転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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カミューラを打倒せよ!

レッド寮・食堂にて…

 

 

 

 

「遊海さん…グスッ…!」

「翠さん…泣かないでくれ…白波さんも翠さんの涙は見たくないはずだ…」

「そうッスよ…」

《クリクリ~…》

 

翌日、カミューラに倒され人形になってしまった遊海を連れて鍵の守護者達はレッド寮にて会議をおこなっていた…

「まさか闇のゲームが本当に実在するとは…」

 

「セニョール白波はその身を以て闇のゲームから生徒を守ったノーネ…なら今度はワターシ達が彼を助け出す番ナノーネ!」

 

「でも…あのカミューラって女…中々強いわよ…」

 

「なら…次はオレが行こう!」

 

「お兄さん…」

 

「カイザー…」

 

カミューラと誰が戦うか?という話でカイザーが立候補する

 

「プロデュエリストで敵わないなら…オレが…!」

 

「亮…」

 

「でもその前に翠さんに聞きたい…いったいいつから、この学校で三幻魔の守り人を?」

 

「それは…」

 

〈それは俺から答えよう…!〉

 

「「「えっ!?」」」

突如遊海人形が動きだし声を出す

 

「遊海さん!?」

〈翠…ごめんな…レジストに時間がかかった!さっきはよく堪えてくれた…〉

遊海は机に伏せていた翠の頭を撫でる

「遊海さんのバカ~!!何回私に心配かければ済むんですか~!!」

〈あっ!ちょっと待って今、体が布だから!水が染み込む~!?〉

 

「嘘だろ…」

他のメンバーは二人の様子を黙って見ているしかなかった

 

 

         《閑話休題》

 

 

 

〈ハァハァ…というわけで説明だ!〉

とりあえず翠を落ち着かせた遊海はみんなに説明を始める…

 

「はい!白波先生!」

〈なんだ?十代君?〉

説明前に十代が手をあげる

「先生…どうやって動いてるんだ?それに声も…」

〈そこからか…〉

「「(十代…よく聞いた!)」」

 

〈今、俺は直接声を出しているわけじゃない、みんなの頭にテレパシーという形で話しかけてる!それから体は俺の持つ「精霊の力」で人形化の呪いを一部レジストしてなんとか動かしているんだ!〉

 

「なるほど…わかったような、わからないような…」

 

〈まあ、その他は追々…それじゃあ俺と翠についての説明を始めるぞ!〉

 

 

 

 

 

〈俺と翠はアカデミアのオーナー・海馬社長から指令を受けて三幻魔とその防衛システムを守っていたんだ!〉

 

「たしか三幻魔はとても強い力を持っているとか…」

 

〈天上院さん、よく聞いてくれた!たぶん皆は三幻魔の力を聞いてはいないよな?〉

 

「ああ、とにかくヤバイカードだから守ってくれ!としか…」

 

〈…わかった!皆手をつないで俺に触れてくれ!俺の知ってる映像を伝える!〉

 

そして全員が手を繋ぎ遊海に触れる…

 

〈アヤカ!頼むよ!〉

 

《了解しましたマスター!》

 

そして全員の頭に7年前の実験の映像が浮かぶ、巨大な悪魔…薄くなるカードのイラスト…暴走する人物…

 

「これは…!」

 

「いったい何が…!?」

万丈目と三沢が驚いている

 

〈三幻魔の力…それはデュエルモンスターの精霊の力をひたすらに吸収し、その力で所有者を不老不死に出来る力なんだ…!〉

 

「所有者を不老不死にする…そんなのありえるのか?」

 

「そもそも精霊なんているノーネ?」

 

カイザーとクロノス先生が疑問を抱く

 

〈不死はともかく精霊はいる!アヤカ!〉

 

《はい、精霊フィールド展開します!》

 

すると…

 

 

《クリクリ~!》

 

「ハネクリボー!?」

 

「僕にも見えるんだな~!」

 

《は~い!おじゃましてま~す!》

 

「おじゃまイエロー!?」

 

「マルガリータ!?本当にいたノーネ!?」

 

《遊海…人形になってる…プニプニ…!》

 

〈いや…遊ばないでねウェンちゃん…これでも体の維持大変なんだから…!!〉

 

《こらウェン!いたずらしないの!!》

 

《は~い…》

 

「ありがとうウィンダ…」

 

 

 

 

〈こんな感じで精霊は存在する!そして三幻魔は精霊から無限にエネルギーを吸収し、それを所有者に供給…不死化を可能にするんだと思います〉

 

「そんな事が…」

 

〈そして問題は精霊にも力の上限がある事だ…〉

 

「力の…上限?」

 

〈三幻魔が精霊から吸収し続ければその精霊は力を失い完全に幻魔に吸収され…それが度を過ぎれば…精…霊…だけで…なく…人間も…滅…〉

 

「遊海先生?どうしたんだ!?」

 

遊海の言葉にノイズが混じり始める…

 

〈すま…ん力を保つの…が限界…後で…!〉パタン

 

「遊海さん!!」

それから遊海は動く事はなかった…力を使いきってしまったのだろう…

 

 

 

ガラガラ

「ん?みんなどうしたのにゃ?こんなに集まって…」

大徳寺先生が食堂に入ってくる

 

「おっ?遊海君の人形にゃ?よくできてるにゃ~!」

 

「大徳寺先生!それ!白波先生本人!!」

 

「ふぇ!?ごめんにゃ遊海…!」

 

『にゃ~お!!』

 

「あっ!ファラオ!ダメにゃ!」

 

大徳寺先生が翠に人形を手渡そうとすると、それをファラオがかっさらってしまった

 

「遊海さん!?」

 

「みんな!ファラオを捕まえるんだ!?」

 

『にゃ~お!?』

 

 

 

 

格闘する事約一時間…なんとか人形を取り返す事ができた…

 

 

 

 

「遊海君…ごめんなのにゃ…」

 

『にゃ~お…』

 

「大丈夫ですよ…たぶん…」

 

〈(死ぬかと思った…)〉

 

「…時間も時間だ…1度解散して休憩にしよう…また夜の9時ここに集合だ…いいな?」

 

「「「はい!」」」

 

カイザーの締めで会議は終了した。

 

「(遊海さん…私が助け出します…!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~夜~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈十代…〉

 

「遊海さん!大丈夫か!?」

 

〈ああ…さっきファラオに破かれかけた時はビックリしたよ…痛覚が無くてよかった…、あれ?翠は?〉

 

「さっきまで洗い物を…」

 

「アニキ!大変ッス!!」

食堂に翔が駆け込んでくる

 

「どうしたんだ、翔?」

 

「今、翠さんが湖の方に!!」

 

〈なんだって!?まさか…また一人で!十代!翠を追ってくれ!翔君は他のメンバーに連絡を!!〉

 

「わかったッス!」

 

「飛ばすぜ!」

 

〈十代!頼む!(早まるな…翠!)〉

 

 

 

 

 

 

 

~湖・カミューラ城~

 

 

『誰かしら?私のお城に勝手に入ってくる泥棒猫は?』

 

「カミューラ…私とデュエルしなさい!あなたに勝って遊海さんを元に戻してみせる!」

レッド寮を抜け出した翠は一人でカミューラ城に潜入、カミューラとエンカウントしていた…。

 

『嫌よ…だってあなた…鍵を持って無いじゃない…』

「それでも決闘してもらいます!代償は私の血です!」

『へぇ…いいわね…ちょうどお腹が減ってたの…メインの前の前菜として頂きましょうか!』 

 

 

 

 

      「『デュエル!!』」

 

 

 

 

 

カミューラLP 4000

翠LP 4000

 

 

『私のターン!ドロー!』

『「ヴァンパイア・レディ」を召喚!』

 

妖艶な吸血鬼が現れる ATK 1550

 

『カードを二枚伏せてターンエンド!』

 

カミューラLP 4000

 

レディ 伏せ2 手札3

 

 

 

 

 

「(遊海さん…私に力を貸してください!)」

 

 

 

 

 

「私のターン!ドロー!」

「手札から魔法カード『テラフォーミング』を発動!フィールド魔法『セフィラの神託』を手札に加えます!」

「そして『神託』を発動!効果処理でデッキから『セフィラフウシ』を手札に!」

翠の後ろに巨大な門が現れる

 

「さらに手札から『セフィラの神意』を発動!デッキから『智天の神星龍』を手札に加えます!」

 

『やけにサーチばっかりするデッキね…(コイツのデッキはコウモリではあまり見れなかった…何をするのかしら…?)』

 

 

「そして手札から『神星龍』と『セフィラシウゴ』をペンデュラムスケールにセッティング!そして手札から速効魔法『揺れる眼差し』を発動!スケールのカードを二枚破壊し!あなたに500ダメージを与え、デッキからペンデュラムモンスターを手札に加える!『セフィラツバーン』を手札に!」

翠の横に光の柱が現れる、そこから雷撃がカミューラを直撃する

 

『ああああ!!』

カミューラLP 4000→3500

 

『よくもやったわね!小娘が!!』

 

「手札から『セフィラウェンディ』と『セフィラセイバー』をペンデュラムスケールにセッティング!」

光の柱の中にイルカに乗った少女と武装した魔導士が現れる

 

『いったい何を…?』

 

「スケール7の『ウェンディ』とスケール1の『セイバー』でペンデュラムスケールをセッティング!神樹の加護よ!今こそ私に力を貸して!ペンデュラム召喚!エクストラデッキから『秘竜星ーセフィラシウゴ』!手札から『竜星因士ーセフィラツバーン』!『宝竜星ーセフィラフウシ』!」

時空に開いた穴から鼻輪を着けた黒い竜、白い竜の鎧を着た戦士、東洋的な顔の竜が現れる

 

DEF 2600

DEF 2100

ATK 1500

 

『モンスターの大量展開!?させないわ!リバース罠『激流葬』!モンスターを全て破壊する!』

「そんな!?」

 

カミューラのトラップから大量の水が溢れだしフィールドのモンスターを押し流す!

 

「…ターンエンドです…」

翠LP 4000

神託 Pスケールウェンディ セイバー 手札0

 

《翠!大丈夫!?》

「ウィンダ…大丈夫…まだなんとかなるはず…!」

 

 

 

 

 

『私のターン!ドロー!』

『あなたに私の真の力を見せてあげる!手札から『生者の書ー禁断の呪術』を発動!墓地のレディを特殊召喚して、あなたの墓地の…『揺れる眼差し』を除外!(墓地にモンスターがいない…?どこに行ったの?)』

吸血鬼の女性が復活する ATK 1550

 

『そして「レディ」を生け贄に…『ヴァンパイア・ロード』を召喚!』

吸血鬼の紳士が現れる ATK 2000

 

『そして「ロード」を除外し…来なさい「ヴァンパイア・ジェネシス」!』

 

吸血鬼の紳士の体が肥大し醜悪な化け物に変化する

ATK 3000

「ああ…!」

 

『バトル!「ジェネシス」でダイレクトアタック!「ヘルビシャスブラッド」!』

 

吸血鬼から血の色の魔力が放たれ翠を吹き飛ばす

「きゃああああ!?」

 

翠LP 4000→1000

 

『私はこれでターンエンドよ!』

 

カミューラLP 4000

ジェネシス 伏せ1 手札1

 

 

 

 

「ああ…くぅ…っ!」

《翠さん…!!》

ウィンダが翠に駆け寄る

「ウィンダ…大丈夫…私が遊海さんを助けるの…、だから私は…負けない!」

翠はなんとか立ち上がる

 

「私のターン…ドロー!」

「ペンデュラム召喚!手札から『オルシャドールーセフィラルーツ』!エクストラデッキから『セフィラシウゴ』『セフィラツバーン』!」

『なんですって!?』

時空の穴から虹色のコアの石像、竜の鎧の戦士、黒い竜が現れる

DEF 1950

DEF 2100

DEF 2600

 

『そのモンスター達は破壊したはず!?』

 

「私のセフィラモンスター達は破壊された時、融合デッキに表側で加わるんです!そしてペンデュラム召喚でそのモンスター達は再びフィールドに舞い戻る!召喚に成功した『セフィラシウゴ』の効果で罠カード『セフィラの星戦』を手札に加えます!そしてフィールドの三体を生け贄に…来てください!聖選士の絆の結晶!『智天の神星龍』!」

《オオオオッ!》

翠の場にセフィラの最大戦力の龍が現れる、そして翠の怒りを代弁するかの如く咆哮を上げる ATK 3450

 

『攻撃力3450…!?』

 

「そして『神星龍』の効果で再びペンデュラム召喚!来て!『セフィラツバーン』!『セフィラルーツ』!『セフィラシウゴ』!『セフィラフウシ』!」

再びフィールドにモンスターが集結する

DEF 2100

DEF 1950

DEF 2600

ATK 1500

 

「『セフィラフウシ』の効果!『セフィラシウゴ』をチューナーにしてチューニング!シンクロ召喚!」

 

3+6=9

 

「星に選ばれし龍達よ!今こそその力を開放せよ!レベル9『幻竜星ーチョウホウ』!」

翠のフィールドに神々しい鳥の頭を持った龍が現れる

ATK 2900

 

『なんなのよ!?そのモンスターは!?』

 

「さらにレベル4の『セフィラツバーン』と『セフィラルーツ』でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!愚鈍なる力に抗う反逆の牙…ランク4『ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!」

エクシーズの名前を冠する黒竜が現れる ATK 2500

 

『いったいなんなのよ!?』

 

「『ダークリベリオン』の効果!ORUをふたつ取り除き『ジェネシス』の攻撃力を半分にしてその分攻撃力を上げる!『トリーズンディスチャージ』!」

吸血鬼を紫電が拘束し力を奪う

 

ジェネシスATK 3000→1500

ダークリベリオンATK 2500→4000

 

「さらに手札から罠カード!『セフィラの星戦』を発動!このカードは自分のペンデュラムゾーンにセフィラカードが二枚ある時、手札から発動できる!『セフィラセイバー』と『ジェネシス』を破壊!」

 

『手札からトラップ!?キャア!?』

 

セフィラセイバーがジェネシスに特攻しジェネシスを打ち倒す

 

「これで終わりです!!『神星龍』!『ダークリベリオン』『チョウホウ』でダイレクトアタック!『創星のビックバン・バースト』!『反逆のライトニングディスオベイ』!『竜星の煌めき』!!!」

 

三体のモンスターの攻撃がカミューラに迫り…!

 

 

 

 

 

ピカッ!ドカーン!!

 

 

 

 

 

 

「遊海さん!カミューラの城が!?」

〈急いでくれ!十代!!〉

 

 

「すごい爆発なんだな~!?」

「ボク達も急ぐッス!!」

「セニョリータ翠!無事でいて欲しいの~ネ!!」

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…遊海さん…私…やりましたよ…」

 

〈翠!〉

「翠さん!!」

爆煙の残る城に十代と遊海が到着する

 

〈翠…これは…!?〉

翠のフィールドには神星龍とチョウホウ、ダークリベリオン…大型モンスター三体が並んでいる…

「すげぇ…これみんな翠さんのモンスターなのか…!」

十代は目を輝かせる

 

「遊海さん…私…やりましたよ…カミューラを倒しました…!」

 

 

 

 

 

『誰を…倒した?ですって…!!』

 

〈何!?〉

 

「何で…!?」

 

煙が晴れるとそこには無傷のカミューラが立っていた…

 

カミューラLP 6800

 

「何で…!?明らかにオーバーキルしたのに!?」

 

『攻撃を受ける直前…私はリバースカード『妖かしの紅月』を発動していたわ…手札の「闇より出でし絶望」を墓地に送りライフを回復、バトルフェイズを終了したのよ!アハハ!ちょっとヒヤッとしたけど私には届かなかったようね!アハハハハ!!』

カミューラは醜悪な表情で翠を嘲笑う

 

「…私はターンエンド…」

翠LP 1000

神星龍 リベリオン チョウホウ 神託 Pスケールウェンディ 手札0

 

 

 

「アニキ~!」

「十代!無事か!?」

「翠さんは!?」

少し遅れて翔、カイザー、明日香など他の守護者達が到着する

 

「翔…みんな…」

「セニョール十代!デュエルは!?セニョリータ翠は無事ナノーネ!?」

〈盤面は翠が有利です…でも、もしカミューラがあのカードを引いたら…!〉

「セニョール白波?」

 

 

 

 

 

『私のターン…ドロー!アハハ!』

 

カードを引いたカミューラが笑い出す

 

「おい!何がおかしい!お前の場はがら空き!手札も1枚!そこから何ができると言うんだ!!」

万丈目がカミューラに指摘する

《兄貴~それってフラグって言うやつじゃ…》

 

『私はこのターンであなたに勝利するは…でも、その前に…!』

カミューラは十代を見る

〈十代!後ろだ!?〉

 

「何!?」

 

『もう遅いわ!!』

 

〈ぐあっ!?〉

 

「遊海先生!!」

 

影に潜んでいたカミューラの分身が遊海人形を奪い取りオリジナルのカミューラの隣に降り立つ

「遊海さん!?」

 

〈ぐっ…離せ!?〉

 

『へぇ…人形になっても体を動かせるなんて…初めてだわ…』

 

「遊海さんを返して!?」

 

『ならこれから起こることを無抵抗で受け入れなさい!そしたら返してあげるわ!』

 

「くっ…!」

 

〈貴様…!!〉

 

「カミューラ!卑怯だぞ!」

十代が非難の声を上げる

 

『卑怯で結構!私は一族を再興するためにどうしても幻魔が必要なのよ!魔法カード発動!「幻魔の扉」!』

カミューラの後ろに石造りの禍々しい扉が現れる

「なんだあのカードは!?」

「見た事ないカードナノーネ!?」

〈しまった!?〉

 

『うふふ、効果発動!あなたの場のモンスターを全て破壊するわ!』

扉が開き闇が溢れ出す

 

「墓地から『神意』の効果を…!」

 

『あら?愛しの旦那様がどうなってもいいのかしら?』

カミューラの分身が遊海人形の体を引きちぎろうとする

〈ぐああっ!?〉 

 

「遊海さん!!?」

 

〈翠…使え!俺にかまうなァ!!〉

 

「でも…!?」

 

『そうそう、人形を壊したら私を倒しても復活しないから』

 

「!?」

 

「カミューラ!!貴様ァ!」

冷静沈着なカイザーが怒りをあらわにする

 

そして闇が翠の場を蹂躙する

《オオオオ…》

 

「『神星龍』…」

 

『そしてあなたがこのデュエル中に使ったモンスターをデッキ・墓地・融合デッキから召喚条件を無視して、私の場に特殊召喚する!さぁ…私の下僕になりなさい!「神星龍」!!』

 

扉から透明な腕が伸び、融合デッキの神星龍をフィールドに引きずり出す ATK 3450

 

「カミューラ!インチキ効果もいい加減にしろ!そのカード!何もデメリットないのかよ!」

万丈目が叫ぶ

 

『もちろんあるわよ?このカードを使ったデュエルで負けたら私の魂は幻魔の物になる…そして召喚したカードの維持にも私の魂の力を使う…でもこれなら問題ないわ…!』

 

〈あっ…力が…吸わ…れ……ミ…ド……〉

「遊海さん!?」

人形から力が吸いとられ神星龍に供給される

〈……〉

 

「白波先生!!」

 

『さぁいきましょうか…』

 

「翠さん!!」

 

『バトル!さぁ!自分の切り札に焼かれて倒れるがいい!「神星龍」でダイレクトアタック!』

神星龍がブレスを放ち自分の主を焼き尽くす

 

「遊海…さん…ごめん…なさい…」

 

翠LP 0

 

カミューラ win!

 

 

 

 

 

 

 

《グオオオオ……!》

 

「『神星龍』が…泣いてる…」

 

「なんて悲しい声…」

 

デュエルが終了し神星龍は悲しい鳴き声をあげながら消滅する…

翠は膝から崩れ落ちる…

「あ…」

 

そしてカミューラが人形を持って翠のそばに降り立つ

 

『さぁ子猫ちゃん…約束を果たして貰いましょうか…!』

 

「カミューラ!翠さんに何を!!」

 

 

 

 

 

『こうするのよ…ハグッ!!』ガブリ

 

「あっ…嫌…!」

 

 

「セニョリータ明日香!!見ちゃダメナノーネ!!!」

 

「クロノス先生!?」

カミューラは翠の首筋に噛み付き血を吸い上げる…クロノス先生はそれを明日香に見せまいと上着で顔を隠す

 

『ンクッ…ンクッ…!』

 

「あ…嫌…ゆう…み…さ…」 

体を拘束された翠の瞳から生気が消えていき…肌が色を失なっていく…

 

「やめろォ!!」

十代がカミューラに飛びかかる

 

『おっと!』

カミューラの分身が十代を受け止める

「貴様!離せ!」

『うふふ…』

 

『ンクッ…ンクッ…ジュル…』

 

 

「……ゆ……み……」ガクッ

 

 

『はぁ…ごちそうさま…なかなか美味しかったわ…!』

 

「…」

 

『さぁ…仕上げよ!あなたも人形になりなさい!』

翠の体を闇が包み消え去る…そしてカミューラの手に紫髪の人形が現れる…

 

『さて…子猫の人形は要らないから赤帽子の子の人形だけ…ッ!!』

 

 

 

 

 

『お姉ちゃん!!』

 

『ジョージ!!』

 

『うわあああ!?』

 

『ジョージ!?ジョージ!!?アアア!!』

 

 

 

 

 

 

『う…今のは…いいわやっぱり興味無いわ、こんな人形!』

カミューラは遊海の人形を投げ捨てる

 

『それじゃあみなさん、ごきげんよう!』

 

「待て!?」

 

カミューラは霧になって消え去った、後にあったのは寄り添う2体の人形だった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白波先生…翠さん…どうして…!」

 

守護者達は校長室でカミューラへの対策を練っていた…

 

「まさか守護者の二人がやられてしまうとは…翠さんも相当手練れの決闘者…、そんな彼らが負けるとは…」

鮫島校長がうなだれる…

 

「いや!翠さんは勝てたんだ!でもカミューラが白波先生を人質にして…クソッ!」

十代が怒りをあらわにする

 

「優秀な決闘者に対する人質作戦…卑怯だが…最適の手段だ…俺でもあの状況になったら負けていただろう…」

カイザーが弟である翔を見ながら呟いた…

 

「お兄さん…もしそんな状況になってもボクのために負けないでほしいッス!」

「何をいうんだ翔!お前は…オレのただ一人の弟じゃないか!」

「お兄さん…!」

 

「…みんな…、何か彼女を倒す情報はないか?」

鮫島校長が問いかける

 

「白波先生!何か方法はないのかよ…!!」

〈……〉

万丈目が遊海人形を揺する

「やめろ!万丈目!ハネクリボーが言ってる、あの扉に力を吸いとられて意識すらも無くなってるって…」

「クソッ!」

万丈目は人形を元に戻す

 

「遊海先生…いつも俺が困ってる時にアドバイスをくれた…何か…何かないのか…!」

 

 

 

 

《十代…光のデュエルを…コウモリ…気を…》

 

 

 

 

 

「コウ…モリ…?コウモリ!?まさか?」

十代は部屋を見回す

 

「十代?どうしたノーネ?」

 

「アニキ?」

 

「…!そこだぁ!!」

『ギキィ!?』

十代がデッキからカードを引き抜き、カード手裏剣を投げる…すると、天井からコウモリが落ちてくる

 

「きゃあ!?コウモリ!?」

 

「コウモリ…そうかコウモリは吸血鬼の眷族!あいつこれでオレ達のデッキを覗いていたのか!」

 

「セコイ奴だ…!許せん!」

万丈目と三沢が怒る…

 

「カミューラ…あんたは俺が倒す!」

 

 

 

 

~夜~

 

 

 

「カミューラ!俺とデュエルだ!」

十代がカミューラにデュエルを申し込む

 

『…いいわ…あなたも人形にしてあげる!』

 

 

『「デュエル!!」』

 

 

~ダイジェスト~

「来い!『E・HEROテンペスター』!!」

『「幻魔の扉」を発動!さぁ…あなたの仲間を…!』 

 

キラン!

 

「墓守りのペンダントが…!」

 

『しまった!?幻魔の扉が!?』

 

 

 

「現れろ!『E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン』!究極の輝きを放て!『シャイニング・シュート』!!」

 

『でもまだライフは残ってるわ!』

 

「『シャイニングフレアウィングマン』は破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える…!」

 

『うあああああ!!?』

 

カミューラLP 0

 

十代 win!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガッチャ!楽しい…!?」

 

 

デュエルに敗北したカミューラの後ろに幻魔の扉が現れ…カミューラの魂を吸収して消え去る…そして肉体は金色のチョーカーを残して消え去った…

 

「終わったの…かしら…?」

 

 

「あ!?先生達の人形が!?」

 

翔の持っていた遊海と翠の人形が浮かび上がり元の姿に戻る

 

「白波先生!翠さん!!」

十代が駆け寄る

「…大丈夫よ、意識は無いけど息はしてる…」

「よかった…」

 

ゴゴゴ…

 

「マズイ!城が崩れるぞ!」

「脱出だ!」

 

 

 

主を失なった城は崩れ去り…島を覆っていた闇も消えていく…

 

 

「長い戦いだったわね…」

明日香が呟く…

 

「ああ、でもまだ刺客は来るはずだ…まだ始まったばっかりだからな…でもとりあえず…一休みしようぜ…」

十代は朝日を浴びながらそう言うのであった…。


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