転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

1人の勇者が倒され、残された3人の勇者達は必死にハノイの塔を目指して走り続ける…だが、スペクターは次なる獲物に狙いを定めていた…。

それでは、最新話をどうぞ!


聖天樹の脅威〜狂信の亡霊〜

「ロマン、さっきの竜巻は…」

 

《………振り返っちゃダメだ、遊嗣……きみはプレイメーカーの道を切り開く為に、戦いにきたはずだ》  

 

「っ───ああ…!」

プレイメーカーと離れ、リンクヴレインズを駆ける遊嗣…彼は少し前に見えた巨大な竜巻の正体をロマンに訊ねる…しかし、ロマンはその問いには答えない。

 

誰が倒されたのだとしても…それを伝える事で遊嗣の闘志を鈍らせない為に…。

 

 

 

 

 

Side???

 

 

 

『先輩!どうしましょ!?スペクターって奴、何処かに行っちゃいましたよ!?』

 

『探せ!追うんだ!』

 

『でも…ブルーエンジェルが…』

 

『ぐぬぬぅ…!!』

同じ頃、ブルーエンジェルとスペクターが激突した場所の上空…リンクヴレインズに残ったマスコミ、カエル&ハトは頭を悩ませていた…。

 

極限状況下でリンクヴレインズの取材をしていた彼らはブルーエンジェル対スペクターのデュエルを唯一見届けた者となり…ブルーエンジェルが倒される瞬間もカメラに収めていた。

そして、スペクターは姿を消し、彼らはその後を追おうとしたのだが…デュエルに敗北してしまったブルーエンジェルのアバターが残っていた為、人間としての良心によってその場を離れる事ができずにいたのだ…。

 

 

『よく聞けハト…リンクヴレインズで起きている事を伝えられるのは、俺達だけだ…!それをやらなきゃ、俺達がここにいる意味がねぇ…!』

 

『でも…』

ジャーナリストとして取材を続行しようとするカエル、ブルーエンジェルを助けたいと思うハト…そんな時だった。

 

 

「アオイ…葵!!」

 

 

『おおっ!?なんか人が来たぞ!』

 

『分かりました…ブルーエンジェルはあの人に任せてスペクターを追いましょう!ホロッホー!』

 

『頼むぞハト!!』

無人に近いリンクヴレインズに何者かの叫び声が響く…その正体はカエルとハトの映像で妹の敗北を知り、危険を顧みずに救出にやってきた兄・財前晃だった。

カエルとハトは遠目にその姿を確認するとスペクターを追って飛び出していった…。

 

 

 

 

 

「っ!…葵!!」

そして、晃はようやくブルーエンジェル…葵が倒れた場所に辿り着く…その時だった。

 

ボコッ…ボッコォン!!

 

「っ!?なんだ!?」

突然、コンクリートの地面を突き破り、巨大な茨が地中から飛び出す…その茨は檻のようになって晃を捕らえてしまった…!

 

 

「くっ…!?こんなモノ!!」

 

【止めた方がいい…そのツルには強力な電脳ウイルスを仕掛けてある、触れた途端にキミは意識を失う事になるだろう】

 

「っ…馬鹿な…!?あなた、は…()()()()!?」

ツルの檻に触れようとした晃を止めた者、それは白衣を着た壮年の男だった…そして、晃はその顔に見覚えがあった。

 

晃の前に現れた男…それはSOLテクノロジーのデータに「死亡した」と記されていた、ロスト事件の首謀者…鴻上博士だった…!

 

 

 

「あなたは、死んだはずでは…!?」

 

【ああ、()()()()…SOLテクノロジーの手によって…しかし、私は()()()!】

 

「SOLテクノロジーが貴方を…!?いったい、どういう事です!!」

 

【若いキミが知るはずもないか……10年前、私はSOLテクノロジーの一員だった】

 

「それは知っています…!ロスト事件も、会社の指示で起こしたと言うんですか…!?」

 

【いいや、あの会社に私の考えなど理解できんよ…事件が発覚した時、当時の役員共は表向きには事件を隠蔽し、私を監禁した…私の作り出した()()()()を独占する為に…】

そして…鴻上博士は10年前の真実の一端を語る…。

 

 

10年前、とある目的の為にロスト事件を起こし…イグニスを作り上げた事

 

ロスト事件が発覚した後、その身柄は警察に引き渡される事なく拘束され…イグニスの完成の為に数年間も監禁された事

 

挙句の果てに未知のウイルス…電脳ウイルスを仕込まれ、死亡扱いとして開放された事。

 

そして…自身の息子の奮闘によって電脳ウイルスが除去され…現実世界では目覚める事はできなかったが、リンクヴレインズに蘇った事を…。

 

 

「貴方は、SOLテクノロジーに復讐しようというのですか…!」

 

【復讐、というのは違うな…我々の目的はイグニスの抹殺、ただ1つ…!アレは世界を導くはずのモノだった…だが、私が生み出してしまったのは、世界を滅ぼす()()だった…!】

 

「怪物…?」

 

【AIが意志を持つ、という事の本当の意味を誰も知らなかったのだ…彼らは、私の想像を大きく超える存在だった…それを清算しなければならない…!】

ハノイの騎士の目的は復讐ではないと告げる鴻上博士…全てはイグニスを滅ぼす為なのだと…。

 

 

「待ってください!塔に囚われた者は…妹はどうなるんだ!!」

 

【……塔に囚われた者はもう抜け出す事はできない…世界全てのデータはハノイの塔が完成した瞬間に破壊される…データに繋がった私達諸共に…】

 

「っ…最初から、貴方達はイグニス諸共に死ぬつもりで…!?」

 

【…もう、それしか手段は残されていないのだ…例え、伝説の英雄がいても…決闘王がいたとしても、ハノイの塔の完成は止められない……ネット世界の最後を見届けたいなら、じっとしているのだな】

 

「っ…待ってください!鴻上博士!!くそっ…!?」

真実を語った鴻上博士は姿を消す…それと共にブルーエンジェルはデータへと分解され、消滅してしまった…。

 

 

 

Side OUT

 

 

 

 

 

 

「っ…はぁ…はぁ…!」

 

《Yu-Z、少し急ぐんだ…この先に大きな橋がある、Dボードが使えない今…あの橋が無くなったら、タイムリミットまでにハノイの塔に辿り着けなくなる…!》

 

「わかった!」

ロマンのナビゲートに従いながら、遊嗣は彼方にそびえるハノイの塔を見る…ハノイの塔のリングは2つが完成し、3つ目のリングが構築され始めていた…。

 

 

 

ピピピ!ピピピ!

 

 

「っ…こんな時に電話…!?というか、この状況で繋がるの!?」

 

《……Yu−Zのデュエルディスクは特別製だからね、深海や宇宙でも通信は繋がるよ》

 

「あっ、そうなの!?初めて知った!」

そんな時、遊嗣のデュエルディスクが着信を知らせる…その相手は────

 

 

「遊嗣!!あなた、何をやってるの!?」

 

「うげっ…母さん!?」

 

「遊嗣さんごめんなさい!!翠さんに気付かれてしまって…」

 

《ああ…まぁ、そうなるよね…》

投影されたモニターに映し出されたのは遊嗣の自室…そして、そこで大きく取り乱した翠と慌てた様子のマシュの姿だった。

 

 

勉強会をする、という名目で自宅にマシュを連れてきていた遊嗣…純粋な翠は息子が嘘を吐くとは考えず、青春を過ごす彼の姿を見て安心していたのだが…どうにも嫌な予感がして遊嗣の部屋に入ったところ、リンクヴレインズにログインしたらしい遊嗣と目元が赤いマシュの様子を見て状況を把握…慌てて遊嗣へと連絡を飛ばしたのだ。

 

 

 

「今のリンクヴレインズは危険だって分かってるでしょ!?早くログアウトして帰ってきて…!」

 

「……ごめん、母さん……今は帰れない…!プレイメーカーも、Go鬼塚さんも、ブルーエンジェルさんも…みんなが命懸けでリンクヴレインズを守る為に戦ってる…!友達や憧れた人達が戦ってるのに、僕だけ安全な場所にはいられない!!」

 

「馬鹿!!あなたはもう命を懸けた戦いなんてしなくていいの!!」

 

「み、翠さん!落ち着いてください…!遊嗣さんはロマンさんが消えてしまうかもしれないと聞いて、居ても立ってもいられなかったんです!」

今のリンクヴレインズの状況を理解している翠は遊嗣にログアウトするように伝える…だが、遊嗣の覚悟は揺らがない…今もハノイの塔を目指している仲間達の力となる為に…そして、大切な相棒を守る為に…。

 

 

「っ…母さん、マシュ…ごめん、切るよ」

 

「遊嗣さん…?っ…!!?」

その時、遊嗣の纏う空気が変わる…そしてマシュは気付いた、エリアを繫ぐ大きな橋に辿り着いた遊嗣。

 

 

…その正面に銀髪の青年が立っている事に…。

 

 

「遊嗣…帰ってきたら、お説教だからね」

 

「うん、覚悟しておく………ごめん、母さん」

短い別れの言葉と共に遊嗣は通信を切り、正面に立つ青年を睨みつける…!

 

 

【ふふふ…最期の別れは済ませましたか?】

 

「ああ…でも、()()()()()()…ちゃんと家に帰って、母さんに叱られないといけないから…!」

 

【おやおや、それは殊勝な心掛けですねぇ……まぁ、その約束が果たされる事はありませんが】

遊嗣が別れを済ませるのを待っていたハノイの騎士…スペクターは不敵な笑みを浮かべる…。

 

 

【私の名はスペクター、貴方の事はリボルバー様から聞いています…Yu−Z、と言いましたか…中々骨があるデュエリストらしいとね】

 

「やっぱり、バレてたんだ…スペクター、今すぐこんな事に手を貸すのは止めようよ…今なら、まだ間に合う…マシュを傷付けたキミの事は許せないけど……今なら、一発殴るだけで許すよ……ダメージレベルは100%にするけど」

 

【おやおや、優しい事で……あなたは余程の善人のようだ】

ハノイの騎士に目を付けられていた事を知り、今までの事件について納得する遊嗣…そして彼はスペクターを説得する為に声をかける…マシュを傷付けられた事に対する憎しみや怒りを飲み込みながら…。

 

 

【しかし、残念ですが…私はリボルバー様から侵入者の排除…そして、イグニスの抹殺を命じられています…よって、貴方を逃す訳にはいかないのですよ…すぐに貴方もブルーエンジェルと同じ運命を辿らせてあげましょう…!】

 

「っ!…ブルーエンジェルに何をした!」

 

【何を…とは、決まっているでしょう?彼女は雑魚でしたねぇ…私が本気を出す間もなく、ハノイの塔の一部になっていただきました…ほら、見えるでしょう?青い天使の涙の跡が…】

 

「ブルーエンジェル…!そんな!!」

しかし、リボルバーを信奉……否、狂信するスペクターは遊嗣の前に立ち塞がる…。

彼を挑発する為に、ブルーエンジェルのデータの欠片を見せつけながら…。

 

 

「っ…!!!」

 

《……Yu-Z、彼はきみとは絶対に相容れないタイプの人間だ…耳を貸してはダメだよ》

 

「ロマン…」

 

【ん…!?なんですか、そのAIは…?】

ブルーエンジェルが倒されてしまった事を知り、溢れ出す怒りに歯を食いしばる遊嗣…取り乱した彼を落ち着かせる為にロマンが穏やかに声をかける…彼の天敵とも言える、ハノイの騎士の前に姿を見せながら…。

 

 

《やぁ、はじめまして…ボクの名はロマン、Yu-ZのサポートAIだよ…キミ達が探してるイグニスに似てるけど、他人の空似だから間違えないでね?》

 

【これは驚いた…まさか、博士が作り出したイグニス以外にも意思を持つAIが存在したとは…!意思を持つAIは殲滅する、それがハノイの騎士の大義!】

 

「何が、大義だ…!人を傷付けて、悲しませて…苦しめて…!そんな事をするお前達に…大義なんてない!!」

 

《Yu-Z、彼は今までのハノイの騎士とはレベルが違う…!絶対に油断しちゃダメだよ!》

 

「ああ!!」

 

【それでは、よろしくお願いします…!】

イグニスに似たロマンを目にした事で静かに闘志を燃やすスペクター…そして遊嗣はブルーエンジェルの仇を討ち、ハノイの塔への道を切り開く為に現状の切り札を開放する!

 

 

 

【「デュエル!!」】

 

 

スペクター LP4000

Yu-Z LP4000

 

・マスターデュエル

 

 

 

 

【先攻は貰います、私のターン!】

【私は『聖種の地霊(サンシード・ゲニウス・ロキ)』を召喚!】

人の背丈ほどもある巨大な種子が現れる! ATK0

 

 

【さぁ、現れよ!私達の道を照らす未来回路!アローヘッド確認!召喚条件は植物族通常モンスター1体!サーキット・コンバイン!現れよ!LINK-1!『聖天樹の幼樹(サンアバロン・ドリュアス)』!!】

植えられた種子が成長…人面が浮かぶ巨大な木が現れる! ATK0↓

 

 

「でかい…!?これでリンク1のモンスター…!?」

 

《植物族デッキで種子から樹木へ成長する…時間をかけるとリスクが上がっていきそうだ…!》

いきなり現れた大樹に驚く遊嗣…そしてロマンは蓄積されたデータからその危険性を感じ取る…!

 

 

【『聖天樹』モンスターは攻撃対象にならず、このモンスターしか存在しない時の攻撃は私へのダイレクトアタックとなります…私はカードを2枚伏せ、ターンエンドです】

 

スペクターLP4000

幼樹 伏せ2 手札2

 

 

「リンクモンスターで攻撃力0…何か、特殊な効果があるはず…!慎重に攻める!」

 

 

 

「僕のターン!ドロー!!」

「いくよ…!僕は『伝説の黒石(ブラック・オブ・レジェンド)』を召喚!!」

大きな黒い卵が現れる! ATK0

 

「キミが成長する植物で戦うのなら…僕は()()()()()でキミを倒す!『伝説の黒石』の効果発動!このモンスターをリリースする事で…デッキから新たなモンスターを喚び出す!現われろ!!『真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラック・ドラゴン)』!!」

 

【なにっ!?】

黒い卵に赤い罅が走る…そして、燃え上がる炎と共に紅い眼を輝かせる黒き竜…デュエルモンスターズの伝説に語られるドラゴン

が咆哮する! ATK2400

 

 

【これは驚いた…!まさか『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』と対を成す、黒き竜を見る事ができるとは…】

 

「このデッキが、僕の切り札…可能性を導くこのデッキで、キミを倒す!バトルだ!『真紅眼の黒竜』でダイレクトアタック!!ダーク・メガ・フレア!」

 

【くうううっ…!?】

巨大な赤黒く燃える炎がスペクターを直撃する!

 

スペクターLP4000→1600

 

 

 

「っ…!Yu-Z!!」

 

「プレイメーカー!」

 

【おやおや…!これは、飛んで火に入る夏の虫…という所ですか】

スペクターに大ダメージを与えた遊嗣…さらに、そのタイミングでプレイメーカー…遊作が橋の入口に駆け付ける、人助けをしていた事で到着のタイミングがズレてしまったのだ。

 

 

《アイツは…北村と戦っていた奴か!》

 

「プレイメーカー!Ai!こいつは僕達が引き受けた!きみ達は先に進むんだ!」

 

【そうはいきませんよ!】パチン!

 

 

ゴゴゴボッコォン!!

 

「なっ…!?」

 

《茨がボク達を囲むみたいに…!》

遊作に先に進むように叫ぶ遊嗣…だが、それを逃すスペクターではない…彼が指を弾くと3人を閉じ込めるように鋭い棘が生えた茨の壁が地面から突き出したのだ…!

 

 

【ふふふ…その茨の棘には強力な電脳ウイルスが仕込んであります、触れれば…どうなるかはお分かりでしょう?】

 

《汚ねぇ事するじゃん!?でも、お前のライフは残り1600!しかも、Yu-Zのフィールドには…!》

 

「伝説のモンスター『真紅眼の黒竜』…!これが、Yu-Zの切り札か…!」

遊作達を閉じ込めたスペクター…だが、その盤面は遊嗣が有利に見える状況だった…しかし…。

 

 

 

【キミとはもう少し()()()あげたかったのですが──気が変わりました、プレイメーカーを確実に排除する為…キミには消えてもらいましょう…!永続罠『聖天樹の輝常緑(サンアバロン・グローリアス・グロース)』を発動!このカードは自分が戦闘・効果でダメージを受けた時に発動できる!その効果で私は『聖蔓ト(サンヴァイン)ークン』を特殊召喚し、フィールドのモンスターでリンク召喚を行う!現れよ!私達の道を照らす未来回路!!】

 

「「相手のターンにリンク召喚!?」」

 

《マジかよ!?》

本来の標的であるプレイメーカーを見たスペクターはその実力の一端を解き放つ…!

 

【アローヘッド確認!召喚条件は植物族モンスター2体!私は『幼樹』と『聖蔓トークン』をリンクマーカーにセット、サーキット・コンバイン!現れよ!LINK-2!『聖天樹の精霊(ドリュアデス)』!】

聖天樹が成長…無数の果実を実らせ、女性のような肉体が樹皮に浮かんだ大樹が現れる! ATK0 ↙↘

 

 

「木がさらに大きく…!」

 

【それだけではありませんよ…『聖天樹の輝常緑』の効果によって私は受けたダメージ分のライフを回復します!】

 

《ダメージを帳消しにしやがった!》

そして、大樹から伸びた蔓がスペクターを優しく包み、ライフを回復する…!

 

スペクターLP1600→4000

 

 

【そして、『聖天樹の輝常緑』のさらなる効果発動!自分がライフポイントを回復した時、その数値分のダメージを相手に与えます!】

 

「なにっ!?ぐうっ!?」

 

「Yu-Z!!」

 

《キツイの喰らったぞ!?》

さらに、大樹から飛び出した蔓が鞭のようにしなりながら遊嗣のライフを大きく削り取る…!

 

Yu-Z LP4000→1600

 

 

 

【さぁ、どうします?】

 

「っ…僕はカードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

Yu-Z LP1600

真紅眼の黒竜 伏せ2 手札2

 

 

 

《Yu-Z、大丈夫…!?》

 

「うん…!」

手痛いダメージを受けてふらつく遊嗣…しかし、その目は鋭くスペクターを睨んでいる…!

 

 

 

【私のターン!ドロー!】

【私は『聖種の地霊』を召喚!】

再び巨大な種子が現れる! ATK0

 

【さぁ、三度現れよ!私達の道を照らす未来回路!召喚条件は植物族モンスター2体以上!私は『精霊』と『聖種の地霊』をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!現れよ!LINK-3!『聖天樹の大精霊(ドリュアノーム)』!】

大樹がさらに成長…森のような規模まで成長した大木へと成長する! ATK0 ↙↓↘

 

 

「木がさらに大きく…!」

 

【『大精霊』は攻撃対象にならず、自分が戦闘・効果ダメージを受けた時、1ターンに3回までエクストラデッキから『聖蔓』モンスターを特殊召喚し、受けたダメージ分のライフを回復できます…しかし、まだ終わりではありません!私は手札の『聖蔓の乙女(サンヴァイン・メイデン)』を墓地に送り、永続魔法『聖蔓の社(サンヴァイン・シュライン)』を発動!その効果により1ターンに1度、墓地からレベル4以下の植物族モンスターを特殊召喚できます!現れなさい!『聖種の地霊』!】

スペクターの展開は止まらない…墓地から三度、巨大な種子が現れる! ATK0

 

 

【現れよ!私達の道を照らす未来回路!】

 

「っ…!まさか、LINK-4の『聖天樹』を喚び出すつもりか!?」

 

【残念ながら『大精霊』はリンク召喚に成功したターン、リンク素材にする事はできません…しかし、『聖天樹』を守る者を喚び出す事はできる…!私は『聖種の地霊』1体をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!現れよ!LINK-1『聖蔓の剣士(サンヴァイン・スラッシャー)』!!】

大精霊の果実の1つが地面に落下…大剣を持つ剣士が現れる! ATK800↓

 

 

【『聖蔓の剣士』の攻撃力はこのカードにリンクしている『聖天樹』リンクモンスターのリンクマーカー1つにつき800ポイントアップします、『大精霊』のリンクマーカーは3つ…よって…】

 

「攻撃力3200…!」

大樹の加護を得た剣士の攻撃力が上昇する…!

 

聖蔓の剣士 ATK800→3200

 

 

【バトルです!『聖蔓の剣士』で『真紅眼の黒竜』を攻撃!】

 

「レッドアイズ!!ぐううっ!?」

黒き竜が剣士によって両断され、遊嗣のライフを削られる…!

 

 

Yu-Z LP1600→800

 

 

【さらに『聖蔓の剣士』の効果発動!このモンスターが相手モンスターを戦闘破壊し、墓地に送った時!そのモンスターを『聖天樹』リンクモンスターのリンク先に特殊召喚できます!】

 

《や、やべぇぞ!!これでレッドアイズが奪われちまったら、Yu-Zの負けだ!!》

 

「そうは、させない!!罠カード発動!『レッドアイズ・スピリッツ』!!墓地の『真紅眼の黒竜』を特殊召喚!!」

 

【おや、残念…一筋縄ではいきませんか】

コントロールを奪うべく遊嗣の墓地に伸びる大樹の蔓…しかし燃え盛る炎がその蔓を燃やし、再びレッドアイズが現れる! ATK2400

 

 

【しかし、あなたのライフは風前の灯火…いくら伝説のモンスターを従えていても、できる事はないでしょう…私はこれでターンエンドです】

 

スペクターLP4000

大精霊 聖蔓の剣士 伏せ1 手札0

 

 

 

《くそ…!どうすりゃYu-Zは勝てるんだ!?いくらダメージを与えても『聖天樹』がいる限りライフは回復されるし、新しいモンスターを呼ばれちまう!》

 

「言うなれば…究極のディフェンスデッキか…!」

 

【ええ、その通り…!ブルーエンジェルも私のライフを削れないまま敗北し、無様にデータとなって大義の礎になりました…今さら、無名のあなたに負けるほど私は弱くありませんので】

 

《こいつ…!ブルーエンジェルも倒してきたのか!?》

 

「っ…」

あまりの劣勢に動揺するAi…彼の言葉を聞いたスペクターはブルーエンジェルの最期を引き合いに出して遊嗣を煽る…。

 

 

「……彼女は、弱くない…!あの子の笑顔でリンクヴレインズは明るくなった…!たくさんの人がブルーエンジェルの笑顔に助けられた!…これ以上、彼女を侮辱するのは…許さない!!」

 

【許さない…なら、どうします?私の完璧な布陣を破れるとでも?】

 

「ライフがある限り、デュエリストは戦える…!僕は、諦めない!!」

スペクターの言葉に遊嗣の怒りは頂点に達する…そして遊嗣はデュエリスト魂を燃やし、デッキトップに手をかける!

 

 

 

「僕のターン!ドロー!!」

「来た…!魔法カード『紅玉の宝札』を発動!手札のレベル7の『レッドアイズ』モンスター、『真紅眼の黒炎竜(レッドアイズ・ブラックフレア・ドラゴン)』を墓地に送って2ドロー!…いくぞ、スペクター!永続罠発動!『デモンズ・チェーン』!!『聖天樹の大精霊』の攻撃と効果を封印する!!」

 

【なにっ!?】

地面から飛び出した巨大な鎖が大樹を縛り上げ、効果を封じる!

 

 

「最強の守りを扱うなら…僕はそれを上回る矛で、その守りを貫いてみせる!!魔法カード発動!『真紅眼融合(レッドアイズ・フュージョン)』!このカードは自分の手札・フィールド・デッキから融合素材となるモンスターを墓地に送り、『レッドアイズ』モンスターを融合素材とする融合モンスターを融合召喚する!!僕はフィールドの『真紅眼の黒竜』とデッキの『真紅眼の凶星竜─メテオ・ドラゴン』を融合!!」

 

【デッキから融合素材を!?】

遊嗣のフィールドから飛び上がった黒き竜と凶星の力を宿す破壊のドラゴンが融合の渦に飛び込む!

 

 

「融合召喚!現われろ…レベル8!『流星竜─メテオ・ブラック・ドラゴン』!!」

レッドアイズの示す可能性の力…あらゆる敵を吹き飛ばす、紅蓮の竜が咆哮する! ATK3500

 

 

《攻撃力3500…!すげぇ!!》

 

「これが可能性の竜の力…!」

 

【くっ…!?】

吹き荒れる紅蓮の暴力を前に遊作やスペクターは圧倒される…!

 

 

「『流星竜』の効果発動!融合召喚に成功した時、手札・デッキから『レッドアイズ』モンスター1体を墓地に送り、その攻撃力の半分のダメージを相手に与える!僕はデッキの『真紅眼の凶雷皇─エビル・デーモン』を墓地に送り、攻撃力の半分…1250ダメージを与える!喰らえ!真紅の怒りを!!」

 

【っ…ぐうううっ!?】

リンクヴレインズを覆う厚い雲へと飛び込む流星竜…そしてその身を紅蓮の隕石に変え、巨大な火柱と共にスペクターに大ダメージを与える!

 

スペクターLP4000→2750

 

 

《よっしゃ!大ダメージ!これで『大精霊』を攻撃すればYu-Zの勝ちだ!》

 

「いや、攻撃はしないよ…!スペクターの伏せカードが『万能地雷グレイモヤ』とか『魔法の筒(マジック・シリンダー)』みたいなカードかもしれないからね…だから、こうする!魔法カード発動!『黒炎弾』!」

 

【そのカードは…!知っていますよ…『真紅眼の黒竜』の元々の攻撃力分のダメージを与えるバーンカード…しかし!あなたのフィールドに存在するのは『流星竜─メテオ・ブラック・ドラゴン』のみ…残念ながら、発動条件を満たしていない!】

 

「それはどうかな…!『真紅眼融合』で融合召喚したモンスターは『真紅眼の黒竜』として扱う!」

 

【なんですって!?】

遊嗣のプレイングミスを嘲笑ったスペクターの表情が絶望に歪む…!

 

 

「受けてみろ!スペクター!これが…僕達の怒りだ!放て!黒炎弾!!」

流星竜の口元に膨大な熱量の炎が集中する…そして、ハノイの騎士への怒りが乗せられた一撃がスペクターへと直撃…スペクターは大爆発の中へと飲み込まれ、消え去った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴウッ!!

 

 

 

「───えっ?」

 

《っ…遊嗣!!》

 

 

 

 

ドン! グサッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side遊作

 

 

《うおおっ…!?何が、どうなった…!?》

 

「っ…決着は…!?Yu-Zは、どうなった…!!」

凄まじい爆発から身を守る為に腕で顔を覆っていた遊作とAi…遊嗣の放った渾身の一撃はフィールドを爆煙で包みこんでいた…。

 

 

 

「──かはっ…!?」

 

《えっ…!?おい、なんでだよ!?》

 

「っ…!?遊嗣!!」

少しずつ煙が薄れていく…そして、遊作達が最初に目にしたのは───茨の壁に叩きつけられ、巨大な棘に胸を貫かれた遊嗣の姿だった…。

 

 

Yu-Z LP0

 

スペクター WIN…

 

 

 

《遊嗣!しっかりするんだ!遊嗣!!》

 

「(何が、どうなって…なんで、僕が、負け、て…?)」

ロマンの悲痛な叫びが響く…胸を貫かれた痛みと喪失感で声も出せない中、遊嗣はスペクターがいるであろう方向に目を向ける…。

 

 

【いやいや…危なかった!あなたがあのまま攻撃してきていれば、負けていたのは私の方でした…警戒が裏目に出てしまったみたいですねぇ…!】

そして、体を「大精霊」の蔓に守られたスペクターが現れる…そのフィールドには罠カード『リフレクト・ネイチャー』が発動されていた…。

 

 

 

《『リフレクト・ネイチャー』…!相手が発動したライフにダメージを与える効果を、相手自身にダメージを与える効果に書き換えるカード…!?Yu-Zの作戦を読んでたってのか!?》

 

【ええ…その通りですよ、イグニス…彼はずいぶんとハノイの騎士と戦ってくれました…デッキの数は5つ、しかしどれもバーンダメージを与えるデッキではない……ならば、時間が限られた中で使うとすればバーンデッキと当たりをつけていたのですよ…私も分析は得意でしてねぇ…まぁ、伝説のカードが使われたのは予想外でしたが】

 

「Yu-Zのデュエルが、分析されていたのか…!!」

 

「そん、な…」

スペクター…彼は既に、遊嗣のプレイングスタイルを分析し…彼が何をするかを想定していた……遊嗣もまた、スペクターの掌の上で弄ばれていたのだ…。

 

 

 

【Yu-Z…あなたは本当に優しく、真っ直ぐな人間だ…敵であろうとも情けをかけ、誰かの為に戦う…あなたのような男が私の友人だったら良かったのに……ですが、全ては後の祭り…お別れです、くだらない正義の為に身を滅ぼす哀れなデュエリストよ…!】

 

「っ…!?やめろ!!」

遊嗣の性格を見抜き、称賛したスペクター…彼は静かに腕を掲げる、そして…遊作の制止の声も虚しく…。

 

 

キィン!バリバリバリバリ!!

 

 

ガッ…うあああ"あ"あ"!?!

 

《遊嗣っ、ぐうううっ──!?》

 

「遊嗣…遊嗣ぃぃ!!!」

 

《ロマン!!》

遊嗣を貫いた棘が放電……致死量の電脳ウイルスをアバターへと打ち込んだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side???

 

 

「っ…ゆうじ、さん…遊嗣さん!!嫌…いやぁぁっ!!!!」

 

「遊嗣!!」

遊嗣の自室にマシュの悲鳴と翠の絶叫が響く…遊嗣とスペクター、2人のデュエルは途中から草薙による情報提供でデュエル地点を知ったカエルとハトによって中継されていた…。

そして、2人は目撃してしまったのだ……遊嗣が敗北し、茨にその身を貫かれる瞬間を……致死量の電脳ウイルスを打ち込まれ、苦しむ彼の姿を…。

 

 

 

「遊嗣さん!遊嗣さん!!っ…イントゥザ──!!」

 

「っ…!!マシュちゃん!行ってはダメ!!貴女が行っても…遊嗣は、助けられない…!!」

 

「翠さん!でも、でもっ!!」

脂汗を流し、苦しむ現実の遊嗣の姿を見たマシュはリンクヴレインズに入ろうとする…その無茶な行動を取り押さえたのは歯を食いしばった翠だった…。

 

 

「っ"…!!あの子は貴女を守る為に、リンクヴレインズに行ったの…貴女が傷付いたら、あの子が命を懸けた意味がなくなる…!そうでしょう…?」

 

「み、翠さん…」

口の端から血を流しながら、翠はマシュに声をかける…飛び出して行きそうになる自分自身を抑え込むように、体を震わせながら…。

 

 

 

「ウィンダ!ウェン!手伝って!!絶対に、遊嗣は死なせない!!」

 

《わかった!!》

 

《もう…!遊嗣も無茶をするんだから…!》

 

「あっ…デュエルモンスターズの、精霊…?精霊使い…?」

涙を堪えながら…翠は自分の相棒、ウィンダとウェンを呼び出し、遊嗣の肉体に回復魔法を掛ける…息子の命を守る為に…。

そして、現れた精霊達の姿を見たマシュは目を見開いてその様子を見ているしかなかった…。

 

 

「……助けて…誰か…!遊嗣さんを………私の大切な人を…助けて…!!」

 

そして、マシュは手を組んで祈るしかなかった…何もできない自分の事を恥じ、自分を助けてくれた大切な人に手を伸ばせない無力感に涙を溢しながら…。

 

 

Side OUT

 

 

 

 

 

 

 

がああああっ!?!!

 

「っ…Ai!!」

 

《言われなくても分かってらぁ!!》

電脳ウイルスを打ち込む棘に貫かれ、絶叫する遊嗣…その様子を見た遊作が叫ぶ…その思いはAiも同じ……彼は捕食形態となって遊嗣を茨の壁から救い出した…。

 

 

 

「Yu-Z…!遊嗣!ロマン!しっかりしろ!!」

 

「──ぷれ、め…か……」

 

 

《そ、損傷率、60%…すこし、やばい…かも…》

 

《おい!しっかりしろ…!お前が消えちまったら、誰がYu-Zを守るんだよぉ…!?》

 

【おや…並の人間ならすぐに意識を失い、廃人になってもおかしくないのに…ずいぶんと頑丈なんですねぇ…?まぁ、あなたの運命は変わりませんが…!あはは……はははは!!】

胸に大穴が開き、全身を赤黒いノイズに覆われた遊嗣を遊作が抱き起こす…ロマンは電脳ウイルスの影響こそ無かったが、プログラムを破壊する放電によって大ダメージを負ってしまっている…。

 

そんな様子を見ながら…スペクターは狂気の笑みを浮かべていた…。

 

 

 

 

Side遊嗣

 

 

「遊嗣…!しっかりしろ!!」

 

「ぷれ…め、か…(ダメだ…声が、出ない…意識が、遠く、なっていく…)」

激痛から開放された遊嗣は悲壮な表情の遊作を見上げる…彼の瞳の奥に、黒い炎を幻視しながら…。

 

 

「(しくじった…僕は、最初から…遊作君の、冷静さを、奪う為に……)ぷれ、め…か……きに、しない、で……これ、は、ぼくの…ミス……」

 

「遊嗣…!!すまない…オレが、オレがお前達を巻き込んで「ちが、う…!」っ…!」

 

「ぼくは…許せな、った…マシュを、くるしめ…奴……ぷれい、メーカー…!きみは、負けな、で…!あんな、奴に……」

 

「遊嗣…!!」

自由にならない声を振り絞りながら、遊嗣は必死に遊作へと思いを託す…リンクヴレインズを救うだろう、彼の為に…。

 

 

「(ごめん…父さん…約束、破っちゃった…母さん…言う事、聞かないでごめんなさい……凌兄、璃緒姉…僕…まだ、弱かった……………マシュ……約束、果たせそうに、ないや………)」

朦朧としていく意識の中…遊嗣の脳裏に浮かぶのは家族やマシュの事……少しずつ目の前が暗くなっていく…。

 

 

 

「ごめん……みんな─────」

 

「遊嗣!!」

自分の無力さを嘆く遊嗣…その目から一筋の涙が零れ落ちた…。

 

 

 

 

 

 

 

ピチョン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

into the VRAINS!!

 

 

 

 

 

 

キィン!!

 

 

 

【っ…!?なんです!?この光は…!!】

 

《眩しっ!?》

その時、厚い雲に覆われたリンクヴレインズの空を切り裂き、黄金の光が遊作達とスペクターの間に突き刺さる!

 

 

「…黄金の、嵐…」

爆心地を中心に舞い上がる光の粒子…極限状態の中、遊作はその光に目を奪われる…。

 

 

 

 

 

「───誰だ、世界の平和を乱すのは…」

 

【っ…誰だ!】

そして、光の中から()が響く…世界の危機を憂う声が───

 

 

「誰だ…!俺の家族を傷つけるのは…!!」

 

家族を傷付けられ、激昂する英雄の咆哮が!

 

 

「この、声…まさか…!?」

光の嵐が収まる中…遊作はその声を覚えていた、絶望の中で苦しんでいた自身を励ましてくれた()()の声…そして、地獄から救い出してくれた()の声を…。

 

 

 

 

「──待たせたな、遊嗣」

 

「とう、さん…?」

そして、彼らの前に現れたのは───大きな赤い背中だった…!

 

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