転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

奇跡によって一命を取り留めた遊嗣…そしてついに、最終決戦の幕が上がる。

悪役の役目を羽織り、人間と敵対するしかなかったAiオルタを…遊作は止める事ができるのか…。

それでは、最新話をどうぞ!


最後の決闘─定められた運命─

「マシュ…!?遊嗣は、何処に行った…?」

 

「藤木さん…穂村さん……」

 

リボルバーとソウルバーナー…ロスト事件の「呪縛」に囚われた2人の決着を見届けた遊作…そして、彼らはAiオルタから解放された遊嗣とマシュの無事を確かめる為、彼らが眠っていた病室を訪れた……のだが…そこには遊嗣の姿はなく、ベッドで体を休めるマシュだけが残されていた…。

 

 

 

「まさか、遊嗣はっ…!?」

 

「えっ…あっ!?だ、大丈夫!大丈夫ですよ!?遊嗣さんも無事です!!……ただ、2回も()()()()()()()しまったので、集中治療室で絶対安静を言い渡されてしまって…」

 

「「心臓が止まった!?!」」

遊作の様子から()()()を起こしている事に気付いたマシュがあたふたと声を上げる…だが、遊嗣の心臓が止まってしまったと聞いた遊作と尊はさらに戸惑ってしまう…。

 

 

「マシュ、遊嗣に何があったんだ…!?」

 

「凌牙さんやラプラスさんによると…私が、死んでしまったと勘違いした遊嗣さんの…強すぎる復讐心がリンクヴレインズでの()()で自分の生命力を極限まで使い切って…()()()()()()しまったらしいんです……遊嗣さんの優しい心が、激しすぎる怒りと憎しみに耐えられなかったんだろうって……あと、遊嗣さんの持つ『覇王龍ズァーク』としての力が怒りや憎しみと相性が良すぎた、とも……」

 

「っ───そうか…『覇王龍ズァーク』は遊嗣の前世、ズァークと四天の龍の怒りの化身…それが、遊嗣の怒りに共鳴してしまったのか…」

 

「もしかすると、ボクや遊作よりも…今回の事件に関わった誰よりも…遊嗣が一番、復讐者としての()()があったのかもしれないね…」

遊作達に自分が知り得る限りの経緯を伝えるマシュ…それを聞いた遊作はリンクヴレインズで『覇王龍』が異常な暴れ方をした理由を察し……尊は遊嗣の今まで見せなかった()()に暗い表情を見せる。

 

 

遊作や尊、そして草薙は「自分達の人生を狂わせたロスト事件の真実を知る」という目標を立て、ハノイの騎士への復讐の為に戦う復讐者だった。

 

しかし、遊嗣は違う…それまで穏やかに暮らしていた彼が失ったモノはない……そんな彼が初めて()()()()()()()()()

その激情や絶望……復讐心はともすれば遊作達の復讐とはまた違う、()()()()()()()()()()になったのだろうと…。

 

 

誰よりも穏やかで優しい遊嗣が…誰よりも復讐者としての苛烈さを持っていた、というのは皮肉な話だった。

 

 

 

「それで…一時は命も危なかったんです……けど、思わぬ事で遊嗣さんを助ける事ができて…後遺症も残らないと思います」

 

「思わぬ事?遊海さん達の治療じゃないのか?」

 

《───私が駆けつける事ができたから、という事で…お久しぶりですね、プレイメーカー》

 

「あんたは…!『聖騎士王アルトリウス』の精霊の…そうか…!ボーマン達との戦いの時、オレを癒してくれたアクセサリーの力か…!」

 

「アーサー王の聖剣の鞘!ボクも調べてみたけど、すごい事ばっかり書いてあった!!」

そして、マシュの隣に霊体化していたアルトリアが現れる…彼女がいなければ、遊嗣はその魂までも燃え尽き…命を落としてしまっていただろう…。

 

 

《2人とも、マシュはまだ病み上がり…そして、ユージの事もあって疲れています…今日はもう休ませてあげて欲しいのです、ユージも明日にはマシュの近くに戻れるでしょう》

 

「ああ、すまない…そういえば、遊海さん達は…?」

 

「……リンクヴレインズでの『覇王龍』の暴走で受けてしまったダメージが大きかったみたいで……まだ眠っているそうです…遊馬さんがお二人以外が攻撃を受けていたら、あのまま『覇王龍』が暴れ続けていたら…一般人にも大きな被害が出たかも、と言ってました」

 

「っ……」

 

「ボク達、また遊海さんに守ってもらったんだね…」

 

「そうだな…」

アルトリアの言葉を聞いた遊作は最後に覇王龍に攻撃を受けてしまった遊海達の事を聞き、表情を曇らせる。

覇王龍の暴走…それはリンクヴレインズに小さくない傷跡を残していた…。

 

 

 

 

 

 

 

『おう、そろそろ来るんじゃないかと思ってたぜ…藤木遊作に、穂村尊』

 

「ラプラス、さん…」  

 

『別に呼び捨てで構わねぇよ、肩肘張ってるのも疲れるだろ?』

同KC病院・特別病室…マシュに教えられた部屋を訪れた遊作達を出迎えたのは静かに眠る翠に回復魔法を使うラプラスだった。

その病室内では遊海も寝かされており…他にも十代や遊馬、デュエルロイド瀬人…そして、ソファで眠る凌牙などの姿があった…。

 

 

 

「遊海さん達の傷は……」

 

『心配すんな、()()()()()重い攻撃を受けて意識が飛んじまってるだけだ……リンクヴレインズはある意味、意識や精神が()()()()の世界だからな、こいつら自身の想定より()()()()らしい……そんなの考える余裕もなかったろうけどな』

 

「遊海さん…翠さん…」

翠の治療を続けながらラプラスは遊作の質問に答える。

 

リンクヴレインズではアバターで受けたダメージや衝撃が精神ダメージという形で肉体に反映されてしまう事がある…その仕様と規格外の精霊である『覇王龍』の攻撃が合わさってしまった結果、遊海と翠は魂まで響くダメージを受けてしまっていたのだ…。

 

 

 

「フン…藤木遊作、財前晃からの報告は上がっている…ヤツは奪い取ったコードキーを手放したらしいな?」

 

「カイバーマン…ああ、オレ達もリボルバーから聞いている…覇王龍が暴れたのを見て、手に負えなくなったからではないか…と言っていた……そして、あいつはオレに宛てたメッセージをロボッピに預けていたんだ」

 

「そうか…事件は最終局面という訳か……藤木遊作、ヤツの処遇は()()()()()()…消去するのか、反省させて連れ戻すのか…好きにするがいい、あとの事は目を覚ました遊海と彩華に任せろ」

 

「カイバーマン…」

そして、瀬人が遊作に話しかけ…Aiオルタとの決着が近い事を知る…その上で彼はAiオルタの処分を遊作に委ねる事にした。

 

 

「オレにはAiオルタの意図はわからん、だが…ヤツは()()()()()()()ように感じた…その上で今回のような()()に及んだのには、ヤツなりの覚悟があるのだろう……藤木遊作、プレイメーカー…お前の目でヤツの真実を見極めてやるがいい」

 

「Aiオルタの真実…」

 

「遊作…」

Aiオルタへの所感を語る瀬人…それを聞いた遊作はロマンや遊海の言葉を思い出し、目を伏せた…。

 

 

 

「っ…ぐ、うっ……みどり……ゆうじ……遊嗣っ…!!」

 

「あっ…先生!気が付いたか!!」

 

「「遊海さん!!」」

その時、昏睡状態に陥っていた遊海が意識を取り戻す…その表情は苦しげだが、倒れる直前の事を思い出して無理矢理に体を起こそうとしている…。

 

 

「先生!動いたらダメだって!!覇王龍の攻撃で受けたダメージが…!!」

 

「十代…遊嗣…遊嗣は、無事か…!?あの子に、何かあったら…俺は、俺はっ……!!」

 

『落ち着け親バカ、遊嗣は無事だ…復讐心で生命力を燃やし尽くしちまうところだったが…マシュがセイバー…アルトリアを喚び出してくれてな、宝具「全て遠き理想郷(アヴァロン)」で元通りだ…あの子の体調が落ち着いたら、お前達も治してもらえ』

 

「ラプラっ……よかった……遊嗣……ごめん……よかっ、た……」

 

『………馬鹿遊海…お前がそんな思いをしなくて済むように、あのペンデュラムを作ったのにな………まったく、本当に運命って奴はわからねぇ…』

起き上がろうとする遊海を必死に押さえる十代…そして、遊海はラプラスから遊嗣の無事を聞かされ、涙を溢しながら再び意識を失ってしまった…。

 

 

『藤木遊作…許すも許さないもお前に任せる……任せるが()()()はつけろ、アイツのせいで何人もの人間が苦しみ、傷つき悲しんだ……そのケジメをつけるのは──許す、許さない以前の問題だ』

 

「───ああ…!」

そして…ラプラスの言葉と遊海達の様子を見た遊作は静かに覚悟を固めた…。

 

 

 

 

……………

 

 

 

 

 

「尊、今まで色々助かったよ…今日はゆっくりしていってくれ」

 

「ありがとう、草薙さん」

翌日、放課後…尊は1人でcafeNagiを訪れていた…リボルバーとの決着をつけた彼は新学期から故郷に帰る事を決め、それを草薙に伝えにきたのだ。

 

 

「そういえば…あれから遊作は来た?今日は学校に姿を見せなくて…」

 

「ああ、昼間に来たよ…Aiオルタとの戦いを前に色々考えたかったんだと……あと、遊嗣の見舞いにも行ったらしい」

 

「遊作…大丈夫、かな…」

 

「………大丈夫さ、あいつは1()()()()()()…あいつが関わったみんなから受け取った()がある」

学校を休んだ遊作の動向を語った草薙は静かにコーヒーを啜る…唯一無二の()()を信じて…。

 

 

 

 

Side遊作

 

 

「Ai……」

夜風が吹き抜けるDENCityの湾岸地帯…その夜空には月はなく、無数の星々だけが煌めいている…そんな中で遊作は船着場から暗い海を見つめていた…。

   

 

 

 

…………

 

 

 

「───遊嗣、マシュ、大丈夫か?」 

 

「あっ、藤木さん…」

 

「……遊作くん……心配かけて、ごめん…」

昼間、Aiオルタからのメッセージに記された場所に向かう前…遊作は遊嗣達の見舞いに訪れていた。

遊嗣は集中治療室を出て、元の病室に戻っていたが…未だに疲労が抜けないらしく疲れた様子だった…。

 

 

「マシュや、ロマンから何があったのかは聞いたよ……Aiの、バックアップ…それが僕達を襲ったって……せめて、デートを狙うのは…やめて欲しかったなぁ…襲うなら、僕だけにして欲しかった…」

 

「───すまない」

 

「遊作くんが、謝る事じゃないよ……僕、Aiになんか嫌な事したのかな…?」

眠そうな様子で遊作と話す遊嗣…彼にはAiオルタ…Aiに襲われる理由に心当たりがなく、ただ不思議そうな表情をしていた…。

 

 

 

「───遊作くん……Ai…Aiオルタに()()しよう、なんて…考えないでね…?」

 

「っ───遊嗣…お前……」

 

「遊作君の顔が、()()()と…同じ顔してたから…」

そして…遊嗣は遊作の思いを見抜き、穏やかに声をかける…その時の遊作の表情がハノイの塔事件の前のように()()()()()事に気付いたからだ。

 

 

「……今回の事で、少しだけ…()()がどんなモノなのか、分かった気がする……大切なモノを奪われて、悲しくて…許せなくて…訳がわからなくなって………遊作君達は、こんな()()()モノを10年も背負い続けてたんだね……」

 

「遊嗣さん…」

今回の事件で遊嗣は初めて、憎しみや復讐心というモノを抱き、振り回されてしまった…それは優しい遊嗣にとってはあまりに辛く、苦しいモノだった。

 

 

「遊作くん…忘れないで…()()()1()()()()()()、孤独な戦いでも…きみはみんなと繋がってる、から……」

 

「遊嗣……ああ、そうだな」

 

「………よかった……少しでも、遊作くんが笑って────すぅ……」

そして、遊嗣が遊作に掛けたのも()()()と同じ…彼を思う言葉だった。

その言葉を聞いた遊作の表情からは少しだけ肩の力が抜け…それを見た遊嗣は安心したように眠りに落ちていった…。

 

 

 

 

「………あの、藤木さん…余計な情報かもしれないんですけど、いいですか…?」

 

「マシュ?どうしたんだ?」

眠りに落ちてしまった遊嗣を心配そうに、愛おしそうに見ていたマシュが複雑そうな表情で遊作へと声をかける…。

 

 

「私、Aiオルタに意識を捕らわれていた時…少しだけ、意識が戻ってしまった瞬間があったんです…体は動かせなくて、目を開ける事もできなかったんですけど…」

 

「っ…!?それは……」

マシュの証言を聞いた遊作は目を見開く…当時、マシュは何も状況が分からなかったはず…しかも、その状態で意識だけが戻ってしまうのはとても()()()()事だと気付いたからだ。

 

 

「…真っ暗闇で、怖くて…不安で……私、泣いてしまったみたいなんです…その時、男の人……たぶん、Aiオルタが慌てた様子で私の意識を眠らせにきて……でも、()()()()()んです」

 

「………」

 

「『お前達を傷付けはしない』『離れ離れにはしない』『オレの計画が終わったら解放する』って……たぶん、Aiオルタは新生サイバース世界にいるAiさんと()()()()()()んです……きっと、何か理由があると思って……だから、Aiオルタの話を聞いてあげて欲しいんです」

 

「マシュ……話してくれてありがとう、オレは──真実を知る為に戦うだけだ」

彼女だけが知るAiオルタの一面…それを知った遊作は静かに頷いた…。

 

 

 

……………

 

 

 

「Aiオルタ…Ai、お前は何が……っ!?」

Aiオルタの事を考え、鋭く海を睨んでいた遊作…その時、1枚のカード手裏剣が彼に向けて飛来…彼は咄嗟にそのカードを受け止めた…!

 

『───藤木遊作』

 

「了見……」

そのカードを投げ渡したのは、クルーザーに乗ったリボルバー…鴻上了見だった。

 

 

『………さらばだ』

 

「───ああ」

彼らの間に言葉は必要ない……戦いに向かう彼への餞別を渡し、了見は夜の海へと消えていった…。

 

 

 

 

 

 

「ここか…」

Aiオルタが指定したポイント…それはSOLテクノロジー社のソルティス製造工場だった、本来は24時間態勢でのソルティスの製造を可能とするが…財前の判断でAiオルタ事件収束までは閉鎖されている…。

 

 

 

「これは……Aiオルタのソルティス…?こんな大量に…!?」

セキュリティシステムが停止したその場所に躊躇なく踏み込んだ遊作…そこに広がっていたモノ、それは無数のAiオルタを模したソルティス達だった…。

 

 

「Aiは、何を考えてこんなモノを……あれは?」

機能停止状態のソルティス達を見ながら先に進む遊作…その時、彼は工場に不釣り合いなモノ───「Welcome!」と書かれた看板の下で機能を停止したAiオルタのソルティスを見つける……だが、そのソルティスには()()が入っていた…。

 

 

「───into the VRAINS

 

遊作はソルティスに触れながら、静かにその言葉を口にする。

 

そして…彼は戦いの舞台へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「───ここは、旧リンクヴレインズか…」

遊作が導かれたのは廃墟の広がる荒野、荒れ果てた旧リンクヴレインズだった…遠くには役目を終えたハノイの塔が聳え立っている…。

 

 

 

 

【───よぉ…来たか、遊作…プレイメーカー…】

 

「Aiオルタ…っ!!お前、その体…!?!」

 

【はは、は……本当は、盛大にお前をもてなしてやるつもりだったんだが……()()がなくなっちまった……】

そして、遊作の前にAiオルタが姿を見せる…だが、彼は──既に()()しかけていた。

 

豪華な服はボロ布のようになり、右半身はノイズに覆われ……その存在が消えかけていたのだ。

 

 

 

【とことん、俺は()()()()よ……藪を突いたら、蛇とか鬼じゃなくて()が飛び出してくるなんて…思わねぇ、よなぁ…】

 

「───まさか、あの時の攻撃は───」

そして、遊作は気付いた…新生リンクヴレインズで暴走した『覇王龍ズァーク』…その最初の一撃は奇跡的に新生リンクヴレインズから()()()のではなかった。

 

 

最初から()()()()()()()()のだ──自分の大切なものを傷付けた張本人、Aiオルタへと…。

 

 

【リンクヴレインズの、外にいるのに…世界の壁をぶち抜いて、俺を消しにくるなんて、予想できるかよ…おかげで、コードキーを持ってられなくなっちまった……まぁ、もう…()()()()けどよ…】

Aiオルタはリンクヴレインズの外からロボッピや遊作達の動向を見守っていた…だが、その時に現れた『覇王龍ズァーク』の攻撃は次元と世界を貫き、Aiオルタの潜伏していたリングリボー型の船を撃墜……Aiオルタはその時点で致命傷を負い、なんとかこの場所に辿り着き…遊作を待っていたのだ。

 

 

 

自分の最後の()()を果たす為に───

 

 

 

「Ai、ここに来るまでにお前を複製したようなソルティス達を見た…あれはなんだ?あれが、お前の()()()()()()事か?」

 

【見て、くれたか…?限定ソルティス、Aiちゃんモデル……本当は、俺をベースにした意思のコピーを組み込んで…あいつらを野に放つもりだった、けど……それも、できなくなっちまった…()()()()()()()()()()……この戦いに勝とうと、負けようと…俺は()()()、からな…】

 

「Ai…こんな事はやめて戻ってこい…!他のイグニス達や彩華なら、お前の修復もできるはずだ!!」

 

【それは、無理な相談だ…ゴーストガールや、スペクター達を眠らせてる電脳ウイルスは…俺がデュエルで負けるか、()()()()()()除去できない……そういうロックを掛けちまった】

 

「お前───最初から、()()()()()()()()()のか…?」

 

【まぁ、()()()()()だ…ルールは、これまでと一緒…全てを取り戻したいなら、俺を倒せ…!プレイメーカー…!】

満身創痍の状態で遊作にデュエルを挑むAiオルタ…最初から、Aiオルタは今の状況を作る為に動いてきたのだ…。

 

 

 

【流石に、最後の戦いがボロボロじゃ…格好つかないよなぁ!!】

そして、Aiオルタは最後の力を振り絞って自身の()()を修復…周囲にはデータストームが吹き荒れ、遊作の退路を絶った…!

 

 

「Ai!お前に何があった…!なんで、こんな道しか選べなかった…!!」

 

【……デュエルすれば分かるかもな、プレイメーカー】

 

「そうか──いくぞ、Ai!!」

 

【ああ…デュエルだ、プレイメーカー!!】

 

データストームが吹き荒れる荒野で遊作とAiオルタ…2人の最終決戦が始まった…!

 

 

 

 

 

 

「【デュエル!!】」

 

 

デュエルダイジェスト プレイメーカー対Aiオルタ

 

 

 

 

 

データストームが吹き荒ぶ中で始まった遊作とAiオルタの決戦…先攻を取った遊作は自分の魂にして誓いのデッキである『サイバース族』デッキを展開…Aiとの出会いによって生まれたエースモンスター『デコード・トーカー』を喚び出す…!

 

 

 

 

【『デコード・トーカー』…オレとお前の出会いで手にした、最初のリンクモンスターか…懐かしいな、プレイメーカー】

 

「………Aiオルタ…いや、Ai…オレと草薙さんにこのサイバースデッキを探すように仕向けたのは──()()だな?」

 

【──そういや、()()()()()は話してなかったか…だが、あえてこう返すぜ──()()()()だ?】

 

「…とぼけなくても分かってる…5年前、サイバース世界がハノイの騎士に襲われてから…ずっとお前は逃げ回りながらオレを監視し、小さな()()をし続けた…()()とも言えない小さな干渉、それが積み重なって、オレがハノイの騎士への復讐の道を歩むように仕向け…DENCity、そしてリンクヴレインズへと導いた──同じような事を草薙さんにも仕掛け…オレ達が()()()ように仕向けた……そして、サイバースデッキを与えた…お前を守り、ハノイの騎士を倒させる為に……違うか?」

 

【流石だな、プレイメーカー…全部、お見通しだったか…そうさ、オレがお前に戦う武器を与えた】

遊作はAiオルタに今までの核心を突く。

 

遊作が復讐の道を歩み始めたキッカケ、それはロスト事件が『ハノイ・プロジェクト』と呼ばれていたのを調べ当てた事…だが、それはSOLテクノロジーの機密事項──その事件の名を知る者は当時のSOLテクノロジーの経営陣、了見達ハノイの騎士…そして、ハノイ・プロジェクトで作り出されたイグニス達だけ……Aiは少しずつ情報を流す事で遊作達を誘導していたのだ。

 

 

【そして、お前はオレの期待通り成長し、ハノイの騎士を倒してくれた……その後の、ライトニングの企みとか『破滅の光』なんてのは計算外だったけどな】

 

「なら、ハノイの騎士を倒すまでの事は全て()()()()か?」

 

【まぁ、最初はそうだったかもな……でも、オリジナルのオレの名誉の為に言わせてくれ────遊作も、草薙も…遊嗣や尊、ロマンも……みんな、オレのかけがえのない()()……()()()()()だ】

 

「Ai…」

ハノイの騎士を倒すまでの事は計算通りだったというAiオルタ…だが、彼は真摯にオリジナルのAiの想いを伝える…遊作達との思い出はかけがえのない宝物であり、大切な友達なのだと…。

 

 

「そうか……ならば何故、その宝物を…みんなを傷付けるような真似をした…!」

 

【───それには、()()答えたくねぇな…さぁ、見せてくれよプレイメーカー…お前がどこまで成長したのかを…!】

 

 

 

 

Aiオルタのターン、彼は『@イグニスター』デッキを展開する。そのデッキは強力無比、彼を止められたのはレジェンドクラスの実力を持つデュエルロイド瀬人と神のイグニスたるロマンのみ…『ピカリ@イグニスター』からの『イグニスターAiランド』、そして『リングリボー』…無駄のないプレイングを見せるAiオルタはエースモンスターの『ダークナイト@イグニスター』に加えて『ファイアフェニックス@イグニスター』を並び立て…そして、()()()()()を発動する…!

 

 

【プレイメーカー…お前と戦う、俺の覚悟を見せてやる…!全てを裁く、3本の矢!リンクマジック『裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)』発動!!】

 

「Ai…!」

それはAiの覚悟の証…幾度となく遊作を追い詰めた『裁きの矢』が発動する!

 

 

 

【さぁ、いくぜプレイメーカー!!バトルだ!】

 

「だが、オレのフィールドには永続魔法『サイバネット・オプティマイズ』が発動している!その効果によって自分の『コード・トーカー』モンスターがバトルする時、相手はダメージステップ終了までモンスター・魔法・罠カードの効果を発動できない!」

 

【へぇ…既に『@イグニスター』と『裁きの矢』の対策はバッチリかよ…だが、いくぜ!!】

『裁きの矢』やバトル中に効果を発動する『@イグニスター』の対策として永続魔法『サイバネット・オプティマイズ』や『コード・トーカー』モンスターに戦闘破壊耐性を与え、相手モンスターの攻撃力を0にする永続罠『コード・ハック』を用意していた遊作…だが、Aiオルタはそんな事は想定済みだった。

 

一撃目の『ファイアフェニックス』の攻撃は遊作の策で防がれる、だが…二撃目の『ダークナイト』は同じ攻撃力のモンスターとのバトルでは破壊されない効果を持つ…それにより、鍔迫り合いの末に『デコード・トーカー』は斬り捨てられる…!

 

 

  

 

【今のターンで分かったろ?俺は()()だ…本気で戦わないと、瞬殺しちまうぜ…プレイメーカー!!】

 

「っ…Ai!本当に、オレ達は戦う道しか残されてないのか!?オレ達は()()()()()()!頼れる仲間達がいる…みんなの力を借りても、お前が抱えている()()を解決する事はできないのか…?」

 

【────そうか、ロマンのヤツ…言わないでいてくれたのか……くどいぜ、プレイメーカー…オレには、戦う道しかない!!】

 

「っ…ならば…いくぞ、Ai!!」

 

【───ああ、そうこなくっちゃな】

遊作はAiオルタが何か()()を抱えている事を知っている…だが、それでも──Aiオルタは揺らがない、その瞳に宿る意思は静かに遊作の事を見据えている。

 

故に…遊作も覚悟を決めた…。

 

 

 

 

返しのターン、魔法カード『サイバネット・クロージャ』でデッキのカード1枚を裏側で除外した遊作は再びサイバースデッキを展開する…『裁きの矢』の強力さを誰よりも知る彼は…手を抜く事なく、デッキを回す。

 

自身がフィールドに存在すればダメージを半減できる儀式モンスター『サイバース・マジシャン』…相互リンク先のモンスターを効果から守り、墓地のサイバース族モンスターを蘇生できる『トランスコード・トーカー』…そして、遊作の切り札の1体たる融合モンスター『サイバース・クロック・ドラゴン』…今までの自分の戦いの()()()と言わんばかりにモンスターを並べ立てる。

 

だが、Aiオルタは慌てない…攻撃力7500となった『サイバース・クロック・ドラゴン』が攻撃する瞬間、伏せていた罠カード『─Ai─SHOW』を発動…その効果でEXデッキから融合モンスターの『アースゴーレム@イグニスター』シンクロモンスターの『ウィンドペガサス@イグニスター』そして、エクシーズモンスターの『ライトドラゴン@イグニスター』を特殊召喚した上でバトルフェイズを終了させる…!

 

 

 

 

【へへっ…お前が攻撃力を上げてくれたおかげで、3体も喚べたぜ…!まぁ、()()()()()けどよ…お前のデュエルを一番近くで見てたのは俺だからな、これで…俺の勝ちまでずいぶん近づいたぜ】

 

「Ai…!」

今までにないプレイングを見せるAiオルタ…彼は遊作を──プレイメーカーのデュエルを誰よりも知っている、こうなる事も想定していたのだ。

 

 

 

 

──Aiオルタは新生サイバース世界にいるAiさんと()()()()()()んです……きっと、何か理由があると思って……だから、Aiオルタの話を聞いてあげて欲しいんです──

 

 

 

 

「──Ai…お前の『@イグニスター』のモンスター達は他のイグニス達への想いが込められたモンスターだ、お前はボーマンとの戦いの時、最後まで諦めなかった…その思いが他のイグニス達を救った…!なんで、そこまで仲間を大切にするお前が…あいつらを悲しませるような事をするんだ!」

マシュの言葉を思い出した遊作はAiオルタへと問い掛ける…。

 

この世界において…神のイグニス・ロマンの手助けを得たAiはボーマンに取り込まれかけていた仲間のイグニス達を救い出すという()()を起こした…そんな彼が何故、人間との共存の時を待つ仲間達やオリジナルのAiを悲しませるような事をするのかと…。

 

 

【なぁ、プレイメーカー…新生サイバース世界で、みんなは()()()()()()のか?】

 

「───ああ、オリジナルのAiは相変わらずサボってばかりだとアクアが愚痴を溢してもいたが…生まれ変わった光のイグニス、アークも一緒に新たなサイバース世界を作り上げている……だからこそ、バックアップのお前がカイバーマンや遊嗣達を襲ったと聞いて、みんなが戸惑い…悲しんでいた」

 

【そうか…オリジナルのオレも元気にしてる、か……でも、俺は違う…イグニスはこの世界から旅立ち、()()()が残された…()()っていうのは辛いよな、プレイメーカー…お前が味わった気持ちが少しだけでも理解できた………リボルバーが前に言った通りだ、こんな思いをするのなら…AIは意思を持つべきじゃなかった、そうすれば…こんな()()()を感じずに済んだのによ…】

 

「Ai…!お前は()()なんかじゃない!遊海さんに頼めば、あの人はお前を新生サイバース世界に連れて行ってくれたはず!そうすれば、お前を8人目の仲間としてAi達も受け入れてくれたはずだ…!」

 

【───そんな未来があればよかったのにな……でも、()()なんだよプレイメーカー……俺は()()()()…もう、()()()はできねぇ、しちゃならないんだ…!】

 

「Ai…」

新生サイバース世界で暮らす仲間達の近況を聞いたAiオルタは哀しげに笑う…そんな彼へと違う未来を示した遊作だが……Aiオルタは覚悟を持ってターンを進める…。

 

 

 

Aiオルタのターン…遊作の場にはリンクモンスターが存在する限り、自分フィールドのモンスターを戦闘・効果の対象にできなくする『サイバースマジシャン』と『サイバースクロックドラゴン』が並び、Aiオルタは行動を制限されてしまう…だが、それでもAiオルタは止まらない。

 

『ウィンドペガサス』の効果で『コード・トーカー』モンスターを守る『サイバネット・オプティマイズ』と『コード・ハック』を除去…さらに儀式モンスターの『ウォーターリヴァイアサン@イグニスター』を儀式召喚する事で『トランスコード・トーカー』をバウンスし、遊作によるロック戦術を解除……さらに攻撃によって『サイバースマジシャン』を撃破、さらに戦闘ダメージを与えた事で『ライトドラゴン』の効果が起動…リリースされて墓地にいた『ファイアフェニックス』が『裁きの矢』のリンク先に蘇生され、遊作はその効果で4600ダメージを受ける敗北の危機に陥る。

 

だが、遊作は墓地の『オーバー・フローター』の効果を発動…その効果により、Aiオルタの場に6()()のモンスターが並んでいた事でAiオルタのモンスターの効果が無効となって『ファイアフェニックス』の攻撃が反射──そのライフは一気に1100まで削られてしまう!

 

 

 

【ははっ…いつの間にか、そんなカードを墓地に仕込んでたなんてな…やっぱり、お前には俺の()()()を出すしかなさそうだ──魔法カード発動!『キ─Ai─』!その効果で墓地の『ファイアフェニックス』を効果を無効にして特殊召喚!!】

 

「っ…なにを…!」

6つあるモンスターゾーンを全て埋めるAiオルタのモンスター達…それはAiオルタが夢見た()()への憧憬──

 

 

【見せてやるよ、プレイメーカー…ボーマンやライトニングみたいな無理矢理じゃない、イグニスの力を束ねたモンスターを!!現れろ!闇を導くサーキット!召喚条件は属性が異なる、攻撃力1500以上のモンスター2体以上!!俺は炎属性の『ファイアフェニックス』水属性の『ウォーターリヴァイアサン』地属性の『アースゴーレム』風属性の『ウィンドペガサス』光属性の『ライトドラゴン』…そして、闇属性の『ダークナイト』──6体の『@イグニスター』をリンクマーカーにセット!!】

6体の『@イグニスター』達がサーキットへと飛び込み、限界を超えた力を解き放つ…!

 

 

【6つの輝き!今1つとなり!超絶豪快悶絶エレガントスーパー!…1つ足りねぇ!?えーっと……ウルトラスーパー!!俺が、ボーマンのプログラムを発展させて作り上げた究極の奥の手!!現れろ!Link-6!!『ジ・アライバル・サイバース@イグニスター』!!】

 

『Link-6の、リンクモンスターだと!?』

Aiオルタの少しぐだぐだな召喚口上と共に…その戦士は現れる。

 

Aiオルタが願いし夢の果て──6属性のイグニスの力を束ねた超戦士が降臨した!!

 

 

 

【『ジ・アライバル』の元々の攻撃力はリンク素材にしたモンスター1体につき1000…つまり、6000になる!さらに、このモンスターは自分フィールドのカード1枚につき1000アップする!俺のフィールドには『ジ・アライバル』『イグニスターAiランド』『裁きの矢』『ゆずり─Ai─』の4枚、よって4000ポイントアップ!!さらに、自分のメインフェイズにこのカードにカウンターを1つ乗せる!】

 

「攻撃力、10000…いや、『裁きの矢』の効果も入れれば…攻撃力20000か…!!!」

人間の…今までの常識を越えたモンスターの登場に流石の遊作も動揺を隠せない……だが、Aiオルタはまだ止まらない…!

 

 

【まだまだ効果はあるぜ?『ジ・アライバル』は1ターンに1度、フィールドのモンスター1体を破壊し、自分のリンク先に『@イグニスター・トークン』を特殊召喚できる!サヨナラだ!『サイバースクロックドラゴン』!!】

 

「くっ…!?だが、『サイバースクロックドラゴン』が破壊された時、魔法カード1枚を手札に加えられる!」

 

【まだまだいくぜ!『@イグニスタートークン』を素材にリンク召喚!!現れろ!『ダークワイト@イグニスター』!!このモンスターは攻撃力0だが、リンク状態の時に攻撃対象にならない!これで、『ジ・アライバル』の攻撃力は11000になる!】

遊作の切り札を破壊し、新たなるモンスターを喚び出すAiオルタ…ライフはまだ遊作が有利だが、追い詰められるのも時間の問題だった…。

 

 

 

【さぁ、ドンと来いよプレイメーカー…!日和ってると、お前のフィールドのモンスターはどんどん破壊されるだけだぜ…!】

 

「くっ…!!」

自分の奥の手を解放したAiオルタは不敵に遊作を見つめる…自分の()()()()が刻一刻と迫るのを自覚しながら…。

 

 

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