転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
融合次元でついに遊勝と再会した遊矢…そして、遊希に託された願いを果たした遊海…彼らの前に現れたのは、デニスだった…!
裏切り者を前にした遊矢は何を思うのか…。
それでは、最新話をどうぞ!
『ハロー♪遊矢!そして…お久しぶりです、遊勝先生…!』
「「デニス!?」」
「貴様…!よくも俺達の前に姿を見せられたものだな…!!」
融合次元で三年振りの再会を果たした遊矢と遊勝親子…そして、遊海が遊希の最後の約束を果たした矢先…ランサーズの裏切り者、デニスが姿を現した…!
「っ…父さん、デニスを知ってるのか?」
「ああ、私がエクシーズ次元にいた時の教え子の1人だ…アカデミアの侵攻直後に行方が分からなくなってしまったが…遊矢はエクシーズ次元で彼と会ったのか?」
「ううん…スタンダード次元で…!デニスはランサーズの仲間だった…でも、本当は…」
「奴はアカデミアのスパイ…!俺達の敵だったのだ…!」
「なんだと…!?」
お互いにデニスと面識がある事に驚く榊親子、遊勝はエクシーズ次元での教え子として…遊矢達はランサーズの仲間…そしてアカデミアのスパイとして…その認識の差に遊勝は目を見開いている…。
『酷いなぁ権ちゃん、一緒にヒーローショーを演った仲じゃないか…』
「それはそれ、これはこれだ…!アカデミアとしてのお前の所業、許す事はできん!」
『あらら…ツレないねぇ』
悲しげなフリをして権現坂へと話しかけるデニス…だが、権現坂は毅然とデニスを睨みつける…!
「しかし…柚子を渡せ、とはどういう事だ…?」
「おじさん、詳しい事はまた後で話します…アカデミア…赤馬零王は私やエクシーズ次元の黒咲瑠璃や、セレナみたいに私に似た顔の4人の女の子を集めているんです…!」
「っ…そうか…!瑠璃の顔を見た事があると感じたのは、そういう事か…!零王…キミはいったい何を考えている…!?」
デニスが柚子を狙う理由が分からない遊勝に柚子が事情を伝える…だが、遊勝は零王の思惑がわからず困惑していた…。
『さぁて…お話はこれぐらいにして…!ギャラリーも連れて来たんだ!遊勝先生、久しぶりにお手合わせをお願いしますよ…!あの時から成長したボクを見てください…!』
「アカデミア生が…!」
「クソっ…!バレてたのか…!!」
デニスの言葉と共に30人を超えるアカデミア生達が現れる…「遊勝塾」の拠点はアカデミアに暴かれていたのだ…!
「デニス…お前のデュエルは派手さばかりに気を取られていたな…その華やかさの中にどれだけ人の心を揺さぶるメッセージを込められるか…!それがエンタメデュエルの極意!それが分からないキミは、まだ本当の意味のエンタメデュエルをできていない……っく…!」
「父さん!まだダメージが…!」
デニスにエンタメデュエルの極意を伝える遊勝…だが、彼は膝をついてしまう…遊海の渾身の一撃によるダメージがまだ回復しきっていなかったのだ。
『能書きは結構…ボクは講義より実習が好きなんだ…!』
デニスはデュエルディスクを構える…だが、遊勝は戦える状況ではない…!
「あのなぁ…デニス、遊勝に夢中になるのはいいが…お前の相手は俺達だけじゃないぞ」
ドガーン!!
「「「「うわあああ!?」」」」
『なっ!?』
遊海が呆れたように呟いた瞬間、デニスの背後で光が弾け…アカデミア生達が吹き飛ばされる!
「その通り、シンクロ次元以降の私達の動きを知らないキミでは無理もないが……ランサーズは力を増し、仲間を増やした……アカデミアであろうと恐れるに足りん!!」
「父さん!教会を包囲してたアカデミアは蹴散らしたぜ!他の奴らはカイト達に任せた!」
『なん、だって!?』
「流石だ、凌牙」
零児の言葉と共に姿を現したのは凌牙、ジャック、海馬…遊馬号に待機していたメンバー達がアカデミア生達を制圧していたのだ。
「デニス、喧嘩を売るタイミングが悪かったな……今の俺達を止められるのは…神様か悪魔だけだ」
『っ!?(1度撤退して態勢を立て直………転移できない!?)』
《スフィアフィールド展開…退路は断たせてもらいました》
一瞬の形勢逆転…分が悪いと見たデニスは転移で逃げようとするが、アヤカによって妨害される…!
『くっ…!?馬鹿な…!』
「どうする?零児…俺が相手してやってもいい「ちょっと待った──!!」ん?」
退路を絶たれ、狼狽するしかないデニス…彼を無力化しようと歩み出る遊海だったが、教会に快活な声が響く。
「お前がデニスか!ようやく会えたな!」
『なんだ、キミは…?』
「オレは九十九遊馬!アレンやサヤカの友達だ!」
快活な声の正体…それは霊体化したアストラルを連れた遊馬だった…どうやら、レジスタンスのアレンやサヤカからデニスの話を聞いていたらしい。
「遊馬…そいつはアカデミアのスパイだぞ、アレンやサヤカは騙されてたんだ」
「そうみたいだな…でもさ、二人ともデニスを心配してたんだ!デュエルが上手かったお前がアカデミアに負けるはずないってさ!」
『二人が…まだ、生き残ってたんだ…』
凌牙の指摘を聞いた上でデニスと向かい合う遊馬…そしてデニスは二人の無事を聞いて安堵しているように見えた…。
「なぁ!今からでも…もう1度、オレ達の仲間にならないか?シャークから舞網チャンピオンシップスの記録を見せてもらってさ!お前、すごいワクワクするデュエルをするじゃん!きっとお前はアカデミアのデュエルよりも、人を助けて
『っ…!?(なんだ、彼は…!?人の心に踏み入って…!)』
デニスの心の核心を突く遊馬…人の機微を見て、本心を見抜く事が得意な彼は…デニスの抱える悩みに本能で気付いていたのだ。
『う、うるさい…!ボクはアカデミアの戦士だ!アカデミアの理想の為に戦うしかないんだ!!』
遊馬の言葉に動揺したデニスは遊馬へとデュエルディスクを向ける!
「なら、お前をアカデミアの呪縛から開放してやる!思い出せよ…デュエルの本当の楽しさを!」
(遊馬、油断はするな…彼はアカデミアでも上位のデュエリストだ)
「分かってる!いくぜ、デニス!」
アカデミアの呪縛に囚われたデニスを救う為、遊馬は立ち向かう!
「『デュエル!!』」
遊馬LP4000
デニスLP4000
「オレのターン!」
「『ゴブリンドバーグ』を召喚!」
赤いプロペラ飛行機に乗ったゴブリンが現れる! ATK1400
「『ゴブリンドバーグ』の効果発動!コイツが召喚に成功した時、自分を守備表示にする事で手札からレベル4のモンスターを特殊召喚できる!来い!『希望皇アストラル・ホープ』!」
現れた3機のゴブリンドバーグがコンテナを投下…その中から光輝く希望の戦士が現れる! ATK0
ゴブリンドバーグ ATK1400→DEF0
「そしてオレは『アストラル・ホープ』の効果発動!1ターンに1度、手札・フィールドのカードを1枚墓地に送る事でデッキから『エクシーズ』『オノマト』『ゼアル』『ナンバーズ』の名を持つ魔法・罠カード1枚を手札に加えられる!オレは手札の『タスケルトン』を墓地に送って『エクシーズ・トライバル』を手札に加えるぜ!そしてオレはレベル4の『ゴブリンドバーグ』と『アストラルホープ』の2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!」
2体のモンスターが銀河へと飛び込み、爆発を起こす!
39
「現れろ!『No.39』!白き翼に希望を託せ!『希望皇ホープ』!!」
銀河から巨大な白い塔のモニュメントが現れ、変形…遊馬とアストラルのエース、白き希望の戦士が雄叫びを上げる! ATK2500
「先攻は攻撃できないからな!オレはカードを2枚伏せて、ターンエンド!」
遊馬LP4000
希望皇ホープ 伏せ2 手札1
『白い戦士のエクシーズモンスター…アカデミアでも噂になっていたよ…!その力を見せてもらおうか!』
「へへっ…かかってこいよ!デニス!」
万全の状況でデニスを迎え撃つ遊馬…彼は楽しそうに笑っていた。
『ボクのターン、ドロー!』
『ボクはスケール2の「Emウォーター・ダンサー」とスケール6「Emファイヤー・ダンサー」でペンデュラムスケールをセッティング!』
PENDULUM!
デニスの背後に青色の衣装の踊り子と赤色の衣装の踊り子が浮かび上がる!
『これでボクはレベル3から5のモンスターを同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!現れろ!ボクのモンスター達!手札からレベル4「Emフレイム・イーター」!「Emハット・トリッカー」!』
ペンデュラムの光が扉を開き、炎を食べる爆弾と実体がない眼鏡と帽子を被った魔法使いが現れる! ATK1200 ATK1100
『そしてボクはレベル4の「フレイムイーター」と「ハットトリッカー」でオーバーレイ!ショー・マスト・ゴーオン!天空の奇術師よ!華やかに舞台を駆け巡れ!エクシーズ召喚!ランク4!「Emトラピーズ・マジシャン」!!』
2体のモンスターが銀河へと飛び込み、爆発…陽気な笑い声と共に空中ブランコで舞台を駆ける奇術師ピエロが現れる! ATK2500
「エクシーズモンスター…でも、攻撃力は『希望皇ホープ』と互角だぜ?」
『ははっ…!お楽しみはこれからさ…!「ウォーター・ダンサー」のペンデュラム効果発動!1ターンに1度、相手の攻撃表示モンスターを守備表示にする!』
「『ホープ』!」
ペンデュラムスケールの青の踊り子が手にしていた杖を振るう、そして放たれた泡によってホープは膝をついてしまう!
希望皇ホープ ATK2500→DEF2000
『さらにボクは装備魔法「ワンショット・ワンド」を「トラピーズ・マジシャン」に装備!攻撃力が800アップ!さらに「ファイヤーダンサー」のペンデュラム効果発動!「トラピーズマジシャン」に貫通効果を与える!』
奇術師が三日月の杖を手にし、さらに炎を纏う!
トラピーズマジシャン ATK2500→3300
『そして「トラピーズマジシャン」の効果発動!ORUを1つ使い、自身に2回攻撃をしなければならない効果を与える!一撃目で「希望皇ホープ」を倒し、二撃目でフィナーレだ!』
「おおっ…!なかなかのコンボだな!」
『何か、作戦でもあるのかな…!バトルだ!「トラピーズマジシャン」で「希望皇ホープ」を攻撃!』
「遊馬!!」
空中ブランコで勢いをつけた奇術師が希望の戦士へと飛び蹴りを放つ!
(どうする?遊馬)
「オレは…永続罠『エクシーズ・トライバル』を発動!このカードがある限り、ORUを2つ以上持つエクシーズモンスターは効果では破壊されない!さらに『希望皇ホープ』は『No.』の名を持つモンスターとのバトルでなければ戦闘破壊されない!」
『なにっ…!?だけど、ダメージは受けてもらう!!』
「くっ…!」
希望の戦士の防御と奇術師の蹴りが衝突…希望の戦士は僅かに押し負け、余波が遊馬に襲い掛かる!
遊馬LP4000→2700
『なかなか厄介な効果を持ってるじゃないか…でも、もう一撃受けてもらうよ!』
「それはどうかな…!『エクシーズトライバル』の効果発動!自分のORUを2つ以上持つエクシーズモンスターが相手モンスターとバトルした後、その相手モンスターを破壊する!」
『なんだって!?』
遊馬の罠カードから光弾が放たれ、二撃目を放とうとしていた奇術師を打ち砕いた!
『くっ…!?ボクはカードを1枚伏せて、ターンエンド!』
デニスLP4000
(Pウォーターダンサー ファイヤーダンサー)伏せ1 手札0
「す、すごい…!デニスをたった1ターンで…!」
「当たり前だ、遊馬はお人好しで…少し抜けた所もあるが、俺達の世界の新たな『決闘王』の名前を背負う奴だからな」
たった1ターンでデニスを追い詰めた遊馬のタクティクスに驚く遊矢…その横で凌牙はまっすぐそのデュエルを見つめていた。
「なぁ、デニス…お前はなんでデュエルをするんだ?」
『ボクがデュエルをするのは、アカデミアの理想の為に…』
「違うって!アカデミアの為とかじゃなくて!えーっと……そうだ!お前はこんなデュエルをしてて
『っつ…!?』
デュエルをしながら遊馬はデニスへと問いかける…「デュエルは楽しいのか」…その言葉はデニスの胸に突き刺さる。
「オレ、エクシーズ次元で戦ったアカデミアの奴らとか、オベリスクフォースにも同じ事を聞いたんだ…色んな事を言う奴らがいた…顔は笑ってる奴もいた…でもさ、心の中では…みんな苦しんでたんだ…!アカデミアに脅されて、洗脳されて、逃げたくても逃げれなくて…!デュエルってさ!そんな苦しいモンじゃないはずなんだ!本当のデュエルは楽しくて、ワクワクして…心の底から笑えるモンだって、オレは思ってる!」
『デュエルは楽しむモノ』…それは遊馬の譲れない信条、デュエルとは魂のコミュニケーション…戦い、ぶつかり合う事でお互いを理解する手段なのだ。
「お前の攻撃を受けてみて感じたんだ…お前は『トラピーズマジシャン』みたいに
『う、うるさい…うるさい!!間違ってるって
「デニス…」
遊馬の言葉にデニスは感情を露わにする…アカデミアの尖兵としてエクシーズ次元に潜入し、セレナに似た少女を探していたデニス…そこで彼は榊遊勝に…彼のエンタメデュエルに出会った。
それはアカデミアで娯楽のない生活をしていたデニスに大きな衝撃を与えた……その思いは、歪んだ形とはいえ…彼の中に残っていた…。
「オレが戦ってきたアカデミアの奴らは融合召喚以外は使わなかった…でも、お前は違う…融合よりも
「オレのターン!ドロー!!」
「いくぜ!オレは『RUM-ヌメロン・フォース』を発動!このカードはフィールドのエクシーズモンスターをランクアップさせ、カオスエクシーズに進化させる!オレは『希望皇ホープ』1体でオーバーレイネットワークを再構築…カオスエクシーズチェンジ!!」
遊馬が手にしたのは希望の1枚…正しきカオスがフィールドを埋め尽くす!
39
「現れろ!『CNo.39』!未来に輝く勝利を掴む!重なる思い、繋がる絆が未来を変える!「希望皇ホープレイ・ヴィクトリー」!!」
白き希望が赤と白のヒロイックな鎧を纏う…この姿こそ、遊馬とアストラルの絆の象徴…ホープレイ・ヴィクトリー! ATK2800
『カオスエクシーズ!?なんだ、そのモンスターは!?』
「これが、オレ達の未来を切り拓く力だ!『ホープレイヴィクトリー』でデニスにダイレクトアタック!」
『っ…無駄だ!罠カード「
「『ホープレイヴィクトリー』が攻撃する時、相手は魔法・罠カードを発動できない!ホープ剣ビクトリー・スラッシュ!」
『うわあああ!!?』
2本のホープ剣がデニスを弾き飛ばす!
デニスLP4000→1200
『ぐううっ…!すごい、一撃だ…だけど…まだライフは残ってる…!次のターンで…!』
「まだだ!オレは罠カード『かっとビング・チャレンジ』を発動!このターンバトルしたエクシーズモンスター『ホープレイヴィクトリー』はもう1度攻撃できる!」
『なにっ!?』
次のターンの逆転を狙うデニス…だが、遊馬のタクティクスはその上をいく!
「受けてみろ!『ホープレイヴィクトリー』でダイレクトアタック!ホープ剣ダブル・ビクトリー・スラッシュ!!」
『ぐっ…!?うわああああ…!!』
ホープレイヴィクトリーの第三・第四の腕が展開…4本のホープ剣の剣圧がデニスを吹き飛ばし、デュエルの決着をつけた…!
デニスLP0
遊馬WIN!
《フォウ!(遊馬の勝ちだ!)》
「遊馬…少し見ないうちにまた強くなったな、次に戦ったら負けるかもな…負けるつもりはないけど」
「もう…こんな時に意地張らないでください!」
「あいてっ…」
遊馬の危なげない勝利に歓声が上がる、そんな中で遊海は強くなった遊馬の実力を褒めていたが…余計な事を言った事で翠に小突かれていた。
「九十九遊馬…彼のデュエルはすごいな…」
「えっ…?」
遊馬とデニスの決着を見届けた遊勝が静かに呟く…。
「デュエルの中でデニスの抱える悩みを見抜き、自分の本心を隠さない…素直な言葉で相手に訴える…そして、彼は心の底からデュエルを楽しみ、向かい合っている……遊希のデュエルと似ているな」
「───記憶がなくても…仲間との『絆』が、遊海を……遊希兄を守ってたんだよ…きっと…!」
遊勝の言葉に遊矢が応える…記憶がない間の遊希のプレイングスタイルは…仲間達の『絆』に影響されていたのだと…。
『そんな…ボクが、こんな負け方を……ああ、でも…なんだか…清々しい気持ちだ…』
「そうだぜ、デュエルってのは楽しくて…スカッとして…でも、たまに悔しくて…そういうのを全部ひっくるめてデュエルなんだ!戦争や、人を傷つける為に使うのは…絶対に間違ってる!」
『遊馬…』
倒れ込んだデニスに遊馬が話しかける…その表情は穏やかで、敵だった者に向ける表情ではなかった…。
「──デニス、キミがアカデミアの者としてエクシーズ次元を混沌に陥れ、遊矢達を裏切ったのは真実なのだろう……しかし、エクシーズ次元でキミが私から必死にエンタメデュエルを学んでいたのもまた
『遊勝先生…』
「これからキミが歩むのは
そして…同じく遊勝もデニスに話しかける、エンタメデュエルを教えた師匠として…道を違えた弟子を救う為に…。
『それは、できない相談です…!』
「「「デニス!」」」
倒れ込んだデニスに手を差し伸べる遊勝…だが、一瞬俯いたデニスはその腕を払い除け、バク転で遊馬達から距離を取る…!
『ボクは、黒咲や遊矢を…ランサーズを裏切った人間だ…!今さら、どんな顔をして…
「デニス…」
遊馬達から距離を取ったデニスの目元から涙が溢れる…彼も後悔していたのだ、エクシーズ次元を戦場にした事を…遊矢達を裏切った事を…。
『……瑠璃とリンは、アカデミアの東の塔と西の塔…太陽と月の塔に分かれて閉じ込められてる…これは、プロフェッサーの最高機密……これでボクは、アカデミアへも帰れなくなった…』
「っ…デニス!やめろ!!」
「遊矢…ランサーズとして一緒に過ごした日々や、舞網チャンピオンシップスで一緒にデュエルできた事……本当に楽しかった…!きみ達が二人を助けられる事を祈ってる!』
アカデミアの最高機密を遊矢達へと明かしたデニスは吹っ切れたように笑いながら、デュエルディスクのカード化装置を自分へと向ける…!
『ボクが見せる、最後のエンタメ…!この身が見事カードに変わりましたらご喝采──!!』
「はぁ…させるかよ!バーカ!」
『うぐっ…!?』
「あっ…!!」
カード化装置のスイッチを入れようとしたデニス…だが、その腕をどこからか飛んできた金属の輪が弾き飛ばし、さらに現れた人影がデニスを押さえつけるように押し倒した!
「真月!」
「ずいぶんとタイミングがいいじゃねぇか、ベクター…
「へっ…行き場をなくしたスパイがやる事なんて決まってるからなぁ…まっ、
現れたのは黒い皮ジャケットを着た、オレンジ色の髪の少年…ベクターだった。
『う、ぐ…!離せ…!ボクには、これぐらいしか、罪を償う方法が…!』
「まぁまぁ…そんなに生き急ぐなよデニスちゃ〜ん!オレ達はもうカード化を解除する装置を持ってたりするんだよねー……カードになっても、次の瞬間には元通り!ってな?」
『はっ…?そんな、事…できるはずが…!?』
「それができちゃうんだなぁ、これが!オレ達の仲間には優秀な人工知能とか、メカニックとか博士がいてなぁ…決死の覚悟が無駄になって…どんな気持ち?」
『ははっ…すごいね、ランサーズは……最初から、勝ち目なんてない訳だ…』
押さえ込まれたデニスに真月が語り掛ける…カード化が無駄に終わった事を知ったデニスは力なく笑うしかなかった…。
「で、ここから相談…というか、提案なんだけどよ?死んだつもりなら…いっその事、もう一度ランサーズに入るってのはどうよ?今なら〜…なんと!エクシーズ次元総司令官だったエド・フェニックスと伝説のデュエリスト!カイザー亮と一緒に戦えるぜ?」
『はっ…??』
真月の口から語られたビッグネームにデニスの目が点になる。
「デニス、我々ランサーズはレジスタンスと共にアカデミアのエクシーズ次元軍を制圧し、和解した……ランサーズにはセレナと素良に加え、エドと丸藤亮…彼らも加わっている……エクシーズ次元に残っているアカデミアはエクシーズ次元の復興作業中だ」
「……お前達が置かれていた状況は聞いた……お前が瑠璃を誘拐した犯人の1人である事は変わらない……だが、心を入れ替えると言うなら……遊矢の手を取れ」
『零児…黒咲…』
零児の言葉と黒咲の赦しを聞いたデニスは目を丸くする…ランサーズはアカデミア軍と和解し、融合憎しだった黒咲も歩み寄る姿勢を見せている…それは俄かには信じられない事だった…。
「実を言うとよぉ…オレも昔は仲間を裏切った事があってなぁ…まぁ、切った張ったの大立ち回りして……最後には見事にやられたんだが…なんだかんだで許してもらってよ!今は正義の決闘者の一員さ………お前、仮面を被るのが得意なんだろ?なら…もう一枚仮面を被ってた事にすりゃいい!アカデミアを正す為の『正義』の仮面をよ…」
『………』
「真月…」
かつて、遊馬や凌牙を苦しめた
「デニス、オレもさ…舞網チャンピオンシップでお前と出会えて…一緒にエンタメデュエルができる
『遊矢…』
デニスの背中を押すように、遊矢が自分の思いを伝える…。
「デニス!かっとビングだ!」
『かっとびんぐ…?なんだい?それ…?』
そんな時、遊馬が自身の信条…かっとビングをデニスへと伝える、それは…どんな苦難にも負けなかった遊馬の支えとなっている言葉…。
「かっとビングってさ、オレの一番大事な言葉なんだ!どんな時でも諦めないで、勇気を持って一歩を踏み出す!それで失敗して挫けても…何度でも困難に立ち向かう!それがかっとビングだ!」
『かっとビング…諦めない心……まさに、今のボクの為にあるような言葉だね…』
遊馬のかっとビング…諦めない心を伝えられたデニスは静かに立ち上がる…。
『……遊矢、ボクはアカデミアの人間として…許されない事をした……こんなボクでも、もう一度…
「っ…!もちろんさ!アカデミアと一緒に戦おう!デニス!!」
『───ありがとう、遊矢…!』
遊矢と涙目のデニスは静かに握手を交わす…一度は断たれてしまった絆は再び結ばれたのだ…。
「ありがとな!真月!お前がデニスを止めてくれて助かったぜ!」
「へっ…これからアカデミア本隊とかズ……
真月の見事な活躍に礼を伝える遊馬…素直ではないが、真月は照れくさそうに笑っていた。
「流石の遊馬だな、デニスの説得を成功させるとは…かっとビング・カウンセリング恐るべし…それに、真月も丸くなったなぁ…」
遊馬達によるデニスの説得・カウンセリングを見ていた遊海は感心していた、ほぼ初対面のデニスの悩みを解決した遊馬も流石だが……真月が助けに入った事も意外だったのだ。
「さて…次はアカデミアに乗り込むだけなんだが……何か忘れてるような…?」
そんな時、遊海は記憶に引っ掛かりを覚える…
「バトル!『覇道星シュラ』で『古代の機械猟犬』を攻撃!!」
【【【ぐわあああ!?】】】
「なんだ!?」
「オベリスクフォース!?」
『あっ…しまった、
その時、教会の中に人影が吹き飛んでくる…それは何者かに倒されたオベリスクフォースの3人組だった、突然の事に遊矢達は驚いていたが…デニスは冷や汗を流している…。
「自分を呼ぶのが遅いぞ、デニス・マックフィールド……カタはついてしまったようだがな」
「お前は…勝鬨!?なんで融合次元に!?」
オベリスクフォースが強制転送される中、新たな人影が現れる…それは遊矢にとって因縁あるデュエリスト──スタンダード次元にいるはずの梁山泊塾の武闘派、勝鬨勇雄だった。
『あ、あはは……いや、遊矢対策にスタンダードでスカウトしたんだよね……彼なら、遊矢が融合次元に来た時の相手になるなって………』
「デニス!?」
『ソーリー!ごめんね!!』
困ったように笑うデニスの言葉に遊矢は驚愕する…デニスはアカデミアの人間としてやる事はやっていたのだ。
「榊遊矢…!」
「勝鬨…!」
真剣な表情で遊矢に詰め寄る勝鬨…思わず戦闘態勢を取る遊矢だったが──
「すまなかった!!!」
「えっ…!?」
「なっ…勝鬨が、頭を下げた…?」
「ど、どういう事…?」
教会に響いたのは打撃音ではなく…勝鬨の
「自分は…一方的に、何も知らないお前の事を逆恨みして…八つ当たりのようなデュエルをしてしまった…!自分の愚行を、許して欲しい…!!」
「えっ…えっ…??」
勝鬨による謝罪に戸惑う遊矢…それは周りの人間達も同じだった。
「いったい何があった…?梁山泊塾のスタンスであれば、所属デュエリストが相手に頭を下げるなど…」
「フン、遊海は報告をしていなかったようだな……零児、梁山泊塾は休校中だ……塾長、郷田川梁山による行き過ぎた修行による体罰やイジメ、授業料の横領…諸々の問題が判明してな」
「なっ…!?白波遊海、お前は何をした!?」
「何って…郷田川梁山を相手に特殊勝利・バーン、そして真正面のバトルでボコボコに倒して…『隠し事を暴く』罰ゲームをしただけ………ああ、忘れてたのはこれか…スッキリした」
「そこまでやってたんですか!?」
梁山泊塾の生徒である勝鬨の謝罪に驚く零児に海馬が梁山泊塾休校の事実を伝える…そして遊海の未報告の行動に唖然としていた…。
なお、翠も遊海からは軽く『梁山泊塾の塾長を倒した』程度しか聞いていなかった為、驚愕している…。
「……白波遊海によって塾長が倒され、闇の道を歩く必要はないと知った…そして、8年振りに再会した両親に泣かれたのだ…『人を傷つけるデュエリストにはなってほしくなかった』と……どうやら、前から塾長にも話し、手紙も送られていたが……握り潰されていたらしい…」
「勝鬨…」
それは遊海のもたらした『光』…子ども達の希望を束ねた『決闘の守護者』の一撃が勝鬨の心に良心の心を取り戻していたのだ。
「それじゃ…なんで、融合次元に…?」
「カードにされた仲間の仇討ち…そして、ランサーズの力になる為だ……自分は次元を行き来する手段はなかったからな…デニスの提案は渡りに船だった」
『あっ…ボク、結局裏切られる予定だったのね……しょんぼり』
「ハハハ!落ち込むなって!スパイあるあるさ…オレも裏切った後に味方に殺られたからなぁ!」
勝鬨の裏切り宣言にがっくりと肩を落とすデニス…その肩を叩かれながら真月に慰められている…。
「白波遊海…改めて、貴方に感謝を……貴方のデュエルと言葉のおかげで自分を含めた梁山泊塾の生徒達は救われ、正道に戻る事ができた……感謝する」
「俺はキッカケを作っただけさ…仁義を重んじる、良い意味の武闘派デュエリストなってくれよ?」
「精進させてもらう…!」
改めて遊海へと感謝を伝える勝鬨…彼に遊海は優しく応えたのだった…。
「榊遊矢…次元戦争が片付いたら、もう一度…自分とアクションデュエルをして欲しい……今度こそ、真正面からお前に勝ってみせる!」
「勝鬨…望む所だ!」
遊矢へと拳を突き出す勝鬨…遊矢は笑いながらその言葉に応えたのだった…。
「梁山泊塾の生徒とこんな関係になるとは…遊矢、お前も自分なりのエンタメを磨いていたんだな…」
「──元はと言えば、お前が失踪したせいだから…な!!」
「ぐはっ!?」
「おじさん!?」
遊矢と勝鬨の姿を見て訳知り顔で頷いていた遊勝だったが…遊海に容赦なく拳骨を落とされるのだった…。
…………
「さぁ、後顧の憂いはなくなった…ランサーズはアカデミア本島に急襲を仕掛ける!!」
「「「おう!!」」」
「みんな…!頑張って…無事に帰ってきて欲しいんだな…!!」
「大丈夫ッス!僕達には十代の兄貴や遊海先生が付いてるッス!」
「ああ…!待ってろよ!プロフェッサー!!」
隼人や遊勝塾の見送りを受けながら、ランサーズはアカデミア本島へと出立する…次元戦争の最終決戦は間近へと迫っていた…!
気まぐれアンケート 遊戯王の『裏切り者』と言えば?
-
アクナディン
-
大徳寺先生(アムナエル)
-
レクス・ゴドウィン
-
ベクター(真月零)
-
デニス
-
Ai
-
それ以外