転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
今回は三日程で退院?できた、ついでに目覚めた時点で決闘から二日が経っていた。
精霊の力も元に戻り万全な状態になっている、そしてこれから守護者の慰労会兼俺達二人の説明会である…さてどこからどこまで話そうか…。
『にゃ~お…』
「ん?ファラオ…どうした?」
部屋にいた俺のところにファラオがすり寄って来た…大徳寺先生がいなくなって寂しいのかな…?
「ほれ…ファラオどうした?」
喉元に手を添えてファラオをくすぐる…
『ゴロゴロ…ニャ~ン!』ポン!
「へっ!?」
ファラオの口から光る玉が飛び出した!
《…久しぶりだにゃ遊海君!》
「大徳寺先生!?」
光る玉は人型を成す、それは大徳寺先生だった
《いや~参ったにゃ…大人しく成仏しようとしたらファラオに飲み込まれちゃって…》
「地縛霊ならぬ猫縛霊ですか、先生…」
《あははは…はぁ…》
大徳寺先生は肩を落とす
「ドンマイです…これからどうするんですか?成仏したいならさせますけど…?」
《いや…まだいいにゃ、しばらくは十代を見守ることにするにゃ!》
「そうですか…なにかあったら言ってくださいね?」
《ありがとう遊海君…それから…》
「なんですか?」
《…卑怯な手を使って…ごめんなのにゃ…うわ!?》
『にゃ~お!』ゴクン
大徳寺先生の魂は再び飲み込まれた…
「…気にしないでください、大徳寺先生…これからは頼みますよ!」
『ニャ~オ!』
「みんな~用意はいいか!!」
「「「オーケー!!」」」
「…じゃあ…校長、お願いします!」
「うむ…では、三幻魔防衛の慰労会を始めます…乾杯!」
「「「「カンパ~イ!!(ナノーネ!)」」」」
レッド寮の食堂に皆が集まり慰労会が始まった、もちろん全員お茶かジュースである。
メンバーは校長、クロノス先生、俺、翠、、十代、万丈目、明日香、吹雪、カイザー、三沢、翔、隼人の12人とファラオ、そして精霊達である。
「は~い!みんな、たくさん食べてね!」
「ありがとうございます翠さん!」
「このパスタおいしいノ~ネ!」
「バクバクバク…!」
「アニキ…もうちょっと落ち着いて…」
「ふぁふぇ、ふぉひひぃふはふぉふ!」
「何言ってるかわからないんだな~…」
「カイザー、食べてるか?」
「ええ、さすが翠さん…旨いです!」
「ならよかった!」
「遊海君…君は話すつもりなのか…あの事を…」
鮫島校長が話かけてくる
「ええ、彼らならば簡単には言いふらさないでしょう…」
「しかし相当驚くと思うぞ…君達が一度死んでいるなんて聞いたら…」
「まぁ、大丈夫ですよ…」
「先生…そろそろ聞いていいかあの事!」
料理を食べ終えた十代が話かけてくる
「十代…なんの事?」
明日香が反応する
「影丸理事長が言っていた『転生者』についてナノーネ…!」
クロノス先生が補足する
「ああ…あの爺さん、そんな事を遊海先生に言ってたな…そういえばどういう意味だ?」
万丈目が三沢に聞く
「転生とは…死んだ人が記憶を持ったまま新しい肉体を得る事だったと思うが…まさか…」
三沢は言葉に出して気づいたようだ
「…」
カイザーは黙っている…
「ああ、三沢君正解だ…俺と翠は…一度死を経験している…!」
「「「「はぁっ!?」」」」
そして俺は皆に説明する、普通に生きていたら神様による事故で死んだ事。
神様によってこの世界に転生して、同じ境遇で死んだ翠と再会した事。
そして…決闘王である遊戯の仲間である事を…
「そんな事…ありえるのかよ…」
万丈目が信じられないという目で見てくる
「そうなノーネ!死んだ後の生なんて…普通はありえないノ~ネ!!」
「しかし…それで説明は通る」
「お兄さん?」
「遊海先生の異常な強さ…その源を…」
「ああ、異世界におけるデュエルモンスター…それが遊海先生の強さだ…」
三沢が分析した事を伝える
「…死ぬ時…辛くなかったですか…?」
明日香が尋ねてくる…
「ああ…痛みは一瞬だった、でも親を残して死ぬのは…辛かったよ…」
父さん…母さん…どうしてるかな…
「でも…翠と再会できただけ…よかったかな…」
「遊海先生…」
「遊海先生…ちょっといいか?」
宴会が終わった後十代が話かけてくる
「どうした?」
「先生…このカードなんだけど…」
十代が渡してきたのは「賢者の石ーサバティエルー」だった、効果テキストは書かれていない…
「大徳寺先生が俺に託したんだ…本当はこれで三幻魔を倒せ…って事だと思ったんだけど…」
「俺が倒しちゃったから、使いどころを失ったと…」
「ああ…そうなんだ…」
サバティエル…アニメで力を発揮したチートカード、ハネクリボーの破壊がトリガーとなり手札に加わり3回の奇跡を起こした後、真の力を発動…エリクシーラーの攻撃力を14500まで上げてフィニッシャーとなった「究極の錬金術師が使いこなせるカード」…
「十代…このカードはお前が持っているんだ、きっと役に立つ時が来る…ただし」
「ただし?」
「このカードは一度効果を使いきれば消えてしまう…そういうカードだ、使いどころは気をつけろよ?」
「ああ!ありがとう先生!おやすみ!」
十代は部屋に戻っていった…
…さてこれで1年目は一段落だな…セブンスターズを撃退し、三幻魔も封印した…次は破滅の光か…
《マスター…大丈夫ですか?》
アヤカが話かけてくる
「ああ、力も戻って安定した…これなら次も頑張れる…」
《いえ…体ではなく精神的にです、あの決闘の時のマスターは異常でした…》
「…大丈夫だよアヤカ…、俺はそこまで軟なメンタルじゃないからな…」
《マスター…》
ピリリリ…ピリリ…
「電話か…誰だろうこんな時間に…はい!」
『ミスター白波!久しぶりデース!』
「ペガサス会長!?どうしたんですか!?」
電話はペガサス会長からだった、何故番号知ってるし!?
『ミスター海馬から番号を聞いてコールシマシタ!』
「ご用件は…?」
『アカデミアに「ハヤト マエダ」というスチューデントがいますね?』
「はい…彼がどうかしましたか?」
『彼の書くイラストは素晴らしくワンダフルデース!彼を我が社のイラストレーターとして迎えたいのデース!』
「本当ですか!?それは本人も願ってもない事だと思います!」
隼人は他人と競う事が苦手で留年していた、最近は十代と触れ合う中で意欲を取り戻していた。
『プロフェッサー鮫島宛に彼のイラストのカードを送りまシタ!彼に渡してくサーイ!グットナイト!』
プッ
「そうか…そんな時期か…」
その後、クロノス先生と隼人の夢を賭けた決闘が行われた、結果隼人は負けたがその心意気を認められI2社へ向かっていった。
そして卒業デュエル、卒業生代表のカイザーと在校生代表の十代のデュエル、二人の魂を燃やす激しい決闘…途中十代が飯を食べるという珍事もあったが決闘は続き、最終的には攻撃力20900のシャイニングフレアウィングマン対36900のサイバーエンドの戦い、そして「決戦融合」の効果で引き分けとなる、という結末になった。
二人の結末を見届けた生徒達はスタンディングオベーションで拍手を送ったのだった…。
「…卒業か…。」
「どうした、カイザー?こんな夜に」
「!?遊海先生…!」
卒業デュエルの日の夜、デュエルリングにカイザーを見かけた俺は彼に話かけた。
「珍しいな、お前が夜に灯台ではなくココにいるなんて…」
「少し昼間の余韻に浸っていたんです、あの十代とのデュエルの…」
「そうか…、進路はプロだったな?」
「はい、スポンサーも決まり9月からのプロリーグに参加する予定です、しかし少し不安もあります…」
「不安?」
「オレはアカデミアで『皇帝』と呼ばれた男です…その実力がプロで通じるのか…楽しみであり不安を感じるんです…!」
「なら…俺と決闘するか?プロランキング5位である白波 遊海と…!」
「…ええ…受けて立ちます!貴方という壁を…オレは越えてみせる!」
「越えられるなら越えてみろ!俺を!」
「「デュエル!!」」
カイザー亮LP 4000
遊海LP 4000
「オレのターン!ドロー!」
「『サイバー・フェニックス』を召喚!」
機械の不死鳥が現れる DEF1600
「さらに『融合』を発動!手札の『サイバー・ドラゴン』三体を融合!現われろ!『サイバー・エンド・ドラゴン』!」
三つ首の機械龍が現れる ATK4000
「カードを1枚伏せてターンエンド!」
カイザーLP4000
サイバーエンド フェニックス 伏せ1 手札0
「伏せカードは『リミッター解除』…攻撃力ならば超えられる事はない…仮に倒されても『フェニックス』のドローカードでリカバリーは可能だ…!」
「俺のターン!ドロー!俺は手札の『守護神官マハード』の効果を発動!このカードを特殊召喚!」
「なんだと!?」
エジプトの神官が杖を構え現れる ATK2500
「さらに手札から魔法カード『黒の魔導陣』を発動!効果処理としてデッキを三枚めくり『ブラック・マジシャン』のカード名が記されたカードを相手に見せて手札に加えられる…対象無し…めくったカードは好きな順番でデッキ上に戻す!(ティマイオスなんて使えるか!?)」
「そして手札を一枚捨て『幻想の見習い魔道師』を特殊召喚!効果で『ブラックマジシャン』を手札に!」
褐色肌の魔法使いが現れる DEF1700
「そして手札より魔法カード『黒のヴェール』を発動!ライフを1000払い墓地から復活せよ!最上級魔術師!『ブラック・マジシャン』!!」
フィールドに魔法陣が刻まれその中から紫の衣を纏った魔法使いが現れる ATK2500
「っ!?決闘王が愛用する最強の魔術師…!再び目にできるとは…しかし攻撃力では『サイバー・エンド』には及ばない!」
「焦るなよ亮!『黒の魔導陣』のさらなる効果!『ブラック・マジシャン』が場に出た時、相手のカードを一枚除外する!『サイバー・エンド』を除外!」
「なんだと!?」
魔法陣がサイバーエンドを包み異次元へ消し去る
「バトル!『マハード』で『フェニックス』を攻撃!」
《魔導波!!》
神官の一撃が不死鳥を破壊する
「くっ!?『フェニックス』の効果により1ドロー!」
「『ブラックマジシャン』でダイレクトアタック!『黒魔導!』」
《ハアッ!》
魔法使いの魔力弾がカイザーに直撃する
「ぐおおっ!?」
カイザーLP4000→1500
「カードを伏せてターンエンド!」
遊海LP4000
ブラックマジシャン マハード 見習い 伏せ1 魔導陣 手札1
「これが伝説の決闘者、白波 遊海の実力…!」
「どうしたカイザー亮?その程度か?」
「まだだ!俺のターン!ドロー!」
「『強欲な壺』を発動2ドロー!」
「そして『サイバネティック・フュージョン・サポート』を発動!ライフを半分払い融合素材を手札・フィールド・墓地から除外し融合できる!」
カイザー1500→750
「『パワーボンド』を発動!墓地の『サイバードラゴン』3体を除外し!再び現われろ!『サイバー・エンド・ドラゴン』!」
再び機械龍が現れる、しかしその体は倍近く大きくなっている ATK4000→8000
「バトルだ!『サイバーエンド』で『ブラックマジシャン』を攻撃!『エターナル・エボリューション・バースト』!!さらにリバースカード!速攻魔法『リミッター解除』を発動!機械族の攻撃力を倍にする!」
サイバーエンドの攻撃力がさらに上がりブラックマジシャンをめがけて発射される
ATK8000→16000
「リバースカード発動!『マジシャンズ・ナビゲート』!効果により手札から『ブラックマジシャン』をその後デッキから『マジシャンオブブラックイリュージョン』を特殊召喚!」
虚空の穴から黒き魔法使いとその影が現れる。
ATK2500
DEF2500
「そして『魔導陣』の効果が起動!『サイバーエンド』を除外する!」
「しまった!!」
サイバーエンドは再び魔法陣により除外される
「…『サイバージラフ』を召喚!このモンスターを生け贄にする事で、エンドフェイズまで効果ダメージを0にする、ターンエンド…!」
カイザーは歯を食い縛りながら機械の麒麟を召喚・リリースしターンを終えた。
カイザーLP750
「まさか…ここまで躱されるとは…!」
「カイザー亮!見事な攻撃だった!しかしまだ足りない!俺のターン!ドロー!」
「お前の力に免じてこのデッキの最強を見せよう!手札から『円融魔術』を発動!俺のフィールドの5体の魔法使い族を除外し、融合を行う!5体の魔術師よ!その魂の音色を重ねよ!融合召喚!『クインテット・マジシャン』!」
遊海のフィールドに魔術師の極地たる存在が降臨する ATK4500
「攻撃力…4500の魔術師…!?」
「バトル!『クインテットマジシャン』でダイレクトアタック!『
魔術師の魔法陣が輝き魔力弾が放たれカイザーに直撃した…
カイザーLP0
遊海 WIN!
「カイザー…立てるか?」
俺は倒れている亮に話しかける…その顔は晴れ晴れとしていた
「これが…プロ…なんと遠い世界なんだ…!」
「カイザー…悲観する事は無い、今のはランキング1位レベルのデッキだ、今のお前のコンボは凄まじいモノだった…しかしそれでも越えられないモノもある、それを見極めて精進するがいい」
「ありがとうございました、遊海先生…オレの道が少し見えた気がする…!」
「ならよかった、しっかり休めよ!」
そうして俺はその場を離れるのだっだった。
そうしてカイザーは卒業していった…、ヘルカイザーはどうなるのだろうか…。
そしてアカデミアの夏休み前、最後の日…
Prrr…Prrr…
「電話だ…はい…」
『遊海!貴様何をやっている!!』
「うえっ!?海馬社長?どうしたんですか!?」
『どうしたもこうしたもない!貴様プロリーグはどうした!ここ暫く対戦記録がないではないか!!』
「それは…三幻魔の防衛で忙しくて…」
『言い訳はいい!このままではランキングが下がる!次の大会に出場しろ!これはスポンサー命令だ!いいな?』ガチャ
「…久々に出るかぁ…」
俺は海馬コーポレーションがスポンサーとなりプロを続けている、確かにここ一年はプロに顔出してなかったな…。
…正直アカデミアを離れたくはないが…海馬社長の指令だからな…
「と言う訳でプロリーグに出る事になった!」
「海馬さんも無茶を言いますね…いつからなんですか?」
「それが…9月からなんだ…」
「えっ…!」
「よりによって新学期からなんだよ…」
エドや斎王が来る時に居られないとは…トフェニがいるから何かあったら戻れるけど…心配だな…
「翠、俺がいない時は斎王に会わないように気をつけてくれ!」
「わかりました…少なくとも一人で会わないようにします!」
「ああ…気をつけてくれ…」
そうしてアカデミアの一年は過ぎ去った、そして光との戦いである二年目に突入する…。