堵した。

夢ではなく、本当に…大切な家族のもとに帰る事ができたのだと…。

 

 

 

「うわぁぁん!遊海さんごめんなさいぃぃ!!」

 

「ああ、もう泣かないで…翠は悪くないって………子供の体だから、感情の振れ幅が大きくなってるな?」

目を覚ました遊海に抱きついて大泣きする翠、遊海はその様子から翠の感情が不安定になっている事に気付く…普段の翠ならば、もう少し落ち着いている状況だからだ。

 

 

「うん、そうなの…そのせいで余計に力がコントロールできなくなってて……最初の頃にフレアと一緒に攻撃したら()1()()()()()()()()()()()の……巻き込まれたアカデミア達が可哀想になるぐらい…」

 

「………よく生きてたな、アカデミア生も俺も…(汗)」

取り乱す翠の姿を見て逆に落ち着いてしまった璃緒が翠の状態を話す、心の支柱である遊海を失い、さらに時空嵐の影響で子供の姿となってしまった翠……それによって心が不安定になり、子供遊海の時のように精霊の力の細かなコントロールができなくなってしまった。

 

その状態で攻撃をすればどうなるかは、火を見るよりも明らかである。

 

 

 

「えぐっ…ひぐっ……」

 

《遊海兄、翠…頑張ったんだよ?いなくなっちゃった遊海兄の代わりにみんなに指示を出して…体がちっちゃくなっても、エクシーズ次元の人達を助ける為に頑張ったの!》

 

《デュエルをすると被害が大きくなり過ぎちゃうから、回復役とか、レジスタンスのみんなが集めてくれた食料でご飯を作ったり…子ども達の遊び相手になってあげたり……》

 

「ウェン…ウィンダ……俺も()()あったけど、みんな程じゃないな……ありがとう、みんなを守ってくれて…」

泣きじゃくる翠に代わってウィンダとウェンが今までの事を伝える…翠は小さくなってしまった体でも、頑張り続けていた……その苦労を知った遊海は優しく翠の背中を撫でた。

 

 

「璃緒、ランサーズ達はどうしてる?」

 

「ランサーズの子達は他のテントで休んでもらってるわ、アヤカさんからシンクロ次元の支援物資も受け取ったし…ハートランドのみんなも嬉しそうだった!」

 

「そうか……それなら良かった」

 

《良くないですよマスター…さっきまで、冗談抜きで死にかけてたんですから》

 

「………愛、怖いなぁ……なんて」

そして璃緒にランサーズ達の様子を聞く遊海…彼らの無事を知って安堵したが、アヤカの鋭い言葉に思わず苦笑する。

 

 

 

「ほら、母さん!ちょうどお昼だし…父さんにご飯作りに行こう?次の戦いで全力を出せるように!」

 

「璃緒ちゃん…うん!遊海さん!少し待っててね!」

 

「ああ、手を切らないようにな?」

 

「むう…!小さくなっても技術は変わらないもん!」

 

《(完全に幼児退行してますね……)》

 

璃緒に促されて翠は遊海の食事を作る為にテントを離れる…そして、入れ違いでテントに入ってきた者達がいた。

 

 

 

 

「遊海!無事……無事?で良かったぜ!!」

 

「遊馬…アストラル…凌牙…カイト………お前達にも心配かけたな…危険な目に遭わせてすまん…!」

 

(遊海、気にするな…ARC次元に踏み込んだのは私達の総意だ、貴方と合流できて良かった)

テントに入って来たのは少年の姿に戻ってしまった遊馬アストラルに凌牙、そして次元移動装置で駆けつけたカイト……三勇士達だった、彼らは回復した遊海を見て安心していた。

 

 

「まったく、父さんの怪我体質は相変わらずだな……流星に聞いたらシンクロ次元でも無理したんだろ?『冥界の王』と戦ってボロボロなのに…そこからオベリスクフォースと連戦って…」

 

「ははは…流石にアレは予想外………ん…?流星も合流できたのか?」

 

「ああ…次元移動の座標を間違ったみたいでさ、変な場所に迷い込んだらしいんだ…今は疲れて仮眠してるぜ」

 

「そうか…いや、意識を失う時まで姿を見なかったから心配してたんだ」

 

(あの状況でそこまで覚えてるのは流石だな…)

凌牙の呆れたような言葉に苦笑いする遊海だったが、流星の合流を聞いて状況を訊ねる……少しトラブルがあったが、流星も無事にレジスタンスに合流できたようだ。

 

「(もしかして…昔のネオ童実野シティにでも迷い込んだか?前にもそんな事があったし…)」

遊海は過去の出来事から流星の行き先を予想するが…すぐにその思考を頭の隅に追いやった。

 

 

 

 

「それで…三人揃ってどうした?ただ様子を見に来た訳じゃないだろ?」

 

『ええ、ランサーズ達と状況を共有した後に…()()に集まるように言われたんです』

カイトが遊海のテントを訪れた理由を伝える…その瞬間、ベッドの上で座っていた遊海の前に光が集い──

 

 

《おかえりなさい、ユウミ》

 

「フレア…!ありがとうな…みんなを守ってくれて…!!」

現れたのは金色の小さな小鳥、遊海によってアストラル世界へと逃がされ、翠や遊馬達を守り続けていた遊海の最後の精霊…フレアだった。

 

 

 

《とりあえず………何をしているんですか貴方は──!!》

 

「ぎゃー!?」

 

「うわ!?絶対痛いヤツだ…!!」

苦労を掛けてしまったフレアを撫でようとした遊海……だが、突然飛び上がったフレアは急加速……遊海の額に鋭いクチバシが突き刺さった。

その様子を見た遊馬は咄嗟に自分のおでこを押さえている…。

 

 

「あだだだ……いや、本当にごめん……!時間稼ぎの為に、ズァークと戦ったのに……俺は……」

 

()()()()ではありません!!》

 

「えっ…?」

 

《フレア?》

フレアに『悪魔が生まれた日』の作戦失敗を謝る遊海……だが、フレアが怒っていたのはその事ではなかった……その怒り方にアヤカが疑問を抱く。

 

 

 

《フォウ、遊海から離れなさい…アヤカ、スフィアフィールドを……メガロック、トフェニ…遊馬達の前に…!早く!!》

 

《フォウ!?(ふ、フレア?どうしたの?怖いよ…!?)》

 

《フレア様、いったい何事が…?》

 

《その気配…何を怒っているのだ?》

 

《スフィアフィールド展開……何故、こんな事を…?》

 

フレアの異常な剣幕に遊海も遊馬達も…そして姿を現した精霊達やフォウも困惑している……フレアの眼は油断なく遊海を睨みつけていた…!

 

 

「お、おい?いきなりどうしたんだよ…!?」

 

《アヤカ、貴女が一番に気付かないでどうするのです…!私が気付かなければ、どうなっていたか…!!》

 

《えっ…?》

 

 

《他の精霊達は誤魔化せても…太陽神の分霊たる私の『眼』は欺けない!!姿を現せ!!()()()()()()()()!!》

 

 

「「「『『!?』』」」」

フレアの思わぬ言葉にテントの空気が凍りつく、フレアは遊海を睨みながら…最悪の名前を口にしたのだ…!

 

 

 

「ま、待ってくれ!!これにはわけが──(ドグン!!)っぐぅ!?」

 

「遊海!!」

 

「父さん!?」

 

《フォウ!?(遊海!?)》

 

ゴウッ!

 

フレアの言葉に事情を話そうとする遊海…その時、強い動悸が遊海を襲い…背中から赤黒い炎が燃え上がった…!!

 

 

【フハハハ…!やはり神は神、我の潜伏を見破るか…久しいな?九十九遊馬、ナッシュ、天城カイト……そしてアストラル!】

 

 

(ドン・サウザンド!!)

赤黒い炎が少しずつ形を成していく、そして倒されたはずの『混沌の神』──真ドン・サウザンドが遊馬達の前に姿を現した…!

 

 

《ま、マスター!?》

 

《フォッ…!?ガルルル─!!(オマエ…!?遊海から離れろ!!)》

 

「そんな…!?遊海が、あの時ぶっ倒したはずなのに!?」

 

『まさか…白波さんが取り込んでしまった「CiNo.1000」を核に復活したのか!?』

 

「貴様…!何度、俺の家族を傷付ければ気が済むんだ!!父さんから離れやがれ──!!!」

仇敵の出現に精霊達や遊馬達は臨戦態勢となる、凄まじい殺気を放つ三勇士達に睨まれながら、ドン・サウザンドは笑みを浮かべていた…。

 

 

「父さん待ってろ…!すぐにそいつをぶっ倒して助ける!!」

 

「待て…!大丈夫だ…!!今、ドン・サウザンドは()()()()()…!!信じられないと思うが……俺はこいつに、()()()()()んだ…!」

 

「「『はっ…?』」」

一触即発の空気の中、遊海が思わぬ事を伝える…それを聞いた遊馬達は思わず固まった。

 

 

《アヤカ!ユウミのバイタルとメンタルチェックは…!》

 

《……マスターのバイタル、安定しています……洗脳された形跡も、ありません……マスターは、本当の事を言っています…信じられませんが……》

遊海に対する洗脳を疑うフレア……だが、遊海にその形跡はなく、嘘を吐いてもいなかった…。

 

 

【白波遊海の言葉は真実だ、そもそも…スタンダード次元に流れ着き、『榊遊希』という男として生きていた白波遊海を呼び戻したのは我だ、我がキッカケを与えてやらねば……そうさなぁ、白波遊海は目覚める前にアカデミアとやらの実験体にでもされていただろう】

 

「っ…!遊希が…父さんが暴走したのはお前の仕業か!!」

 

【勘違いするな、ナッシュ──いや、()()よ…あの暴走は『榊遊希』が自ら望んだモノだ、仲間達を傷付けたオベリスクフォースとやらを潰す為になぁ?】

 

「っ…!」

遊海の言葉を肯定するドン・サウザンド…凌牙が遊希が暴走した原因ではないかと問い詰めるが、ドン・サウザンドは表情を変えない。

 

遊希の暴走──災厄は遊海の『力』と遊希の激しい怒りと憎しみが起こしたもの……ドン・サウザンドはそれを見ていただけである。

 

 

 

【あとは…シンクロ次元で『冥界の王』とやらと『地縛神』の挟み撃ちを受けて死にかけた遊海を気まぐれで助けてやったのは我だ、覚えがあるだろう?】

 

《マスターが汚染されたマイナスエネルギーを中和したカオス…それはお前の力だったと…!?》

 

【いかにも、我が気まぐれを起こさなければ…シンクロ次元で遊海の旅は終わっていたであろうな?】

 

(アヤカ、それは本当なのか?)

 

《……ええ、復活したダークシグナーの神『冥界の王』とダークシグナーの操っていた『地縛神Wiraqocha Rasca』の挟み撃ちを受け、命を落としかけています……マスターは『CiNo.1000』のカオスを無理に開放して使ったと言っていましたが……》

アストラルの問いかけにアヤカはドン・サウザンドが嘘を吐いていない事を認めるしかなかった。

ゼロ・リバースと同等のマイナスエネルギーを受けてしまった遊海は…ドン・サウザンドの助けがなければ復活できず、そのまま海の底で命を落としていただろうと…。

 

 

「っ…ドン・サウザンド!お前の目的はなんだ…!!まだアストラル世界を滅ぼそうってのか!?」

 

【さてな…そんな事、()()()()()()()()()

 

(なにっ…?)

遊馬の問いに思わぬ答えを返すドン・サウザンド…アストラルは思わず聞き返してしまった。

 

 

【我が破壊したかったのは我を…カオスを排斥し、徹底的なランクアップを望んだアストラル世界だ……だが、いまはどうだ?カオスを排斥し続けていたアストラル世界はカオスの塊であるバリアン世界と融合し、受け入れたというではないか?そんな()()()()()()を破壊しても…何も面白くない】

 

(お前は……本当にドン・サウザンドなのか…?)

心底呆れたような…面白くなさそうな表情でドン・サウザンドは語る、その様子にアストラルは違和感を覚えた。

 

 

遊馬やアストラルが知っているドン・サウザンドはアストラル世界に対して強い憎しみを向けていた。

七皇達の人生に介入したのも遥か未来での復活を見据え、その力を自分の糧とする為…そして、バリアン世界での決戦でもダメージがアストラル世界を破壊するように設定…さらには自分が倒されても凌牙を自分の『後継者』としてアストラル世界と戦うように仕向けていた……それだけ、ドン・サウザンドがアストラル世界に向けた憎しみは深いはずなのだ。

 

 

しかし、アストラルは目の前のドン・サウザンドから…その憎しみを感じなかった……まるで、何かに浄化されたように…。

 

 

 

【フン、我はドン・サウザンド…混沌の神だ、今は…お前達の喜劇を見物させてもらうとしよう──ではな】

 

「あっ…待て!!」

アストラルの問いに応えたドン・サウザンドは再び赤黒い炎となって遊海の中に消えていった…。

 

 

 

 

「っ…はぁ…はぁ……まさか、外に飛び出してくるとは、思わなかった…」

 

「父さん!?」

ドン・サウザンドが消え、遊海は大量の脂汗を流しながらベッドに倒れ込む…今のやり取りによる消耗が大きかったのだ…。

 

 

《マスター!どうしてすぐに教えてくれなかったのです!?》

 

「みんなを、これ以上心配させたくなかった……これは、俺自身の問題だ……ドン千は、俺の魂の中に封印されてるから、下手に手が出せない…それに、不安定なARC次元でアイツを倒して、カオスを解き放ってしまったら…どんな影響があるか……」

 

「そんな…!?くそっ、あの野郎…!!」

ズァークの存在と次元戦争という異常事態の中、仲間達や精霊達を心配させないようにドン・サウザンドの復活を隠し続けていた遊海……その影響を聞いた凌牙は拳を握り締めるしかなかった。

 

 

 

(いや、そこまで心配をする必要は…ないのかもしれない)

 

「アストラル…!?どうしてだよ!?ドン・サウザンドはお前の…オレ達の敵だ!それなのに……」

 

(今のドン・サウザンドの力はあの決戦の時の半分以下しかない……それに、感じるカオスの()が変わったように私は感じた)

 

『カオスの質?』

そんな中、アストラルが思わぬ事を口にする…アストラル自身も戸惑っている様子ではあるが…。

 

 

(私の知るバリアン世界での決戦や、ハートランドで復活した時のドン・サウザンドはアストラル世界を破壊しようという悪意を強く感じた……だが、先程のドン・サウザンドからは……悪意を()()()()()()、私が思うに…遊海、貴方がドン・サウザンドを倒そうと自爆した時の衝撃が…何かしらの影響を与えたのではないか?)

 

「たぶん、その通りだ……あの時の自爆──『NEXUSダイナマイト』は俺の持つ『光』、精霊の力やシグナーの力…そして『絆の結晶』であるNEXUSの力を最大限まで高めた技だ、それがドン千を少しだけ変えた………俺はそう考えてる」

アストラルの考察に遊海が答える、今までは話し合いの余地すらなかったドン・サウザンド…だが、彼は変わろうとしているのではないかと…。

 

 

「だけど…油断はしてない、精神世界ではユウスケに見張りをしてもらってる……万が一があったなら、俺の命に懸けて…今度こそ、滅してみせる」

 

「自分の命を懸けるなんて言わないでくれよ…!俺がいる、母さんや遊馬、アストラル、カイト…みんながいる!!絶対に父さんは死なせない!!」

 

「シャーク…」

 

「凌牙…ありがとう」

なんとか起き上がり、自分の覚悟を伝える遊海…そして凌牙の力強い言葉にようやく肩の力を抜く事ができたのだった。

 

 

 

《はふぅ………ユウミ、あまり心配させないでください……もう既にドン・サウザンドの洗脳下にあるのかと思って……》

 

「フレア…びっくりさせてごめんな……悪かった…」

目先の脅威が去り、緊張感から解き放たれたフレアが遊海の膝の上で溶けたようにへたり込む……『混沌の神』の復活にいち早く気付いた彼女はずっと気を張り続けていたのだ。

 

 

「俺は…もう二度とカオス……闇には呑まれない、だから安心してくれ」

 

《キュルル〜……♪》

不安にさせてしまった事を謝りながら優しくフレアを撫でる遊海…フレアは久しぶりに撫でられ、気持ち良さそうに声を漏らした…。

 

《フォ〜ウ…キュウ…(なんだか、疲れちゃった……おやすみなさい…)》

 

《むっ…?そうかそうか…フォウよ、安心して休むといい》

その様子を見て安心したのか…フォウもメガロックの背中で丸くなった。

 

 

 

 

 

 

《すぅ…すぅ…ZZZ》

 

『…白波さん、これからどうするつもりですか?』

 

「とりあえず、ドン・サウザンドの事は七皇のみんなや流星達には伏せておいてくれ……凌牙、璃緒への説明は任せる」

 

「……わかった、母さんには?」

 

「翠には、俺から話すよ」

 

「翠さん、また怒るだろうな〜…いくら偶然の事とはいえ…」

 

(ドン・サウザンドの恐ろしさは、彼女も分かっているだろうからな…)

疲れて眠ってしまったフレアを撫でている遊海にカイトがドン・サウザンドの対応について訊ねる…ひとまずは混乱を避ける為に伏せる事を決め、家族である璃緒には凌牙が…翠には遊海が自分で説明する事に決まった。

 

 

 

「それから、これからの動きだけど…どうするつもりなんだ?」

 

「ああ……明日、アカデミアがエクシーズ次元に作った拠点に襲撃を仕掛ける、そこで遊矢と相手方の司令官……エド・フェニックスを戦わせ、アカデミアを降伏させる……それが俺の考えた作戦だ」

凌牙にこれからの動きを聞かれた遊海は最善の作戦を伝える。

 

 

『エド・フェニックス…彼は本人ではないとはいえ、遊城さんのライバルの1人だ……なぜ、ズァークの欠片を?』

 

「榊遊矢の父、榊遊勝…彼はエドと因縁がある……そして、エドの心はアカデミアの理想と自分の理想とするデュエルの間で揺れている……その迷いを晴らす事ができるのが、遊矢のエンタメデュエルなんだ」

 

「エンタメデュエル、か…分裂しちまっても、ズァークのそういう所は変わらないんだな…」

遊海の作戦を聞いた遊馬が複雑な表情で呟く、狂気に堕ちる前のズァークは本当に良いデュエリストだった…それを知っている故の言葉だった。

 

 

 

 

 

「遊海さーん!お昼ご飯できましたー!」

 

「あっ…ありがとう、みど─────あっ……」

 

(「「『あっ』」」)

その時テントに翠の明るい声が響く、遊海の昼食を作ってきたのだが………その手には()()()()()の姿があった。

その威容に思わず凌牙やカイト、アストラルも言葉を失っている…。

 

 

 

 

「シンクロ次元からの支援物資にお豆腐があって良かった…いつも以上に腕によりをかけました!しっかり食べてくださいね?」

 

「…………凌牙、フレアを頼む」

 

「う、うん…」

ベッド脇の台の上に置かれた真紅の地獄───翠特製の泰山麻婆豆腐(大盛り・白米なし)を見た遊海は生唾を飲み込むと、眠っているフレアを優しく凌牙へと託す。

 

 

「………アヤカ、すまん………ちょっと、逝ってくる」

 

《………………ご武運を、マスター…》

アヤカに別れを告げると遊海は皿を手に持ち、レンゲを構える。

 

 

 

「いただきます──!!」

 

「召し上がれ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊海は再び、生死の境を彷徨う事になった…。

 

 

 

 

 

(遊馬…以前、私は翠の麻婆豆腐を食べてみたいと言った事があったな?)

 

「ああ、あったな…そんな事…」

 

(…………その言葉は撤回しよう……あの料理を食べるには、命が幾つあっても足りなさそうだ)

 

「絶対、その方がいいぜ…まずは普通のにチャレンジしてからな…」

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

「り、璃緒さん…?大丈夫ですか…?」

 

「ん?全然大丈夫!久しぶりの麻婆豆腐美味し〜!小鳥さんも食べる?」

 

「わ、私は遠慮しておきます!!」

 

 

「璃緒〜!何食べてるのって……麻婆豆腐?翠さんが作ったの?」

 

「そうなの!海亜さんも一口食べる?」

 

「食べる食べる!ネオ童実野シティの『泰山』ってお店の激辛麻婆豆腐が好きなんだ!いただきまー…!?!?!?

 

「海亜さーん!?」

 

「そんなに辛かったかしら?『泰山』の麻婆豆腐より()()辛いくらいだと思うけど…」

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

【フハハハ…九十九遊馬やアストラルの驚愕した表情は傑作だったな!我を倒そうにも倒せん勇士共の顔を見て胸が空く思いだ!】

 

『相変わらず趣味が悪いな、ドン千』

 

【略して呼ぶなと言っているだろうが】

遊海の精神世界、ドン・サウザンドの玉座…遊馬達へと復活を明かしたドン・サウザンドは愉快そうに笑っていた…その近くではユウスケが呆れた表情で見張りを続けている。

 

 

キィン─

 

 

【ん…?なんだ、これは…?】

 

『げっ…それは…!?』

そんな時、ドン・サウザンドの前に紅い光が現れる…その正体は白い皿に乗った紅い麻婆豆腐だった。

遊海が凌牙達を困らせたドン・サウザンドへせめてもの意趣返しとして味覚共有したのだ。

 

 

【ふむ…赤いな……どれ──】

 

『あ、止めた方がいいぞ──!?』

添えられたレンゲで真紅の麻婆豆腐を掬い、口に運ぶドン・サウザンド…ユウスケが思わず止めようとしたが、一瞬遅く───

 

 

 

【ほう…これが味覚、というモノか……ふむ……なかなかに美味いではないか?この辛味?と旨味?によって混沌とした味……我の好みだ】

 

 

 

『…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………デジマ?』

 

気まぐれアンケート 食べてみたい遊戯王メシは?

  • 杏子がバイトしていたお店のハンバーガー
  • トメさんのおにぎり
  • ラー・イエロー寮のカレー
  • レッドデーモンズヌードル・ピリ辛味
  • 九十九家のデュエル飯
  • 榊家のパンケーキ
  • 翠の激辛麻婆豆腐
  • その他
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