転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
本当なら、少しお休みと設定見返しの時間をもらってから『VRAINS編』に行こうと思っていたのですが…『その後』の物語が見たいとのリクエストがあったので、久しぶりの幕間の物語です!
予定では2〜3話ぐらい、アイデアが思い付けば増えるかも?
それでは…どうぞ!
その後の物語〜スタンダード・エクシーズ〜
「翠!準備は大丈夫か?忘れ物は?」
「は〜い!えっと、替えのオムツとミルクと着替えと……」
「あう〜?」
「うふふ…大丈夫よ~」
穏やかに晴れたとある日…遊海と翠は新たな『家族』と共に出掛ける用意をしていた…。
「遊海さん!アヤカちゃん!大丈夫、行きましょ!」
「ああ!みんなにもご無沙汰しちゃったからな…楽しみだな〜!」
《では…久しぶりのARC次元に出発します!》
《フォウ、フォーウ!(出発〜!)》
真体となった彩華…『アポクリフォート・キラー』の嬉しそうな声と共に…白波一家は次元を超えてARC次元へと出発した。
@スタンダード・ペンデュラム次元
「「「「「「かわいい〜!!!!」」」」」」
「「でしょでしょ〜!!」」
《フォ〜ウ〜(いい加減にしなよ親バカ夫婦〜)》
「フン、2人して英雄の面影もないほどニヤけた顔をしおって…まぁ、仕方があるまい」
舞網市、海馬コーポレーションの社長室にとろけそうな優しい、黄色い声が重なる…遊海と翠は久しぶりに遊戯達に会いに来ていたのだ、新しい家族──遊海と翠の息子を連れて…。
なお、遊戯や城之内達は赤ちゃんの可愛さに夢中になっているが…海馬だけはだらしのない様子の遊海と翠に呆れていた…。
「碧い眼が綺麗…目元は翠ちゃん似かな?」
「ふにふにしてるけど…顔立ちは遊海に似てるね!」
「あぶ〜」
遊海の腕の中ではにかむ赤ちゃん…その目元は翠に似ており碧眼、まだ短い髪は遊海譲りの黒髪だった。
人見知りをする様子もなく、遊戯達にもはにかんでいる…。
「名前は?なんて付けたんだ?」
「───ゆうじ、俺の…
「ゆうじ…遊嗣くんか…!いい名前だね!」
「えへへ…褒めてもらって良かったね〜?」
「たい〜!」
遊海達の息子、その名は──白波遊嗣…その名を聞いた遊戯は柔らかく笑い、その様子を見た翠と遊嗣も笑い合っている。
「『遊』を『
「いいや…違う、『英雄』なのは俺だけでいい……この子には『遊』……俺達が受け継いできた、決闘者の願いを継いでいく…未来を明るくする子になって欲しいんだ…それに、この子を危ない目に遭わせたくないからな!ね〜?」
「ばぶ〜?」
海馬の指摘に遊海は穏やかに答える、世界を最善に導こうと命を懸けてきた遊海…だが、自分の息子にその茨の道を継がせるつもりはなく…ただ穏やかに、未来へ希望を繋いでいく『光』になって欲しいのだと伝える…。
「あんなに優しい顔をしてる遊海は前世を含めて初めて見たね…ズァークとの決戦の凛々しさが嘘みたいじゃないか」
「ふふっ…この子が産まれてから、ずっとこの調子なんですよ〜凌牙君と璃緒ちゃんも呆れちゃって…あっ、でもやる時はしっかりしてるので!」
「はぁ…そうでなければ困る…」
遊海のあまりの変わりように苦笑する舞…その様子は遊海の優しさを知る凌牙達でも呆れてしまうほどである。
「凌牙君達は一緒じゃないの?」
「ああ、この前のワールド・チャンピオン・シップスで遊馬に惜敗してな…武者修行で世界のデュエルリーグを巡ってるんだ、璃緒は大学の授業さ」
「こっち…ペンデュラム次元の様子はどうですか?」
「そんなに大きくは変わらないかな?…ああ!遊矢君に続いて遊希がプロテストに合格したよ!他のランサーズの子達もユースクラスに昇格してる!」
「零児との冗談話だが…4次元合同デュエル大会でも開催するか?と言う話も出たが…まだ実現していないな」
「おお〜!みんなも強くなってるなぁ…」
そして、お互いの近況を報告し合う遊海達…そんな時だった。
「瀬人様、お客様です」
「うむ、時間通りだな…通していいぞ」
磯野が海馬に来客を告げる…それは──
「遊海!久しぶり!!」
「わぁ…!本当に赤ちゃんだ〜!かわいい〜!!」
「うむ…!やはり、赤子は可愛いものだ…」
『おめでとう!2人とも!』
「遊矢!柚子ちゃん!権現坂君!遊希!久しぶりだな!来てくれてありがとう!」
海馬コーポレーションにやって来たのはチーム遊勝塾…遊矢、柚子、権現坂、遊希の4人組だった、久しぶりに遊海達が舞網に来ると聞いて会いに来たのだ。
「遊矢!息子の遊嗣だ…抱っこしてみるか?ほら、頭の下に腕を添えて…おしりを支えて…」
「わわっ!?オレ、赤ちゃん抱っこした事ないって!?」
「あう…たい!」
「わっ!?ペンデュラムを引っ張らないで…イテテテ!?」
「あはは…ごめんね遊矢君!すぐに離してくれると思うから!」
「ふふっ…泣かれるよりは良かったじゃない!次は私〜♪」
「遊矢!優しく扱うのだぞ!!」
『権現坂君、声は小さく…』
「あぅ…ふみぃ…!!」
「「権現坂〜!?」」
「むっ!?す、すまん…!」
「ほら…ユウ君〜大丈夫、大丈夫よ〜」
『あはは…流石に権現坂君の声は怖かったか〜』
遊矢へと遊嗣を託す遊海…初めての赤ちゃん抱っこにわたわたしてしまう遊矢…そんな遊矢のペンデュラムを引っ張る遊嗣、それを見て優しく笑う柚子、大きい声を出して遊嗣を驚かせてしまう権現坂と慰める遊希…わちゃわちゃとした平和な光景が広がっていた…。
「遊希、体の調子は問題ないか?」
『うん!前よりも全然動けるよ!そのおかげでプロテストにも合格できたし!』
「そうか…なら、良かった」
機嫌が直った遊嗣を抱っこする柚子を見ていた遊希に遊海が話しかける。
榊遊希…不慮の事態で遊海の肉体に宿ってしまっていた『もう1つの魂』…彼は舞網チャンピオンシップ・バトルロイヤルの最中に遊海を目覚めさせる代わりに消滅してしまった……と、思われていたが、密かにドン・サウザンドが保護しており…『ヌメロン・ピース』の奇跡によって蘇る事ができたのだった。
なお、その肉体に刻まれていた傷のほとんどはなくなり…身体能力は遊海と同等レベルに調整されている…、
「……その左目の
『うん…この傷は僕が僕である「証」だから…』
遊海の問いかけに遊希は左目に手を当てる…その傷は遊勝塾を賭けたLDSとの4番勝負の際、凌牙とのデュエルで負った傷だった。
失明こそ回復したが…額からまぶたにかけた傷が残っていたのだ。
『この傷は
「遊希…まぁ、それでいいなら…俺は何も言わないさ」
遊海に傷を消さない理由を伝える遊希…その思いを知った遊海は穏やかに笑っていた…。
「遊希さん!はい!遊嗣くん抱っこしてあげて!」
『おっ…ありがとう、柚子ちゃん』
「ぶ〜…?あい!!」
「おっと!?僕のペンデュラムも気になるの!?イテテ!」
「遊嗣〜?あんまり遊希を困らせたらダメだぞ〜?」
「ヘヘっ…遊海があんな顔してるの、初めてみたなぁ」
そして、柚子から遊嗣を託される遊希だったが…遊矢と同じくペンデュラムを引っ張られて苦笑する…そんな様子を見ながら遊矢は幸せそうな遊海の姿を見て笑顔になっていた。
「遊海、ちょっといいか?」
「ん…克也、どうしたの?」
権現坂に抱かれてすぐにぐずってしまった遊嗣をあやす翠を見ながら微笑んでいた遊海に城之内が声をかける…。
「ほら、ずっと前にデュエルアカデミアで話した時の事を思い出してよ……お前ら、子供の事……」
「うん……俺達は不死身だ…体も老いない……そんな親を持ったら、子供に申し訳ない……ずっと、そう思ってた」
それはずいぶんと昔の事、不死身になった2人は子供を持つ事を諦めていた…
「でもさ…凌牙や璃緒が俺達の子供になってくれて…それで、今までの戦いを乗り越えて思ったんだ…未来へ希望を…『絆の光』を繋いでいかなきゃならない…例え、俺達がいなくなるような事があっても……正しいデュエリストの形を伝えていかないとって…」
「遊海…」
数多の戦いを乗り越え、世界の平和をデュエルによって守り続けてきた遊海と翠…その中で2人は改めて『絆』の大切さを知る事ができた…それが、遊海達に新たな一歩を踏み出させたのだ。
「
「はいはい!遊嗣は俺の事大好きだもんな〜?」
「あい〜!きゃう!」
「……ヘヘっ、頑張れよ!2人とも!」
翠に呼ばれた遊海が遊嗣を抱き上げ、幸せそうな笑顔を見せる…そんな様子を見た城之内は2人に激励の言葉を贈った…。
@エクシーズ次元
「───まさか、生きているうちに遊海先生の子供を抱く事があるなんて…」
「落ち着けエド、俺達の人生は2回目だ……いや、一番取り乱しているのは俺か…!?」
「おいおい…(汗)」
場所は変わってエクシーズ次元・ハートランド、セントラルタワー広場…遊海達は次元戦争からの復興の陣頭指揮を執っているエドと亮に会いに来ていた。
なお、エドも亮も遊海の実子である遊嗣を見て驚いている。
「あう〜」
「よしよし…2人とも、エクシーズ次元はどんな様子だ?」
「はい…遊海さんの『オーバー・タイム・タイラント』のおかげで街の被害は最小限になっていたので問題なし、範囲外の山の修復ももう少しで終わります!」
「その件はごめんね…私がやり過ぎちゃって…」
「大丈夫ですよ翠さん…フレア…ラーの翼神竜の神威が残っているのか、植えた木がすくすく伸びて…すぐに元通りになりそうです」
「流石フレア…ありがとな」
《ふふっ、私は太陽神…豊穣の力も少しはあるのです!》
遊嗣をあやしながらエクシーズ次元の状況を聞く遊海…『ヌメロン・ピース』の奇跡によって市街地の被害は最小限となったが…範囲外になってしまった場所はアカデミアが中心になって現状回復を行っていた…。
「おっ…遊矢達からの連絡通りだな…久しぶりだな、遊海」
「ん…?おお!ユートに黒咲兄妹か!」
「ご無沙汰してます!遊海さん!」
「……本当に赤ん坊を連れているとは……」
そんな時、遊矢から連絡を受けたらしいユート、そして黒咲隼と瑠璃がやって来た…全員、次元戦争以前の私服を着ている。
「ふふっ…よかったら抱っこしてあげて!」
「ありがとうございます!…うわ、軽〜い!!」
「きゃう~!」
「フッ…やはり…平和が一番だな、隼」
「ああ…そうだな、ユート」
翠に促されて遊嗣を抱き抱える瑠璃…その姿を見たユートと隼は平和の有り難さを噛み締めていたのだった。