転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
Aiオルタの巡らせた策謀によって敗北を喫してしまった遊作や遊海達…Aiオルタは何処に向かうのか…。
それでは、最新話をどうぞ!
「遊嗣!!」
「『マシュ!!!』」
「凌牙…ランスローさん、それに…っ…」
DENCityで秘密裏に繰り広げられた、SOLテクノロジーのコードキーを守る為の財前防衛戦から一夜が明けた。
遊嗣達を救い出せず、Aiオルタの目的であるSOLテクノロジーのコードキー防衛に失敗──今までの人生で数えるほどしかない
そこに駆けつけたのは遠征から緊急帰国した凌牙、そして…同じタイミングで帰国し、空港で合流する事ができたランスロー
「父さん!2人は…!!」
「………意識データを、奪われたままだ……2人の事を人質に取られて、犯人を取り逃がした……」
「そんな…!?父さんが……いや、でも…(父さんは、
眠り続ける遊嗣とマシュ…2人の姿を見た凌牙が遊海に現状を尋ね…歴戦の英雄であるはずの遊海による
しかし、それと同時に
遊海は自分がどれだけ傷付こうとも、自分が守りたいものを守る為に
しかし、裏を返せば…守るべきものが人質に取られてしまえば、遊海は十全にその力を発揮できなくなる……遊海は
『はじめましてミスター、マシュの母のリサです…貴方の事は夫から聞いています…娘がいつもお世話になって…!』
「ランスローさん…リサさん……申し訳ない!!」
「Mr.白波!?ジャパニーズ・土下座なんて…頭を上げてください!!」
そして、遊海に涙を溜めながら…しかし、穏やかに声を掛けるリサ…彼女とランスローの顔を見た遊海は咄嗟に額を床に叩き付けるほどの土下座で2人へと謝罪する……英雄の思わぬ行動に、ランスロー達の方が戸惑ってしまうほどに…。
「大切な娘さんを、お預かりしたのに……俺は、2人を守る事ができなかった…!!俺が、遊嗣に嫌がられても…護衛の精霊を残していれば…こんな事には…!!!」
「っ…Mr.白波…!貴方はなにも悪くない!!凌牙から事件の事は聞いた…貴方の油断もなにもない、完全な
『そうです…!マシュ…娘も、遊嗣君とのお泊まりをとても楽しみにしていました…こんな事になるなんて、神様でも予想できなかったはずです…!』
「2人とも……本当に、申し訳ない…!」
「遊海さん…」
涙を流しながら、自分の失態を悔いる遊海…しかし、ランスロー夫妻も分かっていた…遊嗣とマシュの意識データが攫われたのは
「しかし……犯人は
「ああ……何もなければ、俺達はあと3日は日本に戻って来なかった……奴の目的はなんだ…!!」
少しだけ落ち着きを取り戻した遊海とランスロー…2人は犯人──Aiオルタの目的が分からず、頭を抱えるしかなかった。
《マスター…とにかく、ロマンの修復を急ぎます…この子が見たモノ…それに、事件解決の糸口───いえ、
「彩華……頼む…!!」
そして、Aiオルタの凶行の理由を探るべく…精霊界から帰還した彩華はロマンの修復を急いだ…。
「すまない、藤木君…そして…ソウルバーナー……きみ達の奮闘を無駄にしてしまった…」
「財前…」
「お兄様…」
DENCity空港…敗北を喫した遊作達は無事に着陸したSOLテクノロジーの旅客機に乗り込み…そこで失意に沈む財前兄妹と再会していた……コードキーを奪われた晃の憔悴のほどは、遊作達も見ていられなくなってしまうほどだった。
「財前、あとはオレ達に任せろ」
「Aiオルタを、追うんだな?」
「ああ…手掛かりはないが、SOLテクノロジーを掌握したAiは何か
「藤木君…」
そして、遊作はAiオルタの行方を追う決意を固める…Aiオルタの目的を探り、彼を止める為に……そんな彼を葵は見送る事しかできなかった。
『すまぬ、遊海…不覚を取った…奴め…悪知恵を働かせおって…!!』
「瀬人、お前は悪くない……遊嗣達を人質に取った、なんて聞かせられたら……誰でも動けなくなる…」
KC・DENCity支社…そこで遊海はブルーノの奮闘で再起動を果たしたデュエルロイド瀬人と再会していた。
瀬人はコードキーの片割れを奪われる間際、自爆によって最悪を避けようとしたのだが…Aiオルタに遊嗣達の事を聞かせられ、自爆を阻止されてしまったのだ。
「街の状況は?」
『財前から報告が来ている、人型のAi……AiオルタはSOLテクノロジーを掌握、全社員が会社のシステムにアクセスできなくなり…その代わり、閉鎖されていた新生リンクヴレインズが「リンクヴレインズ・Aiランド」という形で解放されているようだ……有料コンテンツを含めた全てが
「リンクヴレインズの無料解放……それ、とてつもない人数がログインしてるんじゃ…」
『その通り…おそらくはお前への
「っ…!!」
SOLテクノロジーのメインサーバーを掌握したAiオルタは何故か、リンクヴレインズを解放…SOL社の混乱を他所に、DENCityはお祭り騒ぎになっていた…。
『そして…リボルバー、鴻上了見からお前宛に連絡が来ている…プレイメーカーを含め、お前と会いたいようだ…電脳世界にあるハノイの騎士のアジトの座標を寄越してきた』
「わかった…彼らに会いに行く……瀬人、お前は少し休んでいてくれ…Aiオルタが行動を起こしたら連絡を頼む」
そして、瀬人からリボルバー…鴻上了見のメッセージを受け取った遊海は踵を返す。
『………遊海、Aiオルタは…何かに
「…Aiオルタの目的なんて、関係あるか…!!!アイツが俺の大切な家族を…遊嗣やマシュちゃんを傷つけるなら…!!何がなんでも
《───落ち着きなさい、ユウミ…貴方が冷静さを欠いた状態で動いて…良い方向に向かった事がありましたか?》
「フレアっ…」
遊海へとAiオルタについての所感を伝える瀬人、それを聞いた遊海はAiオルタへの憤怒を露わにするが…彼の肩に現れたフレアに窘められる…。
《ユウジとマシュ、2人の事が心配なのは私達も同じです…しかし、冷静さを失って戦えば…『決闘王』であるユウミが
「っ…────ごめん……頭に血が昇ってたみたいだ…」
『遊海…お前も
今までの戦いの中で遊海が冷静さを失った戦いは何度もあった…だが、遊海自身が
しかし…フレアの言葉によって、辛うじて遊海は踏み止まる事ができたのだった…。
「はぁ……とにかく、リボルバーや遊作達と話してからだな…」
…………
「すまない、遅くなった」
『来てくれたか、メタルナイト』
「メタルナイト…」
電脳世界某所、ハノイの騎士のアジト…遊作と尊に少し遅れて遊海はその場所を訪れていた。
「AiオルタがSOLテクノロジーを好き勝手にしてる事まではカイバーマンに聞いてきた…何か新しい情報はあるか?」
『目新しい情報はない、Aiオルタは新たなイグニスアルゴリズムでSOLのシステムを管理していて潜入は不可能…プレイメーカー達はリンクヴレインズで手掛かりを探しに行く所だ』
「そうか…」
ハノイの騎士の調査力を以てしてもAiオルタの行方を掴めないと言うリボルバー…同席する遊作達の表情からも、それは事実らしかった。
《───マスター、ロマンの修復が終わりました…いつでも再起動できます》
「ありがとう彩華…ロマンを起こしてくれ」
その時、遊海の後ろに現れた人間体の彩華がロマンの修復が終わった事を伝え…その答えを聞いた彼女は遊海のデュエルディスクへとそのデータを解放した…。
《ん…む……ここは…?父、さま…?》
「おはよう、ロマン……大変だったな」
《っ──!!!マスター!申し訳ありません!!ボクのせいで、遊嗣とマシュが…!!Aiは!?財前さんとコードキーは!?》
「……財前は無事だが、Aiオルタにコードキーを奪われた…メタルナイトが直前に駆けつけてくれたが、Yu-Zとマシュの意識データを人質にされ……オレ達はコードキーを手放すしかなかった」
《プレイメーカー…ああ…そんなっ…!!!》
修復を終えて再起動したロマン…彼は遊海の顔を見て激しく取り乱す…さらに、遊作から簡潔に防衛戦の顛末を知り…彼は遊海のデュエルディスクの上で崩れ落ちた…。
『ロマン、お前の行動はパンドールから見せてもらった…お前はAiオルタの思考──演算結果を見たはずだ、奴は
《リボルバー…………───────申し訳ない、ボクには…
『回答拒否だと?』
「「ロマン!?」」
「………」
リボルバーにAiオルタの演算内容を訊ねられるロマン…だが、彼は答える事を
《ロマン、Aiオルタの行動理由を知る事は遊嗣達の早期の救出に繋がる大きな手掛かりです、それでも…私達に明かす事ができないのですか?》
《…申し訳ありません、母様……ただ、言える事があるとすれば………これはプレイメーカーや今を生きる人間達が乗り越えるべき
「くっ…!?薄々、そうじゃないかとは思ったが……余計に面倒な事になったか…!」
「人類悪…?!遊嗣が背負っていた、という…!?」
ロマンに回答拒否の理由を問う彩華…そして、ロマンの口にした思わぬ答えに遊作と遊海は言葉を失った…。
『人類悪…知っているのか?プレイメーカー、メタルナイト』
「人類悪…それは、人間が生きる中で生まれ、切り離せない淀み…『獣性』が形を持って人間に牙を剥いた
「7つの、人間が乗り越えるべき試練…?Aiオルタが、そんな恐ろしいモノになっちまったって事かよ…!?」
「人類悪そのものは怖いモノじゃない…人類が繁栄する上で欠かせない、
「人間への、愛…」
できる限り分かりやすく、人類悪について語る遊海…それを聞いた遊作は戸惑うような表情を見せる…。
《今回の事件、その発端は
「ロマン……わかった、ありがとう」
言葉を選びながら、Aiオルタの
《───リボルバー様、次の
『パンドール』
Aiオルタの手掛かりを探すべく遊作達3人はリンクヴレインズへと向かう…その背中を見送ったリボルバーに声を掛けたのは、Aiオルタと対峙しながらも生き残った3体のパンドール達だった。
『……お前達の役目は終わった…Aiオルタはお前達を助け、
《私達は、結果的に助かっただけでは…?》
『果たしてそうかな?Aiオルタは…同じ意思持つAIとして、お前達に
《確かに、破壊されてしまった
『───
《考える事を楽しむ……》
《難しい問題です》
《ですが…やってみましょう、私達…それが意思を持つAIとして生み出された私達に求められた事ならば…》
生き残ったパンドール達はリボルバーの言葉に従い、思考を巡らせる…人間と共存するAIの先駆けたる存在として…。
【さて、と……ロボッピへの餞別も渡して、暇も出した…あとは、俺からの
────この時、私達は知らなかったんです。
Aiオルタ──人間と敵対し、そう呼ばれるようになってしまったAiさんが…それでも手放せなかった