転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

アカデミアとの決戦を前に…遊海は遊矢達に真実を伝える…。

その時、遊矢達は…。


それでは、最新話をどうぞ!


明かされる真実〜最後の戦いへ〜

「遊矢…遊海さんが話したい事って、なんだろう…?」

 

「うん…なんだか、アカデミアに対して…って雰囲気じゃなかったよな」

夕食を終えた遊矢と柚子は遊園地の外れにあるスタジアムへと向かっていた…それは黒咲や零児と共に遊海に呼び出された為だった。

 

 

「来たか…榊遊矢、柊柚子、きみ達で最後だ」

 

「零児、零羅…黒咲、セレナ…」

歩く事数分、遊矢達はスタジアムの入口に到着…そこでは既に黒咲や零児達が待っていた。

 

 

「零児、お前は遊海が話そうとしてる事を聞いてるのか?」

 

「いいや…だが、遊海や凌牙から…私達がアカデミア以外に戦わなければならない『敵』がいる、という話は聞いていた」

 

「アカデミア以外の、敵…!」

自分達よりも情報を持つであろう零児に問いかける遊矢…だが、この件に関しては零児も情報は持っていなかった…。

 

 

「…とにかく、中へ行こう…フィールドで待っていると言っていた」

 

「……ああ…!」

零児に促され、遊矢達はスタジアムのデュエルフィールドへと向かった。

 

 

 

 

 

「よく来てくれたな、お前達」

 

「遊海…それに…!」

スタジアムのデュエルフィールド…電気はまだ回復していない為、松明で照らされたその場所で遊海は遊矢達を待っていた…だが、それだけではない。

待っていたのは遊海の妻である翠、そして凌牙、璃緒、さらに遊戯、十代、遊星、遊馬…「遊」の名を持つ者達が集まっていたのだ。

 

 

「まず、話を始める前に…やらなきゃならない事がある……フレア、力を貸してくれ」

 

《ええ、太陽神の加護をユウミに!》

 

キィン──ゴウッ!

 

「っ!?遊海!腕が!!」

遊海の肩の上に金色の小鳥が現れる、その小鳥が放った炎が遊海の右腕に燃え移る!!

 

 

「心配するな、すぐに終わる……()()()()、遊矢」

 

「えっ───」

 

 

ドン!!

 

 

「ガハッ!?」

 

「「遊矢!?」」

 

「遊矢!!遊海、何をする!?」

右腕に炎を纏った遊海の姿が掻き消える、そして次に姿が見えた時には…燃え盛る腕が遊矢の胸に突き刺さっていた…!

 

 

ドクン!

 

 

「ほら…目を覚ます時間だぞ、()()()!」

 

《がっ…!?いきなり、何が…!?》

 

「ユート…!?」

 

《黒咲…?オレの姿が、見えているのか!?》

遊海に貫かれた遊矢の背中から光が飛び出す…それは遊矢に統合されてしまったと思われていたユートの姿へと変わった…!

 

 

「ど、どうしてユートが…!?」

 

「フレアの…太陽神の加護さ、エクシーズ次元を離れる前に翠から『金色の羽』を渡されていただろ?その羽がユートの『魂』を守っていたんだ…完全に遊矢と融合…統合しないようにな」

 

「うっ、げほ…ごほっ…!とう、ごう…?」

 

「ゆ、遊矢!大丈夫…!?」

ユートとの思わぬ再会に驚く黒咲、その横では胸を貫くような衝撃を受けた遊矢が咳き込んでいる…なお、その体に傷はない。

 

 

「ユート…やはり、お前は…遊矢の中にいたんだな…」

 

《ああ…スタンダードで紫雲院素良と戦い、その後にシンクロ次元のユーゴとのデュエルに敗れ……気付けば、オレの意識は遊矢と共にあった……隼、心配を掛けてすまなかった…》

触れる事はできない…だが、久しぶりに親友との再会を果たすユートと黒咲…それはありえない奇跡だった。

 

 

 

 

「白波、遊海…!お前は、知っていたのか?榊遊矢とユートがこんな状態であった事を…!?いや、それ以前に…何故、この状態になると知っていた!?」

 

「これで、役者は揃った…話を始めよう」

遊海達の異常な先読み…そして行動に戸惑う零児、遊海はその問いに答える事なく、改めて零児達に向かい合う…。

 

 

 

「これから話す事は別に、秘密にする事じゃない…お前達の判断でランサーズの仲間達に話しても構わない、お前達を呼んだのは……先に覚悟を決めてもらう為だ」

 

「覚悟を決める…どういう事だ?」

いつもとは違う…否、いつも以上に真剣な様子の遊海にセレナが問いかける。

 

 

「お前達がアカデミア、プロフェッサーと雌雄を決した先に…この事態の()()がいる…全ての話は…オレの体感時間で数年、この次元なら最低でも10年以上前、俺達の世界なら数日…いや、数週間前に遡る…全てはそこから始まった」

 

「時間がバラけている…?元凶とは、なんの事なんだ?」

穏やかに、しかし真剣に…遊海は話を始める…その背後では翠や凌牙達が静かに状況を見守っていた。

 

 

 

 

「俺達の世界では、半年前から世界最強の決闘者の称号…『決闘王』、その七代目を決める為の戦い、『ワールド・チャンピオン・シップス』が開かれていた……そこに、1人のデュエリストが現れた」

 

「1人のデュエリスト?」

 

「大会前はほとんどノーマークだったそのデュエリストは大会の中で頭角を現していった…融合・シンクロ・エクシーズ、そしてアドバンス…4つの召喚法を駆使して大会を勝ち上がっていった……だが、悲劇が起きた」

 

「悲劇…?」

静かに話を続ける遊海…その話に変化が起き始める…。

 

 

「悲劇…それは、とある対戦の最中、そのデュエリストの攻撃が…対戦相手に大怪我を負わせてしまったんだ……その大会では新開発されたソリッドビジョン、質量を持つ『リアルソリッドビジョン』が使われていた……その攻撃が対戦相手を襲ったんだ」

 

「リアルソリッドビジョン…!?そちらの『世界』にもリアルソリッドビジョンが存在したのか?」

 

「そうだ、そして観客達は思わぬ事故に動揺する者や、選手を非難する者……そして、派手な演出を喜び、歓声を上げる者に分かれた……そして、そのデュエリストのデュエルはだんだんと派手に、激しくなっていった……相手がボロボロになってしまうほどに……幸いにも、他のデュエリスト達がその流れに乗ってしまう事はなかった…だが、デュエルを重ねる事に…彼の心は限界に近付いていった…」

 

「っ、う…!?」

 

「遊矢…?」

突然、遊矢が胸を押さえる…

 

 

「彼は元来、人を喜ばせよう…人の期待に応えようとする優しい性格だったらしい……彼は、人々の期待に応えようとしすぎて…心が壊れてしまう寸前だったんだ………そして、その日はやって来た」

 

「その日…?」

 

《っ、ぐ…!》

 

「ユート…!?」

「その日」…その言葉を聞いたユートも苦しげな表情を見せる…!

 

 

 

「ワールドチャンピオンシップス、決勝…彼は希望の勇士…九十九遊馬と戦う事になった……希望の戦士と融合・シンクロ・エクシーズ・アドバンス…4つの召喚法の名を冠したドラゴン達は激しく激突した……そのデュエルの末に、彼は遊馬に負けた…そして、遊馬は彼に言ったんだ『楽しいデュエルができてよかった、ワクワクできるデュエルだった!次はどうなるか分からない…また熱くて盛り上がるデュエルをしよう!』その言葉は期待に押し潰されそうだった彼の心を救う事ができた……俺達は、そう思った………だが、俺達は少し遅かった…!!」

遊海は静かに拳を握りしめる…。

 

 

「新たな決闘王の誕生に歓声に包まれる会場……そこへ1つの()()が投げ込まれ、彼に直撃した……それは、彼の派手なデュエルに期待していた観客の1人が投げつけたモノだった……それが、彼の中で張り詰めていた糸を、切ってしまった…!!」

 

「《ぐう、ううっ…!!?》」

 

「遊矢!?大丈夫!?」

 

「ユート!しっかりしろ!?」

 

「遊海!何なんだ、その話は…!!その話が、私達になんの関係がある!?」

 

「う、あ…ああっ…!?」

油汗を流す遊矢とユート…零児は異常な様子に思わず取り乱す…その足元には、零羅がしがみついていた…。

 

 

「彼には、特殊な才能があった…先天的に肉体に宿る、デュエルモンスターズに関係する超能力者『サイコデュエリスト』の力…そしてその心…魂をデュエルモンスターズの精霊に愛される事で宿る『精霊の力』…彼は、両方を強く宿した特殊体質だった。

その力が強すぎるあまり、彼は自分のモンスター達の心と共鳴してしまった…デュエルを通じて人間の負の面を見過ぎた彼のモンスター達は…怒っていたんだ……そして、彼らは暴走した…!制御を失ったリアルソリッドビジョン…いや、実体化した精霊達が会場を破壊し始めた…!その果てに、その男は『悪魔』になった…4体のモンスターと魂ごと一体化し、彼は文字通りの「モンスター」と化した…」

遊海はそこで呼吸を整える…。

 

 

「そのデュエリストの名は……ズァーク、そしてその身をモンスターに変えた奴の名は──『覇王龍ズァーク』…俺達、デュエリストが生み出してしまった…哀しき悪魔だ」

 

 

「「ズァーク…」」

『ズァーク』…その名を聞いた途端、柚子とセレナは言い表せない感情に襲われる…。

 

 

「ズァーク…!?それが、この次元になんの関係がある…!?それはそちらの世界の話なのだろう!?」

 

「………俺達は、悪魔と化したズァークを止め…救う為に戦い続けた、だが…精霊4体と融合したズァークは凄まじいタフネスで戦い続けた……被害は街1つで押さえ込んでいたが、俺達の体力は限界へと近付いていった………そんな時、俺はズァークを別次元に封印する作戦を思い付いた、世界に被害が及ばない…別の次元で怒りや悲しみに狂ってしまったズァークを止めようとした………俺は翠や、遊馬達にその作戦の要となる力の発動を託し、囮となってズァークと戦い続けた……だが、俺は失敗してしまった」

 

「っ…!?」

あまりに救いがなく、スケールの大きな話に取り乱す零児…だが、遊海の態度から話が続いている事を悟る。

 

 

「俺が、戦いのダメージで失神している間に…とある2人が戦場に現れた……1人はあるリーグで活躍していたプロデュエリストの少女、もう1人はその少女の父親…リアルソリッドビジョンを開発した科学者だった……彼らは、ズァークを止める為に戦場に乱入してきたんだ…その手に、ズァークの負の感情を中和できる要素…大自然の力を宿した4枚のカードを手にして…」

 

「大自然の力を宿した…」

 

「4枚のカード…」

 

「ただ1つ、科学者の誤算だったのは…娘が父を守る為に、たった1人でズァークに挑んだ事だ………少女はその身を犠牲にして、ズァークを打ち倒した…4枚のカードの力を使って、統合していたズァークを4つに分離させた………だが、想定外の事が起きた」

 

「想定外…?」

 

「倒されたズァークは分離する直前に逃げようとした…その結果、ズァークの宿した凄まじいエネルギーと4枚のカードのエネルギーが衝突……爆発と共に、世界を引き裂いた」

 

「世界を引き裂くほどの戦い…!?そんな事があり得るのか…!?」

 

「本当にあった事だ……そして、俺はその分断に()()()()()()……その中で力を失い、記憶も失くし……分断され、4つの次元へと再構築された…新たな世界に流れ着いた」

 

「待て…まさか、新たな世界とは…!!」

 

「そうだ…それが、スタンダード次元……いいや、4つの世界を内包したこの世界……『ARC次元』の正体だ」

遊海の口から語られていたのはスタンダード・エクシーズ・シンクロ・融合…4つの世界を内包する次元世界、ARC次元創世の真実だった。

 

 

 

「待て…理解が、追いつかない…!この世界は別の世界が裂けて生まれた、というのか!?」

 

「そういう事だ…幸いにも、大元である俺達の世界は無事だったらしい…街1つが巨大なクレーターに変わった以外はな……次元分断が発生する前にズァークの隔離が終わっていたのが、不幸中の幸いだった……だが、話には続きがある」

 

「……まだ、あるのか…!?」

 

「ズァークはまだ、生きている……4つに分断されたズァークはその分かれた魂の欠片ごとに1つの次元に新たに生を受け、別人として過ごしていた……それぞれに召喚法の名を冠したドラゴン達を手にして」

 

「召喚法の名を冠した4体……それは、まさか!?」

零児は話の流れから、最悪の可能性に辿り着く…。

 

 

 

「『オッドアイズ・ドラゴン』…『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』…『クリアウイング・シンクロ・ドラゴン』…『スターヴヴェノム・フュージョン・ドラゴン』……遊矢、ユート、そしてユーゴ、ユーリ……その4人は『覇王龍ズァーク』、その魂を宿す欠片達だ」

 

「っ─!?ゆ、遊矢が…ズァークのカケラ…!?」

それは衝撃のカミングアウト…思わぬ事実に柚子は思わず、胸を押さえていた遊矢の顔を覗き込む…。

 

 

「う、ぐ…オレが…悪魔?…ズァーク…?そんな、事…言われたって…!?」

発作が収まったのか、正気に戻った遊矢は戸惑っていた…。

 

《オレには、少し心当たりがある……遊矢がなにか、強い負の感情を抱いた時、溢れ出しそうな()()()があった…オレは必死にそれを押さえ込んでいたが…それが、『悪魔』だと言うのか?》

 

「その通りだ、ユート…ズァークは復活を狙って、それぞれの欠片を引き合わせる……例えば、似た顔の存在がいると…異常に闘争心が強くなる、とかな…心当たりはあるはずだ」

 

「《っ…》」

遊海の言葉に思い当たるフシのあった遊矢とユートは唇を噛み締める…。

 

 

 

「それじゃあ、私達は…遊矢やユーゴと、戦わなゃならないの…!?」

 

「それは…まだ、不確定だ……でも、そうなる可能性が大きい……ズァークが復活を狙う以上は…」

 

「そんな…!」

柚子の悲痛な言葉に遊海は辛そうな表情を見せる…その表情だけで、柚子達は遊海が本当に「榊遊矢」自身を心配しているのだと気付いた…。

 

 

「遊矢やユーゴが敵になる可能性があるのは驚きだ…しかし、それなら、なんで私達も呼んだんだ…?遊矢自身の問題なら、遊矢とリーダーである零児に話をすれば済む話だろう?」

 

「ここからは…セレナちゃん、柚子ちゃん…そして零児、黒咲…お前達にも関係ある話だ」

 

「俺に…?」

セレナの疑問に静かに応えた遊海は話を続ける。

 

 

 

「ズァークが分裂すると同時に、ズァークに挑んだ少女の魂も4つに引き裂かれた……そしてズァークを追うように、分かれていった……その少女の名は、()()()()

 

「あか、ば…?!それって…!?」

 

「その父親であり、俺達の世界の海馬コーポレーションでリアルソリッドビジョンを開発した科学者の名は──赤馬零王」

 

「っ───父さんが、別世界の人間…!?」

それは零児にとっては信じられない事実…そして、遊海は最後の告白をする。

 

 

「そして、4つに分かれた赤馬レイの魂は…大自然の力を宿したカードが変化した4つのブレスレットと共に生まれ変わった……彼女達の名は…柊柚子、黒咲瑠璃、セレナ、リン……君達は、赤馬レイの魂の欠片なんだ」

 

「「っ──」」

 

「馬鹿な…!?」

遊海の思わぬ言葉に柚子とセレナがへたり込む…黒咲は信じられない、といった様子だった。

 

 

「……私は、遊矢の敵…って事、ですか…!?」

 

「違う、それは…絶対に違う…!それだけは、俺が断言する!君達はズァークの復活を阻み、救う為の存在…俺はそう思ってる」

 

「ズァークを…遊矢を、救う…?」

涙目で遊海に問いかける柚子…その涙を見た遊海は優しく、しかし強い言葉で柚子の言葉を否定する。

 

 

「君達は、言わばズァークの復活を阻む為の『安全装置』だ…ズァークの欠片達が近付いた時、君達のブレスレットが彼らが接触しないように、彼らを()()させる…!それによってズァークの復活を阻み、ズァークではなく榊遊矢やユートという存在として守る為の『運命の人』…それが君達なんだ」

 

「遊矢達を守る為に……」

遊海の言葉に柚子は思い当たる事があった…遊矢が現れると消えてしまうユート、ユーリに追い詰められた時に現れたユーゴ…ブレスレットが輝いた時に起きた転移は柚子や遊矢を守る為の動きをしていたのだ。

 

 

「本来なら、別の次元に存在して出会わないはずの欠片達…だが、そのバランスは崩されてしまった…赤馬零王の企みによって…」

 

「……まさか、父は……消えてしまったレイを取り戻そうと…!?」

 

「その通りだ……世界統一は方便……本当の目的は各次元に散らばってしまったレイの欠片達を集め、消えてしまった自分の娘……『赤馬レイ』を蘇らせる事……それが、零王の真の目的だろう」

 

「「「「…………」」」」

敵の首魁、零王の真の目的を聞いた零児達は言葉を失う…それはあまりにも身勝手で、あまりにも悲しい理由だったからだ…。

 

 

 

 

「俺も父親だから、な…零王の気持ちはよく分かる……俺も、凌牙や璃緒が死にかけていて、それを救う手段があるのなら……絶対に手を伸ばす…!だけど、それとこれは別だ…!」

 

「遊海…」

悲しげな表情で拳を握りしめる遊海…その表情は零王の嘆きに共感し、その所業に怒りを抱いていた…。

 

 

 

「少し、話がズレてしまったが…遊矢、お前はユーゴ、ユーリとできるだけ接触しないでくれ…お前達が出会えば、それだけでズァークの復活が近付いてしまう…現状、それは避けたい」

 

「……わかった」

落ち着きを取り戻した遊海は静かに遊矢に語り掛ける…最悪のタイミングでの『悪魔』の復活を避ける為に…。

 

 

「柚子ちゃん、セレナちゃん…君達は……絶対に、アカデミアに捕まってはダメだ…!本来なら、前線に出て欲しくはないが……君達なら、自分で自分の身を守れると信じている」

 

「は、はい…!」

 

「わかった…!」

遊海の真剣な忠告に柚子達は静かに頷く。

 

 

「黒咲、お前は…必ず妹を助け出してアカデミアから守るんだ……その為に、このカードを渡しておく」

 

「このカードは…『力の集約』?ずいぶん古いカードだな…」

 

「お守りの代わりだ…最悪の事態にはならないはずだ」

 

「支援に感謝する…俺は必ず瑠璃を助ける…!」

遊海からの激励を受けた黒咲は決意を固める…!

 

 

「零児、暴走している赤馬零王を止められるのは…息子であるお前の真っ直ぐな想いだけだ……俺達も全力で支援する、馬鹿親父を一発殴ってやれ」

 

「遊海……感謝する」

そして零児に対しては少し冗談を交え、父との対峙を促す…。

 

 

「それから…零羅、怖い話を聞かせてごめんな?ほら、チョコレート…寝る前には歯を磨くんだぞ?」

 

「……ありがと……」

そして零羅には優しく笑い掛けた遊海はチョコレート菓子を渡す…零羅は小さく笑っていた。

 

 

「俺からの話は以上だ……全ての戦いは、明日で終わらせよう…!」

 

「ああ…!」

翌日の戦いを見据え、遊矢達を激励する遊海…そして、その場は解散となった…。

 

 

 

 

 

「………遊海!1つだけ、聞きたい事があるんだ」

 

「どうした?遊矢」

 

「遊矢…?」

零児達がスタジアムを去る中…遊矢が遊海に問いかける。

 

 

「さっきの話…この次元が出来た時、遊海は爆発に巻き込まれたって…それじゃあ、遊希兄を見つけた時…ボロボロだったのって…!?」

 

「あの傷は…俺がズァークと戦った時に受けた傷だ……だけど、お前は無関係だぞ?遊矢……お前は悪くない」

 

「っ…!!」

遊矢の脳裏に浮かんだのは、瀕死の遊希を見つけた時の事だった……遊矢は、間接的にとはいえ…遊海を傷付けていたのだ。

 

 

 

「遊海…なんで、なんで…俺に優しくしてくれるんだよ…!俺の中のズァークのせいで、ボロボロになって、死にかけて…家族と離れ離れになって!それなのに…!」

 

「はぁ……()()()()()()()()()()…ていっ」

 

あだっ!?」

自分の中に悪魔がいると知り、遊海を傷付けてしまった事で取り乱す遊矢…遊海はそんな遊矢の額にデコピンを喰らわせる。

 

 

「俺の前にいるのはズァークじゃない、お前は榊遊矢!エンタメデュエリスト榊遊勝の息子で…みんなをデュエルで笑顔にしたいって思ってる半熟のエンターテイナーの卵だ!お前はお前、奴は奴!お前はズァークだが、ズァークじゃない!自分を強く持て!」

 

「遊海…」

先ほどとは変わって明るく語り掛ける遊海…その優しさに遊矢の表情は少し明るくなる。

 

 

「俺だって、ズァークを倒したい訳じゃない…アイツも被害者だ…救えるなら、救ってやりたい!きっと、全てを解決できる方法があるはず…!だから…お前はお前の為に、みんなを笑顔にするデュエルをしてくれればいい!わかったな?」

 

「遊海…うん!」

ズァークと遊矢達、双方を救う方法を考える遊海…それを聞いた遊矢は憂いをなくす事が出来たのだった。

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

「ふ、ぅ……みんな、ありがとな…()()()があったら、今の俺は瞬殺だからな……うぐっ…」

 

「遊海さん!!」

遊矢達の背中を見送った遊海が崩れるように倒れ込む…まだ「オーバー・タイム・タイラント」のダメージが抜けきっていなかったのだ。

 

控えていた遊戯達は…万が一、遊海の説明によるショックで遊矢が「逆鱗化」した時に備えた制止要員だったのだ…。

 

 

「遊海…大丈夫なのか…?」

 

「遊馬…大丈夫、一晩寝れば…なんとかなるさ……お前達も、もう休んでくれ」

 

「遊海、1人で背負い過ぎないで…今のきみには、僕達がついてるんだから…!」

 

「ああ!ズァークを助けたいのは、オレ達も一緒だ!」

 

「遊戯…十代……ありがとう、みんな…明日は、頼む…!」

遊海を支える仲間達との「絆」…それが、遊海の力となるのだった…。

 

 

 

 

 

 

「それから………翠、話しておかなきゃならない事がある」

 

「えっ…なんですか?」

遊戯達を見送り、凌牙達を先に行かせ…スタジアムで翠と2人っきりになった遊海…そのタイミングで遊海は…自分が抱えてしまった()()について打ち明けた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊海さんの…馬鹿ぁぁぁっ!!!」

 

 

「ぐっはああああ──!?」

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

《フォーウ…(そりゃ、そうなるよね…)》

 

 

 

 

 

 

【………愛とは、恐ろしいな】

 

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

「ランサーズ各員、準備は済ませたな?我々は…融合次元へと突入する!!」

翌朝、早朝…身支度を整えた新生ランサーズ35名は中央広場へと集まっていた…ついに、出陣の時がやって来たのだ…!

 

 

「あれ…?遊矢、その靴どうしたの?」

 

「ああ、アレンがくれたんだ…アクションデュエルの力にして欲しい…父さんの事を悪く言ってごめんって」

広場に集合した遊矢、その靴は見慣れないモノに変わっていた…それはレジスタンスのアレンが手作りした変形するスケートシューズだった。

 

アヤカが中継した遊矢とエドのデュエル…その中で遊勝の思いを知ったアレンが遊矢へと託したのだ。

 

 

「融合次元に到着次第、丸藤亮が指定したポイント…アカデミアの離反者が集まる場所へ向かう事、それを第一目標とする!アカデミアが事態に気付く前に、一気に打って出る!」

 

「そうか…また『ディメンション・ムーバー』での移動になるのか…少し不安だな…」

零児の確認の言葉を聞きながら、ようやく黒髪に戻った遊海が呟く…遊星や海馬による改良で安定したとはいえ、『ディメンション・ムーバー』の移動は座標のランダム性が高いのだ…。

 

 

《マスター!お待たせしました!次元飛行船、かっとび遊馬号の修理完了です!》

 

「アヤカ?しばらく姿を見ないと思ったら…アストラルを手伝ってたのか……でも、時空嵐のせいで遊馬号は飛べないだろう?」

そんな時、昨夜から姿を見せていなかったアヤカが現れる…どうやら、アストラルと飛行船の修理をしていたらしい。

 

 

《確かに、未だに各次元間は不安定…ですが、フレアが解決する方法を見つけてくれたのです!》

 

「なんだって?」

飛行船を修理したとしても…ARC次元の外周、そして各次元の間にはズァークの力の余波…『時空嵐』が吹き荒れている、その強さは遊海単体による『紋章』の力を使った短距離転移にも影響を及ぼす程…だが、その解決法が見つかったと言うのだ。

 

 

《確かに、この次元を覆う嵐は凄まじいモノです…私単身では突破は難しい…ですが、三幻神が揃っているのなら話は別です!》

 

「そうか…!三幻神の力で一時的にでも『時空嵐』を散らせれば、遊馬号で融合次元まで突っ切れる…!流石だな!フレア!」

 

《ふふっ…ようやく、遊海の力になる事が出来そうです!》

それは遊海だからこそ使える手段…英雄が世界を救う決闘者達の道を切り開く!

 

 

 

 

「それでは…各自、『ディメンション・ムーバー』を───」

 

「待ってくれ、零児…瞬間移動とはいかないが……もっと良い移動法が使えるようになった!これならバラけないで済む!」

 

「何?」

 

「遊海?」

次元移動の用意に入るランサーズ達に遊海が待ったをかける!

 

 

 

「デュエルモンスターズの歴史に輝く、原初の神々よ…その力を開放せよ!現われろ!大地の神!『オベリスクの巨神兵』!!」

 

《グオオオ…!!》

 

「で、でかっ…!?」

 

「うおおおっ!?オベリスクだ─!!」

遊園地近くの海から青き体を持つ巨神、大地の神・オベリスクが現れる!

 

 

「続いて現われろ!天空の神!『オシリスの天空竜』!!」  

 

《ギュアアアアン!!》

 

「あのモンスターは…シンクロ次元の収容所で現れた…!」

 

「オシリスの天空竜…!」

さらに水平線の彼方から…巨大な赤き龍神・オシリスが現れる!

 

 

 

「そして…降臨せよ!太陽の神!『ラーの翼神竜』!!」

 

《キュアアアアア!!》

 

「綺麗…!」

 

「すごい…!三幻神が揃い踏みだ!」

そして遊海の腕から飛び立った金色の鳥が輝き…黄金の光を纏う神鳥・ラーが現れる!

 

 

 

「我が友の下僕たる大いなる神々よ…その力を解き放ち、世界を救う決闘者達へ道を開け!超電導波─サンダー・フォース!ゴッドハンド・クラッシャー!ゴッド・ブレイズ・キャノン!!」

 

遊海の叫びに応え、三幻神に力が集中していく…!

 

 

 

「三神一体…放て!!」

 

《オオオオ!!》

 

《ギュアアアアン!!》

 

《キュアアアアアアア!!》

 

三幻神がそれぞれに攻撃を放つ…3つの力は交わり、螺旋を描き…時空の壁を突き破った!!

 

 

 

 

「そ、空に穴が…!?」

 

「なんという力だ…!」

 

「よし…!遊馬!かっとび遊馬号だ!三幻神の力が時空嵐を一時的に蹴散らした…今なら、使えるはずだ!」

 

「なるほどな…!来い!かっとび遊馬号!!」

 

キィン!!

桁外れの力に驚くランサーズ達…そして遊馬は遊海の言葉に従って「皇の鍵」を掲げる…そして、別次元から無数の歯車が組み合わさったような次元飛行船、かっとび遊馬号が出現する!

 

 

「なっ…!?この船は…!?」

 

「飛行船、なのか…!?どこから出てきた!?」

 

「おおきい…!」

 

「飛行船の修理が終わったのか…!流石だなアストラル!」

 

「そうか、飛行船が飛べるなら…移動手段も確保できる!」

突如として現れた巨大飛行船に驚くランサーズ、一方で凌牙やカイトを始めとしたチームZEXALは飛行船の復活を喜んでいた。

 

「よし!乗り込もうぜ─!」

 

キィン!

 

遊馬の声で乗り込み装置、フラッシュ・トランサーが起動…遊矢達は光となって飛行船に導かれた…。

 

 

 

 

 

 

 

「っ…ここが、飛行船の中なのか…!?私達の次元の技術ではない…それ以上の…!」

 

「すっげぇ…メカメカしてる…」

 

「人間の力でこんなモノが作れるのか…!?」

飛行船に乗り込んだランサーズ達は超技術で作られたコックピットを見て呆気に取られている。

 

 

 

(ようこそ、ランサーズの諸君…この船は次元飛行船、かっとびユーマ号…我々はこの飛行船で世界を渡り、ARC次元へとやって来たのだ)

 

「「ひっ…幽霊!?」」

 

「う、浮いてる…!?だ、誰だよオマエ!?」

その時、ランサーズを歓迎する声が響く…そして現れたのは青白い光を纏い、宙に浮いた少年らしき人物…その姿を見た柚子とセレナは思わず抱き合い、沢渡が足をガクガクと震えさせながら強がっている…。

 

 

(私の名はアストラル…決してユーレイではない、キミ達とは別の次元…高位次元、アストラル世界の使者…そして遊馬の相棒だ)

 

「アストラル世界…?シンクロ次元にいるラプラスと同郷か…!」

 

(そうだ、私の姿はみんなをびっくりさせてしまうからな…普段は姿を隠して、レジスタンスやキミ達の事を支援していたんだ)

 

「怖がって、ごめんなさい…」

 

「(あっ…意外と優しそうだな、あの人…)」

改めてランサーズへと自己紹介をするレジスタンス…チームZEXAL、14人目の勇士アストラル…零児はその姿と出身世界から以前に出会ったラプラスと同郷の存在と知る。

なお、遊矢はアストラルの様子から彼の事をすぐに信じたのだった。

 

 

 

「お、おいおい…!?本当に何なんだよ、お前ら…めっちゃ強い上に別世界の人間までいるって…お前ら、白波遊海を助けに来た救助隊じゃなかったのか!?」

 

「流石に理解しきれないのも無理ないな…なら、改めて名乗らせてもらおうか!」

あまりに理解できない事の連続に思わず取り乱す沢渡…そんな姿に苦笑した遊海は改めて前に出る!

 

 

「俺の名前は白波遊海!此処とは別の世界の最強の称号…『二代目決闘王』の名を背負い、武藤遊戯と共に地球の闇や大邪神と戦い!遊城十代と共に虚無の邪神を倒し!不動遊星と共に冥界の王と破滅の未来を乗り越え!九十九遊馬と共に混沌の神と戦った……世界を何回か守ってきた決闘者(デュエリスト)だ!」

赤い帽子を被り直しながら…遊海は改めて、自分の事をランサーズへと伝える…その経歴は、常人ならば経験できない程の戦いの歴史…。

 

 

 

「さぁ…行こう!全ての戦いを終わらせて、帰るべき場所に帰る為に!」

 

「ああ!かっとび遊馬号…発進!!」

 

遊海と遊馬の号令で飛行船が起動する…そして飛行船は三幻神の開いた異次元の扉を潜り、融合次元へと飛び出す。

 

 

 

最後の戦いが、ついに始まろうとしていた…!





Next Episode…?


4つの次元に分かれた世界、そこには…4人の同じ顔を持つ少年達が存在し、彼らが持つドラゴン達は呼び合う。

まるで…お互いを求め合うかのように…。

 



エクシーズ次元を襲ったアカデミア軍を改心させた遊海と遊矢はついに敵の拠点、融合次元へと突入する。

そこで待っていたのは…英雄と勇者の訪れを待っていた、懐かしき仲間達…。


「十代…」

「待たせて悪かったな!助けに来たぜ!」




そして、最凶のデュエリスト…。



『なに?邪魔しないでくれる?』

「悪いが…お前のお楽しみはここまでだ」



再会する親子



「遊矢…!遊矢なんだな…!?」

「父さん!!」



狂気に落ちた王


【私は…レイを取り戻す…その為ならば…!】

「父さん…!私は…僕は!!」






そして…悪魔は蘇る。


「終わらせよう、ズァーク!お前の哀しい戦いを!俺達が…お前を止める!!」


遊海は…そして、時代や次元を超えて集いし決闘者達は、世界を救う事ができるのか…!




転生して決闘の観測者になった話 第五章 近日執筆開始予定……









「これが…最後の戦いだ!!」
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