転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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ハーメルンの皆様、お久しぶりです、S,Kです。

……3ヶ月もお待たせして申し訳ありません!!(土下座)

懸念していた通りのズァーク戦執筆による燃え尽きと私生活の忙しさで執筆が進みませんでした…本当に申し訳ありません!

物語もついにクライマックス…遊矢は試練を越えられるのか、遊海達は何処にいるのか…少しずつではありますが、進めていきます!


残された爪跡〜呪いの機械仮面〜

「見えた、出口だ…!」

 

次元を繋ぐ光のトンネル──次元回廊をローラースケートで進み続ける事しばらく…遊矢は最初の目的地であるエクシーズ次元へと到着しようとしていた。

 

 

「っ…?出口で誰かが──あれは…!」

 

『やぁ、待ってたよ!遊矢』

出口の先に人影が現れる…それはランサーズの一員であり、アカデミアのスパイでもあったもう1人の『エンタメデュエリスト』…デニス・マックフィールドだった。

 

 

 

 

「えっ…あれ?ここってエクシーズ次元、だよね…?なんでデニスが…?」

次元回廊から飛び出した遊矢は周囲を見渡す、そこは遊海の起こした奇跡の御業「オーバー・タイム・タイラント」によってほとんどの被害が()()()()()()になったエクシーズ次元・ハートランド…そのセントラルタワー前の広場だった。

 

 

『何故って…キミとデュエルする為に決まってるじゃないか?事情は遊勝先生から聞いてるよ』

 

「デュエルって…黒咲は??」

エクシーズ次元で待ち受けているのは当然黒咲だと思っていた遊矢…だが、彼の姿はなく…何故か、デニスが待機していた事に驚いている。

 

 

 

「遊矢!隼は融合次元に行っちゃったんだ!」

 

「『瑠璃が目を覚まさないのは赤馬零王のせいだろう』って…問い詰めに行っちゃったの!」

 

『そういう事、ボクも引き止めたんだけど…聞く耳を持ってくれなくてさ…』

 

「アレン…サヤカ…黒咲らしい理由だな…」

同じく近くで待っていたレジスタンスのアレンとサヤカが黒咲が不在の理由を説明する。

遊海によってエクシーズ次元に帰還した黒咲達だったが、その直後に瑠璃が昏倒…その原因が零王にあると思い込んだ黒咲は融合次元に向かってしまったのだ…。

 

 

 

『という訳で、ボクとデュエルしてくれないかな?遊矢、別に戦う順番は指定されてないだろう?』

 

「確かに、そうだけど…」

デニスの申し出に遊矢は戸惑う…確かに、零児には『エクシーズ次元に向かえ』と言われただけで…戦う順番は指定されていなかった。

 

 

『それに…ほら!ちょうどお客さんも来たみたいだよ?』

 

「お客さん…?あっ…」

デニスの示す方角を見た遊矢は気付いた、そこには遊海対十代のデュエルを楽しそうに見ていた幼い兄弟の姿があったのだ。

 

 

『ふふっ…じゃ、始めよっか!遊勝先生の弟子の1人として…エンタメで負けるつもりはないけどネ!』

 

「……わかった!デュエルだ、デニス!」

アクションフィールド『クロス・オーバー』が発動され、周囲に足場が構築されていく…ハートランドで2人のエンタメデュエリストが激突する!

 

 

『「デュエル!!」』

 

 

 

 

デュエルダイジェスト 遊矢対デニス

 

 

 

 

エクシーズ次元で始まった遊矢とデニス、二人の『エンタメデュエリスト』によるデュエル…先攻となった遊矢はペンデュラム召喚によってエースである『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』を喚び出してターンを終える。

 

対するデニスは『emバブル・ガードナー』を召喚、シャボン玉の演出でデュエルを見ていた子供達を笑顔にする…その時だった。

 

 

 

 

「お前達!何をやっているんだ!!デュエルを見るなとあれほど言っただろうが!!」

 

「「パパ…!」」

 

「あなた…!落ち着いて…!あの子の…遊矢君のデュエルは違うのよ…!!」

 

「っ…なんだ…!?」

広場に男性の怒声とそれを宥める女性の声が響く、それはデュエルを見学していた兄弟の両親らしかった…その剣幕に遊矢は思わずデュエルの手を止めてしまう…。

 

 

 

「デュエルは()()()()()だ…!そんなモノに子供達に触れさせるな!!」

 

「っつ…!?」

父親らしい男の言葉に遊矢は全てを察した…おそらく、あの男性はアカデミアによる侵攻でカードにされた被害者の1人だったのだろうと…。

 

遊矢のエンタメデュエルによってエクシーズ次元侵攻は解決し、遊海の奇跡によってほとんどの被害は『無かった事』になった。

 

 

……しかし、エクシーズ次元の人々の心には──消えない()()が残ってしまったのだ…。

 

 

 

「さぁ、帰るぞ!こんな奴らに関わるな!!」

 

『クククッ…!させないよ、そんな事は…()()()()()が見えないのかい?』

 

「っ、『融合』…!!」

子供達の手を掴んで引きずる父親、それを止めさせたのはデニス…彼が手札から見せた『融合』のカードだった…デニスは悪そうな顔で笑っている…!

 

 

『またカードにされたくなかったら…そこで大人しくデュエルを見ている事だな…!』

 

「デニス!?何をっ…(いや、違う!デニスは自分なりの『エンタメ』をしようとしているんだ…()()()()()()()()()()…!!)」

デニスの言い放った言葉に思わず叫びそうになる遊矢だったが…すぐにデニスの思惑に気付く。

 

デニスは融合次元での遊馬とのデュエルによって正義のデュエリストへと立ち返った…しかし、彼がスパイとして混乱を齎したのも事実…故に、デニスは『悪玉(ヒール)』を演じる事で遊矢を『善玉(フェイス)』としたショーを行い、それをキッカケに人々の心を救おうとしているのだと…!

 

 

 

『さぁ、いくぞ遊矢!』

 

「ああ…!かかってこい!()()()()()()デニス!!」

 

『(良いノリだ!ボクの意図に気付いてくれた!)』

遊矢の声を聞いたデニスは笑顔を見せる…そして、胸元から取り出したハーフマスクを着けてデュエルを再開した…。

 

 

 

そして、遊矢とデニスは激戦を繰り広げていく…デニスは新たな「em」「emトラピーズ・フォース・ウィッチ」に装備モンスターに擬似的な『古代の機械』モンスターの『バトル中に魔法・罠カードの発動を封じる』効果を与える『古代の機械仮面(アンティークギア・マスク)』を装備する事で遊矢を攻めたてる。

 

対する遊矢は「EMミラクル・ミラービット」によって「トラピーズ・フォース・ウィッチ」の効果を回避しながら「オッドアイズ」によってそれを撃破する、ミラーマジック・エンタメショーを披露する…そして、遊矢は──

 

 

 

 

「私のエンタメはひとまずここまで!続いては…榊遊勝の()()()が1人!融合次元最高のエンタメデュエリスト!次元を越えてやってきたデニス・マックフィールドが最高のエンタメを披露してくれます!!」

 

『ちょ、遊矢!?せっかくノッてきたのに!?』

遊矢とデニスのデュエルに引き寄せられたエクシーズ次元の観客達や事態を見守っていたエクシーズ次元復興隊のアカデミアのデュエリスト達に遊矢が明るく宣言する…デニスを悪役とするデュエルではなく、デニスと共に人々を笑顔にするエンタメデュエルをする為に!

 

 

「見せてくれよデニス!本当のデュエルを!!」

 

『まったく…せっかくお膳立てしてあげたのに!どうなっても知らないよ?イッツアショータイム!!』

デニスは仮面を投げ捨てる…そして2つのエンタメがデュエルを盛り上げていく!

 

 

 

『ショーマスト・ゴーオン!天空の奇術師よ!華やかに舞台を駆け巡れ!エクシーズ召喚!!「emトラピーズ・マジシャン」!!』

デニスはエースモンスターたる仮面の奇術師を喚び出す…そして、その華やかさが人々を釘付けにする!

 

 

『「トラピーズマジシャン」はORUを1つ使う事で2回攻撃ができる!これでアクロバットショーを2回楽しんでもらえるよ!さぁ、「ミラクル・ミラービット」を攻撃だ!!』

 

「そうはいかない!アクションマジック『回避』!その攻撃を無効にする!」

空中ブランコの勢いを利用した飛び蹴りを仕掛ける奇術師…だが、遊矢が確保していたアクションマジックによってその攻撃は空を切る!

 

 

『フフッ…!遊矢、きみが攻撃を回避したおかげで…ボクの勝利は決まったよ…!』

 

「なに…?まだわからないさ!」

 

『いいや…勝てるさ!「トラピーズマジシャン」で「オッドアイズ」を攻撃!!』

 

「なっ…!?させない!アクションマジック『奇跡』!『オッドアイズ』はバトルでは破壊されず、ダメージは半分になる!」

不敵な笑みを見せながらデニスは相討ちの攻撃を仕掛ける…だが、遊矢は拾ったアクションマジックで攻撃を受け止め、相討ちを防いだが───

 

 

『この瞬間!速攻魔法「RUM─マジカル・フォース」を発動!戦闘破壊された「トラピーズマジシャン」を効果を無効にして特殊召喚!そして、このカードと『トラピーズマジシャン』を素材として、ランクが1つ高いエクシーズモンスターにランクアップさせる!』

 

「デニスが、ランクアップマジックを!?」

デニスが発動したのは新たな力…ランクアップの力が彼のエンタメをさらなる高みへと導く!

 

 

『ショーマスト・ゴーオン!天空の奇術師よ!もっと華麗に!もっと鮮烈に!さらなる大舞台を駆け巡れ!ランクアップ・エクシーズチェンジ!現われろ!「emトラピーズ・ハイマジシャン」!!』

鮮烈なる光の中で仮面の奇術師は白衣の奇術師へと進化を遂げる!

 

 

「これが、デニスの新しい力…!」

 

『いくよ、遊矢!「トラピーズハイマジシャン」はORUを1つ使い、3回攻撃できる!!「トラピーズハイマジシャン」の超高速アクロバット攻撃に耐えられるかな─!?』

 

「くっ、アクションカード…!うわっ!?」

強力な効果を前にアクションカードを狙う遊矢…だが、フィールドを縦横無尽に飛び回る奇術師によって妨害され、オッドアイズが破壊されてしまう!

 

 

『続いて「ミラービット」を攻撃!!』

 

「くううっ…!」

さらにミラービットを破壊され…遊矢は残りライフ100まで追い詰められてしまう!

 

 

『これで終わりだ!』

 

「まだだ!『EMドラネコ』のペンデュラム効果発動!自分フィールドにモンスターが存在しない時、1度だけバトルダメージを0にする!!」

 

『おおっと!?』

ダイレクトアタックが決まる寸前、ペンデュラムゾーンの胴体が『銅鑼』となったネコが爆音を響かせ、奇術師の攻撃を妨害した!

 

 

『惜しかったネ!ボクはこれでターンエンド!どうだい?遊矢!期待以上の盛り上がりだろ?』

 

「いいや、まだまだ!お楽しみはこれからだ!!」

絶体絶命の遊矢は明るく笑いながらデニスへと向き合う…そこに今までの禍根はない、エクシーズ次元の人々を笑顔にする為に…遊矢は自分のエンタメを突き進む!

 

 

 

「ペンデュラム召喚!甦れ!『オッドアイズペンデュラムドラゴン』!『ミラクル・ミラービット』!さらに『EMソード・フィッシュ』を通常召喚!」

遊矢はペンデュラム召喚と通常召喚を絡めてモンスターを展開する!

 

「『ソードフィッシュ』の効果発動!『トラピーズ・ハイマジシャン』の攻撃力を600ダウンさせる!これで『オッドアイズ』の攻撃力が上回る!」

 

『まだだ!『トラピーズハイマジシャン』のさらなる効果!ORUを1つ使い!このターンの間、3回まで戦闘・効果では破壊されなくなる!』

ソードフィッシュの効果で奇術師を弱体化した遊矢…だが、デニスは奇術師と共にセントラルタワーの天辺へと飛び上がる!

 

 

『さぁ、遊矢!ここまで上がってこられるかな?』

 

「ああ…上がってみせる!!」

デニスの全力に応える為、遊矢は呼吸を整え───

 

 

「レディース&ジェントルマン!!さぁ、いよいよクライマックスです!!」

お決まりの口上と共に道を切り拓く!

 

 

「この塔の天辺に栄光の勝利が待っています!まずは、私をあそこまで連れて行ってくれる『オッドアイズ』の為に道筋を用意します!永続魔法『チャレンジ・ステアーズ』発動!自分のモンスターが相手モンスターを破壊できなかった時、自分フィールドのカード1枚をリリースしてもう一度攻撃できます!続けて永続魔法『ホープ・ステアーズ』を発動!その効果によって相手モンスターとバトルした自分のモンスターの攻撃力を次の自分スタンバイフェイズまで400アップします!!」

遊矢の勝利の道筋を照らすように…虹の道が作られていく!

 

 

「それでは──バトルに入ります!!」

 

 

 

 

Side???

 

 

『フィールドにはレベル4の「ミラクル・ミラービット」がいる…「相生の魔術師」のペンデュラム効果を使って「ソードフィッシュ」をレベル4に変更し「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」を喚び出し、攻撃力を下げれば……』

スタンダード次元、レオコーポレーションの作戦司令室…エクシーズ次元のデュエルを映像越しに観戦していた零児は遊矢の展開を予想していた…しかし…。

 

 

「それでは、バトルに入ります!」

 

『なに─?』

遊矢は彼の予想に反する攻撃に打って出た…。

 

 

 

SideOUT

 

 

 

 

「バトルだ!『オッドアイズ』で『トラピーズハイマジシャン』を攻撃!」

 

『でも、バトルでは破壊されない!』

 

「それでもダメージは受ける!!」

オッドアイズに飛び乗った遊矢は虹の道を突き進みながら攻撃を仕掛ける!

 

 

「『ホープステアーズ』の効果発動!『オッドアイズ』の攻撃力は400アップする!」

 

『そう簡単にはいかないよ!「emリバーサル・ダンサー」のペンデュラム効果発動!お互いのターンに1度、相手モンスターの攻撃力がアップした時!その数値分、「トラピーズハイマジシャン」の攻撃力はアップする!』

 

「では私も!『ミラクル・ミラービット』のさらなる効果!自分の攻撃を破棄する事で、『オッドアイズ』はもう一度攻撃できる!そして『チャレンジステアーズ』の効果でペンデュラムゾーンの『相生の魔術師』をリリースする事でもう一度攻撃!これで『トラピーズハイマジシャン』の効果は使い切りました!!」

 

『ぐううっ…!』

奇術師を強化してダメージを押さえようとするデニス…しかし、遊矢の猛攻が守りを跳ね除ける!

 

 

「そして『チャレンジステアーズ』の効果発動!ペンデュラムゾーンの『ドラネコ』をリリースして4回目の攻撃!」

 

『でも惜しいね!ボクのライフはまだ残る!次のターンで…』

 

「それはどうでしょうか!!私はアクションマジック『奇跡』を『トラピーズハイマジシャン』に発動!これによって『トラピーズハイマジシャン』は破壊されず、受けるダメージも半分になりますが──」

 

『「ホープステアーズ」と「チャレンジステアーズ」の効果が発動する…!?』

 

「その通り!!」

それは予想外の一手、隠し持っていた「奇跡」が遊矢を勝利へと導く!

 

 

「『チャレンジステアーズ』の効果!「ソードフィッシュ」をリリースして『オッドアイズペンデュラムドラゴン』で『トラピーズハイマジシャン』を攻撃!!螺旋のストライク・バースト!!」

 

『うわあああ!?』

螺旋の炎が白衣の奇術師を撃ち抜く、その衝撃でデニスは空中へと投げ出されてしまうが───

 

 

 

「おっと危ない!!」

 

『あいてっ…ははっ…完敗だよ、遊矢』

虹の道を駆け抜けたオッドアイズがデニスを受け止める…世紀のエンタメ対決は遊矢へと軍配が上がった!

 

 

 

 

 

「そういえば…あそこの展望台、家族で昇った事があったなぁ…俺が、デュエルの大会で優勝した時に……」

万雷の喝采が広場に響くなか、デュエルを嫌っていた父親が穏やかに呟く…彼は思い出したのだ、デュエルは争いの道具ではない事を…。

 

 

「あなた…あの時言ったわよね?俺のデュエルで、家族を楽しませるって…」

 

「ああ…!彼らのデュエルが、思い出させてくれた…」

刻まれた傷跡の全てが癒えた訳ではない…それでも、遊矢とデニスのエンタメがエクシーズ次元に光を取り戻したのだった…。

 

 

 

 

 

デニスLP0

 

遊矢 WIN!

 

 

 

 

 

「遊矢お兄さん!エンタメデュエルおしえて!!」

 

「ぼくも!」

 

「わたしも〜!」

 

「よーし、わかった!楽しいデュエルの次はデニス先生がデュエルを教えてくれるぞ〜!」

 

「「「わーい!!」」」

 

『ちょっと遊矢!?』

デュエルが終わり、遊矢達はエンタメデュエルに魅せられた子供達に囲まれていた…そして、遊矢はデニスへと子供達の事を任せる事にした…。

 

 

「頼むよ、デニス…父さんが教えてくれた正真正銘のエンタメデュエルをみんなに教えてあげて欲しいんだ」

 

『遊矢…わかった!それじゃ、みんな集合─!』

 

「「「はーい!!」」」

遊矢の願いに応えたデニスが声を張り上げる…エンタメがエクシーズ次元と融合次元の和解の架け橋になる事を信じて…。

 

 

 

 

 

「遊矢、このまま融合次元へと向かうのか?」

 

「あっ…エド!カイト!」

子供達の笑い声を背に次なる目的地である融合次元に向かおうとする遊矢…彼に声をかけたのはエクシーズ次元のカイト、そしてエドだった。

 

 

「遊勝さんから事情は聞いた…瑠璃の事は心配しなくていい、容態は安定している…だが……」

 

「手分けして探したんだが…遊海さんも、翠さんも…エクシーズ次元にはいないみたいだ…」

 

「そっか……」

瑠璃の一応の無事をカイトから伝えられる遊矢…だが、もう一つの目的である遊海達の行方はわからないままだった。

 

 

「大丈夫、遊海さんは()()()さ…!きみはきみの為すべき事を精一杯やればいい!遊海さんなら絶対にそう言うはずさ!」

 

「エド…ありがとう!」

エド達の激励を受けた遊矢は融合次元へと次元回廊を走り出した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(……あれ…?私、どうしたん、だっけ…?)」

 

意識を失っていた翠がぼんやりと目を覚ます、うつ伏せに倒れていた彼女が最初に目にしたのは…神秘的な光が浮かぶ、見慣れない場所の景色だった。

 

 

 

「……綺麗……そうだ…遊海さんが、『ヌメロン・ピース』を…」

そして、翠は朧げに今までの事を思い出す。

 

 

遊海を始めとした歴代の『主人公』達とズァークの激突、その戦いの果てにズァークは浄化され、遊矢達も助けられた…そして、遊海はARC次元を襲った時空震から世界を守る為に『全能の力』を使い──

 

 

 

《フォウ!キュウ…?》

 

「ぁ…フォウくん…無事で、よかった…」

 

《フォーウ…》

そんな時、柔らかな白い毛並みが翠の顔を撫でる…心配そうな表情のフォウが翠に寄り添っていたのだ。

 

 

「フォウくん…遊海、さんは…?」

 

《フォウ…キューン…》

 

「遊海さん…」

フォウを優しく撫でながら翠は遊海の行方を訊ねる、その言葉を聞いたフォウが翠の視界から離れ…その姿を追って翠がなんとか顔を動かす。

 

…そして彼女から見て右側、そこには…うつ伏せに倒れ込んだ遊海の姿があった。

先程まで纏っていた白銀の鎧は消え去り、満身創痍の状態で意識を失っている…フォウが頬を舐めるが、遊海は身じろぎもしなかった…。

 

 

 

「っ…大丈夫、生きてる……もう…無理し過ぎ…なんですよぉ…」

 

《フォ〜ウ…》

翠は震える右手を遊海の左手に重ねる…その冷え切った手からは微かに、生命の鼓動が感じられた。

 

 

「…はやく……みんなの、ところ…に……っ……うごけ、ない……」

腕に力を込め、立ち上がろうとする翠…だが、体は動いてくれなかった……ズァークの攻撃の余波から仲間達を守り続けていた翠も体力の限界だったのだ…。

 

 

「ゆうみ、さん…すこしだけ、まってて……すこし、やすんだら…うごけ、る───」

遊海の手を優しく握りながら、翠は意識を手放してしまった…。

 

 

 

《キャウ…フォウ!》

そして、静かに眠る遊海と翠の姿を見たフォウは走り出す…2人を探しているはずの仲間達のもとへ…。

 

 

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