転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

全ての戦いが終わり、遊海達の冒険はついに最善の結末を迎える…全ては奇跡の光の中に───


それでは…見届けてください!


光の中に続く物語──昇華された世界──

「「すぅ…すぅ…」」

 

「遊星、遊海さんと翠さん…大丈夫かしら…」

 

「遊矢と遊馬、十代さん達を信じて待つしかない…大丈夫さ、きっと上手くいく」

 

「けど…こんだけ時間が掛かってると心配だぜ…」

 

早朝の舞網市、LDS・センターコート…そこでは遊海を助けるべく集まった仲間達が体を休めていた。

龍亞や龍可、零羅のような幼い子供達は夢の中だが…ほとんどの者は眠る事なく、今回の戦いの話やかつての冒険の思い出話をしながら、遊海と翠の帰還を待っていたのだ。

 

 

 

「空が白んで来たッスね…徹夜するなんて久しぶりッス」

 

「ぐ〜…ぐ〜…」

 

「剣山の奴はしっかり寝てるけどな…」

 

「むむむっ…眠いノーネ…いや、2人が帰って来ないと、枕を高くして眠れなzzz…ハッ!?」

 

「クロノス先生、ご無理はしないでください」

 

「先生もアカデミアの復興指揮で疲れてるんですから…」

夜闇に閉ざされていた空が少しずつ光の世界に塗り替わっていく…流石のレジェンド達にも疲れが見え始めた頃、()()()はやってきた。

 

 

キィン!!

 

 

「あっ…次元回廊が…!!」

 

「帰ってきたか!!」

白み始めた空に新たな次元回廊が開く、その機能を持つのは遊馬達の次元飛行船のみ…そして、次元飛行船が次元回廊を飛び出し───

 

 

「みんな〜!心配させてごめんなさーい!!」

 

「すまん!ちょっと遭難してたー!!」

 

 

「遊海!翠ちゃん!!」

 

「2人が帰ってきたぞ!」

 

「「「「やった─!!」」」」

甲板に出ていた遊海と翠が手を振りながら声を上げる…その姿を見た仲間達の歓声がスタジアムに響き渡った…。

 

 

 

 

「セニョール遊海!無事で良かったノ〜ネ!!お〜いおいおい!!」

 

「まったく…これ以上肝を冷やすのはゴメンだ!!」

 

「遊海!心配かけやがってコノヤロー!!」

 

「まぁ、生きて戻ってくるだろうとは思ってたけどな」

 

「あはは…遊馬達に聞いてたとはいえ、これはすごいなぁ…」

次元飛行船から降りた遊海は仲間達にもみくちゃにされる…クロノスは大泣きし、ジャックは怒り、本田は肩をド突き…ディヴァインは背中を見せながら皮肉を言う…その目には涙が浮かんでいたが…。

 

 

 

「ところで…なんで遊海の頬は腫れてるんだ?」

 

『オレがぶん殴ったからだが?』

 

「ラプラス…やり過ぎだって…」

 

 

 

 

 

 

 

「翠ちゃん!よかった〜!!」

 

「あ…杏子ちゃん!逢えた…また会えた…!!」

一方、翠は久しぶりの親友の顔を見て泣きながら抱きついた…遊海から冥界から彼女達も転生していたとは聞いていたが…再会は数十年振りの事だった…。

 

 

「翠さん…!無事で良かった…!」

 

「「おかえりなさい!」」

そしてその他の女性陣…明日香やアキ、龍亞兄妹も翠の無事の帰還を祝う…その一方で───

    

 

 

 

 

「なにやってんだい克也!!友達に毒を飲ませる馬鹿が何処にいるのさ───!!」

 

「イテテテ!?ちょ、悪気は無かったんだよ〜!?」

 

「ま、舞さん…そのくらいにしてあげた方が……」

 

「フン…キサマは凡骨から馬の骨に格下げだ!」

 

《フォウフォ〜ウ!(是非もないネ!)》

最後の最後に大失敗をしてしまった事がバレた城之内は舞に盛大な制裁を受けるのだった…。

 

 

 

 

 

「白波遊海…無事に戻ってくれてなによりだ…」

 

「零王と…日美香さん、それに…レイか」

遊海と翠との再会が一段落した頃、1人の男が遊海へと話しかける…それは申し訳なさそうな表情をした零王、そしてレイを腕に抱いた日美香だった…。

 

 

「話は凌牙と零児から聞いてる……しかし、おかしいな…?遊矢達を各次元に送り返して、時空震の影響を止めて…気を失う前にレイの蘇生は()()()()手を付けたはずなんだが…」

 

「なっ…そうだったのか!?」

凌牙の説明によってレイが赤子の姿である事は知っていた遊海…だが、それは…遊海の不手際が原因ではなかったのだ。

 

 

「ごめん、ちょっとピリッとするぞ?」

 

んぅ…!」

優しくレイの頭に触れた遊海は彼女の記憶を読み取る…そして感じ取ったのは…。

 

 

「……はぁ…そんなに自分を責めちゃダメだぞ?キミは悪くない…失敗は誰にでもあるさ…俺だって、何回も失敗しちゃったしな…」

 

「遊海…レイは…」

 

「レイはな、自分がみんなに迷惑を掛けたのに…()()()()()と過ごせるようになる自分が許せなかったみたいだ…だから、『ヌメロン・ピース』の力を意志の力?…()()()で拒絶しちゃったみたいだな……そのせいで赤ちゃんのままになって…柚子ちゃん達にも影響が出たみたいだ」

 

「レイ…!悪いのは私なんだ…!お前を止められなかった私が、一番…!!」

 

「あぅっ…ぱ、パ…」

遊海から伝えられたレイの真意…それを聞いた零王はレイを抱きしめて泣き崩れる…そしてレイも静かに涙を流していた…。

 

 

 

「…遊海、貴方の…『ヌメロン・ピース』の力でなんとかなるか?」

 

「ああ、その為に…俺はスタンダードに戻ってきたんだ」

 

キィン!!

 

泣き崩れてしまった零王に代わって零児が遊海に問いかける、その言葉を聞いた遊海は頷き、その手の中に組み変わる赤と青のカード…『ヌメロン・ピース』を出現させた。

 

 

「レイ、キミは十分に苦しんだ…これからは零王や日美香、零児、零羅と楽しく過ごして良いんだ…『ヌメロン・ピース』よ…彼女にもう一度祝福を…!」

 

キィンー!

 

「レイ…!!」

遊海の赦しの言葉と共にレイが優しい光に包まれる、そして彼女の形が少しずつ大きくなり─────

 

 

 

 

 

「……()()姿()でいいのか?元々は零児より()()だろう?」

 

『──うん、でも…あんなに迷惑をかけて…頑張った零児に()()()()なんて名乗れないもの──()()姿()でいいの』

 

「…そうか」

 

「「「結局子どもなの!?」」」

光の中から現れたレイの姿にランサーズの驚く声が重なる…『ヌメロン・ピース』の力を受けたレイは零羅より年上…龍亞兄妹と同じくらいの白いワンピースを着た少女の姿になったのだ…その選択に遊海も苦笑している…。

 

 

 

『お父さん…みんな…余計な事をしちゃって、ごめんなさい…!』

 

「レイ…」

本当の意味で元の(?)姿を取り戻したレイはその場に集まった人々に頭を下げ、謝罪する…それに応えたのは…。

 

 

「謝らないでレイ…貴方がいなかったら、私は遊矢やみんなと出会えなかったんだから…」

 

『柚子…』

小さくなったレイに目線を合わせてそう伝えたのは…レイの分身として生まれた柚子だった。

 

 

 

「貴女とズァークの戦いがあったから、この世界は生まれた…でも、この世界が無かったら…私はお父さんや遊矢、遊勝塾のみんな…他の次元のみんなとも出会えなかった……それに、遊海さんも遊戯さん達と再会できなかった!貴女は()()()もしたのよ!」

 

「柚子…」

ARC次元は「覇王龍ズァーク」とレイの使った「エン」シリーズの力が衝突して生まれ、次元崩壊の危機を齎した…だが、それと同時に遊海の『絆』の力が反映された事でARC次元は数多の絆が集う『奇跡の世界』となった。

 

そして奇跡の力が繋がったからこそ、ズァークを救う事ができたのだ。

 

 

「だから、こう言わせて──ありがとう、レイ!私達を出会わせてくれて、ありがとう!」

 

『──柚子…ごめんね…!ありがとう…ありがとう…!!』

レイへと感謝を伝える柚子、その言葉を聞いたレイは…彼女の腕の中で泣き崩れた…。

 

 

 

「──よし、このまま他の調整を続けよう…アストラル!ちょっと知恵を貸してくれ!」

 

(了解した、サポートしよう)

救いを得たレイの泣き顔を見た遊海は優しく笑いながら「ヌメロン・ピース」の書き換えを再開する…もちろん、「ヌメロン・コード」の扱い方を知るアストラルの力を借りながら…。

 

 

 

「ARC次元の位置を人間界から少し離して…各次元の強度を上げて……次元回廊が勝手に開かないように……開く場所は固定……ああ、人間界との時間の流れの違いも調整……っと…」

 

「すごい…」

神秘的な光の中で遊海は「ヌメロン・ピース」を操作していく…。

 

 

 

「よし、あとは──待たせたな遊矢!お前達を()()させるぞ?」

 

「あっ…」

しばらくの間「ヌメロン・ピース」を操作し続けた遊海は遊矢へと声をかける。

 

 

 

「みんな…オレ……」

 

《遊矢、確かにオレ達は元は1()()だ………でも、我儘が通るなら──オレは瑠璃や隼と共に過ごしたい》

 

《確かにこうして4人一緒なのも安心するけどよ…まだ、リンやジャックとの約束を果たせてねぇしな!》

 

《ボクはどっちでもいいや……いや、良くないか?分離したらめちゃくちゃ怒られる気が…》

 

「「「それは自業自得だろ」」」

 

《みんなが冷たい…ねぇ、もう少し手加減してよ…?一応、反省したんだよ…?》

遊海の言葉を受けて話し合う遊矢達…一応、意見は纏まったようだ。

 

 

 

 

「お願い、遊海」

 

「ああ…『ヌメロン・ピース』よ!榊遊矢に祝福を!」

 

キィン!

 

キィン!

 

キィン!

 

キィン!

 

遊海が全能の力を解き放つ…それと共に遊矢の胸から3つの光が飛び出し、ユート・ユーゴ・ユーリはそれぞれに身体を取り戻した…。

 

 

『お…っと…自分の足で立つのは久しぶりだ…』

 

『いや〜!空気が美味いぜ!朝だしな!』

 

『すごいね、全能の力って…』

 

「「ユート!!」」

 

「ユーゴ!!」

取り戻した自分の身体の調子を確かめる3人…その姿を見た黒咲と瑠璃、リンがそれぞれに少年達へと抱きつく…。

 

 

『隼、瑠璃…!こうしてまた触れ合うことができるとは思っていなかった…!』

 

『リン!心配かけたな!!』

 

 

『……まぁ、ボクにはいないよね』

 

「ふん」

掛け替えのない仲間との再会を喜ぶユートとユーゴ…しかし、当然ながらユーリにはそんな存在はおらず──セレナもそっぽを向いている。

 

 

「安心するノーネ、セニョールユーリ…貴方にーは、ワタシの特別指導が待っているノーネ…!」

 

『げっ、クロノス先生…!?』

だが、そんなユーリも1人ではない…クロノスが笑顔で彼の肩を掴んでいた。

 

 

「アナータはセニョール十代以上の問題児なノーネ…決闘者として以前に人間とシーテ、性格と性根を叩き治すノーネ」

 

『あはは……誰か、助けてくれない?』

 

「『『ごめん無理』』」

 

「だよねー!!」

 

《フォウ!(流石、同一人物…息ピッタリだね!)》

教師としてのクロノスの覇気に思わず助けを求めるユーリ…だが、彼を助ける者は誰もいなかった。

 

 

 

 

 

「よし…あとは『ヌメロン・ピース』そのものをどうするか、だな……アストラル世界で管理するのがやりやすいか?」

 

(いや、「ヌメロン・ピース」はこの次元を安定させる『核』になっている、下手に次元外に持ち出すべきではないだろう)

大仕事を終えた遊海はアストラルと「ヌメロン・ピース」の対処について話し合う…かつて『世界を創りしドラゴン』が危惧した通り、『全能の力』は争いの火種となるモノだからだ…。

 

 

「なら…『ヌメロン・ピース』は赤と青の2つに分けられる…流石に『No.』みたいな厳重な封印は無理だけど…赤の『ヌメロン・ピース』をランダムに隠そう…まぁ、俺とアストラルは気配で場所が分かるけどな」

 

(それがいい…なら、青の『ヌメロン・ピース』はどうする?2つともランダムでは、万が一に確保されてしまう可能性がある…()()のようなシステムがあればいいが……)

 

「番人……あっ、良い事思い付いた!」

 

(何かアイデアが?やはり、精霊に番人を任せるのか?)

 

「それもいいが…ちょうど()()()()()()()がいるだろ?」

「ヌメロン・ピース」を分割して封印・管理する事を提案する遊海…そして、その管理を任せられる者にも心当たりがあるらしい…。

 

 

「出てこいよ──()()()()()()()()

 

 

「「「「はっ!?」」」」

 

【……貴様、何を考えている?】

 

(遊海!?正気か!?)

 

「嘘だろ!?」

穏やかに自身に宿る混沌の神の名を呼ぶ遊海…思わぬ事に七皇を含めたZEXALの仲間達は驚愕…ドン・サウザンド自身も呆れた表情で姿を見せる…。

 

 

 

【白波遊海…貴様、ついにおかしくなったか?我に『全能の力』の欠片を預けると?我は貴様達の敵だ…封印が解ければ──】

 

「そう悪ぶるなよ…もう分かってるんだ、お前の封印が()()()()事は…」

 

「なっ…!?マジか!?」

 

「っ…!!」

 

「父さん!!なんでそんなに落ち着いてるんだよ!?」

遊海の思わぬカミングアウトに三勇士が戦闘態勢を取る…だが、遊海は落ち着いていた…。

 

 

「落ち着くのはお前達の方だ…もうドン・サウザンドに敵意は無い…俺達をからかってるだけさ」

 

【ほう…何故、そう思う?】

 

()()()()()()()()()()()…それで十分さ、本当にお前が敵なら……俺が倒れてる間に肉体を奪って完全復活、そして「ヌメロン・ピース」で世界を書き換えて…疲労困憊のアストラル達に襲撃を仕掛けてる……そうだろ?」

 

「「「!!!」」」

遊海の言葉に遊馬達は背筋が冷える…ズァーク戦後の消耗した状況でドン・サウザンドに襲われていたら…と想像してしまったのだ…。

 

 

【ああ、そうだ…あの時のように『全能の力』を手にすれば、我は貴様らを倒せただろう………だが、やめた……何故だろうなぁ……白波遊海、貴様の信じる『希望』とやらに我も絆されたか…】

 

「お前…自分の()()に気付いてないのか?」

 

【なに─?】

遊海の肉体の主導権を奪わなかったドン・サウザンド…その様子を見ていた遊海が呆れたように声をかける…その時だった。

 

 

キィン──

 

 

「なっ…!?ドン・サウザンドの体に()が!?」

 

【なっ、これ、は…!?】

ドン・サウザンドの漆黒の体に光の罅が走る…それは瞬く間に全身に広がっていき───

 

 

ピシ…ピシ…バリーン!!

 

 

「なっ…!?ドン、サウザンド…?」

 

「ドン・サウザンドの体が…()()()()()()()()()に!?」

 

【はっ…!?】

漆黒の体が砕け散る…その中から現れたのは、金と赤の髪や赤と青のオッドアイ、黒色の鎧こそ変わらないが…アストラルと同じ、透き通るような水色の肉体へと変貌したドン・サウザンドだった…彼本人も突然の変化に困惑している…。

 

 

「アストラルが遊馬と触れ合い、カオスの力を得た事でお前を乗り越えたように…アストラル世界のカオスを許さなかったエリファスがカオスを受け入れたように……ドン・サウザンド、お前も()()したんだよ…俺を通して人々の暮らしを見て…正しいカオスの在り方を理解した事で…お前自身がランクアップしたんだ」

それはまさに『奇跡』…純粋だったアストラルがカオスの力を手にして成長したように…遊海と共にARC次元の人々の姿を観察し続けた事でドン・サウザンドもまた進化した。

 

『「理想」と「混沌」は表裏一体』…かつて「余分なモノ」としてアストラル世界から排斥されたドン・サウザンドにも、『希望の光』は宿っていたのだ…。

 

 

【我が、ランクアップだと?アストラル世界から追放された…ランクアップする世界には不要と切り捨てられた混沌(カオス)たる我が…!!】

 

「……この世界に不要なモノなんてない、全てのモノには役割がある……ドン・サウザンド、オレは貴方が「不要」と言われた経緯は知らない…でも、貴方が進化したと言うのなら──貴方を()()()()()()()()()()、そういう事じゃないのか?」

 

【不動遊星…】

突然のランクアップに取り乱すドン・サウザンド…彼に話しかけたのは「世界に不要なモノは無い」という考えを持つ遊星だった。

 

 

「必要ってなら…アンタが遊海先生に力を貸してくれなきゃ、今回のダークネスは倒せなかったかもな!あれだけ弱気になった先生は久しぶりに見たぜ?助けてくれて()()()()()!ドン千!」

 

【っ…感謝だと…!?ふざけるな…!我は…我は…!!】

遊星の言葉を聞いた十代がドン・サウザンドへ感謝の言葉を伝える…それを聞いた彼は不快な様子を見せるが…。

 

 

(気付いてないのか?ドン・サウザンド…お前がどんな風に思おうとも──この場でお前を『敵』だと思っている者は()()()()()らしいぞ?)

 

【っ…アストラル…!!】

 

(遊海の中で復活してからのお前は…()()()()()()()()()()…無論、それで今までの罪が消える訳ではないが……今のお前は──既に遊海の()()なんだ)

 

【っ──】

仇敵だったアストラルの言葉を聞いたドン・サウザンドは周囲を見渡す、自分の手駒だった七皇達や戦った三勇士達は微妙な表情をしていたが……それ以外の決闘者達からは敵意も嫌悪も感じられなかった。

 

 

 

「あの…ドン・サウザンド、さん…」

 

【お前は…】

 

「零羅…!?」

そんな時、1人の子どもがドン・サウザンドの前に歩み出る…それは零羅だった。

 

 

「あのね…アカデミアで、ダークネスが出てきた時…僕、すごく怖かった…お義父さんも闇に取り込まれちゃって、十代さんでも、倒しきれなくて……でもね、遊海と一緒に戦う貴方を見てたら…()()()()()()()の…!暖かい力が、僕達を守ってくれた……だから…ありがとう…!本当に優しい()()…!!」

 

【────我が…優しい…?】

 

「ドン・サウザンド…子供の言葉って、裏表がないんだよ……あの時のお前は紛れもない()()だった……そんな今のお前になら──『全能の力』を託せる、俺はそう思ったんだ」

 

【白波遊海…】

たどたどしい…しかし、素直な零羅の感謝を聞いたドン・サウザンド……そこには以前の『混沌の邪神』としての面影はない、遊海と過ごした時間が…そして、間近で見た善い心を持つ人々の姿が…ドン・サウザンドの中に存在した『悪意』を浄化したのだ。

 

 

 

《フォウ、フォウフォウ(諦めなよ、ドン・サウザンド…キミだって、こっち側に来た方が楽じゃない?)》

 

【災厄の獣…】

 

《フォウ、フォウフォウ…フォウ!(キミだって、元々はアストラル世界を無理矢理追い出された『被害者』なんでしょ?なら、この世界を新たな居場所にしてみない?遊海も前に言ったでしょ?『新しい仲間や居場所を作ればいい』って…今のキミなら、この世界を守る神様になれると思うよ!)》

 

「……フォウがドン・サウザンドと話してる…伝わってるのか?」

 

「そうみたい…?」

同じく元『人類悪』であったフォウがドン・サウザンドへ何事かを伝える…なお、その言葉は他の仲間達には伝わっておらず…遊馬と小鳥も首を傾げている。

 

 

 

 

【───白波遊海、後悔しても知らんぞ】

 

「後悔なんてしないさ…もしも、またお前がやらかしたら……また止めにいくよ」

 

【ふっ…ふははははは!!……良かろう…!『ヌメロン・ピース』の番人、確かに混沌の……否!『理想と混沌の神』たるこのドン・サウザンドが引き受けてやろう!】

 

キィン!!

 

「これは…!?」

 

「きれい…!」

 

「マジかよ、白波の奴……ドン・サウザンドまで仲間にしやがった…」

 

「…思う所がない訳ではないが……遊海が認めたのなら、我らは何も言う事はない」

 

「まったく…父さんは優し過ぎるんだよ、本当に…」

「ヌメロン・ピース」の番人として新生したドン・サウザンドが名乗りを上げる…それと共に浄化されたカオスが虹色の光となってARC次元全体へと広がっていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これで帰れるんだね、遊海…きみがいるべき世界に」

 

「ああ…俺達の世界は街一つがクレーターになってるから…復興も手伝わないとな」

そして…全ての責務を終えた遊海達がARC次元を離れる時がやってきた…朝日が照らすスタジアムの中心で遊海と遊戯が向かい合う。

 

 

「さよならは言わないぜ、遊戯…時々、様子を見に来るよ……だから、またな!今度来る時はデュエルしよう!」

 

「うん!いつでも待ってる!」

それは再会の約束…この世界は絆と繋ぐ『奇跡の世界』…遊戯達、レジェンド達の第二の人生はここから始まるのだ。

 

 

 

「十代…」

 

「……ヘヘっ、()()()!明日香!」

 

「──うん!」

そして、十代と明日香…2人も笑顔で別れを告げる…お互いに涙を堪えながら…。

 

 

 

「流星、お前と会えて良かった…そちらの()()にもよろしく伝えてくれ」

 

「はい!…曾祖父ちゃんと一緒に撮った写真を見せたら…びっくりするだろうなぁ…」

 

「はは…叶うなら、そちらの遊星とも会いたいな……あの時、殴ってしまった事を謝りたい…」

シンクロ次元の不動親子と流星も別れを惜しむ…しかし、そこに涙はない。

 

 

「海亜!そちらの俺に伝えておけ!!この俺もバーニングソウルを体得した、とな!!」

 

「は、はい!(どーしよう、そんな事伝えたら…絶対にじいちゃんARC次元に殴り込みに来ちゃうよ!?)」

一方、ジャックの伝言を祖父のジャックに伝えるか迷う海亜なのであった。

 

 

 

 

「遊海!……色々、ありがとう!」

 

「遊矢…ああ、頑張っていけよ!最高のエンタメデュエリストを目指して!応援してるからな!」

 

「うん!」

そして、遊矢と遊海…この「物語」の主人公2人が固く握手を交わす。

 

 

(遊海、そろそろ時間だ…帰ろう、我々の世界に)

 

「ああ!」

 

キィン!

 

アストラルの言葉と共にフラッシュ・トランサーが起動…遊海達は次元飛行船へと乗り込んで───

 

 

 

 

 

 

 

 

「──あっ、と…!忘れてた!遊矢!」

 

「え?どうしたの!?」

フラッシュ・トランサーに乗り込む寸前、遊海が遊矢へと声をかける。

 

「頑張った奴には()()()がないとな!『ヌメロン・ピース』よ!

 

「えっ─?」

遊海が再び『ヌメロン・ピース』を起動する、放たれた奇跡の光は遊矢の前で固まっていき───

 

 

 

『────あ、れ…?()は…』

 

 

「あっ…!ああっ!?」

 

「嘘…!?」

 

「貴方は…!」

光の中から人影が現れる、それは白い髪に左目に傷を持ち、遊矢の服に似た青いジャケットを着た青年…それは───

 

 

 

「遊希兄!!」

 

「遊希さん!!」

 

「遊希!!」

 

 

『あっ…遊矢…?柚子ちゃん…父さん…?』

それは遊海の復活と引き換えに消えてしまったとされていた()()()()()()()……榊遊希だった。

その姿を見た遊矢達は状況を理解できていない遊希を抱きしめる…。

 

 

「遊希兄…!本当に遊希兄なんだよね!?どうやって…!」

 

【フン…遊希の魂が復讐の炎に燃やし尽くされる前に、我が保護しておいてやったのだ……仮にも、我を復活させた恩があったからな……ありがたく思え】

 

「まったく…危うく忘れる所だったぞ?保護してるなら早く言ってくれ…」

消えてしまったと思われていた遊希の魂…だが、ドン・サウザンドによって匿われていたのだ…。

 

 

『なんとなく、何があったのかは識ってる……遊矢…ごめんな…!大変だったな…!!』

 

「遊希兄…よかった…よかったぁぁ!!」

夢うつつの状態ながらも外の状況を知っていたらしい遊希は遊矢を抱きしめる…その腕の中で遊矢は号泣していた…。

 

 

 

「…遊希」

 

『白波遊海……本物の、僕…』

泣きじゃくる遊希に遊海が優しく話しかける…その手に一つのデッキと黄水晶のペンデュラムのネックレスを持って…。

 

「預かってたお前のデッキと新しいペンデュラムだ、この赤水晶のペンデュラムは渡せないからな…お前にこれからも幸運があるように───遊矢を頼んだぜ」

 

『──ああ…!ありがとう、遊海!!』

遊希は遊海から渡されたペンデュラムを首から下げ…泣き笑いの笑顔で感謝を告げた…。

 

 

 

「遊希!!」

 

『あっ…遊戯…海馬社長…みんな…』

そして…落ち着いた遊希へと遊戯達が歩み寄る…だが、その姿を見た遊希は表情を曇らせる…。

 

 

『みんな…僕は、遊海の偽物で…勝手に体を……キミ達の親友を…』

 

「なーに言ってんだよ遊希!お前が何者でも──オレ達が()()だって事には変わらねぇよ!!」

 

「フン…よく戻ってきた!全て解決した後だがな…!」

 

「瀬人様、意地悪はなしですよ?」

 

「おかえり遊希!洋子さんもきっと喜ぶわ!!」

 

『みんな…みんな…!!ありがとうっ!!』

 

自分が白波遊海の『偽物』だった事に負い目を持っていた遊希…だが、そんな事は遊戯達には関係なく──遊希は自分の居場所へと、ようやく帰ってきたのだった…。

 

 

 

 

 

「じゃあな!みんな!!」

 

また会いに来るね─!!」

 

 

「遊海!!ありがとう!ありがとう──!!」

 

「達者でな─!!」

 

そうして…全てをやりきった遊海達を乗せた次元飛行船が浮上する…彼らの居場所へと戻る為に…。

 

 

 

【さらばだ、遊海…もう会うことはないだろうがな】

 

「ふっ…たまには会いに行ってやるよ、翠やアストラルと一緒にな」

 

【フン…ではな…()()()()()よ】

そして一足先にドン・サウザンドが次元回廊へと消えていく…世界を見守る自分の居場所を見つける為に…。

 

 

 

「……さぁ、帰ろう!」

 

「「「はい!!」」」

 

「よーし!かっとび遊馬号、全速前進─!!」

 

《カシコマリでアリマス!!》

そして、次元飛行船も次元回廊の中に消えていく…懐かしき自分達の居場所に戻る為に──

 

 

 

「遊海!みんな!ありがとう──!」

 

そんな遊海達を見送るARC次元の仲間達の声が朝日の照らす世界にずっと響いていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう……つ、疲れた〜……終わった〜……!!」

 

「ふう…お疲れ様でした、遊海さん」

人間界…『DM世界』に向かう次元飛行船の甲板、全てをやり遂げた遊海は大の字で倒れ込んでいた…なお、翠と操縦を担当するオービタル7以外は全員、疲れきって眠ってしまっている。

 

 

「いやはや…今までで、一番キツい戦いだった……でも、最善は掴めた…かな?」

 

「はい!本来の『ARC-V』の物語よりも…ずっと、ずっと素敵な冒険だったと思います!」

 

「そうか…なら、頑張った甲斐があったよ……ありがとう、翠」

倒れ込んだ遊海と隣に座った翠は静かに笑い合う…悲劇によって始まった「ARC-V」の物語は──最善のハッピーエンドによって幕を閉じたのだ。

 

 

 

「ふふっ…遊海さん、これからどうします?」

 

「これから、か…」

そして…「ARC-V」の物語を乗り越え、全てをやりきった遊海に翠が問いかける。

 

「これからの事を考える前に…ちょっと休みたいかなぁ…」

 

「そうですねぇ……とりあえず、家族旅行でも行きましょうか?」

 

「ああ、それがいい!まずはそこからだ!」

平和な世界を取り戻し、これからも続いていく希望の未来を思いながら笑い合う遊海と翠…そして──

 

 

 

《お知らせするでアリマス!間もなく、ハートランドに到着でアリマース!》

 

「おっ…」

オービタルが目的地への到着を告げる…そして、次元回廊を抜けた先には…夕焼けのハートランドシティの景色が広がり───

 

 

 

「遊海さーん!!翠さーん!!お〜い!!」

 

「元気そうでよかったぜ…」

 

「フン…遅いぞ、遊海!」

 

「無事でよかった…!」

 

 

「みんな…!」

 

ハートの塔の屋上でアークライト一家やデュエルロイド瀬人、遊星達を始めとした5D'sの仲間達…遊海や遊馬達の帰還を待ち侘びていた仲間達が待っていた…!

 

 

 

 

「ただいま!みんな!!」

 

 

夕焼けの照らす穏やかな世界に遊海の明るい声が融けていった…。

 

 

 

 

 




ARC-V編 ラスト・マテリアル


●『善神』ドン・サウザンド

遊海に同化する形で復活したドン・サウザンドが遊海と共に『人間』というものを学び直した事でランクアップし、本来の『アストラル世界の存在』としての在り方に近づいた『混沌と理想の神』としての姿。
アストラル世界への怒りや憎しみは完全に消え去り、世界や人間を見守る『神』として自分を再定義した。

唯我独尊、不遜な性格は変わらないが、人間を見下す事はなくなっている。

その変化と成長を見ていた遊海によって『ヌメロン・ピース』の管理者を任せられる事になった。




●榊遊希

遊海の復活と引き換えに消滅したと思われていたが…消え去る寸前にドン・サウザンドに保護され、匿われていた。

遊海によって肉体を与えられるまでは夢現の状態の不明瞭な意識だったが…自分が消えた以降の事件や遊矢の正体の事も把握している。

『ヌメロン・ピース』の力によって傷・怪我のほとんどは修復され、遊海によって新たに『黄水晶のペンデュラム』を託された。
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