転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

良かった…早めに書けた……まぁ、また数日忙しくなってしまうのですが……ウィンディ編〜ライトニング編くらいまではコンスタントに執筆できるといいな……。


それでは、最新話をどうぞ!


気ままなる風〜荒ぶる炎と青き少女〜

《おいおい…何処まで続いてんだ?このトンネル…》

 

「もう後には戻れない」

 

《その通りだ、行ってみれば分かるだろう》

 

《いや…出口は近いみたいだ…!みんな、気を付けて…!》

 

謎のゲートへと突入した遊作・遊嗣・尊の三人は緑色の光を放つトンネルの中を進み続けていた…そして、ついに目の前の景色がひらけていき───

 

 

 

ビュオオオ──!!

 

 

 

「「うおおっ!?」」

 

「っ…すごい風だ!!」

トンネルを抜け出した遊作達は突然、凄まじい強風…否、()()に煽られる、

彼らが辿り着いたのは風が吹き荒れる断崖地帯…まるで侵入者を拒むように凄まじい強風が吹き荒れていた…!

 

 

《やばいぞこの風!!!》

 

「くっ…!」

 

《Yu-Z!落ち着いて姿勢を保つんだ!ボクもサポートする!》

 

「う、うん…!!」

 

《気を抜くな!崖に直撃したらただでは済まないぞ!》

 

「わかってる!!」

吹き荒れる暴風に流石の遊作達も動揺…必死に姿勢を保ち、吹き飛ばされないようにDボードにしがみつく…!

 

 

 

《っ…!このままじゃ落っこちるのは時間の問題だ…!不霊夢!こういう時こそオレ達の出番だぜ!!》

 

《そのようだな…!はっ!!》

 

キィン─!!

 

「これは…なるほど!データストームで風を打ち消してるのか!」

 

「なるほど、いい案だ…!」

 

《でしょ?もっと褒めて褒めて!!》

吹き荒れる風を前にAiと不霊夢が腕を前に突き出し、紫色の壁──データストームを展開する…イグニスの持つデータストームを操る力で強風を打ち消しているのだ、だが──

 

 

「っ…Yu-Z!ロマン!大丈夫か!?」

 

「ロマン!あんな事できたりする!?」

 

《ごめん!ああいうのは無理─!!ボクはイグニス()()()みたいなモノだから、データストームは操れないんだ〜!》

 

「そんな〜!?」

純正のイグニスではないロマンはAi達のような細かい操作はできないらしく、2人して情けない悲鳴を上げている…。

 

 

《───仕方ないか、みんなの安全が第一だね》

そんな中、何かを決めたロマンが吹き荒れる風へと手を翳す…。

 

 

 

《吹き荒ぶ風よ…我が意に従い、道を開け──■■■■、限定解放》

 

キン──

 

ロマンが紡ぐ穏やかな詠唱…それと共に彼の手元が淡い光を放ち───()()()()()

 

 

 

《うおっとと!?風が止んだ?》

 

「いや…!風が、オレ達を避けているらしい…!」

 

「わぁ…!ロマンすごい!!」

 

《ふふっ…ボクは特別製だからね!多少の()()()は持ってるのさ、母様に感謝だね!》

突然、風が止んでたたらを踏むAiと不霊夢…暴風は遊作達三人を避けるように左右に分かれて吹き荒れている…。

 

 

《そう長くは保たないと思うから、今のうちに進もう!少し先にAi達に似た反応を感じるよ!》

 

「そうか…行こう…!」

 

《(ロマンのあの力…規模は我々以上の……彼を創ったという白波遊海、そして彼の母親は…鴻上博士レベルの()()か?)》

 

「不霊夢!ぼーっとするなって!ロマンの守りがいつまで保つか分からないんだから!」

 

《むっ、すまない!》

ロマンの持つ能力を見て考え込む不霊夢…しかし、尊の言葉に疑問を追いやって前を向いた…。

 

 

………

 

 

《っ…ごめん!そろそろ時間切れだ!風に気を付けて!!》

 

「いや…!どうやら、オレ達を()()のを止めたらしい…」

 

「ああ、風の勢いが弱まっていく…!」

進む事しばらく…ロマンの守りが薄れかけた時、周囲を吹き荒れていた暴風が嘘のように収まっていく…。

 

 

「っ…?2人とも!アレ、なんだろう…?」

 

《ん〜?なんか建ってるな?》

 

《どことなく、フィールド魔法の「天空の聖域」に似てるね?》

 

「どうやら、あそこがオレ達の目指していた場所らしい…行ってみよう」

そして遊作達の前に断崖の中ほどに建てられた()殿()のような建物が現れる…彼らは警戒しながらもその場所へと足を踏み入れた…。

 

 

 

 

「……静か、だな」

 

「ああ、()()()()()くらいだ」

 

「なんだか…洋画なら、怪物でも潜んでそうな雰囲気だね…」

謎の神殿の近くに足を踏み入れた遊作達は周囲を警戒する…電脳世界とは思えないほどの再現度で作られた森の神殿…だが、そこは不気味なほど静かだった…。

 

 

「っ…何かいる…!」

 

《みんな!警戒態勢を!》

 

《えっ!?ナニナニ!?何が来るの!?!》

その時、遊作とロマンが異変を感じ取る、突然の事にAiは周囲を見渡し───

 

 

【ガオオォォ!!】

 

 

《ギャー!?バケモノ出た〜!!》

 

《あの怪物は!?》

その時、森の奥から地響きと咆哮を轟かせながら巨大な影が立ち上がる…それは単眼の異形の巨人だった…!

 

 

《あのモンスターは…!サイバース世界を破壊したモンスターだ!!》

 

「なんだと!?」

そして、不霊夢はその姿に見覚えがあった…その巨人はサイバース世界を攻撃した存在と酷似していたのだ…しかし──

 

 

《っ…?待って、みんな!アレ…本物じゃない!幻影…()()()()()みたいだ…!》

 

「《「《「えっ!?」》」》」

ロマンのサーチが巨人の正体を見破る…そんな時だった。

 

 

 

《な〜んだ!つまらないの!せっかく()()()()()()()()で出迎えてやったのに…》

 

《ああーっ!?お前、無事だったのか!?》

怪物の幻影の前に小さな人影が現れる、それは赤い目をしたうす緑色の体を持ち、クルンと丸まった髪を持つイグニスだった…その姿を見たAiも声を上げる。

 

 

「Ai、あれがお前の仲間か?」

 

《ああ、アイツが風のイグニスだ!》

 

《いかにも!ボクが風のイグニスさ!》

遊作の問いかけにAi、そして緑のイグニスが答える…彼がAi達の仲間、風のイグニスだった。

 

 

《エコー、もう戻っていいぞ〜…もうちょっと驚かせたかったんだけどなー》

そして風のイグニスは異形の巨人へと声をかける、すると巨人はみるみる縮んでいき…最終的に簡素な人型の()()となった…。

 

 

《まったく、ジョークとはいえやりすぎだっての!ロマンがチビッちまうぜ?》

 

《Ai、AIにはそういう機能は無いからね??少し下品だよ?》

 

「(そういうロマンが一番怖がってたのは……黙っててあげよう)」

ケラケラと笑う風のイグニスに冗談を言うAiと巻き込まれたロマン……なお、ロマンがいち早く巨人がホログラムと気づいたのは……ビビりだった故に本気で探査した結果だったのだと、遊嗣は気付いていた。

 

 

 

《キミ達の事を少しは知ってるよ?闇のイグニスのパートナーのプレイメーカー、炎のイグニスのパートナーのソウルバーナー…あとは……Yu-Zって言ったっけ?それからキミはなんなのさ?イグニスのそっくりさん?》

 

《初めまして!ボクはYu-ZのサポートAI、ロマンって言うんだ!キミ達、6人のイグニスのイトコ…って感じかな?》

 

《イトコ?どゆこと?》

 

《まぁ、話すと長いんだけどよぉ……KkKksjsj……》

 

《MrMrUmUm?……へぇ、鴻上博士の設計図からねぇ…》

 

「えっ?今ので伝わったの!?!?」

 

《落ち着けYu-Z、イグニス同士の言葉でやり取りしたんだ》

 

「なんだか、気が抜けるな…」

何かしらで情報を手に入れていたらしい風のイグニスだが、ロマンについては知らなかったらしく怪訝そうな表情でロマンを睨む。

しかし、ロマンの自己紹介とAiによる説明で一応は納得したらしい…。

 

 

《そんな事より、お前はロスト事件の……オリジナルであるパートナーを探さないのか?》

 

《あいにく、ボクはお前達ほど人間を信用する気にはなれなくてね…まぁ、()()()()()になるのはごめんって感じさ》

 

《フン、可愛くないヤツめ》

そんな中、不霊夢は風のイグニスにパートナーを探さないのか、と訊ねるが…風のイグニスは慎重派らしく、皮肉混じりに応えていた。

 

 

 

「風のイグニス、お前がこの場所…ワールドを作ったのか?」

 

《ふーむ、()()()()()()か…その呼び方はイマイチだな、かといってボク達の本名は人間には難しすぎるし……変な名前で呼ばれるのもなんだから───うん、()()()()()とでも呼んでくれ》

 

《ウィンディ?》

 

《ああ、お前達に合わせてな、それからコイツはエコー…ボクが作ったプログラムさ》

 

[ワタシはエコー、ウィンディ様が作ったプログラムです]

 

《うおっ!?喋れたのか…》

単刀直入に風のイグニスに疑問をぶつける遊作…しかし、風のイグニスはマイペースに自分の呼ばれ方を気にしたらしく……改めて「ウィンディ」と名乗った。

 

 

「……改めて聞かせてくれウィンディ、お前はここで何をしている?」

 

《まぁ、立ち話もなんだし…落ち着ける所で話そうか》

遊作の問いにウィンディは彼らを自身のワールドの庭園へと案内した…。

 

 

ウィンディの世界「風のワールド」…そこは穏やかな場所だった。

広がるのは現実世界と遜色ない西洋風の庭園…穏やかに風が吹き…小川が流れ、花が咲く…さらには再現された小鳥や蝶まで飛んでいた…。

 

 

《ウィンディ、無事だったのは何よりだが…そろそろ先ほどの質問に答えてくれ、我々は先を急いでいるんだ》

 

《不霊夢、焦らなくても大丈夫だよ…急がば回れ、と言うし…ウィンディ、良かったら三色団子の味覚データを食べるかい?》

 

《味覚データ?AIにしてはずいぶんと人間くさいなキミは…》

 

《ロマン〜!オレにもちょ〜だい!》

 

「「「おいおい…(汗)」」」

マイペースなウィンディの態度に焦れる不霊夢…しかし、ロマンは焦る事なくウィンディに甘味の味覚データを勧め、Aiは自分も欲しいと声を上げている。

そんな様子を見た遊作達三人は呆れた様子だった…。

 

 

 

《まったく…ボクがこのワールドを作ったのは、仲間を待っていたからさ…リンクヴレインズにこの「風のワールド」を繋げておけば、いつかお前達が嗅ぎつけて此処に来るだろうと思ったワケ……ん、意外と美味い?じゃん》

 

《モグモグ…なるほどな、そして私達は見事にウィンディの予想通りにこの場所にやって来たわけか》

 

《そういう事、みんなが集まればもう一度()()()()()()()()()()事ができるだろ?》

 

《もう一度、サイバース世界を…》

 

《うむ、悪くないな》

ロマンの甘味に舌鼓を打ちながら…ウィンディは「風のワールド」を作った理由を明かし、話を続ける。

 

 

《2つ目は…()を迎え撃つ為さ、お前達が嗅ぎつけるくらいだから…サイバース世界を滅ぼした奴も来るかもしれない、返り討ちにしてサイバース世界を滅ぼした罪を償わせる…!流石に、冷静沈着なボクでも憤慨してるからね…!!》

 

《お前にそんな熱い思いがあったとはな…お前ならもう少し楽観的な見方をしていると思ったが…》

 

《フッ、お前ほどわかりやすくないだけさ》

 

《でもよ?お前って…そんなに腕っぷし強かったっけ?》

 

《その為のこのワールドさ…!ここ全体がデータマテリアルの強風に覆われた()になってる、データマテリアルを誰よりも上手く扱えるのが「風のイグニス」であるボクの強みだからね……もっとも、ネットワークに散らばったデータマテリアルをここまで集め直すのには骨が折れてね…ずいぶんと時間が掛かったよ》

 

「だから、今ごろになってワールドのゲートが現れたのか」

データマテリアルを扱う事が上手い自身の長所を利用してワールドを作り上げたウィンディ…その話を聞いた遊作はゲートが現れた理由を聞いて納得する。

 

 

 

「ウィンディ、オレ達はあるヤツを追っている…奴の名はボーマン、オレの知り合いの弟…そして、恩人の意識データを奪った…意識データを取り戻せなければ、彼らは眠り続けたままだ…!」

 

《その者はサイバース世界を滅ぼしたヤツが使ったカードを持っていた》

 

《ほう…興味深いね…でも、ボクは見た事がないな》

 

《おいおい、本当かよ?そいつはこのワールドに逃げ込んだんだぜ?》

 

《んー…ゲートを開いてからは色々飛び込んで来た奴がいるけど、ほとんど罠で自滅してるからね……いや?そういえば…ワールドの端で変な気配を感じた事があった……かも?》

 

《絶対それじゃん!!》

 

《おそらく、ウィンディのワールドを隠れ蓑にしているんだろう、賢い奴だ》

ウィンディに対し、謎の襲撃犯・ボーマンについて訊ねる遊作…ウィンディは気付かなかったらしいが…変な気配を感じた事があるらしい…。

 

 

「ウィンディ、オレ達に協力してくれないか?」

 

《頼む、ウィンディ!オレの顔に免じてさ!》

 

《う〜ん……悪いけど、断らせてもらう》

 

《いや、断わるんかい!!》

ボーマンの件を踏まえてウィンディに協力を求める遊作とAi…しかし、ウィンディはそれを断わった。

 

 

 

《お前達が追ってる奴が風のワールドに逃げ込んだ、とか…潜伏してるというのは不確定な()()に過ぎない、協力してほしいなら…もう少し説得力のある材料を持ってきてよ》

 

《ムムムムムム…それはごもっとも…!》

 

《(──なんだ?この()()()は…?マスターから受け継いだ()()が…「彼は隠し事をしている」とボクに伝えている……イグニスは人間並みの「心」がある……嘘を吐けるのはAiの事情から知ってる……けど、なんだ?この彼の言葉のウラから見え隠れする───()()は…?これはAiや不霊夢から感じた事のない感覚だ…)》

 

不確定である、という理由で遊作達との協力を拒むウィンディ…その時、「歴戦の英雄」たる遊海のデータを受け継ぐロマンは小さな()()()を感じ取った…。

 

 

 

《なぁ?そんな事やめて…お前達も此処に残ったらどうだ?人間の手助けをするより、イグニス同士で集まった方がサイバース世界再建の近道だと思うんだ…新顔のロマンも含めれば、前よりずっと住み心地の良い世界になるんじゃないか?》

 

《うっ…まぁ…そうだよな》

そして、逆にウィンディがAi達に提案する…その話は故郷を失ったAi達に取って魅力的な言葉だったが…。

 

 

《確かに、サイバース世界の再建は我らイグニスの悲願…だが、()()()()()()()!私は、サイバース世界が滅ぼされた()()が知りたいのだ!》

 

「不霊夢…」

不霊夢はその提案に乗らなかった、故郷が何故滅ぼされなければならなかったのか…その真実を知る為に…。

 

《だよな、オレも今は同じ感じだ!ロマンは?》

 

《よそ者…悪い言い方をすれば本物のイグニスであるキミ達の()()()()であるボクを受け入れてくれる、というのは嬉しいよ……でも、今のボクにはYu-Zを支え、マスターを救うという使()()がある!キミの話に乗るのは、それを成し遂げてからでも遅くないさ》

 

「ロマン…ありがとう」

 

《フン…時機尚早ってヤツか》

 

《ああ、全ての真相を明らかにした後…我々はサイバース世界を再建したいと思う!》

 

《…そっか》

そしてAi、ロマンもウィンディの提案を断わる…全て掛け替えのないパートナーである人間の為に…。

 

 

《まぁ、お前達が無事で…新たな同胞がいる、と分かっただけでも収穫はあった…本格な協力はできないが、ちょっとだけ力を貸してやるよ…ボクが違和感を感じた例の場所までのデータストームを緩めておく》

 

《うむ、それで充分だ!あとは自分達でなんとかしよう》

 

《ただし、一つだけ()()がある……()()()()、なんとかしてくれない??》

 

「アレは…」

 

《ゴーストガール!…と、誰だ??》

同盟は結べなかったが限定的な協力関係を結んだウィンディと遊作達…しかし、その交換条件として提示されたのは──遊作達の進んできた断崖地帯を強風に抗って進むゴーストガール、そして見慣れない青髪の少女の映像だった。

 

 

 

《コイツら、思ったよりしぶとくてね…この分だと、この場所に辿り着いちゃいそうでさ…追っ払ってくれない?デュエルで負かせばワールドから排出されるようにしてあるから》

 

《おいおい…自分でやればいいだろ…》

 

《ヤダね、こんな連中に手の内は見せたくないし、危険も冒したくない》

 

《用事深いなオイ》

遊作達を追って風のワールドに飛び込んだゴーストガール達…ウィンディはそんな彼女達にお帰り願いたいらしい…。

 

 

 

「分かった、彼女達の周りの風を緩めてくれ…そうすればオレ達がなんとかする」

 

《お〜い!?プレイメーカー様─!?》

 

「心配するな、ゴーストガールは共にハノイの騎士と戦った間柄だ…きっと、話せば分かってくれる」

 

《交渉成立だな…三色団子とやらの味覚データ、ごちそうさま》

 

《──うん、お粗末様でした》

そうして遊作達はウィンディの縄張りに近付くゴーストガール達を説得すべく、断崖地帯へと向かった…。

 

 

 

 

 

Sideゴーストガール

 

 

「ブルーガール!大丈夫!?」

 

『ええ、なんとか…!!』

遊作達の後を追って謎のエリア…『風のワールド』へと飛び込んだゴーストガールとブルーガール…彼女達は既に1つ目の目的を達成していた。

風のワールドへと進入した直後、風に煽られて墜落しかかった彼女達はその近くにあった洞窟で行方不明となっていたSOLテクノロジーの調査員達を発見…晃に託された緊急脱出用プログラムを使って彼らを帰還させた。

 

そして、彼女達は本来の目的であるイグニスの動向を探り…自分達の脱出手段を確保する為に風のワールドの中心へと向かっていた…。

 

 

ビュオオオ!!──スゥ…

 

 

「風が弱まった…?」

その時、彼女達の行く手を阻んでいた暴風が嘘のように穏やかになる、そして──

 

 

『っ…ゴーストガール!あれって…!』

 

「プレイメーカー!」

ブルーガールが風上からやってくる3つの人影に気付く、それはプレイメーカー・ソウルバーナー、そしてYu-Zの三人組だった…彼らは彼女達に並走するようにDボードを横につけた…。

 

 

『久しぶりね!プレイメーカーに…Yu-Z?ハノイの塔の件では借りができちゃったけど、必ず返すわ!』

 

「久しぶりって…まさか、お前…ブルーエンジェルか?」

 

「イメチェンしたんだ!似合ってるよ!」

 

『ふふっ、ありがとう!貴方も似合ってる!』

そして、見知らぬ青い髪の少女に声を掛けられる遊作と遊嗣…そこで彼らはようやくブルーガールがブルーエンジェルなのだと気が付いた……なお────

 

 

 

「(財前さんがブルーエンジェル……学校の感じとは全然違う…きっと、こっちの明るい感じが彼女本来の…)」

 

『(白波君…!?ほとんどリアルと同じ姿じゃない!?それに、なんだか顔が険しいような…?しかも、なんでプレイメーカーと一緒に…?)』

遊嗣と葵がお互いにそんな事を思っていたのは、彼らだけの秘密である。

 

 

 

「ブルーエンジェルがイメチェンか…!新しいアバターもかっこいいよ!……俺もイメチェンしてみようかな…」

 

《大して名も知られてないのにイメチェンする意味があるのか??》

 

『貴方は…?』

そんな時、ブルーガールの見覚えのない赤い青年が声を掛ける…そのデュエルディスクに宿る、赤い人型と共に…。

 

 

「あなたがソウルバーナーね?初めまして!」

 

「おおっ…!意外とオレ達も有名みたいだぜ?」

 

《そうらしい、初めてお目に掛かる!私の名は不霊夢、炎のイグニスだ!》

 

「炎のイグニス…なら、あなたもロスト事件の…」

 

「そういう事!」

晃の情報によって尊の事を聞いていたゴーストガールは気さくに声を掛ける、そんな彼女の声に応えて不霊夢も礼儀正しく自己紹介をした。

 

 

「もう『ロスト事件』と『ハノイの塔事件』を起こしたハノイの騎士は滅んだ…なのに、リンクヴレインズの英雄2人とイグニスを持つソウルバーナーが手を組んで…何を企んでるの?」

 

「オレ達は…奪われた知り合いの()()()()()を取り戻したいだけだ」

 

「意識データ…?それじゃ、あの男が…!」

復讐を果たしたプレイメーカーが再びリンクヴレインズに現れた理由を訊くゴーストガールは遊作の言葉を聞いて納得する、再びリンクヴレインズにプレイメーカーが現れたあの日、彼が戦っていた大男が何かをしでかしたのだと…。

 

 

 

「ゴーストガール、ブルーエンジェル…お前達こそ、この場所に何をしにきた?」

 

《どうせ、またオレ達を利用するつもりなんだろ?》

 

「ええ、そうよ…あなた達に誤魔化しは効かないから言うけど…私達はイグニスを探しに来たの」

 

「SOLテクノロジーか?」

 

「うーん…まぁ、そうと言えばそうなんだけど…どちらかというと()()()()からの個人依頼かしら?『イグニスの真実が知りたい』ってね」

 

「財前が…?」

 

《やっぱり…でも、鋼の騎士に聞いて知ってるぜ?SOLテクノロジーがオレらに手を出したら海馬コーポレーションがオカンムリだろ?》

 

「あら、耳が早いのね?でも、あちらの代表から多少は干渉しても良いって言われたらしいわ?()()()()()()に対してね」

 

「SOLテクノロジーも一枚岩ではないという事か…」

 

《(あー…財前セキュリティ部長の性格は…瀬人が気に入りそうだもんね…納得だ)》

ハッカーとして情報を交換する遊作とゴーストガール…その話を聞きながらデュエルディスクに隠れたロマンは納得していた…。

 

 

 

『ねぇ、プレイメーカー、ソウルバーナー…兄なら、きっと貴方達の力になれるわ…協力できないかしら?』

 

「……それは…」

 

「……分かってないな、ブルーエンジェル」

 

『えっ…?』

遊作達に対して協力を求めるブルーガール…しかし、その要請を断わったのは…意外にも尊からだった。

 

 

「俺とプレイメーカーは長い間『ロスト事件』に苦しめられてきた…アンタのお兄さんは良い奴らしいが……ロスト事件の責任があるSOLテクノロジーの関係者に、俺達の未来は預けられない」

 

《そうそう》

 

「ああ、好意はありがたいが…オレ達の問題は、オレ達が解決する」

 

「それに……今回の敵はハノイの騎士より恐ろしい技術を持ってるみたいなんだ…そんな危ない事件に、貴女達を巻き込みたくないんだ」

 

『Yu-Z…貴方まで…!』

ロスト事件の被害者としてSOLテクノロジーを頼りたくない尊、光の道を歩むブルーガールを再び危険な事件に巻き込みたくない遊作と遊嗣…三人はそれぞれの理由で彼女の提案を断わるしかなかった。

 

 

『──なら、そのイグニスは元々SOLテクノロジーの管理下にあったもののはずよ…セキュリティ部長の兄にはあなた達を管理する責務がある…帰って来る気はない?』

 

「「《そんなめちゃくちゃな!?》」」

 

『ここでイグニスを捕まえれば、他のイグニスの行方も分かるかもしれない……兄様が真実を知る為に協力してくれないなら…!』

 

「デュエルで決めようってか!」

 

「ちょ、ソウルバーナー!落ち着いて!!(財前さん…意外と気が強い!璃緒姉みたいだ…!)」

 

「ブルーガール!?私達は彼らと喧嘩しにきた訳じゃ…!もう、本当に兄妹愛が強いんだから…!」

 

《あいつら、ヤル気マンマンだな〜…》

 

「………」←何故そうなる、と言いたげな表情で頭を抱える遊作

兄である晃の為にいつにも増して強気なブルーガール、SOLを信頼していない上で熱血キャラの尊…2人の譲れない思いが火花を散らす…。

なお、遊嗣はあたふたと2人を仲裁しようとし…遊作とゴーストガールは呆れ果てている。

 

 

《リンクヴレインズを救った英雄の1人、ブルーエンジェルと戦える機会はそうそうない、良い経験値となるだろう…キミが勝てれば、の話だが》

 

『AIなのに挑発が上手いじゃないの…!それから、この姿ではブルーガールと呼んでちょうだい!』

 

「……ソウルバーナー!ここは任せるぞ!オレはYu-Zと先に行く!」

 

「えっ、ちょっ…!?プレイメーカー!?ソウルバーナーは放っておいていいの?!」

 

《あー…2人とも頭に血が昇ってるし、ハッサンしなきゃ落ち着かないんじゃね?》

 

《(遊嗣、ここは尊君に任せよう…手がかりを探すのが優先だよ)》

 

「ロマンまで…ああ、もう仕方ない!!喧嘩はほどほどにしてね!!」

 

「待って!プレイメーカー!Yu-Z!!っ…データストームが…!」

火花を散らす2人を置いて遊作と遊嗣はその場を離れる…ゴーストガールは慌てて追いかけようとしたが、Aiの発生させたデータストームによって行く手を遮られてしまった…。

 

 

 

「ブルーガール!俺も、プレイメーカーと同じくデュエルとは切っても切れない人生を歩んできた…だから、意外と強いかもよ?」

 

『いいわ、見せてあげる!強化された私の「トリックスター」デッキを!!』

火花を散らす赤と青のデュエリスト…2人はスピードデュエルで激突する!

 

 

 

 

 

『「スピード・デュエル!!」』

 

デュエルダイジェスト ソウルバーナー対ブルーガール

 

 

 

互いの譲れない思いの為に衝突するソウルバーナーとブルーガール…その決闘の先攻はソウルバーナー提案のコーナー勝負を制したブルーガールだった。

 

先の「ハノイの塔事件」を経て自分を見つめ直し、『トリックスター』デッキを強化したブルーガール…先攻となった彼女は『トリックスター』の効果をフル活用する事で新たなリンクモンスター『トリックスター・ディーヴァリティス』や新たなフィールド魔法『トリックスター・ライブステージ』を発動、600の先制ダメージを与え、さらにドローする事で相手にダメージを与えられる『トリックスター・マンジュシカ』をフィールドに残す事でソウルバーナーのスキル『バーニング・ドロー』を封じに掛かる…。

 

 

対するソウルバーナーは『転生炎獣』に攻めに移ろうとするが…特殊召喚する度にダメージを与える『ディーヴァリティス』によって徐々にライフを減らされていく。

そんな中でソウルバーナーはエースたる『転生炎獣ヒート・ライオ』を喚び出すが…ブルーガールは怯まない。

 

彼女は『トリックスター』の持つ弱点──個々のモンスターの攻撃力の低さを痛感していた…故にその弱点を克服する為の強化していた…。

ブルーガールは手札から『トリックスター・キャロベイン』の効果を発動する事で『ディーヴァリティス』の攻撃力を倍化、『ヒートライオ』を返り討ちにしてソウルバーナーのライフを900まで削り取る。

 

だが、ソウルバーナーは『ヒートライオ』のリンク素材としていた『転生炎獣ウルヴィー』の効果でエースの破壊を免れ、フィールドがガラ空きになる事を回避する。

 

 

続くブルーガールのターン、彼女は『ディーヴァリティス』の効果でソウルバーナーを追い詰めようとするが、ソウルバーナーは罠カード『ゲート・オブ・ファイア』によって300以下の効果ダメージを封じる事で彼女のコンボを封じに掛かる。

しかし、彼女も黙ってはいない…新たなスキル【トリックスター・ギグ】によって自分の場の『トリックスター』モンスターの数だけデッキのカードを墓地に送り、1枚を回収…それによって新たな力──融合魔法である『トリックスター・フュージョン』を発動、新たな切り札『トリックスターバンド・ギタースイート』を喚び出す。

 

その効果は『トリックスター』の与える効果ダメージの倍化、そして与えたダメージ分の自身の攻撃力強化…さらに『トリックスター・フュージョン』のさらなる効果で墓地の『キャロベイン』を回収する事で勝負を決めに掛かる…だが、ソウルバーナーも諦めない。

手札から『転生炎獣ラクーン』の効果を発動、『ギタースイート』の攻撃力分のライフを回復、さらにこのターンの相手の効果発動を封じる事でライフを残す事に成功する…その残りは、1500。

 

 

そして返しのソウルバーナーのターン、彼は巻き上がる炎──スキル【バーニング・ドロー】で勝機を引き寄せる!

 

 

 

「俺は魔法カード『フュージョン・オブ・ファイア』を発動!!このカードは融合素材となるモンスターを墓地に送る事で融合召喚を行なう!!」

 

『融合召喚が貴方の切り札?特殊召喚したら「ディーヴァリティス」と「ギタースイート」のコンボで、貴方の負けよ?』

 

「それはどうかな?俺が融合素材とするのは『ヒートライオ』と()()()()()()()()1()()!」

 

『リンクモンスター…?貴方の場には「ヒートライオ」しか──まさか!?』

 

「そのまさかさ!『フュージョン・オブ・ファイア』はお互いのフィールドのモンスターを融合素材にできる!俺は『ヒートライオ』と『ディーヴァリティス』を融合─!!」

 

『なんですって!?』

それは最強の融合魔法の1つ『超融合』を受け継ぐ新たな力…赤と青、2つの炎が舞い上がる!

 

「現れろ!1つの狂おしき魂のもと、凶悪なる獣達の武器を集めし肉体を誇る魔獣よ!!融合召喚!!『転生炎獣ヴァイオレット・キマイラ』!!」

赤と青の炎が交わり、新生するのは紫炎の火柱…その炎を切り裂き、紅蓮の魔獣が現れる!

 

 

 

「『ヴァイオレットキマイラ』の効果発動!このモンスターの攻撃力はこのターンの終わりまで、融合素材としたモンスターの攻撃力を合計した数値の半分アップする!バトルだ!『ギタースイート』を攻撃!!」

 

『っ…攻撃力4850…!少しでもダメージを減らす!私は手札の「キャロベイン」の効果発動!「ギタースイート」の攻撃力は2倍の4400になる!!』

 

「ああ、そう来ると思ってた…!あんたは自分の弱点を見直して、そのカードを選んだ…なら、このタイミングで使わないはずがない!」

 

『っ…何が、言いたいの?』

 

「勝つのは俺って事さ…!『ヴァイオレットキマイラ』のさらなる効果発動!このモンスターが元々の攻撃力と異なるモンスターとバトルする時、自身の攻撃力を2倍にできる!!」

 

『攻撃力、9700ですって!?』

それは譲れない思いをぶつけ合った末の決着…決意の少女の旋律を荒ぶる炎が上回る!

 

 

「いけ!『ヴァイオレットキマイラ』!ヴァイオレット・ソウル!!」

 

『っ…きゃあああ!?』

紫の魔獣の魔剣がギタースイートを両断…軍配はソウルバーナーへと上がったのだった…。

 

 

 

ブルーガール LP0

 

ソウルバーナー WIN!

 

 

 

 

 

 

「そんな…!?あそこから彼女が負けるなんて…」

デュエルを観戦していたゴーストガールが思わず声を上げる…ブルーガールのタクティクスは完璧に近かった…しかし、それ以上にソウルバーナーは天運に恵まれ、逆境を跳ね除けたのだ。

 

 

「ブルーガール、アンタは俺が知ってる時よりもさらに強くなってた…」

 

《だが、キミには私のような優秀なAIがついていなかった…それが勝敗を分けたな》

 

「たくっ、自画自賛かよ?……まぁ、これからも生温かく見守っもらうとするか」

 

《ふっ…》

デュエルが終わり、壁に叩きつけられてしまったブルーガールに歩み寄るソウルバーナー…流石に頭が冷えたのか落ち着いた様子だった。

 

 

 

『AIと人間の絆が勝利生んだ…か…ちょっと、悔しい…わね──』

 

「ちょっと!?彼女に何をしたの!!」

 

「ログアウトしてもらっただけさ…っと……」

 

《大丈夫か?ソウルバーナー…》

ソウルバーナーと不霊夢の絆によって負けてしまったブルーガールは静かに意識を失う…そしてバーニングドローの反動を受けたソウルバーナーもふらつき、Dボードの上に座り込む…。

 

 

「私とデュエル!と言いたいところだけど、その様子じゃ無理そうね…相棒もいなくなったし、今回は手を引く事にするわ」

 

《そうか…なら、これを持っていくといい》

 

「ん?なんだコレ??」

へたり込むソウルバーナーへ追撃する事なく、ゴーストガールは撤退を決める…その様子を見た不霊夢はソウルバーナーの手にとあるプログラムを呼び出した。

 

 

《ゴーストガール、それはキミがプレイメーカーに預けた脱出プログラムの()()()だ、それでログアウトするといい》

 

「あら、ありがとう♡Aiちゃんより貴方の方が可愛いかもね?また何処かで会いましょう!」

不霊夢が作り出したのは緊急脱出プログラムのコピー…それを受け取ったゴーストガールはウインクと共にログアウトしていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

《………女神だ…》

 

「オイオイ、マジにすんなって…(汗)」

そんな彼女に頬を赤くする不霊夢に呆れるソウルバーナーなのだった。

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