転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
《本ッ当に!申し訳ありませんでした──!!!》
「あはは……Ai、そんなに謝らないでよ…悪い事をしたのはきみじゃなくてバックアップの方なんだから…」
「そうですよ!私は眠らされてただけですし…」
《うう…遊嗣とマシュが優しすぎて逆につらーい!!!本当にごめんよ〜!!!》
「ここまで反省…いや、
「……まぁ、Aiオルタとは
「まさか、Aiの土下座を見る時がくるなんてね…」
Aiオルタの起こした一連の事件──『DENCity四日間戦争』から数日が経った。
体調の戻った遊海・遊嗣・マシュ、そして遊作と尊は事の次第を伝える為に新生サイバース世界を訪れたのだが…Aiが出会い頭に見事な土下座を披露した事で、遊嗣とマシュは苦笑してしまっていた…。
《まったく…!まさか、ライトニングが自分の敗北を想定した罠まで残していたとは!!本当にイグニスの風上にも置けん!……バックアップのAiが迷惑をかけてすまなかったな、尊…》
「不霊夢…まぁ、色々大変だったけど…みんなのおかげでなんとかなったから!」
Aiオルタの目的に関して、彼と直接対峙した遊作も…演算結果を見てしまったロマンも多くを語る事はなかった。
『ライトニングが自分の敗北を想定し、Aiを狂わせるプログラムを用意していた』
『それをバックアップのAiが取り込んでしまった事で今回の事件が起きた』
Aiや不霊夢達、そして遊嗣達にも遊作達はその説明を貫いた……全ての真相を知るのは遊作と草薙、そしてロマンと遊海、彩華…その5人だけだった。
《……尊、少し会わないうちに見違えたな…何かあったのか?》
「───
《???》
久しぶりに尊と再会した不霊夢は彼の微妙な変化──
《しかし、実質的にAiのバックアップ…オルタ1人でハノイの騎士5人、プレイメーカーやGO鬼塚達…そして、ロマンや白波遊海を入れた16人を相手に、その全てを出し抜くとは……何がそこまで彼を追い詰め、狂わせたのだろうな…》
《私達は直接、彼と対峙する事がなかったので真意は分かりません…しかし、
《それこそ、ボクにやったみたいにバックアップのAiの性格データを書き換えて
《……先代が、ご迷惑をかけてすいません…》
『『『『『アークは悪くないから!!』』』』』
そして、事件の内容を分析したアースやアクアは凶行に及ぶしかなかったAiオルタを悼み…ウインディはAiオルタを狂わせてしまった方法を予測したが……それらを聞いたアークが落ち込んでしまい、イグニス総出で無関係の彼を慰めている…。
《…でも、これで人間とイグニスの共存の未来はまた遠のいちまったよな……あーもう!!なにをしてんだよバックアップのオレ〜!!!》
「…いいや、バックアップのお前も人間と意思を持つAIの共存そのものは否定しなかった…時間は掛かるかもしれない、それでも──必ず、人間とイグニスが手を取り合える日が来る、そうオレは信じてる」
《遊作…そうだな、そうだよな!》
バックアップの自分のやらかしに頭を抱えてしまうAi…だが、そんな彼に遊作は穏やかに希望を示す…それを聞いたAiはいつもの明るさを取り戻した。
《でも…今回のやらかしの責任はどう取ったらいいんだよぉ…財前兄妹とか鬼塚とかゴーストガールとか…すごい人数に迷惑掛けたし…》
《まぁ、きみに全責任があるって訳じゃないからね…何かしら
《ロマン!なんかアイデアがあるのか?》
しかし、それはそれ…今回の騒動の発端になってしまったAiは
「ロマン…お前、まさか───」
《マスター…白波家に伝わる伝統のおしおきメニュー……この『麻婆豆腐』の味覚データを完食する、それだけでいいよ》
《───えっ、それだけ?》
「ヒエッ…!?」
「遊嗣さん?」
「遊嗣、どうした?そんなに青褪めて…」
ロマンの手元にお皿に乗った赫い料理が現れる、それを見たAiは呆気に取られ…遊嗣はマシュや遊作が心配するほど顔が青褪めている…。
《麻婆豆腐…豆腐をひき肉や唐辛子で煮込んだ中華料理、ってヤツか…まぁ、ロマンの出す料理なら
「ちょっ…Ai!そんな一気に食べたら──!?」
AIに
遊嗣の忠告も一足遅く、Aiは捕食形態の一口で麻婆豆腐を流し込み───
ボッ!!
《うっぎゃああああああああ!?!?》
「「「「Ai─!?!?」」」」
《Aiが
「不霊夢、いや……ウチのおしおき麻婆豆腐、
《下手に何かをするよりも、このほうがAiも
麻婆豆腐を食べたAiの全身が炎に包まれる…それはAiが壊れてしまう、というほどモノではないが…今まで経験した事のない
なお、ロマンは何かを食べて辛味を
《イタタタ!!?口が痛い!!シビレて痛い!!体が燃えるぅぅ!!?誰か助けてぇぇ!!!?》
後日、この映像を見せられた事件関係者は…全員、静かに合掌したという…。
「あれだけ苦しんでいる様子を見せられたら、流石に何も言えん」
ブラッドシェパード…道順健吾はそうコメントを残した。
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それから、しばらくの時が過ぎ…彼らは日常に戻っていく…。
『ご注文ありがとうございます!兄さん!遊作君!ホットドッグ2つに、コーヒー2つ!』
「はいよ!」
「ああ!」
長らく療養生活を続けていた草薙の弟、草薙仁は無事に療養を終えて社会復帰を果たす事ができた。
その理由…それは光のイグニス・ライトニングがリボルバーとの最終決戦の際、スキル『エクストラライフ』によって仁の記憶データをライフへと変換した事…それにより、仁を苦しめていた『ロスト事件』の記憶が綺麗さっぱり消えてしまったからだった。
…失われた時間は多い、それでも──遊作達のように、彼も全てを乗り越えられる日が来るだろう。
「早見、リンクヴレインズに異常はないか?」
『財前
「そうか…リンクヴレインズは全世界に開かれ、ネットワーク世界のセントラルステーションになった…私達は無限の可能性を秘めたこの世界を守り続けよう!」
『はい!』
Aiオルタ事件後、会社を立て直してCEOに就任した財前晃は新生リンクヴレインズを全世界へと解放した。
無限の可能性を秘めたその場所を、彼らはしっかりと守り続けるだろう。
『『ひ〜!!オタスケ──!?!』』
「兄さん!!」
「ああ、右は任せた!気を付けろエマ!」
「ええ!!」
しかし、ネットワークが広がったデメリットもある…別のネットワークから紛れてしまった悪性プログラムや再現された野良デュエルモンスターが一般人を襲ってしまうという事故が多発…その時には兄妹ハッカーとして活躍し始めたブラッドシェパード&ゴーストガールが対応している。
「…リンクヴレインズの発展の仕方がすごいわね…もっともっと大きくなりそう…」
「だからこそ、我々のような監視者が必要になる」
「それが、我々の罪の償い方……二度と、ネットワークの事件で悲しい思いをする人々を生み出さない為に…」
リボルバーの決意によって自首を取り止めたハノイの騎士達は秘密裏にSOLやKCと協力態勢を構築……『ネットワークの監視者』としての役目を果たし続ける。
────それが自分達なりの『贖罪』になると信じて───
『WINNER!GO鬼塚──!!』
「さぁ、どんどんかかってこい!!このGO鬼塚が相手になってやる!!」
「「「頑張れ!チャンピオン──!!」」」
リンクヴレインズが再開した事でカリスマデュエリスト達も続々と活動を再開…その中でトップの実力を誇るのはやはり、熱き魂を取り戻したGO鬼塚。
プロからもオファーが掛かる彼は…それでもリンクヴレインズで戦い続ける───いつの日か、
『すごい…ここが、リンクヴレインズ…!』
「ああ!デュエルでみんなが繋がる、新しい世界だ!」
そして、熱き心を持つ少年もまたリンクヴレインズに舞い戻る…彼が大切に想う、幼馴染の少女を連れて───
『尊のアバター…すっごくかっこいい!』
「へへっ…綺久、こっちではSoul Burnerって呼んでくれよ!…それに、運が良ければ──もっと
幼馴染の少女・綺久と共にリンクヴレインズに戻ってきたソウルバーナーこと尊…彼は知っている、このリンクヴレインズには──自分の信念を貫き通した戦士達がいる事を────
しかし…どんな世界でも、新たな
【ヒャッハー!!カモがいるぜぇ!!】
【囲め囲めぇ!!】
【ここはネオ・ハノイの縄張りだぁ!!】
「きゃっ…!?」
『ちいっ!?ハノイの騎士の
Dボードで空中散歩を楽しんでいた尊達が黒い衣装のデュエリスト達に囲まれてしまう。
それは『ハノイの騎士』を騙る、悪質なハッカー達だった…!
「(っ…綺久を守りながらじゃ、ちょっと厳しいか…!?どうする…!!)」
リンクヴレインズ初心者の幼馴染を守りながら戦う方法を考える尊…その時────
「「「into the VRAINS!!」」」
リンクヴレインズに一陣の風が吹き抜ける。
「ソウルバーナーさん!大丈夫ですか!?」
「ロマンと草薙さんがきみ達が危ないって知らせてくれたんだ!!」
「Yu-Z!マシュ!」
尊を守るように3人の決闘者達が現れる。
それは黒と緑の鎧を纏う、碧眼のデュエリスト・Yu-Z…さらに、西洋の女性騎士を思わせる暗紫色の鎧を纏う桃色の瞳のデュエリスト・マシュ…そして───
「お前達がハノイの騎士の名を騙り、人々を苦しめるのなら───オレは必ず、お前達の前に現れる!!」
【【【き、貴様は!?】】】
「───待ってたぜ!!」
「ソウルバーナー!ここはオレ達に任せろ!!」
復讐を終えた彼もまたリンクヴレインズに舞い戻る…自分が憧れた
『尊、あの人が…!!』
「ああ、そうさ!あいつが、リンクヴレインズで一番かっこいいヒーロー!その名は───」
「オレの名は──Playmaker!!」
これは、誰かと繋がる為の物語
どこまでも続くネットワーク…その中で新たな縁が紡がれる
その先に、誰とでも手を取り合える世界があると信じて───
《────あ、れ……俺、は……?》
『ようやくお目覚めか?ずいぶんとよく寝るAIだな、
《あんた……ラプラス…?なんで…?俺は、遊作に見送られて───》
『お前の
《ロマンが…?俺、あいつに…遊嗣達にも、ひどい事したのに………》
『ああ、だから
《アンタには、わからねぇよ……AIの、俺の
『失礼な…お前の前にいるオレが何をしたと思ってる?オレは───
《えっ───》
『オレは
《ラプラス…アンタって、一体……》
『さてと……目が覚めたんならキリキリ働いてもらうぞ?とりあえず───遊嗣とマシュを傷付けた罪を償うまで、休みがあると思うな』
《ヒエッ…!!!?》
改めましてこんにちは!S,Kです!
先に本編完結、という形で遊海達の物語を終わらせてはいましたが──今回、無事に『VRAINSの物語』を書き切る事ができました。
本当は…ここを『最終章』とした方がいいのかな?とも思ったのですが……物語の内容的に『白波家の物語ではない』という判断で、このような形で執筆させていただきました。
さて、ここから先はどうしようかな……あまり長々と物語を続けてしまうと「完結したんじゃなかったの!?」とツッコミを入れられてしまいそうですが(笑)
…もう少し、遊嗣とマシュの『日常』とか…VRAINSの人物達の事とか書いてもいいのかな…?
とりあえず──私がいけるところまで、行ってみます!