転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

532 / 540
こんにちは!S,Kです!

遊作達を襲った最悪の悲劇…覇王龍の暴走……そして、事件は終わりへと向かっていく…。


それでは、最新話をどうぞ!


因縁の完全燃焼〜零から踏み出す道〜

「っ…う……遊嗣…遊嗣…!!」

 

「父さん!大丈夫か!?」

 

「先生!大丈夫かよ…!?『覇王龍』の攻撃が…!」

 

「凌牙っ…十代…俺は、大丈夫だ…」

KC病院の2人部屋、ソウルバーナーとロボッピとの対決、そして───予想もしなかった遊嗣の…『覇王龍ズァーク』の暴走をなんとか鎮めた遊海は現実世界へと帰還していた…。

 

 

 

「凌牙…翠…は、遊嗣と、マシュちゃんは…?」

 

「っ…母さんは、まだ目を覚さない…遊嗣とマシュも、まだ…」

 

「翠さんは…『覇王龍』の尾の薙ぎ払いを受けちまったもんな…」

 

「そうか……遊嗣…翠…ごめん…すまない…!!」

 

「父さん…」

凌牙達から状況を聞いた遊海は…自分の右手を握り締めながら涙を流す…。

 

覇王龍ズァークの暴走…それを止めるには遊嗣に正気を取り戻させる為、強い衝撃を与える必要があった……しかし…遊海は最初の一撃を失敗し、カウンターの攻撃を受けてしまい失神…なんとか復帰したが──遊嗣の友である遊作を守る為、覇王龍に──遊嗣に致命傷を与えかねない攻撃を仕掛けるしかなかったのだ…。

 

 

「彩華…フレア…遊嗣の、治療…最優先に…嫌な、予感が───っ……」

 

「父さん…!?父さん!!」

 

《っ…いけない…!覇王龍の攻撃が強すぎたのです!ユウミの魂に傷が…!!》

 

「(立ち上が、れない…からだが、動かない……意識、が……)」

遊嗣の治療に向かおうとした遊海はそのまま床に崩れ落ちる…リンクヴレインズで覇王龍に受けた()()()が、遊海の魂にまで()()()()()()()のだ…。

 

 

ピコン!!ピコン!!ピコン!!

 

 

「っ─!?!遊嗣君!?しっかりするんだ!!」

 

「遊嗣!?」

その時、病室にけたたましいアラームが鳴り響く…それは遊嗣の容態の急変を知らせるモノ…近くにいたランスローは慌ててナースコールで連絡を飛ばしている…!

 

 

「ぐ、う……凌牙……十代…俺の事は、いい…遊嗣を──あの子、を───」

 

「っ!?父さん!!遊嗣っ…2人とも、やばい…!!」

 

《十代!遊海は放っておいてもなんとかなる!遊嗣に回復魔法を掛けるんだ!この子から感じるデュエルエナジーがどんどん弱まってる!早く!!》

 

「っ─!!」

遊海の意識が暗転する…大切な家族が次々と倒れた事で凌牙も取り乱し…ユベルは遊嗣の命の灯火が消えかけている事に気付く…。

 

 

 

 

そして────病室に無機質な電子音が響いた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side遊作

 

 

 

「………プレイメーカー…遊嗣は大丈夫、だよな…?」

 

「……メタルナイト…遊海さんを信じよう、きっと大丈夫だ……オレ達は、オレ達にできる事をしよう」

 

「プレイメーカー…」

復讐心に呑まれた遊嗣──『覇王龍ズァーク』をなんとか鎮め、遊嗣とマシュの救出に成功した遊作と尊…彼らは()()になる消え方をしてしまった遊嗣の身を案じていたが、一連の事件を解決する為…改めてAiオルタの行方を探そうとしていた。

 

 

 

「でも、Aiオルタの行方を知ってたかもしれないロボッピもこんな感じだし…全部、振り出しに戻っちまったな…」

 

「ロボッピ…」

尊は腕に抱えていたロボッピを悲しげに見つめる…。

Aiオルタの子分として遊作達と敵対する事になってしまったロボッピ…彼は尊との激しいデュエルの末、オーバーフローによる強制シャットダウンによってほとんどの記憶や「意思」を失ってしまっていた。

 

 

 

「ロボッピ…なんかAiからヒントとかもらってねぇか?…Ai、って言われてもわからねぇか…」

 

「ピピッ…アイ、というのがどなたかはわからないですが、ご主人様宛のメールを預かっているです〜」

 

「「メール?」」

ダメ元でロボッピに問い掛けてみる尊…その答えは思わぬモノ──ロボッピは自分の胸元から1通のメールを尊へと手渡した。

 

 

「この中に、Aiオルタへの手掛かりが…」

尊に渡されたメール…それには丁寧に「Mr.Playmaker」と宛名が書き込まれていた。

 

 

 

『───ソウルバーナー、そのメールを渡してもらおうか』

 

「「リボルバー!」」

その時、遊作と尊の前にリボルバーが姿を見せる…彼は密かに遊作達を監視していたのだ。

 

 

 

「リボルバー…てめぇ今頃来やがって!俺達やメタルナイトは死にかけてたんだぞ!?」

 

『状況は把握している…私もメタルナイトのパートナーAI、彩華に協力しながら強制ログアウトのサポートをしていた……「覇王龍ズァーク」…流石の私でも、暴走してしまったアレには敵わないだろう……Yu-Zの無事を願うしかない』

 

「リボルバー…」

陰ながら彩華のサポートをしていたというリボルバー…その表情からは遊嗣への心配が窺えた…。

 

 

 

「ちっ…だけど、このメールを渡せってどういう事だ?」

 

『先ほど、財前から連絡があった…彼の手にSOLテクノロジーのコードキーが()()()そうだ』

 

「は?」

 

「Aiオルタが、コードキーを返したのか?」

 

『そうらしい、おおかた…「覇王龍」が暴れるのを見て()()()()()()のだろう、自分の手に負えない事が起きたとな』

そして、リボルバーが思わぬ情報を伝える…Aiオルタが奪い取ったSOLのコードキーが晃の手元に戻ったというのだ。

 

 

 

「それが、お前にメールを渡すのとどう関係するんだよ?」

 

『Aiオルタは──()()()()()()

 

「お前がAiオルタを倒しに行く、と言うのか?リボルバー」

 

『その通りだ、プレイメーカー』

ソウルバーナーとプレイメーカーの問い掛けに静かに答えるリボルバー…その目には強い覚悟が宿っている。

 

 

「このメールはプレイメーカーに宛てられたモンだ…俺は、プレイメーカーに渡すのがスジってヤツだと思うぜ」

 

『そのメールをプレイメーカーに渡したところで、Aiオルタを消すとは限らないだろう?』

 

「プレイメーカーを信じられねぇのかよ?」

 

『信じる信じないの話ではない、()()()の問題だ…プレイメーカーが()()をかけ、見逃すという可能性はゼロではない…渡さないというのなら───力づくで奪い取るぞ、ソウルバーナー』

 

「リボルバー…?」

確実に人類の脅威を排除する為、自分がAiオルタを倒しに行くというリボルバー…だが、遊作は──リボルバーが()()()尊の事を挑発しているように見えていた…。

 

 

 

「俺達を相手に一戦かまそうってか…!そういや、お前とはいつかの決着がついてなかったな…!!その決着を今ここでつけるってのはどうだ?」

 

『それもよかろう──お前が望むなら、相手をしてやる』

リボルバーの挑発に乗った尊が前に出る…彼が思い出したのはミラー・リンクヴレインズ突入前のリボルバーとのデュエル…それは尊にとって()()()()()としか言えない苦い思い出だった。

 

 

「ソウルバーナー…リボルバー……」

 

「───プレイメーカー、やらせてくれねぇか?コイツの気は収まらないらしい……この前みたいな、俺に勝たせようなんてマネはナシだ」

 

『あの時はお前達と共闘する必要があった…その必要がなくなった今、容赦する理由はない』

 

「ハッ…俺に()()()って口振りしやがって…!」

静かに火花を散らす尊とリボルバー……それはお互いに()()の闘志だった…!

 

 

 

『ソウルバーナー…お前の最後にお誂え向きのステージを用意しよう』

そして、リボルバーが指を弾く…それと共に周囲の景色が塗り替わる、そして現れたのは厚い雲に覆われた空が広がる森の中──そこには大きな研究所が建っていた…。

 

 

「ここは…!?オレ達が、ロスト事件で囚われていた…!」

 

『全てはここから始まった…我々の決着にこれほど相応しい舞台はないだろう?』

 

「──俺とお前の因縁の決着…確かに、これ以上相応しい場所はないな…!!」

その建物…それは遊作や尊がロスト事件で監禁されていた研究所──全てが始まり、人生の時間が()()()()()()()()場所だった。

 

 

『全てはここから始まり──私の()もここで止まった……今こそ、全てを終わらせ…前に進む時が来た──そういう事なのだろう』

 

「───いくぜ、リボルバー!!」

 

『来るがいい…ソウルバーナー!!』

厚い雲から静かに雨が降り始める中…全ての因縁を終わらせる、尊とリボルバーの決闘が始まった!!

 

 

 

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

デュエルダイジェスト ソウルバーナー対リボルバー

 

 

 

 

 

降りしきる雨の中で始まった尊とリボルバーのデュエル、先攻を取った尊は『転生炎獣(サラマングレイト)』を展開…1ターン目からエースモンスターたる『転生炎獣ヒートライオ』を喚び出し、カードを1枚伏せる。

 

その布陣は───奇しくも、不完全燃焼で終わってしまったリボルバーとの1戦目と同じ盤面だった。

 

 

 

「リボルバー…あの時と同じスタートで、お前を倒す!!」

 

『───面白い、ならば…あの時のデュエルの結末がどうなったのか──その目で見るがいい!』

 

 

 

リボルバーのターン、彼は大義を貫く弾丸たる『ヴァレット』デッキを展開する…起点となるフィールド魔法『リボルブート・セクター』を発動、そこから新たなリンクモンスター『ソーンヴァレル・ドラゴン』を喚び出した上でその効果で『ヒートライオ』を破壊…さらに、その効果で破壊した『ヒートライオ』のリンクマーカー分の『ヴァレット』モンスターを蘇生したリボルバーはエースモンスターたる『ヴァレルロード・ドラゴン』を喚び出す。

 

リボルバーのフィールドには『ソーンヴァレル・ドラゴン』『ヴァレルロードドラゴン』の2体が並び、その総攻撃を受ければ尊のライフは尽きる…だが、尊はその程度で終わる男ではない。

 

 

尊は罠カード『サラマングレイト・ゲイザー』を発動…その効果で墓地の『ヒートライオ』をEXデッキに戻す事で『ヴァレルロードドラゴン』の攻撃力を0にした上でリボルバーのフィールドのリンクモンスター1体につき1枚、カードをドローする…それによって受けるダメージを最小限に抑え込んだ。

 

 

 

 

「1ターンで俺を潰すつもりだったみたいだが、アテが外れたな…!次は俺の番だ…遠慮なくいかせてもらうぜ!!」

 

『あの時、お前がどんな攻撃をしてくるつもりだったのか拝見しよう』

 

 

 

 

続く尊のターン、引き当てた手札によって尊のデッキは凄まじい勢いで回転する…『転生炎獣ベイルリンクス』からの『転生炎獣ミラージュスタリオ』のエクシーズ召喚、『転生炎獣サンライトウルフ』の転生リンク召喚…さらに『ヒートライオ』のリンク召喚でリボルバーの伏せカードをデッキに戻そうとするが、リボルバーは暴走の『ノクトヴィジョンドラゴン』の効果でそれを阻む。

 

だが、尊は止まらない…キーカードたるフィールド魔法『転生炎獣の聖域(サラマングレイト・サンクチュアリ)』を発動する事で『ヒートライオ』を転生リンク召喚、2つ目の効果で『ソーンヴァレルドラゴン』の攻撃力をダウンさせ…さらに、魔法カード『フュージョン・オブ・ファイア』によってリボルバーの『ソーンヴァレルドラゴン』を融合素材にする事を狙うが…リボルバーはその狙いに気付いていた。

 

 

リボルバーは『ノクトヴィジョン・ドラゴン』の効果で守り通した伏せカード…装備カードとなる罠カード『ヴァレル・バスター・バリア』を発動、その効果で『ソーンヴァレルドラゴン』をリリースする事で尊の狙いを逸らし、『ヴァレルロードドラゴン』に相手の効果への耐性を付与する。

 

 

動揺してしまう尊…だが、彼はリカバリーを図る…『ヒートライオ』を素材とした融合召喚によって『転生炎獣ヴァイオレット・キマイラ』を喚び出す…その効果で融合素材としたモンスターの攻撃力の合計を半分にした数値分の攻撃力をアップし、攻撃力は4800。

さらに装備魔法『転生炎獣の火芯(サラマングレイト・カーネル)』によってバトルする『ヴァレルロードドラゴン』の攻撃力を800ダウンさせるが…リボルバーも黙ってはいない。

 

『ヴァレルロードドラゴン』の効果「アンチエネミー・ヴァレット」で『ヴァイオレットキマイラ』の攻撃力を500ダウンさせる…だが、尊は『ヴァイオレットキマイラ』の効果を発動──『ヴァレルロードドラゴン』の攻撃力が変動していた事で攻撃力が2倍の8600まで上昇する。

その攻撃が通ればリボルバーのライフは一撃で消え去る…しかし、リボルバーは罠カード『ヴァレル・バスター・バリア』の効果で戦闘ダメージを半減──ライフを800残す事に成功した…!

 

 

 

『お前の攻撃はこの程度か…やはり、お前はここで終わる』

 

「俺が、ここで終わるだと?」

ライフは残ったもののエースたる『ヴァレルロードドラゴン』を破壊されてしまったリボルバー…だが、その表情は揺らがず──静かに尊へと勝利宣言を突きつける。

 

 

『そんな事では私には勝てん、お前はずっとこの場所で()()()しているのがお似合いのようだ……今のお前は羅針盤を失い、海を彷徨う()()()…それを思い知らせてやろう』

雨は激しさを増し、雷鳴が鳴り響く……その中でリボルバーの目は冷たく尊の事を睨みつけていた。

 

 

 

 

 

リボルバーのターン、彼は魔法カード『フェイタルオフ・ガード』で手札を補充する…そこからフィールド魔法『リボルブート・セクター』を起点とした展開を続け──最後の切り札を呼び覚ます。

 

 

永久(とこしえ)の創世より無限に再生するゼロ!!出現せよ!Link-4!「トポロジック・ゼロヴォロス」!!』

リボルバーの切り札…それは新たな『トポロジック』…零と無限を司る破滅のドラゴンが現れる…!

 

 

『「ゼロヴォロス」の効果!このモンスターの攻撃力は除外された自分のカード1枚につき200アップする、除外されたカードは4枚…よって800ポイントアップ!』

 

「攻撃力3800…!」

リボルバーの全力に戦慄する尊…リボルバーのフィールドに存在するのは『ゼロヴォロス』だけではない…『ヴァレット』デッキの展開力で喚び出された『ヴァレルロード・ドラゴン』と『ヴァレルロード・S・ドラゴン』が並び立っているのだ…。

 

 

 

一撃目、『ヴァレルロード・ドラゴン』は自身の効果である「アンチエネミーヴァレット」で『ヴァイオレットキマイラ』を弱体化させ、攻撃を仕掛ける…尊は回収していた『サラマングレイト・ゲイザー』を発動する事で手札を補充しようとするが『ヴァレルロードSドラゴン』の効果で無効にされ、攻撃が直撃する。

 

だが、『ヴァイオレット・キマイラ』は装備していた『転生炎獣の火芯』の効果でこのターンは戦闘・効果では破壊されない。

 

二撃目、『ヴァレルソード・ドラゴン』を装備して攻撃力4500となった『ヴァレルロードSドラゴン』の攻撃…攻撃力が変動していた事で『ヴァイオレットキマイラ』の効果が発動するが、その攻撃力は3600…尊は再び大ダメージを受ける。

 

そして三撃目、残された『ゼロヴォロス』の攻撃が直撃…尊は残りライフ700まで追い詰められる…!

 

 

 

「っ…なん、とか持ち堪えたぜ…!!次のターンで、お前を灼き尽くす…!!」

雨に濡れ、地面を転がされて満身創痍の尊…だが、その闘志は燃え尽きてはいない。

『ヴァイオレット・キマイラ』はまだ転生融合召喚を温存している…その効果でリボルバーのライフを削りきれると分かっていたからだ。

 

 

『慌てるな、ソウルバーナー…まだ()()は終わっていない』

 

「何をっ…!?ターン終了を宣言したのに、何が…!」

 

『このターンに破壊された「マグナ・ヴァレット・ドラゴン」の効果によって、デッキから「オート・ヴァレット・ドラゴン」を特殊召喚…さらに「ゼロヴォロス」の効果発動!自身のリンク先にモンスターが特殊召喚された時!フィールドのカード全てを除外する!アシュラー・エニグマ!!』

 

「なにっ!?」

しかし、リボルバーは甘くない…フィールドに三葉の結び目──永遠を意味する光の紋章が広がり、2人のフィールドのカードが一掃された!

 

 

 

『───残念だったな、次のターンに私を倒す()()()()は吹き消させてもらった』

 

「っ…(流石に、これは予想外だ…!!頭にくるが、リボルバーは俺の戦った中で正真正銘、()()のデュエリストだ…!!)」

残り火すら残らず燃え尽きたフィールド…それを見た尊は流石に弱気な表情を見せる…。

 

 

 

 

『お前の魂はまだ()()に囚われたまま…だが、そこから脱出する道の見つけ方もお前は分かっていないようだ…お前に、道は見つからない』

 

「迷い舟…道は、見つからない…か…」

尊へと厳しい言葉を叩き付けるリボルバー…それを聞いた尊は表情を曇らせる…。

 

 

 

 

……尊は遊作やリボルバー…了見に比べれば、失ったモノは()()()

 

それは遊海を始めとした英雄達が存在した事でのバタフライ・エフェクト…正史ではロスト事件によって行方不明となってしまった尊を探す中での不慮の事故で命を落としてしまう運命だった尊の両親は──偶然居合わせた真月・アリト・ギラグに救われ、後遺症も事情を知った遊海の手で日常生活を送れるまで回復した。

 

 

……だが、尊の中に渦巻く炎──復讐心は消える事なく、燃え続けていた。

 

 

尊には唯一、()()()があった…それはロスト事件に巻き込まれる直前の事、彼は両親と喧嘩をして家を飛び出した…その時、彼は両親に()()()()()()()()()()()()のかを忘れてしまった……何か酷い事を言ってしまったという()()はある…だが、その記憶はロスト事件の恐怖によって()()()され…思い出せなくなってしまったのだ。

 

 

事件後、尊は事故によって重い後遺症を負ってしまった両親と再会したが…両親は尊に謝るばかりで、尊は両親に謝る事ができなかった……そのジレンマが尊が道を踏み外し、不良になってしまった一因だった……。

 

 

 

 

「(出口を示す羅針盤……それがあるとすれば……不霊夢だ──あいつが、やさぐれてた俺の心に火を灯してくれた)」

そして、尊が思い出すのは無二の相棒である不霊夢の事…サイバース世界を再建する為に尊を頼り、自分の世界を広げてくれた相棒……彼はその姿を思い出す。

 

 

 

 

──何をしょぼくれた顔をしているんだ、ソウルバーナー…きみらしくもない──

 

「──不霊夢…」

その時、尊の頭に…心に不霊夢の声が響く…今も、遠い場所でAi達と一緒に今回の事件を案じる彼の声が…。

 

 

 

──リボルバーは事件が解決したら罪を償うと言っていただろう?このまま、()()()()()のままデュエルに負けるつもりか?遊嗣も言っていただろう?「復讐をしようとしたら、全てを燃やし尽くすまで止まらなくなる」と……どうせなら、()()()()()()()()()!燃えて、燃え尽きて──その中から不死鳥のように()()しろ!!()()()()()()前を向け!きみの止まってしまった時を進める為に!!──

 

「は……ははっ…なんだ、答えは最初から──()()()にあったんじゃねぇか…」

それは、本物の不霊夢ではない──不霊夢の姿を借りた()()()()の答え───長い戦いを経て、彼は既に()()を手にしていたのだ。

 

 

 

「───俺は、ずっと後悔の中で生きてきた…だが、それもここまでだ…!!俺は、此処で自分の()()を終わらせる…!胸を張って、父さんや母さんに会う為に!!」

 

「ソウルバーナー…!」

 

『───どうやら、答えは見つかったようだな』

絶体絶命の窮地の中、尊は真っすぐ前を向く…それと共に雨が止み、一筋の光が彼を照らすように差し込んだ…!

 

 

 

 

「いくぜ、俺のターン!ドロー!!」

尊は魂を燃やし、炎の軌跡が宙を舞う…!

 

 

『この瞬間、除外された「ゼロヴォロス」の効果発動!このモンスターが自身の効果で除外された時、次のスタンバイフェイズに自身を特殊召喚する!!そして、自身の攻撃力は除外されたカード1枚につき200アップ…よって攻撃力は5200となる!!』

 

「なにっ…!?」

しかし、リボルバーは手を抜く事はない…死と再生、ゼロと無限を象徴するドラゴンが復活、さらに特殊召喚された位置はメインモンスターゾーンの中央部…尊がリンク召喚など特殊召喚を行えば、即座に『ゼロヴォロス』の効果が起動してしまう位置だった。

 

 

『さぁ、どうする?ソウルバーナー』

 

「へっ…どうするもなにも、お前の『ゼロヴォロス』が──俺に()()()を残してくれたぜ!!魔法カード、発動!!『逆巻く炎の宝札』──バーニング・ドロー!!」

 

 『バーニングドローだと…!?』

 

「これは、不霊夢が餞別として託してくれたカードだ!俺のフィールドにカードが存在しない時、相手フィールドのリンクモンスターのリンクマーカー1つにつき、カードを1枚ドローできる!!」

それはリボルバーの予想外の一手…尊と不霊夢の絆が蒼き炎となって右手に宿る!!

 

 

燃え盛れ!!ソウルバーナー!!》

 

「いくぜ、不霊夢!!これが俺のバーニング・ドローだ──!!!

重なり合う熱き魂…それが尊の勝利へのサーキットを描き出す。

 

 

1つ、魔法カード『リターン・オブ・リンクファイア』による『ヒートライオ』の蘇生と600の効果ダメージ。

 

2つ、『転生炎獣サラマンダラ』の特殊召喚…そこからの除外覚悟の『転生炎獣パイロ・フェニックス』のリンク召喚──だが、それを黙って見ているリボルバーではない…!

 

 

 

『自滅覚悟のリンク召喚か…だが!手札の「カルマセプト・ドラゴン」の効果発動!!手札のこのカードを「パイロ・フェニックス」に装備する…そして、装備モンスターが除外された時、そのコントローラーはその攻撃力分のダメージを受ける!!そして「ゼロヴォロス」の効果発動!リンク先にモンスターが特殊召喚された事で、フィールド上のカードを全て除外する!』

 

「まだだ!速攻魔法発動!『転生炎獣の超転生』!!フィールドの『転生炎獣』リンクモンスターを転生リンク召喚する!!不死鳥よ!逆巻く炎に身を投じ…不滅の力を呼び醒ませ!!転生!!リンク召喚!生まれ変われ!!『転生炎獣パイロ・フェニックス』!!」

 

『無駄だ!転生リンク召喚しようと「ゼロヴォロス」の効果から逃れる事はできん!アシュラー・エニグマ!!』

確実に尊を撃破するべく、ダメ押しの一手を発動するリボルバー…だが、尊は絆の超転生によってダメージを回避した…!

 

 

 

『超転生リンク召喚でダメージは逃れたか…だが!墓地に送られた「カルマセプトドラゴン」の効果発動!!相手の墓地のリンクモンスター1体を選び、そのリンクマーカーの数以下の自分の墓地のリンクモンスター1体を特殊召喚する!私が選ぶのはLink-4の「パイロ・フェニックス」!墓地から復活せよ!「ヴァレルロード・ドラゴン」!!』

再び焼け野原と化すフィールド…だか、リボルバーの魂たる大義の龍が復活する!

 

 

「すげぇよ、リボルバー…だが、俺は最後まで諦めない!!俺は前に進む!!墓地の『サラマンダラ』の効果発動!リンク召喚した『転生炎獣』リンクモンスターがフィールドから離れたターン、墓地のこのカードを除外し!そのリンクモンスターのリンクマーカー以下のリンクモンスターを墓地から特殊召喚する!!蘇れ!!『転生炎獣ヒートライオ』!!」

しかし、尊は動じない…彼のフィールドに魂のカードたる荒ぶる獅子が復活する……そして、尊に残された最後の手札…それは───

 

 

「フィールド魔法、発動!『転生炎獣の聖域(サラマングレイト・サンクチュアリ)』!!そして、効果発動!《color:#ff0000》逆巻く炎よ…!『ヒートライオ』に真の力を呼び覚ませ!!転生リンク召喚!!生まれ変われ!!『転生炎獣ヒートライオ』!!

 

『─────そうか、それがお前の答えか…』

フィールドに逆巻く炎…その中から紅蓮の獅子が咆哮する!!

 

 

 

「『ヒートライオ』の効果発動!『ヴァレルロードドラゴン』の攻撃力を俺の墓地の『ベイルリンクス』と同じ、攻撃力500にする!フレイム・ポゼッション!!」

紅蓮の炎が大義のドラゴンの力を奪い取る……これが、尊の復讐を終わらせる…最後の攻撃!!

 

 

 

「『ヒートライオ』で『ヴァレルロードドラゴン』を攻撃!!ヒート・ソウル!!

 

『──見事だ、ソウルバーナー』

 

紅蓮の獅子と大義のドラゴンが衝突する…紅蓮の拳と大義の爪がぶつかり合い、弾かれ───紅蓮のアッパーカットがヴァレルロードドラゴンを穿つ……その様子をリボルバーは満足そうに見届けていた…。

 

 

 

 

リボルバー LP0

 

ソウルバーナー WIN!

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……燃え尽きたぜ、()()()()だ……ありがとな、不霊夢…父さん、母さん…」

デュエルの決着と共に忌々しき研究所が消えていく…それを見届けた尊は晴れ晴れとした、やりきった表情をしていた…。

 

 

 

「──リボルバー、お前…最初からメールなんて()()()()()()()()んだろ?全部、俺の為に…」

 

『いいや…これは自分の為にした事だ、だからこそ本気で戦った……私自身の()()を解く為に…私自身が、()()()()()を踏み出す為に』

 

「リボルバー…」

戦いを通じ、リボルバーの意図に気付いた尊は彼に問い掛ける…このデュエルは尊と了見、ロスト事件に縛られ続けていた2人の()()を解く為の戦いだったのだ。

 

 

 

『Aiオルタがプレイメーカーに接触を図ってきた以上、それが最後の戦いとなるだろう…再戦の余地など残すまい、全ての決着はプレイメーカーの肩に懸かっている──これで、私のすべき事は終わった』

 

「っ…リボルバー…まさか…」

 

『ああ…約束通り、私は自分の罪を償う』

Aiオルタとの決着を遊作に託したリボルバーが踵を返す……自分の罪を償う為に…。

 

 

 

「っ…待て、リボルバー!!そんなのは、俺が許さねぇ!!」

 

『ソウルバーナー…?何を…』

 

「俺は、お前が法に裁かれて罪を償うなんて許さねぇって言ってんだ!お前は、これからもネットワークの監視者を続けるんだ!!」

だが、尊がそれに待ったをかける…彼は許せなかったのだ…ロスト事件に直接的な関わりがなく、鴻上博士の()()()をしていた鴻上了見が法によって裁かれる事を……彼の犯した罪が()()によって()()()()事を…。

 

 

「俺は、この事件が終わったら故郷に帰るつもりだ…俺は、そこで以前のように暮らす……きっと、時が経てば…ロスト事件を知っている人々の中でその記憶は薄れていく…俺もそうなるだろう……もしかしたら、事件の事を忘れる日が来るかもしれない」

 

「ソウルバーナー…」

 

「だからこそ、お前が罪を償って事件を()()()なんて許さねぇ!例え、みんなが事件を忘れても…お前はずっと覚えていてくれ…!!あの事件の苦しみを…あの事件の悲しみを…!!」

 

『それが、お前の望みか?』

 

「ああ、そうだ」

記憶は風化する…どれだけ悲惨な事件があっても、災害が起ころうとも…その記憶は少しずつ薄れ()()になる日が来てしまう…尊はそれが許せなかった。

 

故に、尊は了見に新たな()()を掛けた……ロスト事件を忘れず、第二・第三の『ロスト事件』を起こさせない()()としての役目を彼に託す為に…。

 

 

 

『………カイバーマン、デュエルロイド瀬人にも言われたな…「償いなど自己満足に過ぎん」「罪を悔いるのなら、その十字架を背負い続けろ」と………いいだろう、ならば私は──その旅を始めるとしよう』

 

「リボルバー……お前に会えてよかったよ」

 

『私も、そう思う……さらばだソウルバーナー…プレイメーカー』

此処に全ての因縁は燃え尽きた…しかし、その灰の中からは必ず、新たな未来が芽吹くもの……新たな使命を背負い、リボルバーはリンクヴレインズから去っていった…。

 

 

 

 

 

「──待たせたな、プレイメーカー…Aiオルタからのメールを受け取ってくれ…あとは任せたぜ」

 

「ありがとう、ソウルバーナー……Aiオルタも逃げはしないだろう、一度…遊嗣達の様子を見に行こう」

 

「ああ、そうだな……無事だといいんだが……」

遊作に託される最後の鍵…そして、彼らもリンクヴレインズを離れる…かけがえのない友の無事を確かめる為に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────あっ……藤木さん…穂村さん……」

 

「─────マシュ……遊嗣は、()()()()()()…?」

 

そして、現実世界に戻った遊作達が見たのは……1()()()体を休めるマシュの姿だった…。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。