転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
「その後」の物語、後半戦…遊海達が向かうのは…?
それでは、どうぞ!
「翠、遊嗣は大丈夫か?」
「はい!ミルクも飲んで…とってもご機嫌です♪」
「あう〜ぱ〜!」
《可愛いなぁ…遊嗣は……だが、直接触れないのが残念だなぁ…》
「ごめんな、メガロック…もう少し遊嗣が大きくなったらな…」
シンクロ次元に向かう次元回廊…「アポクリフォート・キラー」の機内で遊海達は穏やかに談笑していた。
その中でメガロックだけは表情が暗い…全身が鋭い岩に覆われている彼は遊嗣を傷付ける事を恐れて触れ合う事ができていなかったのだ。
「大丈夫よメガロック…遊嗣!ほら、メガロックの頭を撫でてあげて?」
《むっ!?翠、それは──》
「あう?…てい!」
そんなメガロックの様子を見ていた翠が遊嗣を抱いて歩み寄る…そして遊嗣は──ぺちぺちとメガロックの頭を触った…
《ふふ…はは…!ああっ…小さな手のはずだが…なんとも言えぬダメージだなぁ…》
《フォウ、フォウ〜!(メガロック…泣かないで〜!)》
「よかったな、メガロック…」
「あい〜!」
小さな手の温もりを感じてメガロックは思わず涙を流す…メガロックにとって、遊海と翠は実の子供のようなもの……つまり、遊嗣は
そんなメガロックに遊海やフォウは優しく寄り添っていた…。
@シンクロ次元
「遊海…まさか、お前が子持ちになるとはなぁ…こうして見ても信じられねぇぜ」
「か、可愛い〜!翠!抱っこさせて〜!」
「私も〜!!」
「ふふっ…持ち方はねぇ…」
シンクロ次元・シティ、遊星のガレージ…そこにはシンクロ次元5D'sの仲間達や牛尾、ディヴァインが集まっていた。
牛尾は遊海の息子である遊嗣を見て感慨深げな表情を見せ…龍亞と龍可は翠に教わりながら遊嗣を抱っこしようとしている。
「おめでとう遊海さん…やっぱり、自分の子供はいいものだろう?」
「不動博士…ああ、凌牙や璃緒のおかげで、子供の温かさは経験したつもりだったけど……この子だけは絶対に守りたい、そう言う思いが強くなったよ…
「ははっ…貴方だったら、どんな危機からも守りきれるさ!」
「遊海さん…本当に良かった…」
不動博士との父親談義に花を咲かせる遊海…その表情を見た遊星も思わず笑顔になっていた…。
「そういえば…シティの
「むっ……まもなく終わるらしいが……」
「ったく…『元』とはいえキングが街を壊してどうすんだよジャック!オレらも大変だったんだからな!?」
「それは
「結局、自分の事じゃないの…」
次元戦争・ズァーク戦後の平和を取り戻したシンクロ次元では1つの大事件が発生していた。
その名は──『2人のジャック』事件
ARC次元から人間界に戻った海亜・アトラスが祖父のジャック・アトラスにシンクロ次元のジャック・アトラスの伝言を伝えた結果、ブルーノを脅した老ジャックがARC次元に突入…若ジャックとのライディングデュエルをする事になってしまった。
その結果、デュエルは白熱…変則ルールの中で『Sp-ファイナル・アタック』の効果を受けた老ジャックの『スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン』とアクションマジック『バイアタック』の効果を受けた若ジャックの『レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント』が激突…
老ジャックの『ネオ・バーニング・ソウル』と『精霊の力』
若ジャックの『シグナーの力』と『バーニングソウル』、そしてリアルソリッドビジョン
全力でぶつかった2人の力によってすさまじい衝撃が発生…アポリアから事態を聞いて駆けつけた遊海と老遊星が見たのは、ガスの大爆発でもあったのかと勘違いするほどの様相となったシティ中心部と言い争う2人のジャックの姿だった…不幸中の幸いだったのは、奇跡的に死傷者が出なかった事だろう。
なお、その後の2人のジャックは遊海と2人の遊星によってみっちりと絞られ、若ジャックの方はキングとして稼いだ資産のほとんどを失う事になったのだった。(それでも、熱いデュエルに感動したトップスからずいぶんと支援があったとか…)
「ズァークの被害がかわいく見えるぜ…」とはクロウの談である。
だが、悪い事ばかりではなく…シティの復興に人手が必要となり、旧コモンズの住人達が働き口を得た事で彼らの生活水準を上げる事ができ…犯罪率が大きく下がったらしい。
「ジャック、シグナーの力の扱いには気を付けてくれよ?まぁ…いつまで力を貸してくれるかは赤き竜次第だけどな…」
「…反省はしている…だが、後悔はしない!あのデュエルはそれほどの戦いだった!!」
「「「後悔もしろ!」」」
《キュオ…キュオオン…(特別意訳:ジャックは…どの世界でも揺らがないのだな…)》
《フォウッ!?!?(「閃珖竜」が呆れてる!?)》
相変わらずの傲岸不遜ぶりに思わず「閃珖竜」も呆れているのだった。
「いないいない〜ばあ!!」
「きゃっきゃっ!あう〜!」
「……白波翠、久しぶりだな」
「ディヴァイン…」
龍亞と龍可と戯れている遊嗣を見ていた翠…そんな彼女に話しかけたのはディヴァインだった。
「前に会った時は言う暇がなかったが……前世での事、すまなかった…私はキミ達を……」
「ディヴァイン…もういいのよ、その事は…」
翠に対して頭を下げるディヴァイン…前世の人間時代において、彼は遊海や翠を何度も傷付け…バリアンに転生した後も遊海は深い傷を負う事になった…。
だが、4度に渡る戦いの末に彼はようやく救われ…今回の戦いにおいては「絆の欠片」を宿した1人として、遊海達を救う一助となった。
それを聞いていた翠は静かにディヴァインを許したのだった。
「それよりも…この子の事を抱っこしてあげて?と〜っても可愛いの〜!!」
「ははっ…まったく、キミ達がこれ程の子煩悩になるとは…」
「あう〜?きゃい!」
「イタタ!ちょっ、髪はやめてくれないか!?」
子煩悩な様子の翠に苦笑しながら遊嗣を抱くディヴァインだったが…トレードマークの前髪を掴まれてしまい、慌てるのだった…。
「お〜い!遊星!Dホイールの調子見てく…おおっ!遊海じゃん!久しぶりだな!その赤ん坊は…?」
「もしかして2人の…!?」
「おお、ユーゴとリンちゃんか!この子は初めましてだな…俺達の息子の遊嗣だ、よろしくな!」
「たい!」
「「可愛い〜!!」」
そして、偶然に遊星のガレージにユーゴとリンがやって来る…2人もすぐに遊嗣にメロメロになるのだった。
@融合次元
「ふぎゃあああ〜!!!」
「オウノー!?大泣きなノーネ!?どうしてなノーネ──!?」
「クロノス先生…(汗)」
「先生の顔が濃すぎたザウルス…」
「あはは…」
融合次元・デュエルアカデミア、その中庭で遊嗣は大泣きしていた…もちろん、原因はクロノスの濃すぎる顔である。
その様子を見た翔や剣山を始めとした生徒達や遊海は苦笑している…。
「クロノス先生!ほら、代わるよ…遊嗣〜!久しぶりだなー?」
「あう…ゆぅい〜…」
「流石はセニョール
クロノスの腕の中で泣きじゃくる遊嗣をあやしたのは、融合次元を訪れていた十代だった…彼は全ての事件が解決した後も定期的に融合次元に顔を出している。
…なお、その姿は翔や明日香と同年代の
《ふふっ…上手いじゃないか十代》
「ヘヘっ…やっぱり赤ちゃんは可愛いよな〜!ユベルも抱っこしてみるか?」
《ぼ、ボクはいいよ…ボクはちょっとトゲトゲしてるし…爪も鋭いからね、知ってるだろう?》
「あう…あう〜!」
《あっ…》
遊嗣をあやす十代…そんな彼はユベルにも声を掛けるが、ユベルは肩を竦める…『正しき闇の覇王』を守る為に異形の姿になった自分には子供は弱すぎると…。
しかし、それを知ってか知らずか…遊嗣は十代の腕から小さな手を伸ばし…彼女の指先を掴んでいた。
《───まったく、キミは羨ましいね…最強の英雄や、たくさんの仲間達の『愛』に守られて…キミはきっといいデュエリストになるだろうさ…》
「う〜?」
ユベルは手のひらで優しく遊嗣の頭を撫でる…その手に感じる、ほのかな温かさに微笑みながら…。
「あれ…遊海、来てたんだ」
「何を白々しく…遊海が来ると聞いてビクビクしていた癖に」
「久しぶりだな!ユーリ、セレナ!」
一通り仲間達が遊嗣との触れ合いを終えた頃、セレナとユーリがやって来る……なお、ユーリは若干遊海に怯えていた。
「ほら、抱っこしてみるか?」
「僕はいいよ、赤ちゃんなんて抱いた事な──「あい〜!」……ねぇ、キミ…僕の眉毛はボタンじゃないよ?」
ユーリに遊嗣を抱くように勧める遊海、ユーリはそれを断ったのだが…何を思ったのか遊嗣が小さな両手でユーリの麻呂眉を押し込んだ…どうやら、おもちゃと勘違いしたらしい。
「ぷっ…」
「「「あははは!!」」」
遊嗣の思わぬ行動とユーリの答えに噴き出したセレナに続いて仲間達の笑い声が響く…新生デュエルアカデミアは今日も平和だった…。
@???
【フン…わざわざ、我の領域にも顔を出すとはな…暇なのか?】
「まぁ、暇なのは否定しないけど…お前にも顔見せしようと思ってな!」
「あう〜…?あ〜い〜!」
そこは夜空が広がるのに明るく、古代の遺跡と花畑が広がる穏やかな世界…かつて、遊海と翠が遭難した「ARC次元の中心世界」
全ての次元から隔離されたその場所は現在、『善神』ドン・サウザンドが「ヌメロン・ピース」を守る為に利用していた。
「ふふっ…抱っこしてみます?」
【……止めておこう、赤子には我の力は強すぎる…だが……】
翠に遊嗣を差し出されたドン・サウザンドは静かに首を振る…だが、その指先で優しく遊嗣の額に触れた。
【フッ…英雄と女傑の子か…お前もまた
「世界なんか背負わせないよ……この子は俺達の思いを受け継いで、元気に育ってくれればいいんだ……な〜?」
「あい〜!」
「お返事上手ね〜!ふふっ」
【流石の英雄も自分の子には顔が緩むか…だらしのない】
《フォウフォウ、フォウ?(でも、
【フッ…そうだな、災厄よ】
遊嗣をあやしながら穏やかに語る遊海と翠、その様子を見ていたドン・サウザンドの口角も…僅かに上がっていた…。
【───だが、
@アストラル世界
「きゃあ〜!可愛い〜!!!本当に2人にそっくり〜!!」
「でしょでしょ〜!もうほっぺもプニプニで…目もクリッとしてて〜!!」
「(°o°)」
「エメル、落ち着けって…遊嗣が驚きすぎて目が点になってるから、怖がってるから……仕方ないか……すまん、遊海」
「はは…エメルが喜んでくれて何よりだよ、ラプラス…遊嗣、少しだけ我慢してくれ…(汗)」
遊海達が最後に訪れたのは…遥かなる異次元、アストラル世界……そこで遊嗣は紫色の髪のアストラル人の少女……エメルから熱烈な歓迎を受け、翠も親バカを爆発させていた。
そして、あまりの熱量に遊嗣は泣きも笑いもせずに目を見開いていて、少し可哀想な事になっている。
また、流石の遊海とラプラスも女性陣の盛り上がりにタジタジであった…。
「遊海!翠!頑張った…頑張ったね〜!!」
「うん…!私達頑張ったよぉ〜!!」
「遊海…絶対に、何があっても守れよ…お前達の
「ああ…!この子が優しく、明るい世界で生きれるように…俺はこれからも戦い続ける!」
「あう〜?」
「ははっ…遊嗣、大好きだ…!俺達の所に生まれてくれて、ありがとう…!!」
涙を流しながら抱き合う翠とエメル…そして、遊嗣を胸に抱きながら戦い続ける決意を固める遊海…彼らの未来は希望の光に満ち溢れていた…。
『フッ…私も祝福しに行きたいが…少し時間をズラすとしようか…』
(その方が良さそうですね、エリファス…彼らだからこそ、この時間に意味がある)
そんな光景をエリファスとアストラルは優しく見守っていたのだった。