転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
今回は導入部の為、少し短め…ついに始まった全面対決…その中で二組の兄弟が接敵する…。
それでは、最新話をどうぞ!
【ふむ、始まったか…】
遊嗣がマシュと合流する少し前…ミラー・リンクヴレインズで始まったライトニング陣営とプレイメーカー陣営の全面対決、その中、ライトニングは自身の城で戦況を分析していた…。
【Yu-Zが復帰したか…しかし、万全の状態ではない…ビットブートの物量で押し潰せるな…プレイメーカーとリボルバー…奴らにはビットブートでは相手にならんか……ん?このデュエリストが戦っているエリアはマズイな……ボーマンに近い、ハル…聞こえているな?】
『はい…この近くですね、彼女がいるのは…』
プレイメーカー達を前に進ませる為の囮となり奮戦するYu-Z、彼が捉えきれなかったビットブートを蹴散らしながら前に進むプレイメーカーやリボルバー達…その様子を観察していたライトニングは1人のデュエリストに目を向ける…それはアクアのパートナーとなったブルーメイデンだった。
彼女はライトニングとは別行動をしていおり、身動きが取れない状況のボーマンの近くに迫っていたのだ…そして、それを見たライトニングはボーマンの護衛であるハルへと指示を出していた。
【彼女は以前、ブルーエンジェルと名乗っていたデュエリスト…今はブルーメイデンと名乗っている、彼女の正体は財前葵…SOLテクノロジーのセキュリティ部長財前晃の妹だ】
『兄妹、ですか…』
【そうだ…と言っても、義理の兄弟…
『………僕が勝てる見込みは、ありますか?』
【
『……はい』
ハルに出撃を命じるライトニング…それは実質の
『勝てる見込みはない、って事か……負けたら、僕はどうなるんだろう…?まぁ、いいや…そんな事を考えても仕方ないし…』
ライトニングから非情な指令を受けたハル…しかし、彼は特に思う所はなかった。
彼は…人間に近い姿をしているが、ボーマンを完成させる為の試作品のAIデュエリストに過ぎない……
『……一応、声を掛けていくか』
……それでも、彼はイグニス並みの
【フゥ…フゥ……どうした?ハル…】
『プレイメーカー達がミラーリンクヴレインズに侵入しました』
【そうだな…もうすぐ、私の
『……そうですね』
ボーマンのアジト…玉座の間……そこでボーマンは苦しそうに顔を歪めながら、坐禅を組んでいた…その背中には無数のコードが繋がり、膨大なデータをボーマンに送り込んでいた。
【ハル、なにか用があったのではないか?】
『いえ、別に…顔を見にきただけです』
【……ライトニングに、何か言われたな?】
『えっ?よくわかりましたね…?』
そして、ボーマンはハルの機微と演算から彼の異変に気付く…。
【………出撃しろ、と言われたか…】
『ええ、まぁ…』
【
『はっ…?何を言ってるんですか?』
ハルはボーマンの思わぬ言葉に目を丸くする…ボーマンは創造主であるライトニングの命令に背く言葉を口にしたのだ。
【彼らとお前の実力差は明らかだ…お前では、奴らを倒す事はできない】
『そんな事…そんな事、やってみなくちゃわからない!!』
【私は
『っ…僕と貴方は兄弟なんかじゃない!!第一、先に生まれたのは僕の方だ!なのに、僕は情緒不安定な貴方を宥める為に
【……ハル、お前が持って生まれた意思は
『だから何だよ!?僕が劣ってるって言いたいのか!?』
【違う…お前は私の
『そんな時間がなんだって言うんだ…!僕は、ずっと貴方の子守をさせられていただけだ!!』
ハルの兄として彼を心配するボーマン…しかし、ハル本人は兄を名乗るボーマンを嫌っていた。
ボーマンを作り出す為の試作品…ジェネレーションⅡであるハル…それでも、彼は自分の方が『兄』であると意地を張っていた…。
『貴方との記録には碌な思い出がない…もう行きます!!』
【待て!ハル!!ミラーリンクヴレインズでお前が負ければ消えてしまうんだぞ!!】
『かまいませんよ!!どうせ、僕は出来損ないのAIですから!!消されるなんて、怖くない…むしろ、これっきりアナタの顔を見なくて済むなら清々する!!』
【ハル…】
ハルに対し敗北すれば消えてしまう、という事実を伝えるボーマン…しかし、ハルは彼の言葉に耳を貸さず…不貞腐れたまま出撃する。
これが、ハルとボーマンの最期の時間だった…。
「これで終わりよ!!」
「ぐわあああ!?」
「よし…!これで、邪魔者は消えたわ…!Yu-Zが稼いでくれた時間…無駄にはできない!!」
一方、自分に群がるビットブートを殲滅したブルーメイデン…葵は油断なく周囲を見回す…自分達を前に進ませる為に残った遊嗣の為、少しでも早くライトニングやボーマンの痕跡を見つける為に…。
《ブルーメイデン!気をつけて、新手が来ます!》
『次は僕が相手だ、ブルーメイデン!!』
「彼は…?」
《プレイメーカー達の情報によれば…ボーマンの弟のAIデュエリストです…!》
「ボーマンの弟…彼に勝てれば、ライトニングやボーマンの居場所が分かるかもしれない!!やるわよ、アクア!!」
『掛かってこい、ブルーメイデン!!』
その時、葵の前にハルが立ち塞がる…自分の意地を見せたいハル、ライトニングの情報を得たい葵…2人の負けられない戦いが始まった!
『「スピード・デュエル!!」』
デュエルダイジェスト ブルーメイデン対ハル
ミラーリンクヴレインズで始まった葵とハル──妹と弟の対決、先攻を取ったハルが操るのはボーマンと同じ「ハイドライブ」…ハル曰く、『「ハイドライブ」は自分のデッキ…ボーマンにデュエルを教えたのは自分である』と自負する彼はデッキを展開…スキル【マーカーズ・ポータル】によって効果無効と破壊への耐性を与えた『裁きの矢』を発動した上でフィールド上の風と水属性モンスターの効果を無効にできる状態の「ツイン・ハイドライブ・ナイト」をリンク召喚し、葵のターンに備える。
対する葵はアクアと共に戦うブルーメイデンになるにあたってデッキを変えていた…新たなデッキの名は「
しかし、その属性は当然の如く水属性…「ツイン・ハイドライブ・ナイト」の存在でモンスター効果を封じられるが、それはフィールドのみの話…他のイグニス達のデッキに劣らない展開力で手札から次々とモンスターを展開…Link-2の『海晶乙女コーラル・アネモネ』を喚び出し、手札の『海晶乙女シースター』の効果で攻撃力を2800まで上昇させ、ハルのフィールドに残っていた『クーラント・ハイドライブ』を撃破してダメージを与える。
リンクヴレインズを守る晃や眠り続ける美優の為に全力を尽くす葵…その姿を見たハルは血の繋がりのない兄妹である財前兄妹を馬鹿にするが…葵の「ハルとボーマンも兄弟ではないのか?」という指摘に決戦前の記憶を思い出す。
ライトニングにボーマンの試作品として生み出され、ボーマンの弟として振る舞うように指示され…ボーマンが覚醒した後は
対する葵も…確かに晃とは血の繋がりはない…しかし、家族として過ごしてきた思い出があり、絆がある…兄妹という存在は記号ではないとハルに伝える。
しかし、ハルにはその関係は理解できない……返しのターン、ハルは再び『クーラント・ハイドライブ』を喚び出し、装備魔法『ハイドライブ・インパクト』を装備する。
そして、ハルは必殺コンボ…水属性モンスターが相手フィールドに存在すればダイレクトアタックできる『クーラント・ハイドライブ』に直接攻撃時に与えるダメージを2倍にする『ハイドライブ・インパクト』、さらに攻撃力を2倍にする『裁きの矢』を加えたワンショットキルを仕掛ける。
しかし、葵は罠カード「
しかし、葵達はその状況を想定していた…彼女は新たなスキル【シェイプオブシー】を発動する。、
戦闘ダメージを受けた事をトリガーとして、その受けたダメージ以下の攻撃力を持つ「海晶乙女」を蘇生できる、強力な効果によって『コーラルアネモネ』を蘇生…勝利へのサーキットを完成させる。
「私には、守るべき大切なモノがある!それがないアナタに負けるわけにはいかない!!」
葵のターン、彼女はエースたるLink-3「海晶乙女マーブルド・ロック」を喚び出し、「海晶乙女」の真価を発揮する。
「海晶乙女」の真価、それは罠カードにある…通常、罠カードは一度はフィールドに伏せなければ発動できない…だが、「海晶乙女」の罠カードはフィールドにLink-3以上のリンクモンスターが存在する時、
その効果によって葵は手札に回収していた『海晶乙女波動』を発動、『ハイドライブナイト』の効果を無効化…さらに「海晶乙女シースター」の効果を2回発動する事で『裁きの矢』の効果を受けた「ハイドライブナイト」を撃破…ハルを追い詰める…!
『っ…!まだだ、まだ僕のライフは残って…!』
「いいえ、これで終わりよ!私は手札から罠カード『
『なんだと!?うわあああっ!?』
それは「トリックスター」に足りなかった攻撃力とバーンダメージを併せ持つ強力なデッキ…そして、ハルは母なる海の力によって吹き飛ばされる…薄れゆく意識の中、ハルが思い出したのは──────
──美しいな、ハル──
──そうですか?──
──いずれ、AIは未来永劫の繁栄を迎える…私達も、ずっと一緒だ──
『(そうか、あれが…
それは、いつかにボーマンと見た夜明けの輝き……既に、兄弟の絆はハルの中に在った……彼は最後の最後に、それに気付いたのだ。
『(兄弟は、
そして、一筋の涙を流しながら…ハルは金色の粒子となって消えていく……喧嘩別れとなってしまった、かけがえのない兄へと届かぬ別れを告げながら…。
ハルLP0
ブルーメイデン WIN!
【ミラーリングシステム、同期完了………おおっ…うおおおああああああああっ!!!】
しかし、ハルの特攻は無駄にはならなかった…彼の稼いだ時間によってボーマンは作業──ミラー・リンクヴレインズの掌握を完了……そして、ボーマンは怒りと悲しみが混ざったような雄叫びを上げる…!
【ハル…お前の事は、決して忘れない…!私達は確かに兄弟だった…!!私達は、ずっと一緒だ!!!】
生まれて初めて
【ふむ、ハルが死んだか…お前は見事に役目を果たした、これで奴らを恐れる必要はない…奴らを分断し、確実に1人ずつ始末すればいい】
一方、ライトニングは自分の子供とも言えるハルの消滅を見ても
【ん…?奴らは──SOLテクノロジーのAIデュエリストだと?こちらのゲートを把握されたか……AIの風上にも置けぬ人間の
その時、ライトニングがビットブート軍団と衝突するAIデュエリスト達に気付く…ライトニングが増産したビットブート達はAIデュエリスト達によって駆逐されつつあった。
【これ以上の邪魔はさせない………出ろ、
『命令……敵の殲滅……』
そして、その状況を見たライトニングは最凶の兵器を解き放つ…ノイズに塗れた『影』──無もなき怪物は音もなく狩り場へと向かった…。