転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
フィールド・モンスター・デュエリストが一体となったこのデュエルは、人々を熱狂の渦に巻き込んだ──
プロローグ──躍動決闘都市 ペンデュラム・舞網──
「うわあああっ!?寝坊したぁぁ!?」
朝の舞網市にとある少年の叫びが響き渡る、寝坊したらしい彼はドタバタと出掛ける準備を整える…。
「
「もぐもぐ…
母親…洋子に予定を伝える遊矢、朝ご飯のパンケーキを詰め込んだ彼は電動ローラースケートで街中を駆けていった…。
「………して、この状況は…いったいどういう事だ?」
「どう…って言われてもなぁ…」
「……何が起きたのか、僕達にもわからないよ」
舞網市、海馬コーポレーション社長室…そこには数人の決闘者達が集まっていた。
社長である海馬瀬人、許嫁の紗良、副社長のモクバ、そして遊戯、城之内、本田、杏子、孔雀舞…遊海を助ける為に冥界からスタンダード次元に転生してきたDMのレジェンド達である。
「私達、みんなの帰りを待って此処にいたはずなのに…地震が起きたと思ったら、気付いた時には…家で寝てて…」
「アタシもそうさ…しかもなんだい?ここに来る前にウチの塾に寄ってきたら『ペンデュラム』デッキを使ってる子がいたんで驚いたよ!」
「オレもここに来るまでに『ペンデュラム』カードを使ってデュエルしてる奴を見たぜ?」
そして、彼らは『異変』に襲われていた…それまでは極少数しかいなかったはずのペンデュラム使いのデュエリスト達が突如として増加…さらに、『とある事件』以降の記憶が舞網の人々から忘れられていた…。
「遊戯、オレ達はお前らが『覇王龍ズァーク』を倒した所までは覚えてるんだ…融合次元で何があったんだよ?」
「……遊海君がズァークの分身…遊矢君やユート君達を救う為に全能の力、『ヌメロン・コード』の欠片の力を使おうとしたんだ…そしたら…」
「俺にも
「仕方ねえよ!!……ズァークと戦うまでに無茶しすぎたんだ…!」
モクバの問いかけに遊戯達が事態の顛末を思い出す…。
遊海・遊戯・十代・遊星・遊馬・アストラル、そしてアテムと榊遊矢…歴代の『選ばれた決闘者』達の『絆』と人々の『希望の祈り』によって2つの『世界』に混乱を齎した『哀しき悪魔』ズァークは倒された…だが、それまでの戦いの余波によって時空の歪みが世界を揺らす時空震となって4つの次元へと襲いかかった。
甚大な被害を齎しかねない時空震を収める為に全能の欠片『ヌメロン・ピース』を使おうとした遊海…しかし、それまでの無茶が祟り吐血…だが、そんな状態で遊海は世界を守る為に『世界の書き換え』を発動した、が…───
「『書き換え』とやらにどのような手順が必要かは分からんが…それが中途半端になったに違いない…!」
「遊海は…翠ちゃんはどうなったの…!?」
「分からない…少なくとも、スタンダード次元の中にはいないみたいだ…」
「遊海…ちくしょう…!せっかく、全部ハッピーエンドだったのによぉ…!!」
何らかの理由で『書き換え』は不完全な状態で停止、遊海と翠は行方知れずとなってしまった…。
行方不明になった遊海と翠を案じる一同…そんな時だった。
『瀬人様、レオコーポレーションの赤馬社長からテレビ電話です』
「むっ…繋げ」
社長秘書の磯野がレオコーポレーション──赤馬零児からの連絡を取り次ぐ、それを聞いた海馬はモニターに繋ぐように指示を出した。
【忙しい所すまないな、海馬…単刀直入に聞くが…
「無論だ、我らの精神力を舐めるな」
【そうか…ならば安心した】
挨拶もそこそこにズァークの件を切り出す零児…その様子に海馬は腕組みしながら応える。
【おそらくは白波遊海による全能の力…『ヌメロン・ピース』の使用によってスタンダードは『ペンデュラム次元』と言うべき世界へと変化した、だが…
「フン…良いだろう、何をするつもりだ?」
【───舞網チャンピオンシップを
「バトルだ!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』で『覇道星シュラ』を攻撃!!」
『アクションカードを──しまった!?既に使い切って…!?』
舞網市のとある河原にデュエルの音が響く、そこではアクションフィールド『クロス・オーバー』の中で2人の少年がしのぎを削っていた…。
『ならば…!罠カード「封魔閃光」を発動!自分の使用していないモンスターゾーンを封印し、1枠につき攻撃力を800アップさせる!さらに、このバトルの後に効果対象になった「覇道星シュラ」は破壊されるが、相手の他のモンスターは守備表示となり、このターンの終わりにお互いに封印したモンスターゾーン1枠につき500ダメージを受ける!これで終わりだ!』
「いや、お楽しみはこれからだ!罠カード『アクロバット・タワー』を発動!フィールドの『EMパイロブスター』をリリースして、お互いのプレイヤーは2枚ドローして、墓地に送る…そして、そのモンスターのレベルの合計によって効果が決まるんだ!」
デュエルもクライマックス…遊矢とデュエルしていた
「ドロー!」
『ドロー!!』
お互いにカードをドローする遊矢と勝鬨…その結末は───
「私がドローしたのはレベル3の『EMディスカバー・ヒッポ』とレベル3の『EMビッグバイト・タートル』!」
『自分が引いたのは──レベル5「地翔星ハヤテ」とレベル5「天昇星テンマ」!』
「ここで『アクロバットタワー』の効果発動!自分のドローしたモンスターのレベルが相手より低い時、相手はお互いのフィールドと墓地のモンスター1体につき200ダメージを受ける!」
『なんと…!?うおお〜!?』
バランスの崩れたボールの塔が勝鬨に向かって倒れ、ド派手な煙の爆発がフィールドを包み込んだ…。
「勝鬨!大丈夫か?」
『ああ…結局、負けてしまったな…だが、楽しいデュエルだった』
「そっか…なら良かった!」
倒れ込んだ勝鬨を助け起こす遊矢…負けた勝鬨も晴れ晴れとした表情だった。
『────遊矢、
「えっ…?いや、そんな事はないけど…」
『そうか…?自分はお前の
「ドラゴン…って言っても、オレのドラゴンは『オッドアイズ』だけだしなぁ…?」
しかし、勝鬨は小さな
「あっ…いけね!もう行かなきゃ!またな!勝鬨!!」
『ああ、気をつけてな』
デュエルディスクで時間を確認した遊矢は勝鬨と別れてローラースケートで走っていった…。
『………自分と遊矢は…
「…塾長」
「ん…ああ、遊矢か…いつもすまんな…」
舞網市の病院…その一室に遊矢はやって来ていた、その部屋には普段ならハイテンションと熱血指導がトレードマークの『遊勝塾』塾長、柊修造の落ち込んだ姿があった…。
「
「ああ…柚子…!どうして
2人は悲しげな様子でベッドを見る…そこには
「お医者さんは体には何も異常はないと…何故だ…なんでなんだ、柚子…!!」
「塾長…」
眠り続ける柚子の前で拳を握り締める修造…原因不明の昏睡状態が続く柚子に何もしてやれない自分が不甲斐ないのだ…。
「…塾長!そんな顔してたら柚子のハリセンが飛んでくるよ?『しみったれた顔するな』!って…きっと、目を覚ますよ…!」
「そうか…そうだな…!よし!!今日も熱血指導でデュエルを教えるぞ!フトシ達を遊勝先輩のような立派なエンタメデュエリストにする為に!!」
遊矢の励ましを受けた修造が気合いを入れ直す…眠り続ける柚子に心配をかけないように…。
「柚子…待っててくれ、必ず助けるから………
眠り続ける柚子の手を握る遊矢…だが、その思考に…遊矢自身は違和感を感じた…。
「っつ…!?ゆ、遊矢!大変だ!これを見ろ!!」
「うわっ!?いきなりどうしたの!?」
2人で遊勝塾へと向かう遊矢と修造…その時、デュエルディスクに届いたメールを見た修造が顔色を変えた…!
「これって、LDSの!?」
「
「う、うん!!」
修造に届いたのはLDSから遊矢に宛てた『案内状』──ジュニアユース選手権への案内状だった、その知らせを受けた遊矢は慌ててLDSへと走り出す。
……それが榊遊矢にとって最後の『試練』の始まりだった…。