転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

今回は『プレイバックVRAINS』S,Kエディション…という感じでお送りします。
ひとまず、連続更新はここまでかな…いい加減イベントに手をつけないと…強化クエストががが…。

そんなこんなで…最新話をどうぞ!


幕間〜とある午後のひと時〜

「遊嗣さん、遊海さんの具合はどうですか…?」

 

「うん…相変わらず眠ったまま……悪くなってないだけ良かったと思う、千年アイテムの加護のおかげだよ」

 

「そうですか…」

ブラッドシェパードによる計略から数日…遊嗣達は普通の日常生活を送っていた。

ウィンディやボーマン一味も動きを見せず、遊作達も束の間の休息を取っている…そんな中、遊嗣もマシュとの日常を過ごしているが……マシュは遊嗣が疲れを見せないように過ごしている事に気付いていた…。

 

 

 

「今日は…このあとどうするんですか?」

 

「うん、父さんのお見舞いに行って…ちょっと()の所に行ってくる、この前迷惑かけちゃったから…」

 

「そうですか…」

 

遊嗣の言う()…それはプレイメーカーの事だとマシュは知っている…本当ならば、マシュも遊海を救う為に…遊嗣の力になる為についていきたかったが……否、力になりたいと遊嗣に直談判したが……───

 

 

「今回の敵はハノイの騎士以上に危険な相手みたいなんだ…そんな危ない相手とマシュを戦わせる訳にはいかないよ……マシュの力が必要になったら必ず頼る、だから…少しだけ待っててほしい」

 

 

……と言われ、彼の言葉を信じてマシュは身を引いた、のだが…。

 

 

「(でも、私は心配です…遊嗣さん、どうか無理だけはしないでください…貴方まで倒れてしまったら……そう、伝えられれば良いのに…)」

マシュは遊嗣の持つ()()()に気付いている……それでも、それ以上の()()を決めている遊嗣に掛ける言葉を見つけられないでいたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

《草薙さんや遊作君、お土産喜んでくれると良いね》

 

「うん、この前は心配かけちゃったし…少しでもね……あっ、尊君だ…CafeNagiに行くのかな?」

マシュと別れた遊嗣はロマンと共にCafeNagiへと向かっていた…そんな時、自分達の先に何やら紙袋を持った尊が歩いている事に気が付いた。

 

 

 

「尊君!お疲れ!CafeNagiに行くの?」

 

「お疲れ遊嗣!うん、ちょっと草薙さんに聞きたい事があってさ…ああ、遊作はブレイブマックス…島君が話があるって別行動!」

 

「ああ〜…確か、『ブルーエンジェルの握手会の抽選ハガキ書くの手伝ってくれ〜!』って言われたっけ……僕は父さんのお見舞いに行くから手伝えないって断ったけど…」

 

「あはは…遊作も災難だね…」

遊作と別行動でCafeNagiへと向かう尊…なお、遊作は諸事情により別行動である。

 

 

 

《ととっ…!?わ、わあ~!!退いてくれぇぇ!?》

 

「へっ!?ギャフン!?」

 

「遊嗣!?大丈夫!?!?なんでデュエルディスクが空から降ってくるの!?」

その時、慌てた声が聞こえると同時に遊嗣に何かが衝突、遊嗣は思わず尻餅をつく……なお、降ってきたのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だった…。

 

 

《うむ、流石は都会のデンシティ…デュエルディスクが拾えるとは運がいいな!》

 

《違わい!!オレがバランス崩して落っこちたの!!》

 

《Ai!?お前、飛べたのか!?》

 

《へへーん、Aiチャンフライってな!》

不霊夢の天然発言に思わずツッコミを入れたのは落下したデュエルディスクドローンから飛び出したAiだった…暇をしていた所、草薙にCafeNagiのメニューをぶら下げた宣伝飛行を任されたのだが、風に煽られて遊嗣とぶつかってしまったのだ。

 

 

《───閃いた!尊、このデュエルディスクに車輪とエンジンを付けよう!これで田舎に帰る電車賃もいらないぞ!!》

 

「不霊夢…勘弁してくれ…!」

 

《流石にそれはネーって…(汗)》

 

《むっ…ダメか…良い案だと思ったのだが…》

 

《それよりも……Ai、キミは遊嗣に言わなきゃならない事があるんじゃないかい…!!》

 

《アッ………ゴメンナサイ、イゴキヲツケマス…》

 

「あはは…大丈夫、気にしてないよ」

天然を発揮する不霊夢に呆れる尊とAi…そんなAiに珍しく怒気を見せながらロマンが凄む…そして、慌ててAiは遊嗣に謝罪し…遊嗣は苦笑する…学生らしい平和なひと時がそこに広がっていたのだった…。

 

 

 

 

『やぁ!尊!遊嗣!来てくれたのか!』

 

「草薙さん!お疲れ様です!この前は迷惑掛けてすみません…」

 

『いやいや…あれは罠に気付けなかった俺のミスだ…それに、まさかブラッドシェパードを倒して自力で脱出してくるなんて思ってなかったよ…流石だな、遊嗣』

 

「あはは…父さんが力を貸してくれたおかげです、僕だけだったら…きっとブラッドシェパードに勝てなかった」

 

「『遊嗣…』」

そして、そんな賑やかな声を聞いて草薙が顔を出す…なお、ブラッドシェパードの罠を見破れなかった草薙は落ち込み気味だが…遊嗣は気にせず、明るく振る舞っていた…。

 

 

 

 

「…あっ、お土産にプリンを買ってきたんです!遊作君と尊君の分もあるから一緒に食べましょうよ!」

 

『こっ…これは…!?伝説のプリン『トリシューラ』!?よく手に入ったな!?』

 

「わぁ…!ボク、トリシューラプリンを食べるの初めてだ…!?……ボクもSARUバーガーを買ってきたんだけど…ちょっと見劣りしちゃうな…」

 

《ホットドッグ屋にハンバーガーって…それはナシなんじゃっアイッて!?》

 

『いやいや!ライバル店の味の研究も大切さ!ちょうどいい、男三人のティータイムにしよう!』

 

《Aiと不霊夢にもトリシューラプリンの味覚データを用意してあるよ〜!母様のお墨付きさ!》

 

『『やった〜!』』

それぞれに差し入れを買って来ていた遊嗣と尊…そして三人とイグニス達はティータイムをする事になったのだった。

 

 

 

 

《は〜…美味しかった!流石は高人気・高カロリー・高価格の人気スイーツだな!》

 

《ああ、美味い食べ物は人間の生活に潤いを与えるというが…我らも例外ではないな、他のイグニス達にも広めよう…!》

 

《ふふっ、お粗末さま!》

それぞれにハンバーガーやプリンに舌鼓を打つ尊やAi達…それは貴重な平和な時間だった…。

 

 

「それにしても…CafeNagiのハッキングルームってすごいですよね…!この中に全部の機材があるんですか?」

 

『ハッキングに機材は関係ない…一番重要なのはココ、頭脳さ!まぁ、遊作には敵わないけどな…』

 

「へぇ〜…」

改めてハッキングルームを見渡した尊が草薙に問いを投げかける…CafeNagiには最新鋭のコンピューターやハッキング機材が取り揃えられている…しかし、その機材を活かすも殺すも扱う人間の頭脳次第…。

 

だが、リンクヴレインズでトップクラスのハッカーである草薙と遊作が組めば、ほとんど()()と言っても過言ではないだろう…。

 

 

「草薙さんと遊作君…リンクヴレインズでの()()()()()ですよね!ハッカーとしても、デュエリストとしても一流の遊作君と同じく一流ハッカーの草薙さんのバックアップ…2人の協力があったからこそ、ハノイの騎士に勝てたんだと思います!」

 

《そういえば…草薙と遊作って、どうして手を組む事になったんだ?そういえば聞いた事なかったけど…》

 

《確かに…興味があるな…草薙殿、聞かせて貰えないか?》

 

『まぁ…色々あったのさ…』

そんな中、Aiが遊作と草薙が手を組むようになったキッカケについて訊ねる…それは「ロスト事件」をキッカケにした2人の出会いの物語だった。

 

 

 

 

ロスト事件…遊作や草薙仁の誘拐事件解決後、ようやく弟と再会できた翔一だったか…仁はロスト事件の影響で心を閉ざし、変わり果ててしまっていた。

 

『弟が変わってしまった事件の真相を知りたい』…その目的を果たす為、隠された真実を暴く為に翔一はハッカーとなる事を決意した…そして血が滲むような勉強の末に翔一はトップクラスのハッカーの腕前となり、ロスト事件の背後に『ハノイの騎士』という集団が存在する事を突き止めた…。

 

 

そして、当時からリンクヴレインズで『サイバース狩り』をしていたハノイの騎士を調査していた翔一は少しのヘマからハノイの騎士に追い詰められてしまう…そこへ駆け付けたのが──当時『Unknown』というアバターネームで『ハノイの騎士狩り』をしていた遊作だった…。

 

当時の遊作は『サイバース』デッキを持っていなかったが…ハノイの騎士構成員を歯牙に掛けないほどの強さのデュエリストだった。

 

 

翔一は直感した…ハッカーとしての自分とデュエリストとして高い実力を持つ遊作…2人が力を合わせればハノイの騎士に立ち向かう事ができると。

 

 

そして、紆余曲折を経てリアルで接触した翔一と遊作は意気投合…手を組むに至ったのだ…。

 

 

  

 

 

「───あれ?サイバースデッキって、プレイメーカー…遊作君の看板デッキなのに、まだ持ってなかったんですか??」

 

『ああ…あのデッキは俺と遊作の絆…「誓いのデッキ」なんだ』

 

《誓いのデッキ…》

草薙から語られる遊作との出会い…そんな中、遊嗣はこの時点での遊作がサイバースデッキを持っていなかった事に疑問を抱く。

 

そして…それに応えるように草薙は遊作との『冒険』について語り始めた…。

 

 

 

 

遊作と翔一が行動を共にするようになってしばらく…ハノイの騎士狩りを続けていた遊作だったが、ヒラ構成員であるハノイの騎士からはロスト事件に関する情報を手に入れられないでいた。

 

そんな中、遊作はハノイの騎士がサイバース族狩りをするのはハノイの騎士がサイバース族を恐れているからだ、という予想をする…そしてとある情報からリンクヴレインズのダンジョンにサイバース族デッキが眠っていると知った2人はダンジョンへと潜入する事となった…。

 

 

 

そして、遊作達は洋画に出てくるようなリンクヴレインズ内の隠しダンジョンへと潜入…数々の罠や仕掛けを乗り越えた先に待っていたのはデッキを手に入れる為の試練──『詰めデュエル』だった。

 

その詰めデュエルの難易度は高く…遊作達より先に試練の場に辿り着いたハノイの騎士はクリアする事ができず、深淵から現れた化け物に喰われてしまう。

 

 

チャンスは一度きり、そんな状況でも遊作は怯まなかった。

 

ロスト事件によって途切れた過去を取り戻し、ハノイの騎士…ロスト事件の犯人へと復讐する…その目的を果たす為に。

 

 

そして、遊作は圧倒的なタクティクスによって詰めデュエルを突破したが…サイバースデッキを手に入れる事はできなかった……何故なら、詰めデュエルは最後の試練であり()()()…褒美であるサイバースデッキは現実世界の某所に隠されていたのだ。

 

遊作はデュエルに隠された暗号を見破り、サイバースデッキを手に入れる…この事件によって遊作は草薙との絆を深め…そして改めてハノイの騎士への復讐の使者『Playmaker』を名乗り、ハノイの騎士との戦いに身を投じたのだった…。

 

 

 

 

《遊作と草薙殿にそんな出会いがあったとは…熱くなるな…!》

 

「うん、試練を乗り越えて絆を深める…だから遊作君も草薙さんに全幅の信頼を置いてるんだね」

 

「信頼といえば…遊嗣はどうやって遊作と出会ったんだい?プレイメーカーは神出鬼没…だけど、キミはハノイの塔の事件の時には親しげに遊作と話してたよね?」

 

《む…そういえば……ロマンとの出会いも気になるな》

草薙から遊作との出会いと『Playmaker』誕生秘話を聞いた尊と遊嗣…そして話題は遊嗣と遊作との出会いへと移っていく。

 

 

 

《へへっ、なかなかドラマチックな出会いだったよなロマン!》

 

《ドラマチックというか、Aiが迂闊だったというか…偶然?》

 

《オイ〜!?》

 

《ごめんごめん!冗談だって!まぁ…ボク達を引き合わせてくれたのは──ブレイブマックス、島君なんだけどね》

 

「えっ?なにそれ!?気になる!」

Aiの言葉に冗談で返すロマン…そして、語られたのはハノイの騎士との戦いの一幕だった。

 

 

 

 

 

ハノイの騎士に追われた闇のイグニス…Aiを遊作が捕らえ、ハノイの騎士との対決やGO鬼塚やブルーエンジェルとの出会い、そしてハノイの騎士のリーダー・リボルバーとの直接対決を乗り越えた彼は新たな事件──電脳ウイルス感染による集団昏倒事件『アナザー事件』に巻き込まれる事になる。

 

アナザー事件はハノイの騎士の幹部・三騎士がプレイメーカーを炙り出すべく、彼と同世代のハッカーやデュエリストを襲い、電脳ウイルスを感染させる事で昏睡させた…だが、末端のハノイの騎士は無差別に人々を襲い始め…事態は悪化の一途を辿っていく事になる。

 

そんな中、三騎士のドクター・ゲノムをGO鬼塚が…電脳ウイルスの開発者であるバイラをブルーエンジェルが撃破した事で治療用プログラムが散布され、事態は少しずつ改善していく……そんな中で最後の三騎士が動き出した。

 

 

発端はAiがハノイの騎士の騎士を壊滅させるべく、サイバース族のカードである「サイバース・マジシャン」のデータを島直樹/ブレイブマックスに送り付けた事…Aiの撒き餌によって最後の三騎士・ファウストが動き出し、現実世界で島を拉致した上でリンクヴレインズに強制ログインさせ、プレイメーカーを誘い出そうとした。

 

その際、島はリンクヴレインズで自分の本名を告白…それを見ていた遊嗣が友人である彼を助ける為にリンクヴレインズへと飛び込んだのだ。

 

 

 

《Ai、脅威を排除する為とはいえ…無関係の人間を巻き込むのはどうかと思うぞ…》

 

《いや!オレもサイバース世界に帰りたくて必死だったんだって!!遊作や島の奴には悪い事したって思ってるよ…》

 

「まぁまぁ…そこで僕は初めてプレイメーカー…遊作君と会う事になったんだ」

 

《ははっ、あの時のAiの驚きぶりはすごかったね!》

 

 

 

島をファウストから守る為に共闘するプレイメーカーとYu-Z、プレイメーカーはファウストを…Yu-Zはファウストが暴走させたSOLテクノロジーのAIデュエリストを倒し、島を助け出す事に成功した……その時、Aiが遊嗣の持つ特異な「匂い」に気が付き…ついにロマンは遊作達と対面する事になったのだ。

 

 

 

《それでオレが遊嗣達をCafeNagiに誘って…今に至るって訳!》

 

『おいおい、端折りすぎだぞAi…遊作はそこで自分の事情を掻い摘んで伝えたんだ…真っ直ぐな目をした遊嗣の思いに応える為にさ…』

 

「あはは…ちょっと恥ずかしいかな……」

 

『いやいや…あの時の遊嗣の言葉は遊作の心に響いたんだよ…ぶっきらぼうで分かりにくいけどな?』

 

「えっ、その時遊嗣はなんて言ったの?」

 

「それは───」

 

《「きみは1人じゃない」…ただ、遊嗣はそう言ったんだよ》

 

《なに?それだけか?》

遊嗣が遊作に伝えた言葉…そのあまりの短さに不霊夢は驚いた表情を見せる。

 

 

「遊作君や草薙さんが戦う理由が『復讐』の為だと聞いた時、僕は兄ちゃん…凌牙兄から聞かされた言葉を思い出したんだ…『復讐しようとしたら、それは全てを燃やし尽くすまで止まらなくなる』…復讐に身を任せたらその炎は仇だけじゃなく、自分すらも燃やし尽くしてしまうって……だから、その時の僕はそれを伝えるので精一杯だったんだ…遊作君は同情も復讐を止めさせる言葉も聞きたくない…なら、僕にできるのは彼を1人にさせない事だけだったから…」

 

『遊嗣…そこまで考えてくれてたのか……ありがとう、お前の言葉が与えてくれた()は最後の戦いで遊作が諦めずに戦う力になったはずだ』

 

「そうですか…なら、よかった!」

当時の心境を語った遊嗣に草薙は感謝を伝える…遊嗣が受け継いだ()は遊作の心を守ったのだと…。

 

 

 

「2人にそんな出会いがあったんだ…遊作が遊嗣を信頼してる理由が分かって納得だよ!でも…この時は遊作も草薙さんも遊嗣がボク達の大恩人──『鋼の騎士』の息子だとは知らなかったんだよね?」

 

「というより…僕自身も父さんの()()を知らなかったんだよね……いや、まさかデュエルモンスターズ黎明期からの伝説のデュエリストが生きてて、僕が実の息子だなんて思ってもなかったよ…」

 

『そういえば…俺は遊作とあの人が再会した瞬間を見てないんだよな…あの数分間、リンクヴレインズのカメラは軒並みダウンしてたし…』

 

《うむ、私もハノイの塔の事件のデータは色々と調べたが…その辺りの情報はまったく無かったな》

遊嗣や草薙によって語られる2人の出会いの物語…そして、話はハノイの事件における影のMVPにして遊作達の恩人…白波遊海の話題となる…。

 

 

 

《いや、もうすごかったぜ?凄すぎる…ってぐらい、語彙がなくなっちゃう》

 

《ふふっ…そう言うと思って、僕の母様…白波遊海の相棒である彩華から当時の記録データを貰ってるよ……見てみるかい?》

 

「『《見たい!》』」

 

「うっ……あの時かぁ……トラウマってほどじゃないけど、情けなかったなぁ…」

実は遊海の活躍を見た事がないという草薙…そんな彼に対してロマンはアヤカから預かっていた記録データを映し出した…。

 

 

 

ハノイの三騎士が倒れ、束の間の平和を過ごしていた遊作達…しかし、その平穏は一瞬にして終わりを告げた。

 

ハノイの騎士の最終計画『ハノイの塔』…リンクヴレインズそのものを巨大な『データの爆弾』と化す事でネットワーク世界の何処かに隠されたサイバース世界を世界中のネットワーク諸共に破壊しようとした最悪のサイバーテロ…それを阻むべく、復讐者プレイメーカー、リンクヴレインズのカリスマたるGO鬼塚とブルーエンジェル、そしてYu-Z…後に『リンクヴレインズの英雄』と呼ばれる事になる4人はリンクヴレインズへと突入した。

 

 

その最中、ブルーエンジェルはリボルバーの腹心にして遊作達と同じ『ロスト事件』の被害者・スペクターに敗れ…彼の毒牙は遊嗣へと向かった。

 

遊嗣の恋人であるマシュをアナザー事件に巻き込み、ブルーエンジェルを倒したスペクターに怒りを燃やした遊嗣は切り札たる『レッドアイズ』デッキを解放し、彼に挑んだが…それまでのデュエルを分析され、デッキの傾向を見抜かれていた事で敗北…致死量の電脳ウイルスを打ち込まれ、遊作の冷静さを奪う為の一手とされてしまう…。

 

 

自分の無力さを嘆き、涙を溢す遊嗣……その涙は遥か彼方の世界にいた英雄を呼び戻す()()()となった。

 

 

壊れていくリンクヴレインズに吹き荒れる黄金の嵐…その中から現れたのは遊嗣の父にして遊作の恩人…『鋼の騎士』白波遊海…彼は一瞥で状況を把握すると遊嗣を治療、狂気のデュエリストであるスペクターを諌めるべくデュエルを挑む。

 

そのデュエルは『圧倒』の一言…あえてのノーガードでスペクターの攻撃を受けきった遊海はそのタクティクスと空間が歪むほどの『怒り』でスペクターを圧倒……途中でブルーエンジェルの兄である財前晃を人質に取るという小細工を使うも、それすらも一蹴して遊海はスペクターに勝利…満身創痍の遊嗣を連れてリンクヴレインズから去ったのだった…。

 

 

 

「すごっ…!?こんな事が起きてたなんて……でも、この時点では『鋼の騎士』は白波遊海だって名乗ってない…?」

 

《ああ、遊嗣を連れて撤退したアイツはもう1つ、とんでもない事をやらかしたんだ》

 

 

 

そして、ハノイの塔事件は最終局面を迎える…遊作よりも先にハノイの塔に辿り着いた鬼塚は激戦の末にリボルバーに敗れ…ついに遊作は因縁の相手とスピードデュエルで衝突…しかし、突発的なトラブルによってデュエルは相討ちとなり、遊作とリボルバーはリンクヴレインズから弾き出された。

 

そして…戦いの中でリボルバーの潜伏場所に気が付いた遊作達はアジトへと突入…そこでリボルバーこと鴻上了見、そしてロスト事件の元凶である鴻上聖、さらに遊作達より先にアジトに辿り着いた『鋼の騎士』と出会う…。

 

先のスピードデュエルで自分の寿命を削り、命を落としたという鴻上博士…だが、そこで自分が伝説の決闘者である白波遊海だと名乗った遊海は奇跡を起こす。

 

命を落としたはずの鴻上博士を蘇生…生き返らせたのだ。

 

 

 

「ロスト事件の元凶…鴻上博士が生きてる!?本当なのか!?」

 

『ああ…あの人曰く、仮死状態だったから…あの人が持つ規格外の「精霊の力」で鴻上博士を蘇生できたらしいんだ』

 

「うん、父さんや母さんは少しの怪我なら一瞬で治療できるサイコデュエリストでもあるんだ」

 

《まぁ、その先が痛快でさ───》

 

 

 

 

遊海に生き返らされ、健康体になった鴻上博士はAi…イグニスへと敵意を向ける…その姿は穏やかな遊海の逆鱗に触れた。

 

それは10年越しの「闇の裁き」…罰ゲーム『マインド・クラッシュ』を受けた鴻上博士は精神を粉砕され、再び無間の闇の中へと落とされたのだった…。

 

 

 

 

『鴻上博士は厳重な警備が敷かれた警察病院送り…未だに正気には戻っていない……いい気味だよ』

 

「そんな事が…」

 

《……少し、複雑な気持ちだが……尊や遊作達を苦しめた鴻上博士には…相応しい末路だな》

鴻上博士の辿った末路を聞いた尊は目を見開いて驚き…不霊夢は静かに目を伏せた…。

 

 

「父さん…ボロボロなのに、そんな事してたなんて……絶対に、助けてみせるからね…!」

 

《遊嗣……そうだね、マスターや草薙さんの弟を助ける為に頑張ろう…!》

 

「うん…!」

そして、自分が知らない遊海の…父の活躍を知った遊嗣は決意を固めたのだった…。

 

 

 

「ところで…ここまで僕と草薙さんが色々話したんだから…次は尊君の番だよ?」

 

「えっ?ボク?」

 

《そうそう!お前と不霊夢はどんな出会い方をしたんだよ?オレ達ばっかり話してるのはフコーへーだぜ?》

 

《それもそうだな!では、語ろうではないか…私と尊の情熱的な出会いを!!》

 

「いや、どちらかといえば───熱血物語、じゃないかな」

そして…話は尊と不霊夢の出会いについて……それはロスト事件の被害者である尊が立ち直るまでの物語だった…。

 

 

 

 

ロスト事件──それは6人の子供達の運命を狂わせた…遊作は記憶を失い、仁は精神を病み、スペクターは心の拠り所を失った……そして尊は他の三人に比べれば()()…とは決して言えないが2つの大切なモノを失った。

 

1つは『平穏な生活』…彼の両親は誘拐された尊を必死に捜索する中で大きな事故に遭い、後遺症の残る()()を負ってしまった。

そして2つ目は『デュエルへのトラウマ』…ロスト事件以前はデュエルが大好きな少年だったが…ロスト事件での地獄のデュエル生活の中でとあるカードによってトラウマを刻まれてしまった…。

 

その2つのトラウマは尊の心を歪ませ……祖父母と共に田舎で暮らしていた尊は地元では知らぬ者がいない『不良』になっていた…。

 

 

 

 

「えっ…尊君がヤンキー!?まったくそんな風には見えないけど!?!?」

 

《という事は…ソウルバーナーとしての姿が尊君の素の性格…という感じかな?》

 

「まぁ、そんな感じだけど…ボクの()()()姿()って感じかな?不霊夢と一緒に戦う()が…プレイメーカーやYu-Zと肩を並べるのに()()()()()()()()と思ってさ」

 

『なるほど…やっぱり、不霊夢と尊も似た者同士って事か』

尊の思わぬ一面を知って驚く遊嗣とロマン…そして、話は尊の運命の出会いへと進んでいく…。

 

 

 

 

遊作達がリンクヴレインズで『ハノイの塔』事件を解決してしばらく…尊はヤンキーとしてフラフラとしながらも、幼馴染の少女・綺久に心配されながら過ごしていた。

 

そんなある日、尊の周囲で異変が起こり始める…テレビやパソコン、タブレット…電子機器を目にする度に『影』を見るようになり、異様な声も聞こえるようになった……その声からプレイメーカーの名やリンクヴレインズの事を初めて知った尊…そんな彼に転機がやってくる。

 

ふとした事で押入れに封じ込めていたデュエルディスクを取り出した尊…そのデュエルディスクから炎のイグニス、不霊夢が現れた……それまで尊が目にしていた『影』は尊に接触しようとしていた不霊夢のモノだったのだ。

 

……しかし、そのファーストコンタクトは『最悪』の一言…ロスト事件の経験からいわゆる『お化け恐怖症』になっていた尊は不霊夢を幽霊や付喪神と勘違い…擦った揉んだの大騒ぎとなってしまったのだ…。

 

 

 

 

《不霊夢…もうちょっと、やり方があったんじゃねぇか…?》

 

《尊がデュエルディスクを仕舞い込んでいた上に、田舎で電子機器が少なかったのだ…仕方あるまい》

 

「……僕ならデュエルディスクを投げ捨ててたかも…?」

 

「あはは…ボクも危うく収納ケースを投げつけてたよ…」

 

《モノは大切にしようね…(汗)》

 

 

そんなこんなで不霊夢からロスト事件の真相やプレイメーカーの正体を聞かされた尊…そんな中で彼の運命を変える事件が起きる…。

 

 

 

幼馴染の綺久が尊を毛嫌いする別の不良グループの男、水沼の一味に絡まれ連れ去られたというのだ…そして水沼は綺久を返して欲しければ自分とデュエルしろ、という伝言を残した…。

 

 

幼馴染を助ける為、不霊夢の宿るデュエルディスクを持って指定の場所へと向かう尊…そこで尊は自分のトラウマの元凶──アンデッド族モンスター『闇より出でし絶望』と対峙する事になってしまった…。

 

 

『闇より出でし絶望』を見て地獄の日々がフラッシュバックして取り乱す尊…しかし、その尊に不霊夢は必死に声を掛け、彼を鼓舞した…!

 

 

《心から自分と向き合え!キミの人生はこれからだ…生まれ変わって未来を掴め!勇気を出すんだ…!()()()()!穂村尊!!》

 

 

そして…不霊夢の叱咤激励を受けた尊はトラウマを克服…水沼を倒し、幼馴染を助ける事ができたのだった…。

 

 

 

 

 

「そしてボクは不霊夢の仲間を探す為にデンシティにやってきたって訳……って、遊嗣大丈夫!?めっちゃ泣いてるけど!?」

 

「いや、そんな話を聞かされたら泣いちゃうって…!尊君も不霊夢もすごいよ…!」

 

『ああ…遊作もリボルバーと決着をつけるまではトラウマに苦しんでいた…それを不霊夢の言葉と自分の意思で乗り越えたんだ、尊もすごい男だよ』

 

《フッ…ソウルバーナーの生みの親として、私も鼻が高いな》

 

「はいはい…」

自分の昔語りを終えた尊…しかし、思いのほか遊嗣の反応が大きく、草薙からも褒められた事で照れくさそうに笑っている。

 

 

 

「でも…尊君が田舎からデンシティに来るって…おじいちゃん達やご両親は心配してるんじゃない…?」

 

「ああ…でも、父さん達は応援してくれてるんだ…()()()もされたしさ」

 

「頼み事?」

田舎に残っているという尊の祖父母や両親を気にする遊嗣…そんな中、尊はデンシティに来たもう1つの()()を明かす…。

 

 

 

「10年前、ボクを探す中で父さんや母さんは大きな事故に巻き込まれた…その時、自分の危険を顧みずに父さん達を助けてくれた人達がいたんだ…その人達は名乗りもせずに行っちゃったらしいんだけど…その人達を都会のデンシティで探してお礼を言ってほしいって…」

 

《へぇ〜…ちなみにさ、その尊の親父さん達の命の恩人の特徴かなんかって聞いてるのか?》

 

「うん!1人はすごくガタイの良いモヒカンの大男、もう1人は褐色肌の青年、最後の1人は()()()()()で父さん達の痛みを和らげてくれた逆立ったオレンジ色の髪の男の人だった…って聞いてるよ」

 

「……うん…?モヒカンの大男…褐色肌…?オレンジ色の髪?ち、ちょっと待って!!」

 

「えっ?どうしたの遊嗣??」

都会であるデンシティに両親の命の恩人の手がかりを探しに来たという尊…その特徴を聞いた遊嗣はデュエルディスクに記録された画像を遡っていき───

 

 

 

「あ、あった!これ見て!!去年、ハートランドの家でバーベキューした時の写真なんだけど…」

 

《おーおー…ずいぶんな人数が集まって……あっ、これ…先代決闘王の九十九遊馬じゃん!》

 

天才(ジーニアス)二世と言われる天才科学者、天城カイト博士…すごい人脈だ…流石は遊海さんか…』

 

《あ、ヤバ…》

それは遊嗣の思い出の1ページ…ハートランドの実家でのバーベキューの写真だった、そこには遊海や翠、遊馬や凌牙、カイト…そしてギラグやアリト、真月など…『ZEXAL』の仲間達が笑顔で写っていた…。

 

 

 

「あっ──聞いてた特徴と同じだ!!遊嗣、この人達は!?」

 

「えっと…大柄な人がギラグさん、ラテン系な感じなのがアリトさん…オレンジ色の髪の人が真月さん!みんな凌牙兄や遊馬さんの古い知り合いなんだって!ナナコウの絆は永遠だーなんて言ってたっけ…」

 

『ナナコウ……七皇…?いや、まさか…?』

 

《草薙?どうしたんだ?》

 

『いや…ハートランドを中心に異世界人バリアンが俺達の住む世界に戦争を仕掛けてきたナンバーズ大戦……そのバリアン達は七皇と名乗っていた…なんて情報を見た覚えがあってな…?いや、まさか───』

 

「ふぅ…疲れた…島の奴、オレの秘密というから何事かと思えば……ん、遊嗣、尊…大丈夫か?」

両親の恩人の手がかりを得た尊…その横で草薙は昔の事件の内容を思い出し──そこに島の事を振り切った遊作が帰ってきた…。

 

 

 

《おかえり遊作君!トリシューラプリン食べるかい?》

 

《おお!おかえり遊作!今、みんなで男子会してた所なんだぜ?》

 

「男子会?」

 

『ああ、とりあえず、まずは腹ごしらえしてからだな…鉄板でSARUバーガーを温め直すよ』

 

「お疲れ遊作君!島君、ブルーエンジェルの握手会の事でしょ?大変だったね…」

 

「ああ…今は他のイグニスやボーマンの事を調べるのが優先だ…アイツに構ってる暇はない」

 

「うん、そうだね遊作…ボーマンの一味を見つけて、サイバース世界で起きた事の真実を知る…そして奪われた意識データを取り戻す!……まぁ、気を張り続けるのも疲れるし…休める時には休もうよ」

 

「…そうだな」

 

 

 

 

それは戦士達の束の間の休息、彼らが本来過ごすべき青春の1ページ……これが嵐の前の静けさである事を、彼らはまだ知らなかった…。

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