転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

46 / 434
遊海vsカーミュラ

「十代!無事か!?」

「白野先生…お静かに!十代君は眠っています!」

「鮎川先生…すいません…!」

 

十代の事を聞いて俺と翠はすぐに保健室に向かった、部屋では深く眠る十代と吹雪、看病する明日香と翔の姿があった。

 

「翔…無事だったか…」

「岸波先生…翠さん…アニキが…!」

「…大丈夫よ翔君…十代君は強い子だからすぐに目を覚ますわ!」

「ああ、大丈夫だ!心配するな…」

 

《クリクリ~…》

ハネクリボーが心配そうに十代に寄り添っている…

「ハネクリボー…久しぶりだな…大丈夫だ…今、治す…『ディアンケト』よ…十代を癒せ…!」

 

遊海の手から癒しの力が放たれ十代の傷を癒していく、十代の寝顔は安らかになっていった…

「岸波先生…いったい何を…?」

「なに、ただのおまじないだよ…もう大丈夫だ!」

 

 

 

「岸波さん…」

「明日香さん大丈夫かい?」

「はい…まさか兄が敵として現れるなんて…」

 

吹雪は人工呼吸器を着けたまま深く眠っている…長い間闇に侵食されていたからか魂もボロボロのようだ…

 

「大丈夫だ…君のお兄さんはこんな事でやられる男じゃない…すぐに目覚めるさ!」

「はい…ありがとうございます…」

去り際に吹雪にも精霊の力で治療を行う…これで大丈夫だろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日が過ぎた…十代は無事に目が覚めた、しかしダメージが大きくしばらくは安静だそうだ…。

そんな中アカデミアの中である噂が流れ始める「深夜、湖の畔で美少女を見た!」「話かけると霧になって消えた」「話かけると牙を出した恐ろしい顔になった」等々吸血鬼が現れたと言う話だった、鮫島校長はそれをセブンスターズの一人と判断し調査を命じた。

 

そして吸血鬼から招待状があったという知らせを受けて十代・明日香以外のメンバーが湖に向かった。

 

 

「なんだか不気味な雰囲気だな…」

「空気がジメっとしてるノーネ…」

「敵はどこにいる…?」

「白野さん…」

「大丈夫だ翠…!来たみたいだぞ…!」

 

霧に包まれた湖の水上を赤い絨毯が転がってくる…そして霧の奥から緑髪の女性…カーミュラが現れる。

 

『私の名はカーミュラ!セブンスターズが一人!幻魔を復活させ我が吸血鬼の一族を再興してみせる!さぁ誰から来るのかしら?私としてはそこの青い服を着たお兄さんが好みなんだけど…?』

カーミュラはあからさまにカイザーを指名する

 

「いいだろう…受けて…」

「カイザー亮、俺に行かせてくれないか?」

「岸波さん…?」

前に出ようとしたカイザーを遊海が遮る

 

「クロノス先生と『生徒達を守る』と約束したからな…いいだろう?」

「シニョール岸波…」

「…わかりました、頼みます…!」

 

 

「というわけだ…俺が相手をしようカーミュラ嬢、退屈はさせませんよ?」

『チェンジ!と言いたいところだけど…いいでしょう!あなたも好みだわ…精々退屈指せないで頂戴!』

 

「白野さん…無茶はしないでくださいね?」

「翠、大丈夫だよ…無事に戻るから…」

「はい…!約束ですよ…!」

 

 

 

 

 

 

 

       「『デュエル!!』」

 

 

 

 

 

 

カーミュラLP 4000  D 40

遊海 LP 4000 D 60

 

 

 

 

 

『私の先攻!ドロー!』

『「不死のワーウルフ」を召喚!』

人狼が現れる ATK 1200

 

『カードを二枚伏せてターンエンド!』

カーミュラLP 4000

ワーウルフ 伏せ2 手札3 D 34

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「手札から『ライトロード・アサシン ライデン』を召喚!」

大小二つの剣を持った暗殺者が現れる ATK 1700

 

 

「あのモンスターは!?」

「知っているのか?三沢?」

万丈目が三沢に問いかける

 

「数年前…KC社のネットワークにハッカーが侵入して極秘情報が漏れた事があった…その中にある決闘の映像があった…」

「ある映像?なんなノーネ?」

「オレも見た事がある…伝説の決闘者・武藤 遊戯が『決闘王』になった大会、バトルシティ…そのある一戦の一部始終です」

「あ~る一戦…?」

クロノスが質問しカイザーがそれに答える

 

 

「バトルシティ決勝トーナメント一回戦…第三試合、『三幻魔』を作った犯罪集団『グールズ』の首領・マリク、そして突如現れた一人の決闘者のデュエルだ…」

「その中で決闘者が使っていたテーマが『ライトロード』…そして彼は『神』を操るマリク、決闘王のライバル・城之内 克也を下しバトルシティで準優勝した…」

三沢はそこで言葉を切る…

 

「現在のプロランキング5位、精霊に愛された男といわれる伝説の決闘者…それが…」

 

「白波 遊海…私の旦那様です!」

 

「翠さん!?えっちょっと待て…翠さんの旦那さんということは…!?」

場外の全員がデュエルフィールドを見る

 

「これ使ったらさすがにバレるか…よいしょっと!」

遊海はそれまで着ていた作業服を脱ぎ捨てる、その下には赤い帽子、赤いチョッキを着た青年がいた

 

「レッド寮の副寮長とは仮の姿…海馬社長から依頼され三幻魔を守護する者…それが俺だ!」

 

「マンマミーア…」

「そりゃクロノス先生が負けるわけだ…」

「俺達とは格がちがう…」

それぞれが納得する…

 

『チィッ!伝説の決闘者だがなにかはしらないけど闇のゲームで倒せば済む話よ!』

 

「さぁデュエルを続けよう!『ライデン』の効果!デッキから二枚カードを墓地に送る!その中でライトロードがいたら相手のエンドフェイズまで攻撃力を200アップする!」

 

墓地送り

ライラ

援軍

 

ATK 1700→1900

 

「バトル!『ライデン』で『ワーウルフ』を攻撃!」

『くっ!』

 

カーミュラLP 4000→3300

 

『「ワーウルフ」の効果!破壊された時、デッキから同名モンスターの攻撃力を500上げて特殊召喚!』

再び人狼が現れる ATK 1700

 

「なるほど…だから『不死』か…カードを伏せてターンエンド!『ライデン』効果でデッキから二枚墓地へ!」

 

墓地送り

ライトロードの裁き

黄昏更衣

 

「墓地へ送られた『裁き』の効果!デッキから『裁きの龍』を手札に加える!」

『墓地からトラップですって!?』

 

遊海LP 4000

ライデン 伏せ1 手札5 D49

 

 

 

 

「あれがプロのデュエル…」

「いや…まだ白波さんは本気じゃない…まだ奥の手があるはずだ…」

 

 

 

 

 

『私のターン!ドロー!』

「手札から『ヴァンパイアバッツ』を召喚!さらにこのモンスターがいる限りアンデットモンスターは攻撃力が200アップする!」

巨大なコウモリが現れ、闇の波動で強化するATK 800→1000

1700→1900

 

 

「『ワーウルフ』の攻撃力が『ライデン』と並んだ!?」

 

『バトルよ!『ワーウルフ』で『ライデン』と相討ち!そして再びデッキから『ワーウルフ』を特殊召喚!』

暗殺者と人狼が相討ちになり別の人狼が現れる

ATK 1200→1900

 

『いきなさい『ワーウルフ』!ハウリングスラッシュ!』

 

人狼が遊海を爪で切り裂く…その傷から血が滲む…

 

「ぐあっ!…相変わらず痛てぇな…ぐっ…」

 

遊海LP 4000→2100

 

「遊海さん!!」

 

「大丈夫だ翠…!」

 

『「ヴァンパイアバッツ」でダイレクトアタック!』

 

「リバースカード!『閃光のイリュージョン』!墓地の『ライデン』を特殊召喚!」  

魔法陣からライデンが現れる ATK 1700

 

『攻撃中止よ!ターンエンド!』

 

カーミュラLP 3300

ヴァンパイアバッツ ワーウルフC 伏せ2 手札3 D 31

 

 

 

 

 

「セニョール白波!大丈夫ナノーネ!?」

クロノス先生が慌てて声をかける

「大丈夫です…!それなりに慣れてますから…!」

「(少しマズイな…引けるか?いや…引くんだ!)」

 

 

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「いくぜ!魔法カード『隣の芝刈り』を発動!自分のデッキが相手よりも多い時にも発動できる!デッキの差は17枚!」

 

墓地送り

 

ガロス

黄昏ライコウ

ミネルバ

ライコウ

ジェニス

ライデン

戒めの龍

黄昏ライラ

黄昏ジェイン

黄昏ルミナス

黄昏双龍2

神域

援軍

ソーラーエクス

闇の進軍

芝刈り

 

…嘘だろ?

 

「『ミネルバ』の効果!さらに一枚墓地へ!」

 

墓地送り

裁きの龍

 

「『ライデン』効果!二枚墓地へ!」

墓地送り

オルクス

援軍

 

 

「墓地にライトロードモンスターが4種類以上いるときこのモンスターを特殊召喚できる!現れろ闇を祓う光の化身!『裁きの龍』!」

遊海の場に白い巨大な龍が現れる ATK 3000

 

「ビューティフルなノーネ…」

「あれがあのデッキの切り札…」

クロノスとカイザーが白き龍に見惚れる…

 

「遊海さん…?」

翠は何か違和感を感じた…切り札たる裁きの龍を召喚したのに遊海の表情が晴れない事に…

 

 

 

 

 

 

「オイ!?なんだよあの白い龍!?すげぇカッコイイ!」

「十代~、暴れると体に響くんだな~!?」

「お兄さん!」

「クロノス先生!状況は!?」

保健室から前田に背負われた十代や翔たちが到着する…

 

「えっ!?あの人は『赤帽子』!?もしかして!?」

「レッド寮の副寮長…岸波さんが…伝説の決闘者!?」

「そうナノーネ!それで今切り札を召喚したところナノーネ!」

クロノス先生が十代達に説明する

「なぁ…でも白波さん…様子が変じゃないか?」

「どうした十代?」

「なんか…覚悟を決めたような…?」

 

 

 

 

 

 

「(しまった…『フェリス』が落ちなかった…先に伏せカードを処理したかったが…やるしかない!)」

「『裁きの龍』の効果!ライフを1000払い!フィールド全てを破壊する!『カタストロフ・レイ』!」

白き龍の波動がフィールドを照らし全てを破壊する!

 

LP 2100→1100

 

『フフフ…!』

 

 

「眩しいノーネ!?」

「なんて効果だ!?でもこれでカーミュラのフィールドはがら空き…なんだと?」

三沢が光の治まったフィールドを見て声をあげる…

…フィールドにはヴァンパイアバッツとワーウルフが守備表示で変わらず存在していたからだ…

 

「なんでだ?なんでモンスターが!」

 

『フフフ…、破壊された伏せカード『不死族の棺』の効果…手札の「ヴァンパイアロード」を墓地に送ってワーウルフを特殊召喚したの!さらに『ヴァンパイアバッツ』はデッキから同名モンスターを墓地に送ることで破壊されないのよ!残念だったわね!ホホホホ!』

 

「そんな…遊海さん!」

「白波さん!負けないでくれ!」

十代達が遊海を応援する…

 

「手札から『ライトロードパラディン ジェイン』を召喚!」

鎧を着た聖戦士が現れる ATK 1800

 

「バトル!『裁きの龍』で『バッツ』を攻撃!『裁きの息吹』!」

裁きの龍の息吹でコウモリが消し飛ぶ

『うぅぅぅ~っ!光は吸血鬼の大敵なのよ…遠慮してくださる?』

カミューラ3300→1300

 

「『ジェイン』で『ワーウルフ』を攻撃!」

聖戦士が人狼を討伐する

 

「ターンエンド…『裁きの龍』の効果で4枚、『ジェイン』の効果で二枚、デッキから墓地へ送る…」

墓地送り

バルブ

フェリス

ジャスティスW

ケルビム

 

ライニャン

神域

 

 

 

遊海LP 1100

裁きの龍 ジェイン 手札3 D25

 

 

 

 

 

「嘘だろ…あの猛攻を凌いだ…だと…」

「白波さん!まだチャンスはある!諦めるな!」

「そうだよ!攻撃力3000のモンスターがいるなら!!」

 

 

『はぁ…さっきから好き勝手にやってくれちゃって…落とし前つけてもらうわよ!!!』

カミューラは恐ろしい表情になり遊海を威嚇する

 

「ヒィ~!?怖い~!!」

「こら翔!くっつくな!?」

 

 

 

 

 

 

『私のターン!ドロー!』

『アハハハ!いいカードを引いたわ!『強欲な壷』を発動!カードを二枚引くわ!フフフ!』

「さらにフィールド魔法『不死の王国ーヘルヴィニア』を発動!」

 

カミューラの後ろに中世ヨーロッパ風の古城が現れる。

 

「なっ!?そのカードは!?」

「クロノス先生どうしたんだ!?」

「あのカードは禁断のカードナノーネ!?その効果は…!」

 

『手札からアンデットモンスター『バッツ』を捨てて効果発動!このターン、私の通常召喚を封じる代わりに相手フィールドのモンスターを全て破壊する!目障りな光よ!消え去るがいい!』

古城から放たれた赤い雷撃で戦士と白き龍が破壊される

「うわっ!?」

 

「そして手札から『生者の書ー禁断の呪術』を発動!墓地の『ヴァンパイア・ロード』を特殊召喚しあなたの墓地の『裁きの龍』を除外するわ!」

墓地から吸血鬼の紳士が現れる ATK 2000

 

「あ…」

「遊海さん!!?」

 

「…十代…生徒達よ!光を信じろ!闇に屈するなよ!!」

「白波さん!!」

 

『ヴァンパイア・ロードでダイレクトアタック!『暗黒の使徒』!!』

ヴァンパイアロードのマントから多数のコウモリが現れ遊海に群がる

「ぐあああぁぁぁ…!」

遊海LP 0

 

カミューラ win!

 

 

 

 

 

「十代…光のデュエルを…コウモリ…気を…」バタッ

「白波さん!!」

「遊海さん!!」

 

『さぁ…オシオキの時間よ…人形になりなさい!!』

 

気絶した遊海の体を闇が包み消し去る…そしてカミューラの手に赤い帽子を被った人形が現れる

 

「寮長さんが…」

「人形になっちゃったッス…!」

 

『フフフ!私とのデュエルに負けたら私の人形になってもらうわ!』

 

「貴様!!」

「シニョール白波を返すノーネ!」

万丈目とクロノス先生が声をあげる

 

『フフフ!どうしようかな…この子なかなか可愛い顔をしてるから好み…ギャ!?』

 

突如カミューラが人形を残して吹き飛ぶ、カミューラの手を離れた人形は地面に落ちる事なくカミューラを吹き飛ばした本人…翠の手に収まる…。

 

「今何が起きたノーネ…!?」

「翠…さん?」

 

「遊海さん…だから無茶はしないでって…言ったじゃないですか…」

翠は泣きながら声無き人形に話しかける…

 

『貴様ァ!私の顔を殴るなんていい度胸じゃないの…!!』

復活したカミューラが凄まじい怒気と共に近づくが…

《翠に手は出させません!》

『なっ!?精霊ですって!?』

 

翠の前にウィンダが現れ杖を構える…

 

「あれは…カードの精霊!?」

「ボクにも姿が見えるッス!?」

「おいおい…嘘だろ?」

《兄貴~自分で実体化できる精霊はけっこう上位の精霊よ~!》

十代や万丈目、おじゃまイエローまでが驚きを露にする

 

「あなた…遊海さんを元に戻しなさい…!!」

『嫌よ!元に戻したかったらデュエルで私に勝つことね!』

「なら…今ここで…!」

〈ダメだ…翠…今は引くんだ…!〉

「遊海さん!?」

 

『…興が削がれたわ…また明日ね!私に挑みたいなら私の城にいらっしゃい!フフフ、アハハハ!』

 

カミューラは笑い声と共にコウモリに姿を変えて消えてしまう…あとには鍵の守護者と湖上の城だけが残っていた…。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。