転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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メリークリスマス!S,Kです!

今年も残すところあと僅か…年内にあと1〜2話は投稿したいと思っています。


敵の手に落ちてしまった遊海の意識データ…その波紋は瞬く間に広がっていく。

その時、遊嗣は…そして仲間達は……。


それでは、最新話をどうぞ!


悲しき再会─広がる波紋─

「っ………」

 

「遊嗣さん…」

黄昏時のDenCityのとある病院…遊嗣は廊下のソファに座りながら、無言で頭を抱えていた…その隣には心配そうにマシュが寄り添っている。

 

 

遊海と遊嗣の平穏な日常は突如として、音を立てて崩れ去った。

 

 

穏やかなランチタイムを過ごすはずだった遊嗣親子とマシュ親子…その時、遊海が謎の存在に襲われて昏倒…病院に運ばれたものの『原因不明』の状態で眠り続けていた…。

 

 

 

 

「ランスロー!!遊嗣!!」

 

「あっ…!?決闘王の、神代凌牙さん…遊嗣さんの、お兄さん…!!」

 

「凌牙、兄…どうして…」

 

『勝手な事とは思ったが、私が連絡させてもらった…きみは、それどころではない……いや、気が回っていない状態だったからな……すまない、凌牙』

 

「いや…助かったぜ、ランスロー……遊嗣、何があった…!」

 

「兄ちゃん…兄ちゃん!!!」

その時、病院に駆けつけたのは凌牙だった…取り乱していた遊嗣に代わって家族である凌牙に連絡してくれていたのだ。

そして…兄の姿を見た遊嗣は泣きながら凌牙に抱きつく…。

 

 

「父さんが、タブレットから、腕…襲われて、起きなくて…!!」

 

「落ち着け遊嗣!!父さんは大丈夫だ!だから、落ち着いて話せ…!」

 

《凌牙君、ボクが代わりに伝えるよ》

嗚咽で途切れ途切れの言葉で凌牙に話す遊嗣…その様子を見かねたロマンが声を上げる…。

 

 

《マスターと遊嗣がファミレスでマシュ達と一緒に食事をしようとしていた時、注文用の端末から半透明の黄色い腕が飛び出してきて、マスターに襲いかかった…咄嗟にフレアとトフェニが端末を壊したんだけど、マスターはそのまま失神して……今まで意識が戻っていない、それが今までの経緯だよ》

 

「っ…端末から…!?アヤカはどうした?そういうのはあの人の専門のはずだ、それに…母さんは…!」

 

《……ミドリとアヤカは、いません……女子会の予定が入って、街を離れています…》

 

「フレア…女子会って…!?(しまった、ARC次元に行ってるのか!?それじゃアヤカも父さんの異変に気付けないはずだ!!)」

ロマンから詳細な事件の状況を聞かされる凌牙…さらに、実体化したフレアの言葉から翠と遊海の相棒である彩華の不在…そして居場所を察する…。

 

 

「兄ちゃん…母さん、電話、出ない…何回も、掛けてる、のに…!!」

 

「ちょっと待ってろ、俺から連絡してみる…ランスロー、少し待っててくれ」

 

『ああ、大丈夫だ』

 

「父さん…父さんっ…!!」

 

「遊嗣さん…(遊嗣さんが、こんなに取り乱しているのを見るなんて、初めてです……私は、何をしたら…)」

顔を青褪めさせ、泣き続ける遊嗣…マシュはそんな彼に寄り添っている事しかできなかった…。

 

 

 

 

 

ピリリリ…ピリリリ…ピピッ!

 

 

「もしも〜し!凌牙君どうしたの〜?私に電話してくるなんて珍しいわね〜?」

 

『なんだい?愛しの旦那様からラブコールかい?相変わらずアツアツだねぇ?』

 

「違うから!息子からだってば!」

 

『ああ!元の世界で新しい決闘王になった!流石、遊海先生達の息子さんですね!』

 

『明日香さん、ちょっと待って…なんだか、深刻そうな感じですよ…?』

 

《凌牙、どうしたのです?翠と私はARC次元にいるのですが…?急ぎの用事ならマスターに…》

病院のテラスに出て翠へと連絡を取る凌牙…テレビ通話を繋いだ先には楽しそうな様子の翠や杏子、舞、明日香、アキ…他にも数人の女性デュエリスト達の姿が映し出されていた。

 

 

「……母さん、アヤカ……父さんが、襲われた…!犯人は不明、意識が戻らない…!!」

 

「《えっ…!?》」

 

『『『『『『『『『『!?』』』』』』』』』』

それは予想だにしない最悪の知らせ…画面の向こうの翠や女性デュエリスト達の空気が凍りつく…。

 

 

「遊嗣も、取り乱しててちょっとやばい……早く、帰ってきてくれ…頼む…!!!」

 

「あ…あ…!彩華ちゃん!!」

 

《は、はい!!!》

 

『紗良ちゃん!海馬君に連絡!私も遊戯に連絡するから!!』

 

『十代!大変!!!』

 

『遊星!大変!遊海さんが…!!』

 

『遊矢!大変よ!!』

一気に慌ただしくなるARC次元…そのまま慌ただしく通信は切れてしまった…。

 

 

「っ…いくら油断してたって、父さんが抵抗もできずにやられるなんて…今度の()は、なんなんだよ…!?」

翠への連絡を終えた凌牙は拳を握り締める事しかできなかった…。

 

 

………

 

 

「……すまねぇ、ランスロー…ようやく母さんと連絡が取れた…もう、大丈夫だ…ありがとう」

 

『そうか…なら、私達は帰らせてもらうよ…マシュ、行こう…これからは彼ら家族の時間だ』

 

「お父さん…でも…」

 

「っ……」

翠と連絡が取れた事を伝える凌牙…その言葉を聞いたランスローは娘に声を掛ける…しかし、マシュは動揺する遊嗣の様子を見て躊躇っていた…。

 

 

「お前がランスローの娘さんか…いつも弟と仲良くしてくれてありがとな……父さんがお前に()()()()を伝えたのは聞いてる……大丈夫、俺達の父さんはこれぐらいでどうにかなる『決闘者』じゃねえ……遊嗣も明日には元気になる、だから…今は俺に任せてくれ」

 

「凌牙さん…はい…」

自分なりに優しくマシュへと声を掛ける凌牙…その言葉を聞いたマシュは静かに頷いた…。

 

 

 

 

「……遊嗣、顔を上げろ…お前が泣いたって、父さんが起きる訳じゃねえだろ?」

 

「兄ちゃん…」

ランスローとマシュが去った後、凌牙は遊嗣の隣に座り込む…。

 

 

「大丈夫だ、父さんは死なねえ…目を覚ますには少し、時間が掛かるかもしれねぇけど…絶対に目を覚ます…!だから、お前はお前にできる事をやれ」

 

「自分に、できる…事…?」

凌牙は厳しく…しかし、優しく遊嗣を諭す…。

 

 

「ちゃんと学校に行って、勉強して…父さんが目を覚ました時に呆れられないようにするんだ…父さんを助ける方法は、俺達が必ず見つける…!」

 

「凌牙兄…」

それは自分の経験を踏まえての凌牙の言葉…遊嗣の心が歪まないようにする為の言葉だった…。

 

 

ピリリリ…ピリリリ…

 

「っ…瀬人さん…海馬社長から連絡が行ったな……遊嗣、ここで待ってろ…母さん達もすぐに戻ってくる」

 

「うん…」

その時、凌牙のD・ゲイザーが連絡を知らせる…その連絡は今の白波家が最も頼るべき男からのものだった。

 

 

 

 

 

「遊嗣!大丈夫か…!?」

 

「っ…遊作、君?どうして…?」

 

《ボクが呼んだんだ…ネットワークの事なら、彼に頼るのが一番だと思ってね…》

 

「ロマン…」

そんな時、病院に姿を見せたのは…ロマンからの連絡を受けた遊作だった…ポーカーフェイスの彼にしては珍しく、焦った表情を見せながら…。

 

 

「いったい、何があった…!英雄の遊海さんがやられるなんて…!」

 

「僕にも、わからないんだ…ファミレスの注文用タブレットから、腕が伸びてきて…父さんの頭を鷲掴みにして…端末を精霊のみんなが壊したんだけど、父さんが倒れて…!」

 

《おい、遊作…これって…!》 

 

「ああ…草薙さんの弟が襲われた手口と似ている…!遊海さんも()()()()()()()()()()()()…!!」

 

「えっ…!?Ai…?故郷に帰ったって…それに草薙さんの弟と同じって…!?」

遊嗣から事情を聞く遊作…それは遊作にとって、あまりにも聞き覚えのある内容だった…そして、遊嗣も思わず問い返す。

 

 

「……リンクヴレインズに新たな『敵』が現れた…そいつは、療養していた草薙さんの弟を襲って、『意識』をデータ化して連れ去ったんだ…!」

 

「それって…!?」

 

《うん…十中八九、店長さんの弟さんを襲った奴とマスターを襲った犯人は同一人物…または、仲間に当たる関係だろう…!》

 

《オレ達が戦った奴はボーマン、って名前らしい……オレ達もその件でお前の親父さんに連絡を取ろうとしてたんだよ…》

 

「っ…!!なんで、父さんまで…!」

 

「遊海さん…いや、『鋼の騎士』はネットワーク世界でも『英雄』だ…潰したハッカー組織は数え切れない…おそらく、自分達の目的が邪魔されないように、先手を打ったんだ」

 

「そんな…」

残された僅かな情報から遊作は遊海が襲われた理由を推測する…『敵』が目的を果たす為に、邪魔になる()()となる遊海を封じに掛かったのだと…。

 

 

 

「……遊嗣、ロマン…本当は、お前達にこんな事を頼みたくないが……力を、貸してくれ…!草薙さんの弟と、オレ達の()()を助ける為に…!」

 

「遊作君…もちろんだよ…!僕はハッカーじゃないから、役に立てる事は少ないけど…父さん達を助ける為なら、なんでもする…!!」

 

《遊嗣……そうだね、もちろんボクも手伝うよ…!もうすぐ母様達も帰ってくる、そうすれば手掛かりが得られるようになる…!》

 

《遊嗣…ロマン…!やっぱり、仲間ってイイもんだな!!》

 

そして、遊作と遊嗣は協力体制を結ぶ…自分の大切な者を救ける為に…!

 

 

 

「待ってて、父さん…!必ず、助けてみせる!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………』

 

無限に広がる電脳世界の某所…遊作達の追跡から逃れたボーマンとハルは拠点となっている『城』のような場所へと戻ってきていた…。

 

 

『座って、兄さん』

 

【…………】

そんな彼らの前に現れたのは眩い光で全身を隠した人物……ボーマンとハルはその人物に臣下の礼で頭を下げた。

 

 

 

【草薙仁のデータは手に入れたのか?】

 

『はい、途中で予想外の()が現れましたが…』

 

【予想外の敵?】

 

『Playmakerです、闇のイグニスと共に…デュエルには負けましたが、ボーマンの()()()は上がったはずです』

 

【そうか…Playmakerがリンクヴレインズに戻っていたか】

 

『はい…それより、重要な事が……炎のイグニスが姿を現しました、ビットとブートが捕獲にあたりましたが…失敗してしまいました…』

 

【炎のイグニスが……予想はしていたが、このタイミングで来るか】

ハルは自身の『主』たる人物に成果を報告していく…PlaymakerとAi、そして炎のイグニスとの遭遇について…。

 

 

 

【フッ…いずれ、この場所を突き止めるだろう…手を打つ必要があるな……しかし、まずは目の前のタスクから手をつけるとしよう…草薙仁のデータを貰っておこうか】

 

『はい…ボーマン兄さん』

 

『ああ』

おそらくは不敵な笑みを浮かべているであろう『主』はボーマンから草薙仁の意識データを回収する…そして…。

 

 

『──さぁ、約束だ…俺達兄弟の()()を返してくれ』

 

【そんな約束はしていない】

 

『なんだと!?』

 

【お前はそんな約束がある、と思い込んでいただけだ】

草薙仁の意識データを渡した見返りとして『記憶』を返すように願うボーマン…しかし、それは『主』によって()()()()()()()偽物の記憶だった…!

 

 

【お前の記憶をリセットする…眠れ】

 

ギン─!

 

『ぐっ…ああ……』

 

()()、新しい記憶が必要だな】

 

『はい』

『主』の掌から光の波動が放たれ、その光を受けたボーマンは倒れ込んでしまう…しかし、『主』とハルはまったく気にしていない様子だった。

 

 

 

 

 

『それより…もう1つの作戦の方は…?』

 

【フッ…ハル、私を誰だと思っている?人間などに遅れを取りはしない……これで私の()()の最大の障壁は排除された】

ハルの言葉に『主』はとある場所に目を向ける、そこにあったのは巨大な水晶の()…その中には───

 

 

「─────」

 

 

十字架に磔にされた、遊海の意識データが封じ込められていた…。

 

 

 

(ん…?ここ、何処だ?我は……遊海?って…待て待て!?)

 

(なんじゃこりゃあああ!?!?)

 

(なんだよこのカラダ!?というか、ここは何処だ…!?リンクヴレインズか!?)

 

(ログアウト!!退出!!……だ、ダメだ…し、喋れねぇ…)

 

(ちょっと寝てた間に…いったい何が起きてんだ!?!?遊海は何処なんだよぉ!?!?)

 

 

 

 

「───手が出せない!?どういう事だよ!!」

 

【落ち着け、九十九遊馬…それが彩華と()()2()()の出した結論だ】

 

「父さん…!!」

同日、深夜…ネオ童実野シティのKC本社…その秘匿回線が用いられた()()()テレビ会議に呼び出された遊馬が声を上げる…。

その場にいたのはデュエルロイド瀬人、凌牙、遊馬、カイトの三人組…そして映し出された巨大モニターには……。

 

 

『我が分身の言葉通りだ、現在の状況において俺達はDenCity…並びにリンクヴレインズで発生した事件には手出しができん…忌々しい話だがな…!』

 

「なんでだよ海馬!遊海が…遊海の意識のデータが盗まれたんなら、取り返すしかねぇだろ!!それでも親友かよ!?」

 

【『ええい!黙れ凡骨!その理由を今から話すと言っているだろう!!!』】

 

「うっせぇ!?サラウンドで言うんじゃねぇ!」

モニターに映し出されていたのはARC次元の海馬、遊戯、城之内…他にも遊星やクロノス校長、十代…ARC次元にいる遊海の馴染みのメンバー達の代表が揃っていた…。

 

 

 

 

【まずは1つ、現在のリンクヴレインズ…ひいては新生リンクヴレインズには『DenCity在住者』しかログインできん…オレはスポンサー特権で入る事ができるが…仮に、プロとして有名すぎる白波凌牙や九十九遊馬がログインすれば、アバターとはいえど確実に混乱が起きる!】

 

「混乱って…そうなる前に遊海を見つけて助け出せば…!」

 

『馬鹿者!…遊海が何処に捕らわれているかも分からずに、闇雲に探し回るつもりか?』

 

「そうだよ!ネットの世界なんて古代の遺跡とかジャングルに比べれば簡単だろ!?それに、彩華だっているんだ!アイツならすぐに遊海のデータを見つけ、て……データ……」

 

「気付いたか、遊馬……リンクヴレインズ…いや、電脳世界は全てが()()()()()()…例えるなら、広大な砂漠の中から1粒の塩の結晶を見つける…それか、広い海の中から何処にいるかも分からない魚1匹を見つけてこいと言われるのと同じ事だ…しかも、白波さんはデュエルディスクを()()()()()()()()…つまり、あの人の居場所を探す()()()()()()()()もない…彩華でも、広大な電脳世界からあの人のデータを見つけ出すのは…()()()だ」

 

「カイト…そんな…チクショウ…!!」

2人の海馬とカイトの説明に遊馬は言葉を失う…電脳世界に隠された遊海のデータを探す、それはネット世界では一筋縄ではいかない()()なのだ…。

 

 

 

『そして、2つ目……俺達は遊海を()()に取られているも同然の状況だ……我らがアクションを起こした事で()()を刺激し、遊海の意識データに危害が加えられる可能性がある』

 

「危害……でも、遊海先生は()()()だぜ?先生がいたら…【俺に構わず事件解決を優先してくれ……とでも言うだろうな】…瀬人……」

 

『フン…あやつなら、確実にそう言うだろう……だが、奴にとって「意識データが奪われる」というのは()()の出来事だ……仮に、意識データが()()()()ような事態が発生した時……生身の遊海自身がどうなるか、彩華でも想定ができんそうだ』

 

「遊海さんは肉体的に死にかけたり、魂そのものに攻撃された事は何度もあるが…データ化された意識は……」

 

「それに近いのはアカデミアに突入して…パラサイトなんちゃらに襲われた時だな……あいつ、滅茶苦茶なダメージ受けて…ラプラスが駆けつけてなかったら、敵に操られたかも…って……」

 

「つまり…父さん自身の安全を確保する為には、居場所がはっきりするまで動けない、って事かよ……何が、『決闘王』だよ…!父さん1人を助けられないで……くそっ…!!」

 

「シャーク…」

白熱する仲間達の議論…そんな中で凌牙は自分の無力さを噛み締めるしかなかった…。

 

 

 

「……凌牙君、大丈夫だよ…遊海は何回も窮地を乗り越えてきた…今回もきっと、このピンチを乗り越えられる」

 

「遊戯さん…」

そんな時、遊戯が優しく凌牙に語りかける…遊海の一番古い友人の1人として、彼は遊海の無事を信じていた。

 

 

「それに、海馬く……デュエルロイド瀬人、手掛かりが無いって訳じゃないはずだ」

 

【遊戯……ああ、遊海を攫った黒幕一派はもう1人、ある人物の意識データを奪い…さらに、イグニスという存在も狙っている】

 

「イグニス…この前の『GOD事件』の時に遊海さんから聞いたな…たしか、そちらの世界で開発された『意思を持つ』6体のAIの事だったはず」

 

【そうだ、遊星…その製造過程は非人道的なモノだが……イグニスの技術力はこちらの平均的な科学技術を大きく凌駕している…そして、既に遊海はイグニスとそのパートナーの1人とコンタクトを取っている…その名はPlaymakerこと藤木遊作……おそらく、奴が今回の『運命に選ばれた決闘者』だ】

 

「藤木遊作…そいつが世界の運命を決める()()()って事か」

そして…遊戯の言葉にデュエルロイド瀬人は『運命に選ばれた決闘者』の名前を明かす…。

 

 

【藤木遊作とそのパートナー、闇のイグニス…その2人を中心として全ての状況は進んでいくだろう…その()()の時を狙い、遊海を救い出す…それが大まかな作戦……とも言えんな…一縷の希望、という奴だ】

 

「可能性が少しでもあるのなら…ううん、可能性がなくても…遊海は自分の道を切り開いてきた……きっと、なんとかなるよ」

瀬人の言葉に遊戯は静かに頷いた…。

 

 

『それより、翠と…遊嗣の様子はどうだ?』

 

「大丈夫…とは言えないけど、安定はしてる…母さんはずっと泣いてるけど……遊嗣はラプラスに貰ったっていうお守りが効いてるみたいだ」

 

『そうか……凌牙、気をつけろ……事態に動きがあれば、我らはすぐにでもDM世界に駆け付ける……遊海がいない今、そちらの世界を守る最強戦力は翠とお前達三人、そして我が分身だ』

 

「海馬社長!オレもいるってば!」

 

「セニョール十代…アナータは昔からゲーム世界のデュエルは激弱なのを忘れたノーネ?」

 

「うぐっ…!?いや、それは…」  

 

《十代は精霊の力が届かない場所だと、途端に弱くなるからねぇ》

 

『ええい!話の腰を折るな!!……ともかく、お前達の後ろには我らがいる!何かあればすぐに連絡しろ!分かったな!!』

 

「ああ…!ありがとう…!!」

遊海と絆を繋ぐ伝説の決闘者達…その思いに凌牙は頭を下げた…。

  

 

 

 

 

【凌牙よ、あちらの俺には伝えていないが…遊嗣は藤木遊作と協力すると聞いている……大丈夫なのだな?】

 

「……ああ、あいつなら大丈夫…あいつは俺の弟で、父さんと母さんの息子なんだから…!」

 

【そうか…野暮な質問だったな】

ARC次元のレジェンド達との会議を終えた瀬人は凌牙の言葉に首を振った…。

 

 

 

【しかし…遊海に手を出し、あまつさえ意識データを盗むとは……犯人はよほどの実力者か、あるいは身の程知らずの()鹿()か…】

そして、遊海の身を案じながら…瀬人は窓から覗く夜空を見上げていた…。

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