転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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エピローグ〜終わりへの旅立ち〜

《プレイメーカー…勝ったんだな、オレ達…》

 

「ああ…だが、被害が大きすぎる…」

 

《わぉ…死屍累々って感じ……》

 

ボーマンによってリンクヴレインズへと戻された遊作達は周囲を見渡す…そこにはニューロン・リンクに取り込まれてしまった無数の人々のアバター達が倒れ込んでいた…。

 

 

 

「Ai…イグニス達は、どんな状態なんだ?」

 

《おう!ボーマンと融合しちまった部分のデータを切り離して、みんなの「核」になるデータを助け出したんだ…オレ達は()()1()()あればなんとかなるからな!流石に意識は戻ってないけど、なんとか修復してみるさ!…とりあえず、ライトニング以外はな!》

 

「フッ…お前もお人好しだな?」

 

《まぁね!》

そして、ボーマンの中から助け出されたイグニス達…流石に無事では済まなかった彼らはAiによって『核』となるデータの状態で救出されていた。

 

 

キィン──

 

 

《あっ…見ろよ!プレイメーカー!》

 

「これは…光が…」

その時、リンクヴレインズに無数の光がゆっくりと降り注ぐ…それは倒れ込むアバターへと取り込まれ、倒れていた人々がそれぞれに意識を取り戻していく…!

 

 

《ニューロン・リンクからみんなが解放されたんだ!やってくれたな!ロマン!!……あれ?ロマン?!》

 

「っ…!?ロマン?どこにいった…?」

その時、遊作達は異変に気付く…最後まで一緒にいたはずのロマンがいなくなっていたのだ…。

 

 

キィン!!

 

 

『ごめんごめん!ボクはここだよ!Yu-Zとマシュを迎えに行ってたんだ!まったく、ボーマンもひどいなぁ…2人の事を忘れてるんだから……』

 

《見事な勝利でしたね、プレイメーカー…そしてAi》

 

《ロマン!それに金髪の美少女剣士!良かったぁ…ヒヤヒヤしたぜ…》

 

「2人とも無事か…良かった…!」

その時、遊嗣を抱えた人間体のロマンとマシュを抱えたアルトリアが転移してくる…2人の腕の中で遊嗣とマシュは静かに寝息を立てていた…。

 

 

キィン!!

 

 

「っ…俺は…?」

 

「ソウルバーナー!!」

 

「プレイメーカー…?お前がいるって事は……そうか…!勝ったんだな!?やってくれたんだな!プレイメーカー!!」

 

「ああ…!オレの…いや、オレ達全員で掴み取った勝利だ!」

さらに、光の粒子が集い…ボーマンに倒されてしまった尊…ソウルバーナーが復活する…その周囲ではブルーメイデンやブラッドシェパード、少し離れた場所ではリボルバーやスペクター…そしてカエルとハトの記者コンビも復活していく…。

 

 

 

『みんな!無事か!?』

 

「お兄様!ゴーストガール!!2人も無事で良かった…!」

 

「ええ…鋼の騎士の仲間や有志のハッカー…?だったのかしら……とにかく、彼らのおかげで助かったの!!」

無事を喜びあうハノイの騎士以外のミラーワールド突入組、そこに財前とエマも駆け付ける…バックアップに注力した遊海の仲間達によって、彼らも守られていた…。

 

 

「あっ…ミラー・リンクヴレインズが…」

 

『消えていく…終わったんだな、全て…』

そして…不気味に佇んでいたミラー・リンクヴレインズが崩れ、粒子となって電脳世界に消えていく…ライトニングとボーマン、そして「破滅の光」の野望は無に帰したのだ。

 

 

 

「あっ…なぁ!不霊夢はどうなったんだ!?助かったのか!?」

 

「アクアや、他のイグニス達も…」

 

《ヘヘッ…心配すんな!無事とはいかないけど、不霊夢もアクアも助けられたんだ!ウインディとアース…まぁ、一応ライトニングもな!》

 

『『「「ライトニングも助けたの!?」」』』

 

《ああ…逃げ得なんて許したくなかったからさ!()()()だ!》

そんな中で不安そうな表情で他のイグニス達の安否を尋ねる尊と葵…そんな彼らにAiは明るい表情でイグニス達の無事を伝える。

 

ただ、ライトニングも助けた事に関しては全員が呆れた表情をしていたが…Aiはただ笑っていた。

 

 

 

「でも、無事なら良かったぜ…そういえば、そこにいる優男って…?」

 

『おっと…そうだった!Ai、ちょっと手を借りるよ!応急処置をするから!』

 

《あっ…なんとかできるのか!頼むぜ、ロマン!》

 

「「ロマン?………えっ、ロマン!?」」

 

『ふふっ…あなた達にも見せたかったな〜!Yu-Z君の大活躍とロマンの本気モード!すっごくカッコよかったんだから!』

 

『神のイグニス…そんな存在を作ってしまうなんて、鋼の騎士は……いや、白波遊海はすごい男だ…』

不霊夢の無事に安堵した尊だったが…落ち着いたところで見慣れぬ青年がいる事に気付く…その正体が人間体のロマンだと知ると葵と共に目を白黒させながらびっくりしている…。

そして、ロマンはAiから2つのデータを受け取ると『ソロモンの指輪』を起動…その光を尊と葵のデュエルディスクへと取り込ませた。

 

 

《ん…むう…?ソウルバーナー……勝てたようだな、私達は……》

 

「不霊夢!!」

 

《ブルーメイデン…貴女も無事で良かった…!》

 

「アクア!!おかえりなさい!」

尊と葵のデュエルディスクに目玉模様が浮かび上がり、不霊夢とアクアが目を覚ます…そして、2人はお互いに相棒との再会を喜んだ…。

 

 

 

『使命を果たせて良かった…これなら、マスターも喜んでくれ───あっ……』

 

PON!

 

《時間切れか………つ、疲れた〜〜………》

 

《おわっ!?ロマン大丈夫かぁ!?》

 

《ちょっと、過労気味かも…きゅう…(⁠×⁠_⁠×)》

遊作やAiと共に最善の結果を掴み、安心した様子のロマン…その時、小気味良い音と共に人間体が解除され…ふらふらと遊嗣のデュエルディスクへと落下する…人間体は消耗が大きいのか、デュエルディスクに浮かぶ目はバツ印になっていた…。

 

 

 

「うっ……うう…?プレイ、メーカー…?」

 

「Yu-Z!気が付いたか!」

その時、気を失っていた遊嗣が意識を取り戻す…ぼんやりとしながら、その瞳は遊作の姿を映している…。

 

 

「戦いは、どうなった…の…?ボーマンは…イグニスの、みんなは…?」

 

《ヘヘッ…!プレイメーカー様の大勝利!不霊夢やアクアも、みんな無事だ!ロマンが助けてくれて助かったぜ!!》

 

《安心して、遊嗣…マスターや仁君の意識データも解放されたはずだ……ボク達の完全勝利だよ……ふにゃあ……(⁠⁠×_⁠×)》

 

「そっか…良かったぁ…!」

Aiからの戦勝報告…そしてロマンの言葉で状況を理解し、意識がハッキリとした遊嗣は戦いが終わった事を知って安堵の声を漏らす…。

 

 

「う〜ん……ゆうじ、さん…?」

 

「───おはよう、マシュ…全部終わったよ……助けてくれて、ありがとう」

 

「Yu-Zさん……よかったぁ…」

そして、マシュも続いて目を覚まし…遊嗣の言葉で全てが解決した事を悟ったのだった。

 

 

 

…………

 

 

 

『さーて!Yu-Z君とマシュさんも目を覚ました事だし、これで解散しましょ!現実世界でみんなを待っている人や、会いに行きたい人がいると思うから!』

 

『ああ、早くしないとまた野次馬が集まってきてしまう……それに、直に強制ログアウトが始まるだろう…プレイメーカー、Ai…ソウルバーナー、それにYu-Z…みんなを救ってくれてありがとう……SOLテクノロジーを代表して礼を言わせてくれ』

 

「感謝されるような事はしていない…オレ達は、オレ達の未来の為に戦った…それだけさ」

 

《お兄ちゃんよ!感謝するってなら、もうオレ達を追い掛けるのは止めてくれよ!もう悪さはしないで引っ込むからさ…》

 

『ああ、おそらくリンクヴレインズは閉鎖される事になる…そうなれば、SOLがキミ達イグニスを追う理由もなくなるはずだ』

 

《そっか…寂しいけど、仕方ねぇか…》

遊嗣とマシュが目覚めた事で年長者の財前とエマが声を上げる…その中で財前はリンクヴレインズの閉鎖を予想…それを聞いたAiは寂しげに項垂れる。

 

 

《不霊夢…アクア…一度、Aiの中に戻って……まだ、応急処置……母様の力で、本格的に修復を………うう…(⁠@⁠_⁠@⁠)》

 

《……ロマン、お前が…一番重症じゃね…?(汗)》

 

《うむ…ソウルバーナー、また向こうで会おう》

 

《ブルーメイデン…元に戻る事ができたら、一緒に美優のお見舞いに行ってくれる…?》

 

「ええ、もちろんよ!」

グロッキー状態のロマンの言葉に呆れるAi…そして、不霊夢とアクアはそれぞれにパートナーとの再会を約束してAiの中へ戻っていった…。

 

 

 

 

《どうやら、私の役目はここまでのようですね……無事に世界を守る事ができてよかった》

 

「アルトリアさん…」

そして…アルトリアの体から金色の粒子が漏れ始める、世界の「敵」を退けた事で彼女も役割を果たしたのだ。

 

 

《……ユージ…貴方に心からの謝罪を…人類悪として覚醒した貴方を倒す時に情を抱かぬように、冷たい態度で接してしまった……貴方の受け継いだ()を大切にしてください》

 

「アルトリア…僕は全然気にしてないよ!マシュを守ってくれてありがとう!」

遊嗣へと静かに謝罪するアルトリア…そんな彼女に対し、遊嗣は穏やかに感謝を伝える…。

 

 

《マスター……マシュ、此度の現界で貴女がマスターで良かった……貴女とユージが共に歩む未来に祝福がありますように》

 

「あ、アルトリアさん///……ありがとうございます!私が遊嗣さんの隣で戦えたのは、貴女のおかげです!いつかまた!!」

 

《───ええ、その時を理想郷で待っています……どうかお元気で、マスター!》

そして…遊嗣とマシュが共に歩む未来へ祝福を贈りながら、気高き騎士王は朝日の中に消えていった…。

 

 

 

《(あれぇ…?精霊の契約って……あー…ダメだ…アタマが回らないや……母様に、メンテナンス…してもらわないと…)》

 

 

 

 

 

「みんな…ありがとう……今回の勝利はオレだけでは掴む事ができなかった…もう、こうして集まる事はないと思うが……お前達と共に戦えてよかった」

 

「それは私のセリフよ、プレイメーカー…みんなを助けてくれてありがとう!」

 

「プレイメーカー!早く戻ろう!草薙さんが心配だ!」

 

「ああ!Yu-Z、あとで会いにいく!」

 

「うん、待ってる!マシュ…帰ろう!みんなのところに!」

 

「はい!!」

そして、戦いを終えた戦士達……新世代の英雄達はそれぞれ帰るべき場所へと戻っていった…。

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

《………ログアウト、完了……お疲れ様、遊嗣……マシュ……疲れ、たぁ……自己修復に、集中……スリープ、モード……》

 

「うーん……」

 

「よっ…おはよう…よく頑張ったな遊嗣、マシュ」

 

「凌牙兄……おはよ……今、何時…?」

 

「朝の6時ピッタリだ……長い戦いだったな」

 

「うわ…半日以上リンクヴレインズに、いたんだ……」

 

KC病院・病室…朝日に照らされながら目を覚ました遊嗣が目にしたのは、ホッとした様子の兄、凌牙の顔だった…前日の昼から半日以上、遊嗣達は戦い続けていたのだ。

なお、疲弊したロマンは遊嗣達のログアウトを見届けると自己修復の為のスリープモードに入ってしまった…。

 

 

 

「父さん…大丈夫、かな…早く…会いに────」

 

 

         ズ キ ン

 

 

「い゛っ゛…!?イダダダダ!?!?痛ぁぁいっ!?!?」

 

「きゃっ!?遊嗣さん!?どうしたんですかっ!?!?」

遊海の無事を確かめる為に起き上がろうとした遊嗣…その瞬間、今までの人生で経験した事のない激痛に悶絶…その尋常ではない様子に遊嗣の隣で微睡んでいたマシュは飛び起きた。

 

 

「なにこれなにこれ!?頭のてっぺんからつま先まで全部痛いんだけど!?………()()()!?筋肉痛なのこれぇっ!?!?」

 

「あー……精霊、というか()()()した副作用だな、コレ……翠さん、途中から回復魔法の手が止まってたし…」

 

(おそらく、肉体に強い負荷が掛かったのだろう)

 

「まぁ、それは仕方ないよなぁ…ほら、じっとしてろ遊嗣!凌牙と一緒に回復魔法を掛けてやるから!」

 

《まったく…新しい覇王だっていうのに、情けないねぇ…》

 

「ううっ…遊馬、さんに…十代さん…?」

 

「えっ……先代決闘王の九十九遊馬さんに──伝説のHERO使いの遊城十代さん!!?それに……青い、幽霊に……怖そうな精霊さんが……」

 

《おや…ボク達の事が見えるのかい?当然か…ようこそお嬢さん、決闘者(デュエリスト)の世界の入り口へ》

 

「マシュ!心配かけるんじゃない!!」

 

「あっ…お父さん…!ただいま帰りました!!ごめんなさい!!」

 

 

 

「あー…無茶苦茶だな……記録で見たシンクロ次元を思い出すぜ……」

 

魔人化した副作用──全身の筋肉痛に苦しむ遊嗣…その様子を苦笑しながら遊馬とアストラルが見守り、十代は同情しながら回復魔法を使う準備をする。

その中で遊嗣が遊馬と十代がいる事に驚いた事でマシュのオタク魂が爆発するが…娘の身を案じ続けた父・ランスローに抱きしめられて思わず謝罪する……戦いを終えた2人のデュエリストの目覚めはあまりにも騒がしかった…。

 

 

 

………

 

 

 

「落ち着いたか?遊嗣…」

 

「うー………痛かったぁ……」

凌牙達が治療する事しばらく…遊嗣はようやく痛みから解放されていた…なお、マシュの肉体には特にダメージは残っていなかった。

 

 

「ほら、父さんに会いにいくぞ…動けるか?」

 

「うん……あっ……」

 

「遊嗣さん!?無理しちゃダメです!!」

凌牙に促され、遊海の病室に行こうとベッドから立ち上がろうとする遊嗣……だが、遊嗣は立つ事ができず、床にへたり込む…。

 

忘れてはならないが…遊嗣は10日あまり昏睡状態に陥っていた()()である。

そこにリンクヴレインズにおける命懸けの戦いのダメージが重なって体の自由が効かなくなっていたのだ…。

 

 

 

「しかたねぇなぁ…ほら、おぶってってやるよ」

 

「凌牙兄…恥ずかしいって…!」

 

「わがまま言うな、ボーマンの奴がすごい人数を巻き込んだもんだから他の患者で車イスが出払ってんだよ…早く父さんに会いたいだろ?」

 

「………うん…」

そんな遊嗣を凌牙は背中に背負う…背中の遊嗣は顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。

 

 

 

 

 

「ふっ…こうやって、おぶってやるのはどれくらい振りだろうなぁ…」

 

「小学校の運動会で捻挫した時以来かな……重くない…?」

 

「お前なぁ…俺を誰だと思ってるんだ?体はしっかり鍛えてるから問題ねぇよ」

医者や看護師が慌しく走り回る廊下…そこを凌牙に背負われた遊嗣はゆっくり進んでいく…その隣にはマシュが付き添っていた。

 

 

 

「凌牙兄……ずっと、僕の事…知ってたんだよね?……()()()()()()…?」

 

「怖い?なんでだ?」

 

「だって……僕は、ズァークの生まれ変わりで……凌牙兄や、遊馬さんを……たくさんの人を傷付けて……」

 

「遊嗣さん……」

そして、遊嗣は恐る恐る凌牙へと問い掛ける……前世の記憶に残っていたからだ──遊海や遊馬、凌牙達と死力を尽くして戦った記憶を…。

 

 

「遊嗣は遊嗣、ズァークはズァークだ…お前は俺達の大切な弟で、俺達家族の()()だ…それ以外の何者でもねぇ」

 

「凌牙兄…」

申し訳なさそうな様子の遊嗣の言葉に凌牙はぶっきらぼうに返す…あの日、遊嗣の正体を知ってからも凌牙の思いは変わる事はなかった。

 

 

「そんな事言ったらなぁ……俺と璃緒は──バリアン世界の()()()()()()のリーダーだぞ?」

 

「「えっ…!?」」

そして…凌牙はあまりにも自然に自分と璃緒の()()を明かす…その言葉に遊嗣とマシュの時間が止まる…。

 

 

「バリアン七皇って……異世界から侵略してきた、異次元人の戦士、ですよね…?ナンバーズ大戦を引き起こした…えっ…??」

 

「……バリアン世界は、大昔にとある傍迷惑な()()に魅入られた魂が集められて作られた世界だった……俺達も、その神様の陰謀のせいでバリアンとして生まれ変わって……その後、色々あって人間世界に()()した俺達兄妹は…父さんと母さんの子供になった……でも、神様は──俺達を見逃してはくれなかった」

廊下から見える朝日を見つめながら…凌牙は話を続ける…。

 

 

「遊馬と一緒にナンバーズを集める中で、俺達は自分達の忘れていた正体を思い出した……そして、俺達は────父さんや、遊馬達と命懸けの戦いになった………俺の前世…いや、前世の前世か?……海洋王国の王として、王国の民や仲間達が暮らすバリアン世界を守る為に………たくさんみんなを傷付けて、憎んで…絶望して……その戦いの果てに、俺達は──もう一度死んで、人間として()()()()事になった……何処かの誰かさんが()()を起こして、俺達の運命を変えてくれたんだ」

 

「っ……」

静かに自分達の戦いを語る凌牙…その姿を見たマシュは凌牙の抱えた()()を感じ取っていた…大切な人との望まぬ戦い──それは、魂が引き裂けるような…例えようのない苦しさだった。

 

 

 

「……そして、蘇った俺達は父さんや母さんと再会した…その時、父さん達は何て言ったと思う?」

 

「───「おかえり」「よく帰ってきた」…そう言ったよね?父さん達なら、きっと…」

 

「なんだ…わかってるじゃねぇか……お前も父さんと母さんの息子なら、わかってるだろ?お前はみんなから祝福されて生まれてきたんだ……だから、何も怖がる必要なんてねぇんだよ…わかったな?」

 

「───うん!!」

 

「遊嗣さん…!」

自分の来歴を話し終えた凌牙は遊嗣に優しく笑いかける…大好きな兄の笑顔を見た遊嗣もまた笑顔を取り戻す事ができたのだった。

 

 

 

「よし、そうと決まったら父さんを『いつまで寝てんだ馬鹿親父!』って起こしにいくぞ!まったく、どんだけの人に迷惑かけたと思ってんだあの人は……」

 

「凌牙兄…言い過ぎだって……」

 

「くすくす…」

エレベーターに乗りながら遊海にかける言葉を決める凌牙…その兄の様子に呆れながら、3人は遊海の病室のある階へと到着し────

 

 

 

「凌牙!!!どうして電話に出ないのよ!!?」

 

 

「どおっ!?璃緒!?」

 

「璃緒姉!?びっくりしたぁ…!」

エレベーターの扉が開いた瞬間、血相を変えた璃緒が声を荒らげる…。

 

 

 

「悪い悪い、遊嗣をおぶってたし、マナーモードにしてたから……父さん、もう目を覚ましたろ?わかってるって───」

 

「違う…違うのよ!!父さんが…父さんが!!!」

 

「っ…!?2人とも、急ぐぞ!!」

 

「は、はい!?」

冷静さを失った璃緒の姿に異変を察した凌牙は全身を精霊の力で強化して廊下を駆ける…そして────

 

 

 

 

「父さん!!!───え…?」

病室の扉を蹴破る勢いで病室に飛び込む凌牙…そこで、彼が目にしたのは──────

 

 

 

 

 

 

「遊海さん…なんで…なんでぇ…!?」

 

病室には無機質な電子音が響いていた、その出処は遊海のベッド横に置かれたモニター……本来なら心電図や血圧などのバイタルサインを示すはずのモニターは全ての数字が0を示し、規則正しく波打つはずの心電図は1本の()()()()しか映していない。

 

そして、大粒の涙を流しながら…翠は横たわる遊海へと縋りついていた。

 

 

 

その状況が示していたのは────

 

 

 

「なぁ…父さん…()()()()は嫌いだって、言ってたよな…?やめてくれよ…!こんなタイミングでやったって面白くねぇって…!?」

足と背負った遊嗣を支える腕の力を抜かないようにしながら、凌牙がベッドへと歩み寄る…穏やかに眠る遊海の顔色は───翠をこの部屋へと連れてきた時より、青白かった…。

 

 

 

《………リョウガ………残念、ですが…これは……()()です……私達が、対処する間もなく……》

 

《リンクヴレインズから回収した、マスターの意識データを戻した…私がしたのは、()()()()なんです…なのに…なのに…なんで?なんでですか?マスター…ああ───アアAあアアa…!?!》

 

《っ…落ち着け!!落ち着くのだアヤカ!!!機械であるお前が冷静さを失ってどうする!?っ……何故だっ……何故だああああ!!!》

 

《…………主、殿……何故、翠殿や遊嗣殿を遺して…!!》

精霊達の悲痛な声が病室に響く…トフェニやフレアは言葉を失い、アヤカは処理能力を超過してエラーを起こし…冷静に受け止めようとしたメガロックのやり場のない叫びが響く…。

 

 

 

「遊海、さん…そん、な……」

そして…()()()、人の死を───よりによって、もっとも憧れた男の死を目の当たりにしてしまったマシュは膝から崩れ落ちる…その目から涙を零しながら…。

 

 

 

「──────」

 

「っ…馬鹿…遊嗣!!」

 

「遊嗣さっ……遊嗣さん!!」

 

そして、遊嗣は声を上げる事すらできなかった……目の前で起きている事を受け入れられなかった遊嗣の目の前は真っ暗となり、凌牙の背中から落ち、その意識はプツリと途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、仲間達と共に数多の戦いを乗り越えて世界を守り続け…人々の希望を繋いできた『英雄』白波遊海は───あまりにも突然に、その激動の生涯に幕を下ろした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be Continued………

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