転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

ファウストとの戦いを乗り越え…ついに光と影が交わる…。

遊嗣と遊作、ロマンとAi…彼らは何を語るのか…?


それでは、最新話をどうぞ!


幕間〜交わる運命〜

「島!大丈夫か!?」

 

「あっ…藤木ぃ!助けに来てくれたのか!?」

 

「──無事みたいでよかった……他に誰かいなかったか?」

 

「あ〜…誰もいなかったぜ…?リンクヴレインズからログアウトしたら、勝手に俺を縛ってた機械が外れてさ…」

 

「そうか…」

 

ファウストとの戦いを終え、現実世界の島を助けるべく倉庫に飛び込んだ遊作…しかし、そこには拘束を解かれ、状況がよく分かっていない様子の島が取り残されていた…。

 

 

 

「っていうか俺さ!誰に助けられたと思う!?まさかのプレイメーカーとさ!白波が助けに来てくれたんだ!しかも白波の奴、ハノイの騎士に暴走させられたSOLテクノロジー社のAIデュエリストに立ち向かって、プレイメーカーの背中を守ってよぉ!2人ともかっこよかったんだぜ!?」

 

「(……島の拘束は自然に外れるようになっていた…ファウストは島をアナザーにするつもりはなかった…?)」

憧れのプレイメーカーに助け出され興奮気味の島…彼の言葉を聞き流しながら、遊作はファウストの真意について考える。

 

 

「(いや、それよりも今は──)」

 

《………》

そして遊作はチラリと大人しくしているAiに目を向ける…彼(・)との出会いを思い返しながら…。

 

 

 

 

 

Side???

 

 

 

《はじめまして、プレイメーカー…そしてAi、ボクの名前はロマン…彼、Yu-ZのサポートAIさ!…ちょっと特別性だけどね?》

 

「《──はっ?》」

 

その出会いはあまりにも唐突だった、ブレイヴマックス…もとい、島を助ける為にリンクヴレインズに飛び込んできたデュエリスト・Yu-Z…遊作の同級生、白波遊嗣と思われる少年…Aiはそんな彼から不思議な匂いを感じ取る。

 

そして…彼のデュエルディスクから姿を見せた者…それはあまりにもAiに似ている、ヒト型のAIプログラムだった…その姿を見た遊作もAiも言葉を失っている…。

 

 

 

「おい、Ai…あのAIは──」

 

《誰だお前!?!?》

思わずAiに声を掛ける遊作…だが、それ以上にAiは取り乱していた…人間で例えるならば「幽霊に出会った」「存在するはずのないモノを見た」と言わんばかりの驚き方をしている…。

 

 

《誰、とはひどいなぁ…一度は挨拶したじゃないか?きみの方から話しかけてきたんだよ?》

 

《えっ…!?いや、お前!?──嘘だろ!?やけにはっきりとした受け答えだとは思ったけど!?》

 

「ロマン?プレイメーカーのAIと知り合いだったの?」

 

《う〜ん…顔見知り、というかすれ違いというか…まぁ、きみの近くに彼はいたって事だよYu-Z》

 

「……Ai、お前…何をやらかした?」

 

《えっ…いや、その…う〜ん…!?》

ロマンの言葉を聞いて彼とニアミスしていた事に気付き、なおさらに取り乱すAi…そんな彼の態度を見ながら、遊作はAiが何かをやらかしたのだと気付く…。

 

 

《とりあえず、話はここまでにしようか…中継が切れてるとはいえ、リンクヴレインズは誰に見られてるか分からないし…ブレイヴ・マックスの安否も気になる……Yu-Z、彼にアドレスを渡してあげてくれるかい?》

 

「あ、うん…」

取り乱すAiの姿を微笑ましく見ながら、ロマンは話を区切る…そして遊嗣はロマンに促されて自分の連絡アドレスをプレイメーカーへと手渡した…。

 

 

「……なんのつもりだ?」

 

《話の続きをするなら、こちらよりもリアルの方が良いと思ってね?もしも話をしたいなら、そのアドレスに連絡してくれるかい?Yu-Zも人を待たせているからね》

 

「そうか…わかった」

 

「プレイメーカー…驚かせてごめんね!じゃあまた!!」

プレイメーカーに有利な条件で接触方法を伝えたロマンは遊嗣と共にログアウトしていった…。

 

 

 

「……白波遊嗣……お前は、何者なんだ?」

 

 

 

 

 

 

Side遊嗣

 

 

 

《ログアウト完了…お疲れ様、遊嗣》

 

「う、う〜ん…なんだか、とんでもない事になった気が……」

 

「あっ…遊嗣さん!お疲れ様でした!!」

一方、リンクヴレインズからログアウトした遊嗣はマシュの病室で意識を取り戻した…激戦の影響か、全身が汗でずぶ濡れだが…そんな様子を見たマシュが優しく労いの言葉をかける…。

 

 

「途中からリンクヴレインズの中継が途切れてしまって…島さんは…!?」

 

「あっ…そうだ…!島君!」

遊嗣は慌てて通話アプリで島へと連絡を取る…そして、数コールの呼び出し音の後に無事に通話は繋がった。

 

 

『白波!すまねぇ、心配かけた!俺は無事だぜ!助けに来てくれてありがとよ!!』

 

「島君…よかったぁ…」

電話口から聞こえてきたのは元気そうな島の声だった…その声色を聞いた遊嗣は体の力が抜けてへたり込む…。

 

 

「島君、警察とか連絡した方がいい?今、何処にいるの?」

 

『連絡は大丈夫!え〜っと…港の倉庫に閉じ込められてたんだけどさ、リンクヴレインズの中継を見た藤木の奴がアタリをつけて助けに来てくれてよぉ!』

 

「藤木君が?なら良いけど…とりあえず、無理はしちゃダメだよ?」

 

『おう!また明日学校でな!』

 

「うん!じゃあね!」

思いのほか元気そうな島の様子に安堵した遊嗣はそのまま彼との通話を終えた…。

 

 

「遊嗣さん…島さんは…?」

 

「うん、無事に脱出できたみたい!よかった…」

 

「そうなんですか…!」

そして…マシュにも島の無事を伝えると彼女もホッとした様子をみせる…これで島を巡る一連の事件は無事に解決したのだった…。

 

 

…………

 

 

「プレイメーカーとハノイの騎士、そして遊嗣さんと暴走してしまったAIデュエリスト…すごい戦いだったんですね…」

 

「うん…やっぱりAIデュエリストとの戦いはヒヤヒヤしたよ…ロマンが相手の情報を教えてくれたから、対応できるデッキで戦えたんだ…ありがとう、ロマン」

 

《お礼を言われる事じゃないよ!きみを脅威から守る、それがボクの役目の1つだからね!》

 

「ふふっ…本当に遊嗣さんとロマンさんは良いコンビですね!」

マシュに事件のあらましを話す遊嗣…自身とハノイの騎士によって暴走したSOLテクノロジー社のAIデュエリストとの熱戦…そして、プレイメーカーが残りライフ50まで追い詰められたハノイの騎士幹部との激戦…その話を聞いていたマシュは遊嗣とロマンの相性の良さを見て笑っていた…。

 

 

ピロン!

 

 

「ん…メール?……なにこれ??」

 

「見せてください……文字化け、でしょうか…?」

そんな時、遊嗣のデュエルディスクがメールを受信する…その文面は文字化けしたような意味不明な文字の羅列…遊嗣もマシュも不可解な文面に首を傾げている。

 

 

《ちょっと待ってね…ふむふむ、ちょっと特殊なアルゴリズムの暗号だね……え〜っと……『中央広場のホットドッグ屋で「具なしホットドッグ」を頼め PM』だってさ》

 

「ピーエム?午後…じゃなくて…Playmakerからのメッセージ…!?」

 

「ええっ!??」

そして、そのメッセージをロマンが読み解く…そこに記されていたのは連絡先を渡したプレイメーカーからのメッセージだった…!

 

 

………

 

 

「中央広場のホットドッグ屋って…cafe Nagiしかないよなぁ…?」

マシュの病室を後にした遊嗣は夜の帷が落ちた中央広場を訪れていた…その彼の視線の先には見慣れたキッチンカー、cafeNagiが営業している。

 

 

「イタズラかもしれないけど、そうだったら素直に謝ろう…よし!」

プレイメーカーからの不可解な文章に疑問を抱きながら…遊嗣は歩みを進めた…。

 

 

 

『いらっしゃい…おお、白波君か!久しぶりだな!』

 

「こんばんは!店長さん!」

少し疲れた様子の草薙が来客に気付く…そしてその相手が遊嗣だと気付くと明るく声を掛けた。

 

 

『遊作から聞いたよ、マシュちゃんもアナザーから目覚めたんだって?良かったなぁ』

 

「はい!本当に、よかった…」

遊作からマシュがアナザーになり、ブルーエンジェルの活躍で目を覚ました事を聞いていたらしい草薙は遊嗣に優しい言葉を掛ける…それを聞いた遊嗣も嬉しそうに笑っていた…。

 

 

『それで…今日はどうしたんだ?もう帰る時間だろ?』

 

「あっ、はい…帰る前にちょっと小腹が空いちゃって……具(・)な(・)し(・)の(・)ホ(・)ッ(・)ト(・)ド(・)ッ(・)グ(・)をください」

 

『具(・)な(・)し(・)の(・)ホ(・)ッ(・)ト(・)ド(・)ッ(・)グ(・)??ははっ…それならパン屋に行った方がいいんじゃないか?イタズラはほどほどにな?』

 

「あ…で、デスヨネー…(しまった!やっぱりイタズラか!?)」

メッセージに従って「具なしのホットドッグ」を注文する遊嗣…しかし、草薙はその意味が分からないらしく苦笑いしている…。

 

 

《い〜や、合ってるぜ…よく来たな、白波》

 

「あっ…Ai君!?」

 

『Ai!?いきなり顔を出すな!って…え?』

その時、キッチンカーのカウンター、草薙の手元から小さな人影が顔を出す…それはリンクヴレインズで出会ったプレイメーカーのAI、Aiだった。

 

思わぬ状況に遊嗣も草薙も顔を見合わせてしまう…。

 

 

《心配すんな、白波もコ(・)ッ(・)チ(・)側(・)だ…ジュースでも出してやってくれよ》

 

 

 

…………

 

 

 

「CafeNagiの裏が、こんなにすごいコンピュータールームになってるなんて…!?秘密基地みたいだ…!」

 

《まぁ、秘密基地だわな》

Aiによってキッチンカーの裏口へと案内された遊嗣…彼は最新鋭のコンピューター機器で埋め尽くされたハッキングルームを見て目を丸くしている…。

 

 

 

 

「Ai…お前、ま(・)た(・)勝手にメッセージを送ったな?」

 

《まぁね…どちらにしても、問題は早めに解決した方がいいだろ?》

 

「藤木君…キミが、プレイメーカーだったんだね」

 

「ああ……驚いたか?」

 

「うん、すっごく…」

そして…そこで待ち受けていたのは遊嗣の同級生、藤木遊作だった…思いがけずプレイメーカーの正体を知った遊嗣は言葉を失っている…。

 

 

 

『おい、Ai!いったい、どういうつもりだ?なんで彼を引き込んだ?白波君は一般人だぞ!?』

 

「草薙さん……実は、白波は一般人ではなかったんだ…そうだな、ロ(・)マ(・)ン(・)」

 

《彼は正真正銘の一般人さ…特別なのはボクの方だよ》

 

『うおあっ!?Aiの仲間かぁ!?』

店仕舞いをした草薙がモニター前の机に置かれたデュエルディスクに宿るAiに詰め寄る…そして、その言葉に答えたのは遊嗣のデュエルディスクから飛び出したロマンだった。

突然現れたAi…イグニスに似たAIの登場に草薙も腰を抜かしている…。

 

 

 

《いや、それがわかんねーんだよなぁ…》

 

『分からないって…そっか、お前は記憶データをほとんど失(・)っ(・)て(・)る(・)んだったな』

 

「そうなんだ…」

 

《ああ、うん…そうだぜ、リボルバーの奴に盗られちまったからよぉ…》

 

《?……おかしな事を言うんだね、Ai…キミはそもそも記(・)憶(・)デ(・)ー(・)タ(・)を(・)失(・)っ(・)て(・)な(・)ん(・)か(・)な(・)い(・)だろう?》

 

《ギクッ!?》

 

『なんだって!?』

 

「ちょっとロマン!?ほぼ初対面の人…人?になにを言うの!?」

 

「………」

似た存在に見えるAiとロマン…しかし、Aiは記憶データを失っている、と思われていたのだが…ロマンの爆弾発言に草薙と遊嗣は驚き、遊作は分(・)か(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)かのようにAiを見つめる…。

 

 

『というより…なんでAiが記憶データを失ってない、なんて断言できるんだ?』

 

《簡単に言えば…人間とAIの記憶方法の違いと、行動原理の違い…かな?仮に、人間が記憶喪失になっても全ての記憶を失う…なんて事はほとんどない、失われるのはその人物が記憶していた自分に関する事や、思い出について…記憶喪失の人間が物の名前や言語そのものを忘れた…なんて話はあまり聞かないだろう?》

 

『確かに…』

 

《一方、ボク達AI…プログラムは言ってしまえば『0と1』の集合体、物の名前も学習した事も一纏めに『データ』として保存される…そして、ボク達AIにはそれぞれの命題…AIとして開発者に書き込まれた『命令』がある、それを失ったら…ボク達は何もできなくなってしまうからね》

 

『あ……確かに…!Aiがあまりにも人(・)間(・)み(・)た(・)い(・)だから考えてもみなかった…!』

 

《お前〜!余計な事を言うなよ〜!!》

 

《Ai、人間は隠し事をされるとその相手に不信感を抱く…不信感は疑念に変わり、裏切りを生む…きみにも目(・)的(・)があるとは思うけど、少しは真実を伝えないと…プレイメーカー、遊作君と草薙さんはきみの仲(・)間(・)だろう?》

 

《うぐっ…ぐぅの音も出ない正論…!!しかも、オレの事も考えてくれてるのが分かるから反論できねぇ…》

 

「Aiを丸め込むとは…中々の切れ者だな、ロマン」

 

《それほどでも〜》

自分と似た存在であるAiの隠し事を見抜くロマン、隠し事を暴かれたAiはロマンに詰め寄るが…彼の穏やかな忠言に納得してしまい、項垂れてしまった…。

 

 

「Ai、お前が何故、オレ達に隠し事をしたのか…そして、お前の全てを明かせとは言わない……だが、これだけは答えろ……お前の目的は何だ?」

 

《……オレは……帰(・)り(・)た(・)い(・)だけなんだよ…故(・)郷(・)に、オレの仲(・)間(・)の所に…それだけは、オレの本(・)音(・)だ》

 

「そうか……ならいい」

 

『おい!?そんなあっさり納得するのか遊作!?こいつ、もっと重大な事を知ってるんじゃ…』

 

「所詮、オレとAiは利(・)用(・)し(・)あ(・)う(・)関(・)係(・)だ(・)…その目的が果たせるなら、多少の事は気にしない」

 

《わお、ビジネスライク…》

 

「(同じAIと人間のコンビでも…こんなに違うんだな…)」

Aiに目的を問う遊作…それに「故郷に帰りたい」と答えたAi…その答えを聞いた遊作はあっさりと引き下がった。

多少の裏があろうとも…遊作とAiの目的を遂げるための過程は同じだと信じて…。

 

 

 

 

 

「…いきなり話が脱線したが…今はお前達の事だ……ロマン、お前は何者だ?何故、Aiと似た姿をしている?」

 

《いきなり核心を突いてくるね、遊作君…僕も知りうる限りの事は教えてあげたいんだけど……申し訳ない、今は話せる事はそう多くないんだ…マスター……ボクの創(・)造(・)主(・)にロックを掛けられているからね》

 

《マスター…創造主?作った奴をそんなに尊敬してるって……お前、オレ達とは完全に別(・)物(・)なのか?》

 

《う〜ん…まぁ、僕はAiの従(・)兄(・)弟(・)、という感じかな…似たような設計図を使って作られた、デザインコンセプトの違うそ(・)っ(・)く(・)り(・)さん…それがボクだよ》

いきなり本題を尋ねる遊作…その質問にロマンはAiの親戚である、という形で答える…それ以上に伝え方を思いつかなかったのだ。

 

 

 

『Aiの親戚……お前を作ったのは誰だ?ハノイの騎士か?』

 

《ハノイの騎士ではないよ……というより、遊嗣の父親だよ?ボクを作ったのは》

 

「うん、ロマンは僕の父さんから送られた入(・)学(・)祝(・)い(・)なんだ…最近物騒なリンクヴレインズで荒事に巻き込まれても、抗える力になるようにって…」

 

《へ〜…優しい親父さんなんだなぁ…よっぽど優秀な科学者なんだろ?》

 

「違うよ?海馬コーポレーションに勤めてるけど…」

 

「『《海馬コーポレーション!?》』」

そしてロマンを作った男が遊嗣の父…しかも、海馬コーポレーションに勤めていると聞いた遊作達の驚きの声が重なる…。

 

言うまでもないが、海馬コーポレーションは世界一の大企業…その社員はエリートばかりと有名である。

 

 

 

『海馬コーポレーション所属…そんなんじゃ、ハッキングしようがない…あそこのセキュリティは下手をすれば国家レベル以上だからな…』

 

「白波、父親に連絡は取れないのか?」

 

「うーん、しばらく前から出張で遠い街に行っててさ…中々連絡が取れないんだよね…夏休み前には帰ってくる、って言ってたけど…」

 

「そうか…」

遊嗣の父親とコンタクトを取ろうとする遊作…しかし、遊嗣の父は遠い場所にいる為、それは難しかった…。

 

 

 

「ねぇ、藤木君…僕からも聞かせて欲しいんだ……何故、きみは『Playmaker』としてハノイの騎士と戦っているのか…危険を顧みないで戦う理由をを…」

 

「……」

 

『遊作…』

そして、遊嗣は遊作に問いかける…『ハノイの騎士』の敵として最前線で戦い続けているプレイメーカー…そんな彼が戦い続ける理由を…。 

 

その言葉を聞いて黙り込む遊作、そして……。

 

 

「……決して気分のいい話じゃないぞ、それでも…聞く覚(・)悟(・)はあるか?」

 

「……うん」

 

『遊作…お前…』

そして、遊作は自分の経験した事を掻い摘んで話し始める…。

 

 

 

幼少期に事件に巻き込まれ、記憶を失うほどの辛い経験をした事。

 

助け出された後もトラウマを抱え、心休まる時がなかった事。

 

そして…真実を知り、自分の中の「事件」にケジメをつける為…僅かな情報から事件に「ハノイの騎士」が関わっている事を知り、手がかりを掴む為に彼らと戦い続けている事。

 

 

事件名や具体的な事件の内容、一部の情報こそ伏せたが…遊作は真摯に遊嗣の疑問に答えた…。

 

 

「白波…これはオレの復(・)讐(・)の為の戦いなんだ」

 

「復讐…」

復讐の為の戦い……そう自分の戦う理由を締めくくる遊作、その言葉を聞いた遊嗣は言葉を失う…。

 

 

 

──復讐しようとしたら、それは全てを燃やし尽くすまで止まらなくなる──

 

 

 

「……藤木君…僕は、誰かに復讐しようって考えた事なんてない…きみの抱いた怒りや、悲しみ、辛さ…それは僕なんかじゃ計り知れない事だと思う……こうして話す事も、きみにとっては鬱陶しいのかもしれない…」

 

「………」

 

「だけど、これだけは言わせて欲しいんだ……き(・)み(・)は(・)1(・)人(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)って」

 

「白波…」

ふと兄の言葉を思い出した遊嗣は一言一言、言葉を選びながら遊作に自分の思いを伝える…。

 

遊嗣は思ったのだ…今の遊作に必要なのは復讐を諌める言葉でも、復讐を後押しする言葉でもない…ただ、彼(・)に(・)寄(・)り(・)添(・)う(・)言葉なのだと…。

 

 

「学校には島君や僕、マシュやデュエル部のみんながいる…そして、プレイメーカーとしてのきみにも、草薙さんやAi君がいる…きみは決して1人じゃない…!どれだけ孤独に戦っていても…きみは一人ぼっちじゃない!」

 

「──白波……ありがとう」

それは遊嗣の心からの言葉…財前晃のような善意の押し売りではない、彼の精一杯の優(・)し(・)さ(・)が込められた言葉……それを聞いた遊作は少しだけ表情を緩めた…。

 

 

 

「藤木君、よかったら…僕もきみの戦いに協力させてくれないかな…?復讐の戦いには手を貸す事はできなくても…リンクヴレインズや、リンクヴレインズを楽しんでいるみんなを守る戦いなら、僕も力になれるから…」

 

「白波、お前は本当に優しい奴だ……だからこそ、オレはその申し出を受ける事はできない」

 

「藤木君…」

リンクヴレインズを守る為、遊作の戦いに手を貸す事を提案する遊嗣…しかし、遊作は穏やかにその申し出に対して首を横に振る…。

 

 

「1つ、幹部の3人を失った事でハノイの騎士の勢いは衰えていくはず…2つ、ロマンがいるとはいえ…一般人のお前を危険な戦いに巻き込みたくない…3つ、お前には闇の道ではなく…光の道を歩んでいて欲しい…こんな暗い戦いをするのは、オレ達だけで充分だ」

 

「そっか…」

3つの理由を示し、遊作は遊嗣の申し出を断る…光の道を歩んでいる彼をこれ以上の危険に晒さない為に…。

 

 

 

…………

 

 

 

「遅くまで悪かったな…気をつけて帰ってくれ」

 

「うん!藤木くん……ううん、遊(・)作(・)君も、無理はしないでね」

 

「……ああ」

そして…しばらく遊作達と情報交換をした遊嗣は帰路につく…新たな友(・)人(・)の事を心配しながら…。

 

 

《Ai、何か困ったら連絡してよ?少しは力になるから》

 

《ああ、ありがとよ!さっきは変なプログラムとか言って悪かった!》

 

《ははは…うん、キニシテナイヨー…》

 

《めっちゃ気にしてるじゃん!?ゴメンネ!!》

 

『すっかり仲良くなってるな…』

そしてすっかり打ち解けた様子のAiとロマン…その様子を見た草薙も苦笑していた。

 

 

 

 

 

 

《なぁなぁ遊作、本当に白波の申し出を断ってよかったのか?アイツがいたら、きっと…》

 

「くどいぞ…オレは…白波をオレ達の戦いに巻き込みたくないんだ」

 

『そうだな…白波君は優しすぎる、その優しさにつけ込んでくるのがハノイの騎士だ…お前の選択は間違ってない』

 

《う〜ん…そんなもんかぁ?》

 

「そういう事だ」

遊嗣の背中を見送りながら…遊作は月を見上げる、その胸に遊嗣から貰った光(・)を抱きながら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

「うわ…すっかり遅くなっちゃった、お腹空いたなぁ…」

 

《……ねぇ、遊嗣…ボク、何か忘れてる気がするんだけど……》

 

「忘れてる…そうだね、僕もなんか忘れてるような…」

街頭に照らされた道を歩く遊嗣…そんな時、ロマンの言葉を聞いた彼は何(・)か(・)が引っ掛かっていた…。

 

 

 

 

 

 

「───あ」

 

《………ごめん、遊嗣…今さら思い出した…!連(・)絡(・)忘(・)れ(・)て(・)る(・)!!》

そして、遊嗣達は思い出した…自分達が何を忘れていたのかを…。

 

それは────

 

 

 

【遊嗣、こんな遅くまで何処に行ってたのかしら?】

 

 

《ヒッ》

 

「か、母さん…!!」

自宅の玄関前…そこには夜闇でも分かる禍々しいオーラを纏い、腕組み仁王立ちで待ち受ける母・翠の姿があった。

 

遊嗣は病院から広場へ直行した為、翠に連絡するのを忘れてしまっていたのだ…!

 

 

 

【とりあえず…遊嗣】

 

「ハイ」

 

【晩御飯抜きね】

 

「アッハイ」

 

【返事は?】

 

「イエス!マム!!」

 

【返事は?】

 

「…ハイ…ゴメンナサイ……」

 

 

 

【ロマン】

 

《ハイ》

 

【嘘偽りなく、今日の事を話してね?】

 

《ショウチシマシタ…》

 

 

 

 

 

この日、遊嗣は(空腹で)眠れぬ夜を過ごしたのだった。

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