転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

判明した敵の正体…暴走したAiのバックアップ、Aiオルタの襲撃を前に…デュエリスト達は何を思うのか…。

それでは、最新話をどうぞ!


幕間〜それぞれの思い〜

「わぁ…!オーロラが綺麗ですね!遊海さん!」

 

「……オーロラを見てると、ドーマとの戦いを思い出しちゃうなぁ…」

 

「もう…!暗い事を思い出すのは禁止ー!!せっかくの旅行なんですから!!」

 

「ははは…ごめんごめん」

吐息どころか肺すらも凍りついてしまいそうな、極寒の地…そこで遊海と翠は穏やかな時間を過ごしていた…空を覆うのは光のカーテン…その場所でも近年稀に見るほど見事なオーロラショーだった。

 

 

 

「あっ…流れ星!!遊嗣とマシュちゃんが健やかに過ごせますように!✕3!!」

 

「いやいや…かける3はダメだって…それに、そんなお願いをしなくても…あの子達は大丈夫だよ」

 

「遊海さん…ふふっ、そうですね」

オーロラと流れ星の競演…その光景に思わず()()()を託す翠…しかし、遊海はただその景色を翠と楽しめる事に喜んでいるようだった…。

 

 

 

「(やっぱり、電波が悪いな…まぁ、嫌な予感も感じないし…今回は翠と久しぶりにのんびりさせてもらおう…)綺麗だな、翠…」

 

「えへへ…はい…!」

翠と共に穏やかな気持ちで夜空を見上げる遊海…だが、同じ頃…遊嗣達が事件に巻き込まれてしまっている事を、彼らは知る由もなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊嗣…マシュ…」

 

「Aiオルタ…なんで、2人を…!!」

 

《遊嗣…マシュ…ごめん…ボクの…ボクのせいで…!!》

 

財前との会議が終わった後、遊作と尊はKC病院の2人部屋の病室を訪れた…そこでは遊嗣とマシュが眠り続けていたのだが…状況は()()だった。

 

何故なら、意識を失った状態で何時間も放置されていた遊嗣とマシュが体調を崩してしまっていたからだ…。

2人とも顔は赤く、呼吸も苦しげで…その様子を見た遊作や尊は拳を握り締め、ロマンは自分を責め続けていた…。

 

 

 

「ロマン…遊海さん達に連絡は…?」

 

《何回も試してるけど、まだ繋がらないんだ……メッセージアプリの既読も……凌牙君には繋がって、飛行機を手配してる所だよ…遊馬君や、十代君もこちらに向かってくれてる……母様……彩華にも連絡をしたんだけど、故郷の精霊界で本体の全体的なメンテナンス作業をしてるらしくて、戦いまでに戻って来れるかどうか…!!》

 

「……Ai…Aiオルタはおそらく、遊海さん達が油断…違うな…警戒が緩むのを待っていたんだ…最初から、遊嗣達の意識データを狙って…!」

 

「最初から…?それって、どういう事…?」

 

「わからない…だが、Aiオルタは…何か目的があって、遊嗣達を拐った…それだけは分かる…!!」

 

《遊作君…》

遊嗣達の危機を伝えるべく、旅行先の遊海達へと連絡を試みているロマン…だが、それも思うようにはいかず…状況は厳しかった。

そして…その様子を見た遊作はバックアップのAi…Aiオルタが()()を目的として遊嗣達を狙ったのだと気付いていた…。

 

 

 

「……ロマン、オレはAiオルタを必ず止め、2人を助けてみせる…だから、力を貸してくれ…!」

 

《ありがとう、遊作君……ボクも、()()でAiオルタを止める……この命に懸けても…!!》

そして…遊作とロマンは戦う覚悟を固めた…!

 

 

 

 

 

「…遊作……実はさ、さっきは言いそびれちゃったんだけど……ボク、田舎に戻ろうかと思ってたんだ…両親がリハビリを終えて、退院する事になったんだ…」

 

「そうか…それを言うタイミングを探してたのか…」

病院からの帰り道…夕陽の差す川辺の道で尊が遊作へとずっと伝えたかった事を伝える…全ての事件が解決した事で、尊は故郷に戻ろうと考えていたのだ。

 

 

 

「でも…まだ、その時じゃないみたいだ…遊嗣も、マシュも…ボクの大切な仲間だ…その仲間を傷つけたAiオルタを止める為に、ボクは不霊夢の分まで戦うよ…!!遊作は、大丈夫…?さっきはロマンにあんな事を言っていたけど……」

 

「……Aiオルタは、()()()()()…ゲームのように、恩のある遊嗣達を襲い…人を傷つけた…オレはアイツを止め、その真意を確かめる…!!」

 

「遊作…」

DENCityで出来た大切な仲間を救う為に戦う覚悟を決める尊…そして、遊作はAiオルタが暴走した真意を知る事を望んでいた…。

 

 

 

 

 

 

Side???

 

 

 

 

『───よく此処に1人で来たな、財前』

 

「敵の敵は味方…そうだろう?リボルバー」

 

『フン…』

同じ頃…ネットワーク世界某所───()()()()()()()()()()…財前はそこを訪れていた…対イグニスのプロたる彼らに協力を求める為に…。

 

 

「詳細は先ほどメールで知らせた通りだ」

 

『闇のイグニス・Aiのバックアップ…Aiオルタ、か……よりによってカイバーマンを狙い、遊嗣を拐うとはな…!ヤツは逃げ隠れる事に関しては我々より上手(うわて)…ネットワーク世界を5年もの間、逃げ回る事ができるのだからな…だが、みすみす…お前を襲わせる訳にはいかない……既に策は練ってある』

 

「キミ達が私を守ってくれるとは…それで、策とは…?」

 

『来い…()()()()()

 

《はい、リボルバー様》

 

「──彼女は…AIデュエリストか?」

 

『そうだ…我々が作り出した、イグニスを…悪しき意思を持つAIを狩る為のAI…パンドールだ』

財前から事件の詳細を聞かされ、怒りを隠せない様子のリボルバー…そんな彼が呼び出したのは、女性型のAIデュエリストだった。

 

 

 

「パンドール……たしか、ギリシャ神話ではプロメテウスの手で神々の世界から人間達へともたらされた篝火によって、人間達は知恵を得た…しかし、それを苦々しく思った神々は1人の女性に「この世全ての災い」を閉じ込めた箱を持たせ、人間達へと送ったという…その女性の名がパンドラ…しかし、キミ達がイグニスのようなAIを作るとは…」

 

『今後、意思を持ち、悪意を抱くAIの出現は止められないだろう…いや、我々の知らぬ場所で既に生まれているのかもしれない…だが、ソイツらの勝手にはさせない…これはその為の先手でもある』

意志を持つAIを封じる為の狩人として作られたパンドール…それはハノイの騎士の決意の証でもあった。

 

 

『パンドールには意識の制御プログラムが組み込まれている…「人間に敵対する」という意思が生まれた時、それを()()する…これが、パンドールに設定した安全装置だ』

 

「そんなプログラムを…」

 

《私達は人間に無害です》

人間への敵対を避ける為のプログラム…それを組み込まれたパンドールは4体に分身する。

 

 

《私達4体は()()()して情報を共有しています、1体が敵と戦えばその情報は全て他の3体にも共有され…蓄積されたデュエルデータから敵の意思を判断し、デュエリストをサポートします》

 

『財前、お前にパンドールの1体を預ける…AIの意思を読むのはAIが最適だ』

 

《私達が貴方をお守りします》

 

「リボルバー…パンドール、よろしく頼む」

そして、リボルバーは財前に身を守る為のプログラムを託した…。

 

 

『それから…財前、もう1つ…お前に伝えておく事がある』

 

 

 

 

 

 

 

 

「お〜い!藤木ぃぃ!!」

 

「島…?なんだ?」

翌日、放課後…学校から帰ろうとした遊作を島が必死の形相で呼び止めた…。

 

 

「なぁ!お前、プレイメーカーが何処にいるか知らないか!?リンクヴレインズは閉鎖してるし、プレイメーカーに会った事もある白波も休んでるし!!何処で会えるか分からねぇんだよ〜!?」

 

「なんでプレイメーカーを探してるんだ…?」

 

「財前に頼まれたんだよ!!『プレイメーカーのソウルメイトなら知ってるよね?』って…知らないじゃ格好つかないだろ〜!?

 

「財前が…?」

プレイメーカーの事を探しているらしい葵…それを聞いた遊作は首を傾げた。

 

 

 

…………

 

 

 

「───そうか、きみがプレイメーカーだったのか…藤木君」

 

「財前…」

 

「藤木君が、プレイメーカー…」

そして…少し後、遊作は思わぬ形で正体がバレてしまう事になった。

 

 

学校帰りにプレイメーカーの痕跡を探していた葵がAiオルタの襲撃を前に弱気になり、気分転換に散歩をしていた晃と遭遇…彼を元気づける為に美味しいホットドッグをご馳走しようとcafeNagiへと案内したのだが…その風景を見た晃がミラー・リンクヴレインズでの草薙とプレイメーカーの戦いを思い出し…そこに遊作が現れた事で全てが繋がったのだ。

 

 

 

 

「藤木君…今更だが、きみにはなんとお礼を言ったらいいのか…きみには妹と共に、何度も助けられた…しかし、こう…現実で会うと、どうにも戸惑ってしまうな…」

 

「……オレはただ、自分の為に戦ってきただけだ…礼などはいらない」

 

「そうか…」

正体をはぐらかす事もできたが…遊作はいつも通りの態度で晃の言葉に応える…彼らならば大丈夫だと、信頼していたからだ。

 

 

プルルル…プルルル…

 

 

「ん…私だ……すまない、すぐに戻る──すまない、社に戻らなければならなくなった……プレイメーカー…いや、藤木君…きみと会えてよかった…これで失礼する」

 

「財前…」

そして、会社からの連絡を受けた晃は遊作へと笑いかけ、SOLへと戻っていった…。

 

 

 

 

「……こんなに身近にいたのね、プレイメーカー…まさか、同じデュエル部にいたなんて…」

 

「……あれは事故だ…Aiが──オリジナルのAiがオレの声色を真似た流れでな…そもそも、オレは幽霊部員だろう」

 

「それでも、仲間である事には変わらないわ…ボーマンとの戦いの後は白波君に引っ張られてけっこう来てくれてるじゃない……今思えば、ヒントはたくさんあったのね」

 

「むっ…」

広場に残された遊作と葵はベンチに腰掛ける…リンクヴレインズでは何度も会った事があったが、現実世界ではお互いに学友の1人…故に、お互いに少し緊張していた…。

 

 

 

「島から、キミがプレイメーカーを探していたと聞いた…どうしてだ?」

 

「プレイメーカーを…貴方がAiオルタと戦うのを止めようと思ったの…」

 

「オレを…?」

葵に自分…プレイメーカーを探していた理由を問う遊作…その答えは思わぬモノだった。

 

 

 

「オリジナルのAiやイグニス達は新生サイバース世界で元気にしてる…それでも、パートナー同士の戦いになる……私も、お兄様やアクアと戦わなければならない…なんて事になったら…つらいもの…」

 

「財前…」

葵が遊作を…プレイメーカーを探していた理由…その1つは仮にもパートナーであるAi、その半身と言えるAiオルタと戦う彼の心情を思うが故だった。

 

 

「そこまで気に病む事はない、オレとアイツはパートナーだが…あくまでもビジネスライクな関係だ……オレは、ハノイの騎士を誘き寄せる()()として、アイツを利用していただけだからな」

 

「そうなの?それにしては…ボーマンとの戦いの時、息ピッタリだったけど?」

 

「まぁ、パートナーだからな…ソウルバーナーと不霊夢、Yu-Zとロマンには及ばないさ」

 

「そう…」

自分とAiの関係を割り切ったモノだと語る遊作…しかし、葵はそれが()()なのだとなんとなく分かっていた。

 

 

 

「Yu-Z…白波君とマシュさんは…?」

 

「KC病院で治療を受けている…あいつの父親、鋼の騎士の仲間が付き添ってくれているが……容態は良くないみたいだ」

 

「そう…なんで、Aiオルタは白波君達を狙ったのかしら…?」

 

「……おそらく…1つ、カイバーマンとの何らかの交渉を有利にする為……2つ、鋼の騎士による干渉を制限する為……そして、3つ…………()()()()()()()為…」

 

「藤木君を、怒らせる…?」

意識を奪われてしまった遊嗣達の身を案じる葵…その中で遊作はAiオルタが遊嗣達を襲った理由を推測していた。

 

 

「オレは、オレの戦いに関係ない人間を巻き込みたくなかった…だからこそ、無関係な人間を巻き込んだリボルバー達ハノイの騎士や、ライトニング達を許せなかった……Aiも、それは分かっているはずだ……アイツは、オレを怒らせたくて仕方がない……そんな風にしか思えないんだ」

 

「なんだか、注目を浴びたい子供みたい…」

Aiは当然、遊作のスタンスを知っている…故に…全ての動きが遊作の()()に触れかねない事は分かっている…その上で動いているように見えた…。

 

 

 

 

「藤木君…いえ…プレイメーカー…本当はね、貴方に他に伝えたい事があったから会いたかったの」

 

「ん…?」

そして…葵は遊作に対し、彼を探していた()()()()()を伝える…。

 

 

「貴方は…何度も、私やお兄様を助けてくれた…そして、危なかっしい事をする私を近くで見守ってくれていた…その感謝を伝えたかったの…本当にありがとう」

 

「財前…」

葵が遊作を探していた理由…それは、何度も助けられた彼に感謝を伝える為だった…。

 

 

 

「……握手、してくれる?」

 

「──ああ」

遊作と葵は静かに、固く握手を交わす…電脳世界とは違う、生身の温かさは…2人にとって不思議な感覚だった。

 

 

「ありがとう……絶対に、お兄様を守り通して…白波君達を助け出しましょう…!プレイメーカー!」

 

「ああ…力を貸してくれ、ブルーエンジェル」

そして、戦う決意を新たにした2人はそれぞれに準備に向かった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ん……今、何時だろう…?早く、起きないと……あ、れ…?体が、動かない…?)」

真っ暗闇の中…ふと、マシュは意識を取り戻した…そして、今日が登校日だと思い出して枕元のスマホに手を伸ばそうとして───自分が()()()()()()()()()事に気付いた…。

 

 

 

「(…そう、だ…遊嗣さんの家にお泊まりして……一緒に、ゲームをしようとしたら…画面から知らない人が、飛び出してきて…!?)」

マシュは意識を失う前の記憶を断片的に思い出す……遊嗣と一緒にレースゲームをしようとした時、画面から飛び出してきた黒と紫色の髪の男に襲われ…抵抗する間もなく、意識を奪われてしまったのだ。

 

 

 

「(私…どうなったの…?手も、足も動かない…瞼も……遊嗣さん…いやだ…()()…!!)」

必死に動こうとするマシュ…しかし、()()()()()という機能を忘れてしまったように、動く事は叶わない…。

 

そんなマシュの心を埋め尽くしたのは()()だった。

 

 

 

マシュはこの1年で何度も恐ろしい目に遭い、恐怖を経験してきた…だが、その度に遊嗣や仲間達によって助けられ、乗り越えてきた。

 

 

 

ハノイの騎士に電脳ウイルスを仕込まれた時は遊嗣が助けに来てくれた。

 

シャドウ・ネームレスと戦った時は遊嗣が隣にいたから怖くはなかった。

 

遊嗣が魔人と化した時は…遊嗣を救う為に恐怖を乗り越えた。

 

 

 

 

だが、分かっていた……()()()()()()()()()()()()()()と…。

 

 

 

一緒に居た遊嗣は無事か分からない…遊海や翠、父親のランスローも日本にはいない。

 

プレイメーカーや遊海の仲間である伝説の決闘者達もすぐには異変に気付けないだろう。

 

 

何故、拐われたのか…誰に拐われたのかも分からないこの状況ほど、恐ろしいモノはない…!

 

 

 

 

「(遊嗣さん…怖い…助けて…!!!)」

動かない肉体…意識の()に閉じ込められてしまったマシュは必死に恋人へと助けを求めてしまった…。

 

 

 

 

『んー…?アニキ〜?この女の子、泣いてるです…?不思議です〜…』   

 

【しまっ…意識の封じ方が中途半端だったか…!?やばいやばい!早く寝かせてやんねぇと精神ダメージが残っちまう!!】

  

 

「(え…?)」

その時、にわかに周囲が慌ただしくなる…聞こえてきたのは幼げな少年の声…そして、慌てた様子の…何処か、聞き覚えのある男の声だった。

 

 

 

 

【……ごめんな、マシュ…お前と遊嗣を傷つけはしねぇよ……俺の計画が果たされたら、解放する……遊嗣とお前を離れ離れになんてしねぇから、安心してくれ】

 

「(……この、手……遊嗣さん、の………)」

穏やかに、そして申し訳なさそうにマシュへと声を掛ける男の声…そして、動かなかった手が何かに触れる……それに触れたマシュは──それが遊嗣の手だとすぐに分かった…。

 

 

【───ごめんな、遊嗣…マシュ…】

 

「(Ai…さん…?なんで────?)」

そして…誰かを陥れようとするにはあまりにも優しい謝罪の声と共に、マシュの意識は深い眠りに落ちていった…。

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