転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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アカデミア買収!?~万丈目グループの野望~

「うっ…こ…こは…?」

「目が覚めたかにゃ?遊海くん?」

「大徳寺…先生?」

「そうにゃ!何があったか覚えてるにゃ?」

 

何をしてたんだっけ…カミューラとデュエルして…人形にされて…翠が…翠!?

 

「大徳寺先生!翠…翠は無事ですか!?アタタタ…」

「遊海くん落ち着くにゃ!翠さんは隣で眠ってるにゃ!」

 

そういわれ隣を見ると、首に包帯を巻いた翠が寝息をたてていた…よかった…

 

「大徳寺先生…カミューラは?」

 

「カミューラは十代君が倒したにゃ!今日は君達が元に戻って4日目にゃ…二人とも酷く衰弱してたからにゃ…それに翠さんは…」

 

「翠に…何かあったんですか!?」

 

「…君を助けようとカミューラにデュエルを挑んで…カミューラが幻魔の扉を発動させて君を人質にした…ここまでは覚えてるにゃ?」

 

「はい…その後、俺は完全に意識を無くしてますから…」

 

「翠さんはその後デュエルに敗北したにゃ…それで…吸血鬼であるカミューラに血を吸われたんだにゃ…」

 

「血を…!?」

 

「彼女がカミューラとデュエルする条件がそれだったそうにゃ…そのあとすぐに人形にされて、いまだに意識は戻らないにゃ…」

 

「そんな…!」

 

「とりあえず簡単な錬金術検査をしたけど幸い、吸血鬼の因子は見つからなかったにゃ、とりあえずは安心してほしいにゃ!」

 

「そう…ですか…、ありがとう大徳寺先生…」

 

「いいんだよ、いつも治療してもらってるお礼にゃ…そうだ!お腹がすいたでしょう!今、トメさんにお粥作ってもらうからちょっと待っててにゃ!」

 

そう言って大徳寺先生は走っていった…。

 

 

「翠にまた心配かけちゃったな…でも吸血鬼か…アヤカ!」

 

 

「アヤカ?…いないのか?」

 

 

「あれっ…?ウィンダ?ウェン?トフェニ…?」

 

 

「嘘だろ?誰もいないのか?」

 

 

 

 

 

 

「白波先生!大丈夫…うわ!?」

「アニキ?どうしたんすか?」

 

 

 

しばらくして十代と翔が見舞いにきたが…何か様子がおかしい…?

 

「十代!カミューラを倒してくれたそうだな!ありがとう、助かったよ!」

 

「お…おう…遊海先生…大丈夫か…?」

 

「なんとかな…それよりか俺と翠の精霊達を知らないか?さっきから誰も反応がないんだよ…」

 

「白波先生…視えてないのか…?」

 

「えっ?」

 

「先生の周りでみんなが喋ってて凄い事になってるんだけど…」

 

「なんだって?」

 

 

十代vision

 

 

《マスター!?私はここにいますよ!?見えて無いんですか!?》

 

《主殿!》

 

《遊海さん?どうしたの!?》

 

《完全に無視?》

 

 

十代vision OFF

 

 

「嘘だろ…」

精霊が見えなくなってる…!?

 

「えっ?えっと…先生、アヤカっていう精霊が実体化の許可をくれ…って…」

 

「わかった…アヤカ!実体化を許可する!出てきてくれ!」

 

 

「あれ?」

 

「…エネルギーが足りない?」

 

「まさか…!」

遊海は傷む体を起こしカードケースから「ディアンケト」を取り出す、そして翠に近づいて…

 

「『ディアンケト』よ!傷を癒せ!」

 

シーン…

 

「白波先生?どうしたんすか?」

 

「まだだ!精霊アーマー起動!」

 

シーン…

 

「白波先生?」

 

「精霊の力が…使えない…」

 

「「えっ!?」」

 

 

 

 

 

 

 

その後、十代を介してアヤカに聞いたところ、俺の力のレベルが80あったのが1まで下がってしまったらしい…ついでに十代は40、翔は5だそうな…。

 

原因おそらく、カミューラの使った「幻魔の扉」、ほぼ魂だけの状態で近づいたから幻魔に力を根こそぎ吸われてしまったんだろう…。

 

「先生…アヤカが何か方法はないか?って」

 

「う~ん…アヤカ!ミレニアムモードを解除!アイテムを出してくれ!」

すると虚空から金色の卵が現れ…遊海の頭に直撃する

 

「がっ!?キュウ…」

 

「先生!?大丈夫か!?」

 

「あれ…この玉…どこかで…ウジャトの眼?」

翔が玉を拾い上げる

 

「翔!それはタイタンと戦った時の!?」

 

「闇の番人!?先生!?」

 

「イタタ…ああ、あの時の闇の番人は俺だよ、タイタンが許せなくてな…」

 

「じゃあ…この玉は…失われた千年アイテム!?」

 

「でもこんなのなかったぜ…だいたいアイテムの数は7つだし…」

 

「あ…ボタンがある…ポチっ」

 

「翔!?玉を離せ!」

 

「えっ!?どわ!?」

 

《₡₡₡₡$$$₮$₮₮₮₢↓!!》

翔が千年玉のボタンを押すと女邪神ヌヴィアが飛び出していった…廊下の先で悲鳴が上がる…

 

「十代…たぶん何か精霊が飛び出していったと思うから止めてくれ…」

 

「わかった!?」

 

「遊海先生ごめんなさい!行ってきます!」

 

十代と翔は部屋を飛び出していった…頼んだぞ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…千年玉でもダメか…やはり三幻魔を倒さないと…アヤカ!見えないけど俺と翠を頼んだぞ!」

 

《(はい!わかりました!)》

 

 

 

 

  

Prrr…Prrr…

 

「電話か…はい!岸波です!」

 

『遊海か?オレだ!息災か?』

 

「海馬社長!?半年振りですね、どうしました?」

電話の相手は海馬社長だった、しばらく振りの電話である。

 

『お前に仕事の依頼だ!』

 

「なんですか?」

 

『「アカデミア」の用務員として万丈目グループの兄弟とデュエルしてもらうぞ!

 

「ファッ!?」

 

 

 

 

話を聞くと世界を手中に収めようとする万丈目グループが、デュエルアカデミアを買収したいらしい…カードゲーム界を手にいれる足がかりとかなんとか…。

 

それで買収の条件としてアカデミアに在籍する弟の隼と用務員の俺にデュエルで勝つことを提示したそうだ…ハンデつきで…。

 

「それでハンデとは?」

 

『弟には攻撃力500以下のモンスターのみ、お前はフルモンスターで攻撃力1500以下のモンスター限定だそうだ!負けるんじゃないぞ!試合は3日後だ!』プッ

 

 

 

 

 

「攻撃力1500以下のフルモンスター?…あれでいいか…その前に体…治るかな…治るか、不死身だし…」

 

その後、俺は体を休めつつデッキ調整を続けた…結局試合の日まで翠が目覚める事はなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして決闘当日…万丈目は兄・長作と対戦し攻撃力0のモンスター達とおじゃま3兄弟・カオスネクロマンサーで勝利をおさめた、次は俺と次男・正司の番である。

 

 

 

「君がアカデミアの用務員かい?」

黒い高級そうなスーツを着た青年が話かけてくる

「はい、岸波と言います!よろしくお願いします!」

 

「ふん!海馬オーナーが君を指名するからデュエルするが…みすぼらしい格好だな…」

 

「すいません…先日怪我をしまして…」

今の俺の格好は、普段の作業着に全身包帯だらけである…精霊の力が抜けたせいか怪我の治りが遅い…

 

「怪我をしていようが関係ない!ハンデはわかってるな?」

 

「はい、『フルモンスターで攻撃力1500以下のモンスターのみ』ですよね?」

 

「そうだ!兄は負けたが俺が勝てばイーブンだ!倒させてもらう!」

 

 

「先生…大丈夫か?体は治りきってないんだろ?」

十代が話かけてくる

 

「ああ、大丈夫だ!怪我をしてるなら、してるなりの決闘方法がある、それを見せよう!」 

 

 

 

 

 

 

 

 

『レディース&ジェントルマン!これよりアカデミア買収を賭けた第2試合!万丈目 正司対アカデミア用務員!しら…岸波 白野のデュエルを始めるノーネ!』

 

「「わあああああ…!」」

 

クロノス先生が司会をしている…そういえばテレビ中継してるんだっけ…

 

「白野さん!頑張ってくれ~!」

「金持ちの高慢ちきに負けるな~!」

「白野先生!頑張って~!」

 

 

 

『両者用意はいいノーネ?』

 

「ああ!」

「はい!」

 

『それでーはデュエル!開始なノーネ!』

 

 

 

カーン!

 

 

 

 

 

      「「デュエル!」」

 

 

 

 

 

 

正司 LP 4000

遊海 LP 4000

 

 

 

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「俺のレアドラゴンデッキを見せてやる!手札から『融合』を発動!手札の『ロードオブドラゴン』と『神竜ラグナロク』を融合!現れろ!『竜魔人キングドラグーン』!」

半人半竜の魔人が現れる ATK 2400

 

「『キングドラグーン』の効果発動!手札から『タイガードラゴン』を召喚!」

虎柄の竜が現れるATK 2400

 

「さらに『アレキサンドライトドラゴン』を召喚!」

全身が神秘的な輝く宝石の竜が現れる ATK 2000

 

「これでターンエンドだ!この輝くドラゴン達に勝てるかな?ハハハハ!」

 

正司LP 4000

キングドラグーン タイガー アレキサンド 手札2

 

 

 

 

『万丈目 正司!いきなり高い攻撃力のモンスター達を展開したノーネ!攻撃力1500以下というハンデの中どうやって勝つノーネ!?』

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「あっ…(ワンキルだこれ…)」

 

《(やっちゃってください!マスター♪声は届かないでしょうが応援してますから!)》

 

「手札の『超重武者ビックワラーG』は墓地に魔法・罠が無いときに特殊召喚できる!」

唐笠を被ったわらじのようなロボットが現れる ATK 800

 

「ふん、攻撃力800?俺のドラゴン達に勝てるわけないじゃないか!ハッハッハッ!」

 

「そして『ビックワラーG』は生け贄にする時、2体分になれる!俺は『ビックワラーG 』を生け贄に…現れろ!動かざること山の如し!不動の姿、今見せん!!『超重武者ビッグベンーK』!」

刺叉のような武器を持った鎧を着たロボットが現れる DEF 3500

 

「守備力3500!?(あれじゃあ攻撃できねぇ!)」

 

「バトル!」

 

「何!?守備表示では攻撃できないのではないのか!?」

 

「『ビッグベンーK』は守備表示で攻撃できる!その時守備力を攻撃力として扱う!」

 

「なんだと!?」

 

「『ビッグベンーK』で『キングドラグーン』を攻撃!『不動の地割れ』!」

ビッグベンKが足踏みし地割れがキングドラグーンに迫る

 

「さらに手札から『超重武者装留バスター・ガントレット』の効果発動!このカードを手札から墓地に送り『ビッグベンK』の守備力を倍にする!」

 

「守備力が倍?…ということは…!?」

 

DEF 3500→7000

 

『実質、攻撃力7000…ナノーネ…つまーり…?』

 

「いけ!『不動の山岳』!」

地割れに続きビッグベンKが拳を地面に突き刺す、そしてキングドラグーンの下から山が突き上げ、正司は落ちてきたキングドラグーンの下敷きになった。

「ぐええぇぇ~!?」

 

正司LP 4000→0

 

遊海WIN!

 

 

 

 

 

 

 

『デュエルエ~ンド!勝者は岸波 白野!ナノーネ!』

 

 

「「わあああああ!!」」

 

 

 

「白野さんすげぇ!」

 

「あの布陣をカード三枚で突破した!?」

 

「いつも失礼な態度ですいませんでした!」

 

生徒達が歓声を上げる!

 

 

 

 

 

「ちょっと待った!!」

 

正司が待ったをかける

「ハンデは攻撃力1500以下のモンスターと言ったはずだ!ズルではないのか!?」

 

「超重武者のダメージはあくまで守備力で計算をおこないます!ズルではありません!」

 

「ぐっ!おのれ…俺は認めんぞ!」

 

 

 

 

 

「見苦しいぞ!万丈目 正司!決闘の結末…確かに見させてもらった!」

 

 

 

 

 

 

「この声は…まさか!」

 

「久しいな!白野!いや…遊海!その姿はどうしたのだ?」

 

「海馬社長!?」

 

俺の後ろから現れたのはKC社の社長、そしてアカデミアのオーナーの海馬社長だった…というか名前!?

 

「海馬社長だ!?」

 

「オーナーがなぜここに!?」

 

「ユウミ…?」

 

「まさか…伝説の決闘者…『赤帽子』の白波 遊海!?」

 

ほら…こうなった…

 

俺は作業着を脱ぎ捨てて、いつもの姿になる

 

 

 

 

「嘘だろ…?アカデミアに伝説の決闘者がいたなんて!」

 

 

 

 

 

「あ~あ…大混乱ッスねアニキ…」

 

「スゲェ…海馬社長…本物だ…!!」

 

「聞いてないし…」

 

 

 

 

 

 

 

「こやつは俺の認めた3人目の決闘者!ルール違反をする筈が無いだろう愚か者!」

 

「そんな…馬鹿な…」

 

 

 

「海馬社長…どうして…」

 

「ふん、貴様が手負いだと聞いてな…発破をかけにきたが、杞憂だったようだな!」

「万丈目グループよ!買収の話は白紙撤回させてもらう!上がこれではアカデミアを任せる事はできん!話は以上だ!島から立ち去るがいい!フハハハハ!」

 

そう高笑いしながら海馬さんは立ち去った…。

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして俺は保健室に戻る事ができた…たくさんの生徒達に揉みくちゃにされて大変だったが…まあしょうがないだろう…。

 

「翠…ただいま…」

 

「…」

 

翠は今だ目覚めない…どうすれば…ん?

 

ベット脇のテーブルにフルーツの盛り合わせと花が置いてある…いつもはドローパンなのに…誰からだろう?

 

 

 

 

『白波 翠へ

早く目を覚ませ、遊海が寂しがっていたぞ。

快復を祈る。         海馬』

 

 

『翠さんへ

海馬君からセブンスターズについて聞きました、僕は手を出せないけど遊海君がいるなら大丈夫!

早く元気になって遊海君を安心させてあげて!

              武藤 遊戯』

 

 

 

「遊戯…海馬さん…ありがとう…」

 

 

この日、遊海は久しぶりに涙を流した…。


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