転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
遊嗣達の前に現れたシンクロ次元の王者、ジャック・アトラス…彼のデュエルは遊嗣に何を伝えるのか…。
それでは!最新話をどうぞ!
『我が名はジャック・アトラス!!英雄の息子にして、「覇王龍」の力を受け継ぐ決闘者───白波遊嗣よ!俺とデュエルだ!!!』
「へっ…?!」
マシュや葵の悩みを解決する為、ヒロイン会発案で開催された異世界交流デュエル。
それが一段落した矢先、突如として現れたシンクロ次元の荒ぶる王者──ジャック・アトラスが遊嗣にデュエルを挑んできた…!!
「ジャック・アトラス…!!遊海さんの後を継ぎ『三代目決闘王』として君臨した、伝説のデュエリスト…!!」
「こちらに来る時に話は聞いていたけど…まさか、本当に伝説のデュエリストに出会えるなんて…!!」
王者の覇気を放つジャックの姿を見た遊作と葵は驚きを隠せなかった。
葵はARC次元に渡るに当たって『ARC次元には伝説のデュエリスト達のそっくりさん達が存在している』という事実が伝えられてはいたのだが…教科書やネットでしか見る事のなかった『伝説』の登場に、動揺を隠せなかったのだ。
「ジャック!いきなりどうしたんだ!?」
『フン…!遊矢!それはこちらのセリフだ!!異世界交流デュエルだと?そんな面白そうなイベントを開くなら、何故俺を呼ばないのだ!!』
「えっ…柚子?一応、みんなには声をかけたんだよね!?」
「その…アキさんがジャックに伝えるのは止めておこうって……『絶対に騒動になるから!!』って…」
「……あー…(汗)」
ヒロイン会のネットワークを通じて今回の異世界交流デュエルは各次元の仲間達に伝えられていたのだが…唯一、ジャックに関しては口止めされていた…何かを
その話を柚子から聞いた遊矢は納得したように苦笑している…。
『フッ…クロウの奴が口を滑らせてな…!除け者にされたのは癪に障るが、俺はこの機会を待ち望んでいたのだ───あの日、挑む事が叶わなかった「覇王龍ズァーク」と戦う、この時を!!!』
「っ…!!」
ジャックの鋭い瞳が遊嗣を射抜き…思わず遊嗣は身を竦める…。
18年前のあの日、ズァークは武藤遊戯・遊城十代・不動遊星・九十九遊馬・白波遊海の5人によって倒された。
……しかし、本来の物語ではランサーズやエド、素良、零王、クロウ…そしてジャック自身がズァークとの決戦に挑んだ…という話を後々に聞かされた彼は…いつの日か、『覇王龍ズァーク』に挑む日を待ち望んでいたのだ…!
「……遊嗣、受けなくてもいいぞ?ジャックの我儘はいつもの事だ」
「父さん…」
そんな遊嗣に穏やかに声をかけたのは遊海だった…5D'sのジャックも、ARC次元のジャックも…強者を前にすれば挑まずにはいられない性質は変わらない…それを分かった上で、遊海が前に出る。
「ジャック、この子はまだ全ての力を使い熟せてる訳じゃない…お前を満足させるような強さには…」
『何を言うのだ遊海!話は聞いているぞ?破滅の光を退け、ダークネスすら討ち果たしたと……ならば充分だ!それに、力を使い熟すには実戦あるのみ!…それがお前のやり方だろう?』
「むう…それは、そうなんだが…」
《フォウ!?(遊海が言い負けた!?)》
ジャックの闘争心を静める為に語りかける遊海…しかし、ジャックの
「遊嗣さん…」
「………ジャックさん…貴方が満足できるデュエルができるか分からないけど……受けて立ちます!!」
「遊嗣…」
『フッ…それでこそ、遊海の息子だ!』
遊嗣の事を心配するマシュ…そして、少し悩んで──遊嗣はジャックからのデュエルを受けて立つ決意をした。
英雄の血を受け継ぐデュエリストとして…そして、ズァークの力を受け継ぐ者として──挑まれたデュエルから逃げてはならないと思ったのだ。
『では、行くぞ!我らの戦いの舞台へ!!』
─────────────────────────
「これは…!!」
「す、すごく広いわ!!前にお兄様と一緒に行った、ネオ童実野シティのライディングスタジアムの何倍も…!?」
「ここは『デュエルパレス』…シンクロ次元のライディングデュエルの中心、最大収容人数20万人の超大型スタジアムだ!」
ペンデュラム次元から場所を移したシンクロ次元・デュエルパレス…広大なスタジアムにやってきた遊作達は言葉を失っていた…。
「久しぶりだな、遊嗣…キミがシンクロ次元に最後に来てから…もう十年以上経つのか、大きくなったな」
「あなたは───不動遊星、さん…!!」
「不動遊星さん…!チーム5D'sのリーダーで、天才科学者の…!」
「それはそちらの世界のオレの話だな、シンクロ次元では普通のDホイーラーで科学者、というだけさ」
コース内のピットスペースにやって来た遊嗣達を出迎えたのは、特徴的な逆立った髪に白衣を纏った青年──シンクロ次元の英雄の1人にして、『キング』経験者の1人…不動遊星だった。
新たな伝説のデュエリストの登場にマシュが感動しているが…彼は穏やかに笑っていた。
「ジャックの我儘に付き合ってもらってすまない…既にDホイールの調整は済ませてある」
「Dホイール?えっ…ライディングデュエル!?!僕、免許持ってないですよ!?!」
「まぁ…大丈夫だろう!当時14歳の遊矢もオートパイロット運転でなんとかなったし、お前の中にある
「流石父さん…準備がいい…」
《ボクもサポートするよ!》
遊星がジャックの身勝手さについて謝りながら、あるモノを示す…それは黒い機体のシンクロ次元の汎用型Dホイールだった。
それを見た遊嗣は免許を持っていないと慌てるが──シンクロ次元はライディングデュエル中のオートパイロット運転が主流の為、問題にはならないらしかった。
なお、遊海・彩華・ロマンの手によって安全対策は万全である。
…………
「わぁ…!かっこいいです!遊嗣さん!!」
「ありがとうマシュ…うう、緊張してきた…!!」
「白いライダースーツか…似合ってるぞ、遊嗣」
そして、最低限の操作を教わった遊嗣は白を基調としたライダースーツ*1へと身を包む…緊張でガチガチだが、そこは仕方ない。
「父さん、シンクロ次元のライディングデュエルってどういうルールなの?僕達の世界とは違う?」
「ん…次元戦争前は専用のフィールド魔法『スピード・ワールド・ネオ』が発動しているだけの普通のルールだったんだが…次元戦争後は『クロス・オーバー・アクセル』を発動したライディングデュエルが主流になってるんだ」
「『クロス・オーバー』って……まさか、高速走行しながらアクションカードを拾うの!?無理無理無理!!?絶対転んじゃうよ!!」
「その点は大丈夫だ、今回は遊嗣へのハンデとしてソリッドビジョンの応用技術を使った…アイテムBOX獲得型にしてある、レースゲームはやった事あるだろう?あんな感じだ、Dホイールか手でコース上のアクションカードのマークに触れれば獲得できる」
「な、なるほど…ソリッドビジョンって便利…」
シンクロ次元のライディングアクションデュエルの説明を聞いた遊嗣は危険度の高さに驚くが…そこは天才メカニックの腕の見せ所──遊星のプログラミングによって簡易化されている。
「遊矢さん…遊矢さん達もライディングアクションデュエルの経験があるとは思いますが、その時は……?」
「ん?普通に拾ったよ!慣れるまでは取り逃しもあったけど……ああ、月影なんかはDホイールから飛び降りて、アクションカードを取ってまた戻る…なんて離れ業をやってたっけ、懐かしいなぁ…」
「「「「(ARC次元、魔境すぎない?/すぎません?)」」」」
なお、マシュが同行していた遊矢へとライディングアクションデュエルについて尋ねたのだが…思わぬ答えに遊嗣達4人は絶句しているのであった。
「お、お待たせしました…!!」
『準備はできたようだな、遊嗣!!』
慣らし運転や各種準備を終え…遊嗣がスタートラインに着く、そこでは既にジャックが彼の事を待ち受けていた…!
「遊嗣さん!頑張って──!!」
「遊嗣〜!かっこいい〜!!頑張れー!!」
「遊嗣!気負いすぎるな!!」
観客席には遊矢達や遊海達だけ…そんな中、マシュや翠、遊作達が声援を送る!
「遊海!本当にすまねぇ!!ついうっかり…」
「クロウ、そんなに謝らなくていいさ…それより、ジャックがやりすぎなければいいんだが…」
「今のジャックなら、大丈夫……大丈夫…だと、思うんだが…」
《フォウ…(不安しかない…)》
そして、観客席の出入り口ではクロウが遊海に謝り倒している…遊海は軽く応えてはいるが、遊星共々に
【《アクションフィールド・オン!フィールド魔法『クロスオーバー・アクセル』!!デュエルモード・オン!オートパイロット、スタンバイ!》】
ジャックの愛機、ホイール・オブ・フォーチュンと遊嗣のDホイールと同期したロマンの声が重なり、ライディングデュエルの用意を完了する!
『さぁ、遊嗣よ!!遊海の息子として…そして!新たな「覇王」として、希望の未来を掴んだその力…俺に魅せてみろ!!』
「っ…よろしく、お願いします!!」
【《スリー!ツー!ワン!…ライディングデュエル!アクセラレーション!!》】
そして…スタートの合図と共に2台のDホイールが一斉に飛び出した!!
「ぐっ…う、わっ…くっ…!?」
《遊嗣!掴まってるだけでいいよ!運転はボクがなんとかする!!デュエルに集中するんだ!》
遊嗣に襲いかかる凄まじい風圧と重力…必死にDホイールにしがみつく彼をロマンがサポートする!
『先攻はもらうぞ!!』
だが、機体のチューニングと実力の差は縮まらない…マニュアル操作のジャックが一気に遊嗣を追い抜いた!!
「『デュエル!!!』」
ジャックLP4000
遊嗣LP4000
・ライディングデュエル アクションフィールド『クロス・オーバー・アクセル』発動中
・マスタールール(ARC-V)発動中
EXモンスターゾーン使用不可
ペンデュラムゾーン使用可
ペンデュラム召喚時の召喚条件緩和
『俺のターン!!』
『「レッド・リゾネーター」を召喚!!』
炎の衣を纏った音叉の悪魔が現れる! ATK600
『そして!手札の「レッド・ウルフ」は「リゾネーター」モンスターを特殊召喚した時、攻撃力を半分にして特殊召喚できる!』
続けて炎を纏う、獰猛な狼の悪魔が現れる! ATK1400→700
『俺はレベル6の「レッド・ウルフ」にレベル2の「レッド・リゾネーター」をチューニング!』
2+6=8
『王者の咆哮!今、天地を揺るがす!唯一無二たる覇者の力をその身に刻むがいい!シンクロ召喚!!荒ぶる魂!レベル8!「レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト」!!』
ARC次元におけるジャック・アトラスのエース、歴戦の悪魔竜が咆哮する! ATK3000
「っ…!!!『レッド・デーモンズ・ドラゴン』…!!!」
現れた悪魔竜を見た遊嗣はその覇気にたじろぐ…シグナーの竜、その同一存在と対峙するのは初めての事だった。
『さらに俺は魔法カード「紅蓮魔竜の壺」を発動…このカードは自分フィールドに「レッド・デーモンズ・ドラゴン」が存在する時!次の相手ターン終了時まで俺の召喚・特殊召喚を封じる事でカードを2枚ドローできる!!俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド!!』
ジャックLP4000
スカーライト 伏せ2 手札2
『さぁ、遊嗣!お前が受け継ぎ、手にした力を見せてみろ!!』
「っ…」
《遊嗣!力を抜いて!今まで通りに戦えばいい!》
ターンバック走行で遊嗣を指差し、闘志を燃やすジャック…その圧倒的な覇気にたじろぐ遊嗣にロマンがアドバイスを送る…!
「僕のターン、ドロー!!」
「僕は、スケール0の『覇王門
疾走する遊嗣の背後に光の柱が立ち上がり、『0』の形をしたモニュメントと夜空の星々ように輝く衣装の魔術師が浮かび上がる!
PENDULUM!
「『覇王門の魔術師』のペンデュラム効果、発動!自分のメインフェイズにペンデュラムゾーンのこのカードを破壊する事で、デッキからスケール13の『覇王門
『覇王門の魔術師』が時計の針のような杖を振るう事で光の魔法陣を展開…その姿を『∞』の形をしたモニュメントへと変化させる!
「これで…僕はレベル1から、12のモンスターを同時に召喚可能!…揺れろ!混沌のペンデュラム!ペンデュラム召喚!!手札から、レベル4!『覇王眷竜ライトヴルム』!レベル4『覇王眷竜ダークヴルム』!…エクストラデッキから、『覇王門の魔術師』!」
遊嗣の頭上で混沌のペンデュラムが不規則に揺れ動く…そして、開かれた扉から覇王の眷族たる光と闇のワイバーン、時計の針のような剣を持つ魔術師…そして、星の煌めきを纏う魔術師が現れる! ATK1800 ATK1800 ATK2500
「わぁ…!あれが遊嗣君のペンデュラム!遊矢のワクワクする感じとも、ダーリンの静かな感じとも違う…荒々しいけど、優しい…不思議な感じ…!」
「はい!受け継いだ希望の光と『覇王龍』の持つ闇、その全てを合わせ呑む…それが遊嗣さんの───あれ…?」
「ん…?マシュちゃん、どうしたの?」
「いえ…なんだか、遊嗣さんのいつものペンデュラム召喚と…何か、違うような…?」
初めて目にする遊嗣のペンデュラム召喚を見て興奮しているミエルへとマシュが遊嗣の持ち味を解説する…しかし、その時…マシュは遊嗣のペンデュラムを見て、言語化できない
「『覇王門の魔術師』の、効果発動!特殊召喚に成功した時、デッキから『覇王龍ズァーク』の名前が記されたカード1枚を手札に加える…僕は、罠カード『覇王天龍の魂』を手札に加える!そして、僕はレベル4の『ダークヴルム』と『ライトヴルム』でオーバーレイ!!」
光と闇のワイバーンが銀河へと飛び込む!
「2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!!漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙!現れろ!ランク4!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!!」
銀河の爆発の中から闇が溢れ出す…その中から紫電を纏い、鋭い顎を持つ黒竜が現れる! ATK2500
「『ダークリベリオン』の効果発動!1ターンに1度、ORUを2つ使い!『スカーライト』の攻撃力を半分にし、その数値分自身の攻撃力をアップする!トリーズン───」
『フン…見飽きたわ!!永続罠発動!「デモンズ・チェーン」!!このカードが存在する限り「ダークリベリオン」の効果を無効にし、攻撃を封じる!!』
「っ!?!」
紫電の翼を広げようとした反逆の竜が紫色の鎖で縛り上げられる!
『遊嗣、あまり俺を舐めてもらっては困るな!俺はシンクロ次元のキングとして、幾度となく遊矢達と戦っている!小手先の技など通用せんぞ!!』
「くっ…僕は、カードを2枚伏せて…ターンエンド…!」
遊嗣LP4000
ダークリベリオン(デモンズ・チェーン) 覇王門の魔術師 (P 覇王門零 無限) 伏せ2 手札1
「あ〜…オレもジャックと初めて戦った時に似たような事されたなぁ…本当にジャックは容赦ないんだから…」
「ジャックはパワー一辺倒って訳じゃない、純粋で圧倒的なパワーが持ち味なのは「決闘王」のジャックも「シンクロ次元」のジャックも変わらない…だけど、意外と小回りも効くんだよ」
「なるほど…」
遊嗣の初手をあっさりと封じるジャック…その姿を見た遊矢は昔の事を思い出し、遊海も二人のジャックの戦い方を遊作達へと説明している。
『俺のターン!ドロー!!』
『「レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト」の効果発動!!1ターンに1度、フィールド上の自身の攻撃力以下の特殊召喚されたモンスター全てを破壊し、破壊したカード1枚につき500ポイントのダメージを相手に与える!アブソリュート・パワー・フレイム!!』
悪魔竜の傷付いた右腕から灼熱の炎が溢れ出す!
《遊嗣!罠カードを!!───遊嗣?》
「っ…!っ…!!?」
全てを吹き飛ばす荒々しき炎…それを前に罠カード──「覇王天龍の魂」の発動を促すロマン…だが、遊嗣の右腕は小刻みに震えてしまっている…!
『フン…
「うっ…!?うわああああ!!?」
《遊嗣!?っぐ…姿勢制御システム全力稼働──!!》
荒ぶる炎が反逆の竜と煌めく魔術師を焼き尽くし…その余波が遊嗣を襲う…!!
遊嗣LP4000→3000
『バトルだ!「スカーライト」でダイレクトアタック!!灼熱のクリムゾン・ヘル・バーニング!!』
「っ、う…!!アクションマジック、『回避』!!『スカーライト』の攻撃を、無効にする!!」
遊嗣に向けて放たれる紅蓮の息吹…遊嗣は間一髪、アクションカードを手にする事で攻撃を回避する!
『俺はこれでターンエンド!!』
ジャックLP4000
スカーライト 伏せ1 手札3
「っ…?遊嗣はなぜ、『覇王天龍の魂』を発動しなかったんだ…?」
「藤木君、それって白波君が伏せていたカードよね?」
「ああ、攻撃力2500の魔法使い族モンスターをリリースし、四天の龍を融合素材とする事で『覇王龍ズァーク』を喚び出す…その効果ならジャックの効果や攻撃を止められたはず…」
ジャックのターン終了を見た遊作が疑問の声を漏らす、遊嗣は切り札を喚び出せる状況にあった…だが、遊嗣はその発動を
「遊嗣…お前、まさか───」
「遊海さん…」
「遊海さん?翠さん…?」
そして、遊海と翠も遊嗣を襲う
先ほど、遊嗣は遊希と共に見事なアクションデュエルを演じて見せた…しかし、今の遊嗣はその時ほどの
「はぁ…はぁ…!!」
《っ…遊嗣!落ち着いて!呼吸を整えるんだ!》
『遊嗣、お前は──「覇王龍ズァーク」を
「っつ…!!?」
《えっ…》
疾走するDホイールの上で脂汗を流し、息を切らせる遊嗣…彼へと並走するようにスピードを下げたジャックは遊嗣の核心を突く…!
『ミラー・リンクヴレインズの戦いの記録は見た…お前は自分の持つ「災厄」の力と「希望」の光を受け入れ、新たな「覇王龍ズァーク」の担い手──優しき闇の「覇王」として覚醒してみせた……そうだ、お前が両親から受け継いだ
「っ…う、あ……」
《遊嗣…まさか、
ジャックの指摘は当たっていた…それと同時にロマンは遊嗣に最悪の事態が起きていた事にようやく気付いた。
Aiオルタによって引き起こされたリンクヴレインズでの遊嗣の…『覇王龍ズァーク』の暴走……マシュの命が奪われたと勘違いした事によって狂乱状態に陥った遊嗣は遊海の決死の一撃によって暴走を止められた。
そして、当然の事ながら…目を覚ました遊嗣は暴走中の事を忘却していた……それを知った遊海達は遊嗣自身への説明を最小限に留めた。
「遊嗣は勘違いで『覇王龍』の力を解放してしまった」
「リンクヴレインズで大暴れはしたが、被害は最小限に抑え込んだ」
───両親に
……だが、何故か──遊嗣は思い出してしまった。
破壊光線で遊海を撃墜してしまった事を
翠の体を両断してしまった感触を
それは遊嗣の心に深く、深く突き刺さった
日常生活を送り、普通のデュエルをするには支障はない。
……だが、遊嗣は自分の力の「根源」である『覇王龍』を喚び出せなくなってしまっていたのだ。
「っ…僕、は……」
『遊嗣よ、俺はお前の優しさを否定する事はしない……何故ならば、優しさこそがお前の父親・白波遊海の…世界最強の決闘者の
「ジャック、さん…」
王者の覇気の込められた一喝…ジャックから遊嗣への叱咤が飛ぶ。
そして、それは強大な力を手にした先達として…遊嗣へ送られた激励でもあった…。
「父さん…母さん…マシュ…みんな…」
コースを疾走するDホイールが仲間達の見守る観客席の近くを通過する…その時、遊嗣は見た…涙を溜めながらも自分の勝利を祈るマシュの顔を…そして、自分の力を信じる両親の顔を…。
《……遊嗣、ごめんね…きみの事を考えて、マスターもボクも…》
「良いんだ、ロマン…僕も…父さん達に相談すればよかった……みんなに、これ以上心配させたくなかったから………やれるだけ、やってみる…!ジャックさんの言う通りだ…僕は覇王、『覇王龍』の力を…絶望を、希望に変えるんだ…!!」
ジャックの魂の言葉…そして、大切な人達の祈りが遊嗣の顔に生気を呼び戻す!!
「僕のターン!ドロー!!」
「再び揺れろ!混沌のペンデュラム!我が魂に受け継がれし光よ!最善の未来への導べとなれ!ペンデュラム召喚!!手札からレベル7!『アストログラフ・マジシャン』!EXデッキから『覇王門の魔術師』!!」
遊嗣の頭上に現れたゼアルライトのペンデュラムが青・紫・赤の光の円環を描き、開かれた扉から2本の光が飛び出す…そして、時空を司る魔術師と星の煌めきを纏う魔術師が現れる! ATK2500 ATK2500
「特殊召喚した『覇王門の魔術師』の効果発動!デッキから罠カード『覇王龍の奇跡』を手札に加える!そして──罠カード『覇王天龍の魂』を発動!!攻撃力2500の『アストログラフ・マジシャン』をリリースし、デッキの『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』とEXデッキの『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』、そして墓地の『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を融合素材として除外する!時空を司る『アストログラフ・マジシャン』よ!その深淵なる力で我らの希望を重ね合わせよ!!」
遊嗣の頭上に展開する魔法陣…そこに四天の龍達が飛び込んでいく!!
「破壊と創生、原初と終焉…総てを束ねし龍よ…!今こそ、その力を解き放て!!統合召喚!!現れろ!我が魂!!『覇王龍ズァーク』!」
《グオオオオン!!!》
遊嗣の背後に力が集い、赤雷と強風が渦巻く…そして、遊嗣の魂──希望の象徴たる『覇王龍』が咆哮する! ATK4000
「『覇王龍ズァーク』…!」
「映像では見せてもらったけど…すごい迫力!!あれが白波君の切り札…!!」
「遊嗣、きみは…本当に『覇王龍』の力をモノにしたんだね…すごいや!!」
シンクロ次元へと顕現した覇王龍…その姿を見たマシュはホッと胸を撫で下ろし、葵はその迫力に圧倒される…そして、ズァークの半身たる遊矢は遊嗣がその力をしっかりとモノにしていると確信した。
『フッ…フハハハ!!言葉1つでこうも変わるか、遊嗣よ!!それでこそ、この時を待ち望んだ甲斐がある!!』
「ジャックさん、すみません…お待たせしました!!『覇王天龍の魂』によって融合召喚された『覇王龍ズァーク』は四天の龍全てが除外されていなければ、効果が無効になる!そして『覇王龍ズァーク』の効果発動!特殊召喚に成功した時!相手フィールドのカード全てを破壊する!!マキシマム・クライシス!!」
『フッ…甘いわ!!罠カード「レッド・クリスタル」を発動!このターン、「レッド」モンスターの戦闘・効果による破壊を無効にする!!』
フィールドに降りそそぐ破滅の赤雷…だが、赤き水晶が悪魔竜を守護する!
「なら、僕は『覇王門無限』のペンデュラム効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力分、僕のライフを回復する!『スカーライト』の攻撃力は3000…つまり、僕は3000ポイント回復する!」
『∞』のモニュメントの放つ光が遊嗣のライフを回復させる!
遊嗣LP3000→6000
「バトルだ!『覇王龍ズァーク』で『スカーライト』を攻撃!終焉のスプリーム・バースト!!」
『迎え撃て!「スカーライト」!!クリムゾン・ヘル・バーニング!!ぬうううっ!!!』
万物を吹き飛ばす破壊の奔流と灼熱の息吹が衝突…だが、破壊の奔流の余波がジャックのライフを削る!
ジャックLP4000→3000
『やるではないか…!これが「覇王龍」の、お前の力か!遊嗣!!』
「はい!だけど──
『なんだと!?』
フィールドに降りそそぐ赤雷に『覇王門の魔術師』が破壊される…そして、覇王の咆哮が響き渡る!!
「手札から現れろ!『覇王眷竜オッドアイズ』!そしてEXデッキから現れろ!『覇王眷竜ダーク・リベリオン』!『覇王眷竜クリアウィング』!『覇王眷竜スターヴ・ヴェノム』!!」
覇王龍の胸元から4つの光が飛び出す…その光は覇王龍の力を得た四天の龍の分身となってフィールドに君臨する!! ATK2500 ATK2500 ATK2500 ATK2800
「そして墓地の『覇王の逆鱗』の効果発動!墓地のこのカードを除外する事で、墓地の『覇王眷竜ダークヴルム』と『覇王眷竜ライトヴルム』を『覇王眷竜ダーク・リベリオン』のORUにする!!バトル!『覇王眷竜ダーク・リベリオン』で『スカーライト』を攻撃!そして効果発動!このモンスターが相手モンスターとバトルする時、ORUを1つ使い!『スカーライト』の攻撃力0にして、その攻撃力分自身の攻撃力をアップする!トリーズン・ディスチャージ・アサルト!!」
『ぬっ…!!』
強襲する紫電の翼が悪魔竜の力を奪い取る!
スカーライト ATK3000→0
覇王眷竜ダークリベリオン ATK2500→5500
「破壊はできなくても、ダメージは通る!!いけ!『覇王眷竜ダークリベリオン』!反逆のライトニング・ディスオベイ!!」
『凄まじい爆発力…!だが!俺はその先を往く!!アクションマジック「立体交差」!!バトルフェイズ終了時まで「スカーライト」と「覇王眷竜ダークリベリオン」の攻撃力を入れ替える!!返り討ちにしろ!「レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト」!!クリムゾン・ヘル・バーニング!!』
「なっ…!?」
反逆の牙を突き立てようとするダークリベリオン…しかし、寸前でその攻撃力が入れ替わり、減速する!
覇王眷竜ダークリベリオン ATK5500→0
スカーライト ATK0→5500
「っ…!アクションマジック『奇跡』!このバトルで『覇王眷竜ダークリベリオン』は破壊されず、受けるダメージも半分になる!さらに『覇王門零』のペンデュラム効果によって、僕のフィールドに『覇王龍ズァーク』が存在する限り、受けるダメージは0になる!!くううっ!!?」
紅蓮の息吹に吹き飛ばされるダークリベリオン…しかし、遊嗣の獲得したアクションカードと『覇王龍』の誇る鉄壁のコンボがダメージを無効化する!
「これが、ジャック・アトラスのデュエル…!僕はカードを1枚伏せて、ターンエンド…!!」
遊嗣LP6000
覇王龍ズァーク 覇王眷竜オッドアイズ 覇王眷竜ダークリベリオン 覇王眷竜クリアウィング 覇王眷竜スターヴヴェノム (P覇王門零 無限) 伏せ1 手札0
「遊嗣さん…すごい!!ジャックさんを一気に追い詰めました!!」
「2枚の『覇王門』による鉄壁の守り…そして、『覇王龍』の周りを固める4体の『覇王眷竜』達…!この布陣を突破できるデュエリストは限られてくる…!」
「これが…白波君の全力…!私、ARC次元に来る事ができて…このデュエルに立ち会えてよかった!」
本来の力を発揮し、ジャックを追い詰めた遊嗣…その姿を見たマシュ達が歓声を上げる!
「すごいな遊嗣…!今のお前の実力は当時のズァークを上回るかもしれない…父親として誇らしい…!誇らしいん、だが……」
《フォウ?(遊海、どうしたの?顔が引き攣ってるよ…?)》
「いや…なんだか、すごい
遊嗣の活躍を喜ぶ遊海…だが、その笑顔は引き攣っている…
『ふははははは!!いいぞ遊嗣!!ああ…ここまで我が魂が荒ぶるのも久方ぶりだ…!!それでこそ、俺も研鑽を続けてきた意味がある!!』
追い詰められた状況…だが、ジャックは獰猛に笑う…それは王者としてではない…かつて、世界を支配しようとした覇王への
『遊嗣…お前は自分の力を恐れる必要などない!何故ならば、
『俺のターン!!ドロー!』カンコーン☆
『まずはその守りを剥がす!!魔法カード「クリムゾン・ヘル・セキュア」を発動!!自分フィールドに「レッド・デーモンズ・ドラゴン」が存在する時!相手フィールドの魔法・罠カード全てを破壊する!!』
「っ…『覇王門』が!?」
悪魔竜の放った紅蓮の爪撃が遊嗣のペンデュラムスケールと伏せられた『覇王龍の奇跡』を切り裂き、燃やし尽くす!
『俺は「クリムゾン・リゾネーター」を召喚!!』
紅蓮の炎を背負う音叉の悪魔が現れる! ATK800
『「クリムゾン・リゾネーター」の効果発動!フィールドにこのカードと闇属性・ドラゴン族シンクロモンスター以外のモンスターが存在しない時!デッキ・手札から「リゾネーター」モンスター2体を特殊召喚できる!現れろ!「ダークネス・リゾネーター」!「クリエイト・リゾネーター」!!』
強い闇の力を得た音叉の悪魔と巨大なプロペラを背負う音叉の悪魔が現れる! ATK1300 ATK800
『さらに!手札の「シンクローン・リゾネーター」は自分フィールドにシンクロモンスターが存在する時、特殊召喚できる!!』
ト音記号を背負う音叉の悪魔が現れる! DEF100
『そして「ダークネス・リゾネーター」の効果発動!1ターンに1度、自分フィールドのチューナーモンスターのレベルを任意のレベルにできる!俺は「ダークネス・リゾネーター」「クリムゾン・リゾネーター」「クリエイト・リゾネーター」のレベルを1にする!!』
ダークネスリゾネーター☆3→1
クリムゾンリゾネーター☆2→1
クリエイトリゾネーター☆3→1
「えっ…チューナーモンスター、4体?レベルの合計は…12??」
《ま、まさか…!?》
『そのまさかだ!!燃え盛れ…我が荒ぶる魂!!オーバーワールド・バーニングソウル!!』
ジャックの体が燃え盛る…それはチーム5D'sのジャックからシンクロ次元のジャックへと受け継がれた魂の種火──それは研鑽の果てに前人未到の境地へと到達する!!
『俺はレベル8の「レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト」にレベル1の「クリムゾン・リゾネーター」「ダークネス・リゾネーター」「クリエイト・リゾネーター」「シンクローン・リゾネーター」をクアドラプルチューニング!!』
リゾネーター達が紅蓮の炎の円環と化し、悪魔竜を包み込む!
8+1+1+1+1=12
『天に輝く紅き星よ!!地上に刻まれし戦いの傷よ!!鳴り響け…魂の鼓動!!動き出せ!破壊の衝動!!四象集いし時、新星は窮みに至る!シンクロ召喚!!レベル12!!「スカーレッド・ハイパーノヴァ・ドラゴン」!!』
それは、ジャック・アトラスという男が到達した…『リミットオーバー・アクセルシンクロ』に並ぶシンクロ召喚の窮極の姿──覇王龍ズァークに迫る巨大な…紅蓮の龍神がシンクロ次元へと顕現した!! ATK4500
《■■■■■■──!!!》
「「「「「──────」」」」」
「…………マジで?」
デュエルパレス上空を覆い尽くす、2体の龍…その姿に全員が固まり、言葉を失う…それは遊海ですら例外ではない。
『「ハイパーノヴァ」の攻撃力は墓地のチューナーモンスター1体につき500ポイントアップする!墓地のチューナーは5体!よって攻撃力は7000となる!!』
「こ、攻撃力7000…!?」
その規格外の攻撃力に遊嗣の顔色が青褪める…!
ハイパーノヴァ ATK4500→7000
『バトルだ!「ハイパーノヴァ」で「覇王龍ズァーク」を攻撃!!さらに!アクションマジック「バイアタック」発動!!「ハイパーノヴァ」の攻撃力を2倍にする!!』
「────へっ…!?」
紅蓮の龍神が天地を揺るがす咆哮を轟かせる!!
ハイパーノヴァ ATK7000→14000
『受けてみろ!「覇王龍ズァーク」!そして遊嗣!我が研鑽の果てたる究極のパワーを!!「スカーレッド・ハイパー・ノヴァ・ドラゴン」の攻撃!!
天地崩壊撃!ジ・アブソリュート・エクスプロージョン!!』
その一撃はまさに『超新星爆発』級の一撃…巨大なる龍神が覇王龍へと突進───時空を割る一撃が覇王龍を貫き、爆発した!!
「う、うわああああああ!!!?」
遊嗣LP6000→0
ジャック WIN!
「(えっ…あれ?僕、飛んでる??)」
その瞬間、遊嗣には何が起きたのか分からなかった。
『覇王龍』が撃破され、衝撃に耐える為に目を閉じた…そして、気付けば…遊嗣はDホイールごと
「(あ、あれ…?なんで、マシュ達が下に……まさか、これ…
やけに時間がゆっくりと流れる中、遊嗣は
「(あっ…コレ、死ぬ───)」
今までに経験した事のない衝撃と共に、遊嗣の目の前は真っ暗になった。
『フッ…!!見たか!遊嗣!これが我が研鑽の果て!!「覇王龍ズァーク」が暴走する事があろうとも、我らがいる限り!お前の事など何度でも抑え込んでや、る……うん?』
窮極の境地の力によって長年の目標であった『覇王龍ズァーク』を撃破し、勝利を掴んだジャック…彼は上機嫌にDホイールを停め、遊嗣のいる後方を振り返る。
しかし、そこに広がっていたのは……阿鼻叫喚の惨状だった。
「……………」
《ゆ、遊嗣!遊嗣!?しっかり─!?》
攻撃の余波で炎が燻ぶるコース上でDホイールの下敷きになり、意識を失った遊嗣
「遊嗣!!」
「きゃああああ!!遊嗣さぁぁん!!!!……きゅう」
「ま、マシュさん!!気をしっかり持って!!」
「しっかりしろ!!」
致命傷を負った遊嗣の姿を見て悲鳴を上げる翠とショックで失神してしまったマシュを支える葵や遊作…そして───
《アポクリフォート・キラー、現界します…!!》
《キュアアアア!!!!》
《キュオオオォォオオン!!》
暗雲に覆われたシンクロ次元の空から現れる巨大な機械要塞・黄金の神鳥・赤き竜…それを従えるのは─────
「ジャック、言い遺す事はあるか?」
『あ、いや…待て!待つのだ遊海!興が乗りすぎたというか…!!』
「やりすぎだ!!この究極脳筋馬鹿!!!」
この日、シンクロ次元は大きく揺れた。
「う、うーん……ここは…?」
「あっ…遊嗣さん…よ、よかったぁ…!!」
「マシュ…?あれ…ライディング、デュエルは…?」
「遊嗣、うちのジャックが本当にすまない…」
《フォウフォウフォウ…フォフォフォウ…(効いたよね、早めのアヴァロン…って感じ…)》
ふと遊嗣は意識を取り戻した…そんな彼が最初に目にしたのは、心底ホッとした様子のマシュの顔だった。
彼女の他にも遊星やフォウ、遊作や遊星達の姿もある…。
「僕、何が…どうなったの…?」
《ジャック・アトラスの攻撃が強すぎて、Dホイールごと空にぶっ飛ばされたんだよ…そのまま頭を強く打って、落っこちてきたDホイールに押し潰されて……》
《そして『
「私、生身の人間とDホイールがあんな高さまで吹き飛ぶのは初めて見たわ…」
「………もしかして、死にかけてた?」
《聖剣の鞘がなかったらね…マーリンに感謝しなきゃ》
「マシュも失神したり、観客席も大騒ぎだったな……聞いてはいたが、真の『
「いんや、アホのジャックが加減を知らねぇだけだ」
そして、遊嗣はロマンとアルトリアの説明でようやく状況を把握する…遊作や葵、クロウの様子から、自分はよほど酷い状態だったらしい…と理解した。
「父さん達は…?」
「ジャックに説教中だ、動けるなら行こう…そうすれば落ち着くだろう」
『………申し訳、ありません、でした…』
「「………!!!」」
【はぁ…覇王龍に究極のパワーをぶつけただと?加減というモノを知らんのか?危うく、ズァーク戦並の次元震が起きるところだったぞ】
「まぁ、その……ジャックも悪気があった訳じゃないし、遊嗣のダメージもちゃんと回復してるから……いや、あはは…」
ひび割れたライディングコースの一角…そこには数人の人物に囲まれたジャックがいた…。
正座させられたジャックは全身に焦げ跡が付き、頭には巨大なたんこぶができた状態で頭を下げている。
それを腕を組みながら見下ろすのは、怒髪天といった様子の遊海と翠…その殺気は並の人間なら気絶しかねない気迫だった。
それを呆れた様子で見ているのは善神ドン・サウザンド…どうやら、先ほどの衝突で次元の揺らぎが起きたらしく…その原因を探りに来たらしい。
そして、そんな彼らを遊矢がなんとか宥めようとしていた…。
「おっ…丁度いい所に!遊海、翠さん!遊嗣が目を覚ましたよ!」
「っ…!!遊嗣!!大丈夫!?痛い所は!?!」
「か、母さん…苦ひい……ちょっとふらつくけど、大丈夫だよぉ…」
「…ごめんな、遊嗣……ジャックはしっかりと叱っておいたから……嫌な予感的中はしてほしくなかったが…」
「(白波君、愛されてるなぁ…)」
そんな時、控え室から出てきた遊嗣達を見た遊矢が声を上げる…それを聞いた翠は真っ先に飛び出して遊嗣の事を抱きしめ、遊海も疲れた様子で遊嗣の頭を優しく撫でる。
そんな様子を見た葵は遊嗣が真っ直ぐ育った理由をなんとなく理解したのであった…。
【まったく、次から次へとトラブルに巻き込まれおって……これでは微睡む事もできん】
「ごめん、せんせん…だけど、ジャックさんのおかげでまた強くなれた気がする!」
【フッ…そのようだな、だが…自分の体と大切な者は大事にしろ、わかったな?】
「うん、ありがとう!」
そして、遊嗣の遊海譲りの巻き込まれ体質に呆れるドン・サウザンドだったが…すっきりした様子の遊嗣を見て、小さく笑っているのだった。
…………
「色々あったけど、楽しい交流会だったよ!遊海、次があるなら他のデュエリストにも声を掛けてみてよ!権現坂とか沢渡も本当は来たがってたんだ」
「そうか…じゃあ、次は尊君や…GO鬼塚にも声を掛けてみようか、ゆくゆくはARC次元とDM世界…2つの世界が隣人として、一緒に歩んでいけるといいなぁ…」
「ふぅん…まだ、遠い夢物語だろうが……お前がいるならば大丈夫だろう、遊海」
夕暮れのペンデュラム次元…色々な事もあったが、異世界交流会は無事に終わりを迎えようとしていた。
「遊嗣、次に来る時はユート達の事も紹介するよ!みんな、遊嗣の事を歳の離れた弟だと思ってるから!」
「うん!ありがとう遊矢!」
遊矢は遊嗣に明るく声をかける…今回は予定が合わずに集まる事ができなかった「欠片」達、彼らとの再会を約束しながら…。
「(遊嗣君の事はなんとかなったみたいですね!翠さん!)」
「(うん、こっちでもメンタルケアは続けていくわ…ありがとう柚子ちゃん)」
「(それもそうですけど…藤木さんと財前さんの事は…)」
「(まだ、時間がかかりそうかなぁ…)」
《フォウフォウ…(また内緒話してる…)》
そして、今回の交流会の発案者である柚子や翠達も小さく言葉を交わす…遊嗣のメンタルケアに関してはジャックのおかげもあって上手くいったが、葵の悩みに関してはそこまで大きな進歩はなかったからだ。
「……財前、どうだった?別世界のデュエルは…」
「すごく勉強になった、っていうのはさっきも言ったから……とっても
「───それは…オレへの嫌味か?」
「ううん……プレイメーカー、藤木君も『完璧』じゃないんだって…安心したの!それに、負けた時の藤木君…なんだか
「見られてたのか……少し、恥ずかしいな」
遊作が自然に葵へと声を掛ける…その言葉に葵は明るく笑いながら応える、彼女にとっても今回の交流戦は良い経験になったようだ。
「───ねぇ、藤木君…お願いがあるんだけど…」
「ん?なんだ?」
「……私の事も、
「────それは……」
その時、葵が思わぬ言葉を口にする…それを聞いた遊作は珍しく目を丸くしている。
遊作は決して
「ぷっ…そんな鳩豆な顔しないで?
「…財前妹?」
「お兄様に文句言われるわよ?」
「…ブルーエンジェル」
「リンクヴレインズではいいけど、現実世界でアバター名は無し!そもそも、マシュさんの事は名前で呼んでるでしょ?」
「…………葵」
「────うん、それでいいの!よろしくね
「っ───ああ(………なんだろう、今の感覚は……胸の奥で、何かが……)」
そして、遊作は初めて…葵の名前を口にする、それを聞いた葵は満足したように笑いながら遊作の名前を呼ぶ。
それは…遊作の心に感じた事のない
「(──前言撤回!!大成功!)」
「「「(いえい!)」」」パチン!
《フォウ?…フォーウ!(なんだかわからないけど…翠やマシュが喜んでるなら…まぁいっか!)》
そんな青春の第一歩を見守っていた翠達は小さくハイタッチを交わしたのだった。
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