転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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こんにちは!S,Kです!

思っていたよりも早く書き上げる事ができて自分でも驚いていたり。

異世界交流戦、最後を飾るのはリンクヴレインズの英雄・藤木遊作…彼が挑むのは…?


それでは、最新話をどうぞ!


時空を越えた交流〜エンタメの申し子〜

「財前さんお疲れ様!柚子さん、強かったね…」

 

「歌合戦のような華々しい、楽しいデュエルでした!」

 

「白波君、マシュさん…ありがとう!すごく勉強になるデュエルだったわ!」

交流デュエルが決着し葵と柚子が見学室へと戻ってくる…そんな彼女達を最初に出迎えたのは遊嗣とマシュ…彼らの言葉を聞いた葵は明るく笑っている。

 

 

「財前、少し引きが悪かったな…『トリックスター・リンカーネイション』を引き当てていれば、デュエルはまた違う形になっていただろう…だが、いいデュエルだった」

 

「藤木君…ありがとう」

そして、いつも通りのぶっきらぼうな様子で遊作も葵に声をかける…しかし、その言葉はいつもより温かみがあるようだった。

 

 

 

『お疲れ柚子!流石はペンデュラム次元No.1の女性デュエリスト!でも、もう少し手心を加えてあげてもよかったんじゃない?』

 

「遊矢…手加減する余裕なんてなかったわ、あのままターンを渡してたら、私の負けだったかも…遊海さん達の世界のデュエルもすごく進化してる…!私もいい経験になった!」

 

『へぇ〜…あのストロング柚子にそこまで──』

 

「いつまでそのネタ引っ張るつもりよ!!」スッパーン☆

 

あいッたぁっ!?!

 

「……遊矢も僕達の事言えないよね」

 

《フォウ、フォ〜ウ(遊矢と柚子も相変わらずだねぇ…)》

 

「「「「(その巨大ハリセンはどこから出したの???)」」」」

そして、遊矢も柚子の事を出迎えた…のだが、余計な一言のせいで特大ハリセンの餌食となっている。

なお、その夫婦漫才の様子を見た遊希とフォウは苦笑しているのであった。

 

 

 

 

 

「さてと、これで残すは遊作君の相手なわけだが…まぁ、それは()()()()()()()───遊矢」

 

『もちろん!遊作の相手はオレがさせてもらうよ!』

 

「よろしくお願いします、遊矢さん」

 

 

「藤木さんと榊遊矢さんのデュエル…!」

 

「どんなデュエルになるんだろう…!?」

異世界交流戦、その最後を飾るのは遊作…その対戦相手はARC次元をエンタメの力で救った英雄の1人、榊遊矢だった。

その組み合わせを聞いたマシュや遊嗣はわくわくとした様子だった。

 

 

 

 

 

『遊作、キミの事は遊海から聞かせてもらったよ……DENCityでの戦い、キミは自分達を傷付けた犯人や元凶への復讐の為にデュエルをしていたらしいね』

 

「………はい」

デュエルフィールドで向かい合う2人…そして、遊矢は静かに遊作へと語りかける。

 

 

『キミが歩む事になってしまった()()()…そのつらさを推し量る事は、オレにはできない……けど、キミは自分で復讐を乗り越え…強大な敵と戦い、世界の平和を勝ち取った…それはすごい事だ…よく頑張った』

 

「────ありがとう、ございます」

遊矢が遊作へと贈ったのは…一連の事件を乗り越えた遊作への称賛の言葉……それを聞いた遊作からは思わず感謝の言葉が漏れた。

 

 

『──さて!湿っぽいのはここまで!!オレのモットーは「デュエルで笑顔を!」…遊作、()()()()()()()をしよう!何も気負わなくていい…このデュエルはキミにデュエルモンスターズの()()()を思い出してもらう為のデュエルだ!』

 

「デュエルの、楽しさ…」

そして…遊作の様子を見た遊矢が空気を切り替えるように明るく声を上げる。

 

 

『ロスト事件』を引き起こしたハノイの騎士への復讐

 

人類の支配を企んだ光のイグニス・ライトニングとボーマン

 

そして…遊作の未来を守ろうとしたAiオルタ

 

思い返せば遊作のデュエルは苦しく、悲しいデュエルがほとんどだった…デュエルを楽しむ、という考えを持つ余裕もないほどに…。

 

 

しかし、遊作は自分の運命へと立ち向かい、乗り越えてみせた。

 

 

ならば───本当の意味で未来へと進む為、彼には取り戻さなければならないモノがある!

 

 

『アクションフィールド・オン!フィールド魔法「エンタメ・コロッセオ」発動!!』

遊矢の宣言と共にリアルソリッドビジョンの投影機が唸りを上げる…そして広がるのは空中ブランコやトランポリン、人間大砲が設置された巨大なサーカステント…そして───

 

 

「これは、姿が…」

 

《遊作君、いや…P()l()a()y()m()a()k()e()r()!きみもその姿の方が調子が出るだろう?》

 

「ロマン…」

リアルソリッドビジョンを纏った遊作の姿が変わる…リンクヴレインズを救いし英雄──Playmakerへと!

 

 

『おおっ…かっこいいじゃん!!じゃあ、オレも戦いやすい服装に〜〜早着替え!!』パチン!

さらに、遊作の変身を見た遊矢が指を鳴らし、タキシードを広げる…するとその服装は父親譲りの赤いタキシードから…ゴーグルを頭に掛け、首元には水色のペンデュラムのペンダントが輝き、白いジャケットを肩へと羽織ったTシャツ・カーゴパンツのラフな姿へと変わっていた!

 

 

『ん〜!!やっぱし、堅っ苦しいのは合ってないかなぁ…まぁ、それは置いといて!デュエルだ!遊作…いや、プレイメーカー!!』

 

「受けて立ちます、遊矢さん!」

軽く伸びをした遊矢がデュエルディスクを構え…遊作もそれに応じる!

 

 

 

 

『戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!』

 

 

「モンスターと共に地を駆け、宙を舞い!」

 

 

『フィールド内を駆け巡る!!』

 

 

『見よ!これぞデュエルの最強進化系!!アクショーン!!』

 

 

「『デュエル!!』」

お決まりの口上と共にアクションカードがフィールドへと散らばる…そして、稀代のエンタメデュエリストと電脳世界のヒーローの戦いの幕が上がった!

 

 

 

遊作 LP4000

遊矢 LP4000

 

 

 

アクションデュエル フィールド魔法『エンタメ・コロッセオ』発動中

・アクションカードは手札に1枚しか加えられない。

 

 

変則ルール発動中

 

 

遊作側

 

・マスタールール(新)発動中

EXモンスターゾーンを一枠使用可能

魔法・罠ゾーンの右端・左端をペンデュラムゾーン兼用化

 

 

遊矢側

 

・マスター・ルール(ARC-V)発動中

EXモンスターゾーン使用不可

ペンデュラムゾーン使用可能

ペンデュラム召喚時の召喚条件緩和

 

 

 

 

 

「オレのターン!!」

「オレは永続魔法『サイバネット・コーデック』を発動!そして、自分フィールドにモンスターが存在しない時、手札の『リンクスレイヤー』は特殊召喚できる!」

両手に光の刃を持つ獅子の戦士が現れる! ATK2000

 

 

「『ドラコネット』を通常召喚!」

電波のような模様を持つ小さなドラゴンが現れる! ATK1400

 

「さらに、自分がサイバース族モンスターの召喚に成功した時!手札の『ブート・スタッガード』は特殊召喚できる!」

鹿の角を持つ電脳の獣人が現れる! ATK2300

 

 

「そして『ドラコネット』の効果発動!召喚に成功した時、手札またはデッキからレベル2以下のサイバース族・通常モンスターを特殊召喚できる!オレはデッキから『ビットロン』を特殊召喚!」

白い羽のような部品を持つ電子の妖精が現れる! DEF2000

 

 

「現れろ!未来を導くサーキット!!」

 

『おっ…!来るか!』

遊作の頭上に8つの矢印を持つ四角形の魔法陣──サーキットが展開する!

 

 

「召喚条件は効果モンスター2体以上!オレは『リンクスレイヤー』『ドラコネット』『ブート・スタッガード』をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!!リンク召喚!!現れろ!Link-3!『デコード・トーカー』!!」

3体のモンスターが魔法陣に刻まれた魔法陣へと飛び込む、そして…遊作のエースモンスター、電脳世界の未来を切り開いた剣士が現れる! ATK2300 ↙↑↘

 

 

『おー!メカニカルでかっこいい!!それがキミのエースか!』

 

「ああ、だけどまだ終わりじゃない!永続魔法『サイバネット・コーデック』の効果発動!『コード・トーカー』リンクモンスターがEXデッキからリンク召喚された時、デッキから同じ属性のサイバース族モンスター1体を手札に加える事ができる!オレは闇属性の『テンプレート・スキッパー』を手札に加える!そして、再び現れろ!未来を導くサーキット!!召喚条件はレベル1モンスター1体!オレは『ビットロン』をリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!リンク召喚!!現れろ!Link-1『リンクリボー』!!」

 

《クリクリンクー!》

さらに、丸っこいボディの電脳世界のクリボーが現れる! ATK300 ↓

 

「さらに『テンプレート・スキッパー』は自分フィールドのリンクモンスターのリンク先に特殊召喚できる!」

そして、赤い光のラインが奔るトビハゼの幼体が現れる! DEF0

 

 

『リンクモンスターの矢印、リンク先にモンスターが2体…!』

 

「『デコード・トーカー』は自身のリンク先のモンスター1体につき、攻撃力が500アップする!パワー・インテグレーション!!」

リンク先のモンスター達との繋がりが剣士に力を与える!

 

デコード・トーカー ATK2300→3300

 

 

『これがリンク召喚、リンクモンスターの力か…!すごい展開力だ!』

 

「ありがとうございます…オレはカードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊作LP4000

デコード・トーカー リンクリボー テンプレートスキッパー サイバネット・コーデック 伏せ1 手札0

 

 

 

P□□□□□P

 □□□□□

  デ ×

 リ□テ□□

 □□■□□

 

 

 

 

「ほう…記録としては知っていたが、なかなかのプレイングだ…さらなる展開もできたが、遊矢の出方を見る為に最低限で留めたようだな」

油断なく、万全の体勢を整える遊作の姿を見た海馬が彼のプレイングを分析する。

 

 

「流石、遊作君…!攻防一体の万全の構えだ…」

 

「遊矢さんはどんな風に戦うんでしょうか…!」

 

「ふふっ、そんなに肩に力をいれないで?遊矢のデュエルは自分も、相手も…お客さんやモンスター達も楽しませるものなんだから!」

 

遊矢のターンを前に思わず力が入ってしまう遊嗣とマシュ…そんな彼らの様子を見た柚子は苦笑しながら遊矢のエンタメについて語った。

 

 

 

『用意はバッチリって感じかな?じゃあ次はオレの番!ARC次元で生まれたペンデュラム召喚、その元祖として…全力でいくよ!』

 

 

 

『オレのターン!ドロー!!』

『オレは手札からスケール1の「EMモンキーボード」とスケール8の「EMクラシックリボー」をペンデュラムスケールにセッティング!!』

 

「いきなりか…!」

遊矢の背後に光の柱が立ち上がり、その中に歯がピアノになった猿とクラシックの指揮者のような装いの毛玉が浮かび上がる!

 

 

PENDULUM

 

 

『そして「モンキーボード」のペンデュラム効果発動!このカードをペンデュラムゾーンに発動したメインフェイズ、オレはデッキからレベル4以下の「EM」モンスター1体を手札に加えられる!オレはレベル3の「EMレディアンジュ」を手札に加える!さらに「レディアンジュ」の効果!手札のこのカードと「EMスプリングース」を墓地に送る事で2枚ドロー!……うん、いい感じ!』

 

「ペンデュラム効果…遊海さんの時もそうだが、効果が多彩すぎるな…!」

順調なプレイングを続ける遊矢の姿を見た遊作が呟く…ペンデュラムカードとは実質的に2種類目の『永続魔法』とも言える。

サーチに妨害、手札補充…自分達の戦う世界にはない戦略が遊作を圧倒する…!

 

 

『さぁ、お待たせしました!これでオレはレベル2から7のモンスターを同時に召喚可能!!揺れろ…魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!!』

 

「っ…これは────」

遊矢の頭上で神秘的な輝きを放つ水色のペンデュラムが揺れ動く…右から左へ、左から右へ───揺れ動く振り子は次第に円を描くように軌跡を描き出す。

 

遊海や遊嗣と似た…しかし、初めて目の当たりにする神秘的な光景に遊作は目を奪われる…!

 

 

『ペンデュラム召喚!!現れろ!オレのモンスター達!!手札からレベル2!「EMソードフィッシュ」!レベル4!「EMセカンドンキー」!レベル5!「星読みの魔術師─ホロスコープ・マジシャン」!そして、本日の主役!雄々しくも美しく輝く二色の眼!レベル7!「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」!!』

天空に描かれた光の扉から4つの光が飛び出す…そしてリーゼントを持つ魚、星マークの鞍を背負ったロバ、輝きを増した星辰を見定める魔術師…さらに、遊矢のエースモンスターたる赤と青の瞳を持つ赤きドラゴンが現れる!! DEF600 DEF2000 DEF2400 ATK2500

 

 

《ギュアアアン!!》

 

「モンスター4体の同時召喚…!しかも、この威圧感は…!!」

遊矢のフィールドに並ぶ4体のモンスター達…遊作はその中でもオッドアイズから強い()()を感じ取る…。

 

遊嗣の扱うオッドアイズ…四天の龍達は遊海が用意し、そこに遊矢やユート達の力を分けてもらった()()のようなモノ…今、遊作の目の前にいるオッドアイズこそ──歴戦の猛者たるオリジナルなのだ。

 

 

 

「オッドアイズ……そうか、きみは…今も遊矢と一緒に、みんなの笑顔の為に戦っているんだね…」

 

「遊嗣さん…」

デュエルを見ていた遊嗣の目からポロポロと涙が溢れる…。

それは遊嗣の中に宿るズァークの記憶…最初の()()だった彼の活躍への嬉し涙だった。

そんな感傷に浸る遊嗣にマシュは静かに寄り添っていた…。

 

 

 

『いくよ!プレイメーカー!まずは「ホロスコープマジシャン」の効果発動!このモンスターが特殊召喚に成功した時!デッキから攻撃力2500のペンデュラムモンスター、「EMラフメイカー」を手札に加える!さらに「セカンドンキー」の効果!召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから「EM」モンスター1体を墓地に送る…ただし、ペンデュラムゾーンにカードが2枚揃っている時!そのカードを手札に加える事ができる!オレは「EMジェントルード」を手札に加える!そして「ソードフィッシュ」の効果!このモンスターが特殊召喚に成功した時、相手フィールド全てのモンスターの攻撃力・守備力を600ダウンさせる!』

 

「っ…!(フィールド全体に及ぶ効果…これは『デコード・トーカー』の効果では防げない…!)」

ペンデュラム召喚による怒涛のコンボが遊作のモンスター達を弱体化させる!

 

 

デコード・トーカー ATK3300→2700

 

リンクリボー ATK300→0

 

 

 

「(っ…何をしてくるのか、読めない…!まるで…まるで、台本のないショーステージを見ているような──)」

遊作は今まで、数多のデュエリストと対峙してきた。

…だが、本当に久しぶりだったのだ───自分への敵意や、害意もなく…功名心や嫉妬も抱かない……本当の意味で()()()()()()()()()()()デュエリストと戦うのは───

 

 

『さらに!「ホロスコープマジシャン」の2つ目の効果発動!ペンデュラムスケールの「モンキーボード」を破壊!そして、EXデッキに表側で存在するペンデュラムモンスター1体を手札に加える…それによって破壊した「モンキーボード」を手札に戻す!』

 

「サーチカードを手札に戻した…しかし、アンタのフィールドのモンスターの攻撃力はまだ『デコード・トーカー』には及ばない」

 

『焦らない、焦らない!お楽しみはこれからだ!!オレは魔法カード「融合」を発動!オレは「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」と魔法使い族の「ホロスコープマジシャン」を融合!!』

 

「っ…融合召喚!!」

不敵な笑みを見せた遊矢…彼の発動した「融合」の渦に2体のモンスターが飛び込む!!

 

 

『神秘の力を修める者よ!眩き光となりて龍の眼に今宿らん!融合召喚!出でよ!秘術振るいし魔天の龍!!「ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」!!』

融合の渦から魔術の力を右眼に宿し、円環を背負うドラゴンが現れる! ATK3000

 

 

「攻撃力、3000…!」

 

『レベル5以上の魔法使い族モンスターを融合素材とした「ルーンアイズ」は3回まで相手モンスターに攻撃できる!!バトルだ!「ルーンアイズ」で「デコードトーカー」を攻撃!シャイニー・バースト!!』

ルーンアイズの背中の円環に3つの光が灯る…そして、その中の1つが弾け…眩き光が剣士へと襲いかかる!

 

 

「っ…『リンクリボー』の効果発動!相手モンスターの攻撃宣言時、自身をリリースすることでターン終了時までそのモンスターの攻撃力を0にする!」

 

『残念!ペンデュラム召喚されたモンスターを融合素材とした「ルーンアイズ」はこのターンの終わりまで相手の効果を受けない!!』

 

「なにっ!?くうっ…!!」

 

《クリ〜!?》

最初のピンチを前に遊作を守るべく盾になろうとしたリンクリボー…だが、魔術の結界によって弾かれデコードトーカーは爆散してしまう!

 

遊作LP4000→3700

 

 

『続けて「テンプレートスキッパー」を攻撃!連撃のシャイニー・バースト!!』

 

「(っ…ここは、一か八か…!)」

再び放たれる魔術の光…それを見た遊作はバックステップで近くにあったアクションカードへと手を伸ばす!

 

 

「っ…!アクションマジック『不撓不屈』!!自分フィールドのモンスターが1体のみの時、そのモンスターはこのターン終了時まで戦闘では破壊されない!!」

 

『おっ!いいカードを引き当てたな!』

遊作の引き当てたアクションマジックによって『テンプレートスキッパー』は『ルーンアイズ』の攻撃を耐え忍ぶ!!

 

 

『それじゃ、オレはこれでターンエンド!』

 

遊矢LP4000

ルーンアイズ セカンドンキー ソードフィッシュ (P クラシックリボー) 手札3

 

 

 

 

 

「遊矢さん、すごい…!藤木さんを一気に追い詰めて…!?」

 

「アクションデュエルじゃなかったら、押し込まれてた…!!」

リンクヴレインズの戦いにおいてリボルバーやボーマンとの相討ち、引き分けを除けば()()の戦績を誇る遊作を圧倒する遊矢…そのプレイングを見た遊嗣やマシュは思わず目を丸くする…。

 

 

「アクションカードに助けられたし、遊矢もまだ()()()してるなぁ…まぁ、本当の意味での()()は出せなからな」

 

「……そうか…今の遊矢は、オッドアイズしか四天の龍を持ってない…今の遊矢はエンタメデュエリストとして、遊作君と向かい合ってるんだ…!」

そんな様子を見た遊海が遊矢の手加減を明かす…榊遊矢とはズァークの善の心を受け継ぐ者───その真価は『四天の龍』を揃えてこそ発揮される。

今の遊矢は『エンタメの申し子』として遊作とのデュエルに臨んでいるのだ。

 

 

 

『やるな!プレイメーカー!しっかりとアクションカードを使い熟せてる、さぁ…次はキミの番だ!キミのデュエルを──キミのエンタメを見せてくれ!』

 

「エンタメ…誰かを楽しませる、そんな事は考えた事もなかった……オレは、自分のできる事をするだけだ!」

明るく遊作へと声をかける遊矢…その言葉に遊作はしっかりと前を向く…!

 

 

 

「オレのターン!ドロー!!」

「罠カード発動!『リコーデッド・アライブ』!このカードは自分フィールド・墓地に存在するLink-3のサイバース族リンクモンスターを除外する事で、EXデッキからLink-3の『コード・トーカー』リンクモンスター1体を特殊召喚する!オレは墓地の『デコード・トーカー』を除外!現れろ!Link-3!『エンコード・トーカー』!!」

 

『なるほど!「ルーンアイズ」の連続攻撃を回避する為に罠カードを温存してたのか…!』

重厚な鎧と盾を構える電脳戦士が現れる! ATK2300↑↓↘

 

 

「永続魔法『サイバネット・コーデック』の効果発動!光属性の『エンコード・トーカー』を特殊召喚した事でデッキから光属性の『バックアップ・セクレタリー』を手札に加える!そして『サイバース・ガジェット』を召喚!!」

ヘルメットをかぶったような小型のロボットが現れる! ATK1400

 

「『サイバース・ガジェット』の効果発動!召喚に成功した時、墓地のレベル2以下のサイバース族モンスターを効果を無効にして特殊召喚できる!墓地の『ビットロン』を特殊召喚!」

再び電子の妖精が現れる! DEF2000

 

 

「現れろ!未来を導くサーキット!召喚条件はサイバース族モンスター2体以上!オレは『サイバース・ガジェット』『ビットロン』『テンプレートスキッパー』をリンクマーカーにセット!リンク召喚!!現れろ!Link-3!『シューティングコード・トーカー』!!」

巨大な弓を持つ電脳戦士が現れる! ATK2300 ←↑↓

 

 

「永続魔法『サイバネット・コーデック』の効果発動!水属性の『シューティングコードトーカー』が特殊召喚に成功した事で、デッキから水属性の『コード・ラジエーター』を手札に加える!そして、フィールドから墓地に送られた『サイバース・ガジェット』の効果発動!『ガジェット・トークン』を特殊召喚!」

サイバース・ガジェットのヘルメットと肩パーツが合体したドローンが現れる! DEE0

 

 

「さらに、手札の『バックアップ・セクレタリー』は自分フィールドにサイバース族モンスターが存在する時、特殊召喚できる!」

電脳世界の敏腕秘書が現れる! ATK1200

 

 

「再び現れろ!未来を導くサーキット!召喚条件はサイバース族モンスター2体!オレは『ガジェットトークン』と『バックアップセクレタリー』をリンクマーカーにセット!リンク召喚!現れろ!Link-2!『プロトコル・ガードナー』!」

電脳世界の規律を守るロボットが現れる! ATK1000 ←→

 

 

 

P □□□□□Pク

  ソ□ルセ□

   エ ×

  □プシ□□

  □□■□□

 

 

「バトルフェイズに入る!その時、『シューティングコード・トーカー』の効果発動!『シューティングコード・トーカー』は自分のリンク先のモンスターの数+1回、相手モンスターに攻撃できる!1度目の攻撃!『ソードフィッシュ』を攻撃!シューティング・コンプリート!!」

 

『くっ…!いい判断だ!』

光輝く矢がソードフィッシュを射抜く!

 

 

「2回目の攻撃!『ルーンアイズ』を攻撃!!」

 

『攻撃力の低いモンスターで!?いや…何かあるね!?』

 

「ああ…!この瞬間、『エンコード・トーカー』の効果発動!自身のリンク先のモンスターが自分より攻撃力の高いモンスターに攻撃する時!そのモンスターはその戦闘では破壊されず、オレが受けるダメージも0になる!放て!シューティング・コンプリート!!」

 

『迎え撃て!「ルーンアイズ」!!シャイニー・バースト!!』

魔術の光と光の矢が衝突…空中で虹色の花火のように爆発する!

 

 

 

「そして!その戦闘が終わった後、このターンの終わりまで『エンコードトーカー』自身かリンク先のモンスター1体にバトルした相手モンスターの攻撃力を加える!!」

 

『おおっ…!?攻撃力5300!?』

 

エンコードトーカー ATK2300→5300

 

 

「バトルだ!『エンコードトーカー』で『ルーンアイズ』を攻撃!ファイナル・エンコード!!」

 

『そのまま受けるのは流石にキツいかな!「ルーンアイズ」!!』

 

《ギュアアア!!》

手にした盾から飛び出した刃を構えてルーンアイズへと飛びかかるエンコードトーカー…その寸前、遊矢はルーンアイズの尾を踏み台代わりに跳躍──空中ブランコの足場にあったアクションカードを獲得する!

 

 

「っ…!?なんて身体能力だ…!?」

 

『アクションマジック「ハイダイブ」!「ルーンアイズ」の攻撃力を1000アップする!!』

エンコードトーカーの攻撃をトランポリンで跳躍しながら受け止めるルーンアイズ…しかし、その差を埋める事はできず…両断された!!

 

『っ…ごめんな「ルーンアイズ」…助かった!』

 

ルーンアイズ ATK3000→4000

 

遊矢LP4000→2700

 

 

「ダメージを最小限に抑えられたか…バトルフェイズ終了時、『シューティングコードトーカー』のもう1つの効果発動!このターン、『シューティングコードトーカー』がバトルで破壊したモンスター1体につき1枚ドロー!オレはこれでターンエンド!」

 

遊作LP3700

エンコードトーカー シューティングコードトーカー プロトコルガードナー サイバネットコーデック 手札1→2

 

 

 

P □□□□□Pク

  □□□セ□

   エ ×

  □プシ□□

  □□■□□

 

 

 

 

『ふぅ…ヒヤッとしたぁ…!すごいプレイングだよ、プレイメーカー!』

 

「ありがとうございます…!」

足場の上で冷や汗を拭う遊矢…追い詰められてはいたが、その表情は先ほどまでと変わらず笑顔だった。

 

 

『キミの戦い方を見ていると伝わってくるよ…どんなに追い詰められて、苦しくても…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…キミは、そういう戦いを乗り越えてきたんだって…オレ達もそういう戦いを経験したから分かるんだ』

 

「遊矢さん…」

少し暗い表情を見せる遊矢…それを見た遊作はロマンから聞いた話を思い出す。

 

 

18年前、スタンダード・エクシーズ・シンクロ・融合…4つの次元を巻き込む形で引き起こされた()()()()

 

『戦争』と名がつくほどの激しい戦いを遊矢や遊海達は戦い抜いた……その苛烈さは、自分の想像以上なのだろうと…。

 

 

 

 

『プレイメーカー、いや…遊作!デュエルには勝てる日もあれば、負ける日もある!それでも、負けを恥じず…勝っても驕らず!オレ達と共にあるデュエルを()()()()()()意味がある!オレはそう思うんだ!』

 

「デュエルは、楽しんでこそ…」

『デュエルを楽しむ』…繰り返す遊矢の言葉に遊作は今までのデュエルを思い返す…最後にデュエルを()()()()のはいつの事だったろうかと…。

 

 

 

「──ああ…そうか、()()だったな…ハノイやイグニスなんて関係なく、オレと戦う為にデュエルを挑んできたのは──」

そして、思い至ったのは──暑苦しい、自分への自信に満ち溢れた男の事だった。

 

 

 

『なんだ、キミも楽しいデュエルの思い出があるんじゃないか!じゃあ、もう少しだ!いくよ!プレイメーカー!!』

 

 

 

『オレのターン!ドロー!!──きた!』

『オレはスケール1の「EMモンキーボード」をペンデュラムスケールにセッティング、そしてペンデュラム効果発動!デッキからレベル3の「EMファイア・マフライオ」を手札に加える!そして、墓地の「EMスプリングース」の効果発動!墓地のこのカードを除外し、ペンデュラムゾーンの「モンキーボード」と「クラシックリボー」を手札に戻す!』

 

「ペンデュラムカードを手札に戻した?」

遊矢のフィールドにシルクハットをかぶったガチョウが現れる…そして、羽を必死に羽ばたかせる事で遊矢のペンデュラムゾーンのカードを吹き飛ばした!

 

遊矢 手札4→6

 

『そしてオレはスケール8の「EMジェントルード」をペンデュラムスケールにセッティング!さらに、墓地の「EMレディアンジュ」の効果!自分フィールドに「EMジェントルード」が存在する時、スケール1のこのカードを墓地から自分のペンデュラムゾーンに置く事ができる!』

 

「墓地からペンデュラムカードを…!?」

遊作の驚きと共に、遊作の背後に白いドレスを着た天使の少女とタキシードを着た悪魔の青年の姿が浮かび上がる!

 

 

PENDULUM!!

 

 

『これで、オレはレベル2から7のモンスターを同時に召喚可能!さらに手札の「EMモンキーボード」の効果発動!手札のこのカードを墓地に送り、手札の「EMラフメイカー」を相手に見せる事で、そのカードのレベルを1つ下げる事ができる!』

 

手札 ラフメイカー ☆8→7

 

 

 

レディース&ジェントルマン!!お待たせいたしました!これより、エンタメデュエリスト・榊遊矢…その真骨頂をお見せしましょう!!』

 

「これは…!」

フィールドが暗転し、スポットライトが遊矢の姿を照らし出す。それは榊遊矢から遊作、そしてデュエルを見守る観客達へと向けたショータイムの始まりを告げる代名詞…!

 

 

 

「わぁ…!?」

 

「これが、エンタメデュエル…!」

 

「遊矢…何をするつもりなんだろう…!」

 

「ふっ…ずいぶんと大人っぽい言い方になったなぁ」

 

《フォウフォウ、フォウ!(昔は自分の勝ちが決まった時にしかやらなかったのに、成長したね!)》

暗転したフィールドを見た遊嗣や葵達がわくわくした様子で見守る中、遊海やフォウは遊矢の修行時代を思い出して苦笑していた…。

 

 

『まずは、ショーを彩る仲間達の入場から!再び揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!!現れろ!オレのモンスター達!!まずは手札から!レベル3「EMファイア・マフライオ」!レベル7!「EMラフメイカー」!さらにEXデッキからレベル5!「星読みの魔術師─ホロスコープ・マジシャン」!そしてレベル7!「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」!!』

再び揺れ動くペンデュラムの軌跡…そして、開かれた扉からタテガミが炎になったライオン、派手な衣装の奇術師…さらに、EXデッキから星を見定める魔術師と二色の眼の龍が現れる! DEF800 ATK2500 DEF2400 ATK2500

 

 

 

Pレ□□□□□Pジェ

  オフラセ星

   エ ×

  □プシ□□

  □□■□□

 

 

 

「っ…モンスターゾーンが埋まった…!!」

 

『そして、オレはこのカードを発動する!みんなが笑顔になる、奇跡の魔法!魔法カード「スマイル・ワールド」!!』

そして、遊矢による魔法カードの発動と共にキラキラとした光が散らばっていく…その光が形作るのは無数の『笑顔』マーク…その光は遊矢や遊作のモンスター達へも取り込まれ、気難しい顔をした「星読みの魔術師」やオッドアイズが笑い…そして表情の分からない『コード・トーカー』達にも笑顔のエフェクトが浮かんでいる。

 

 

「こ、これはっ…!?!?」

 

『「スマイル・ワールド」の効果さ!このカードはフィールド上のモンスター全ての攻撃力をフィールド上のモンスター1体につき100ポイントアップさせる!フィールド上のモンスターは8体!よって、それぞれ800ポイント攻撃力がアップする!』

周囲や自分のモンスター達に浮かぶ笑顔を見て戸惑う遊作へと遊矢が効果を説明する。

 

 

 

エンコードトーカー ATK2300→3100

 

プロトコルガードナー ATK1000→1800

 

シューティングコードトーカー ATK2300→3100

 

 

オッドアイズペンデュラムドラゴン ATK2500→3300

 

ファイアマフライオ ATK800→1600

 

ラフメイカー ATK2500→3300

 

セカンドンキー ATK1000→1800

 

星読みの魔術師 ATK1200→2000

 

 

 

 

「なにこれ…すごい…!」

 

「デュエルフィールド全てが、笑顔に…なんだか自然と笑っちゃいますね!」

 

「『みんな…笑顔になってる……ああ、これが───』」

 

「そうだよ、遊嗣…遊矢が父さん…榊遊勝から受け継ぎ、次元戦争の果てに掴んだ…自分なりの答え、()()()()!これが遊矢なりのエンタメなんだ!」

予想外のエフェクトに戸惑う葵、無数の笑顔マークを見て自然と顔を綻ばせるマシュ…そして、()()()()になった目を見開いてフィールドを見つめる遊嗣……そんな彼に遊希が優しく声をかける。

 

これが、榊遊矢が研鑽の果てにたどり着いた──自分なりの『エンターテイメント』なのだと…!

 

 

 

 

 

「(何故、フィールド上全てのモンスターの攻撃力を…?そんな事をしても与えるダメージは変わらない…だけど、この気持ちは───)」

 

 

『バトルだ!「ラフメイカー」で「エンコードトーカー」を攻撃!この時、「ラフメイカー」の効果発動!!このモンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで、このカード自身と相手フィールドの元々の攻撃力より高い攻撃力を持つモンスター1体につき1000アップする!攻撃力の上がっているモンスターは合計4体!よって、その攻撃力は──』

 

「攻撃力、7300…!?」

ラフメイカーがその名の通り、笑顔を力へと変える!

 

 

ラフメイカー ATK3300→7300

 

 

「これは受けられない!っ!!」

それはまともに受ければ4200の大ダメージ…遊作はそれを回避する為、近くにあったトランポリンで飛び跳ね、空中に浮かぶ巨大ボールに貼り付いていたアクションカードを獲得する!

 

「アクションマジック『奇跡の選択』!このカードは自分のモンスターが攻撃を受けた時、2つの効果から1つを選んで発動できる!オレは、このバトルで受けるダメージを半分にする!!くうっ…!?」

笑顔の奇術師が重装兵を吹き飛ばし、遊作も大きなダメージを受ける…!

 

遊作 LP3700→1600

 

 

『上手く防いだな!だけど、オレの攻撃はまだ残ってる!「オッドアイズ」で「シューティングコードトーカー」を──』

 

「『プロトコルガードナー』の効果によって、相手はリンク先のモンスターを攻撃できない!」

 

『なら、「プロトコルガードナー」を攻撃!!』

 

「そして、『プロトコルガードナー』は1ターンに1度、バトルでは破壊されず!オレが受ける戦闘ダメージも0になる!!」

ロボットへと放たれる螺旋の炎…しかし、その炎は全て受け止められ…フィールドに爆煙が広がる…!

 

 

 

「(これで、攻撃は全て防いだ…次のターン、『リコーデッド・アライブ』で『デコード・トーカー』を呼び戻し…『ファイアウォール・ドラゴン』をリンク召喚…そして、手札の『サイバネット・マイニング』で───)」

 

 

BON!!

 

 

「───はっ?」

遊矢に勝つ為の戦略を組み立てる遊作…その時、煙を()()()()()──何かが空中へと飛び出した!!

 

 

『お楽しみはこれからだーー!!!』

 

「遊矢さっ…!?───人間大砲!!?」

煙を貫いたモノ…それは人間大砲に飛び込み砲弾となった遊矢──彼は勢いそのままに足場へと着地し、アクションカードを獲得する!!

 

 

『アクションマジック「ワンダーチャンス」!!このカードは自分のモンスター1体をもう一度攻撃できるようにする!!もう一度「オッドアイズ」で「プロトコルガードナー」を攻撃!!』

 

「っ──!?(アクションカード…いや、この攻撃を受けてもライフは100残っ───)」

 

『この瞬間!「EMレディアンジュ」のペンデュラム効果発動!自分のペンデュラムモンスターが相手モンスターとバトルする時!手札のペンデュラムモンスター「EMクラシックリボー」を墓地に送る事で、そのモンスターの攻撃力を1000ダウンさせる!』

 

「あっ…!?」

遊矢の用意していた第三の矢…それは遊作の想定を上回る!

 

プロトコルガードナー ATK1800→800

 

 

『いけ!「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」!!螺旋のストライク・バースト!!』

放たれるのは数多の強敵を乗り越えてきた二色の眼の龍の必殺技…赤と黒の螺旋の炎はロボットを撃ち抜き、遊作のライフを削りきった…!

 

 

 

遊作LP0

 

遊矢 WIN!

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘でしょ…!?プレイメーカーが、藤木君が…負けた…?」

 

「信じられない…リボルバーや、ボーマン…Aiオルタを倒した、遊作君が…」

 

「わ、私…プレイメーカー……藤木さんが、サイバースデッキを使っていて負けるのを見たの、初めてです…!?」

 

 

「おおっ…マジか…!?いや、アクションカードの扱いでは遊矢に分があるとはいえ…遊作君を倒すか…!?」

 

「ふふっ…どうだい?遊海…僕の弟は強くなっただろ?」

勝利のブザーが鳴り響く中、見学室の遊嗣達は呆然としていた。

数多の強敵を打ち破り、その強さを見せてきたプレイメーカー…そんな彼が初めて敗北を喫したのだ。

 

その様子を見た遊海ですらも驚きを隠せない中、遊希や柚子は誇らしげに笑っていた…。

 

 

 

 

『遊作、大丈夫か?』

 

「負けたのか……オレ…」

リアルソリッドビジョンが消えていく中…地面に倒れこんだ遊作に遊矢が声をかける。

そんな中、遊作は久しぶりの敗北が自分でも信じられない様子だった。

 

 

『いや〜…焦った!キミが逆転を諦めない、揺らがない目をしてたからさ!人間大砲でビュン!っとね!流石にビックリしただろ?』

 

「はい…まさか、デュエルで空を飛ぶなんて……空───」

遊作の隣に座った遊矢が明るく声をかける…その言葉に応えた遊作はふと、空を見上げる…。

 

 

「───空って、こんなに青かったっけ……」

金網越しに広がる青い、透き通るような青空……それはコンクリートジャングルのDENCityで暮らし、リンクヴレインズの空を飛び回る遊作が久しぶりに目にした青空だった。

 

 

 

 

「(───ああ、そうか……オレの()()は──まだ、解けていなかったのか…)」

そして遊作は自覚した…自分が『ロスト事件』によって受けた心の傷──()()は、まだ消えていなかったのだと。

 

 

 

ソウルバーナー…穂村尊はリボルバー、鴻上了見へと全てをぶつけ、燃え尽きる事で

 

了見はロスト事件の被害者である尊に全力で殴られる事で

 

草薙仁はライトニングに記憶を消された事で…それぞれに『呪い』を解いた。

 

 

 

 

では……()()()()()

 

 

 

 

『ハノイの塔事件』における最終決戦…彼は了見と全力でぶつかり、復讐を乗り越え…光を掴んだ。

───だが、彼の心の奥底に()()は残り続けていたのだ。

 

 

 

「(オレの心の中にあった景色が…()()()()が、崩れていく……世界が、色を取り戻していくような───)」

遊作の中にあった呪いの根源──幾度となく悪夢に見た、忌まわしき実験室のイメージが薄れ…そして、色を失った世界に()()が戻っていく。

 

 

 

白い草原は生命にあふれた緑色に

 

白い空は透き通るような青色に

 

吹き抜ける風は土と緑の湿った匂いを運ぶようになった。

 

 

 

 

「………風が、気持ちいいな」

 

『───なんだ、しっかり()()()んじゃないか』

力の抜けた顔で遊作は笑う…その表情は年相応の──少年らしい笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

 

「あー!でも悔しい〜!!まさか1ターンキルされるなんて!」

 

「結局、僕達の中でARC次元のデュエリストに勝てたのはマシュだけかぁ…すごいよ!」

 

「えへへ…ありがとうございます!」

場所を移して遊勝塾前の川辺…そこではブルーシートが敷かれ、今回の交流戦に関わった仲間達が昼食ピクニックを楽しんでいた。

 

メインは翠とマシュ達が用意したデュエル飯と唐揚げなどのおかず…それに加えて遊矢の母・洋子や柚子の作ったパンケーキなども振る舞われている。

 

そして、遊嗣達は食事を楽しみながら反省会を開いていた…。

 

 

なお、零児と海馬、遊勝は今回のデュエルで得たデータについて話し合う為にワーキングランチをしている。

 

 

 

 

「でも、話によるとミエルさんはランサーズには入っていなかったらしく…私が柚子さんやランサーズ経験者の方と戦っていたら…」

 

「それでも…マシュは善戦できたはずだ、お前の堅実なデュエルスタイルはどんな状況でも対応できる」

 

「藤木さん…ありがとうございます!」

 

「(あれ…?なんだか、遊作君の雰囲気が…柔らかくなった、ような気がする…?)」

リンクヴレインズ組で唯一の勝利を収めたマシュ…彼女は謙遜していたが…遊作は静かに彼女の長所を伝える。

その様子を見た遊嗣は親友の小さな変化に気がついていた…。

 

 

 

 

 

「ふふっ…上手くいったみたいでよかった!」

 

「まったく…そういう事なら、俺には伝えてくれればいいのに…彩華にまで内緒にされたら…」

 

《……マスターは隠し事や嘘が苦手ですから…特に、遊嗣の事に関しては……》

 

「うぐっ…!?」グサッ!!

 

《フォウ(あっ、クリティカルヒット…)》

少し離れた場所では翠が遊海に今回の交流戦の目的を伝えていた…それを聞いた遊海は仲間外れになっていた事に落ち込み、さらに彩華によって図星を突かれ、大ダメージを受けている。

 

 

 

「さて、このあとはどうしようか…?舞網市の観光でも連れて行こうか?」

 

「そうですねぇ…遊嗣とマシュちゃん、遊作君と葵ちゃんに分けて……ううん、4人で色々と見て回った方が楽しいかな?」

このあとの計画について話しあう遊海と翠…そんな時だった。

 

 

 

 

 

《──おや?次元転移の反応が…?シンクロ次元の───えっ、まさか──!?》

 

「ん…?彩華、どした??」

彩華のレーダーが次元転移の反応を感じ取る…そして、その慌てた様子に遊海が声をかけようとした時───

 

 

 

ギュイイイン!!バシューン!!

 

 

 

「「きゃあ!?」」

 

「わっ!?なんだ!?」

 

「あれはバイク…いや、Dホイールか!?」

川辺に響くバイクの駆動音…そして、川の土手を飛び越え…1台の()()()()()()()Dホイールがピクニックを楽しんでいた一行の近くへと轍を作りながら着地した…!!

 

 

 

『フッ…ずいぶんと待ったぞ、この時を!!』

 

 

「あれは、まさか…!?」

 

「えっ…どうして!?」

そして、1人の男がDホイールから現れる…その姿を見た遊作は目を見開き、柚子が戸惑ったように声を上げる…。

 

 

 

『我が名はジャック・アトラス!!英雄の息子にして、「覇王龍」の力を受け継ぐ決闘者(デュエリスト)───白波遊嗣よ!俺とデュエルだ!!!』

 

「へっ…!?」

荒ぶる王者──ジャック・アトラスが遊嗣へとデュエルを挑む為に現れた…!!

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