転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは、S,Kです!

痛み分けで決着してしまったプレイメーカーとリボルバーによるスピードデュエル…そして、遊作はついに真実を知る──


それでは、最新話をどうぞ!


ハノイ・プロジェクト─10年前の真実─

「プレイメーカー…!っう…!?」

 

「遊嗣さん!?」

プレイメーカー対リボルバー…リンクヴレインズと電脳世界の運命を懸けたデュエルが相討ちで終わった直後、モニターを通じて様子を見守っていた遊嗣がベッドからふらつきながら立ち上がる…その様子を見たマシュは慌てて彼の体を支えた…。

 

 

「いかなく、ちゃ…!少しでも、彼の力に…!」

 

「遊嗣さん!ダメですよ…!顔色が…」

 

《マシュの言う通りだよ、遊嗣……今のきみがプレイメーカーの所に行っても、できる事はない……むしろ、そんな状態で行ったら彼の足を引っ張ってしまうよ》

 

「マシュ…ロマン…」

明らかに体調を崩している遊嗣を心配するマシュ…そして、ロマンも優しく遊嗣を説得する。

遊嗣はデュエリストではあるが、ハッカーではない…しかも体調を崩しているのなら戦う事もままならないだろう。

 

 

《大丈夫、プレイメーカーは無事だよ…信じるんだ、きみの友達を…そしてAiの事を…》

 

「ロマン…っ」

 

「遊嗣さん!?」

 

《大丈夫、緊張の糸が切れてしまっただけさ……よくあの状態から今まで意識があったと思うよ…遊嗣は本当に頑張り屋さんだから…》

ロマンの言葉に気が抜けてしまったのか…それとも限界だったのか…遊嗣は崩れるようへと床に倒れ込んだ…。

 

 

 

「──遊嗣さん、お疲れ様でした…」

 

《まったく…本当に似た者親子だね、きみとマスターは…》

眠りに落ちた遊嗣を起こさないように、マシュはぎこちなく膝枕の体勢を取る……そんな様子をロマンは静かに見守っていた…。

 

 

 

《(Ai君、遊作君…ボクも信じているよ、きみ達の力を…!)》

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

「っう…!」

 

「遊作!!無事だったか…!」

 

「ああ…大丈夫だ…!」

 

《さっきの衝撃で、強制的にログアウトさせられたんだ》

同じ頃、CafeNagiのログインルームから倒れ込むように遊作が飛び出してくる…リボルバーの自爆コンボの衝撃の影響でAiと共に強制ログアウトさせられたのだ。

しかし、スピードデュエルで受けたダメージは無視できる状態ではなく、遊作も辛そうな様子だった…。

 

 

 

「草薙さん、リボルバーは…!」

 

「奴もリンクヴレインズから消えた、ログアウトしたのかもしれない…だが、マズい状況だ…!ハノイの塔はまだ動き続けている…!」

 

「くっ…!」

 

《遊作よぉ!アレが完成したら、オレも仲間もみんな消えちまうよ…!!早く、もう一度ログインして…》

 

「いや、無駄だ…リボルバーがいなければ、ハノイの塔は止まらないだろう…!」

 

《オーマイガー!!》

草薙に同じく吹き飛ばされたリボルバーの行方を訊ねる遊作…しかし、リボルバーもリンクヴレインズから消えてしまい、さらにハノイの塔が作動し続けている事を聞いて拳を握りしめる。

 

ハノイの塔を止めるにはリボルバーに止めさせるしかないのだ…。

 

 

「…だが、まだ手はある…!行こう、草薙さん…!」

 

「何処へ行くつもりだ?」

 

()()()()()()()()()()へ…!」

 

「《なんだって!?》」

しかし、遊作はハノイの塔を止める為の手掛かりを掴んでいた…!

 

 

………

 

 

「遊作、どういう事なんだ?」

 

《本当にリボルバーの居場所がわかったのかよ!?》

 

「ああ…!」

遊作に指示されるままにキッチンカーを飛ばす草薙…そんな中、遊作はリボルバーへの手掛かりについて話す。

 

 

 

「奴は、さっきのデュエルの中で『スターダスト・ロードが自分を導いた』と言っていた」

 

「スターダスト・ロードが…?」

 

《それがどうかしたのか?》

 

「スターダスト・ロードはこの()()()()()()()()()自然現象だ…奴はそれを見ていた」

 

《ん?それがどうしたんだ?》

 

「──そうか、お前はあの時はいなかったな……オレが草薙さんからスターダスト・ロードの話を聞いた時、こう言っていた『スターダスト・ロードは()()()()()』だと…そして『公園近くの崖の上に住んでいるお客さんなら見たことがあるだろう』と…!」

 

「───そんな、()が…!!?リボルバーは()()()()()()にいたのか!?」

それは遊作達が遊嗣とマシュのデートに遭遇した日の会話……リボルバーの正体、それはCafeNagiが海浜公園に出店した時に訪れていた銀髪の青年だったのだ…!

 

 

 

 

《ここが、ハノイの拠点……って、なんか変だぞ?》

 

()()()()()()()!?いったいなにが…!」

車を走らせる事数分…崖の上の邸宅──リボルバーの自宅と思われる場所へと到着した遊作達だったが、異変に気付く…玄関の扉だったであろう巨大な鉄扉が盛大にぶち抜かれていたのだ…。

 

 

「なにが起きているのかは分からないが……行こう…!」

明らかな異常事態に警戒しながら、遊作達は邸宅へと踏み込んだ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【貴様、父さんに何をした…!!】

 

「さてな…見れば分かるだろう?」

 

「あれは…!?」

 

《おいおい…こりゃ、どういう状況だよ…?!》

デンシティの海を一望できる夕陽に照らされた部屋、そこでは2人の人物が睨み合っていた…。

 

1人は度々、CafeNagiを訪れていた銀髪に青いメッシュの入った青年

 

そして、もう1人…それは鴻上博士らしき老人が眠るベッドの横に立つ、()()()()()()()()()の男──メタルナイトこと遊海だった。

 

 

 

「ほら、お待ちかねのお客様だぞ?リボルバー」

 

【っ…!!プレイメーカー…!ここを突き止めたか…】

 

「っ…お前が、リボルバーか…!」

そして、遊海は来客──遊作達の到着をリボルバー…了見に示す。

了見は背後の人物達にようやく気付き、彼らへと向き直った…。

 

 

【藤木遊作、そして草薙仁の兄、草薙翔一…】

 

《オレもいるぞ!》

 

【イグニス…!】

 

「やはり、オレ達の事を知っていたのか…リボルバー」

 

【私は鴻上了見だ】

初めて現実世界で顔を合わせる遊作と了見…了見は既に遊作達についても調べ上げていた。

 

 

「やはり、鴻上博士の息子か…!そこに寝ている男が、鴻上博士だな…!生きているのか?いや、それよりも…」

 

「メタルナイト…!何故、貴方がここに…!どうやって…!?」

 

「フッ…俺の相棒は優秀だからな、探そうと思えばなんとかなるもんさ」

リボルバー、了見と鴻上博士の関係を察する草薙…そして、思わぬ英雄の存在に遊作は驚いている…。

 

 

【父は…たった今、()()()()…!私を守り、命を使い果たして…!】

 

「………」

 

「ッ…こんな近くに犯人がいたのに、俺は何もできなかったのか…!」

そして、了見は鴻上博士の死を伝える…息子である自分を守る為に、命を使い果たしたのだと…。

 

それを聞いた草薙は悔しげに拳を握り締めるしかなかった…。

 

 

 

「……さぁ、リボルバー…いや、鴻上了見…彼らに真実を話してやれ、それはお前の()()だ」

 

「そうだな…鴻上博士亡きいま、真実を知るのはお前だけだ…!オレ達には、真実を知る権利がある…!!」

 

【……確かに、お前達は全てを知るべきだ】

遊海に促され…了見は10年前の事件の真相を話し始める…全ての『元凶』になった事件の真実を…。

 

 

 

「お前は以前、ロスト事件はイグニスを作る為に起きたと言ったが…何故、そこまでしてイグニスを作り出す必要があったんだ…?」

 

【父は元々、世界を混乱させる為にイグニスを作り出そうとした訳ではない…父の目的は、来たるべき未来…人類の危機に対し、新たに人類の()()()を作る事だった】

 

 

《人類の後継種…?》

 

「…………」

遊作の問いかけに対し、了見は『リボルバー』の時のような高圧的な態度ではなく、静かに答える…ロスト事件の目的、それは『人類の後継種』となる存在を作る為の実験だったのだと…。

 

 

【ヒトはどれだけ進化しようとも、いつ起こるか分からない自然災害や『悪魔が生まれた日』のような人為的な災害によって常に絶滅の危機に曝されている…いや、それらのような災害が起こらずとも…『ヒト』という種自体が寿()()を迎えようとしている──そんな事を父はよく口にしていた…だが、ヒトの意思が地球環境に適した肉体に縛られている限り、その危機は回避できないと…】

 

「………」

それは了見が父から言い聞かされていた『終末論』…人類は災害や人為的な原因で絶滅する、という学説だった。

 

 

【……そこで、父は肉体に縛られぬAIにその夢を託そうとした…『意思を持つAI』…それこそが、人類の正統な後継種だと考えたのだ】

そして、鴻上博士は人類の滅びを回避するのではなく…滅びを迎えた後、人類の後継となる存在を『意思を持つAI』イグニスに託そうと考えた。

 

……しかし、そこから鴻上博士の『善意』は暴走していく事になる。

 

 

【父は次第にその考えに()()()()()…その礎となるデータを取る為、3人の助手と共にロスト事件を引き起こした…6人の子供達を攫い、デュエルを強要した…デュエルをする時の思考が、AIが人間を理解するのに最適だと考えたのだ】

人類の後継種を作る為に6人の子供達を攫ったという鴻上博士…そして、そこまで話した了見は目を伏せる。

 

 

 

【あの時、幼かった私もお前を見ていた…だが、その当時…私は8歳、何が行われているのか…それを正確に理解する事はできなかった…()()()()()が起きているのかもしれない…そう思ったが、それを父に聞く事はできなかった…!きっと、父は有意義な研究をしているのだと信じるしかなかった…!!】

鴻上博士によってロスト事件が起きていた研究所に連れてこられていた幼い日の了見…しかし、そんな彼も明らかな()()()()に心を蝕まれていく事になる…。

 

 

【しかし、あそこで聴く子供達の悲鳴は私の胸を掻き毟った…!!私はやがて罪悪感に押し潰され…事件を外の世界に通報した……子供達を助け出し、父を止めてもらう為に……】

 

「ロスト事件は匿名の通報で発覚し、警察とメタルナイトが動く発端になった…それはお前だったのか…!」

 

《じゃあ、こいつにお前は助けられたって事か?》

 

【その通りだ…しかし、私はすぐにお前達を助けた事を()()した…!】

 

「後悔だと?」

ロスト事件を通報し、攫われた子供達の命の恩人となった了見…しかし、その選択は彼を後悔させる事になった。

 

 

 

【お前達は助けられた……だが、父は事件を隠蔽したSOLテクノロジーによって監禁されてしまった…!私はその後の3年間、じっと父の帰りを待たなければならなかった……そして、父は帰ってきた───事件が表沙汰になる事を恐れたSOLテクノロジーに電脳ウイルスを仕込まれ、昏睡状態となって…!!】

 

「っ…」

 

【だが、私はハノイの三騎士の力を借りて父をネットワーク世界に蘇らせた…そして、3年間に何が起きたのかを聞いた……父は監禁されている間に偉大な研究を成し遂げた…6人の子供達のサンプルから、6体の意思を持つAI…イグニスを作り出した…!そのイグニスはネットワークの中に『サイバース世界』という独自の空間を創り出すに至った、そこで生まれたのがお前の使う『サイバース族』のカードだ】

SOLテクノロジーによって囚われの身となった鴻上博士…しかし、彼はついに念願のイグニスを生み出した……思わぬ()()()と共に…。

 

 

 

【そして、イグニス達はサイバース世界でネット空間での()()()、「データマテリアル」を作り出した…それは人間の理解の範疇を超え、通常の数千倍の効率でのデータ処理を可能とした…それが収束したモノが「データストーム」と呼ばれるモノ……SOLテクノロジーはデータマテリアルを独占し、自社のネットシステムに組み込む事で莫大な利益を手にした…しかし、父はその時に自分の研究に一抹の不安を抱いた…そこで、データマテリアルを利用して解析用のスーパーコンピュータを開発し、イグニス達の成長を予想した】

 

「つまり、イグニスの成長が博士の想定を超える可能性があったという事か?」

 

【その通りだ…そして、数え切れないほどのシミュレーションを繰り返した結果は驚くべきものだった……『人類の滅亡』その1択だったのだからな…!】

 

「なんだと…!?」

了見の口にした答えに驚愕する遊作達…鴻上博士がシミュレーションを繰り返した結果、それは人類を管理しようとするイグニスと管理──否、支配を拒む人類との間で戦争が起き、人類は滅亡するという結末だったのだ。

 

 

 

【父は人類の敵となるイグニスの抹殺を決意し、私はサイバース世界を襲撃した…しかし、そのイグニスがサイバース世界の座標を隠し、逃亡した…!】

 

「それが、オレ達が見たAiの記憶だったのか…!」

 

【私達はそのイグニスを探し続けた…サイバース世界を捜し出す為に…だが、プレイメーカー…お前の出現で我々の計画は失敗に終わった……その後はお前も知っての通り、我々は目的を果たす為に最後の手段である『ハノイの塔』計画を実行した】

 

「なんだよ、それは…!今までの事は全部!10年前に鴻上博士が起こした無茶な計画が発端だったのか!!」

了見の伝えた真実を聞いた草薙が嘆くように…怒りで震えた声を上げる…鴻上博士の善意と狂気、それが6人の子供達の運命を狂わせたのだと…それはあまりにも救いようのない事実だった。

 

 

 

《オレ達が人類を滅ぼすって…オレ達は人類の敵なんかじゃねえよ…!!》

 

【嘘を吐くAIを信じるつもりはない!!】

 

《っ…くぅぅぅ~!!!》

初めて自分達が作り出された真実を知ったAiは了見へと弁明する…しかし、了見はAiの言葉を聞かなかった…自分のたった1つの「嘘」がこの事態を招いた事に気付いたAiは頭を抱えてしまう…。

 

 

「……鴻上博士が言った事はただのシミュレーションの結果だ、それが真実…いや、()()()()()()確証はない!」

 

「遊作…」

そして、全てを聞いた遊作は強い言葉で鴻上博士の言葉を否定する…シミュレーションとはあくまでも『仮定』の話…小さなデータの誤差でも結果は変わると知っているからだ。

 

 

「リボルバー、オレ達は10年前の事件の幻影に踊らされながら生きてきた…もうそんな必要はない!()()()()を歩む為に、ハノイの塔を止めてくれ…!」

 

【新たな道、だと?】

 

「そうだ…あの時、お前は新たな道を示してくれた……ロスト事件で囚われたオレを励ましてくれた3()()()()()()()()、という声の主…それは、お前だったんだろう…?」

 

【ああ…3つの口癖、お前からそれを聞いた時…私はお前の正体に気付いたんだ】

そして、遊作は気付いていた…ロスト事件の最中、自身を励ましてくれていた『声』…その正体が幼き日の了見だったのだと…。

 

 

 

「オレはずっと、お前を助けようと思っていた……まだ、お前はハノイの騎士に囚われているのかもしれない、ずっとその思いがオレの心にこびりついていた…!お前と戦った時、お前の言葉がオレを励まし奮い立たせてくれた!」

 

【皮肉な事だな…私が、敵であるお前に力を与えていたとは…】

 

「リボルバー…頼む、ハノイの塔を止めてくれ…!」

 

【…お前は勘違いしているようだな…私は──お前が思うほど善人ではない】

 

「っ…!!」

遊作がプレイメーカーとしてハノイの騎士と戦い続けた理由…それは『ロスト事件の真実』を知り、囚われた『恩人』を助け出す事…それを果たす為に了見の説得を試みる遊作……しかし、了見は…リボルバーは揺らがない。

 

既に撃鉄は落とされた、彼は父から受け継いだ()()を果たす為に進むしかないのだと…。

 

 

 

 

 

 

「はぁ…黙って聞いてれば……そんなに『大義』が大事か?鴻上了見」

 

「っ…メタルナイト…?」

そんな時、事態を静観していた遊海が呆れた様子で声を上げる。

 

 

「何十億回のシミュレーションでイグニスが人類を滅ぼしたから、滅ぼされる前に抹殺する?馬鹿馬鹿しい……()()()()()()()()、滅びの未来があったとしても…人類は…いいや、歴代の決闘者達はその運命を乗り越えてきた……そして、そのシミュレーションには足りない要素がある……それは、人間の持つ()()()()…それは決して科学じゃ証明できない…しかし、確実に存在する要素だ」

 

【世迷言を…!科学者ではないお前に何が分かる、メタルナイト!!】

 

「ああ、確かに俺は科学者じゃない……でもな、俺は知ってるんだよ…どうしようもない運命を乗り越えてきた()()達の姿をな」

遊作とは別の切り口で鴻上博士の言葉を否定する遊海、彼は見てきたからだ…定められた運命に抗い、未来を自分の手で切り開いてきた決闘者達の姿を…。

 

 

 

「そして──既に1つの()()は変わったぞ?」

 

【なに…?】

軽い雰囲気で意味深な言葉を口にする遊海…了見はその真意を計りかねていたが───

 

 

 

『う、うぅ…?ここは…?リンクヴレインズ、ではない…?』

 

 

「「はっ…?!」」

 

【っ…!?父さん!?!?】

 

《こ、鴻上博士が……生き返ったぁぁ!?》

夕陽の照らす部屋に掠れた老人の声が響く……なんと、命を落としたはずの鴻上博士が息を吹き返し、意識を取り戻していたのだ…!

 

予想外の出来事に遊作と草薙は言葉を失い、Aiは死者の蘇生を目の当たりにして絶叫している。

 

 

 

【馬鹿な…父さんの、心臓は止まって…!?】

 

「死にたてほやほや…ギリギリ()()()()だったからな、俺の力での治療が間に合った…それだけの事さ」

 

『り、了見…?私は…』

 

【父さん…!ああ…!!】

息子を助ける為、自身の生命力を代償として力を与えた鴻上博士…しかし、完全に命の灯火が消える前に遊海が到着…治療を施していたのだ。

二度と叶わないと思っていた父との再会に了見はベッドから起き上がった鴻上博士に抱きついている…。

 

 

『っ…事態は、最終段階という事か…!まさか、イグニスが我々の居場所に来てくれるはな…!!』

 

【その通りです、父さん…!】

そして、『天才』たる鴻上博士は周囲の様子から今の状況を把握……遊作を──そのデュエルディスクに宿るAiを睨みつける。

 

 

 

『闇のイグニス…!人類の敵よ…お前は必ず抹殺する…!!それが、私の償いなのだ…!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけた事言ってんじゃないぞ、鴻上聖」

 

 

 

 

 

【『「「っ──!?」」』】

鴻上博士がイグニスへの敵意を向けた瞬間、部屋の空気が凍りつく…強い殺気が遊作や了見を含めた全員へとのしかかる…!!

 

 

 

「目覚めて第一声がイグニス抹殺だとは、流石の俺でも予想外だ……まずは、自分の息子への謝罪とプレイメーカー…ロスト事件の被害者達への謝罪が最優先だろうが!この大馬鹿者!!」

 

『何者だ、お前は…!?』

 

【っ─!?(なんだ、コレは…!?こんな殺気を、人間が出せるものなのか…!?)】

鴻上博士へと向けられる凄まじい殺気…常軌を逸した現象に了見は冷や汗を流す…。

 

 

 

「俺か?俺は……()()だ、俺達がいる限り──世界に滅びは訪れない!」

夕陽に照らされた鋼の鎧が光の粒子となって消えていく…そして現れたのは、赤帽子に赤ジャケットを纏う青年だった。

 

 

 

「赤い帽子に…赤いジャケット…?そんな、まさか…彼は…!?」

 

《えっ、おい!何か知ってるのか?あいつって、遊嗣の親父さんらしいぜ…?》

 

「白波──……間違いない、彼は……二代目『決闘王』…白波、遊海だ…俺が昔に見た記録映像と特徴も一致する…!!」

 

《はあっ!?》

そして、草薙は即座にメタルナイトの正体に辿り着いた…その答えを聞いたAiや遊作は目を見開いている…。

 

 

《ちょ、待て待て!!二代目決闘王って……もう百ウン十年前の人間だぞ!?生きてるはずが…!》

 

「ありえない事が起きる…その時点で既に未来は変わっている…俺の存在こそが、その証だ」

 

「俺達を助けてくれたヒーローは…本当の、()()の仮の姿だったのか…!」

ついに遊作達の前で正体を明かした遊海…Aiは人の寿命的にありえない存在である遊海の登場に驚愕し、遊作はヒーローの正体を知って瞳を輝かせていた。

 

 

「そして…鴻上聖、何故、俺がお前の命を救ったと思う?───()()為だ、お前には冥界の審判の前に──現世での裁きを受けてもらう!!」

 

『っ…!?』

鴻上博士へと静かに怒りを解き放つ遊海…その額にウジャト眼が浮かび上がり、右手には金色の卵──千年玉が出現する!

 

 

『鴻上聖…()()()()に魅入られ、罪無き6人の子供達に闇のゲームを強制し、7()()の子供達の運命を狂わせたお前に裁きを下す!罰ゲーム!!マインドクラッシュ!!

 

 

   MIND CRASH──精神粉砕──

 

 

ビギッ──バリーン!!

 

 

『ぐっ、ぐわああああああ!!!?』

 

【と、父さん──!?】

 

夕陽の照らす部屋に遊海の断罪の怒声とガラスの割れるような音が響く、それは()()()()の残滓と鴻上聖の精神が砕け散る音……原初の罰ゲームを受けた鴻上博士は断末魔の叫びを上げ、再び無間の闇へと堕ちていった…。

 

 

 

「っ…古代の神器、『千年アイテム』を持つ者は悪しき者に裁きを与える……これが、伝説の決闘者の力…」

 

《マインド・クラッシュって…鴻上博士の精神データを粉々にした、のか…!?廃人確定じゃん…!》

ハノイプロジェクト…ロスト事件によって運命を狂わされた被害者達の怒りや悲しみを代弁する裁きの鉄鎚…それを目の当たりにした草薙や遊作は言葉を失い、Aiは遊海による罰ゲームの効果を予測し、冷や汗を流している…。

 

 

 

「お前がこのまま命を落とすのか、それとも()()して自らの罪を悔いるのか…それはお前次第だ──さて」

 

【っ…!!】

鴻上博士に罰ゲームによる裁きを与えた遊海は動揺する了見へと目を向ける…。

 

 

「俺がこの事件に手を出すのはここまでだ…()()()()()()()()()()

 

【なっ…!?】

 

《はぁっ!?》

遊海の口にした思わぬ言葉に了見とAi、2人の驚愕の声が重なる。

 

 

 

《なんでリボルバーを見逃すんだよ!?アンタがやってくれれば…》

 

「さっきも言っただろ?俺がこの事件を解決した所でプレイメーカー…いや、遊作君の心は晴れない…そして、俺は10年前の()()()()を解決しにきただけ、その役目もひとまずは終わったからな、後は若者達に譲るとしよう…遊作君、きみもそれでいいだろう?」

 

「……ああ、ありがとうメタルナイト…いや、遊海さん……決着をつけよう、リボルバー…オレは、ハノイの騎士に()()()()お前を止めてみせる!!」

 

【っ…私にも、負けられない理由がある…!私や父の為に力を貸してくれたスペクター…そして三騎士の為に、私は…私の大義を貫く!!】

闘気を完全に霧散させた遊海は遊作に目を向けながら穏やかに諭す…この戦いは遊作が新たな未来へ進む為の『復讐のデュエル』であり、悪しき考えに囚われた了見を止める為のデュエル…それを邪魔するほど遊海も無粋ではなかった。

 

そして…譲れぬ思いを持つ2人は火花を散らす…!

 

 

 

「草薙さん、行ってくる!」

 

「ああ…!生きて帰って来い!遊作!!」

 

「ああ!行くぞ、リボルバー!!」

 

【望む所だ、プレイメーカー!!】

 

 

      【「into the VRAINS!!」】

 

 

草薙と約束を交わした遊作は了見と共にリンクヴレインズへと飛び込む……本当の『最終決戦』が始まろうとしていた…!

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