転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

今回は完全な『日常』回……ほのぼのとした白波家をお楽しみください!

それでは、どうぞ!


穏やかな日々〜平和な時間〜

「───ん……朝か……」

 

「すぅ…すぅ……」

 

「くぅ…くぅ…」

 

とある日のハートランド…遊海はカーテンの隙間から差し込む光で目を覚ました、その隣には翠が…ベビーベッドでは遊嗣が静かに寝息を立てていた…。

 

 

「ああ…()()()()()…」

なんて事のない()()()()()()()…それを見た遊海は穏やかに呟いた…。

 

 

 

…………

 

 

「ふぁ……おはよう父さん、母さん…」

 

「おはよう凌───髪がすごい事になってるぞ?」

 

「んー?……うげ、マジだ…」

それは朝の一コマ…2階から寝癖で髪型が愉快な事になっている凌牙が降りてくる、ソファに腰掛けた遊海の言葉でそれに気付いた凌牙は髪を押さえていた…。

 

 

「あう…たぁい〜!」

 

「おっ、おはよう遊嗣…今日も元気そうだなー?」

 

「きゃう〜!」

 

「うっ──やっぱり、俺の子供達は可愛いなぁ〜!」

 

「父さん…毎日それ言ってるぜ?…というか俺もかよ」

そして凌牙は遊海の膝の上にいた遊嗣に優しく声をかけ、頭を撫で…遊嗣は嬉しそうに笑い声を上げる、20歳差の兄弟の触れ合いは尊く…遊海は毎日尊死しかけている。

 

 

「おはよう父さん!おはよう遊嗣〜!うりうり〜!」

 

「きゃう〜!きゃはは!!」

 

「もう…姉弟揃って可愛いんだから〜」

そして続いてやって来たのは璃緒…既に身支度を整えていた璃緒は遊嗣に頬ずりする…そんな様子を見て翠は子供達の可愛さに顔が緩んでいた…。

 

 

 

「ほら、遊嗣…あ〜ん!」

 

「あう〜……えへへ…!」

 

「そうか…!美味しいか!良かったなぁ…!ママはお料理上手だからな〜!」

 

「ふふっ…たくさん食べて、大きくなってね〜!」

 

 

「まったく…本当に遊嗣は親孝行だな…元気にしてるだけで父さんも母さんも喜んでくれるんだから…」

 

「この前、熱が出ちゃった時なんて2人とも大慌てだったもんね…」

 

《フォウ〜(心配し過ぎだったよね…熱があるって分かった瞬間に回復魔法使ってたし…)》

家族全員が揃った朝食…離乳食を食べるようになった遊嗣はベビーチェアに座り、遊海が付きっきりで世話をしている…そんな様子を凌牙と璃緒は優しく笑いながら見ているのだった。

 

 

 

 

「えっ、お出かけ?」

 

「ああ、今日は凌牙も璃緒も休みだろ?久しぶりに羽を伸ばしたらどうかなって…遊嗣は俺1人で見てるからさ」

今日は日曜日…凌牙も璃緒も休みが重なっている…それを聞いた遊海は翠へと気晴らしを提案していた。

 

 

「俺達は良いけど…父さん1人で大丈夫か?」

 

「大丈夫さ!普段のお世話だって頑張ってるだろ?それに、たまにはストレスを発散しないと体に悪いからな…な〜?」

 

「たゆ〜?」

 

「もう…疲れてるのは遊海さんも一緒なのに……ありがとうございます、遊海さん…」

遊海の優しい心遣いに翠は柔らかく微笑んだ…。

 

 

 

「ほら、遊嗣…ママとにぃにとねぇねにバイバ〜イ!」

 

「ばぁばぃ〜!」

 

「「「「できた!?すごい!」」」」

玄関先で翠達を見送る遊海と遊嗣…なのだが…「初」バイバイを成功させ、家族全員が驚いている…。

 

 

「ふふっ…初パパ・ママを言ってくれる日も近いかもしれないですね!いってきま~す!」

 

「ああ!いってらっしゃい!」 

 

「たぁい〜!」

遊嗣の思わぬ成長を喜びながら、翠達は出掛けていった…。

 

 

 

…………

 

 

 

「たゆあう〜」

 

「ははっ…ちょっと待っててな〜」

翠を見送った遊海は遊嗣を背負い、外のガーデニングの水遣りを始める…その背中で遊嗣はぱたぱたと手足を動かしている。

 

 

「あっ!おはよう遊海!」

 

「おう!おはよう遊馬!」

 

「たいたい〜」

 

(おはよう遊海、遊嗣、元気そうで何よりだ)

そんな時、家の前を通りかかったのは遊馬とアストラルだった…日々プロリーグで戦う彼も今日は休みらしい。

 

 

「たあう?」

 

「おっす遊嗣!今日もぷにぷにだな〜!今日はシャーク達は?」

 

「翠の気晴らしに付き合ってもらってるんだ…今日は俺と遊嗣、精霊達でお留守番さ!」

 

「たい!」

 

「へぇ〜!」

 

(……私達と一緒にバリアンと戦っていた時や、ズァーク戦の時とは大違いだな…これが子供…赤子の持つ力か…)

穏やかな日常を送る遊海を見たアストラルが考え込みながら呟く、彼が知る戦い続けた遊海と比べて…今の穏やかな遊海は本当に幸せそうだったからだ。

 

 

「時間は大丈夫か?何か約束してるんじゃないか?」

 

「えっ…あ!小鳥と待ち合わせしてたんだった!じゃあな〜」

 

「ばぁば〜!」

 

「……あの様子だと、小鳥ちゃんの想いはまだ届きそうにないかな?」

そうして遊馬は駆け出していく…そんな姿を見ながら遊海は笑っていた…。

 

 

 

 

 

「ういいぃぃ〜!」

 

「ほら、キレイキレイしような〜」

 

《フォウ、フォウ!(やっぱり手慣れてるね!)》

 

「ははっ…ようやくだよ…まぁ、自分で自分の血とかを片付ける事も多かったからなぁ…それよりはマシさ」

ぐずり始めた遊嗣のオムツを変える遊海…そんな中で遊海は今までの大怪我の事を思い出していた…。

 

 

「ふんふん〜♪ふんふーん〜〜♪」

 

「たぁい〜えへへ…」

そして遊海は洗い物や洗濯、掃除…日々の家事を終わらせていく…そんな中で遊嗣は嬉しそうに笑っていた…。

 

 

 

《フォウ〜…フォーウ─!!(遊嗣に〜シュート!!)》

 

「たい!てあああ〜」

 

《なんの!!》

 

「よしきた!」

家事を終わらせた遊海はリビングで遊嗣とフォウやフレアと一緒にボール(柔らかい・布製)を使って遊ぶ…もふもふの尻尾を使ったフォウのシュートやフレアのヘディングに遊嗣はご機嫌である。

 

 

 

「ほら、あ〜ん…」

 

「あう〜!」

そしてお昼時、翠が作っておいた離乳食とミルクを遊嗣に食べさせる…なお、遊海自身は久々のカップラーメンである。

 

 

 

 

 

「よしよし…今日はいっぱい起きてたからお昼寝しような〜」

 

「たう〜…」

 

《うむ、寝る子は育つというからなぁ…》

そしてその後はお昼寝の時間…日当たりの良いリビングに布団をひいた遊海は優しく遊嗣を寝かせる…そしてぽんぽんと優しくリズムを取る…。

 

 

「あう……ヘヘっ……すぅ…すぅ…」

 

「──よし、寝かしつけ成功…」

そして30分ほどそれを続けると…遊嗣は微笑みながら夢の中に旅立っていった…。

 

 

 

 

「……なぁ、彩華…俺、こんなに幸せでいいのかな?」

 

《マスター…》

眠っている遊嗣の顔を見ながら、遊海はふとアヤカに問いかける…。

 

 

 

「不意に命を落として…良い神様に巡り会って、憧れの遊戯王世界に来て…翠と再会できて……生涯の親友達やお前達と出会って…凌牙や璃緒、遊嗣が生まれて……こんなに幸せに過ごして、いいのかな…?」

 

《当然ですよ、マスター…貴方達はそれほどの戦いを乗り越えてきたんです…きっと、他の転生者がいたとしても……マスターほどの苦しみや痛みを経験した者はそう多くない、と私は思います》

今までを振り返り、幸せに暮らす「今」を不安に思う遊海…だが、パートナーであるアヤカはその幸せを肯定する…遊海はそれほどの戦いを乗り越え続けたのだからと…。

 

 

《マスターは本当に優しすぎるほど優しい人間です…たまには、その優しさを自分に向けてください》

 

「そうだな……ありがとう、あやか……すぅ……」

 

《……おやすみなさい、マスター…どうか穏やかな夢を…》

アヤカとの問答で不安が晴れたのか…遊海もまた眠りの世界に落ちていった…。

 

 

 

 

《えっと…この時期の赤ちゃんの推奨昼寝時間は……30分から2時間……では、1時間ほどしたらマスターを起こし──おや?》

 

「たぁい?」

 

《フォウ!?(起きちゃった!?)》

ネットで検索した赤ちゃんの昼寝時間から遊海達を起こす時間を考えるアヤカ…しかしその時、眠ったはずの遊嗣が目を覚ましてしまった。

 

 

 

 

《フォウ、フォ〜ウ〜(遊嗣、寝てなきゃダメだよ…遊海も疲れてるから…)》

 

「たうたう〜…たたたた…」

遊嗣を優しく尻尾で包んで寝かせようとするフォウ…だが、遊嗣はハイハイで布団から這い出してしまう…。

 

 

《アヤカ、ユウミを起こした方がいいのでは?》

 

《それが一番なのですが…マスターにも休息は必要です…!私達でなんとかしましょう…!》

 

「てぇう〜!」

目を覚ましてリビング内を冒険する遊嗣、その姿を見たフレアは遊海を起こす事を提案したが…遊海の疲労を知っているアヤカはなんとか事態を収める為に奮闘する事になった。

 

 

 

 

「きゃう〜!」

 

《フォウ?(ボールで遊ぶの〜?)》

遊嗣はまず、落ちていたボールを拾って笑顔を見せる…その姿を見たフォウは遊嗣に歩み寄るが──

 

「てう!」

 

《フォッ!?フォウー!(ああ!?ボールが遊海の顔の方に!!)》

 

《任せろ!!》

遊嗣が手にしたボールを床に叩きつける…そのボールは跳ねた勢いで遊海の顔に向かい──ぶつかる寸前でメガロックに防がれた!

 

《フォウよ、遊海に当ててはならんぞ》

 

 

《フォウフォウ(まかせて…!)》

メガロックから渡されたボールを再び遊嗣に渡すフォウ、そして──

 

「うい〜!!」

 

《フォウ!!(今度は上!?)》

 

《させん!キャッチだ!!》

再び投げられたボールは壁に当たり、反射して遊海に向かい──今度はトフェニにキャッチされる。

 

 

《赤子とはいえ油断でき──!?遊嗣殿!?》

 

「あしょ…あしょ…!」

 

《フォウ─!?(ソファをよじ登ってる─!?)》

取ったボールを遊嗣に返そうとするが…少し目を話した隙に遊嗣はソファによじ登ろうとしていた!

 

 

《フォウ…フォウ!?(遊嗣!上がったらダメ…力強い!?)》

ベビー服のおしりを引っ張って遊嗣を止めようとするフォウ…しかし、赤ちゃんの筋力も意外と馬鹿にできず…遊嗣はソファの上に登ってしまう…。

 

 

「たぁうい〜!!」

 

《おおっ…遊嗣はすごいなぁ!だが、危ないから足から降りるのだ…ゆっくり…!》

 

「あう…てっ!?」

 

「「「危ない!!」」」

ソファの上で嬉しそうに笑う遊嗣…メガロックは遊嗣を褒めつつ、下に降りるように促すが──バランスを崩した遊嗣はソファから頭を下にして落下し───

 

 

 

《せ、セーフ…この姿で持ち上げられてよかった…》

 

《ふ、フレア様…ナイスキャッチ…》

 

「きゃは!きゃはは!!」

落下する寸前にフレアの爪がベビー服に引っ掛かり、遊嗣は静かに床に着地する…そんな中で遊嗣は楽しそうに笑っていた…。

 

 

 

『仕方がありません…遊嗣が眠るまで、私が抱いておきます』

 

《うむ、それが一番安全だ…》

 

《フォウ〜(赤ちゃんは予想外がいっぱいだね…)》

結局、アヤカが人間体であるレイン彩華になって遊嗣を抱き抱える…そこまでで精霊達はへとへとになっていた。

 

 

 

「たい〜?」

 

『ふふっ…遊嗣、おとなしく寝てくれないとマスター…パパとママが心配しますよ?…人肌ヒーターを起動、子守唄データを検索……〜〜〜♪』

 

「あう〜〜」

優しく遊嗣を抱いた彩華は…翠がするように体を揺らしながら子守唄を歌う…。

 

 

「うい〜…」

 

『ふふっ…貴方はマスター…パパとママの大切な宝物です…どうか、優しく強いデュエリスト……いいえ、大人になってくださいね?』

優しく微笑みながら遊海と翠の宝物である遊嗣をあやす彩華…その時───

 

 

 

「あう…ぱ……ぱぁ…ぱ……()()()!」

 

 

『「「「あ」」」』

 

《……フォッ…》

 

 

 

「すぅ……すぅ……ゆうじ……みどり……」

 

 

 

 

 

 

 

……………

 

 

 

 

 

 

 

「「ただいまー!」」

 

「いっぱい買いすぎちゃった〜…遊海さーん!遊嗣〜!ただいま〜!!」

しばらくして…翠達が帰宅する、日用品やベビー用品の買い物で凌牙は両手に荷物を持っていた。

 

 

 

「遊海さーん…?あら、まぁ…!」

 

「どうしたの母さ………わぁ〜!遊嗣と父さんが同じ格好で寝てる…かわいい〜!!」

 

「ははっ…父さんも幸せそうな顔してるなぁ…」

遊海達の声がしない事を不思議に思いながらリビングへやって来た翠…そこで彼女が目にしたのは、仰向けで同じように右手を頭の上に上げ、右足を曲げて眠る…いわゆる『シンクロ寝』をする父子の姿だった。

 

珍しい光景に璃緒は慌てて写真を撮り、凌牙も幸せそうな遊海の寝顔を見て笑っていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

《みんな…なんか疲れてない?》

 

《何かあったの?》

 

《いいえ、特に問題はありませんでした…デスヨネ?》

 

《フォウ、フォ(ウン、ダイジョブ)》

 

《ハハハ……はぁ…》

一方、翠と一緒にいたウィンダとウェンが疲れた様子のアヤカ達に話しかけるが…彼女達は何もなかったと愛想笑いをしていた…。

 

 

 

 

《(み、みなさん…!初パパがあった事は内緒でお願いします…!!)》

 

《(うむ…しかも、アヤカの腕の中というのはなぁ…)》

 

《(そこまで隠さなくても…)》

 

《(ですが、初パパ呼びの感動は…やはり、家族がいる所で…)》

 

《フォウ…フォ〜ウ…(赤ちゃんの成長って、早いなぁ…)》

遊嗣の思わぬ成長の早さに振り回された精霊達なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うむうむ…遊海と翠が幸せそうでなによりじゃ…ホッとしたわい』

 

『ええ…『ARC-V』の物語が始まってしまった時はどうなるかと思ったけど……2人が凌牙くんや璃緒ちゃん…そして遊嗣くんと過ごせるようになって良かった…!』

そんな白波家の様子を天界から見守っていたのは遊海達を転生させたデウス神とアマト神夫婦だった。

立場上、積極的に現世に干渉できないが…彼らはしっかりと遊海と翠を見守っていたのだ。

 

 

 

『遊海よ…次の物語がお前達への最後の試練となるだろう…お前が全ての物語を()()()()()()()のが、少し心配じゃが…お前達家族の…決闘者の絆が最善を掴んでくれる事を信じておるよ』

 

『でも…今だけは──貴方達が掴み取った幸せを噛み締めてね…きっとそれが…これからの力になるから…』

次なる物語の心配をするデウス神とアマト神…彼らの見つめる先で遊海達は幸せそうに笑っていた…。

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