転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
「十代!無事か!?」
「白野先生…お静かに!十代君は眠っています!」
「鮎川先生…すいません…!」
十代の事を聞いて俺と翠はすぐに保健室に向かった、部屋では深く眠る十代と吹雪、看病する明日香と翔の姿があった。
「翔…無事だったか…」
「岸波先生…翠さん…アニキが…!」
「…大丈夫よ翔君…十代君は強い子だからすぐに目を覚ますわ!」
「ああ、大丈夫だ!心配するな…」
《クリクリ~…》
ハネクリボーが心配そうに十代に寄り添っている…
「ハネクリボー…久しぶりだな…大丈夫だ…今、治す…『ディアンケト』よ…十代を癒せ…!」
遊海の手から癒しの力が放たれ十代の傷を癒していく、十代の寝顔は安らかになっていった…
「岸波先生…いったい何を…?」
「なに、ただのおまじないだよ…もう大丈夫だ!」
「岸波さん…」
「明日香さん大丈夫かい?」
「はい…まさか兄が敵として現れるなんて…」
吹雪は人工呼吸器を着けたまま深く眠っている…長い間闇に侵食されていたからか魂もボロボロのようだ…
「大丈夫だ…君のお兄さんはこんな事でやられる男じゃない…すぐに目覚めるさ!」
「はい…ありがとうございます…」
去り際に吹雪にも精霊の力で治療を行う…これで大丈夫だろう…
そして数日が過ぎた…十代は無事に目が覚めた、しかしダメージが大きくしばらくは安静だそうだ…。
そんな中アカデミアの中である噂が流れ始める「深夜、湖の畔で美少女を見た!」「話かけると霧になって消えた」「話かけると牙を出した恐ろしい顔になった」等々吸血鬼が現れたと言う話だった、鮫島校長はそれをセブンスターズの一人と判断し調査を命じた。
そして吸血鬼から招待状があったという知らせを受けて十代・明日香以外のメンバーが湖に向かった。
「なんだか不気味な雰囲気だな…」
「空気がジメっとしてるノーネ…」
「敵はどこにいる…?」
「白野さん…」
「大丈夫だ翠…!来たみたいだぞ…!」
霧に包まれた湖の水上を赤い絨毯が転がってくる…そして霧の奥から緑髪の女性…カーミュラが現れる。
『私の名はカーミュラ!セブンスターズが一人!幻魔を復活させ我が吸血鬼の一族を再興してみせる!さぁ誰から来るのかしら?私としてはそこの青い服を着たお兄さんが好みなんだけど…?』
カーミュラはあからさまにカイザーを指名する
「いいだろう…受けて…」
「カイザー亮、俺に行かせてくれないか?」
「岸波さん…?」
前に出ようとしたカイザーを遊海が遮る
「クロノス先生と『生徒達を守る』と約束したからな…いいだろう?」
「シニョール岸波…」
「…わかりました、頼みます…!」
「というわけだ…俺が相手をしようカーミュラ嬢、退屈はさせませんよ?」
『チェンジ!と言いたいところだけど…いいでしょう!あなたも好みだわ…精々退屈指せないで頂戴!』
「白野さん…無茶はしないでくださいね?」
「翠、大丈夫だよ…無事に戻るから…」
「はい…!約束ですよ…!」
「『デュエル!!』」
カーミュラLP 4000 D 40
遊海 LP 4000 D 60
『私の先攻!ドロー!』
『「不死のワーウルフ」を召喚!』
人狼が現れる ATK 1200
『カードを二枚伏せてターンエンド!』
カーミュラLP 4000
ワーウルフ 伏せ2 手札3 D 34
「俺のターン!ドロー!」
「手札から『ライトロード・アサシン ライデン』を召喚!」
大小二つの剣を持った暗殺者が現れる ATK 1700
「あのモンスターは!?」
「知っているのか?三沢?」
万丈目が三沢に問いかける
「数年前…KC社のネットワークにハッカーが侵入して極秘情報が漏れた事があった…その中にある決闘の映像があった…」
「ある映像?なんなノーネ?」
「オレも見た事がある…伝説の決闘者・武藤 遊戯が『決闘王』になった大会、バトルシティ…そのある一戦の一部始終です」
「あ~る一戦…?」
クロノスが質問しカイザーがそれに答える
「バトルシティ決勝トーナメント一回戦…第三試合、『三幻魔』を作った犯罪集団『グールズ』の首領・マリク、そして突如現れた一人の決闘者のデュエルだ…」
「その中で決闘者が使っていたテーマが『ライトロード』…そして彼は『神』を操るマリク、決闘王のライバル・城之内 克也を下しバトルシティで準優勝した…」
三沢はそこで言葉を切る…
「現在のプロランキング5位、精霊に愛された男といわれる伝説の決闘者…それが…」
「白波 遊海…私の旦那様です!」
「翠さん!?えっちょっと待て…翠さんの旦那さんということは…!?」
場外の全員がデュエルフィールドを見る
「これ使ったらさすがにバレるか…よいしょっと!」
遊海はそれまで着ていた作業服を脱ぎ捨てる、その下には赤い帽子、赤いチョッキを着た青年がいた
「レッド寮の副寮長とは仮の姿…海馬社長から依頼され三幻魔を守護する者…それが俺だ!」
「マンマミーア…」
「そりゃクロノス先生が負けるわけだ…」
「俺達とは格がちがう…」
それぞれが納得する…
『チィッ!伝説の決闘者だがなにかはしらないけど闇のゲームで倒せば済む話よ!』
「さぁデュエルを続けよう!『ライデン』の効果!デッキから二枚カードを墓地に送る!その中でライトロードがいたら相手のエンドフェイズまで攻撃力を200アップする!」
墓地送り
ライラ
援軍
ATK 1700→1900
「バトル!『ライデン』で『ワーウルフ』を攻撃!」
『くっ!』
カーミュラLP 4000→3300
『「ワーウルフ」の効果!破壊された時、デッキから同名モンスターの攻撃力を500上げて特殊召喚!』
再び人狼が現れる ATK 1700
「なるほど…だから『不死』か…カードを伏せてターンエンド!『ライデン』効果でデッキから二枚墓地へ!」
墓地送り
ライトロードの裁き
黄昏更衣
「墓地へ送られた『裁き』の効果!デッキから『裁きの龍』を手札に加える!」
『墓地からトラップですって!?』
遊海LP 4000
ライデン 伏せ1 手札5 D49
「あれがプロのデュエル…」
「いや…まだ白波さんは本気じゃない…まだ奥の手があるはずだ…」
『私のターン!ドロー!』
「手札から『ヴァンパイアバッツ』を召喚!さらにこのモンスターがいる限りアンデットモンスターは攻撃力が200アップする!」
巨大なコウモリが現れ、闇の波動で強化するATK 800→1000
1700→1900
「『ワーウルフ』の攻撃力が『ライデン』と並んだ!?」
『バトルよ!『ワーウルフ』で『ライデン』と相討ち!そして再びデッキから『ワーウルフ』を特殊召喚!』
暗殺者と人狼が相討ちになり別の人狼が現れる
ATK 1200→1900
『いきなさい『ワーウルフ』!ハウリングスラッシュ!』
人狼が遊海を爪で切り裂く…その傷から血が滲む…
「ぐあっ!…相変わらず痛てぇな…ぐっ…」
遊海LP 4000→2100
「遊海さん!!」
「大丈夫だ翠…!」
『「ヴァンパイアバッツ」でダイレクトアタック!』
「リバースカード!『閃光のイリュージョン』!墓地の『ライデン』を特殊召喚!」
魔法陣からライデンが現れる ATK 1700
『攻撃中止よ!ターンエンド!』
カーミュラLP 3300
ヴァンパイアバッツ ワーウルフC 伏せ2 手札3 D 31
「セニョール白波!大丈夫ナノーネ!?」
クロノス先生が慌てて声をかける
「大丈夫です…!それなりに慣れてますから…!」
「(少しマズイな…引けるか?いや…引くんだ!)」
「俺のターン!ドロー!」
「いくぜ!魔法カード『隣の芝刈り』を発動!自分のデッキが相手よりも多い時にも発動できる!デッキの差は17枚!」
墓地送り
ガロス
黄昏ライコウ
ミネルバ
ライコウ
ジェニス
ライデン
戒めの龍
黄昏ライラ
黄昏ジェイン
黄昏ルミナス
黄昏双龍2
神域
援軍
ソーラーエクス
闇の進軍
芝刈り
…嘘だろ?
「『ミネルバ』の効果!さらに一枚墓地へ!」
墓地送り
裁きの龍
「『ライデン』効果!二枚墓地へ!」
墓地送り
オルクス
援軍
「墓地にライトロードモンスターが4種類以上いるときこのモンスターを特殊召喚できる!現れろ闇を祓う光の化身!『裁きの龍』!」
遊海の場に白い巨大な龍が現れる ATK 3000
「ビューティフルなノーネ…」
「あれがあのデッキの切り札…」
クロノスとカイザーが白き龍に見惚れる…
「遊海さん…?」
翠は何か違和感を感じた…切り札たる裁きの龍を召喚したのに遊海の表情が晴れない事に…
「オイ!?なんだよあの白い龍!?すげぇカッコイイ!」
「十代~、暴れると体に響くんだな~!?」
「お兄さん!」
「クロノス先生!状況は!?」
保健室から前田に背負われた十代や翔たちが到着する…
「えっ!?あの人は『赤帽子』!?もしかして!?」
「レッド寮の副寮長…岸波さんが…伝説の決闘者!?」
「そうナノーネ!それで今切り札を召喚したところナノーネ!」
クロノス先生が十代達に説明する
「なぁ…でも白波さん…様子が変じゃないか?」
「どうした十代?」
「なんか…覚悟を決めたような…?」
「(しまった…『フェリス』が落ちなかった…先に伏せカードを処理したかったが…やるしかない!)」
「『裁きの龍』の効果!ライフを1000払い!フィールド全てを破壊する!『カタストロフ・レイ』!」
白き龍の波動がフィールドを照らし全てを破壊する!
LP 2100→1100
『フフフ…!』
「眩しいノーネ!?」
「なんて効果だ!?でもこれでカーミュラのフィールドはがら空き…なんだと?」
三沢が光の治まったフィールドを見て声をあげる…
…フィールドにはヴァンパイアバッツとワーウルフが守備表示で変わらず存在していたからだ…
「なんでだ?なんでモンスターが!」
『フフフ…、破壊された伏せカード『不死族の棺』の効果…手札の「ヴァンパイアロード」を墓地に送ってワーウルフを特殊召喚したの!さらに『ヴァンパイアバッツ』はデッキから同名モンスターを墓地に送ることで破壊されないのよ!残念だったわね!ホホホホ!』
「そんな…遊海さん!」
「白波さん!負けないでくれ!」
十代達が遊海を応援する…
「手札から『ライトロードパラディン ジェイン』を召喚!」
鎧を着た聖戦士が現れる ATK 1800
「バトル!『裁きの龍』で『バッツ』を攻撃!『裁きの息吹』!」
裁きの龍の息吹でコウモリが消し飛ぶ
『うぅぅぅ~っ!光は吸血鬼の大敵なのよ…遠慮してくださる?』
カミューラ3300→1300
「『ジェイン』で『ワーウルフ』を攻撃!」
聖戦士が人狼を討伐する
「ターンエンド…『裁きの龍』の効果で4枚、『ジェイン』の効果で二枚、デッキから墓地へ送る…」
墓地送り
バルブ
フェリス
ジャスティスW
ケルビム
ライニャン
神域
遊海LP 1100
裁きの龍 ジェイン 手札3 D25
「嘘だろ…あの猛攻を凌いだ…だと…」
「白波さん!まだチャンスはある!諦めるな!」
「そうだよ!攻撃力3000のモンスターがいるなら!!」
『はぁ…さっきから好き勝手にやってくれちゃって…落とし前つけてもらうわよ!!!』
カミューラは恐ろしい表情になり遊海を威嚇する
「ヒィ~!?怖い~!!」
「こら翔!くっつくな!?」
『私のターン!ドロー!』
『アハハハ!いいカードを引いたわ!『強欲な壷』を発動!カードを二枚引くわ!フフフ!』
「さらにフィールド魔法『不死の王国ーヘルヴィニア』を発動!」
カミューラの後ろに中世ヨーロッパ風の古城が現れる。
「なっ!?そのカードは!?」
「クロノス先生どうしたんだ!?」
「あのカードは禁断のカードナノーネ!?その効果は…!」
『手札からアンデットモンスター『バッツ』を捨てて効果発動!このターン、私の通常召喚を封じる代わりに相手フィールドのモンスターを全て破壊する!目障りな光よ!消え去るがいい!』
古城から放たれた赤い雷撃で戦士と白き龍が破壊される
「うわっ!?」
「そして手札から『生者の書ー禁断の呪術』を発動!墓地の『ヴァンパイア・ロード』を特殊召喚しあなたの墓地の『裁きの龍』を除外するわ!」
墓地から吸血鬼の紳士が現れる ATK 2000
「あ…」
「遊海さん!!?」
「…十代…生徒達よ!光を信じろ!闇に屈するなよ!!」
「白波さん!!」
『ヴァンパイア・ロードでダイレクトアタック!『暗黒の使徒』!!』
ヴァンパイアロードのマントから多数のコウモリが現れ遊海に群がる
「ぐあああぁぁぁ…!」
遊海LP 0
カミューラ win!
「十代…光のデュエルを…コウモリ…気を…」バタッ
「白波さん!!」
「遊海さん!!」
『さぁ…オシオキの時間よ…人形になりなさい!!』
気絶した遊海の体を闇が包み消し去る…そしてカミューラの手に赤い帽子を被った人形が現れる
「寮長さんが…」
「人形になっちゃったッス…!」
『フフフ!私とのデュエルに負けたら私の人形になってもらうわ!』
「貴様!!」
「シニョール白波を返すノーネ!」
万丈目とクロノス先生が声をあげる
『フフフ!どうしようかな…この子なかなか可愛い顔をしてるから好み…ギャ!?』
突如カミューラが人形を残して吹き飛ぶ、カミューラの手を離れた人形は地面に落ちる事なくカミューラを吹き飛ばした本人…翠の手に収まる…。
「今何が起きたノーネ…!?」
「翠…さん?」
「遊海さん…だから無茶はしないでって…言ったじゃないですか…」
翠は泣きながら声無き人形に話しかける…
『貴様ァ!私の顔を殴るなんていい度胸じゃないの…!!』
復活したカミューラが凄まじい怒気と共に近づくが…
《翠に手は出させません!》
『なっ!?精霊ですって!?』
翠の前にウィンダが現れ杖を構える…
「あれは…カードの精霊!?」
「ボクにも姿が見えるッス!?」
「おいおい…嘘だろ?」
《兄貴~自分で実体化できる精霊はけっこう上位の精霊よ~!》
十代や万丈目、おじゃまイエローまでが驚きを露にする
「あなた…遊海さんを元に戻しなさい…!!」
『嫌よ!元に戻したかったらデュエルで私に勝つことね!』
「なら…今ここで…!」
〈ダメだ…翠…今は引くんだ…!〉
「遊海さん!?」
『…興が削がれたわ…また明日ね!私に挑みたいなら私の城にいらっしゃい!フフフ、アハハハ!』
カミューラは笑い声と共にコウモリに姿を変えて消えてしまう…あとには鍵の守護者と湖上の城だけが残っていた…。