転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

あ、危ない危ない…燃え尽きるところだった…まだ「最終決戦」が控えているのに、燃え尽きる訳にはいきませんよね…頑張ります…!

激戦を乗り越えた遊嗣とマシュ…そして、次なる戦いは…。


それでは、最新話をどうぞ!



青き少女達〜彼の想いを胸に〜

「「母さん!遊嗣!!」」

 

「凌牙君!璃緒ちゃん!!」

ミラー・リンクヴレインズでの遊嗣とマシュ、そしてシャドウ・ネームレスのデュエルが決着してしばらく…翠から連絡を受けていた凌牙と璃緒が遊嗣の病室へと駆け付けていた。

 

 

 

「瀬人さんから事情は聞いた!ネームレスが復活したって…アレはもう倒したはずじゃ!!」

 

《どうやら、マスターの記憶からネームレスの記憶を抽出、再現したAIデュエリストを遊嗣達にけしかけたようです…》

 

「遊嗣は、遊嗣は無事なの!?」

 

「うん…マシュちゃんと2人で、見た事のないモンスター…私達がハートランドで戦った()()の姿をカードにした「No.」を使ってきたネームレスに勝ったわ……でも、ダメージが大き過ぎて…ミラー・リンクヴレインズで意識を失ってるのよ…!」

 

「「ナンバーズ?!ネームレスに勝った!?2人で!?」」

 

「ああ、見事なデュエルだった…流石はキミ達が鍛えただけはあるな、凌牙…」

 

「ランスロー…!」

移動中に瀬人によってネームレスの復活を知らされた凌牙達は遊嗣の身を案じるが……あまりの情報量に驚いている…。

 

 

 

「遊嗣ッ……彩華、俺もリンクヴレインズにいくぞ…!遊嗣達だけに無茶をさせられるか!!」

 

《それは…不可能です…今、遊嗣達がいるのは新生リンクヴレインズを複製したミラーワールド…その世界への扉は既に閉じられ、その上でリンクヴレインズに重なっている事で外の世界からの干渉を阻んでいます…リンクヴレインズごと壊す勢いなら、すぐにこじ開ける事はできますが……今は向こう側の様子を観測する事と一部のプログラムを送る事が限界です…!》

 

「そんな…!!」

 

「っ…遊嗣…!!父さん…遊嗣を、守ってやってくれ…!!」

彩華の投影した映像の中では少女剣士に守られた遊嗣とマシュが倒れている…その様子を凌牙は悔しげに見ているしかなかった…。

 

 

 

《(「CiNo.0」…おそらく、当時のドン・サウザンドがネームレス…エメルを操る為に作ったモノでしょうが……いくら、マスターの記憶を読み取り、イグニスの超科学で再現したとはいえ…人間界の科学力だけでナンバーズ耐性まで完全再現できるはずが……私は…私達は、何かを見落としている──?)》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Yu-Z…マシュ…無事だと良いが…」

 

《あのダメージは…たぶん、普通にスピードデュエルするよりもヤバいかもしれねぇ……ロマンが付いてれば、大丈夫だと思うけどよ…》  

遊嗣とマシュによるシャドウ・ネームレスとの死闘からしばらく…中継映像はまだ復活していない…そんな中、遊作とAiは電脳世界……否、現実世界でも類を見ない激戦でボロボロになってしまった遊嗣とマシュの身を案じていた…。

 

 

「ライトニング…お前は、次に誰を狙うつもりだ…!!」

遊作は空中に浮かぶモニターを睨みつけるしかなかった…。

 

 

 

…………

 

 

 

「ミラーリンクヴレインズ…見慣れた風景も、人がいないと不気味に感じるわ」

 

《流石に、人々までは再現しなかったようですね…》

同じ頃、ミラーリンクヴレインズの中央エリアの街に閉じ込められた葵は無人のリンクヴレインズを見渡しながら警戒していた…。

 

 

「──ん…?あの建物は何…?あの場所にはセントラルステーションがあるはずなのに…」

その時、彼女はリンクヴレインズとミラーリンクヴレインズの相違点に気付く…本来、リンクヴレインズにあるドーム型のセントラルステーション…それがミラーリンクヴレインズでは豪奢な洋風の城に置き換わっていたのだ。

 

 

「もしかして、ハルが私達の前に現れたのは…」

 

《あそこにはハルが守ろうとした『何か』があるのかもしれません…行ってみましょう…!》

 

「ええ…!!」

葵の閉じ込められた『結界』は他の仲間達よりも広く、謎の城も範囲内にあった…そこに「何か」があると感じた葵とアクアは謎の城へと突入した…!

 

 

 

 

【やはり来たか、ブルーメイデン…そして、アクア】

 

「ボーマン…!!!」

 

【お前達が来るのを待っていた】

謎の城の最奥…玉座の間、その一際高い場所に胡座をかいて座る人物がいた…それはAIデュエリスト・ボーマン…謎の城はボーマンの居城だったのだ。

 

 

キィン!

 

 

『うわっとと…今度は誰の戦いなんだ…?』

 

『先輩!次はボーマンとブルーメイデンのデュエルみたいッス…!!』

 

『おおっ…!さっきのYu-Zの事もある…しっかり撮れよ!』

 

『はい…!』

そして、カエルとハトも転移させられ…中継が再開した…!

 

 

 

 

 

Side???

 

 

《遠見の術…映像の中継が再開したようですね》

 

《うん…奴はボーマン、光のイグニス・ライトニングが作り出した新たな世代のイグニス、という事らしい》

意識を失ってしまったマシュと遊嗣を介抱していたアルトリアとロマン…その時、モニターに再び映像が映し出される…。

 

 

 

《新たな世代……光のイグニスは何がしたいのでしょう?イグニスは意志を持ち、成長する事ができる電脳生命体なのでしょう?…ならば、まずは自分を強化すれば良いものを……》

 

《Ai…ボク達の味方の闇のイグニスによると、ライトニングは自分が理解できないモノを受け入れられない性格らしい…そして彼はそれぞれのイグニスの個性が強くなり、それによってイグニス同士が人間のような醜い「争い」を起こす事を憂い、それを解決する為にボーマンを作って、6体のイグニスを統合しようとしている…と言っていたね》

 

《……?それは問題が()()()()()()いませんか?光のイグニスが自分の理解できない事を受け入れられないとはいえ…他のイグニスが同じような()()を持っているとは限らないはず……私には、まるで…自分が劣っている部分を別の────》

 

 

バリバリ…バチバチバチッ!!

 

《っ!?Yu-Z!マシュ!!》

 

《させるか!!》

ロマンの言葉から敵の首魁であるライトニングについて分析するアルトリア…その時、モニターから稲妻が飛び出して意識のない遊嗣とマシュを狙うが──アルトリアの右手一本に振り払われる!

 

 

 

《私の対魔力を甘く見ない事です…!光のイグニス!!これ以上、我がマスターを狙うなら──我が聖剣が貴様の目論見を無に帰すと思え!!》

 

 

キィン──!!

 

 

《っ…手は出さないが、動くな…という事かな…!》

 

《……そのようですね》

姿を見せないまま攻撃を仕掛けたライトニングに対して啖呵を切るアルトリア…すると再び彼らの周囲が小さな──畳3畳ほどの大きさの結界によって閉じられてしまった…!

 

 

《もし、騎士王の考えが当たっているのなら──ライトニングはなんて愚かな事を…!》

 

《ですが…それは裏を返せば──光のイグニスが最も()()()()()イグニス、という事かもしれません》

ライトニングが騒動を起こした原因を察したロマンとアルトリアは静かにモニターを睨んだ…。

 

 

 

 

 

『ミラーワールド?』

 

「ええ、人間に反旗を翻したイグニスがリンクヴレインズを複製したのよ…その調査の為にプレイメーカー達が既に侵入してる……リボルバーと一緒にね」

 

『リボルバー!?ハノイの騎士と手を組んだのか!?』

 

「まぁ…成り行きでね…」

 

『成り行きっ…!?私に黙って何をしているのかと思えば……』

同じ頃、ミラーリンクヴレインズ出現の影響でノイズが発生している新生リンクヴレインズでエマが晃に事情を伝えていた…葵やエマも情報漏洩を恐れて晃に事情を伝えられていなかったのだ。

 

 

「……これを見て、プレイメーカーの協力者からミラーワールドの映像が送られてきたわ……男の方が光のイグニス・ライトニングの作り出したAIデュエリスト、ボーマン…もう1人はブルーメイデン……貴方の妹よ」

 

『なっ…!?葵がミラーワールドに!?』

そして、エマは草薙から中継された映像を晃へと見せる…そこにはボーマンと対峙するブルーメイデンの姿があった…。

 

 

 

Side OUT

 

 

 

【私はボーマン、ライトニングがAIの未来の為に作り出した次世代のイグニス…アクア、AIの未来の為に…私に全てを託せ】

 

《そうライトニングに()()されたのですか?私は未来を貴方に託すつもりはありません…私を幽閉し、サイバース世界を滅ぼしたライトニングなど信じる事はできませんから》

ボーマンと対峙する葵とアクア…そして、ボーマンはアクアを味方に…否、()()する為に迫るが…彼女はそれを拒否する、ボーマンを作り出したライトニングは…信頼に足る存在ではないからだ。

 

 

【ライトニングの命令……アクア、キミは勘違いしている…私はライトニングによって作られたが、彼の操り人形ではない…私は彼を超える存在として、彼を含めた全イグニスを束ねる為に誕生した…私の意思は完全にライトニングから独立している】

 

《ライトニングにそんな存在を作る事など誰も()()()()()()()、ライトニングは私達の意思を無視して貴方を造り上げた》

 

【つまり、キミは私の存在そのものを否定する…という事か?】

 

《──仕方のない事です》

ライトニングとは異なる意思…自分の意思で動いているというボーマン…だが、ボーマンはライトニングによって「イグニスを束ねる器であれ」と設計されている…それを見抜いたアクアはボーマンの存在を否定…哀しげに目を伏せる…。

 

 

【ならば…私はどうするべきだと?】

 

《ライトニングとの関係を絶ち、彼のように人への危害を加える事を止め…()()を得るのです》

 

【ふむ…なるほど……確かに、先ほどのYu-Zに対するデュエルは苛烈過ぎたな…キミの言葉にも一理ある、だが…()()()()()()()()()?】

 

「難しい話じゃないはずよ……ある日、平和だった世界を力づくで支配しようとする者が現れた…人間はそれを()()と呼ぶ…そして、その侵略者達は人間に攻撃を仕掛けた…それによって私の大切な友達も標的となり、彼女は今も眠り続けている…!!」

 

【大切な友達?】

 

「とぼけないで…!彼女の名前は杉咲美優!ライトニングが意識を奪ったアクアのパートナーよ!!例え、どんな理由があろうとも…私はアナタ達を絶対に許さない!!私は、美優ちゃんの意識を取り戻す為に戦いに来た!!」

アクアに意見を求めながらも、自分の意志を変えるつもりはないボーマン…彼に対し、親友の意識を奪われた葵は怒りをぶつける…!

 

 

 

【ふむ、キミの意見は実に直感的、直情的で簡潔だ…素晴らしい!つまり…私達は戦うしかない、という事だ…!】

 

「そのようね…!」

 

【では…私に勝つ事ができれば、彼女の意識を戻すワクチンデータを渡そう】

 

「大した自信ね…それって、私が()()()()って言ってるように聞こえるんだけど…!」

 

【そう取ってもらって構わない】

既に彼らの間に言葉は必要ない…イグニスの統合を望むボーマン、親友の意識を取り戻したい葵とアクア…その全ては誇りを賭けたデュエルへと委ねられた…!!

 

 

 

 

 

【「デュエル!!」】

 

デュエルダイジェスト ブルーメイデン対ボーマン

 

 

 

 

ボーマンの居城で始まったボーマンと葵の決闘…先攻を取った葵はアクアとの絆のデッキ「海晶乙女(マリンセス)」を展開、動きの要となるLink-3「海晶乙女マーブルド・ロック」を喚び出し、カードをセット…手札を減らさないままボーマンの攻撃を待ち受ける。

 

 

対するボーマンのデッキは展開力と属性メタに秀でた『ハイドライブ』デッキ…当然の如く水属性の「海晶乙女」モンスターの効果を封じる為に水属性の『クーラント・ハイドライブ』を起点に展開…キーカードたるリンクマジック『裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)』を発動した上で3体の『クーラント・ハイドライブ』をフィールドに並び立てる…!

 

 

「(やっぱり、ハルとの戦いは見られていた…でも、私にも3枚の手札がある…返り討ちにしてやるわ…!!)」

3体の『クーラント・ハイドライブ』のダイレクトアタックを受ければ葵は合計5000のダメージを受けてしまうが…彼女の手札には対応策がある…しかし、ボーマンの一手は───

 

 

【現れろ!真実を極めるサーキット!召喚条件は同じ属性の『ハイドライブ』モンスター3体!!リンク召喚!!現れろLink-3!『キュービック・ハイドライブ・ロード』!!】

ボーマンが喚び出したのは新たなる『ハイドライブ』…巨大なハルバードを持つ戦士が現れる…!

 

 

【所詮、キミの推測などは私の勝利するパターンの1つに過ぎない…私はより確実な手段を選んだまでだ…そして、このモンスターを喚び出した時点で──キミの退路は断たれた】

ボーマンが5000のダメージを捨ててまで喚び出した新たな『ハイドライブ』…その効果は強力だった。

 

まずは召喚成功時に本来の属性である「地」に加え、「水」「風」「炎」のうち2つを宣言する事で、その属性として扱う効果…それによって『キュービック・ハイドライブ・ロード』は「地」「水」「炎」の三属性を持つ。

さらに、『ハイドライブ・ロード』達の共通効果である『プロパティ・ゼロ』が発動…水属性のモンスターのフィールド上での効果が無効化されてしまう…それによってダメージを軽減できる「マーブルド・ロック」の効果が無効化され、葵は一気に2100の大ダメージを受けてしまう…だが、ボーマンのバトルはまだ終わっていない…!

 

 

 

【『キュービック・ハイドライブ・ロード』は自身と同じ属性の相手モンスターを戦闘破壊した時、もう一度攻撃できる!】

 

「っ…!そうはさせない!罠カード『海晶乙女雪花(マリンセス・スノー)』を発動!破壊された『マリンセス』リンクモンスターよりもリンクマーカーの数が少ないリンクモンスターをEXデッキからリンク召喚扱いで特殊召喚する!現れて!Link-2!『海晶乙女クリスタル・ハート』!!」

 

【そのカードは…!地のイグニスが持っていたという…!】

 

《アース…どうか、私達に力を貸してください…!!》

『キュービック・ハイドライブ・ロード』によって2回目の攻撃を仕掛けようとするボーマン…しかし、それを阻むのはアースの遺した()()──アクアの手で再誕した水の精霊に護られた「クリスタル・ハート」が現れる!

 

 

「『海晶乙女雪花』の効果で特殊召喚されたモンスターは相手のカード効果を受けない!よってプロパティ・ゼロは『クリスタルハート』には効かないわ!!」

 

【だが、まだ私のバトルフェイズは終わっていない!『キュービック・ハイドライブ・ロード』で『クリスタルハート』を攻撃!──っ?なにっ…!?『裁きの矢』が発動しない?】

 

「『クリスタルハート』の効果発動!!このモンスターが相手の攻撃対象になった時、手札の『マリンセス』1枚を墓地に送る事で自身は戦闘破壊されず、私が受けるダメージも0になる!!」

「クリスタルハート」へと攻撃を仕掛けるボーマン…しかし、『裁きの矢』の効果は起動せず、攻撃も水の壁によって弾き返される!

 

 

 

【今の攻撃には『裁きの矢』の効果が発動しなかった…それも『クリスタルハート』の効果か?】

 

「フフッ…どうかしら?」

 

【フッ…魅せてくれるではないか、私はカードを1枚伏せてターンエンドだ】

ボーマンの一撃を防ぎ、不敵な笑みを見せる葵…親友を救う為に全力を尽くす彼女の姿は映像越しの晃もその成長を喜ぶほどの自信に満ち溢れていた…!

 

 

 

【キミの戦う姿は美しい…だが、私の勝利は揺らがない】

 

「冗談言わないで!私はこんな所で負けていられないの…!美優ちゃんの意識を取り戻すまでは!!」

 

【まだやる気のようだな…ならば、絶対的な()()()というものを見せてやろう!!】

 

 

キィン!!

 

 

「っ…なにっ…!?」

ボーマンを前にして闘志を燃やす葵…その姿を見たボーマンが力を解放───凄まじい波動がノイズを伴いながらミラー・リンクヴレインズへと広がっていく…!!

 

 

 

Side???

 

 

「こっちもかよ!?何がどうなってんだ!?」

 

 

「まさか、ミラーリンクヴレインズ全体に影響しているのか!?」

 

 

《ロマン…!ボーマンは何を!?》

 

《っ…!そうか…!!ライトニングがミラーリンクヴレインズを作ったのは──リンクヴレインズそのものを()()()()()()!!》

 

《なんですって…!?》

ミラーリンクヴレインズ全体に広がっていくノイズ…それを見たロマンはライトニングとボーマンの目的の一端に気付く…!

 

 

《ミラー・リンクヴレインズと本物のリンクヴレインズは()()()の世界……つまり、ミラーリンクヴレインズを掌握すれば、リンクヴレインズそのものを手に入れたのと同じになる…!》

 

《それは──いつかの戦いの時、混沌の神が人間世界に隠された全能の力…「ヌメロン・コード」を手にする為に人間世界を支配下に置いたのと同じ事を成そうとしている、という事ですか…いえ、彼らの技術力なら、ミラーワールドを作らずともリンクヴレインズを掌握するのは容易い事のはず…?》

 

《───おそらく、彼らが必要としているのはリンクヴレインズそのものじゃない…!リンクヴレインズにログインしている()()だ!!》

 

《っ…!!人質…いや、彼らを何かに利用しようとしている…!?》

 

《その理由まではわからないけど…すごく嫌な予感がする…!!》

ボーマンの目的を予測するロマン…閉じ込められている彼らはノイズが広がる赤黒い空を睨むしかなかった…。

 

 

 

 

 

『リンクヴレインズが、乗っ取られた!?』

 

『そうだ!!今、ミラー・リンクヴレインズから放たれた強力なプログラムによってリンクヴレインズそのものが乗っ取られた…!ログインしているデュエリスト達からも「ログアウトできなくなった」との問い合わせが相次いでいる!』

 

『っ…メニューが開かない…!これではログアウトは無理だ…!!』

同じ頃、ノイズに覆われたリンクヴレインズでも問題が起きていた…ボーマンが放ったプログラムによってシステムが乗っ取られ、ログインしていたプレイヤー達がログアウトできなくなったのだ。

 

 

 

『財前、最悪の事態ならば…リンクヴレインズそのものを破壊し、無理矢理にプレイヤー達をログアウトさせる手段もある…だが、それは光のイグニスに囚われている2人の人質の命を危険に晒してしまう故に()()()()だ!我らもこちらからアプローチを仕掛ける…お前もゴーストガールと共に解決に当たれ!分かったな!』

 

『カイバーマン…!そちらはお任せします、全ての責任は私が!!』

 

『フン…案ずるな、全てクイーンに押し付けるまでだ!!』

そして現実世界では瀬人が…リンクヴレインズでは晃とエマが…事態を解決する為に動き始めた…!

 

 

 

『チイッ…!遊海が人質に取られていなければ、どうにでもなったものを…!!許さんぞ!光のイグニス──!!』

 

 

 

Side OUT

 

 

 

【私はリンクヴレインズそのもの…!リンクヴレインズはこの私自身!!キミは私の掌の上で足掻いているに過ぎない…!】

 

「くっ…!?」

ミラーリンクヴレインズとリンクヴレインズを掌握したボーマン…その気迫に葵は圧倒される…! 

 

 

【このままキミを握り潰すのは容易い…それでも、まだデュエルを続けるつもりか?】

 

「リンクヴレインズの()()気取りって訳…!当然、続けるに決まってるでしょ!!」

さながらに電脳世界の神のように振る舞うボーマン…しかし、葵の意思は揺らがない…全ては親友を救う為に…!

 

 

 

 

続く葵のターン…『裁きの矢』の存在からバトルは不利と見た葵は戦略を転換、バーンダメージでボーマンを倒すべく永続魔法「海晶乙女の泡撃(マリンセス・バブルボム)」を発動…その効果は『クリスタルハート』とそのリンク先にリンク召喚されたリンクモンスターのリンクマーカー1つにつき500ダメージを与える、というもの。

つまり、葵は最低でも「海晶乙女」モンスターを4回、現実的にはリンク2以上の「海晶乙女」モンスターを2回召喚すればボーマンのライフを削り切る事ができる…そして、それは展開力に優れる「海晶乙女」には難しい話ではない。

 

だが、ボーマンも甘くはない…永続罠『インターフェアレンス・キャンセラー』を発動…その効果により、発動時に対象になった『キュービック・ハイドライブ・ロード』のリンクマーカーの数である3回分、相手による効果ダメージを無効できる…そして『海晶乙女の泡撃』はこのターンのエンドフェイズか、相手ライフが葵の残りライフである1900を下回った時点で破壊されてしまう…!

 

 

 

《『キュービック・ハイドライブ・ロード』のリンクマーカーは3つ…つまり、あと2回も効果ダメージは0にされてしまいます…!》

 

「違うわ、アクア…2回()じゃない──2回()()よ!たった2回、効果ダメージを与えれないってだけ…!それだけの事!!私は何があっても、絶対に諦めない!!」

 

《ブルーメイデン…!》

バーンダメージを対策された葵…しかし、彼女は強気に前に出る。

 

 

 

 

葵はリンクモンスターの「海晶乙女ブルースラッグ」、さらに「海晶乙女マンダリン」を召喚する事でようやく『インターフェアレンス・キャンセラー』の効果を使い切らせる…だがボーマンは二の矢を放つ。

 

ボーマンは手札の『ハイドライブ・ミューテーション』の効果を発動…『インターフェアレンス・キャンセラー』を手札に戻す事で自身を特殊召喚、さらに自身の効果で手札の永続罠カードを発動可能な状態でセットする…それによって永続罠『インターフェアレンス・キャンセラー』は復活してしまう…。

 

しかし、葵は諦めない…次のターンに備える為に「海晶乙女コーラル・アネモネ」をリンク召喚し、カードを伏せてターンを終える…!

 

 

 

 

《ボーマン、貴方は…()のハルを倒したのが私達だと知っているのでしょう?》

 

【ああ、()()()()()

 

《ならば、私達が憎いのでは?なぜ、その思いをぶつけて来ないのです…?》

激戦のさなか、アクアがボーマンへと問いかける…弟であるハルを失ったボーマン…それはライトニングやウインディを見れば分かる通り、()()()なデュエルを見せてもおかしくない状況だった。

 

……しかし、ボーマンは()()()()()…感情を表に見せず、綿密で緻密なデュエルを続けている…その姿を見たアクアは彼に疑問を抱いたのだ。

 

 

《ボーマン、貴方には感情というものは無いのですか?》

 

【むしろ、その逆だ───私は、キミ達に感謝している】

 

「《感謝…!?》」

しかし、ボーマンが口にしたのは…思わぬ言葉だった。

 

 

【キミ達がハルを倒した事で、私は怒りや憎しみ…そして悲しみを知る事ができた……これらを知り、私はさらなる飛躍を遂げたのだ】

 

「何を言ってるの、アイツ…!?弟を倒されたのに、感謝って…!?」

 

《……彼の言葉に嘘はありません…彼の心は弟への強い想いで満ちています……》

 

それは普通の人間には理解できない「感謝」だった…彼はハルを失った事で復讐者になるのではなく──さながら全てを受け入れる()()のような精神へと成長しつつあった…!

 

 

【私は今…心の中のハルと一緒に戦っている───!】

 

そして…ボーマンはさらなる進化を見せつける…!

 

 

 

【リンク召喚!!現れろ…Link-4!『テッセラクト・ハイドライブ・モナーク』!!】

 

「Link-4…!!」

ボーマンは新たな切り札…4本の腕に剣と盾を構える半人半蛇の戦士を喚び出す。

その効果は強力…自身の属性を「地」に加えて「水」「風」「炎」として扱う上に、同じ属性の相手モンスターの効果を無効にする『プロパティ・ゼロ』も健在…さらに、相手に攻撃した時、自身と同じ属性の相手モンスター1体を相手プレイヤー自身が墓地に送らなければならない『強制効果』…さらに相手がモンスターを墓地に送れば追加攻撃できるという強力な効果を持っていた。

 

それにより葵は精神的に追い詰められていく…!

 

 

 

「(『クリスタルハート』を墓地に送れば『裁きの矢』の効果が復活してしまう…だけど、『コーラルアネモネ』を墓地に送ってしまえば…残されるのは手札もなく、攻撃を避けられない『クリスタルハート』だけ…どちらを選んでも…私は…!!ごめんなさい…美優ちゃん…!!)」

追い詰められた人間の視野は狭くなる…二者択一の選択…それを迫られた葵は諦めかけ───

 

 

 

 

──諦めるな!葵!!!──

 

 

 

「っ──お兄、様……?」

その時、葵の耳に声が届く…それはリンクヴレインズの中心部で事態を打開しようとしながらデュエルを見守っていた晃の叫びだった。

 

…届くはずはない、物理的にも場所的にも2人は離れた場所にいる───だが、その()は繋がっている…!!

 

 

「───そうだ…みんな、最後まで諦めなかった…」

兄の声で冷静になった葵は今までのデュエルを思い出す…スペクターも、ソウルバーナーも…Yu-Zとマシュも…絶体絶命の状況でも最後まで諦めなかった……彼らの姿が葵の冷静さと機転を呼び戻す…!

 

 

「お兄様…みんな……もう、大丈夫…まだ手はある!!」

冷静さを取り戻した葵は罠カード「海晶乙女瀑布(マリンセス・カタラクト)」を発動…『テッセラクト』の効果発動前に『クリスタルハート』『コーラルアネモネ』を除外する事で連続攻撃を回避する!

 

 

 

「ありがとう、お兄様…!私、もう少しで挫けるところでした…!!」

 

【これが、兄妹の絆…というものか…!】

兄妹の絆で窮地を脱した葵…彼女は反撃に出る…!

 

 

 

続くターン、葵はフィールド魔法「海晶乙女の闘海(マリンセス・バトルオーシャン)」を発動…「マリンセス」の攻撃力を200アップさせると共に…切り札を喚び出す!

 

 

「現れろ!Link-4!!『海晶乙女ワンダー・ハート』!!」

それは『クリスタルハート』の進化した、()()姿()…葵とアクア、そしてアースと美優の想いを背負い、乙女は舞台に立つ…!

 

 

【残念だが、そのモンスターの効果も無効だ!プロパティ・ゼロ!!】

 

「無駄よ!『海晶乙女の闘海』の効果で『クリスタルハート』をリンク素材としたモンスターは相手の効果を受けない!」

ボーマンの効果を跳ね除ける「ワンダーハート」…そして、その真価を発揮する!

 

 

「『闘海』の効果発動!EXモンスターゾーンに『マリンセス』モンスターが特殊召喚に成功した時、墓地のリンクマーカーの数が異なる『マリンセス』リンクモンスター3体を『ワンダーハート』に装備する!その効果で墓地の『ブルースラッグ』『コーラルアネモネ』『マーブルドロック』を装備!そして、装備したモンスターの攻撃力は装備されたリンクモンスターのリンクマーカー1つにつき300アップ!これで攻撃力は4400!!」

墓地の仲間達の力を得た「ワンダーハート」の攻撃力が上昇──ボーマンのモンスターを上回る!

 

 

「バトルよ!『ワンダーハート』で『テッセラクト』を攻撃!!」

 

 

【忘れたか!『裁きの矢』の効果で攻撃力は2倍になる!!】

 

「『ワンダーハート』の効果!このモンスターとバトルする相手モンスターは自身以外のカード効果を受けない!!」

 

【ムッ─!?】

闘う乙女がボーマンのモンスターを両断──始めてのダメージを与える!

 

 

「まだよ!『ワンダーハート』が相手モンスターを破壊した時、装備されている『マリンセス』リンクモンスターを効果を無効にして特殊召喚できる!私が喚び出すのは攻撃力2500の『マーブルド・ロック』!フィールド魔法『海晶乙女の闘海』の効果を受けた攻撃力は2700!!これで、終わりよ!!『マーブルド・ロック』でダイレクトアタック!!」

 

【っ─!!】

それは敵を貫く強靭なる棘──カサゴの棘がボーマンを穿った…!!

 

 

 

「決まった…!!」

 

【いや…まだだ…!】

 

「なっ…どうして!?」

 

【罠カード『ハイドライブ・トレランス』を発動していた…それにより、このターンに破壊された『テッセラクト』のリンクマーカー1つにつき300…つまり、1200のダメージを軽減し…このターン、私が受けるダメージは0になる…!】

しかし、ボーマンは立っていた…罠カードによってダメージを軽減していたのだ…。

 

 

「『ワンダーハート』の効果発動!自身の効果で特殊召喚したリンクモンスターを再び自身に装備する!!まだ、勝機はあるはず!!」

 

【その不屈の闘志、賞賛に値する…だが、キミは気付いていない…自分自身にトドメを刺してしまった事に──】

再びワンダーハートを強化する葵…だが…既に、彼女は勝機を逃してしまっていた…。

 

 

 

 

【『テッセラクト・ハイドライブ・モナーク』の効果発動!私はライフを1000払い、墓地のこのカードの攻撃力を2倍にして特殊召喚!!】

 

「攻撃力、6000…!?」

ボーマンのターン…破壊された『テッセラクト』が強化された状態で復活する…そして、この時点で葵の敗北は決定的となった。

 

 

「ワンダーハート」はバトルでは破壊されず、戦闘ダメージも0にして装備された「マリンセス」を特殊召喚する。

 

『テッセラクト』は攻撃終了時、自身と同じ属性の相手モンスター1体を墓地に送らせて連続攻撃を可能にする…その効果は《1ターンに1度》》ではない。

 

 

…それは疑似的な()()()()()…「ワンダーハート」の効果発動に必要なカードが尽きるまで、『テッセラクト』は効果の発動が可能なのだ…!

 

 

 

【4回目の攻撃…これで、キミのモンスターを守るものはない…『テッセラクト』で『ワンダーハート』を攻撃!!】

 

「まだ…まだよ!!手札の『海晶乙女クラウンテイル』の効果発動!このカードを相手に見せ、手札の他の『マリンセス』を墓地に送る事でバトルダメージを半分にして、自身を特殊召喚する!!」

 

【ん…!?】

それは致命の一撃…だが、葵はそれを回避する…!

 

 

「さらに、『ワンダーハート』が破壊された事で墓地の『クリスタルハート』を特殊召喚!!」

 

【──『テッセラクト』の効果、発動】

 

「私は『クラウンテイル』を墓地に送る!そして、アナタはもう一度攻撃できる」

 

【……ブルーメイデン、キミは──】

 

「どうしたの?さぁ、早くやったらどう…?」

その時、ボーマンは()()()を感じ取る…葵には既に対抗策は残されていない───しかし、彼女の瞳の中の闘志は……揺らがなかった…!

 

 

 

【『テッセラクト』で『クリスタルハート』を…攻撃!!】

 

「この瞬間、墓地の『クラウンテイル』の効果発動!墓地のこのカードを除外し、墓地に存在する『マリンセス』リンクモンスターのリンクマーカー1つにつき1000のダメージを無効にする!墓地に存在するのは4種類、リンクマーカーの合計は10!よって、10000までのダメージを無効にできる!!───でも、ここまでみたい……ごめんなさい、アクア」

 

《───いいえ、貴女は立派に戦いました…()()()()()として、誇りに思います!》

 

「───ありがとう、アクア」

 

 

 

葵には、確かに対抗する手段はなかった…「クリスタルハート」の影響が消えた事で『裁きの矢』の効果を受けた『テッセラクト』の攻撃力は12000まで上昇する。

 

 

しかし…それでもなお、彼女達は()()()()()()……最後の最後まで諦める事なく、人間として…決闘者としての()()をボーマンに見せつけたのだ。

 

 

しかし、それもここまで……ボーマンの一撃は容赦なく「クリスタルハート」を砕き、葵のライフを0にした…。

 

 

 

 

ブルーメイデン LP0

 

ボーマン WIN! 

 

 

 

 

 

「くっ…あ……」

 

【──負けると分かっていてなお、最後の瞬間まで全力を尽くす…美しいものを見せてもらった】

吹き飛ばされ、膝をつく葵…彼女に対しボーマンは賞賛の言葉を送る…それは皮肉ではなく、()()()()()を見せた葵への敬意だった。

 

 

【……私には叶う事のなかった()()()()との別れ……その時を与えよう……これは、私からのせめてもの慈悲だ】

 

キィン…!

 

『っ…葵!!』

 

「お兄…さま…?」

ボーマンが手を翳す…それによって彼は一時的にミラーリンクヴレインズとリンクヴレインズを同期させ…晃をこの場に呼び寄せた…!

 

 

 

『葵…葵!!』

 

「お兄様……ごめん、なさい……」

 

『葵…!?くっ…葵──!!』

葵とアクアは晃の腕の中で消えていく……その姿を晃は見ている事しかできなかった…。

 

 

 

 

 

【ブルーメイデン…そして、アクアよ…私と共に在れ……案ずるな、既にアースも私と共に在る…】

そして、葵とアクアのデータはボーマンへと取り込まれる…そして、その胸には水と岩の紋章が浮かび上がった…。

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