転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
スペクターに敗れ、電脳ウイルスによって消滅の危機に瀕した遊嗣…そして、遊嗣に手を伸ばせない事を悔やむマシュ…。
2人の涙が…英雄を遥かなる世界から呼び戻す!
それでは、最新話をどうぞ!
「誰だ、世界の平和を乱すのは……俺の家族を傷つけるのは…!」
【っ…何者だ!!】
リンクヴレインズの暗雲を吹き飛ばし、黄金の光が大地に突き刺さる…そして、巻き上がる光の嵐から姿を現したのは…1人の男だった。
黒い髪に赤いジャケット、青いジーンズ…それは何処にでもいる、普通の男のように見えた…しかし、その男の纏う強者の覇気がそれを否定していた…!
「────待たせたな、遊嗣」
「──とう、さん…?」
周囲を一瞥した男は背中を向けていた遊作、そして赤黒いノイズに覆われ、今にも消えてしまいそうな遊嗣へと振り返る。
そして、遊嗣はようやく気付いた……目の前に現れた男、それは自分の父親──白波遊海だったのだと…。
「……まったく、ボロボロになる所まで俺に似なくてもいいだろうに…よく頑張った、流石は俺の息子だ」
スペクターに背中を見せ、遊作達に歩み寄った遊海は苦笑しながらノイズに塗れた遊嗣の頭を優しく撫でる…。
「とうさん…なんで…?」
「ロマンが俺に緊急連絡を飛ばしてくれてな…
《ははっ…
遊海が帰ってきた理由、それはロマンによる保険──緊急連絡によるものだった。
遊嗣の為に駆けつけた
「俺が戻ってくるまでよく耐えた…あとは任せろ」
「……うん」
キィン─!
【っ…!?馬鹿な!?リボルバー様のプログラムを!?】
そして遊海の手元から放たれた優しい緑色の光が遊嗣の全身を覆う、それによってアバターの胸を貫通していた穴は塞がり…致死量の電脳ウイルスとハノイの塔による影響が消え去る、その様子を見たスペクターはありえない事態に驚愕している。
「きみは…プレイメーカーだな?すまないが…少しだけ、俺の息子を頼む」
「あ、ああ…」
そして遊海は遊嗣に寄り添ってくれていたプレイメーカー…遊作へと穏やかに声をかける、彼の頼みに遊作は戸惑いながら頷く…。
《お、おい!お前、何者だよ!?今のYu-Zはショック死してもおかしくないレベルの精神ダメージを受けたはず…!?頭を撫でただけでそれを無効化できるなんてありえねぇ!?》
「きみは…そうか、きみが闇のイグニス……Aiだな?そりゃ、俺はヒーローだからな、完璧には無理でも…俺の手が届く相手なら、必ず助ける…それが、俺の信条だ」
《いや、答えになって……って、なんでオレのコト知ってんの!?》
Aiの問いかけにふんわりと答えた遊海はスペクターへと向き直る。
「さて、お前は……
【っ…!?お前は、何者だ…!】
スペクターの本名を言い当てる遊海…名を呼ばれた事に動揺しながら、スペクターは遊海を睨みつける…!
「俺か?…俺はYu-Zの父親さ…そして、通りすがりの決闘者だ…変身!!」
キィン!!
遊海はデュエルディスクを頭上に掲げ、その言葉を言い放つ…そして、無数の0と1が遊海の体を包み込み…仮想空間にその武装を再現していく。
光を反射する白銀の機械鎧、頭を覆うフルフェイスアーマー…そして、背中に翻る赤いマント……その名は───
「父さん…?」
「メタル、ナイト…!?」
【っ…お前は…!?】
その姿を見た反応は三者三様だった。
遊嗣は初めて見る父の鎧姿に目を見開き…遊作はその姿に恩人の姿が重なり、スペクターもまた
「流石に、この姿を見れば思い出してくれたよな?10年前、あの場所で出会った事を…」
「遊嗣…!?お前は、メタルナイトの息子、だったのか…!?」
「メタルナイト…?父さんって、有名だったの…?」
《有名も何も…プレイメーカーが巻き込まれた10年前の事件、その事件から6人の子供達を助け出した…プレイメーカー様の大恩人のヒーローだ!!》
「え…!?」
「そうか…お前から感じていた懐かしい雰囲気……それは、メタルナイトから…父親から受け継がれたモノだったのか…!」
鋼の鎧を纏う遊海、その姿と遊嗣との関係を知った遊作は納得する…今まで遊嗣から感じていた親近感や安心感、そして懐かしさ…それは彼の父親たるメタルナイトから受け継がれていたのだと…。
そして…遊嗣は自分の父がヒーローである事を初めて知り、遊作以上に戸惑っていた。
【ふふふ……ははは…!アハハハハハ!!!ようやく…ようやく出会えましたねぇ!メタルナイト!!
《うおおっ!?なんだ!?いきなり怖い顔になったぁ!?》
「っ…奴も、メタルナイトを知っていたのか…!?」
「………そうか、そこまで俺の事が憎かったか…」
その時、スペクターの様子が豹変する…先ほどまでの慇懃な雰囲気は消え去り、底知れぬ
その様子を見た遊海は…落ち込むように視線を落とした。
「メタルナイト…何故、スペクターは貴方を目の敵にしているんだ…!?」
「……プレイメーカー、彼は…
《嘘だろ!?》
「っ…!?スペクターが、ロスト事件の…!?6人の中の1人!?」
遊海が明かしたスペクターの正体…それは遊作と同じ、ロスト事件で誘拐・監禁され…半年ものデュエル地獄を強いられた6人の子供達…その1人だったのだ。
その事実を聞かされた遊作は思わず声を上げる…。
「答えろスペクター!何故、お前はハノイの騎士に従う!?お前もオレと一緒にあの
【ふふふ…恨み…?地獄…?いいえ…私にとって、あの半年間は
ロスト事件の被害者でありながら、ハノイの騎士となったスペクター…その真意を問う遊作だったが、返ってきたのは思わぬ答えだった。
そして、スペクターを自身の生い立ちを語る…。
赤子の頃に親に捨てられ、児童養護施設で育ったスペクター…人と交わる事が苦手だった彼は、孤独な日々を過ごしていた。
そんな時、彼は連れ去られハノイ・プロジェクト…ロスト事件の被検体として監禁された…しかし、彼が抱いた感情は寂しさや恐怖ではなく…
養護施設において孤独で退屈な、誰にも構われない『亡霊』のような日々を過ごしていたスペクター…しかし、ロスト事件に巻き込まれた彼は
(無理矢理)デュエルを
(姿は見えないが)自分に対して期待し、実力を試してくれる誰か。
それは、それまでの人生を孤独に過ごしてきたスペクターにとっての初めての愉悦であり、精神を歪ませる
【あの半年間は…本当に
《おいおい…普通、人間って…そんな経験をしたら傷付くんじゃねぇのか…?》
陶酔しながら当時の事を語るスペクター…そんな彼の
遊作と暮らす中で彼も見ていたからだ…夜中に叫びながら飛び起きる、遊作の苦しそうな姿を…。
【ふふはは…!貴方達には分からないかもしれませんね…!きっと、あの事件で心に傷を負った人間は、
「っ…」
「…………狂ってる…」
「……遊嗣、人には色々な価値観がある…彼もそういう感性を持ってしまう
スペクターの言葉に言葉を失う遊作…そして、スペクターの価値観を聞き、顔を青褪めさせる遊嗣を遊海は静かに諭す…。
そして…スペクターは遊海と警察の手で助け出され、施設へと戻された…だが、そこで待ち受けていたのは彼にとっての
(みんなが怖がるから)事件について話す事を禁じられた。
(恐ろしい事件を経験したのに)以前よりも明るくなったから、大人達は自分を腫れ物を触るように扱った。
異常な価値観に目覚めてしまったスペクターは…以前よりも孤独になってしまった。
【そして、私は施設を脱走し…記憶を思い出しながら監禁されていた施設へと向かいました…事件後に封鎖されていたその施設中で、私は
「待った…?」
【そう…あの時の楽しい記憶を思い返しながら、あのひと時が再び戻る事を願いながら…そして、私の思いは届いた…!リボルバー様が、私を迎えに来てくださった!!そして、あの方は私に居場所を与えてくれたのだ!!】
そして…狂信の果てにスペクターは自分の居場所に辿り着いた……例え、それが「悪」の道であろうとも…。
「スペクター…お前は、ハノイの騎士が憎くないのか?」
【先ほども言ったでしょう?リボルバー様は私に居場所をくれた…なのに何故、憎む必要があるのです?……貴方にとっては不思議でしょうね?ですが、私には…自分の価値観や正義を振りかざし、ハノイの騎士を襲う貴方の方が
「ふぅ……プレイメーカー、スペクターの話に耳を貸さない方がいい…彼は、きみとは違う世界に生きる人間だ」
「メタルナイト…」
ロスト事件によって唯一、
「プレイメーカー…きみの思いは間違ってない、あの事件やハノイの騎士が起こした事件でたくさんの人々が傷付き、悲しんできた…そんな被害者を増やさない為に戦ってきたきみは、誰がなんと言おうと
「オレは…ヒーローなんかじゃない、オレは真実を知る為に…奴らに復讐する為に戦ってきた…それだけなんだ…」
優しく、穏やかに遊作の行いを肯定する遊海…しかし、遊作は首を振る…自分はハノイの騎士への復讐の為だけに戦ってきたのだと…。
「プレイ、メーカー…きみは、確かに復讐者なのかもしれない…それでも……きみは
「Yu-Z…」
しかし、それでも…彼の活躍で救われた人がいた、勇気をもらった人達がいた……そんな彼の為だからこそ、遊嗣も命を懸けて戦う事ができたのだ…。
「さて…それじゃ、デュエルといこうかスペクター…お前の歪んだ性根を…叩き直す」
【ふ、ははははっ…!ええ、いいでしょう!お前とプレイメーカーを倒せば、リボルバー様の邪魔者はいなくなる!!私達の大義の前に消えるといい!偽善の英雄!!】
そして、遊海は静かにデュエルディスクを展開する…そしてスペクターも狂気と共に構える!
「父、さん…!」
「心配するな、遊嗣……お前の父ちゃんは──最強だからな」
ウイルスの後遺症とダメージで身動きが取れない遊嗣は心配そうに遊海に呼び掛ける…しかし、遊海は…穏やかな口調で勝利を約束した…!
【「デュエル!!」】
スペクター LP4000
・マスターデュエル
【私の先攻です、私のターン!!】
【私は『
人間大の巨大な種子が現れる! ATK0
【さらに私は手札から『
種子から芽生えた単眼を持つ双葉が現れる! ATK0
【さぁ、現れよ!私達の道を照らす未来回路!アローヘッド確認!召喚条件は植物族モンスター2体!私は『聖種の地霊』と『聖種の影芽』をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!現れよ!LINK-2!『
リンクヴレインズの大地を突き破り、無数の果実を実らせ、女性のような肉体が樹皮に浮かんだ大樹が現れる! ATK0 ↙↘
【さらに、私は手札を1枚墓地に送り永続魔法『
再び巨大な種子が現れる! ATK0
【再び現れよ!私達の道を照らす未来回路!召喚条件は植物族モンスター1体!私は『聖種の地霊』をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!現われろ!LINK-1!『
聖天樹の果実の1つが落下…巨大な盾を構えた守護者が現れる! ATK600↑
【『聖天樹の精霊』は攻撃対象にならない…私はこれでターンエンド!】
スペクターLP4000
精霊 守護者 聖蔓の社 手札1
《おいおい!いきなりデカい木が出てきちまったぞ!?大丈夫なのか!?》
《心配ないよ、Ai…マスターは…負けない、からね…!》
いきなりリンク2の『聖天樹』を喚び出した事に驚くAi…しかし、ロマンは落ち着いていた…。
「俺のターン、ドロー!」
「───カードを1枚伏せ、
【「はっ…!?」】
そして対する遊海はカードをセットしただけでターンを終える…思わぬ一手にスペクターと遊作の驚愕が重なる…。
DuelGazer LP4000
伏せ1 手札5
【ふふふ…ははは!!?あれだけの大口を叩いておきながら
「そんな訳ないだろう?
【っ…私を舐めるな!メタルナイトぉぉ!!】
僅かな行動でターンを終えた遊海を嘲笑うスペクター…しかし、遊海は動じず、逆にスペクターを挑発する…!
「父さん…?(なんだろう…怖い…!普段の父さん、あんな事言わないのに…!)」
「っ…Yu-Z…?」
そして、そんな父の姿を見た遊嗣の体が震える…遊嗣の知る遊海は優しく、穏やかで…人を挑発する場面など見たことがなかったからだ…。
【私のターン!!ドロー!!】
【『聖種の地霊』を召喚!】
三度、巨大な種子が現れる! ATK0
【現われろ!私達の道を照らす未来回路!召喚条件は植物族モンスター1体!『聖種の地霊』をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!現われろ!LINK-1『
赤い花から体が生えた小妖精が現れる! ATK600
【私は『癒し手』の効果発動!このモンスターが特殊召喚に成功した時、私の場の『聖天樹』モンスターのリンクマーカーの数✕300ポイント、ライフを回復する!『精霊』のリンクマーカーは2つ!】
大樹から伸びた蔓がスペクターを包み、ライフを回復させる…!
スペクター LP4000→4600
【そして現われろ!私達の未来を照らす未来回路!召喚条件は植物族リンクモンスター2体以上!私は『精霊』『守護者』『癒し手』をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!!出でよ!LINK-4!我が母なる大樹!『
《リンク4まで成長しやがった…!?》
聖天樹が急成長…1本の大木でありながら、森のような規模まで成長し、満開の花が咲き誇る…スペクターを守る母なる樹が顕現する! ATK0↙↑↓↘
【この大樹こそ、我が母なる樹の化身…赤ん坊の頃の私はこの樹の下に捨てられていた…!そして、赤ん坊の私が施設に保護されるまでの数日、
母なる樹を前にリボルバーへの狂信を語るスペクター…その時、遊海は───
「───
【っ…!私の話を聞けぇぇ!!永続魔法『
再び、巨大な種子が現れる! ATK0
【三度開け!私達の道を照らす、未来回路!召喚条件は植物族モンスター1体!サーキット・コンバイン!現われろ!LINK-1!『
大母神から果実が地面に落下…大剣を持つ剣士が現れる! ATK800↓
【『聖蔓の剣士』の攻撃力はこのカードにリンクしている『聖天樹』リンクモンスターのリンクマーカー1つにつき800ポイントアップする!『大母神』のリンクマーカーは4つ!攻撃力は4000となる!!】
大樹の加護を得た剣士の攻撃力が上昇する!
聖蔓の剣士 ATK800→4000
《おい!やべーぞ!?》
【バトルです!『聖蔓の剣士』でメタルナイトへダイレクトアタック!大義の前に散れ!偽善の英雄!!】
「メタルナイト!!」
大剣を構えた剣士が遊海へと突撃する!
「罠カード発動!『クローラー・パラディオン』!このカードをモンスターとして特殊召喚!!」
【関係ない!!叩き斬れ!!】
遊海の場に機怪蟲の生き残りが現れるが…大剣で両断される! ATK300
遊海LP4000→300
「メタルナイト!?」
《おい!?なんで攻撃表示で出したんだ!?モロに受けたぞ!?!?》
ほとんど無抵抗でスペクターの一撃を受け、ライフの9割を失った遊海…その様子を見た遊作とAiは取り乱す…。
しかし、2人は気付いていなかった…大ダメージを受けたはずの遊海が吹き飛ぶ事なく、
「スペクター…これが、お前の全力か?」
【っ…!?】
大ダメージを受けた遊海は静かに…穏やかにスペクターへと問いかける…あまりにも静かすぎて
「俺は完璧な人間じゃない…手を伸ばしても救えず、取り零してしまった人達もいた…手の届かない悲劇があった……お前の心を救う事はできなかった……今の攻撃で、少しは憎しみは晴れたのか?それとも…お前の怒りはその程度か?」
【何が言いたい…!】
「お前は…
【はっ…何を言い出すかと思えば…!!】
「タクティクスどうこうの話じゃない、お前の
遊海は静かにスペクターを睨みつける…その心を見透かすように…。
「親に捨てられ、人と交わらず…愛を知らないで育った……確かに、それは悲劇だ…普通の人なら経験しない事かもしれない…でも、キミは…
【っ…!?】
「誰も自分に構ってくれなかった?それなら…ただ一言、こう言えば良かったんだ…『一緒に遊ぼう』、『一緒に本を読もう』…『一緒にいて欲しい』と…その一言が言えれば、キミは孤独じゃなかったはずだ……その一言が言えなかったのは、キミの心の弱さ…キミの心の扉を、キミ自身が固く閉じていたからだ!」
【ぐっ…!?】
遊海はスペクターの核心を突く…孤独な日々を過ごしたというスペクター…しかしその実、彼は自分から殻を閉ざし…母なる樹に依存した……自分から孤独から抜け出す為の
【黙れ……黙れ!!!私はこれでターンエンド!そして永続魔法『聖蔓の社』の効果発動!エンドフェイズにこのカードを墓地に送り、墓地の罠カード『聖天樹の開花』をセットする!】
遊海に自身の核心を突かれたスペクターは遊海の話を断ち切るようにターンを終えた…。
スペクター LP4600
大母神 剣士 伏せ1 手札1
「スペクター…何故、俺がお前の一撃を受けたか分かるか?……
【なに…?】
「大切な息子達を傷付けられて……怒らない親が、いると思うのか?」
穏やかな遊海の声色…それに反するように周囲の気温が下がっていく…。
「お前は既に……龍の逆鱗に触れて、虎の尾を踏み抜いてんだよ…!」
ミ シ リ
【ぐううっ…!?】
《ひ、ひぇぇっ!?》
「この、殺気は…!!」
「父さん…!」
遊海はクリアマインドで辛うじて押さえ込んでいた激情を開放する…開放された怒気と殺気はリンクヴレインズそのものを軋ませ、殺気を向けられていない遊嗣や遊作も腰を抜かしかけている…。
「スペクター…これから、俺はお前を
そして兜の隙間からのぞく遊海の瞳が金色に光輝く!
「俺のターン!」
真の決闘者の決闘は全て必然!ドローカードさえも、決闘者が創造する!シャイニング・ドロー!!
ゴウッ!!バキャン!
《ギャー!?ドローの風圧でビルが折れた─!?》
「なんて力だ…!?」
《久しぶりだね、マスターがあそこまで怒ってるのは…》
遊海の右腕に眩い光が集中…黒と金の光の軌跡が奇跡を導き、勝利の方程式を完成させ──ドローの風圧で周囲の茨の壁やビルが崩壊する!
【馬鹿な!?マスターデュエルでスキルを発動できるはずが…!?】
「世界には、お前が知らない世界のデュエルがある…俺は『神樹のパラディオン』を召喚!」
森の民であるエルフの女剣士が現れる! ATK800
「現われろ!希望を導くサーキット!アローヘッド確認、召喚条件は『パラディオン』モンスター1体!俺は『神樹のパラディオン』をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!現われろ!LINK-1!『マギアス・パラディオン』!」
赤い鎧を纏う魔術師が現れる! ATK100↓
「さらに、手札の『魔境のパラディオン』の効果発動!このモンスターを『マギアス・パラディオン』のリンク先に守備表示で特殊召喚!」
荒れ地に住む僧衣の魔術師が現れる! DEF2000
「『マギアス・パラディオン』の効果発動!リンク先に効果モンスターが特殊召喚された時、デッキから『パラディオン』モンスター…『星辰のパラディオン』を手札に加える!さらに、『魔境のパラディオン』の効果発動!このカード自身と『聖天樹の大母神』を破壊する!」
【っ!?我が母なる大樹は伐り倒させない!永続罠『
《そんな!?》
花吹雪が吹き荒れ、遊海のモンスター達の効果が封じられる!
【さらに、『聖天樹の開花』にはまだ効果がある!自分のリンク4の植物族モンスター…つまり、『大母神』がバトルする時!その攻撃力はリンク先のモンスターの攻撃力の合計分アップする!『大母神』のリンク先には攻撃力4000の『聖蔓の剣士』がいる…!これで次のターン、お前のライフを削りきってやる!!】
「
【なにっ…!?】
母なる大樹を強化し、勝利を確信するスペクター…しかし、遊海の勝利の方程式は揺らがない!
「アローヘッド確認!召喚条件は『パラディオン』モンスターを含む、モンスター2体!俺は『マギアス』と『魔境』をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!リンク召喚!来い!LINK-2!『レグレクス・パラディオン』!」
燃える鬣を持つ獅子が咆哮する! ATK1000↑↓
「さらに、手札から『天穹のパラディオン』を『レグレクス・パラディオン』のリンク先に守備表示で特殊召喚!さらに、『レグレクス・パラディオン』の効果発動!リンク先に効果モンスターが特殊召喚された時、デッキから『パラディオン』魔法・罠カード…フィールド魔法『リユナイト・パラディオン』を手札に加える!」
成長し、機界騎士の力を受け継いだ開放の戦士が現れる! DEF1000
「三度開け!希望を導くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はリンクモンスターを含む、効果モンスター2体以上!俺は『天穹』と『レグレクス』をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!現れろ!LINK-3!絆の勇者!『アークロード・パラディオン』!!」
星遺物の力を受け、人馬一体の力を手にした絆の戦士が現れる! ATK2000↙↑↘
【っ…サイバース!?】
《メタルナイトもサイバースのモンスターを持ってるのか!?》
遊海のフィールドに現れたサイバース族のモンスターを見たスペクターとAiが驚き、目を見開く…!
「サイバースを生み出せるのはイグニスだけじゃない、世界は広く…無数にある、俺はその力を借りて戦ってきた!手札の『百獣のパラディオン』を『アークロード・パラディオン』のリンク先に特殊召喚!」
金色の鬣を持つ、黒き獅子が現れる! DEF1600
「そして『アークロード・パラディオン』の効果発動!リンク先の『百獣のパラディオン』をリリースする事で『大母神』の効果をターン終了時まで無効にする!これで、お前の安全地帯は失われる!」
【っ…!?母さん!?】
手にした聖剣を掲げる騎士…その光は母なる樹を照らし、鮮やかな花の色を奪い取る!
「フィールド魔法『リユナイト・パラディオン』を発動!その効果でパラディオンモンスターの攻撃力は500ポイントアップする!さらに、魔法カード『星遺物を継ぐ者』を発動!墓地の『天穹のパラディオン』を『アークロード・パラディオン』のリンク先に特殊召喚!!」
再び開放の戦士が現れる! ATK1600→2100
アークロード ATK2000→2500
「さらに『アークロード・パラディオン』のリンク先に『星遺物─星冠』を守備表示で特殊召喚!」
巨大な冠を思わせる機械が空中に浮かび上がる! DEF2000
「待たせたな…『パラディオン』のリンクモンスターは全て共通した効果を持つ、1つはリンク先のモンスターの攻撃を封じる効果…そしてもう1つ、それはリンク先のモンスターの元々の攻撃力の合計分、攻撃力をアップする効果だ!」
アークロードパラディオン ATK2500→6100
「攻撃力、6100!?」
《す、すげぇ!!》
【確かに、凄まじい攻撃力です…しかし!その『大母神』を攻撃したとしても、『聖天樹の開花』の効果によってライフは残る!!】
規格外の攻撃力に驚く遊作とAi…しかし、スペクターはまだ諦めてはいない…!
【(私の手札には永続魔法『
「それはどうかな?」
【なにっ…?】
「フィールド魔法『リユナイト・パラディオン』の効果発動!このターン、『アークロード・パラディオン』でしか攻撃できなくなる代わりに、相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる!さらに『天穹のパラディオン』の効果発動!このターン、『アークロード・パラディオン』しか攻撃できなくなる代わりに…そのモンスターが相手に与えるダメージは2倍になる!」
【はっ─?】
《攻撃力6100の、2回攻撃!?》
「しかも、与えるダメージは2倍…つまり、スペクターが受けるダメージの合計は───」
「16400……父さん、そんなデッキも持ってたんだ…」
それはデュエルモンスターズにおける最強レベルの攻撃力による暴力…『パラディオン』は敵対する者が強ければ強い程、自身の力を高めていく!
「バトルだ、『アークロード・パラディオン』で『聖蔓の剣士』を攻撃!」
【ぐああああっ!?がはっ…!?】
騎士の一撃が剣士を両断…スペクターを大母神に叩きつける!
スペクターLP4600→400
《よっしゃ!大ダメージだ!『大母神』の効果は無効になってるから『聖蔓』モンスターを呼び出される事もないし、リンク先のモンスターがいなくなったから『聖天樹の開花』による攻撃力アップもなくなったぜ!これで勝確だ!流石はヒーロー!!》
吹き飛ばされたスペクターを見たAiが歓声を上げる…既に、スペクターには攻撃を防ぐカードはない…。
しかし、
【フフ…ハハッ…これが、ヒーローの全力、という訳ですか…ならば…私も
《切り札?お前には効果がなくなった『大母神』と『聖天樹の開花』、そして手札はその1枚しかねぇじゃん!大人しく負けを認めろ!》
【ハハッ…カードだけが、切り札ではないのですよ…!!】
満身創痍ながら不敵な笑みを見せるスペクターが指を弾く…すると…遊海達の前に誰かの姿が映し出される!
『っ…プレイメーカー!?それに、メタルナイト…!?』
「財前!?なぜ、お前が…!?」
遊海達の前に現れた人影、それは茨の檻に捕らわれた財前晃だった…!
【ははっ…妹を助けようとリンクヴレインズに飛び込んだ結果、このザマです…!その茨には先ほどと同じ電脳ウイルスが仕込まれている…そして、私がダメージを受ければ茨は伸びて、檻の中の彼を串刺しにする…!メタルナイト!ヒーローたるお前は、人質がいれば手を出せない…!】
『っ…!?』
「スペクター!貴様…!!」
《卑怯者!オマエキライ!!》
「父さんっ…!!(ダメだ、動けない…!あの人を助けないと、父さんが…!!)」
スペクターの最後の切り札、それは晃を人質とした時間稼ぎ……デュエリストの風上にも置けない盤外戦術だった…。
【さぁ、そのままターンエンドするのです…無関係な者を傷付ける…それはあなたが一番嫌いな事でしょう…?ふはは…はははははは!!!】
『くっ…プレイメーカー!メタルナイト!私に構わず、その男を倒してくれ!!きみ達が倒れたら、さらに犠牲が増えてしまう!!妹の…葵の覚悟を無駄にしないでくれ!!』
「財前…!」
下卑た笑みで遊海を追い詰めるスペクター…その様子から状況を把握した晃は自分に構わず攻撃を続けて欲しいと叫ぶ…!
「おい、スペクター…いや、
【ははははっ……へっ…?】
最悪の人質作戦…しかし、遊海は動じない……何故なら、遊海は
「彩華」
《了解です、マスター…アンチプログラム実行、拘束解除…すぐにそちらへ向かいます》
『っ…キミは…!?おい、その茨に触れては──うわっ!?』
「財前!?」
短く誰かの名を呼ぶ遊海…その瞬間、晃を映していたホログラムが霧散、そして───
ドドドドドドドド!! キキーッ!
『うおぉおぉおっ!?』
《遅くなってすいませんマスター…財前晃氏の救出完了です》
【──はっ?】
「彩姉!父さんと一緒に来てくれてたんだ…!」
「おう、ありがとうな彩華」
《えっ、誰!?メタルナイトの仲間!?Yu-Zの姉ちゃん!?》
そして、土埃を巻き上げながら…晃を横抱きに抱えた、無表情の銀髪の少女が疾走してくる…それは遊海の相棒、レイン彩華だった。
遊海とは別にリンクヴレインズにアクセスし、状況を見守っていたのだ。
【馬鹿な…!?あのシステムは…プログラムは人間には破壊できないはず…!?】
《財前さん、下ろしますよ?立てますか?》
『あ、ああ…すまない、助かった…!』
財前を下ろした彩華は倒れ込む遊嗣とロマンへと歩み寄る…。
《遊嗣、よく頑張りましたね…ですが、次は無茶をする前に翠にしっかりと話すように……怒ってましたよ》
「うっ…はい……」
どうやら、先に翠達の様子を見ていたらしい彩華は遊嗣に灸をすえる…。
《ロマン…大丈夫ですか?自己修復はまだ不得意でしょう?》
《大丈夫です、
《そうですか…あとでアップデートとメンテナンスはしっかりしましょうね》
《へっ…!?ロマンの母ちゃん!?いや、AIに母親っている!?》
そして、ロマンの思わぬ一言にAiが驚く…人間に見える彩華がロマンの
《Ai…その話はまたあとで……今は…!》
【っ…?!】
そして…ロマンの言葉で全員の視線がスペクターへと突き刺さる…!
「スペクター…確かに、お前の過去は悲しく辛いものだ…だが、それは…お前が人を傷つけてもいい理由にはならない!!」
【ひっ…!?】
英雄として、決闘者として…そして、1人の父親として…遊海は歪み果てた精神を持つスペクターへと裁きを下す!
「『アークロード・パラディオン』で『聖天樹の大母神』を攻撃!絆の刃よ…狂気を断ち切れ!!パラディオン・スラッシュ!!」
騎士の剣が光を纏う…その光は巨大な光の刃となって大樹を真一文字に切り捨てた!
【母さん…!?うわあああああ!!?】
スペクター LP0
DuelGazer WIN!
《よっしゃあ!!メタルナイトの勝ちだぁ!!》
「父さん…良かった…!」
「ああ…流石は、本物のヒーローだ」
『あれが、伝説のヒーロー…凄まじい実力だ…!』
快刀乱麻を断つ…人の精神を揺さぶり、卑劣な手段でブルーエンジェルと遊嗣を傷付けた狂信のデュエリストは…英雄たる遊海に打ち倒された。
その一部始終を見届けたAiや遊嗣が歓声を上げる!
【ぐう、う…私が、負ける、とは……メタル、ナイト…!何故、なぜ、私を最初のターンで倒さなかった…!お前の力なら、あのターンで私を倒す事もできたはず…!!】
「息子を傷付けたお前への意趣返しの意味もあったが……
【声…?なんの事です…!?】
遊海によって完膚なきまでに負けたスペクター…その様子を見ながら、遊海は不可解な言葉を口にする…。
スルスルスル……キュ…
《─────》
【母さん…?】
その時、スペクターの腕に弱々しく蔓が巻き付く…それは斬り倒された『大母神』の枝から伸びていた…。
「
遊海は助けを求める
【ふふ、はは…申し訳ありません、リボルバー様…私が至らぬばかりに…………ごめんなさい、母さん──】
「………その涙に免じて、罰ゲームは勘弁してやるよ…ダイキ」
母の