転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
ハノイの騎士との戦いを乗り越えた英雄達は日常へと戻っていく…そんな彼らはどんな日々を過ごすのか…?
それでは、最新話をどうぞ!
英雄の歩み〜教えて遊海さん!〜
デンシティを震撼させたハノイの騎士による大規模サイバーテロ「ハノイの塔事件」から数日が経った…その影響は未だに収まらず、リンクヴレインズは全プレイヤー強制ログアウトの上で完全閉鎖され、ハノイの塔事件に巻き込まれて昏睡状態に陥った人々への対応で病院や運営会社であるSOLテクノロジーも対応に追われている…。
しかし、それとは無関係な…「ハノイの塔」の
「はぁ…ついにこの時が来たかぁ……今までは上手く隠してきたんだけど…仕方ないか」
「ふふっ…遊嗣もずっとソワソワしてましたよ?遊海さん」
《年貢の納め時、という事ですね》
「彩華サン!?俺は別に悪い事はしてないからね!?遊嗣が面倒事に巻き込まれないように配慮してたんだからね!?!」
「くすくす…分かってますよ」
とある日の朝…三日間の昏睡から目を覚まし、体調を整えた遊海は翠や彩華と笑いあっていた。
遊嗣に対して17年間隠し続けた事実…自分達がデュエルモンスターズにおける『伝説の決闘者』であった事を説明する日がやってきたのだ…。
「まぁ、それは良いとして…
「大丈夫ですよ、
《フォウ、フォウ(こんなにソワソワしてる遊海も久しぶりだね〜)》
そして…思いがけず自分達の問題に巻き込んでしまった遊嗣の友人──マシュに対しても遊海はできる限りの事を伝えようと考えていたのだった…。
──────────────────────────
「おはようマシュ!」
「おはようございます!遊嗣さん!ロマンさんも!」
《うん!おはよう!》
一方その頃、そんな両親の思いをまだ知らない遊嗣はいつも通りマシュと合流し、学校へと向かっていた…。
「あー……マシュ、今日の放課後って予定空いてるかな…?」
「えっ…はい!空いてますよ!どうしたんですか?」
そして学校へ向かう道中…遊嗣はマシュに放課後の予定を訊ねる、その理由は…。
「しばらく寝込んでた父さんがようやく元気になってさ、
「ふぇっ…!?わ、私も同席して大丈夫なんですか!?」
「うん…父さん達もなんだかんだ
「そうなんですね…」
マシュの予定を聞いた理由…それは、遊海が遊嗣が生まれてから今まで隠していた「伝説の決闘者」としての自分について話す席に同席してもらう為だった…成り行きで遊海の正体を知る事になったマシュにも聞く権利があるから、という事らしい。
《その代わり、マスター達の事は言い触らさないようにしてほしいんだ…マスター達は人知れず世界を守ってきた「英雄」だからね》
「は、はい…!マシュ・キリエライト、秘密は守ります!!」
「あはは…」
そして、ロマンからの注意を聞いたマシュは思わずイギリス式の敬礼を取ってしまう…デュエルモンスターズ黎明期から若さを保ち続ける「英雄」の存在はそれほどに影響力があるのだ…。
「でも、未だに実感がないんだよね……自分が教科書に載るレベルの偉人の実の息子なんて……」
「それは…確かにそうですよね…」
そんな中、スマホの画面で「白波遊海」という人物の検索画面を開いていた遊嗣は複雑そうな表情を浮かべる。
確かに、現代に活躍する人の中には「戦国武将の末裔」や「有名スポーツ選手の子孫」「世界を救った英雄の孫」など今の遊嗣に近い立ち位置の有名人はいる…しかし、その
「はぁ…ネームバリューが重い……強くならなきゃ……」
《遊嗣、そんなに思い詰めなくていいんだよ…マスターはきみが優しく、健やかに成長してくれただけで嬉しいと思っているんだから…》
「そうですよ!遊海さんが帰ってきて遊嗣さんの顔を見た時、すごくホッとした優しい顔をしてました!」
「ロマン…マシュ……ありがとう」
『決闘王』の息子…その言葉の重さに表情を曇らせる遊嗣…しかし、「父親」としての遊海を知るロマンと遊海のファンとして間近で見た彼の表情を見たマシュの言葉に彼の心は軽くなったのだった。
「ん…おはよう
「あっ!おはよう遊作君!」
「おはようございます!」
そんな時、校門近くで遊嗣達は遊作と顔を合わせる…最近の彼は表情が少し明るくなり、遊嗣の事を下の名前で呼ぶようになったのだった。
……………
「ただいまー!」
「お、お邪魔します!」
そして、時間は過ぎて放課後…遊嗣はマシュと一緒に帰宅する…なお、既にマシュは緊張でガチガチになっている。
《フォーウ!!(マシュ〜!)》
「わぷっ!こんにちはフォウさん!もふもふ…」
《キャウ〜》
そんな彼らを最初に出迎えたのはフォウ、彼は嬉しそうにマシュの胸に飛び込む…そんなフォウの可愛い姿でマシュは緊張をほぐされるのだった。
「マシュちゃんいらっしゃい!今日はわざわざありがとうね〜」
「翠さん!」
「ただいま母さん…父さんは?」
「おかえりなさい遊嗣!遊海さんはリビングよ、大丈夫!そんなに重たい話をする訳じゃないからね」
「いや、十分に重たいって…(汗)」
フォウに続いて翠が穏やかに2人を出迎える…そして、2人をリビングへと通した…。
「おう、おかえり遊嗣!学校は楽しかったか?」
「父さん…っ」
穏やかに陽の光が照らすリビング…そのソファで遊海は待っていた。
しかし、その様子を見て遊嗣は父の
普段の遊海は上はジャージ、下はスウェットというラフな格好で過ごす事が多かった…しかし、今の遊海は…赤いジャケットに青いジーンズ…そこに「赤帽子」を被れば教科書やネットで見た「白波遊海」そのままの服装をしていた。
そして…その遊海が纏う雰囲気は穏やかなものの、背筋が伸びるような緊張感があった…普段とは少し違う父親の雰囲気に遊嗣は思わず息を呑む…。
「お、お招きいただき、ありがとうございます遊海さん!!」
「ははっ…そんなに緊張しなくていいよマシュちゃん、今日は来てくれてありがとう、ほら座って!遊嗣も」
「あっ、うん!」
しかし、そんな風に思ったのも一瞬の事…普段と変わらない穏やかな声色の遊海に促されて座卓を挟んでソファへと腰掛けた。
「じゃあ、改めて…俺は遊海、マシュちゃんが知っている通りの『二代目決闘王』でチーム5D’sのメンバー…そして赤き竜の痣を持つシグナーの1人さ」
「わぁ…!それがシグナーの痣『ドラゴン・フレイム』なんですね…!すごいです!!」
「……ずっとおしゃれタトゥーとか普通の火傷の痣だと思ってた…」
《フォ〜ウ…(よく遊海も隠し通したよね〜)》
翠お手製の紅茶とトリシューラプリンを前に遊海は改めて遊嗣とマシュに自分の正体を明かす…マシュは伝説に名高い「シグナー」の痣を見て興奮を隠せないでいた。
「俺達の本当の年齢は百歳を越えてるんだけど…千年アイテムの祝福でほぼ不老不死になってね、だいたい二十代くらいで老化が止まってるんだ」
「不老不死…!?すごい…!だから、ネットとかの記録写真から姿が変わってないんですね…!?あっ…じゃあもしかして二十年くらい前にハートランドシティにいた「二代目」と言われるメタルナイトも…!?」
「ああ、ちょうど拠点をハートランドに移していたからね…それも俺本人さ」
「わぁ…!それじゃあ異次元人・バリアンが侵攻してきたという『ナンバーズ大戦』も経験してるんですね!?すごい…すごすぎます!!」
「(°o°)」
《遊嗣、遊嗣…大丈夫?ついていけてる?》
「うん、なんとか………父さんって、本当にすごかったんだ…」
遊海の口から飛び出してくる衝撃的な事実や歴史的事件の数々に思わず呆けてしまう遊嗣…その隣でマシュは語彙がなくなるほど興奮していた。
この数日、遊嗣にも父の事を何も調べなかった訳ではない。
軽く調べただけでもスタンディング・ライディング問わずプロリーグ優勝や大会優勝の数は数え切れず…記録されているだけでも生涯勝率は8割を超える。
さらに、都市伝説の話まで含めれば古代エジプトの邪神が関わったという「世界規模の天変地異」事件の解決や「消えた1日」事件への関わり、「ゼロ・リバース」事件での身を挺した人命救助…その後に起きた『ダークシグナー事変』や第一回WRGPでの『ディアボロ暴走事件』…それに続く未来人の侵攻『アーククレイドル事件』の解決にも関わった…という話があった。
そこへハートランドで「二代目メタルナイト」として活躍した…という話を含めれば、初代市長Mr.ハートランドが引き起こした「WDCテロ事件」、世界中に降りそそいだ「偽のナンバーズ」を皮切りに発生した異次元人・バリアンによる侵攻「ナンバーズ大戦」への対応など…さらに活躍は増えていくだろう。
「───では!大西洋で起きた…アメリカ軍も関与した海底都市アトランティスと秘密結社『ドーマ』との戦いも本当に…!?」
「おお…よく調べてるなぁ…!あの時は大変だった!まだ千年アイテムの祝福も無かったから……遊戯達や三幻神を含めたデュエルモンスターズの精霊達の活躍がなかったらどうなっていたか…」
《フォーウ…(マシュの熱量がすごい…(汗))》
遊嗣がそんな事を考えている間もマシュと遊海の話は盛り上がり、フォウも遊嗣の膝の上で呆れるほどだった…。
「遊海さ〜ん?話が脱線してますよ〜」
「おっとっと…!?ごめんごめん、マシュちゃんが物知りだからついつい…」
「はっ!?ごめんなさい!私はある意味付き添いなのに!?ごめんなさい遊嗣さん!?」
「あはは…マシュが喜んでくれてるならよかったよ」
「〜〜〜!!!///」
《フォウ(あっ、マシュが真っ赤になった)》
そんな様子を少し離れたダイニングテーブルから見守っていた翠が仕切り直すように声を掛ける…それを聞いたマシュは嬉しさと恥ずかしさで顔が真っ赤になってしまった…。
「コホン…遊嗣、改めてになるけど…俺に何か聞きたい事はあるか?」
「えっ…うーん…じゃあ、なんでずっと『伝説の決闘者』だって事を秘密にしてたの?」
「ああ、簡単な話だ!お前を
話を仕切り直し、遊嗣へと問いかける遊海…そして遊海は息子の疑問に穏やかに答える。
「じゃあ、幼稚園の運動会に来れなかったのは?」
「アメリカと日本にまたがる大規模デュエルマフィアを壊滅させてた」
「小1の家族キャンプが直前に中止になったのは?」
「Playmakerが巻き込まれた誘拐事件を解決しに行ってた」
「小3の時の学芸会に来れなかったのは?」
「地球に近づきそうだった巨大隕石を壊しに行ってた」
「10歳の誕生日…」
「あー…ごめんな、その時はエジプトで『スカラベの大群』とか『イナゴの軍勢』が大量発生してな…その原因になった古代エジプトの闇の神官・なんとかホテップ?ってミイラと戦ってた…」
「小学校の卒業式の途中でいなくなったのは?」
「精霊界から迷い込んだ『
「…中3のマラソン大会の応援」
「精霊界に迷い込んだ旅客機の救助!『ハーピィレディ』や『鳥獣族』のいる世界に飛ばされててなぁ…」
「じゃあ…この前まで行ってた
「ああ……実はちょっとハノイの騎士とは別件の
「すごい…誰かを救う為にいつも世界を飛び回ってるんですね…!というか、いくつか都市伝説が混じってませんか!?エジプトの『十の災い事件』とかアマゾンの『ジャングルミステリーサークル事件』って精霊関連だったんですね!?」
今まで「仕事」や「急用」と誤魔化されていた、遊海が行けなかったイベントや学校行事…その理由が次々と明かされていく。
なお、マシュが知っている事件もあったのか驚きを露わにしている。
「ははっ、結構大変なんだぞ?お前達が…みんなが平和に暮らせるように人知れずに事件を解決!カッコいいだろ?…まぁ、その分…お前には寂しい思いもさせちゃったか…ごめんな、遊嗣」
「ううん!父さんは本当に頑張ってるって分かってたから…」
今まで隠していた事を謝る遊海…しかし、遊嗣も分かっていた…学校行事などに行けなかった日の夜、そんな時は必ず遊海は疲れ切った様子だったからだ…。
「だけど…本当によく頑張ったなぁ遊嗣!ロマンから聞いたぞ?マシュちゃんのピンチに飛び込んでいったり、ハノイの騎士の構成員を倒しまくって…最後は幹部だったスペクターに挑む、流石は俺達の息子だ…よくやった!」
「遊海さん!スペクターに挑んだ事は褒めちゃダメです!!私とマシュちゃんがどれだけ心配したか…!」
「あう…ごめんなさい…」
「翠、そんなに強く言わなくてもいいだろう?遊嗣が成長する為には多少の試練も必要さ…失敗したって俺がいる、今回はギリギリだったけどな!あっはっは…」
「父さん…」
「笑い事じゃありませーん!!!」
「イタタタ!?ちょっ、翠!翠サン!?耳!耳はヤメテー!?」
「母さーん!?」
「あはは…な、仲が良いんですね…」
《フォウ…フォーウ……(おーい、マシュが戸惑ってるよー)》
そして、遊海は自分なりにハノイの騎士と戦い抜いた遊嗣を優しく褒める…しかし、翠はスペクター戦の事を思い出して語気を強めるが…遊海が穏やかに宥める。
だが、それが翠の怒りのツボに触れたのか…遊海は耳たぶを強く引っ張られる、そんな夫婦漫才を見ながらマシュは苦笑していた…。
「イテテ…まぁ、とりあえずこれで事件は一件落着!大きな事件はしばらく起きないだろうし、次が起きたら
「ありがとうございます!遊海さんにそう言われたら不安はありません!」
「………」
「……遊嗣さん?」
翠に引っ張られた耳をさすりながら…事件の解決、そして次のトラブルの対応を請け負う遊海…そんな頼れる「英雄」の姿を見てマシュは目を輝かせていたが、その隣で遊嗣の表情が少しだけ曇る…。
「ふぅ…お前の事だから…『決闘王の息子なのにここ一番で負けて情けない…』とか、考えてるだろ?」
「っつ!?……父さんって、エスパー?」
「ははっ…多少の読心術も使えるけど、今のは父親としての
「あぶっ…頭撫でないでよぉ…マシュもいるし…」
「くすくす」
父親としての直感と経験で遊嗣の悩みを見抜く遊海…そんな不安そうな表情の息子の頭を遊海はガシガシと撫でる…その様子を見てマシュは微笑ましく笑っていた…。
「さて、こういう落ち込んだ時の気分転換は……デュエルが一番だな!ちょっと体を動かそうか、遊嗣!」
「っ…父さん…!」
「わぁ…!!」
落ち込んでいた遊嗣が少し元気になった様子を見た遊海は何処から取り出したのか自身の象徴──『赤帽子』を被る。
その様子を見たマシュは子供のように目を輝かせる…!
『さぁ、遊嗣…!俺がいない二ヶ月でどれだけ強く……いいや、男を上げたのか、父さんに見せてみろ!』
「父さん…うん、分かった!!」
父の…否、『英雄』としての闘気を少し解放する遊海…その様子を見た遊嗣は頷き、庭へと飛び出した!
「遊嗣〜!遊海さーん!2人とも頑張って〜!」
「遊嗣さん!頑張って!!」
《遊嗣、マスターは数多のデッキを操る「伝説の決闘者」…その使うデッキはボクも予測しきれない、対応力の高いデッキで挑むんだ!》
「分かった…!」
『ははっ、ロマンとも良い感じだな…!なら、父さん少し
《マスター、ほどほどにしてあげてくださいね…(-_-;)》
翠とマシュ、2人の声援を受けながら父と子は向かい合う!
「『デュエル!!』」
遊海LP4000
遊嗣LP4000
・プロト・マスタールール適用
・ソリッドビジョン展開
『先攻はもらうぞ!俺のターン!』
『フィールド魔法「岩投げエリア」を発動!さらにモンスターを裏守備でセット、ターンエンドだ!』
遊海の背後に巨大な投石機が現れる!
遊海LP4000
裏守備モンスター 岩投げエリア 手札3
『さぁ、かかって来い遊嗣!』
「いくよ、父さん!」
「僕のターン!ドロー!」
「僕はフィールド魔法『星遺物との邂逅』を発動!」
遊嗣の背後に機能を停止した『星杯』が現れる!
「そして僕は『星杯に選ばれし者』を召喚!さらに『星遺物との邂逅』の効果で『星杯』モンスターの攻守は300アップ!」
機怪虫の鎧を纏う少年剣士が現れる! ATK1600→1900
「まずは様子見!バトル!『選ばれし者』で父さんの裏守備モンスターを攻撃!!」
『ふっ、らしい判断だ!セットモンスターは「フォッシル・ダイナ パキケファロ」!守備力は1300!しかし、破壊はさせない!フィールド魔法「岩投げエリア」の効果発動!1ターンに1度、自分フィールドのモンスターがバトルで破壊される時、代わりにデッキの岩石族モンスター…「タックルセイダー」を墓地に送る!』
リバースした化石のパキケファロサウルスを守るように岩石が飛来、少年剣士の攻撃を弾き飛ばす! DEF1300
「防がれた…!」
『まだまだ!「パキケファロ」の効果!このモンスターが存在する限り、お互いのプレイヤーは特殊召喚ができなくなる!さらに墓地に送られた「タックルセイダー」の効果発動!「星杯に選ばれし者」を裏守備に変更する!』
「っ!?」
墓地から飛び出してきた鉄の腕が少年剣士を地面に叩きつける!
星杯に選ばれし者ATK1900→DEF300
「メタられた…!カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
遊嗣LP4000
星杯に選ばれし者(裏) 伏せ1 邂逅 手札3
「わっ…!遊嗣さんのモンスターが…!?」
「でも、遊嗣が慎重で良かったわ…『フォッシル・ダイナ パキケファロ』はリバースした時にお互いのフィールドの特殊召喚されたモンスター全てを破壊する効果があるから…」
「っ…!リンクモンスターを出していたら、リカバリーができない損害を受けていたかもしれない…という事ですね…!?」
「そういう事!でも、まだ巻き返しはできるはずよ…
「…?」
僅か一手で遊嗣の動きを封じた遊海のタクティクスに驚くマシュ…しかし、それはまだ序の口に過ぎない…。
『俺のターン!ドロー!』
『さて…じゃあ俺は…モンスターをセットしてターンエンド!』
遊海LP4000
パキケファロ 裏守備モンスター 岩投げエリア 手札3
「めちゃくちゃ手を抜かれてる気がする…!」
《焦らない焦らない!冷静じゃないと正しい判断ができなくなるよ?》
『ははっ…!さぁ、どう動く?』
最小限の動きでターンを終えた遊海…そんな父の姿を見据えながら、遊嗣は劣勢を乗り越える手段を探す…!
「僕のターン!ドロー!」
「特殊召喚はできない、そして戦闘破壊は1回まで無効にされる…なら…!速攻魔法発動!『サイクロン』!『岩投げエリア』を破壊!」
『おっと引きがいいじゃないか!』
発生した突風が投石機を吹き飛ばす!
「そして『星杯に誘われし者』を召喚!」
機怪虫の鎧を纏う、槍使いの青年が現れる! ATK1800→2100
「『星杯に選ばれし者』をリバースして攻撃表示に変更!バトル!『誘われし者』で『パキケファロ』を攻撃!」
長槍の一撃が化石恐竜を粉砕する!
「続けて『選ばれし者』でセットモンスターを攻撃!!」
『リバースモンスターは「魔導雑貨商人」!リバース効果発動!自分のデッキを上からめくり、一番最初に出た魔法・罠カード1枚を手札に加え、それ以外を墓地に送る!』
剣士の一撃が巨大なバックパックを背負った虫人を切り裂くが、効果が発動する!
めくったカード
ロストガーディアン
ギガストーン・オメガ
ゴゴゴジャイアント
恵みの像
ゴゴゴギガース
メタモルポット
ロックストーン・ウォリアー
伝説の柔術家
ブロックドラゴン
ゲート・ブロッカー
ブロックゴーレム
スモールピース・ゴーレム
怒気土器
☆封魔の矢
『速攻魔法「封魔の矢」を手札に加える!』
「カードが一気に墓地に…!でも、やれる事はやる!現れろ!希望を繋ぐサーキット!召喚条件は『星杯』モンスター2体!僕は『選ばれし者』と『誘われし者』をリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン!リンク召喚!!」
2体のモンスターが遊嗣の頭上に現れたサーキットへと飛び込む!
「現れろ!Link-2!『星杯剣士アウラム』!」
星杯の加護を受けた少年剣士が現れる! ATK2000→2300→2900↙↘
「『アウラム』の攻撃力は墓地の『星杯』モンスター1種類につき300アップする!さらに永続魔法『星遺物が導く果て』を発動!ターンエンド!」
遊嗣LP4000
アウラム 導く果て 邂逅 伏せ1 手札1
「すごいです遊嗣さん!遊海さんのフィールドをガラ空きに…!!流石です!」
「うーん…(もう一押し足りなかったかなー?)」
遊海のフィールドを一掃した遊嗣のプレイングに興奮するマシュ…しかし、翠は既に勝負の行く末が見えていた…。
「(よし、できる限りの布陣は固めたぞ…!『アウラム』が効果対象になったら手札の『星杯の守護竜』で守れる、戦闘破壊・効果破壊されても『アウラム』自身の効果と『星遺物との邂逅』と『星遺物が導く果て』でリカバリーできるし、伏せカードは『魔法の筒』…!これで父さんの攻撃を受けきる!!)」
『ほう…「星杯」デッキを上手く使いこなしてるな!これならモブハノイぐらいは敵にならない!でも…
『俺のターン!ドロー!!』
『俺は墓地の岩石族モンスター15体を除外!現れろ!我が心を守りし岩石竜!「メガロック・ドラゴン」!!』
《ハッハッハッ!我の出番か!》
「め、メガロックじいちゃん!!?」
遊海の宣言と共にソリッドビジョンの地面を突き破り、巨大な岩石竜が現れる! ATK?→10500
『「メガロック・ドラゴン」の元々の攻撃力・守備力は特殊召喚時に除外した岩石族モンスター1体につき700アップする!』
「「こ、攻撃力10500─!?」」
《ハッハッハッ!いつも昼寝をしているばかりではないぞ〜?》
規格外の攻撃力を得たメガロックを見た遊嗣とマシュの悲鳴が重なる…。
「(いや、焦るな…!まだ『魔法の筒』が──)」
『バトル!そしてこの瞬間に速攻魔法「封魔の矢」発動!このカードの発動に対して相手はモンスター・魔法・罠カードの効果を発動できない!そして、このバトルフェイズの間…相手は魔法・罠カードを発動できない!』
「え"っ…!?」
遊海がバトルフェイズを宣言すると同時に無数の矢が遊嗣のフィールドに突き刺さる!
「それって、つまり…?」
《さーて、遊嗣よ!しっかり耐えろよ〜!》
『メガロック、ほどほどに!「メガロックドラゴン」で「アウラム」を攻撃!鳴動富嶽!!』
《どっせーい!!》
「うわあああ!?」
「遊嗣さーん!?」
メガロックが地面を踏みしめる、それによって遊嗣のフィールドの地面が激しく隆起…アウラム共々に遊嗣は吹き飛ばされたのだった…。
遊嗣LP4000→0
遊海 WIN!
「イタタタ……父さんとじいちゃん強すぎるよ〜…」
「遊嗣さん大丈夫ですか!?」
デュエルが終わり、遊嗣は目を回して倒れ込む…そんな様子を見たマシュは慌てて遊嗣へと駆け寄った…。
《ハッハッハッ!遊嗣と我らでは年季が違うわい!これでも遊海は全力の3割も出しておらんぞ?》
「それでも、強くなったな遊嗣!父さんは嬉しいぞ〜!」
「ノーダメの父さんに言われてもなぁ…」
一方、ノーダメージで遊嗣に勝った遊海とメガロックは嬉しそうに笑っていた…今まで、何度も遊嗣と遊海はデュエルしているのだが…遊海は
「でも…すごい…!本当にデュエルモンスターズの精霊と心が通じているんですね…!」
「ああ!そういえば紹介してなかったかな?みんな、姿を見せてくれ!」
《了解です、マスター!私は彩華、マスターの相棒です!》
《私はフレア、ユウミのマスコット…という事で!》
《トフェニだ、いつも遊嗣殿が世話になっている》
《そして、我がメガロックだ!遊嗣の祖父代わりと言った所だな!》
《キュオオン!!》
《おっと、彼は『閃珖竜スターダスト』!シグナーであるマスターの守護竜です!》
「わぁ…!」
そして、遊海の呼びかけに応じて精霊達が姿を見せる…ソリッドビジョンではない、生きた精霊達にマシュは目を輝かせる…。
「他にも今は寝てる精霊が3人と翠の精霊のウィンダとウェン…みんなが俺達の戦友であり
「ふふっ、あとね!今は別々に暮らしているんだけど…ハートランドには遊嗣のお兄ちゃんとお姉ちゃん…凌牙君と璃緒ちゃんがいるの!」
「す、すごい家族ですね…!伝説の決闘者のお二人に現『決闘王』の神代凌牙さんとプロデュエリストだった『吹雪の女王』の神代璃緒さん…!遊嗣さんの強さの秘密が分かった気がします…!」
「まぁ…僕は家族で1番弱いんだけどね…」
白波家の家族構成を聞いたマシュは遊嗣の強さの秘密を垣間見る…おそらく、デュエリストとしての高いレベルの経験や訓練を積んできたのだろうと…。
「遊嗣、お前は「最強」になんてこだわらなくていい…自分の守りたいモノを守れる強さ…そして、誰かに手を伸ばせる優しさを持って、健康でいてくれる…それだけで父さんと母さんは嬉しいんだ」
「父さん…うん!」
そして…遊海は優しく遊嗣の事を撫でながら自分達の「願い」を口にする…その優しさに遊嗣は笑顔で頷いたのだった。
…………
「マシュちゃん、今日は来てくれてありがとう…これからも遊嗣と仲良くしてくれると嬉しいな」
「は、はい!こちらこそ!!」
そして時間は流れて夕方、遊嗣と遊海は家に帰るマシュを見送っていた…。
「……そうだ、知り合いからデンシティの映画館の優待券を2枚貰ったんだ!明日は休みだし、2人で見に行ったらどうだ?」
「良いんですか!?」
「えっ、ちょっと父さん!?」
「(聞いたぞ?前回の
「っ//////」
そんな時、遊海がジャケットから映画の優待券を取り出しながら遊嗣に耳打ちする…すると、それだけで遊嗣の顔は真っ赤になってしまった…。
「あ、あの…遊嗣さん…ちょうど、見に行きたい映画があるので、付き合って頂いてもいいですか?……お父さんはまたプロリーグの遠征に行ってしまうので…!」
「う、うん!僕で良かったら全然…ううん、喜んで付き合うよ!!」
「(ああ…久しぶりだなぁ、こんなに初々しいのは……
甘酸っぱい青春を過ごす遊嗣とマシュ…そんな2人の姿を遊海は温かく見守っていた…。
「───ああ、このタイミングで来たかぁ…」
「…………母さん、
その日の夜、遊海と遊嗣は顔を引き攣らせていた…その理由は──夕食の食卓に
「何っ…て、麻婆豆腐よ?遊嗣は良い子だったから、今まで出さなかったけど……今回は流石のお母さんも怒りました!!」
「コレ、本当に麻婆豆腐なの…!?ウチの麻婆豆腐ってこんなに赫くて、グツグツして目がチカチカするレベルの辛い匂いだったっけ!?!?」
「………諦めろ、遊嗣…これが我が家の
「姉ちゃん!?!?!?」
初めて目の当たりにした『あかいあくま』を前に取り乱す遊嗣…しかし、彼が逃れる術はない…。
「ほら、父さんも付き合うから食べよう…大丈夫、食べると9999ダメージ受けるけど、そのあとに体力全回復+状態異常解除+攻撃力UPとか良いこと尽くしだから…」
「ち、ちょっと待って!?なにそのエリクサー!?というか9999ダメージって実質死───」
「冷めないうちに食べてね♡」
「ハイ…イタダキマス…」
「うん…愛、怖いなぁ……いただきます」
《フォウ…(遊海、遊嗣…強く生きて…)》
その夜、デンシティに遊嗣の悲鳴が響いたのは語るまでもない…。
《………母様、人間はどうして、あんな
《ロマン、アレが未だAIが人間を超えられない…完璧には人間の代わりになり得ない…その理由の1つなのです、あまり深く考え過ぎないように》
《…わかりました、母様…》
《とりあえず、ロマンも食べてみましょうか!いい学習材料になるはずです》←「大衆中華食堂・泰山」の麻婆豆腐の味覚データを再現中
《母様!?!?》