転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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幕間〜動き出した歯車〜

「すぅ…すぅ…」

 

《キュウ…すぅ…》

 

 

「ロマンさん、遊海さんの様子はどう?無茶はしてない?」

 

《ええ、現地の決闘者達と協力して敵対勢力…ネオ・アカデミアと戦っています…ですが、洗脳された一般デュエリストが多いらしく…思うように戦えていないようです》

 

「そうなの…」

夕食後の白波家、翠とロマンはこの場にいない遊海について…そして、()()()()について話し合っていた。

 

なお、初めての『試練』を乗り越えた遊嗣はソファでフォウと共に居眠りしている…。

 

 

 

「……ロマンさん、貴方は遊海さんから…何処まで()()()()()?」

 

《……ボクの持つ情報はおおまかなモノに限られています『知識』が足を引っ張る事もあるから…と、ひとまずプレイメーカー・Go鬼塚・ブルーエンジェルの簡単なパーソナル、そしてハノイの騎士と()()()()()の情報、私以外の6体のイグニスの存在…それくらいですね》

 

「なるほど…」

 

《マスターは本来、ボクをサポートAI…いいえ、パートナー()()()()として「物語」への干渉を考えていたらしいけど…先の事件が発生した事で作戦変更を余儀なくされたと言っていました……そして遊嗣の保護とサポートの為に改めて送り込まれて…》

 

「そして、ハノイの騎士に襲われていた遊嗣を助けてくれた……でも…」

 

《はい、できる限りの痕跡(ログ)は消しましたが…ハノイの騎士が我々の情報を掴む可能性もある……遊嗣もマスターと同じように巻き込まれる可能性が高いでしょう》

自身が持つ情報を翠へと開示するロマン…そして、蓄積された()()から遊嗣に待つ未来を予測した…。

 

 

「もう…!現実世界で起きる事なら、私でも対処できるのに…!」

 

《それは…やはり、得意不得意の問題かと…大丈夫、遊嗣の強さは母上様…翠さんも分かっているはず》

 

「それはそうなんだけど…やっぱり心配なのよ〜!」

 

《あはは…大丈夫、その為にボクは彼の所にやって来たんだから…》

待ち受ける試練を前に遊嗣の事を心配する翠…その不安を晴らすようにロマンは笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

Side???

 

 

 

【プレイメーカー…まさか、奴が()()()()()()だったとはな、我らよりも先にイグニスを手中に収めるとは…】

 

『リボルバー様の判断に手抜かりはなかったかと…不幸中の幸いは……イグニスがSOLテクノロジーの手に渡った訳ではない事でしょうか』

 

【いずれにせよ…奴の正体が分かるまで時間は掛かるまい】

 

それは何処かにある電脳空間…デンシティを騒がせるハッカー集団『ハノイの騎士』のアジト、そこではリーダーらしき近未来の宇宙服を思わせる仮面で正体を隠した男と生身の肉体と変わらない姿の銀髪の青年が言葉を交わしていた。

 

 

デンシティを始めとした世界中のネットワークを荒らし、混乱を齎す彼らの目的…それは遊作の手に入れたAIプログラムを捕獲し、ネットワーク世界の何処かに隠された『サイバース世界』を破壊する事なのだ…!

 

 

 

1()()、理由は不明だが…プレイメーカーは我ら『ハノイのの騎士』を憎んでいる】

 

【2つ、サイバースを持つ者は限られる】

 

【3つ、いずれ…奴は私のもとにやってくる…奴は私と戦いたがっているらしいからな】

 

『仰せの通りです、リボルバー様…奴も正体を隠し続ける事はできないでしょう』

近いうちにダークホース…プレイメーカーとの決戦がある事を確信するハノイの騎士のリーダー、リボルバー…彼は余裕の態度を崩していなかった…。

 

 

【その時を楽しみに戦いの準備をさせてもらおう……そういえば、プレイメーカーと戦っていなかったもう1人の仲間はどうした?何故連絡がない?】

 

『……どうやら下手を打ったようで…警察に逮捕されたようです』

 

【それは不可解だな…奴はそれなりに腕の立つハッカーのはずだが】

プレイメーカーとの決戦を前に笑みを見せるリボルバーだったが…銀髪の青年──アカウント名『スペクター』の言葉を聞いて眉間に皺を寄せる。

 

 

ハノイの騎士には千名近い構成員が存在する…そのほとんどは売名目的やリンクヴレインズに反感を持つだけのならず者…だが、その中でもリボルバーに忠誠を誓った実力者も一定数存在する。

 

AIプログラム…イグニスを捕獲する為にリンクヴレインズに送り込んだ2人もその内の1人だったのだ。

 

 

 

『彼が残した映像データがありますが…ご覧になりますか?』

 

【ああ、確認しよう】

リボルバーの命を受けたスペクターはモニターに映像を映す…そこには『クラッキング・ドラゴン』を使ってリンクヴレインズを攻撃する彼の姿が映っていたのだが…途中で映像が途切れていた…。

 

 

【この先は?】

 

『どうやら、妨害プログラムによって録画データが破壊されたようです…このプログラムの組み方は──』

 

【『鋼の騎士』か…この一ヶ月ほど姿を見せないと思っていたが…あれだけ暴れれば、奴も出てくるだろう】

そしてリボルバーは構成員を倒した者の正体を予測する。

 

 

ハノイの騎士には4つの『敵』が存在する。

 

1つ目は同じくイグニスの捕獲を目論む、リボルバーの復讐相手でもある『SOLテクノロジー』

 

2つ目は神出鬼没のハッカー『unknown』

 

3つ目は『unknown』と同じく神出鬼没に現れてはハノイの騎士を狩る『Playmaker』

 

 

4つ目…それはハノイの騎士に関わらず、全ての『悪の敵』…鎧を纏いしヒーロー『鋼の騎士』

アカウント名すらも分からず、交戦したハノイの騎士の間で恐れられる人物である。

 

 

【………スペクター、映像を止めろ】

 

『はい…何か映っていましたか?』

 

【大したモノではないが…『鋼の騎士』の手掛かりになるだろう】

 

止められた映像…そこには瓦礫の下敷きになった()()()()()()()()()()()()()()()()()()の姿が不鮮明に映っていた…。

 

 

 

Side OUT

 

 

 

Side???

 

 

 

【財前、今回の件でリンクヴレインズはずいぶんと混乱しているようだな?】

 

【メンテナンスも含め、しばらく閉鎖してはどうかな?】

 

【既に無謀な連中も現れ、スピードデュエル挑んで怪我人も出ているそうだな】

 

『………』

 

そこはチェス盤のような白黒の床が広がる電脳世界…そこには巨大なチェス駒──ビショップ・ルーク・ナイトの駒が浮かび、その前に青いスーツを着た青髪の男がいた。

 

 

ここはデンシティ一番の大企業『SOLテクノロジー』の首脳室…チェス駒はそのSOLテクノロジーの幹部達であり、青髪の男はSOLテクノロジーの警備部長、財前晃という男だった。

 

今回のハノイの騎士の襲撃の原因…それは、この幹部達が逃げ回るAIプログラム──イグニスを探し出す為に無茶な全体スキャンを指示した事が発端である。

 

 

彼らがイグニスを求める目的…それはイグニスが生み出す『データマテリアル』というネットワーク世界の超物質を独占し、利益を生む事である。

 

 

 

 

『発言をしてもよろしいでしょうか…!』

 

【なんだ?財前】

 

『リンクヴレインズの閉鎖は得策ではない、と思われます…!』

 

財前はチェス駒三人衆を前に自らの考えを伝える。

 

 

リンクヴレインズを閉鎖すれば大きな損失が発生する事

 

目的のイグニスはハッカーであるプレイメーカーが保有している事

 

リンクヴレインズを閉鎖し、プレイメーカーとハノイの騎士の戦いが他のネットワークで行なわれれば…サイバース世界は永遠に失われてしまう事

 

ならば、あえてリンクヴレインズを開放する事でプレイメーカーを誘き出し、捕まえる機会を確保する事を……

 

その話を聞いたチェス駒三人衆は渋々という形で財前の提案を承認する。

 

 

そして、財前は自身の持つ人脈を使い…プレイメーカーを追い詰める事を決めたのだった…。

 

 

 

 

Side OUT

 

 

Side遊作

 

 

 

 

「ダメだ〜…こんなプログラム、見た事がない…A()i()は俺の知らないアルゴリズムで構築されてる…これじゃデータストームの正体もわからないぞ…」

キッチンカー『Cafe Nagi』のハッキングルーム、そこに店主である草薙の弱音が溶けていく…。

 

ハノイの騎士を退けた遊作は草薙と共に休日を使って捕えたAIプログラム──仮称『Ai(アイ)』の解析を進めていた。

(命名は遊作、人工知能である『AI』と(eye)だけの状態である事を掛けたダブルミーニングらしい…なお、饒舌過ぎる事からデュエルディスクのスピーカーはOFFにされている。)

 

 

 

 

「見た事のないプログラムだが…一部を繋げる事はできた」

 

「マジか!?」

 

「無数のプログラムが飛び散っているようなプログラムだが…いくつかを繋げる事ができた」

 

「お前はやっぱりすごいよなぁ…!電脳世界を感じられると言うか…俺とは比べられない才能だぜ…」

 

「ありがとう草薙さん…これは──何かの動画だな、Aiの記憶データの一部か…?再生してみよう」

天才的なセンスでAiのデータの一部を読み解いた遊作…そこに映っていたのは破壊される何処かの「世界」の風景、そして…それを成した『クラッキング・ドラゴン』を操る、ハノイの騎士とは違うアバターの人物の姿だった……その時!

 

 

バチバチ…バリバリ!!

 

「っ…!?なんだ!?」

突然、Aiを捕えていたデュエルディスクがスパークし、モニターが異常な数値を示す…!

 

 

────!!!

 

 

「っ!?草薙さん!電源を落とす!こいつを探った事を()()()されたんだ!!」

 

「なにっ!?」

その時、遊作は言い知れない悪寒に襲われる…そこから状況を導き出した彼は慌ててキッチンカーのブレーカーを落とし、外へと飛び出した!

    

 

 

 

「っ…!あれは!!」

 

【────】

そして、外に飛び出した遊作はその姿を見た。

 

デンシティに重なるように存在する電脳世界…その世界を飛ぶ正体不明のドラゴン…そして、それを操るAiの記憶に映った人物の姿を…。

 

だが、その人物は遊作の存在に気付く事なく──夜の電脳世界に消えていった…。

 

 

 

 

 

「おい、Ai!答えろ…!さっきの映像はなんだ?スピーカーはONにしてある、答えなければ──お前をバラバラにするぞ」

 

《あーもー!話せば良いんだろ!?そんなに凄むなって!》

安全を確認した遊作はAiを問い詰める…彼の記憶に映った事への説明を求めて…。

 

 

《さっきも言ったけど、オレの記憶はほとんど破損…というか奪われた!さっきのハノイの騎士にな!残っている記憶は少ししかない》

 

「さっきの映像の奴は、誰だ?」

 

《聞いて驚くなよ?あいつはリボルバー…ハノイの騎士のリーダーさ》

 

「「ハノイのリーダー!?」」

 

《ほーら驚いた》

Aiからもたらされた思わぬ情報…それを聞いた遊作と草薙は驚きを露わにする…。

 

 

《悪いけど、他の事はわからねぇ…あの『世界』が何なのか、とか…オレがなんで追われてるのかもな……》

 

「──リボルバー…!」

 

悲しげな様子を見せるAiを見ながら…遊作は倒すべき『敵』の名前を呟く。

 

 

 

運命の歯車は…静かに回り始めていた…。

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