転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
第2章開幕…全ての真実を知る為の戦いはついに核心へと向かう…そして、ハノイの騎士はその攻勢を強めていく…!
そして──遊作と遊嗣、光と影…2人の道はついに交わる。
原作沿いの展開が続いてしまいますが…やはり、この先のシーンは外せないので…ご容赦ください。
真実への鍵〜誘い〜
「『リンクヴレインズの完全復旧にはもう数日掛かる見通し』…か、いったい何があったんだろう…?」
《ネットの情報によるとSOLテクノロジーのセキュリティ部長だった財前さんのお兄さんが降格させられたって情報もあるね…おそらく、ハノイの騎士関連の事件の責任を問われたんじゃないかな?》
「財前さん…意識は戻ったらしいけど、まだ学校にも来てないし……うーん…なんだか繋がってる気がするなぁ…」
《……また、プレイメーカーが何かを成し遂げたのかもね?》
「なるほど…」
リンクヴレインズで発生した強制ログアウト事件から数日…デンシティは表向きには平穏を取り戻していた…だが、変化があった事もある。
リンクヴレインズは強制ログアウト後に発生したトラブルによって半壊…立ち入りエリアが制限された状態が続いている。
また、その責任を取る形でSOLテクノロジー社のセキュリティ部長だった財前晃が降格処分を受けたらしい。
そして良い知らせとしては昏睡状態だった財前葵が目を覚ましたという知らせが入った…しばらくは自宅療養するらしく、学校は欠席しているらしい。
「遊嗣さん!おはようございます!」
「おはようマシュ!」
《ふふっ…青春だねぇ…》
様々な事件は起きている…だが、それは遊嗣達にとっては
〜〜〜〜
「遊嗣さん!今日は中央広場に行ってみませんか?カリスマデュエリストのデュエル中継があるらしいですよ?」
「そうなんだ!最近はGO鬼塚とかブルーエンジェルも出てないし…ちょっと興味があるかも!」
放課後、リンクヴレインズのトラブルと葵も欠席しているという状況が重なってデュエル部も休みとなり、マシュは遊嗣をリンクヴレインズの観戦へと誘っていた。
「……このお店、今日もお休みなんですね?」
「『Cafe Nagi』…ホットドッグが美味しいらしいんだけど…なんでか休みが多いお店なんだよね…」
「そうなんですか…」
そして、広場にやって来た遊嗣達は閉店中のキッチンカーを見ながら観覧席に向かう…その中で、事態は少しずつ動き出そうとしていた…。
…………
「草薙さん、いきなり呼び出して…何があったんだ?」
「遊作、これを見てくれ…お前宛のメッセージだ」
「これは…ゴーストガールから?」
閉店中のCafe Nagi…そのハッキングルーム…草薙から呼び出しを受けた遊作はとある人物──電脳トレジャーハンターを名乗った謎の美女、ゴーストガールからのメッセージを見ていた。
なお、そのメッセージは暗号化されており…素人には理解不能の文字列がびっしりと刻まれている…。
「ハッカー達がよく使う情報交換場所、ハッキングフォーラムにメッセージがあったんだ…どうやら、この前のリボルバーとのデュエルの時に誘導の為に使ったプログラムのソースコードを解析し、プログラムを組んで…俺が気付くように仕向けたらしい」
「なるほど…」
「このメッセージによると…プレイメーカーにデュエルを申し込む、私が勝ったらプレイメーカーのAIを貰う…とあるな」
《え〜っ!?冗談じゃない!!ようやっと体を取り戻したのに!!》
草薙の読み解いた文章を聞いて遊作のデュエルディスクからAiが文字通り
先日のリボルバーとのデュエルを経て肉体を取り戻したAi…その姿は30cmほどの大きさの人型、黒い体に電子回路を思わせる紫色のラインが描かれ、黄色の眼と後ろに向かって伸びた頭がチャームポイントである。
どうやらデュエルディスクのリアルソリッドビジョンシステムを利用して実体化しているらしい。
《なぁ、プレイメーカー様?そんな危険なマネ…しないよな?》
「いや…受けよう」
《受けるの!?ナンデ!?》
「メッセージの続きだ、交換条件として…オレが勝てばSOLテクノロジーのデータバンクへの
《抜け穴!?そんなの、本当にあるのか?デタラメじゃないのか?》
「いや…彼女の腕は一流だ、一部のデータを添付して来たが…本物の可能性が高い」
自分を賭けたデュエルと聞いて引き気味のAiだが、遊作はそのデュエルを受ける事を即決する…リスク以上にリターンが高い条件だったからだ。
「草薙さん、ゴーストガールに返信してくれ…その勝負を受ける、と」
「ああ、分かった……送信」
《え〜っ!?》
遊作の言葉を聞いて早速返事を送る草薙…そして───
「…来たぞ、リンクヴレインズで待っているそうだ」
「分かった…!」
《おいおい!本当に受けるのかよ!?また罠かもしれないぜ?》
「それは承知の上だ…だが、オレがこのデュエルを受けたのには3つの理由がある」
待つこと数分、ゴーストガールから返信が届く…それを聞いた遊作はログインルームに入りながらデュエルを受けた理由を語る。
「1つ、そのメールからは自らのデメリットも省みないゴーストガールの強い意思を感じる…2つ、SOLテクノロジーのデータバンクにはハノイに関する機密情報も含まれているはず…3つ、オレは必ず…10年前の真実を突き止める!草薙さん、サポートを頼む!」
Side???
「うーん…何も起きませんねぇ…それどころか、人っ子一人いませんし…」
「そんな事は分かってる!!だが、何が何でも特ダネを掴まなければプレイメーカーの特番は作れないんだ!!」
一方その頃、リンクヴレインズでは悲哀の声を上げる者がいた…彼らはアカウント名「カエル」と「鳩」、とあるテレビ局に所属するレポーターとカメラマンのコンビである。
文字通りカエルとハトのアバターでリンクヴレインズに現れるプレイメーカーについて取材していた彼らはつい先日、ボーナス前借りという手段を使ってゴーストガールからプレイメーカー対リボルバーのデュエル映像を手に入れたのだが──自身の痕跡を消去していた遊作によるハッキングでせっかくの特番データが吹き飛び、その穴を埋める特ダネを探してリンクヴレインズを彷徨っていたのだ。
なお、先日の騒動もあってリンクヴレインズ内はノイズだらけ…人の気配も疎らという彼らにとって最悪の状況である。
「ん…!?山本先輩!あれ…ゴーストガールですよ!?」
「本名で呼ぶなっ…!おおっ!?プレイメーカー!!これは特ダネの匂いがするぞ!鳩!追いかけるんだ!」
「アイアイサー!!」
その時、彼らに転機が訪れる…電脳トレジャーハンター・ゴーストガール、そしてプレイメーカーが同時に姿を見せたのだ…それを見たカエルは鳩と共にその背中を追い掛けた…。
『ふふっ…私の挑戦を受けてくれてありがとう、プレイメーカー』
「ああ、ただし…交換条件に嘘はないな?」
『もちろん!データはちゃんと用意してあるわ』
リンクヴレインズのとあるビルの屋上で遊作とゴーストガールが対峙する…彼女の手にはカードの形をしたデータが握られている。
『これがSOLテクノロジーのデータバンクに繋がる抜け穴よ…きっとそこには貴方が探してる10年前の事件のデータもあるはずよ』
「……どうしてオレとデュエルする?何故、自分で行かないんだ?」
手の中でデータを玩ぶゴーストガールに遊作が問いかける…彼女のハッカーとしての実力は高い、ならば彼女自身で行けるはずだと。
『うーん、そのAIが手に入ればSOLテクノロジーに高く売れるしね!まぁ、正直に言うと…この前のデュエルを見て貴方に興味を持っちゃったの!もちろん、電脳トレジャーハンターとしてね?貴方の事をもっと知りたくなったのよ』
「電脳トレジャーハンター…か…」
《プレイメーカー様!あいつ、絶対にオレ達の事騙そうとしてるぞ!人間ってなんで経験から学習しないんだ!?》
「Ai、人には学習しなくても…
《うぅ…人間ってムツカシイ…やっぱりやるのかぁ…》
電脳トレジャーハンターとしてプレイメーカーに興味を持ったゴーストガール…そんな彼女を満足させ、データを手に入れるべく…2人のスピードデュエルが始まる!
「『スピード・デュエル!!』」
デュエルダイジェスト プレイメーカー対ゴーストガール
ゴーストガールが操るのは『オルターガイスト』デッキ、様々な罠カードを絡めた展開で相手にペースを掴ませず、さながら幽霊のように相手を追い詰めるスタイルのプレイングを得意とする。
そして彼女は1つの「作戦」を持ってプレイメーカーへと挑んでいた…それはスキル「ストームアクセス」を使わせない事、スキルを使って強敵から勝利を勝ち取ってきたプレイメーカーの得意技を封じるプレイングだった。
罠カードを基点とした戦力に少しずつ追い詰められていく遊作…しかし、遊作もやられてばかりでは終わらない。
彼女がストームアクセスの発動条件であるライフポイント1000以下にさせないように立ち回るなら、自分で1000以下にするようにデッキを回せばいい…ライフコストを支払うカードの使用でライフを減らす遊作、自身のスキル「シークレット・キュア」を使う事でお互いのライフを回復させ、妨害を図るゴーストガール…裏の裏をかく効果の応酬の末に…ついにその時はやってくる!
《よーし!ストームアクセス発動の条件は整った!!プレイメーカー!起死回生のカードを引き当てろ──!!》
凄まじい駆け引きの末にスキルの発動除外を満たした遊作…それを確認したAiは竜巻型のデータストームを呼び寄せる!
《ヤベ、強いの呼びすぎたか─!?》
しかし、呼び寄せられたデータストームは予想より強かったらしく…遊作とゴーストガールは竜巻に巻き込まれてしまった…!
《えーい!どうにかなれ!プレイメーカー!!》
「ああ…!スキル!ストームアクセス──!!」
『しまった…!スキルの発動を防げなかったっ…!?きゃああ!?』
竜巻の中でも遊作は動じない…嵐の壁に腕を突き刺し、未知なる力をその手に掴む…だがその時、データストームに耐えきれなかったゴーストガールがDボードから投げ出されてしまった…!
「っ…ゴーストガール!!」
《おいおい!?プレイメーカー─!?》
『あっ…!?』
「──大丈夫そうだな」
データストームに巻き込まれかけるゴーストガール…だが、遊作は咄嗟に腕を伸ばしでゴーストガールを救出…再び飛ばされてきた彼女のDボードへと着地させた…。
『礼を言うわ…でも、デュエルとこれは別の話よ?』
「当然だ…いくぞ!!」
データストームから脱出し、遊作に感謝を伝えるゴーストガール…そして、デュエルは決着へと向かう!
「リンク召喚!現れろ!LINK-3!『エクスコード・トーカー』!!」
そして遊作はデータストームから引き抜いた新たな力、緑色の鎧を纏う重厚な電脳戦士を喚び出した…そしてその能力は──
「『エクスコードトーカー』の効果発動!エクストラモンスターゾーンに存在するモンスターの数だけ、お前の使用していないメインモンスターゾーンの使用を封じる!グラスプゾーン!!」
『そんな!?』
それはモンスターゾーンの使用を封じる効果…枠が3つしかない…スピードデュエルにおいて、それは抜群の効果を発揮する!
「さらに『スキャンドール』のモンスター効果発動!このカードをリリースする事で『エクスコードトーカー』は2回攻撃が可能になる!!」
『これが、プレイメーカー…!全てが私の想像を超えて──』
「ゴーストガールにダイレクトアタック!エクスコード・クローズ!!」
緑の電脳戦士の手甲から飛び出した鉤爪がゴーストガールのライフを削りきる──デュエルは遊作の勝利に終わった!
ゴーストガール LP0
プレイメーカー Win!
『ふぅ…
《そうか?オレにはただのデータにしか見えないけど…》
『あら…おバカっぽいAIにはこの情緒はわからないか…』
《なにおう!?》
デュエルが決着し、ゴーストガールはリンクヴレインズに浮かぶ偽りの月を見上げながら呟く…だが、その表現の意味をAiは知らないらしい。
「交換条件は守ってもらうぞ」
『もちろん!さぁ、受け取って…データバンクへの抜け穴ルートのデータよ』
遊作の言葉を聞いたゴーストガールは静かにデータを投げ渡す…少しだけ名残惜しそうに…。
『確かに渡したわ…じゃあ、またね!(ふふっ…面白くなりそうね)』
データを渡したゴーストガールは静かにリンクヴレインズの夜闇に消えて行った…。
《……なぁ、SOLテクノロジーのデータバンクに何があるんだ?》
「それはオレも分からない、だが……もしかしたら──10年前の
《へぇ…そんなモンが入ってんだ…大事なデータなのか?》
「……ああ」
ゴーストガールが去った後、Aiは遊作にデータバンクに向かう目的を尋ねる…だが、遊作にも何が待ち受けているのかは分からなかった。
そして、ゴーストガールから渡されたデータにはSOLテクノロジー社のマザーコンピューターの模式図、そしてマザーコンピューターの監視を潜り抜ける為のルートが記されていた…。
なお、余談になるが…プレイメーカー対ゴーストガールのデュエルの一部始終をカメラに収める事ができたカエルと鳩コンビであったが──彼らに気付いていたゴーストガールのハッキングで撮影データを再び全て失ってしまうのであった。
『ごめんなさいね♡今回のデュエルは私とプレイメーカーだけの秘密だから…』