転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは、S,Kです

時を超えた奮闘によって遊海の運命を変えた遊嗣……だが、最悪のイレギュラーが世界を闇へと閉ざしていく…。


遊嗣は絶望を乗り越え、光を掴む事ができるのか──

どうか、見届けてください。


集いし願い─遊を継ぐ者─

「ろ、ロマン!父さんは!?母さんは!?みんなはどうなったの!?」

 

《っ…こんなの、()()()だ…!マスターに敗れたダークネスはドン・サウザンドの混沌の炎に燃やされて、現世から退場するはずなのに!?》

 

「想定外───」

 

 

──遊海が定められた物語……運命を変えようとする時、奴にはその運命の揺り戻し……オレ達が()()()()()()と呼ぶ現象が襲いかかる──

 

 

「これが、イレギュラー…!?」

 

遊嗣の奮闘によって遊海がダークネスの『呪い』に冒されるという最悪の運命は回避された…はずだった。

 

しかし、ダークネスは倒れる事なく…遊海達は黒い太陽に飲み込まれ、消えてしまった。

 

その光景を見た遊嗣はラプラスから伝えられた『イレギュラー』という言葉を思い出していた…!

 

 

 

滅びよ…滅びるがいい…!決闘者共─!!

 

 

「ロマン!父さん達はどうなったの!?ダークネスは何をしたの!?」

 

《っ…少し待って…!できる範囲で解析してみる!!サーチモード・全力稼働!!》

玉座の間で闇を纏いながら呪詛を垂れ流すダークネス…その正面には遊海達が飲み込まれてしまった黒い太陽が滞空している。

それを見たロマンは遊海のデータや彩華から託された知識を総動員して状況を解析・演算する…!

 

 

《っ……あの黒い太陽に見えるモノ…あれは『太陽』そのものじゃない…ダークネスが支配するダークネス…『虚無の世界』を圧縮したモノ…そうか…そんな事が…!!》

 

「ロマン…何がわかったの!?早く教えて…!!」

 

《うん、マスターから得た知識やボクの予測も入ってるけど、現状を伝えるよ…!》

そして、ロマンは現在の状況をできる限り分かりやすく遊嗣へと伝える…。

 

 

 

《あの太陽…いや、暗黒球と呼称しよう…あれは次元統合装置『アークファイブ』によって集められた、ARC次元内──()()4()()()の『闇』を圧縮した存在だ…マスター達はその中に囚われてしまっている…!しかも、囚われているだけではない…あの暗黒球は少しづつ()()()()()…》

 

「縮み続けたら、どうなるの…!?」

 

《………中にいる生物は世界4つ分の『闇』という途方もない質量……圧力に押し潰され、()()()()()事になる…!!》

 

「っ…!!そんな!!」

ダークネスの放った暗黒球…それはかつて『GX』の時代に十代以外の全人類を飲み込んだ『虚無の世界』と同じモノ…それを()()()()()()方向に特化させた()()()だった…!

 

 

 

「ダークネスはなんでそんな事を!?そもそも、父さんが致命傷を与えたはずじゃ…!?」

 

《……本来、ダークネスという存在には()()というものが存在しないらしい…「人間を滅ぼしたい」「世界を支配したい」…そういう目的ではなく、「人類が抱いた負の心」が一定の量を超えてしまった時『全ての人間を同化し、喜びも悲しみもない世界に導いて救済する』というプログラム──考え方を変えれば、ダークネスはボク達と同じ…A()I()に似た存在と言える…》

 

「ダークネスが、AI…」

 

《しかし、ダークネスは顕現する度にその『目的』を果たせずに倒されてきた…1度目は遊城十代、2度目はマスター…3回目は魔獣神ネームレス…そして、今回で4回目…!自分の目的を何度も果たせなかった事でダークネスが()()()()…!幾度となく自分の目的を邪魔してきた人間──決闘者に対して、初めて()()()()()という負の感情を抱いたんだ!!》

 

「憎しみや、恨み…それって…!」

 

《そうだ…()()()()()はとてつもない力を生み出す…!そして、ダークネスは目的を果たす為…邪魔者となる決闘者達の同化を諦め、()()しようとしているんだ…!!》

 

 

 

幾度となく自身の齎す『救済』を否定され続けた事で、野心や渇望が存在しないダークネスに初めて強烈な()()が宿った。

 

それは──救済を否定し、阻む決闘者達への()()()

 

今のダークネスは『不滅の復讐者』と言える存在と化しているのだ…!

 

 

 

「っ…どうすればいいの!?こんな状況でも、手を出しちゃダメなの!?」

 

《(今、戦えるデュエリストはリンの救出に向かっているシンクロ次元の不動遊星に、エド・フェニックスとユーゴ…それにクロノス先生……ダメだ…()()()()…!『シューティング・クェーサー・ドラゴン』が使えれば、可能性はあるけど…彼らが駆けつける前に、マスターと翠以外の……いや、全員が死んでしまう…!!)》

この時代に残された戦力からダークネスを打倒できる可能性を計算するロマン…しかし、その結果は…あまりにも非情なモノだった…。

 

 

「……ないんだね、ロマン…今の状況を打開できる方法が…でも、()()()……可能性はある、そうだよね?」

 

《っ…!!》

ロマンの表情を読み取った遊嗣は1つのデッキを取り出す……それは、ラプラスによって使用厳禁と言い渡された『覇王龍』デッキだった。

 

 

《………ダメだ、許可できない》

 

「さっき、父さんが言ってたよね…『虚無に干渉するには理屈を超えた力が必要』だって……『覇王龍ズァーク』はこの次元を生み出した()()()の精霊……これなら、ダークネスを倒して父さん達を助けられるはず…!」

 

《遊嗣、ダメだ…!そんな事をしたら、きみが…『白波遊嗣』という存在が消えてしまう!!きみがダークネス以外に『覇王龍ズァーク』を喚び出した姿を見られた瞬間、きみは!!!》

 

「………もう、()()()()()()()───父さん達を助けて、それで消滅する事になっても……僕は、みんなを救ける!!」

 

《遊嗣!!》

絶体絶命の状況に追い詰められた大切な両親を…兄姉を…そして、仲間達を救い出す為に遊嗣は覚悟を決める。

 

 

イレギュラーを引き起こしてしまった、自分の()()を果たす為に───

 

 

 

 

『やれやれ…若いのに見事な覚悟だね、()()()()…そんなバッドエンド、この私が許すわけないだろう?』

 

 

 

 

「この、声は……」

その時、玉座の間が薄っすらと霧に覆われる…その霧の中から花吹雪と共に、白いローブで顔を隠した青年が現れた。

 

 

()()の活躍を見ながら微睡むと…いつの間にやら虚無の邪神が齎す悪夢の中へ……花のお兄さん、出張サービスの時間だよ』

花のお兄さん──この時代のマーリンは謳うように遊嗣に語りかける。

 

 

『いいかい?未来の君…これから私がアカデミア全体に幻術を掛ける…アカデミアにいる、全ての人間をデュエルが終わるまで夢の中へと導こう…その時は私も()()()()───その間に、ダークネスを倒してほしい……頼めるかい?』

 

「っ…ありがとうございます!!」

 

『うんうん、いい返事だ!未来のボクがその()()を預ける訳だよ……では、武運を祈るよ…未来の君、見事に()()を掴んでくれたまえ!』

 

キィン─!

 

遊嗣へと希望を託したマーリンの姿が花吹雪となってかき消える…そして、その花びらはアカデミアを覆い尽くした…!

 

 

 

「ありがとう、マーリンさん……ロマン!」

 

《──遊嗣、きみは本当に運命に愛された子だよ…行こう!ボク達で…虚無の邪神を討ち果たす!!》

 

「うん!!」

マーリンからのバックアップを受けた遊嗣…彼はロマンと頷きあい、ダークネスの前へと躍り出た!!

 

 

 

 

「ダークネス!!とう……遊海さん達を解放しろ!!」

 

【汝、先ほどから身を潜めし者……()()()か、汝も希望を捨て…喜びも悲しみもなき世界に身を委ねるがいい…!!】

 

「そんな世界、僕達は望まない!!僕は、大切な家族と…愛する人と共に、未来に行くんだ!!」

ダークネスと対峙する遊嗣…そして、ダークネスは青い炎の灯る目で遊嗣の正体を見抜き、『虚無の世界』へと誘うが…遊嗣は瞳を金と碧のオッドアイに変え、ダークネスを否定する!

 

 

 

【覇王…!!汝もまた世界の異物か…精霊であり人間、理を外れし者…!汝を抹殺する…!忌々しき決闘者共と共に、光と影の狭間を彷徨うがいい…!!

 

「お前に何を言われようと…僕は揺らがない…!僕の進む未来は──僕が決める!!」

ダークネスの背後に黒き翼が広がる…世界の──未来の命運を懸けた決闘(デュエル)が始まる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ADVENT BEAST

 

人類悪 陥穽

 

 

 

 

【「デュエル!!」】

 

 

 

ダークネス LP4000

遊嗣 LP4000

 

 

 

マスターデュエル

 

・マスタールール適用

EXモンスターゾーン・リンク召喚使用不可

ペンデュラムゾーン使用可能

 

 

 

 

 

 

 

【我のターン…!】

【我は魔法カード『スター・ブラスト』を発動!その効果により、我のライフを1000ポイント払い手札の『ダークネス・ブランブル』のレベルをターン終了時まで2つ下げる…!】

 

ダークネスLP4000→3000

 

ダークネス・ブランブル 星6→4

 

 

【我は『ダークネス・ブランブル』を召喚!】

無数の目を持つ異形の植物が現れる! ATK2000

 

 

【さらにフィールド魔法『ダークネス』を発動…!その効果により、デッキから5枚の魔法・罠カードをランダムにセットする!】

周囲の世界から()が消え去り、暗黒の世界が広がる…!

 

 

【我はこれでターンエンド…この時、『ダークネス・ブランブル』の効果発動…お互いのターン終了時に我のライフが4000未満の時、ライフを4000にする…!】

 

ダークネスLP3000→4000 

ブランブル ダークネス 伏せ5 手札2

 

 

 

 

《遊嗣、このデュエルは勝利条件が定められた()()()()()()みたいなモノだ…!単純にダークネスに勝つだけじゃない…ボク達は『覇王龍ズァーク』を喚び出した上で、奴のライフを0にしなければならない…!そうしなければ、ダークネスは何度でも立ち上がってくる…しかも…!》

 

()()()()がある…!早く決着をつけないと、暗黒球に閉じ込められた父さん達が…!!」

ダークネスのターンが終わり、遊嗣達は勝利条件を確認する…遊嗣達の背にある暗黒球は既に元の大きさの半分の大きさまで縮んでしまっている…!

 

 

《遊嗣、焦らないで…!きみなら、必ず運命を変えられる!》

 

「うん…!!」

 

 

 

 

「僕のターン!ドロー!!」

「僕は手札からスケール1の『覇王門の魔術師』とスケール13の『覇王門無限(インフィニティ)』をペンデュラムスケールにセッティング!!」

 

PENDULUM

 

遊嗣の背後に光の柱が立ち上がり、夜空の星々ように輝く衣装の魔術師と『∞』の形をしたモニュメントが浮かび上がる!

 

 

「『覇王門の魔術師』のペンデュラム効果発動!自分のメインフェイズにペンデュラムゾーンのこのカードを破壊する事で、デッキからスケール0の『覇王門(ゼロ)』をペンデュラムスケールに置く!」

『覇王門の魔術師』が時計の針のような杖を振るう事で光の魔法陣を展開…その姿を『0』の形をしたモニュメントへと変化させる。

 

 

「これで、僕はレベル1から12のモンスターを同時に召喚可能!!揺れろ!混沌のペンデュラム!我が魂に受け継がれし光よ!最善の未来への導べとなれ!ペンデュラム召喚!!」

遊嗣の頭上に現れたゼアルライトのペンデュラムが青・紫・赤の光の円環(アーク)を描き、開かれた扉から2本の光が飛び出した!

 

 「EXデッキから現れろ!『覇王門の魔術師』!さらに手札から現れろ!時を読み、星を読み!時空を操りし全知全能の魔術師!『アストログラフ・マジシャン』!!」

星の煌めきを纏う魔術師と白い衣を纏う神秘的な雰囲気の魔術師が現れる! ATK2500 ATK2500

 

 

「『覇王門の魔術師』の効果発動!このカードが特殊召喚された時、デッキから魔法使い族以外の『覇王龍ズァーク』の名が記されたカード──『覇王龍の魂』を手札に加える!バトルだ!『覇王門の魔術師』で『ダークネス・ブランブル』を攻撃!!」

 

【その瞬間、我は手札の『ダークネス・レインクロー』の効果発動…!相手モンスターの攻撃宣言時、手札のこのカードとフィールドの『ダークネス・ブランブル』を墓地に送り…デッキから『ダークネス・ネオスフィア』を特殊召喚!!】

 

「なにっ…!?」

先制攻撃を仕掛ける遊嗣…だが、その前に赤い髪の巨大な異形の女性型モンスター…ダークネスの切り札が立ち塞がる! ATK4000

 

 

「攻撃力、4000…!!攻撃中止だ!!」

 

【我は永続罠『虚無』を発動…さらに永続罠『無限』を発動…!その間にある永続罠『ダークネス1』『ダークネス3』を発動!その効果により『アストログラフ・マジシャン』とペンデュラムスケールの『覇王門零』を破壊する…!】

 

「っ…!!」

罠カードから飛び出し虚無の稲妻が白衣の魔術師と『0』のモニュメントを粉砕する!

 

 

「っ…僕はカードを3枚伏せ、ターンエンド!!」

 

【この瞬間、フィールド魔法『ダークネス』の効果発動…我のフィールドの魔法・罠カードをランダムにセットし直す】

 

遊嗣LP4000

覇王門の魔術師 (Pスケール 無限) 伏せ3 手札0

 

 

 

滅びよ…!滅びよ…!!決闘者共…!!

 

 

 

【我のターン…!ドロー!】

【『ダークネス・ネオスフィア』の効果発動…!フィールド魔法『ダークネス』の効果を無視し、フィールドの魔法・罠カードを好きな順番に並べ直す】

 

「なっ…そんな効果が!?」

 

【そして我は永続罠『虚無』を発動…さらに永続罠『無限』を発動…!その間に伏せられた『ダークネス3』『ダークネス1』『ダークネス2』を発動…!その効果により相手プレイヤーに3000ダメージを与える!】

 

「しまっ…!?がああああああっ!?!?」

 

《遊嗣!!ぐううっ──!?!》

ダークネスの罠カードから放たれた虚無の稲妻が遊嗣とロマンを直撃…激痛と共にライフを吹き飛ばす…!!

 

 

遊嗣LP4000→1000

 

 

ズズズッ……

 

「が、はっ…」

 

《っ…いけない…!暗黒球が小さく…!?まさか、遊嗣のライフと連動して…!!》

激痛に思わず膝をついてしまう遊嗣…さらに、暗黒球の大きさが急激に収縮する…!!

 

 

 

滅びよ…!決闘者…!白波遊海ぃぃ!!!バトルだ…!『ダークネスネオスフィア』で『覇王門の魔術師』を攻撃!!】

 

「させ、ない…させるもんかぁぁ!!」

怨嗟の声と共に遊嗣へとトドメを刺そうとするダークネス…しかし、遊嗣は気力を振り絞って立ち上がる!!

 

 

 

「罠カード発動!!『覇王天龍の魂』!!このカードは、自分フィールドの元々の攻撃力2500の魔法使い族ペンデュラムモンスター『覇王門の魔術師』をリリースし、デッキの『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』とEXデッキの『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!『クリアウイング・シンクロ・ドラゴン』!『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』を融合素材として除外する!!」

空中に浮かび上がる光の円環へと四天の龍達が飛び込んでいく!

 

 

「破壊と創生、原初と終焉…総てを束ねし龍よ!!今、その力を解き放て!!統合召喚!!現れろ!我が魂!!『覇王龍ズァーク』!!」

暗黒の世界に赤雷が輝く…そして、遊嗣の魂──覇王龍が咆哮する!! ATK4000

 

 

 

【…『覇王龍ズァーク』──汝、遥か未来の───】

 

「っ……───『覇王天龍の魂』によって特殊召喚された『覇王龍ズァーク』は四天の龍がそれぞれ除外されていなければ、効果が無効になる……!『覇王龍ズァーク』の効果発動!!特殊召喚に成功した時、相手フィールドのカード全てを破壊する!マキシマム・クライシス!!」

 

【ぬうおおおっ…!?】

降り注ぐ赤雷がダークネスのフィールドを蹂躙する!!

 

 

 

《よし!これなら…!!》

 

【まだだ…ダークネスは不滅…!何度でも蘇る…!!メインフェイズ2…!『ダークネス・ネクロスライム』を召喚!】

黒い禍々しいスライムが現れる! ATK0

 

 

【『ネクロスライム』の効果発動…!自身をリリースする事で墓地の『ダークネス・ネオスフィア』を特殊召喚!!】

 

「《なっ…!?》」

異形の女性型モンスターが蘇る…! ATK4000

 

 

【我はこれでターンエンド…!】

 

ダークネスLP4000

ダークネス・ネオスフィア 手札1

 

 

 

 

 

《攻撃力4000のモンスターが残った…!でも、遊嗣は『覇王龍の魂』を伏せてる…相討ちに持ち込んで、続けて攻撃すれば…!!》

 

「……()()()、ロマン…僕じゃ、ダークネスを倒せない…」

 

《えっ…!?》

厄介なフィールド魔法『ダークネス』を破壊し、ダークネスを追い詰めた遊嗣…だが、その表情は──()()に染まっていた…。

 

 

 

「『覇王龍ズァーク』を喚び出した瞬間に、分かったんだ…()()()()…!()()()()()()…!!僕は──本来の『覇王龍ズァーク』の()()の力しか、持ってなかったんだ…」

 

《────あ…!?》

声を震わせながら、遊嗣がロマンに自分の犯した()()を伝える。

 

 

18年前、遊海達によって倒された『覇王龍ズァーク』は良い心を受け継いだ榊遊矢達4人と悪の心を受け継いだ遊嗣へと分かたれた……つまり、遊嗣の操る『覇王龍ズァーク』は規格外ではあるが、全盛期──()()()であった時よりも力が()()してしまっている、という事に気付いたのだ…。

 

 

 

「ダークネスに致命傷を与えるには、父さんが喚び出した『ヌメロニアス・ヌメロニア』レベルのパワーがいる…でも、今の『覇王龍』じゃ…!!」

 

【その通り…!我は不滅…心の闇が世界に存在する限り、ダークネスは滅びぬ…汝のような()()()に、我は滅ぼせぬ…!さぁ…足掻き、絶望し…汝の大切な者の()によって…光無き世界へと沈むがいい…!!

 

ズズズッ…!!

 

《まずい…!!》

絶望した遊嗣の心に追い打ちを掛けるダークネス…さらに、暗黒球が収縮…そのサイズは元々の3分の1ほどになってしまっている…!!

 

 

 

「ぼくの、せいだ…ぼくが、歴史改変なんて…しなければ…」

 

《っ…!!諦めるな、遊嗣!!!》

 

バチン!!

 

「あっ…」

絶望し、地面に崩れ落ちる遊嗣…それを見たロマンが遊嗣の頬にビンタを喰らわせた…!!

 

 

《きみは、きみは!今まで何を見てきたんだ!きみのお父さんは!遊海は!どんな状況でも最後まで諦めなかった!!父さんだけじゃない!!遊作君や尊君も…マシュだって!どんな絶望的な状況だって、諦めずに戦った!!だから、ボク達はボーマンを倒して、新たな未来を掴み取れたんじゃないか!!》

 

「ロマ、ン……」

ロマンの言葉を聞いた遊嗣は今までの旅路を思い返す…。

 

 

 

電脳世界で消えかけたマシュに手を伸ばし、ハノイの騎士と衝突した時

 

ブレイブマックスを助ける為、プレイメーカーと初めて共闘した時

 

ハノイの塔を止める為、スペクターと戦い敗北した時

 

拐われた父の意識データを人質にされ、ライトニングに敗れてしまった時

 

ミラー・リンクヴレインズでマシュと共闘し、シャドウ・ネームレスと戦った時

 

そして──『覇王龍』の生まれ変わり、という自分の正体を受け入れ…父を乗っ取った破滅の光と戦った時…

 

何度も傷付き、苦しみ…絶望しながらも、遊嗣は…そして仲間達は未来を掴む為に必死に戦ってきた…!

 

 

 

《『決闘者はライフが残っていれば立ち上がれる』…!諦めるな…!諦めるな!!光を──()()を掴むんだ!遊嗣!!》

 

「ロマン───そうだ、僕は、元々()()()だった…!だけど…それでも、僕は…!!」

ロマンの()の叫び…それは絶望に沈みかけた遊嗣の心に光を呼び戻す!!

 

 

「僕は、遊嗣!白波遊嗣!!『二代目決闘王』白波遊海の息子で、『八代目決闘王』白波凌牙の弟で…!覇王龍ズァークの生まれ変わりで『覇王』の───光を掴む決闘者だ!!!」

燃え上がる決闘者魂がダークネスの()()を振り払う…そして───

 

 

 

キィン──!!

 

 

「───この、光は───」

 

 

ダークネスに支配された暗き世界を斬り裂き、一筋の光が遊嗣へと宿った…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sideマシュ

 

 

 

「ううっ…」

 

「マシュちゃん…もう泣かないで…大丈夫だから…!」

 

「私の旦那様がごめんね〜…」

 

「凌牙に呼ばれてきてみれば……まさか、病院でこんな事が起きていたとは……」

遊嗣が過去へと旅立ってからしばらくが過ぎた現代…会議室ではショックを受けて泣いてしまったマシュを翠やエメル、ランスローが慰めていた…その理由は──

 

 

 

『…なんで、オレが、殴られなきゃ、ならない、んだ…』

 

「当然だ!この大馬鹿者!!いきなり、説明もなく遊海の腕を()()()()()馬鹿がいるか!!」

 

『しかたない、だろう…()()()()()は、歴史改変の影響を弾いちまう…その前に切り離さなきゃ、遊海は死んだままだろうが…』

 

「だから、一声掛けるとか隠すとかしろよ!?あのお嬢ちゃんはスプラッタに慣れてねぇんだから!!」

 

《フォウ、フォウ…アフォウ(完全に感覚が麻痺してるね、このアンポンタン)》

 

《自業自得だ!この馬鹿者!!》

遊嗣が過去へと旅立った直後…ラプラスはいきなり『破邪の大剣─バオウ』を取り出し、遊海の右腕──赤き竜の痣が刻まれた腕を斬り落とした。

それを直視してしまったマシュは悲鳴を上げて失神…ラプラスはエメル・海馬・城之内・D瀬人・メガロック・フォウなどに袋叩きにされ、ボコボコにされていた…。

 

なお、斬り落とされた腕は保護液に漬け込まれた状態で遊海の亡骸から離れた場所に置かれ、その周りに仲間達が集まっている…。 

 

 

 

《なぁ、なんであの精霊みたいな兄ちゃん…ラプラスは遊海の腕を斬り落としたんだ?》

 

『遊海…そしてチーム5D'sの仲間達が持っていたシグナーの証、「赤き竜の痣」はシグナーを悪しき意思から守り、歴史改変などの超常現象から本人や仲間を守る力があるんだ…亡くなった遊海の腕にも炎の痣「ドラゴン・フレイム」が残っていたからね…あのままでは遊嗣が歴史を改変しても、遊海が死んだままになってしまう可能性があったんだよ…ボク達はなんとなく分かっていたけど……キミ達にも伝えなきゃダメだったね…』

 

「びっくりしたけど、ちゃんと理由があったんだ…」

 

「……遊嗣には、話さなくて正解だったかもな…」

そして、Aiの疑問にブルーノが答える…それを横で聞いていた遊作や尊も、ドン引きしながら納得していた…。

 

 

 

《というか…遊嗣が過去に行ってしばらく経つけど…まだ、何の変化もないな…?》

 

『そこはイリアステルの技術と彼が向かったARC次元の()()()だね…当時のARC次元は周囲から隔離された『次元特異点』と呼ばれていた、数多の可能性を内包した世界……ほら、『シュレディンガーの猫』って思考実験があるだろ?あんな感じさ』

 

「つまり……外からは様子の分からないARC次元を、遊嗣が中から観測して…その『結果』を現代に持ち帰らないと『歴史改変』が確定しない…という感じか」

 

『そういう事!流石は頭が回るね、プレイメーカー!まぁ、あとはちょこちょこと歴史改変を続けたら…その度に影響が起きてしまうから、それを避ける為に遊嗣が過去から離れるまでは大丈夫なようにしてるんだ…イリアステルの特許さ!』

 

《うーん…アタマこんがらがってきた…》

ブルーノによって語られる現状…そんな時だった。

 

 

キィン──

 

「っ…円卓の盾のペンダントが…」

突然、マシュの持つ円卓の盾のペンダントが弱々しい白い光を纏う…そして──

 

「───遊嗣さんが、戦ってる……苦しんでる…!?」

 

「えっ…!?」

マシュの頭の中に断片的なイメージが流れ込む…それは暗黒の世界で遊嗣が倒れかけているイメージだった…!

 

 

 

【不可解だな、遊嗣ならばドクトルなど歯牙にも掛けず倒せるはず……娘──マシュよ、他に分かる事はあるか?】

 

「えっと───暗い場所、黒い太陽……青い炎と……()()()()()、みたいな…」

 

「それって…!?」

 

「『「ダークネス!!?」』」

 

「馬鹿な!?なんで遊嗣がダークネスと戦ってるんだ!?」

マシュの言葉に怪訝な表情を見せるドン・サウザンド…その問い掛けに答えたマシュの言葉に全員の驚愕の声が重なる…!

 

 

 

『くっ…()()()()()()が起きたか…!おそらく、遊嗣はドクトルを倒した…だが、何かの歯車が()()()…遊嗣がダークネスと戦わざるを得ない状況になったな…!?』

 

《な、なぁ…?遊嗣は大丈夫、だよな…!?遊嗣はめちゃ強いし、ダークネスにも勝てるんだよな…!?》

 

【───()()()()、今の遊嗣ではデュエルでダークネスを倒せたとしても、退ける事はできん──忌々しい話だが、当時の彼奴は()()…遊嗣は虚無を穿つほどの力は発揮できぬだろう──『覇王龍』の力を解放しても、な…】

 

《そんな…!?》

遊嗣にイレギュラーが起きた事を察するラプラス…それを聞いて心配そうに問い掛けるAiにドン・サウザンドは非情な答えを突きつけた…。

 

 

 

 

「っ…遊嗣…!約束したでしょ…!!絶対に、帰ってくるって…!!負けないで…諦めないで…!!」

 

「翠さん…」

絶望的な状況を前に翠は()()事しかできない…この場にいる人間は誰も、遊嗣を助けに行く事はできない───彼らにできる事、それは遊嗣の無事を願い…祈る事だけだった…。

 

 

 

「遊嗣さん…負けないで…!!私は、ずっと…貴方と一緒にいたいんです…!もっと、話して…笑って…大好きな遊嗣さんと一緒にいたいんです…!!だから…だから…!!」

 

「マシュ……遊嗣君、私達の可愛い娘を1人にするなんて許さないぞ…!きみの強さは──そんなものではないだろう…!!」

 

「お父さん…!」

翠の姿を見たマシュも円卓のペンダントを握りしめ祈りを捧げる…それを見たランスローも…彼方で戦う遊嗣を思い、祈る…!

 

 

「シャーク…これ、()()()を思い出すな…ほら、遊海がドジって…セントラル次元に閉じ込められた時の…!」

 

「──絆は決して途切れない……祈りの力は、必ず届く……遊嗣、帰ってこい…!ダークネスなんかに負けるな!!」

 

「凌牙……遊嗣…!お願い、絶望になんか負けちゃダメ…!母さんをこれ以上悲しませないで!!」

そして…その姿を見ていた遊馬は18年前の()()を思い出す…その()を思い出した凌牙や璃緒も胸に手を当てて祈りを捧げる。

 

 

 

「遊嗣君…きみは、遊海の…世界を救い続けた英雄の息子だ…遊海はそんな重荷をきみに背負わせたくないと言っていたけど──きみは、自分の意思で戦う事を選んだ…!でも、きみは1人じゃない!僕達がついてる!!」

 

「頑張れ!遊嗣…!!遊海の息子なら、最後まで諦めるな!!」

 

「……遊嗣、ズァークの魂を受け継ぐ、我らの英雄の息子よ…!遊海に託された光で未来を掴め!!」

 

「遊嗣!お前は、新たな覇王になった…!破滅の光を倒したお前だったら、ダークネスだって倒せるはずだ!頑張れ!!」

 

《フッ…遊嗣、きみはたくさんの人々の「愛」に守られ、「勇気」の力で戦いを乗り越えてきた…キミなら、ダークネスを討ち取れるはずさ…!》

 

「遊嗣…!頑張れ…!!ズァークの力を正しく使えるきみなら、ダークネスだって倒せる!!」

 

「遊嗣…この前は手加減したデュエルだったけど…今度は全力で戦おう!!ズァークが願った、みんなを楽しませるデュエルをしよう!!」

遊戯・海馬・城之内…そして、十代とユベル…遊矢や遊希…遊海と共に戦いを共にしてきた「伝説の決闘者」達も遊嗣へと願いを託す。

それはこの場に集う者達だけではない…ARC次元に残る者達も遊海の復活を願い、遊嗣の帰還を願っていた…!

 

 

 

 

《………なぁ、遊作…?()のない…データやプログラムでしかない、オレ達イグニスでも…祈るとか、願いとか…届いたりするのかな…》

 

「Ai…AIは祈らない、じゃなかったか?」

 

《…そうだ、AIがするのは勝つ為の計算だけ…それでもさ…!これだけ()()()()な現象ばっかり見せられたら、祈りたくもなるんだよ!!遊嗣!ロマン!!オレもお前達が帰ってくるって信じてるからな──!!》

 

《フッ…病み上がりでも、これぐらいなら力になれる…!2人共…心を、魂を燃やせ!!虚無の神になど負けるな!!》

 

「不霊夢…遊作、ボク達も…!」

 

「ああ…!遊嗣、離れていたって…オレ達とお前は繋がってる…!頑張れ…!白波遊嗣!!」

仲間達の祈る姿を見たAi…彼も小さな手を組み、遊嗣はロマンへと願いを送る…その祈りは不霊夢も、遊作も尊も同じ気持ちだった…。

 

 

《フォウ…フォーウ──!!(届け…!頑張って、遊嗣!!)》

 

《心からの祈りに距離や時間も、理屈も関係ありません!》

 

《ユウジ…あなた達に力を…!》

 

《諦めるな…!遊海の運命を変えるのだ!!》

 

《遊嗣…!主殿…!!》

 

【フン───遊嗣よ……遊を継ぐ者……お前の名前に込められた願い、見事に果たしてみせろ!】

フォウや精霊達…そして、ドン・サウザンドでさえも…遥か彼方で戦う遊嗣へと願いを託す…その祈りや願いは───

 

 

 

 

「頑張って…!諦めないで!!遊嗣さん───!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「温かい……感じる…!みんなの思いを…願いを…!!」

 

《遊嗣、ボクも感じるよ…!Aiや不霊夢…それだけじゃない…マシュや翠…きみやマスターの無事を祈る…現代にいるみんなの思い…みんなの願い、()()を託した祈りを…!》

時空を超えた()()…それは『聖剣のペンダント』を通じて確かに遊嗣へと届き──その体が金色に光輝く!!

 

 

 

「力を貸して…みんな…!!」

黄金の光が遊嗣の声と共に右手へと集中する、集いし願いが遊嗣の魂を昇華し───絶望を切り裂く力となる!!

 

 

 

 

「僕のターン!!真のデュエリストのデュエルは全て必然!全ての光よ!願いよ!!我が右腕に宿り、希望の道筋を照らせ!!シャイニング・ドロー!!

 

それは、遊海から受け継がれた奇跡の御技──虹色の軌跡が奇跡の進化を呼び覚ます!

 

 

「僕はペンデュラムスケールの『覇王門無限』の効果発動!!1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力の数値分、自分のライフを回復する!僕が選ぶのは攻撃力4000の『ダークネス・ネオスフィア』!!」

『∞』のモニュメントから放たれた光が遊嗣のライフを回復させる!

 

 

遊嗣LP1000→5000

 

 

「バトルだ!『覇王龍ズァーク』で『ダークネス・ネオスフィア』を攻撃!!終焉のスプリーム・バースト!!」

万物を吹き飛ばす破壊の奔流がダークネスへと放たれる!

 

 

【無駄だ…!我は手札の『ダーク・オネスト』の効果発動!自分の闇属性モンスターが相手モンスターとバトルする時、手札のこのカードを墓地に送る事で、相手モンスターの攻撃力はその攻撃力分ダウンする!】

 

「なっ…!?」

だが、ダークネスは誠実なる天使の姿を写し取った闇の天使の効果を発動…邪悪なる祝福が覇王龍の力を奪い去ってしまう…!

 

 

覇王龍ズァーク ATK4000→0

 

 

【砕けよ…!人類の醜さから生まれし龍よ!!】

 

「そんなっ…!?ぐああああっ!!?

 

《遊嗣!!》

ネオスフィアの頭部が180°回転…髪の中に隠された禍々しい瞳から放たれた怪光線が破壊光線を突き破り、覇王龍が爆発…遊嗣は凄まじい爆風に吹き飛ばされ、骨が砕けるほどの威力で壁に激突する…!!

 

 

遊嗣LP5000→1000

 

 

「ぐっ…!?痛っ……息、が…ゴフッ!?」

 

《遊嗣!!》

あまりの衝撃に視界がブレる遊嗣…さらに、折れた骨が内臓を傷付け、夥しい量の血を吐いてしまう…!

 

 

 

【希望など何処にもない…汝に力を貸す者もいない…!】

 

「僕は、1人じゃ、ない…離れていても…僕達と、みんなの絆は…繋がってる…だから、ごぶっ!?…僕は、最後まで…諦めない!!」

少しずつ小さくなっていく遊嗣の命の灯火──しかし、遊嗣は逆にその炎を大きく、大きく燃え上がらせる!!

 

 

「罠カード、発動…!!『覇王龍の魂』!!このカードは、自分のライフを半分払い…EXデッキの『覇王龍ズァーク』を効果を無効して、召喚条件を無視して特殊召喚、できる!!吼えろ!『覇王龍ズァーク』!!」

 

《グオオオオン!!!》

遊嗣のライフを糧に、覇王龍が咆哮する! ATK4000

 

 

遊嗣LP1000→500

 

 

「バトル、続行!!『覇王龍ズァーク』で『ダークネス・ネオスフィア』を攻撃!!連撃の、スプリーム・バースト!!」

 

【ぐっ…迎え撃て!『ダークネス・ネオスフィア』!!】

破壊光線と怪光線が衝突…覇王龍と異形の悪魔が爆散し、爆風が吹き荒れる!!

 

 

「っ…戦闘破壊、された…『覇王龍ズァーク』の、効果発動…このモンスターを、ペンデュラムスケールに置くっ…こんな、痛み…父さんの、痛みに比べたら…母さんや凌牙兄達の、悲しみに、比べれば…!!ああああああっ!!」

遊嗣の背後の光の柱の中に『覇王龍』が浮かび上がる…だが、少しずつ遊嗣の体温は失われ…視界が狭くなっていく…それでも、遊嗣は立ち上がる…!!

 

 

【無様…あまりにも醜悪な姿…白波遊海もそうだ…!幾度も傷付き、自身の命を削り世界の為に尽くしてきた…だが、奴が破滅を先延ばしにしても、必ず世界の滅びはやってくる…!お前達の戦いは無駄な足掻きに過ぎないのだ…】

 

「むだ、なんかじゃ…ない…!」

 

【なに…?】

満身創痍…命に届きかねないダメージを受けた遊嗣の姿に遊海の姿を重ね、彼の奮闘を()()と嘲笑うダークネス…だが、遊嗣はその言葉を否定する…!

 

 

「父さん達が、世界を守って…光を、未来を繋いでくれたから…僕は、生まれてこれた…大切な、愛する人に出逢う事ができた……もし、世界が滅ぶとしても…()じゃない…!!僕達がっ…今を生きる人々が、希望を捨てないかぎりっ…お前の言う、破滅は…やってこない!!」

 

【貴様…!】

血を吐きながら、ダークネスの言う『滅び』を否定する遊嗣…その姿にダークネスは仇敵たる遊海と十代の姿を幻視する…!

 

 

 

【だが、汝のライフは僅か500…切り札も消え去った…!自分の命すら風前の灯火の貴様にこれ以上、何ができる!!】

 

「こんな、痛み…ラプラスおじさんの、攻撃に比べたら…かすり、傷だ…!それに…僕のバトルフェイズはまだ──終わってない!!」

自身の勝利を確信するダークネス…しかし、襲い来る絶望を断つ希望は…既に遊嗣の手の中にある!

 

 

「罠カード、発動!!『覇王龍の奇跡』!このカードは、自分フィールドに『覇王龍ズァーク』が存在する時、3つの効果から1つを選んで発動できる!!僕はペンデュラムスケールの『覇王龍ズァーク』を破壊し、効果発動…!デッキ・EXデッキから…『オッドアイズ』ペンデュラムモンスター…または()()()の『覇王龍ズァーク』を、召喚条件を無視して、特殊召喚する──!!」

 

【なんだと!?】

遊嗣は残された最後のカードを発動…ペンデュラムスケールの『覇王龍』が咆哮する!!

 

 

──遊嗣さん!──

 

「マシュ…一緒に、行こう…未来へ…!!覇王龍よ…!集いし願いと受け継がれた光を解き放ち!絶望を打ち破れ!!転生召喚!!現れろ!!未来へ導く、希望の光!!『覇王天龍オッドアイズ・アークレイ・ドラゴン』─!!

 

《キュオオォォオオン──!!》

 

遊嗣の隣に立つマシュ…2人の願いが重なり、暗黒の世界が光の奔流によって斬り裂かれる。

 

かつて、人々の尽きぬ()()によって悪魔と化したデュエリストがいた。

 

しかし、戦いの果てに光を得たデュエリストは──正しき願いによって真なる()()の時を迎える。

 

 

闇を切り裂くのは赤と緑の双眸、その翼は翡翠のように光輝き…赤・黒・紫の宝玉がその身を彩る…。

 

そのドラゴンこそ、遊嗣が手にした『光』の象徴──『覇王天龍オッドアイズ・アークレイ・ドラゴン』!! ATK4000

 

 

 

 

【馬鹿な…!?】

 

「いけ…!『オッドアイズ・アークレイ・ドラゴン』!!虚無の邪神・ダークネスにダイレクトアタック!!絶望を、打ち砕け!!必殺のアーク・スプリーム・スパイラル!!

 

おのれ…おのれ…!!ぐおああああああ!?!

 

放たれるのは赤・黒・緑・紫──四天の龍を象徴する4つの光の螺旋──人々の祈りと希望が込められた閃光が虚無の邪神を飲み込んだ…!!

 

 

ダークネス LP0

 

遊嗣 WIN!!

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……やった…やったよ……ま、しゅ───」

 

《遊嗣!!》

家族やマシュ、仲間達の祈りと受け継がれた光を込めた遊嗣の全身全霊の一撃によってダークネスは光の中に消え去り…それを見た遊嗣は床へと崩れ落ちる。

マーリンによって授けられた『聖剣のアクセサリー』──宝具『全て遠き理想郷(アヴァロン)』の自己治癒力強化によって致命傷は免れていたが…今の決闘(デュエル)によるダメージは…あまりにも大きすぎた。

 

 

「ラプラス、おじさんの…試練が、なかったら…気絶、してた…かも……父さん…みんな、は…!!」

今にも途切れてしまいそうな意識をなんとか繋ぎ止めながら、遊嗣は玉座の間を見回す…そこにはバスケットボール大まで縮んでしまった暗黒球が浮かんでいた…。

 

 

「父さん…間に合わなかった…!?無事っ……」

 

《っ…ダークネスを倒したのに、暗黒球が──いけない!!》

 

遊嗣…!白波遊嗣ぃぃ!!!

 

「しまっ…!?ぐううっ!?」

 

《ダークネス!!》

あまりにも小さくなってしまった暗黒球を見て動揺する遊嗣…だが、その時──呪詛を振り撒きながら現れたダークネスが念動力で遊嗣の首を締め付ける…!!

 

 

 

滅びよ…滅びよ…!!貴様の思い通りにはさせぬ…!お前は未来には帰れない…!お前の()による絶望が…再びダークネスの呼び水となるのだ…!!

体の大半を消し飛ばされたダークネス…残された体も少しずつ消滅しているが、遊嗣を締め付ける力は逆にその強さを増していく…!

 

 

《この…!往生際が悪い!!遊嗣!!耐えろ!!ダークネスに負けるな!!諦めるな──!!》

 

「ぐっ、ガッ…!!(苦しい…!!ダメだ…意識が……)」

電脳生命体であるロマンにダークネスに干渉できる術はない…彼ができるのは遊嗣に声を掛け続ける事だけ…しかし、遊嗣の気力も体力も…既に限界だった…!

 

 

 

 

 

キィン─!!

 

 

なにっ…!?

その時、遊嗣の首元から聖なる光を纏った首飾り──『ゼアルライトのペンデュラム』が自分の意思を持つかのように飛び出し、ダークネスの顔面へと飛び出していく!!

 

 

──まったく…()()()の備えをしといて正解だったな、オレ達の可愛い甥っ子をよくも痛めつけてくれたな…ダークネス!!──

 

貴様っ!!

ダークネスの目の前に浮かび上がる幻影…それはペンデュラムに込められたラプラスの願い──残留思念だった…!

 

 

──このペンデュラムはアストライトとバリアライト、光と闇…2つの高位次元のエネルギーを合わせた超エネルギー物質──お前へのダメ押しには丁度いいだろうさ!!──

 

おのれ…おのれぇぇ!!】

 

──オレ達の未来(希望)に……手を出すな!!──

 

ごっ…ぐおぉおあぁあぁあ!?!?

それは、光と闇…理想と混沌を合わせた力の解放…あまりにも強力な高次元のエネルギーはドン・サウザンドの『炎』のようにダークネスの狂った魂そのものを消し飛ばす。

そして…地面を抉るクレーターと断末魔を残し、ダークネスは…ついに現世から消え去った…。

 

 

 

 

 

「っ…かはっ…───」

 

《遊嗣…!遊嗣!しっかりするんだ!!》

ダークネスが消滅し、念動力から解放された遊嗣は今度こそ意識を保つ事ができず、地面へと落下して仰向けに倒れ込む…そして……

 

 

 

ビキッ…バリーン!!

 

遊海達を取り込んでいた暗黒球が崩壊…ダークネスの依代にされていた赤馬零王が解放され、地面に倒れ込む…そして……。

 

 

 

「うっ、ぐっ……なにが、どうなった……ダークネス、あの、やろ……翠……ぶじ、か…?」

 

「は、い……なん、とか……でも、ごめ、なさ……動けそ、に、ない…です…」

暗黒球に囚われていた遊海と翠()()が解放され、床に叩き付けられる…意識はあるらしいが……2人の両手足は潰れ、歪に折れ曲がってしまっていた…。

 

 

《マスター…!?くっ…間に合わなかった、のか…!!》

遊海と翠だけが解放された様子を見て辛そうな表情を見せるロマン…だが、それは()()()()だった。

 

 

「早く、みんなを…()に出して、やらないと……世界4つ分の闇で、押し潰すとか……俺達じゃ、なきゃ…みんな、死んでた、ぞ……」

 

 

《っ──そうか…!『賢者の鍵』…!マスターの持つ異空間にみんなを逃がして守っていたんだ…!!》

暗黒球に取り込まれてしまった遊海は彩華の解析によって状況を把握すると自分の持つ『特典』の1つ、異空間にあるカード庫への扉を開く『賢者の鍵』の中に仲間達や精霊達を逃がし、翠と2人でダークネスによる空間圧縮に耐え続けていたのだ。

 

 

「っ……そこに、誰か、いるのか…?アカデミアの、学生か…?」

 

《っ…!!》

その時、倒れ込んだ遊海が声を上げる…玉座の間に自分達以外の()()がいる事に気付いたのだ…!

 

 

「誰かは…()()()()が……頼む、人を呼んでくれ……クロノス、先生がいい……腕や、足が潰されて、動けないんだ…」

 

《っ…(目が見えていない!助かった…!!これなら──)『す、少し待っていてください!!すぐに人を呼んできます!』》

 

「すまない…たの、む───」

遊海の様子から目が見えていない事に気付いたロマンは合成音声で遊海の言葉に答え、ハッキングでクロノスのデュエルディスクへとメッセージを送る…。

 

 

「ろ、まん…だーくねす、は…?」

 

《遊嗣…!よかった、もう大丈夫…!帰ろう…マシュや、みんなの所に……》

 

「──うん……」

その時、遊嗣が辛うじて意識を取り戻す…それを見たロマンは優しく、全てが終わった事を伝えた…。

 

 

「マシュ…母さん……いま、帰る…から……『ディメンション・ムーバー』はつ、どう……」

 

 

キィン─!!

 

そして、遠くから響くエンジン音を聞きながら…遊嗣とロマンは融合次元から脱出した…。

 

 

 

 

 

 

 

Side???

 

 

 

「セニョール遊海!シニョーラ翠!しっかりするノーネ!!」

 

「ごめん、遊海先生…!あんな事言ったのに、結局先生達に守られて…!!」

 

「気にすんな、十代…ダークネスが、あんな乱暴な…()()()()()()事をしてくるのは、予想外だった…お前達が、無事で…よかった…」

遊海と翠がダークネスの暗黒球から解放されてしばらくの時間が過ぎた…遊嗣達が元の時代へと戻った直後、リンの救出に向かっていた遊星とエド、ユーゴ…さらにクロノスが駆けつけて気を失った遊海達を介抱……そして、目を覚ました遊海によって異空間に逃されていた遊矢や遊馬達も無事に戻ってくる事ができていた。

 

 

「だけど…ダークネスは、何処に行ったんだ…?アイツが、俺達を葬る絶好の機会を逃すはずない……誰かが、倒したのか…?」

 

【フン…それか、()()()()()()という奴であろう、我が『ヌメロニアス・ヌメロニア』の一撃は致命傷だった…お前への()()という執念で策を弄したが、お前達の我慢強さが彼奴の足掻きを上回ったのだろうよ】

 

「なるほど…そうかもしれないな、ドン千」

 

【だから、略して呼ぶなと言っているだろう…!!】

 

 

「(遊海がドン・サウザンドで遊んでる…結構余裕があったりするのか?)」

 

((いや、私達を心配させないように気を使っているのだろう……このまま、彼だけをズァークと戦わせるのは危険だな))

姿を消したダークネスの行方と影響を心配する遊海にドン・サウザンドが自信満々に持論を語るが…遊海に茶化され不満そうな様子を見せる。

その様子を見ていた遊馬とアストラルは遊海が()()をしている事に気付いていた…。

 

 

 

 

 

『───ん、これは……』

意識を取り戻した赤馬零王が作戦中止の放送を流す中…玉座の間のクレーターを調べていたラプラスは見覚えのある、透明なペンデュラムを拾い上げる…。

 

 

『────そうか、お前はオレ達を助ける為に来てくれたのか……ありがとな…少し、お前の体が心配だが……()()のオレ達がなんとかするだろう』

力を失ったペンデュラム…そこに焼き付いた思念を感じ取ったラプラスはペンデュラムを懐へと仕舞い、近くにあった()()()()を蒼炎で焼き尽くす…彼方の未来で再会を約束した()()()()を守る為に…。

 

 

 

『さて、次はオレの……いや、遊海()の番だ…まずはしっかり、遊海と翠を治してやらなきゃな…』

そして、ラプラスは踵を返し…大きなダメージを負った遊海達の治療に加わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『とある少年の話をするとしよう』

 

『彼は遥か未来から訪れた異邦人…最善の未来を掴む為、命を懸けて運命を変えてみせた』

 

『その身に宿るは希望の光と調和を守る優しき闇』

 

『数多の願いと希望を背負いし彼の人生に祝福を───』

 

 

『うんうん、こんな所かな?ふふっ…未来の君──ユウジ君、遠い未来でキミと会えるのを楽しみにしているよ』

 

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