転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
遊海の死によって絶望に沈む遊嗣や戦友達…だが、彼らには掟破りの手段を持つ仲間が残されていた…。
それでは、最新話をどうぞ!
「「「遊海を助ける方法が見つかった!?」」」
《ええ…大きな賭け、にはなってしまいますが》
夜の帷が落ちたデンシティ…KC病院の会議室には遊海の死を悼む決闘者達が集まっていたが……そんな中、彩華の発した言葉に全員の驚愕した声が重なる…。
《でも…姐さん、どうやって死んだ人間を助けるんだよ?遊海の脳をスキャンして電脳世界で蘇ってもらうのか?鴻上博士みたいに…》
《いえ、そうではありませんよAi……マスターを生き返らせる……違いますね、
「「「はっ…?」」」
Aiに対する彩華の答え…それを聞いたデュエリスト達は思わず呆気にとられる…。
「なかった事にするって…白波には『ヌメロン・コード』の全能の力は使えねぇんだぞ!?そんなのどうやって…」
(遊海に死の呪いを掛けた張本人、ダークネスにも『ヌメロン・コード』は直接的な影響は及ぼせない…彼は『ヌメロン・コード』……その影たる世界の裏側から生まれた存在だからだ)
「なかった、事………まさか、彩華さん…歴史を
《はっ…?》
「「歴史改変…!?」」
全能の力が届かない遊海の死をなかった事にすると聞いて戸惑う真月…しかし、その
『その通りだ、流星…今こそ、我らイリアステルが遊海に受けた恩義を返す時がやってきたのだ』
「アポリアさん…!?」
《でっ、デッカ!?どなた様!?》
その時、大きな人影が決闘者達の前に現れる…それはイリアステル滅四星が1人、アポリアだった…突然の巨人の登場にAiは目玉が飛び出ている…。
「イリアステル……聞いた覚えがある…かつて、ネオ童実野シティを滅ぼそうとしたという
「だけど、それが全てじゃない…イリアステルのリーダーであるZ-ONEさんは最後の最期に改心して、自分の命を懸けてアーククレイドルを未来世界に還して……彼の親友達の記憶と意志を受け継いだ3体のデュエルロイド達は、世界を見守る者として遊海さんや遊星おじいちゃんに力を貸してくれてたんだ」
《ん…?デュエルロイドって事は……アンタAIなの!?嘘ぉ!?》
『イグニスか…現代の人々の技術が我らの未来に追いつき始めた、か……今回は
イリアステルについて習った事を思い出す遊作…その知識について流星が補足する…そして、Aiはアポリアがアンドロイド…つまり、
「アポリアさん…でも、もう歴史改変はしないっておじいちゃん達と約束したんじゃ…」
『その通りだ、流星……我らは白波遊海と不動遊星に「歴史改変目的で時間移動をしない」と約束した…………だが、約束を交わした2人は既に
「アポリアさん…!!」
流星の言葉を聞いたアポリアは遊海と遊星、2人と交わした約束を破ると言いきった…だが、それは悪意によるものではない───遊海を救う為に、彼らは再び
「あっ…そうか!遊海の死を『ヌメロン・コード』で書き換えられないなら…直接、過去を変えれば…!」
「遊海先生が掴んできた
「オレ達の事件の時と一緒だ…!みんなの力を合わせて遊海を助けるんだ!」
アポリア達が導き出した遊海を救う為の一筋の光明…それを聞いた遊馬と十代、遊矢が希望の声を上げる…だが…。
「でも、父さん自身はどう思うんだろうな……父さんは世界の平和を守る為に戦ってきた…俺だって、父さんが戻ってきてくれるなら、なんだってやりたい…!!……でも、自分の為に歴史改変が起きて…みんなに…世界に迷惑をかけた、なんて知ったら…」
『───フン、今さら何を言う!遊海はイリアステル以上の歴史改変……いや、
『海馬君…そうだね、遊海がいなかったら…僕達の歩んだ運命は違ったものだったかもしれない──でも、僕は…遊海と一緒に戦い続けた
『遊戯…海馬…!そうだよな!遊海はずっと、自分の身を…いいや、魂を削ってみんなを助けてきたんだ…あいつを助けられるなら…オレは
《───そうですね、ユウミを救う事を許さない神がいるならば…それは私達の
【フッ…ARC次元の時もそうだったが……遊海は自分の守ってきたモノによって守られる、か……誰もが遊海の復活を望むならば───神であっても邪魔はせぬだろうさ】
「みんな…!」
遊海の性分を考え、歴史改変を躊躇する凌牙…だが、遊海と数多の戦いを共にしてきた海馬・遊戯・城之内が声を上げる。
遊海は世界の流れを『物語』として知り、悲劇を
その言葉を太陽神であるフレアも…悪しき混沌の存在から未来を導く存在へと変わったドン・サウザンドも…この場に集った全員が肯定した…!
「でも、歴史を変えるって……」
《うむ、仮説によれば…ある物事を変えたとしても、その場所を基点にした無数の平行世界が生まれるだけで、本来の世界には影響がない…という話もあるが──彼らが未来人だと言うなら、その点はクリアしているのだろう……
「
歴史改変…それを聞いた不霊夢の疑問から遊作が最大の問題に気付く…。
《えーっと…遊海が死ぬ前、だから……例えば、遊海の意識データがライトニングに奪われる前に邪魔を………待てよ?そんな事したら、オレ達が「ボーマンを止めた」って結果まで変わるんじゃないか!?オレ達のデュエルってだいぶ綱渡りだったんだぜ…?ちょっとした
《それを言うならば…
「だから、
歴史改変のタイミングについて考えたAiが動揺する…いわゆる「歴史改変モノ」と呼ばれる創作作品では、歴史を変えれば様々な影響が発生する…それは人の生き死にや、デュエルの勝敗にも影響しかねないと気付いたのだ。
『案ずるな、イグニス達よ…歴史改変によって介入するのは
《18年、前…?それ…》
「遊海さん達が、ARC次元という場所で戦っていた時か…!!」
そして、アポリアが歴史改変のタイミングを明かす…そのタイミングは今回の悲劇の原因──ダークネスによる呪いを回避する、というモノだった…!
『「ダークネスによって呪いを受けた」…人間界より遠く離れたARC次元で起きたこの事象を回避する…こうすれば今回の事件への影響は最小限にできる、呪いを受けなければ「白波遊海は光のイグニスに意識データを奪われた」そして「事件解決後に目を覚ました」という形で歴史が改変されるはずだ』
「っ…待てアポリア!それは…
「天城博士…!?」
その時、何かに気付いたカイトが声を上げる…今回の作戦のさらなる
「カイト、不可能って…どういう事だ…?」
「遊馬、アポリア達の作戦には問題点がいくつか存在する……まず、1つ目……どうやって過去のARC次元に跳ぶか、だ」
『それは問題ない、ARC次元製の次元移動装置「ディメンション・ムーバー」…それに我らの技術を加えた事でARC次元の過去にも跳べるように調整済みだ』
「ならば2つ目…そして、3つ目だ…18年前、当時のARC次元には『覇王龍ズァーク』が齎した時空間異常…『時空嵐』が発生している…それをどう突破し、
「えっ…たしか、ブルーノさんはトップクリアマインドで嵐を突破できたんだよな?なら、ブルーノさんに……」
(遊馬、過去のARC次元にもブルーノは
「えっ!?……じゃあ、クリアマインドができる流星……ダメだ、流星もあの場にいたし、カイトも……シンクロ次元の遊星さ………ダメだ!?その時のARC次元には
「その通りだ…しかも、当時ブルーノやオレが時空嵐を突破できたのは遊星粒子の…赤き竜の導きがあったからこそ……それがない状態で時空嵐を無傷で突破するのは
今回の歴史改変における最大の問題点……それは
「では…過去のARC次元に送り込めるメンバーの条件は……まず、過去のARC次元に存在しない、または行かなかった者」
「その上で、私達が
『通信も恐らく不可能だろう…どんな状況であっても臨機応変に行動でき…その上でデュエルの腕が立つ者………』
「「『……そんなの遊海しかいなくないか!!?』」」
《……本末転倒だね…あまりにもハードルが高すぎる》
ドルベ・海亜・海馬社長の挙げた条件…それを聞いたデュエリスト達の意見が一致する……遊海を救う為には
【フン…
『なっ…!?オレ達の仲間にそんなとんでもない奴、遊海以外にいたか!?』
その時、ドン・サウザンドが呆れたように声を上げる…彼は既に
【いるではないか…18年前には
「まさか…あいつを……
「「「なんだって!?」」」
《……その通りです、凌牙》
ドン・サウザンドの出したヒント…それを聞いた凌牙が声を上げる…思わぬ人物の名前が挙がった事で決闘者達は驚愕し、彩華は静かに肯定する…。
(確かに、『白波遊嗣』という存在はあの時代のARC次元には存在せず…三幻神に比肩する力を持つ『覇王龍ズァーク』の力を宿し、覇王になった事で肉体強度も強化されている…そして、彼のデュエルディスクにはナビゲーターになる神のイグニス、ロマンがいる………ARC次元に送り込むには申し分ない実力がある…だが…!)
「遊嗣は、遊海を…父ちゃんを喪ってボロボロなんだぞ!?そんな状態で過去に送り込むなんて──」
「───僕、行きます」
「「遊嗣…!?」」
《遊嗣!?お前、もう動いて大丈夫なのか!?》
「心配かけてごめん、もう大丈夫…!」
冷静に遊嗣を過去に送り込む場合の実力を評価するアストラル…だが、遊馬が声を上げる…彼は見ていたからだ、遊海を失った事で取り乱し…心身共にボロボロになってしまった遊嗣の姿を…。
しかし、それを遮ったのは…他ならぬ遊嗣自身だった。
マシュに支えられながら、壁伝いに歩いて来たのだ。
「ブルーノさんから、作戦は聞きました…僕が、僕だけが父さんを救える可能性があるんだって…!」
「遊嗣…!!でも、過去のARC次元には復活直前のズァークがいるのよ!?欠片の1人だったユーリは父さんが隔離してたけど、ズァークの生まれ変わりの遊嗣がその場所に行ったら…何が起こるか分からないのよ!?」
遊嗣は先んじてブルーノから歴史改変作戦の概要を伝えられ、既に覚悟を決めていた…だが、璃緒がズァークの影響を心配して声を上げる。
『その点は心配しなくてもいい…赤馬零王や赤馬零児に協力を仰ぎ、当時のアカデミアの人員やお前達、ランサーズの動きを整理してもらっている…今回のメインは
「っ…遊嗣、自分が何をしようとしてるのか分かってるんだろうな…?歴史を変えるってのは危険な事だ…イリアステルのサポートがあったとしても、お前自身が無事で済むか分からないんだぞ…!!」
「分かってる…でも、僕は過去に行く…!!父さんを助けて、またみんなで笑いあう為に…父さんとの
「遊嗣…」
アポリアによる作戦の補強を聞きながら…凌牙が遊嗣の覚悟を確かめる…そして、兄の言葉に遊嗣は目を逸らさず…遊海を救うという覚悟を伝えた…。
「………分かった…だけど、これだけは約束しろ……絶対に、帰ってこい!!」
「凌牙……もう、遊嗣はいつの間に、こんな男らしくなったのかしら……私が止めても、聞いてくれないわね…必ず、父さんを助けるのよ!遊嗣!!」
「凌牙兄…璃緒姉…うん!!」
遊嗣の揺らがない覚悟を聞いた凌牙と璃緒が遊嗣の背中を押す…兄姉の激励を聞いた遊嗣は強く頷いた。
『よし、話は決まったな……すぐにでも作戦開始、と言いたい所だが…遊嗣にはやってもらわねばならない事がある』
「やらなきゃならない事…?」
家族である凌牙と璃緒の許可を得て歴史改変に挑む事に決まった遊嗣…しかし、その前にやらなければならない事があるという…。
『そうだ……九十九遊馬、アストラル……遊嗣をアストラル世界に連れていってもらいたい』
(遊嗣を?────そうか、アクルとらぷ……
『その通りだ』
「アストラル、世界?」
「アストラル世界はアストラルの故郷で、人間界でランクアップ…魂のレベルが上がった人が生まれ変わる異世界なんだ!そこにはイリアステル滅四星の…本人達?……イリアステルのリーダーの生まれ変わりがいるんだ!」
《おいおい…フツーに異世界の話をし始めたよ、この人達…》
「Ai、少し静かにしてろ」
遊嗣をアストラル世界に向かわせるというアポリア…その目的はアストラル世界にいる、最後の滅四星達に会わせる為だった。
『我ら3人は遊海を救う為に協力は惜しまない…だが、我らの創造主であり、リーダー…Z-ONE
「……なぁ、それはつまり……あの人達は父さんが死んだのを
「アストラル世界…!遊馬さん!アストラルさん!お願いします、僕をその世界に連れていってください!!」
(──少々
「おう!」
凌牙とアストラルは何かしらの
「遊嗣さん…!私も、アストラル世界に行かせてください!!」
「マシュ!?ダメだよ…!僕だって行った事がない、何があるか分からない場所なんだよ…!?マシュに何かあったら、ランスローさんに会わせる顔が……」
「………遊嗣、マシュも連れていけ…アストラル世界は安全な場所だ……それに、お前だってまだ万全には動けねぇだろ?ランスローには俺から伝えておく」
「凌牙さん…!ありがとうございます!!」
「凌兄……わかった、マシュは絶対に…何があっても守るから…!!」
遊嗣と共にアストラル世界へと行きたいと口にするマシュ…当然、マシュの事を案じる遊嗣は制止したが……兄の一声によって彼女も同行する事になった…。
《ウッソだろおい…どうやって浮かんでるんだ?この飛行船…というか、本当に飛行船か!?》
《これが、世界を渡る船か…!》
病院の屋上…風が吹き抜けるその場所でAiや不霊夢は腰を抜かしかけていた…その理由は夜空に浮かぶ無数の巨大な歯車の集合体──次元飛行船『かっとび遊馬号』を目の当たりにしていたからだ…。
『アストラル世界にはボクも同行するよ、その方がスムーズに事が運ぶと思うから…』
「ブルーノさん…よろしくお願いします!」
遊馬号に乗り込むのは遊馬とアストラル、そして遊嗣とマシュ…さらにイリアステルからの代表としてブルーノが同行する事になっていた。
(小鳥、すまないが…頼み事をしてもいいか?)
「アストラル?どうしたの?」
出発を見送るべく、屋上に待機する決闘者達…その時、アストラルが小鳥へと声をかける。
(……翠には今回の作戦については内緒……
「えっ…どうして?遊海さんが戻ってくるなら、翠さんも元気になるんじゃ…?」
(上手く言えないが……
「アストラル…わかったわ!翠さんを看病してくれてる杏子さんや舞さんにもお願いしておくね!」
(小鳥、ありがとう……では、出発しよう!!)
小鳥に床に伏せる翠への作戦についての口止めを頼むアストラル…そして、小鳥の答えを聞いたアストラルは遊嗣達と共にフラッシュ・トランサーを使って飛行船へと乗り込んだ。
「よーし、かっとび遊馬号…出発進行──!!」
「遊嗣…マシュ…無事に帰ってきてくれ…!!」
そして、仲間達の見送りを受けながら…次元飛行船は次元回廊を開き、アストラル世界へと飛び出した…!
(アストラル世界に着くまでにはしばらくかかる、しっかり休んで………彼女は疲れているらしいな、静かにしておこう)
「すぅ……むにゃ………」
「マシュ…」
《無理もないよ…ミラー・リンクヴレインズの戦いが終わってから、彼女はずっときみに寄り添っていたからね……本当に優しい子だ》
「マシュ…無理をさせてごめん…ありがとう」
次元飛行船の甲板、そこではマシュが座り込む遊嗣に凭れかかって寝息を立てていた……遊海が助かるかもしれない、という希望を聞いた事で緊張の糸が切れてしまったのだろう…。
そして、遊嗣は羽織っていた学生服のジャケットをマシュに掛け…眠っている彼女に寄り添っていた…。
……………
「わぁ…!!きれい…!!」
「ここが、アストラル世界…こんな場所が…世界があるなんて…!!」
飛行船に揺られる事しばらく…遊嗣達はアストラル世界に到着していた。
彼らの眼下に広がるのは青く輝く塔が聳える「理想郷」…その世界ではアストラルに似た人々や古めかしい民族衣装を纏った
「向こうに赤紫色の大地があるだろ?あれは元々、バリアン世界っていうアストラル世界とは別の世界だったんだけど…ナンバーズ大戦の後にアストラル世界と1つになって新しい未来に進み始めたんだ!シャーク、お前の兄ちゃんと姉ちゃんの治める場所でもあるんだぜ!」
「あれがバリアン世界…いつか、凌牙兄や璃緒姉と…それに…父さんや母さんと一緒に行ってみたいな…」
(───きっと、行けるだろう…その未来を掴む為に、我々は帰って来たのだから)
「アストラル…そうだな!とりあえず、エリファスに会いに行こうぜ!もしかしたらアクルや
「───えっ…?」
遊嗣達にアストラル世界について話す遊馬…その時、遊嗣は思わぬ名前を聞く事になった…。
【アストラル、遊馬…よく帰ってきた…人間界では騒ぎが起きていたようだな】
(エリファス、ただいま戻りました…人間界で起きていた事件は無事に解決しました)
【そうか…ならば良かった】
アストラル世界の中心にある王宮…遊馬達はそこでアストラル世界の管理者、エリファスと面会していた…。
【ん…?キミは…まさか遊嗣か?そうか…ここまで成長したか、幼いキミを連れてきた白波遊海の穏やかな表情は今でも覚えているよ………彼はどうした?事件が解決したのなら、彼も目覚めたのだろう?】
「エリファス、それが…───」
そして、遊馬達の後ろにいる遊嗣に気付いたエリファスは過去の出会いを思い出す共に、事件に巻き込まれたらしい遊海の身を案じる…遊馬がその事について説明しようとした時だった。
キィン─!!
『よぉ!遊馬!お前がこっちに来るなんて久しぶりじゃないか…遊海の奴はどうなった?まったく、油断しやがって…』
「───ラプラス、おじさん…?」
『────────────は?』
エリファスの横に光が集い、新たな人影が現れる…それは青白い肌と白い髪、そして真っ白なコートを纏ったアストラル人の青年…ラプラスだった。
その声を聞いた遊嗣は思わず、ラプラスへと問い掛ける……そして、遊嗣の姿を見たラプラスはしばらくの間、硬直し───
ブチッ
『テメェ…テメェ!!遊馬ぁぁぁ!!!』
「ガッ──!?」
「「遊馬さん!!!」」
(っ──
何かが引きちぎれる音と共にラプラスと遊馬の姿が掻き消え、一瞬の静寂の後に衝撃音が王宮に響き渡る……ラプラスが遊馬の胸ぐらを掴み、壁に叩き付けたのだ。
それを見た遊嗣とマシュは悲鳴を上げ…アストラルは悪い予想が当たってしまったと頭を抱える…。
『貴様…!なんで遊嗣をアストラル世界に連れてきた!!あの子の中の
「ラプラッ…苦し…!?落ち着っ───!!」
怒りによって金色の瞳を赤く染めながら遊馬を片手で締め上げるラプラス…遊嗣が「覇王龍」の生まれ変わりだと知らされた後、彼は
「っ…!!やめて…やめて!ラプラスおじさん!!遊馬さんは悪くない!!僕が、僕が連れて行ってってお願いしたんだ!!だから、やめて!!」
『遊嗣っ…!?その
「げほっ…!!やっべ…ラプラスって怖いんだって、忘れてた…」
並の人間なら気絶しかねない怒気を放つラプラス…彼を止めようと遊嗣がその手を掴む…その瞳を碧と金のオッドアイに変えながら…。
その様子を見たラプラスは遊嗣が自分の内に眠る
(ラプラス、驚かせてすまない…しかし、緊急事態だったんだ)
『アストラル……ブルーノ、人間界で…何があった……!』
『………遊海が…ダークネスの呪いによって、命を落とした…』
『───なんだと?』
【まさか…!】
そして、ラプラスとエリファスはようやく、遊海の死を知る事になった…。
…………
『ダークネスッ…!あのクソ邪神が…!!よりによって、なんて呪いを…!!』
『白波遊海…彼の人生の終わりが、こんな形になろうとは…』
「あの方が…イリアステルのリーダーの生まれ変わり……」
それからしばらく…アクル──イリアステル滅四星のリーダー・Z-ONEを呼び出したラプラスはアストラルとブルーノの語るミラー・リンクヴレインズ事件での一部始終に耳を傾ける。
光のイグニスに「破滅の光」の意思が取り憑き、遊海を操った事
遊海を助け出す為に、遊嗣は心の闇を乗り越え…「覇王龍」の力を得た新世代の覇王として覚醒…遊海を助け出した事
だが、18年前に受けた呪いによって『闇のデュエル』に敗北した遊海は命を落としてしまったのだと…。
一連の出来事を聞いたラプラスは拳を壁に叩きつけ…Z-ONEはあまりにも悪辣なダークネスのやり方と遊海の最期に心を痛めていた…。
『ラプラス…Z-ONE、ボク達は……遊海を救う為に、最初で最後の
『そうですか……ならば、
『Z-ONE…きみは許してくれるのかい…!』
そして、2人に歴史改変の概要を伝えるブルーノ…その資料を見たZ-ONEは静かに頷いた。
『かつての私には時間が残されていなかった…それ故に性急な手段を選ぶ事しかできなかった………そんな形での歴史改変など、誰も
『…ありがとう、Z-ONE…!』
かつて、幾度もの歴史改変の果てに『モーメントごとネオ童実野シティそのものを消滅させる』という暴挙によって破滅の未来を回避しようとしたZ-ONE…。
彼は遊星との運命の決闘を終えた後…何故、自身による『歴史改変』が尽く失敗し…破滅の未来を回避できなかったのか…その理由に気付いていた。
それは──『想いの力』の強さ
自分の
数多の人々の願いや希望を
ならば……今回の歴史改変は
『ダメだ、歴史改変を許す事はできない』
「ラプラスおじさん!?なんで!?」
ラプラスは首を横に振った…氷のように冷たい眼差しで遊嗣達を見つめながら…。
『遊嗣、歴史を改変した所で、遊海は
「っ…そんな…でも!少しでも、父さんが戻ってきてくれる可能性があるなら!!」
『
「えっ──?」
歴史改変の危険性を嫌と言うほど味わってきたラプラスは淡い希望を抱く遊嗣の言葉を切り捨てる…まるで遊嗣と
(ラプラス…貴方は……)
『歴史改変が成功したのは不動遊星が選んだ
それはラプラスなりの遊嗣への優しさだった…絶望によって、全てを失いかねない遊嗣を諌める為の言葉だった…だが────
「僕は…絶望なんてしない…!僕は、父さんを助ける為に過去に行く!!それが、僕の………父さんから
「遊嗣さん…!」
遊嗣の思いは揺らがない…「自分が守りたいモノの為に戦え」──遊海に託された願いを胸に、しっかりとラプラスを睨みつける…!!
『────そうか………ならば、
【っ…ラプラス!止めなさい!!】
キィン!!
「きゃあ!?」
『危ない!!』
「ぐっ…!?ラプラス─!!」
「マシュ!!遊馬さん!!ブルーノさん!!」
遊嗣の強い意思…それを見たラプラスの体から圧倒的なカオスの奔流が溢れ出し、エリファスの制止を無視して遊嗣以外の全員を吹き飛ばした!!
『
「っ…!!わかった…!!やってやる!!僕の…
「遊嗣さん!?」
遊海を救う為の歴史改変の是非を巡り、遊嗣とラプラスは対峙する…!!
『優しさ、か………ならば、オレはこう名乗ろう────我が名はイリアステル滅四星「善知の悪魔」ラプラス…!数多の願いを踏み躙り、ただ1人の愛する者を救う為…世界を敵に回した
ラプラスの口上と共にその姿が変化していく…。
体は清らかな青白さから禍々しい黒色へと変わり、白いコートは乾いた血のような赤黒い色へと染まる…そしてその白目は黒く、黒目は爛々と紅く輝く────かつて、遊海を絶望の淵へと追い詰めた悪魔が蘇る…!!
《っ…!!遊嗣、気を付けて!ラプラスはかつて、マスターの敵として立ち塞がり、マスターを追い詰めた相手でもある!!ボク達の願いの為に、彼を鎮めるんだ!!》
「わかった…!!デュエルだ!ラプラスおじさん!!」
吹き荒れる災禍の嵐の中…遊嗣は守りたいモノを守る為、デュエルディスクを構える!!
「『デュエル!!』」
ラプラスLP4000
遊嗣LP4000
・マスターデュエル
マスタールール(新)適用
メインモンスターゾーンに融合・S・Xモンスター召喚可能
『オレのターン!!』
『手札から魔法カード「名推理」を発動!その効果により、お前にモンスターのレベルを1つ宣言してもらう!』
「なら…レベル1を選ぶ!!」
『──いいだろう…そしてオレは通常召喚可能なモンスターが出るまでデッキをめくり、通常召喚可能なモンスターのレベルが相手の宣言したレベルなら墓地へ、それ以外のレベルのモンスターなら特殊召喚できる!』
めくったカード
インフェルノイド・リリス
煉獄の狂宴
遡光する煉獄
インフェルノイド・ルキフグス
モンスターゲート
激流葬
インフェルノイド・ネヘモス
インフェルノイド・シャイターン
インフェルノイド・ベルフェゴル
煉獄の死徒
インフェルノイド・ベルゼブル
インフェルノイド・アスタロス
☆インフェルノイド・デカトロン
『「インフェルノイド・デカトロン」のレベルは1、よって墓地に送る…そして俺はフィールド魔法「煉獄の氾爛」を発動!』
「っ…青い炎が…!!」
ラプラスはフィールド魔法を発動…青い炎がフィールドに広がり────ラプラス自身を焼き尽くすかのように彼の周囲へと収束していく…。
『続けてオレは永続魔法「煉獄の消華」を発動…その効果で手札の魔法カード「
ラプラスのフィールドに蒼炎が逆巻き、黄色の真空管を全身に灯した「貪欲」の悪魔が現れる! ATK2800
『オレはこれでターンエンドだ』
ラプラスLP4000
アドラメレク 氾爛 消華 手札2
「っ……なん、ですか…この気持ち……すごく、
淡々と自分のターンを終えたラプラス…そのプレイングを見たマシュは胸元を押さえる。
彼女はこれまで、何人ものデュエリスト達のデュエルを見てきた…。
人々を楽しませるデュエルを得意としたブルーエンジェルやGO鬼塚
復讐の為に淡々と計算されたデュエルをするプレイメーカー
破壊を楽しむハノイの騎士の構成員
大義を背負ったリボルバー
逆境を楽しむソウルバーナー
……だが、ラプラスのデュエルは…そのどれとも違う……今の彼は自らを罰するような……煉獄で救いを求める
『マシュ…キミは龍可…シグナーの1人だった彼女のように、感受性が高いみたいだね……「精霊の力」に目覚めたてだからかな……辛かったら見ない方がいい、今のラプラスは───遊嗣に
「ブルーノ、さん…」
つらそうな様子を見せるマシュにブルーノが話しかける…その表情はラプラスの心情が分かっているように暗かった…。
「ラプラス…あいつだって、遊海を助けたいはずなのに…」
(…
「僕のターン!ドロー!!」
「これなら…!僕は手札の『斬機サブトラ』の効果発動!ラプラスおじさんの『アドラメレク』の攻撃力をターン終了時まで1000ダウンさせて、このカードを特殊召喚!!」
長い太刀を構えた赤い斬機士が現れる! ATK1000
アドラメレク ATK2800→1800
「さらに僕は『斬機シグマ』を通常召喚!!」
赤と白の装甲を持つヒロイックな斬機士が現れる! ATK1000
「そして僕はレベル4の『斬機サブトラ』にレベル4の『斬機シグマ』をチューニング!!」
4+4=8
「集いし星が炎の剣を呼び起こす!願いを繋ぐ道となれ!シンクロ召喚!!現れろ!レベル8!『炎斬機マグマ』!!」
遊嗣のフィールドに紅蓮の炎が逆巻き、熱き炎を宿すヒロイックな剣士が現れる! ATK2500
「バトルだ!『炎斬機マグマ』で『アドラメレク』を攻撃!炎斬剣マグマ・スラッシュ!!」
炎を纏った一撃が蒼炎の悪魔を斬り捨てる!
ラプラスLP4000→3300
『──
「えっ…?」
モンスターが破壊されて煙が舞い上がる中…地の底から響くような、低いラプラスの声が遊嗣へと問いかける…。
『お前の
「っ…そんな!?」
フィールドに極寒地獄を思わせる吹雪が吹き荒れ、炎の斬機士は凍り付き、砕け散る!
除外されたカード
アドラメレク
炎斬機マグマ
《っ…遊嗣!リカバリーを!!》
「っ…!メイン2!手札の『斬機サーキュラー』の効果発動!!デッキの『斬機マルチプライヤー』を墓地に送り、自身を特殊召喚!!」
半円状の両刃刀を持つ虹色の装甲の戦士が現れる! ATK1500
「さらに手札の『斬機アディオン』の効果発動!ターン終了時まで『サーキュラー』の攻撃力を1000アップさせて、自身を特殊召喚!」
十字型の剣を持ち、赤いマントを纏う斬機士が現れる! ATK1000
「そして『サーキュラー』の二つ目の効果発動!!自身がフィールドに存在する時に『斬機』モンスターの召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから『斬機』魔法カード『斬機方程式』を手札に加えて、発動!その効果で墓地の『斬機シグマ』を攻撃力を1000アップさせて特殊召喚!」
再びヒロイックな斬機士が現れる! ATK1000→2000
「僕はレベル4の『サーキュラー』『アディオン』『シグマ』の3体でオーバレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!!黒鉄の鎧を纏いし斬機士よ!その瞳で勝利の方程式を見極めろ!『塊斬機ダランベルシアン』!」
銀河の爆発の中から電磁波を纏う黒鉄の騎士が現れる! ATK2000
「『ダランベルシアン』の効果発動!ORUを全て取り除き、その数に応じた効果を発動できる!ORUの数は3つ、よってデッキから『斬機』カードの『斬機超階乗』とレベル4の『斬機ダイア』を手札に加える!僕はカードを2枚伏せ、ターンエンド!!」
遊嗣LP4000
ダランベルシアン 伏せ2 手札1
『その程度の覚悟で遊海を助けるだと…?ふざけるな…ふざけんな!!手を伸ばしただけで誰かを救えたのなら…あいつの…
「っ──!!」
ラプラスの体からカオスが…底知れぬ
ラプラスは納得していなかった…数多の人々の人生や願いを踏み躙ってきた自分がアストラル世界へと生まれ変わった事に…。
なんの罪もない
自分達の『物語』を終えてなお…彼が抱き続けていた『自責の念』…晴れる事のない罪悪感は、今なお彼を
『オレのターン…ドロー!!』
『スタンバイフェイズにフィールド魔法「煉獄の氾爛」の効果発動…!攻守0の「インフェルノイド・トークン」を特殊召喚!』
無色の真空管が現れる! DEF0
『墓地の「インフェルノイド・ルキフグス」の効果発動…!墓地の「インフェルノイド・リリス」を除外し、墓地のこのカードを特殊召喚!』
黒い真空管を灯す「拒絶」の悪魔が現れる! ATK1600
「さらに墓地の『インフェルノイド・シャイターン』の効果発動!墓地の『インフェルノイド・ネヘモス』を除外し、このカードを特殊召喚!」
白い真空管を灯す『憤怒』の悪魔が現れる! DEF0
『そして、オレは永続魔法「煉獄の虚夢」を発動…!その効果によりこのカードを墓地に送り、フィールドの「インフェルノイド・トークン」と「シャイターン」、手札の「インフェルノイド・ヴァエル」「ベルゼブル」…さらに、相手フィールドにのみEXデッキから特殊召喚されたモンスターが存在する事でデッキの「ネヘモス」「リリス」「デカトロン」「アドラメレク」「ベルフェゴル」「アスタロス」「アシュメダイ」の6体を墓地に送り…融合召喚を行なう!!』
「モンスター10体の、融合…!?」
『太古に封印されし破壊神よ…!仮初の肉体で全てを蹂躙せよ!!融合召喚!「インフェルノイド・ティエラ」!!』
ラプラスのフィールドに燃え盛る巨大な樹…『ナチュルの神星樹』に守られた扉が現れる…その扉を破壊し、虚ろなる場所から世界を蹂躙した破壊神が現れる…! ATK3400
「攻撃力、3400…!」
『「ティエラ」の効果発動…融合素材としたモンスターの種類によって、「ティエラ」は効果を発動できる…まずは3種類の効果!お互いにEXデッキのモンスター3枚を墓地に送る!』
「っ…!!」
ラプラス 墓地送り
ティエラ
ティエラ
遊嗣 墓地送り
マグマ
ダランベルシアン
ラプラシアン
『5種類の効果!お互いにデッキトップから3枚を墓地へ送る!』
ラプラス 墓地送り
混沌の黒魔導師
蒼炎の煉獄
インフェルノイド・シャイターン
遊嗣 墓地送り
ハーピィの羽根箒
斬機超階乗
斬機サーキュラー
『8種類の効果!お互いに除外されたカードを3枚まで墓地に戻す!』
ラプラス 墓地戻し
インフェルノイド・ネヘモス
インフェルノイド・リリス
インフェルノイド・デカトロン
遊嗣 墓地戻し
炎斬機マグマ
『最後に10種類の効果!手札のあるプレイヤーは全てのカードを墓地へ送る!』
「そんなっ…!」
吹き荒れる蒼炎の嵐が遊嗣のリソースを焼き尽くしていく…。
遊嗣 墓地送り
斬機ダイア
『「ルキフグス」の効果発動…!1ターンに1度、このモンスターの攻撃を封じる代わりに相手モンスター1体を破壊する!「ダランベルシアン」を破壊!!』
「っ…罠カード発動!『斬機帰納法』!自分フィールドに『斬機』モンスターが存在する時、このカードを墓地に送り!『インフェルノイド・ティエラ』を破壊!!」
『甘い!!墓地の「煉獄の死徒」の効果を破壊!このカードを除外し、その破壊を無効にする!』
「なっ…!?」
ダランベルシアンの放った斬撃は蒼炎に焼き尽くされて阻まれ、ダランベルシアンも燃え尽きる…!
『バトルだ…「インフェルノイド・ティエラ」で遊嗣にダイレクトアタック!!煉獄破砕!!』
《これっ…!?まずい!伏せるんだ遊嗣──!?!》
「えっ──」
巨大なる破壊神から放たれるのは全てを破壊する蒼炎の奔流…それに込められた
ボン!!!
「遊嗣さんっ!?」
吹き荒れる熱風、王宮を揺るがす轟音と衝撃波…あまりの威力に吹き飛ばされそうになりながらマシュは恋人の名を叫ぶ…そして、爆煙が薄れ────
「がっ……ごふっ…!?」
「遊嗣さん!!!」
『遊嗣!!!』
遊嗣は
遊嗣LP4000→600
「あ、ああ…遊嗣さん…いやああああ!!!」
「マシュ!?しっかりしろ!!落ち着けは、無理か…!!」
(ラプラス!!やり過ぎだ!遊嗣を
あまりにもショッキングな光景にへたり込んでしまうマシュ…その様子を見たアストラルが思わず声を上げる!
『死なねぇよ…!人間の
「おじ、さ……ぐっ…」
壁にめり込んでいた遊嗣が壁から剥がれ、地面に叩き付けられる…そんな遊嗣に対し、ラプラスは激情を露わにする。
歴史改変…それは遊海や仲間達が命懸けで切り開き、掴み取ってきた『最善』へと介入するという事……そこまでに遊海が背負い、受けてきた痛みや苦悩は…遊嗣に測りきれるものではない…。
『オレは、これでターンエンドだ…!』
ラプラスLP3300
ティエラ ルキフグス 氾爛 手札0
「遊嗣、さん…!遊嗣さん!しっかり…しっかりして!!起きて!!」
『マシュ、ダメだ!今は危険すぎる!!』
ラプラスのターンが終わり、なんとか落ち着いたマシュが遊嗣へと駆け寄ろうとする…だが、ブルーノが彼女を慌てて取り押さえる…。
「(マシュの、声…遠くに、聞こえる……痛い…今までの人生で、一番……苦しい……目の前が、くら、く……)」
そして、倒れ込んだ遊嗣の意識は一周回って
「(父さん……助け……違う…助ける、のは……僕、なのに……)」
キィン──
あまりの苦しさに遊海へと助けを求めかけてしまう遊嗣……その時、遊嗣の首元───ラプラスに送られたペンデュラムが光を放った。
Side???
───そんな…嘘だ…嘘だぁ!!■…■■■!!あ、ああ…あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ!!!!───
「(ラプラス、おじさん…?)」
生死の狭間…そこで、遊嗣は
──■…お前の遺志は無駄にはしない…闇へ堕ち果てようと…この世界を救おう…我が罪を償う為に…オレは全てを踏み躙ろう…!──
──さぁ!!刮目して見よ!遊海!!人間共!!今ここに世界は再誕する!!救いの未来は!今ここに始まるのだァ!!──
──あ、ああ…希望…全てを照らす…光…──
──…オレは、未来を救う為にお前達にとっての「悪」を為した…しかし、それは未来にとっての…「善」となる…はずだった……遊星…オレのしてきた事は…なんだったんだろうなぁ…──
──……貴方は…未来を切り拓こうとしただけだ、貴方のした事は大きな罪だ…それでも貴方は…オレ達に希望を繋いでくれた…!
──ありがとう遊星、やはり…お前は変わらないな…未来を導くお前達に未来を…希望を託す──
──オレは死んだ、落ちるほどに自分を形作っていた心が、記憶が、魂が…燃え尽きていく──
──ああ…それでも、たとえ全てが燃え尽きようと…この「光」は…この「後悔」だけは……───
それは、断片的な記憶の欠片…1人の男が絶望し、闇に堕ち──その果てに僅かな
Side OUT
「(痛い…体じゃない…胸が、痛い……心が……ラプラスおじさんの、痛みが…悲しみが……)」
《遊嗣!遊嗣!!しっかりするんだ!!》
数秒か、数分か…失神していた遊嗣が目を覚ます…必死にロマンが声をかけ続けている中、遊嗣は考える…。
「(
断片的な欠片…それを見た遊嗣はラプラスの真意に気付いていた。
ラプラスは自分の歩んだ「絶望の未来」を遊嗣に歩ませたくなかった…それ故に、痛めつけてでも遊嗣の心を折ろうとしたのだと…。
それと同時に遊嗣は思った…
キィン─!!
《この光…聖剣のアクセサリー……「
『──アヴァロンだと…!?いつの間にそんなモノを!?』
「アルトリア…力、貸してくれるんだね……ありがとう…!!」
その時、遊嗣の持つもう一つのアクセサリー…マーリンに渡された聖剣のアクセサリーが光を放つ……アルトリアの残した祝福が、遊嗣の傷を癒し…立ち上がるだけの力を与える…!
「遊嗣さん!!」
「マシュ…ごめん、ちょっと…やばかった………ラプラスおじさん…僕は、16年しか生きてないから、おじさんや父さんが抱えた痛みも、苦しみも…悲しみも…分からない……でも…でも!僕は、負けない…!この試練を乗り越えて…父さんを…そして、ずっと痛みを抱え続けてるラプラスおじさんも助けてみせる!!」
『オレを救う、か……やれるなら、やってみろ…!オレという絶望を超えてみせろ、遊嗣!!』
立ち上がった遊嗣はふらつく体でラプラスへと吠える…その魂に宿した光を輝かせながら…『最善』を掴み、救う為に!
「僕のターン…ドロー!!」
「これなら…いける!!罠カード『斬機超階乗』を発動!その効果で墓地の『シグマ』『マルチプライヤー』『アディオン』を効果を無効にして特殊召喚!!」
墓地から3体の斬機士達が飛び出す!
シグマ ATK1000
マルチプライヤー ATK500
アディオン ATK1000
「そしてその3体のみでシンクロ召喚を行なう!!僕はレベル4の『マルチプライヤー』と『アディオン』にレベル4の『シグマ』をチューニング!!」
4+4+4=12
「集いし絆が紅蓮の刃を呼び覚ます!願いを繋ぐ道となれ!シンクロ召喚!!現れろ!レベル12!『炎斬機ファイナルシグマ』!!」
燃え盛る蒼炎を切り裂き、灼熱の刃を持つ剣聖が現れる! ATK3000
『レベル12…だが、その程度の攻撃力で何ができる!フィールド魔法「煉獄の氾爛」の効果によって、お前は最もレベルの高い『インフェルノイド』である「ティエラ」にしか攻撃できない!』
「『ファイナルシグマ』はEXモンスターゾーンに存在する限り、『斬機』カード以外のカード効果を受けない…さらに、シンクロ素材になった『マルチプライヤー』の効果発動!このカードが墓地に送られたターン、EXモンスターゾーンの『斬機』モンスターの攻撃力は2倍になる!」
『攻撃力6000だと…!?』
紅蓮の剣聖が不死鳥のオーラを纏う!
ファイナルシグマATK3000→6000
『だが、まだオレのライフを削り切るには足りん…!』
「なら、これでどうだ!!装備魔法『斬機刀ナユタ』を『ファイナルシグマ』に装備!!バトルだ!『ファイナルシグマ』で『インフェルノイド・ティエラ』を攻撃!その時、『斬機刀ナユタ』の効果発動!デッキの『斬機ディヴィジョン』を墓地に送り、その攻撃力の数値分、『ファイナルシグマ』の攻撃力をアップ!さらに、墓地に送られた『ディヴィジョン』の効果で『インフェルノイド・ティエラ』の攻撃力を半分にする!!」
『なんだと!?』
ファイナルシグマの手にした大剣から紅蓮の炎が噴き出し、さらに薙刀を持つ黄色の斬機士の幻影が破壊神の力を削ぐ!
ファイナルシグマ ATK6000→7500
ティエラ ATK3400→1700
「さらに!『ファイナルシグマ』が相手モンスターとバトルする時に与えるバトルダメージは2倍になる!!これが…僕の覚悟だ!!破壊神を……絶望を、斬り裂け!!大紅蓮爆炎刃!!」
『───遊海め、過保護にも程があるだろう……大バカヤロー───』
跳躍した炎の剣聖が蒼炎の破壊神を両断……その中で遊海に対する悪態をつきながら、ラプラスは呆れたように笑っていた…。
ラプラスLP0
遊嗣WIN!!
「はぁ……はぁ……ああ…しん、ど……こふっ!!」
「遊嗣さん!!ああ…!!酷い怪我!!」
「マシュ…ダメだよ…汚れちゃ……力、入らな……」
「遊嗣さん!?しっかりして─!?」
魂の決闘は絶望を乗り越えた遊嗣の勝利によって決着した…だが、遊嗣の受けたダメージは甚大…血を吐きながら、地面へとへたり込む…その様子を見たマシュが慌てて駆け寄り、遊嗣を抱き締めるが…彼はそのまま仰向けに倒れ込んでしまった…。
『ラプラス、大丈夫ですか?』
『ああ…まぁな……致命傷は、避けたが……土壇場で、
対するラプラスは体色や瞳の色が元に戻り、胸を袈裟懸けに斬り裂かれた状態で地面に大の字に倒れ込んでいた…歩み寄ったZ-ONEの問い掛けに、彼は苦笑しながら応えている。
『──
『なんの、事だ?オレは本気───』
『貴方が本気で遊嗣の道を阻むつもりなら、最初のターンに「創星神tierra」を喚び出していたでしょう?その準備は出来ていたはずです、それ以外にも指摘はありますが───貴方の優しさはあまりにも
『はっ………あいつが戻ってくるなら、大人しく殴られてやるよ……』
ラプラスはこの決闘に本気で向かい合いながら、手加減をしていた…そうでなければ、遊嗣は対エクストラメタである「インフェルノイド」に勝つ事は難しかっただろう。
ラプラスはギリギリのラインで遊嗣が手にした「力」を扱う為の
『本当の所、貴方は今回の歴史改変をどう思っているのです?』
『反対なのは
『まったく…貴方は一言足りない、それは相変わらずですね』
なんとか起き上がったラプラスは遊馬達に治療を受ける遊嗣を穏やかな目で見つめていた…。
「いた、たた……痛すぎて、死ぬかと思った…遊馬さん、ありがとうございます…」
「ふぅ…オレでも治せる範囲で良かった…遊海に教わったけど、微妙に苦手というか……」
(回復系はそれぞれに得手不得手があるらしい、仕方ない)
しばらくして…遊嗣は遊馬による回復魔法でなんとか起き上がれるまで回復していた…なお、遊馬は凌牙や璃緒ほど回復系の力は慣れないらしく、冷や汗を流している。
『悪かったな、遊嗣…少しやり過ぎた……魂の籠もったいい攻撃だった……これなら、ARC次元で何があっても通用するだろう』
「ラプラスおじさん…それじゃあ…!」
『ああ、自分の手で「最善」を掴んでみせろ、遊嗣』
「ありがとうございます!!」
そして、同じく傷を癒したラプラスは遊嗣へと歴史改変の許可を出す…それを聞いた遊嗣は嬉しそうに頭を下げた…。
【むっ…決着がついていたか…】
(エリファス?今まで何処に…?)
【ラプラスの無茶を止めようと
『(ギクッ!!)』
「「彼女…?」」
その時、その場を離れていたエリファスが戻ってくる…そして、その言葉を聞いたラプラスが居心地悪そうに肩を震わせる…。
キィン!!
『ラプラス!!貴方、何してるの!!王宮で滅茶苦茶なデュエルなんて…!!』
『え、エメル…!!』
そして、遊嗣達の前に光が集い…紫色の髪を持つ、アストラル人の少女──エメルが現れる…。
「あの、遊馬さん…この女の人は…?」
「ああ、あの人はエメル…ラプラスの奥さんだ!遊嗣もずっと昔に会った事あるはずだぜ?」
『あら、遊馬君!それに……遊嗣君?遊嗣君だ!!きゃ〜!!久しぶりだね〜!!こんなに大きくなっちゃって…!!私の事覚えてる〜!?』
「(°o°)」
「ゆ、遊嗣さんが…可愛がられ過ぎたネコみたいな感じに…!?」
《あー……ラプラスとエメルにとって、遊嗣の存在は
遊馬にエメルについて尋ねる遊嗣…その時、彼女が遊嗣の存在に気付き、目を輝かせながら彼を抱き締める…そのあまりの圧力に遊嗣はされるがままにされている…。
『というより、なんで遊嗣君がこんなにボロボロなの?───まさか、ラプラス……』
『いや、待て!エメル!これにはちゃんとした理由と男同士の意地があってだな…!!』
『遊海さんと翠の宝物にぃ…!何をしてるの貴方はぁぁぁぁ───!!!』
ドガッシャーン!!
『ぐっはああああああ────!!!?』
「「ええーっ!?!?」」
『うん、ナイスバッティング……』
「あちゃー………」
(……怒らせた明里や小鳥以上に恐ろしいな、彼女は……)
『ラプラス、これは自業自得ですよ…』
ひとしきり、遊嗣を可愛がったエメルはようやく遊嗣がボロボロの傷だらけである事に気付く…そして、その原因がラプラスにあると知ると目の色が変わる。
そして、弁明するラプラスの言葉には耳を貸さず…何処からか取り出した身の丈以上の大鎌の持ち手をフルスイングでラプラスへと叩き付け、ラプラスは交通事故のような音を出しながら…王宮の屋根を突き抜け、アストラル世界の空の果てへと消えていったのだった…。
『わーん!!遊嗣君!ウチの旦那様がごめんね〜!!すぐにきれいに治すからね〜!!』
「(………エメルおば……エメルさんは、怒らせないようにしよう………)」
「(な、なんでしょう…初対面のはずなのに、会った事があるような…気のせい…?)」
《(エメルに頭が上がらないんだろうな、ラプラス……)》
そして、エメルは大泣きしながら遊馬が癒しきれなかった遊嗣の治療に取り掛かる…そんな中で遊嗣はエメルを怒らせないようにしようと心に決めたのであった…。