転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
「………終わった、の…?」
「……ああ、哀しき災厄…ズァークはたお……いや、救えた…これで、全部解決だ」
金色の粒子と共にズァークの魂が消え、静寂に包まれたバルコニーに柚子の呟きが響く…その言葉に白銀の鎧を纏った遊海は静かに頷いた。
キィン─シュウウ……
「うべっ!?イタタ…」
「っ…!遊矢!!」
そして変化は続く…バルコニーに墜落していた『覇王龍ズァーク』が消滅、取り込まれていた魔人ズァーク…否、遊矢は床へと投げ出され、異形となった姿も元通りの…上半身裸の少年の姿に戻っていく…。
「遊矢!大丈夫か!?」
「遊矢!!」
「遊矢…無事で…無事でよかったぁぁ…!!」
「みんな…迷惑かけて、ごめん…」
そして、遊勝と権現坂、零児が駆け寄ってくる中、遊矢は号泣している柚子に抱き締められる…そんな中で遊矢は申し訳なさそうに俯いていた。
「気にする事はないよ遊矢君…僕達も悪い奴に洗脳されたり、操られたりして暴れちゃった人を知ってるしね!」
「遊戯さん…」
罪悪感を抱く遊矢に遊戯達レジェンドも歩み寄る…ズァークとして暴れてしまった遊矢をカバーする為に。
「っていうか…遊海も1回あるしな!エラー?って邪神に取り憑かれちまって大暴れしたんだぜ?あの時は大変だったなー」
「それを言ったらティエラの件もあるぜ?オレもぶっ飛ばされて、精霊界1つ壊しかけて──」
「おいおーい!このタイミングでそれを言うなって!!その件は完全に不可抗力だからな──!?」
「ぷっ…ははは……遊海って、本当にすごいんだな…」
かつて遊海が大暴れした所謂『黒歴史』を話す遊馬と十代、その様子を見た珍しく遊海は慌てていて…その様子を見た遊矢は思わず噴き出してしまった。
「遊矢、人間誰しも失敗するもんだ……ちょっと苦労するかもしれないが…しっかり乗り越えるんだぞ?」
「遊海…うん!」
肩の力が抜けたらしい遊海が優しく遊矢に笑いかける…その言葉にズァークの呪縛から開放された遊矢は明るく頷いた。
「遊海さん─!!」
「うおっとと!?心配させてごめんな、翠…」
「もう…!本当ですよ!」
そしてひと息ついた遊海に勢いよく翠が抱きつく、1つのミスが命取りとなるデュエルで翠は心配しっぱなしだったのだ。
「でも、無事に戦いが終わってよかった…それに、今の遊海さんの姿、とってもカッコいいです!!」
「ん?…あっ、本当だ…めっちゃキラキラしてる…!?デュエルに夢中で気付かなかった…」
「ええー…」
《フォウ?(天然かな?)》
翠に指摘された遊海は改めて自分の状態を確認する…ズァークを止め、遊矢達を救う為に新たな場所へと到達した遊海は今までにない状態となっていた…。
「父さん…体は大丈夫なのか?」
「ん………大丈夫、特に問題はないさ…もう戦いも終わったからな…逆に、今ならなんでもできそうなくらいさ!」
「大丈夫なら、良いけどさ…」
そして凌牙が遊海に体調を訊ねる…遊海は力こぶポーズをしながら元気に応えた…。
「あの…遊海、さん?ユートは…ユートはどうなったんですか…!?」
「ユーゴは…!?戻ってきたのは遊矢だけじゃないですか!」
「あっ…!?」
その時、戸惑いながら瑠璃とリンが問いかける…ズァークは倒された……だが、戻ってきたのは遊矢1人だけ…ユート、ユーゴ、ユーリの姿はなかったのだ。
「ズァークは遊矢達4人が1つになった事で復活した…だから、3人は遊矢の中にいるはずだ…遊矢、感じるか?」
「────うん、なんとなく…3人とも意識がないみたいだけど…オレの中にいる、っていうのは感じる」
「でも…1人になったなら、もう…」
己の中に3つの存在を感じ取る遊矢…だが、その言葉を聞いた柚子は表情を曇らせる…。
「心配するな、
「う、うん…?」
悲しげな柚子達の顔を見た遊海は遊矢の胸に手を当てる、そして…
キィン─!
「うわっ!?なんか出てきた!?」
「えっ…アストラル!これって…!?」
(間違いない、色は違うが…『ヌメロン・コード』だ…!)
遊矢の胸から赤い光を放つ何かが現れる、そして遊馬とアストラルはすぐにその正体に気付いた、それは全能の力──『ヌメロン・コード』なのだと…。
「『ヌメロン・コード』…?」
(この世界の過去・現在・未来が記され、それを書き換える事ができる『全知全能のカード』だ…だが、これは…)
「おそらくだが…ズァークの力、『エン』シリーズの力、『ヌメロン・コード』の力が干渉してARC次元が誕生した時、『ヌメロン・コード』の残滓が形になったんだろう…たぶん、ペンデュラム召喚が生まれたのも…この力が遊矢の中にあったからだ」
「そんな力がオレの中に…」
零児の疑問に答えるアストラルに遊海が補足する…ARC次元創世時の力の一端が『ヌメロン・コード』としてズァーク、そして分裂した遊矢達に宿っていたのだと…。
「でも…なんか
「あっ…確かに…」
遊海の手の中で組み変わる「ヌメロン・コード」を見た十代が異変に気付く…「ヌメロン・コード」が半分に欠けていたのだ。
「ああ、この力は
キィン─
「あっ…!?」
「遊海さんの胸の中から、青い『ヌメロン・コード』が…!」
穏やかな遊海の言葉と共に、遊海の胸から光が飛び出す…それは遊海に欠けて宿っていた『ヌメロン・コード』…その半分だった。
【そうだ、ズァークと遊海はこのARC次元の『創造主』とも言える…その2人に『全能の力』が宿るのは道理というものだ】
「……そうか、だからエクシーズ次元の時間を巻き戻した時に1年も戻せたのか…父さんの中に半分とはいえ、『ヌメロン・コード』の力が宿ってたから…!」
「…ズァークがこの力に気づかないでよかったね……あれでドローカードを創造する『シャイニングドロー』を使われたら、僕達は勝てなかったかもしれない…」
遊海の中から現れたドン・サウザンドが遊海に宿った経緯を伝える、それと同時に遊戯達は背筋が冷えた…ただでさえ強いズァークが『全能』の力を使い熟せていたら、という『もしも』を考えてしまったのだ。
(……手は出させないぞ、ドン・サウザンド)
【フン…今さら『ヌメロン・コード』にこだわるほど、我は愚かではない…それに、その欠片には全宇宙を書き換えるほどの力もないからな】
『全能』の力を前にドン・サウザンドに睨みを効かせるアストラル…だが、ドン・サウザンドはつまらなさそうに遊海の中に消えていった。
「アストラル、もうそんなに…ドン・サウザンドの事は気にしなくていいんじゃないか?」
(…そうかもしれないな……我々はもう、敵対する必要はないのだから…)
その様子を見ていた遊馬がアストラルを宥める…アストラルも変化したドン・サウザンドの様子を見た事で警戒度を下げる事に決めたのだった。
「さて…この2つを合わせれば──」
キィン─!!
「すごい…」
「2つの『ヌメロン・コード』が1つに…!」
遊海の手の中で『ヌメロン・コード』が完成する…神秘的な光を前に一同は目を奪われている…。
「『ヌメロン・コード』……いや、ややこしいから…アーク・ヌメロン……語呂が悪いな…『
「レイが…!良かった…!良かったな!レイ!!」
《………うん…》
ARC次元の『ヌメロン・コード』──『ヌメロン・ピース』を完成させた遊海が解決策を告げる…その言葉を聞いた零王は嬉しそうにアストラル体のレイに声を掛けた。
ズズン…ゴゴゴ!!
「っ…なんだ!?地震!?」
「いや…!?地面じゃない…空気が…
穏やかな明るい雰囲気に包まれるランサーズ…その時、突如として地面…否、
《っ…大規模な時空震を確認!先程の『覇王龍ズァーク』と『ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン』の戦闘の余波と思われます!!》
「っ…しまった…!流石に攻撃力88000はやり過ぎたか!?」
「「「ええっ!?」」」
アヤカが大規模な時空震の発生を計測する…『理屈を超えた力』である『CiNo.1000』の召喚や『虚無の神』であるダークネスの消滅、そして『覇王龍』と『ゴッドアイズ』の衝突…様々な要因が重なって次元に歪みが発生、ARC次元全体に大規模な揺れが起きていたのだ…!
「ちょっ…!?それって大丈夫なのか!?」
「…大丈夫!『ヌメロン・ピース』を使えばすぐに収まるはずだ…だけど……遊馬!十代!お前達は遊馬号に避難してくれ!『ヌメロン・ピース』は『ARC次元』の存在にしか効果がないみたいだ!避難していてくれ!」
(っ…了解した!)
万が一の被害を防ぐ為、遊海は遊馬達『DM世界』から来たメンバー達に避難を促す。
「ランサーズ!お前達は各次元出身者ごとに固まっていてくれ!念の為に各次元に送り返す!融合次元のメンバーはバリアを張るからその中に!」
「分かった…!遊矢!柚子!」
「う、うん!!」
「遊星!」
「分かってる!リン!お前も来るんだ!」
「瑠璃!」
「うわわっ!?揺れが激しくなってきたッス!?」
「翔!早く!!」
遊海の指示に従って各々が避難を始める…未だに世界は揺れ続けている…!
「翠、お前も避難を──」
「私は大丈夫です!遊海さんの近くが一番安心だって分かってますから!」
「まったく…そんな事言われたら、ミスできないじゃないか…するつもりはないけどな!」
《フォウ!?(惚気けてる場合!?)》
翠にも避難を促す遊海…だが、翠は笑顔で遊海へと寄り添う…その様子を見た遊海は苦笑していた。
「お前達、目を閉じてろよ!『ヌメロン・ピース』の光で目がやられるかもしれないからな!」
「わ、わかった!!」
「よし…『ヌメロン・ピース』…起動!」
キィン!!
DM世界組の避難を見届けた遊海が残ったランサーズ達に注意を促す…そして、『全能』の光が周囲を照らす…。
「遊矢…」
「大丈夫…!遊海が送ってくれるんだ、必ず帰れるよ」
眩い光の中で柚子が隣に立つ遊矢の手を握り締める…幾度となく遊海に助けられた遊矢は安心した表情でいたが…。
ドクン!!
「っ!?遊海さん!!」
「えっ…!?」
眩い光の中から遊海に寄り添っていたはずの翠の悲鳴が響く、そこで遊矢が目にしたのは───
「───くそ……流石に、
「っ!?遊海!!」
「ああ、もう……肝心な、時に………すまん、遊矢───」
「ゆ、遊海──!!」
そして、世界は光に包まれた…。
気まぐれアンケート ここまでのARC-V編で1番良かったのは?
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1章(スタンダード編)
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2章(舞網チャンピオンシップ編)
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3章(シンクロ次元編)
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4章(エクシーズ次元編)
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5章(融合次元編)
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全部!