転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

549 / 552
こんにちは!S,Kです!

全ての戦いを乗り越え、平和な日々を過ごしていた白波家とマシュ……しかし、隠された『澱み』は──確実に彼を蝕んでいた。



───最後の戦いが始まる。


怨嗟の廃棄孔─全てを守る為に─

「………う〜ん……よく寝たぁ…」

 

《おはようございます、マスター》

 

「ああ、おはよう彩華…ふわぁ…」

いつも通りの朝の白波家…遊海はいつも通りに目を覚まし、体を伸ばす…翠は先に目覚め、近くには彩華が控えている。

 

 

 

「特に異常はないか?」

 

《はい、翠はいつも通りに朝食の準備を…遊嗣もマシュもまだぐっすりと眠っているようです》

 

「そうか…しかし、遊嗣がマシュちゃんの前で泣くとは…弱みを見せられる……それだけ、2人の絆が深まったって事だなぁ…」

 

《そうですね…これで、遊嗣の精神状態も安定すると思いますが…》

 

「ああ…本当に、遊嗣はいい運命と巡り会えたなぁ…」

遊海は昨日の出来事を思い返す。

 

 

遊嗣とマシュ、2人の腕試しデュエル対決…その末に遊嗣が勝利を掴んだのだが、デュエルの中でマシュの抱いていた思いに気付き、泣き崩れてしまった…その後はいつも通りの元気さを取り戻し、遊海や翠も安堵していた。

 

 

「……しかしまぁ…付き合って1年でようやく同じベッドで寝るって……2人とも、清すぎないか?」

 

《本来はそういうモノだと思いますよ?まだ2人とも学生なんですから……気が早すぎます》

 

「彩華にそれを言われると……うん、ごめん……さて、起きようか」

 

 

 

 

 

「おはようございます!遊海さん!」

 

「おはよう翠!フォウもおはよう!」

 

《フォ〜ウ…(おはよ〜…)》

身支度を整えた遊海がリビングにやって来る…それを迎えるのはお味噌汁を作る翠と眠気眼のフォウ…いつも通りの白波家の光景だった。

 

 

「遊嗣達はどうするって?」

 

「今日は久しぶりにショッピングモールに行ってみたいって言ってましたね!」

 

「そうか…じゃあ、フォウ!いつも通り起こしてあげてくれ」

 

《フォ〜ウ!(は~い!)》

デート2日目はショッピングを予定しているらしい遊嗣達…それを聞いた遊海はフォウをモーニングコールへと送り出した。

 

 

 

 

「……ねぇ、遊海さん…あの子って……あんなに泣き虫だったかしら…?」

 

「ん…急にどうした?」

フォウを見送った後、翠がふと思った事を口にする…。

 

 

「あの子、赤ちゃんの頃から夜泣きもなくて…人見知りで泣いたのもクロノス先生くらい……転んでも泣かない子だったのに…」

 

「そうだなぁ…凌牙との特訓も笑ってたし…泣いてるのを見たのは……昔、アニメ映画を見に行った時と……俺が死んでた時くらいか??」

 

《いえ、それは機械の私でも泣きますってマスター…(汗)》

翠が思った事…それは遊嗣が泣いた事について…遊嗣が人前で涙を見せたのは、両親である遊海と翠も思い出せる程しかなかったのだ。

 

 

「遊嗣が泣くのって、自分の事…というより、()()()()()()()()が多いんですよ…ほら、マシュちゃんがアナザーに巻き込まれたり、ハノイの塔事件の時とか…」

 

「確かに……悪夢を見てるせいで精神的に不安定になってるのか…?……まぁ、マシュちゃんのおかげで収まっていくさ…ロマンからの報告でも、悪夢を見る頻度は少なくなったらしいし」

 

「ふふっ…そうですね!マシュちゃんと一緒なら、きっと大丈夫!2人の結婚式が楽しみだな〜!!」

 

「……み、翠?翠さん?気が早すぎるよ??俺は学生を卒業するか、成人するまでは許可しないつもりだからな??」

 

「ええ〜…?」

 

「えーじゃないよ、本当に……2人にはもっと広い世界を見て、経験してからにして欲しいからな!それがあの子達の為さ」

Aiオルタ事件後から不安定な様子が残る遊嗣…しかし、2人はそこまで心配していなかった。

2人は知っているからだ…自分の息子の()()と愛する者がいる事の大切さを…。

 

 

 

《おや…?そういえば、フォウが戻ってきませんね?》

 

「ん?そういえば……マシュちゃんも一緒に寝てるから、起こすのに苦戦してるのか?遊嗣には遠慮ナシなのになぁ…」

そんな時、フレアが遊嗣達を起こしに行ったフォウが戻って来ない事に気付く…いつもなら、遊嗣を起こした後に報告に戻ってくるからだ。

 

 

「フレア、頼んで───いや、いい…俺が行こう」

 

《どうしたんですか?マスター…下手に起こしに行くと遊嗣達に嫌われてしまいますよ?2人は今が一番無防備なんですから…》

 

「……確証はないんだが………()()()()がする」

その時、遊海は一抹の不安を覚える。

 

…それは長い時間を生きてきた人間として…数多の戦いを乗り越えた決闘者としての()()──平和な時間が崩れる時の()()を感じ取ったのだ。

 

 

バタバタバタ…

 

 

「あっ、噂をすれば…起きたみたいですよ?」

その時、二階から足音が響く…その様子に翠は安堵していたが───

 

 

 

「ゆ、遊海さん!翠さん!!助けて…助けてください!遊嗣さんが!遊嗣さんが!!!

 

「「っ!!!」」

遊海の直感は当たってしまった……眼鏡を掛けるのも忘れたパジャマ姿のマシュの悲鳴が白波家の平穏な朝を切り裂いた…。

 

 

 

 

 

《フォウ!フォウ〜!!(遊嗣!起きて…起きてよ〜!!?)》

 

「遊嗣…!起きろ!遊嗣!!っ…」

 

「遊嗣さん…なんで、なんでぇ…!?」

 

「泣かないで、マシュちゃん…っ…遊嗣…どうして…!!」

遊嗣の部屋…そこで遊海達はパニックに陥りかけていた。

 

ベッドで仰向けに眠る遊嗣…その鼻や耳たぶにはフォウの噛み跡があり、遊海が体が揺すっても起きる様子はない。

傍らではマシュが泣きじゃくり…翠がそんな彼女をフォローしながらも動揺を隠せないでいた…。

 

 

《メディカルチェック…異常なし、デュエルディスクや周辺機器へのハッキングの形跡なし……医学的には、()()()()()()…と言うしかありません》

 

「ただ、眠ってるだけだと?……そんな訳があるか…!!」

彩華による診断…それによれば遊嗣の体に異常はなく、()()()()()()()だと言う…だが、遊海は遊嗣の身に何事かの異変が起きていると確信していた…!

 

 

《───アヤカ、医学的に異常はなくとも──ユウジの()の輝きが少し鈍っているようです》

 

《ええ、何かしらの精神的…ないし()への干渉…その可能性が高いと思われます》

その時、遊海の肩に止まるフレアが目を細める…「神の眼」が遊嗣の異変の原因を見抜いたのだ。

 

 

 

『フレアや彩華に視てもらうまでもない──これは(オレ)達の案件だぜ、遊海』

 

 

「えっ…?この声、何処から…?」

その時、部屋に少し気怠げな遊海によく似た声が響く…その声の出処を探すマシュ…そんな彼女達の目の前に遊海の体から溢れた()が何かの姿を作り出した…。

 

 

『ん…しまった、()()()の姿で実体化しちまった…慣れって怖いな…』

 

「──クロ、さん…?」

 

《フォッ…!?(きみは…!)》

遊嗣の枕元に現れたのは真っ黒な毛並みに赤い瞳のフォウ…ミラー・リンクヴレインズ事件の時、遊嗣とマシュの窮地を救ったクロ───ユウスケだった。

 

 

「ああ…マシュちゃんは初めてか、こいつはユウスケ…秘密結社ドーマとの戦いの時、俺の心の闇が分裂して生まれた…俺の闇の人格だ、イグニス事件の時はクロって名前で呼ばれてたみたいだな」

 

『音声プログラムがぶっ壊れてて話せなかったんだよ…彩華にまで気付かれないレベルの意識データの破片だったしな』

 

「遊海さんの、闇の人格…!!だから、あの時…ナンバーズを…」

 

『まぁ、そういうこった…ああ、遊嗣には内緒な?自分の父親が二重人格って、なんか嫌だろ?』

フォウの似姿で実体化したユウスケについて軽く紹介する遊海…しかし、その説明だけでマシュはドーマ関連の不可思議な逸話を思い出し、その正体に納得していた。

 

 

「ユウスケ、俺達案件ってどういう事だ?」

 

()()がすんだよ…遊嗣の心の中──()()()から悪いモンが溢れた臭いがな』

 

「排気、口?」

ユウスケが自重をやめてマシュの前に現れた理由…それは遊嗣の異変を嗅ぎ取ったからだった。

 

 

 

『人間は生きていく中で必ず悪いモノを溜め込んじまう…自分が抱いてしまった誰かへの怒り、嫉妬、恐怖…恩讐、さらには出会った相手から受けた悪意や呪詛……そういう自分にとって都合の悪い「悪性情報」を廃棄して、最終的に()()()為のゴミ捨て場…それが廃棄孔だ──(オレ)が勝手にそう呼んでるだけだけどな』

 

「忘れる為の、心のゴミ捨て場……じゃあ、遊嗣さんが目覚めないのは…!?」

 

『ああ…そのゴミ捨て場から遊嗣を蝕む何かが溢れたんだろう、()()はわからないけどな』

遊海の負の感情を取り込んで過ごすユウスケ…その彼が名付けた心のゴミ捨て場──『廃棄孔』…遊嗣が目覚めない原因はそこにあるという…。

 

 

 

「そういう事なら、確かに俺の出番だな…!!精神世界に入り込むのは慣れっこだ…!」

ユウスケの言葉を聞いた遊海はその手の中に金色の神器「千年玉」を喚び出す…心の闇が原因ならば、現世には遊海以上の適任はいないだろう…! 

 

 

「っ…遊海、さん!私も、連れていってください…遊嗣さんの心の中に!!」

 

「マシュちゃん!?」

 

「───マシュ、ダメだ…今回ばかりは危なすぎる」

その時、涙を拭いたマシュが声を上げる…遊嗣を蝕む廃棄孔…その()()から遊嗣を救う為に…。

だが、遊海は険しい表情で首を横に振った。

 

 

「人の精神世界には何が待ち受けているかわからない…それに、受けたダメージは俺達の精神や魂を直接傷付け……最悪は()()、リンクヴレインズみたいな猶予もないだろう……そんな危ない場所に、きみを連れて行く事はできない」

 

「っ…」

それは数多の精神世界で戦いを繰り広げてきた遊海による警告…他者の精神に干渉する、というのは大きな危険を伴うのだ…。

 

 

 

「……でも…それでも!遊嗣さんの為にできる事があるなら、やりたいんです!!これ以上、遊嗣さんにつらい思いをして欲しくないんです!!」

 

「マシュちゃん…」

 

「───わかってはいたけど、止めても無駄か……きみは遊嗣を守る為に、ミラー・リンクヴレインズの戦いに飛び込み、乗り越えたんだもんな……」

しかし、マシュの覚悟は揺らがない…「自分の恋は自分で守る」…それがマシュの戦う理由だからだ。

それをわかっていた遊海は観念したようにため息をついた。

 

 

 

「じゃあ、注意事項だ…千年アイテムによる精神干渉、それは当然現実のモノは持ち込めない…デュエルディスクも、デッキも自分の()()の力で具現化する事になる…だから、常に()()()()をイメージするんだ…どんな敵がいても挫けない、最強の自分を…!」

 

「最強の、自分…」

遊嗣の精神世界に潜る前に注意するべき事を伝える遊海…「自分を強く持つ」…それが、他者の精神世界に入り込むにあたって最も大切な事だからだ。 

 

 

《マシュ…大丈夫です、私も貴女との契約の()()()によって同行できます…露払いはお任せを》

 

「アルトリアさん…!」

そして、精神世界に潜るのは遊海とマシュだけではない…遊海と最も強く繋がる精霊である彩華とフレア、そしてアルトリアも同行できる…!

 

 

《ガサツな我では、遊嗣の心を余計に傷付けかねん…遊海、マシュ…遊嗣を頼む…!》

 

「ああ…!翠、お前はバックアップを頼む…俺とマシュの体が無防備になるからな」

 

「はい!……マシュちゃん、これ…今は貴女が持っていて…きっと、力になってくれるわ」

 

「これ…遊嗣さんのアクセサリー……ありがとうございます!」

遊嗣を救う為の戦いに挑む2人へ願いを託すメガロック…そして、現実世界でのバックアップを任された翠はマシュに遊嗣の持つ『聖剣のアクセサリー』を託した…。

 

 

「遊嗣…待ってろよ…!千年玉よ…俺達を遊嗣の心の中へ導け!!」

 

「遊嗣さん…待っていてください!!」

 

キィン─!!

 

千年玉から放たれる光が部屋を包み込む…そして、遊海とマシュは遊嗣の精神世界へと飛び込んだ…!

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 

 

「っ……あ、あれ…?ここって…遊嗣さんの、部屋…?」

 

「ここは心の部屋…精神世界、その一番浅い場所にある…その人の内面を示す場所だ…千年アイテムの干渉だと、最初はこの場所に出る事が多いんだ」

マシュが目を開けた時、景色は()()()()()()()()()

窓の外は暗いものの…ベッドには眠り続ける遊嗣の姿がある……2人は遊嗣の心の部屋に降り立ったのだ。

 

 

「これ…姿が……」

 

「その姿がマシュちゃんのイメージする『最強の姿』って事さ」

そして、遊海とマシュの姿も変わっていた。

遊海はジャージ姿から自分を象徴する赤帽子・赤ジャケットの姿に…マシュはパジャマ姿から──リンクヴレインズのアバターである暗紫色の鎧を纏う、女性騎士の姿に変わっている。

 

 

 

『や、やぁ…遊海君、マシュ…そろそろ、来てくれると思っていたよ…』

 

「っ…マーリンさん!!」

 

「マーリン!!その傷は!?」

その時、心の部屋に疲れ果てた青年の声が響く…その正体は──全身に浅い傷を負った花の魔術師、マーリンだった…。

 

 

《マーリン!?肉体労働が嫌いな貴方が…何があったのです…!夢の中は貴方の庭のようなものでしょう…!?》

 

『やあ、アルトリア……庭は庭なんだけど…ちょっと、()()が多すぎてね…巌窟王みたいにはいかないものだ…』

ボロボロのマーリンを支えるアルトリア…マーリンは夢の世界の住人たる『夢魔』の混血、その彼が夢の世界でダメージを負った事が信じられなかったのだ。

 

 

『簡潔に、状況を伝えるよ……まず、遊嗣君の精神(ココロ)は無事だ…私のクロロホルム魔術で深く眠らせている…そして、この心の部屋を隔離して、戦いながら耐えていたんだ……廃棄孔から溢れ出した()()()()()の大群からね…』

 

「悪夢の残骸…!?」

マーリンが語る現在の状況…それは遊嗣の異変を示していた…。

 

 

『今夜、遊嗣君の心は一番()()()だった…マシュの成長、悪夢の克服…愛する者と過ごす事による穏やかな睡眠……僕好みの幸せな一場面…それを、廃棄孔から飛び出した悪性情報が台無しにしようとしてね…それが我慢ならなくて、柄にもなく無茶をしてしまったよ……幸い、()()が今も残骸を相手に戦ってくれている…遊海君、あとは…任せてもいいかな…?』

 

「っ…わかった…!フレア、お前はマーリンのサポートを頼む!心の部屋を守ってくれ!」

 

《わかりました!!》

無防備であった遊嗣の心…そこに襲いかかった悪性情報と戦ってくれていたというマーリン…その話を聞いた遊海はフレアに守護を任せ、心の部屋のドアノブに手をかける…!

 

 

『───マシュ、この先にはきみが経験した事のない()()が待ち受けている……それでも、挫けてはならないよ──遊嗣君を助けられるのは、キミと遊海君だけだ』

 

「っ……私は、絶望なんてしません…もう、それは()()()()()()()から!」

 

『───ははっ…ああ、やっぱり──恋する女の子は()()だね』

マーリンの助言を受けたマシュはまっすぐと応える…彼女の抱く希望のエネルギーはマーリンの傷を優しく癒した…。

 

 

 

………

 

 

 

「これ、は……!?」

 

「っ…なんで、遊嗣の心の中がこんな事に!?」

部屋の扉を抜けた先、そこは遊嗣の心象世界…本来なら満月の照らされたスターダスト・ロードが輝く、穏やかな海辺…()()()()()()

 

 

だが…そこは()()へと変わっていた。

 

 

夜空を照らすのは血で染めたかのような紅い月…そして、穏やかな海辺は無数の小さな赤い光に覆い尽くされていた…。

 

 

 

その赤い光の正体は────

 

 

 

「流石に、グロいにも程があるぞ…!!遊戯王はいつからゾンビパニックになった…!!いや、異次元のデュエルアカデミアで経験したっけ…」

 

「っ…ビットブートに、気持ち悪い蟲が…!?」

マーリンが『悪夢の残骸』と呼んだモノ…それは無数の()()だった。

 

姿のベースは光のイグニス・ライトニングの尖兵、ビットブート…そこにアカデミアで対峙した寄生蟲『パラサイト・フュージョナー』が歪に融合した()()()…それが海から現れては進軍する…まさに、ホラー映画の怪物の様相だった…。

 

 

「悪夢の残骸ってのも納得だ…これが、遊嗣を蝕んでいた悪夢の正体か…!!」

その光景を見た遊海は拳を握り締める…遊嗣の精神世界がこんな状態になるまで気付けなかった自分の不甲斐なさに腹が立ったのだ…!

 

 

ズドン!!!

 

 

「っ…なんだ!?」

 

「あれは──『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』です!!」

その時、地面を覆う怪物の群れの一角が吹き飛ぶ…その中から姿を現したのは二色の眼の龍…『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』だった…そして、彼だけではない…!

 

 

《グギャアアアン!!》

 

《グルルルァァァ!!》

 

《ギシャアアアア!!》

 

《ゴオアアアア!!!》

 

 

「四天の龍達が…!!」

 

「そうか…遊嗣の心を守る為に、ドラゴン達が戦い続けてくれていたのか…!!」

 

 

戦場を螺旋の炎が照らし、紫電の顎が切り裂き、翡翠の翼が駆け抜け、紫毒の牙が喰い破る…遊嗣の平穏を蝕む怪物を四天の龍達が吹き飛ばしていく…!

 

 

『っ…遊海、さん…』

 

「───ズァーク!!」

そして、怪物の群れから人影が飛び出す…それはボロボロになった『EM天空の魔術師』の鎧を纏った銀髪の青年──遊嗣の『覇王人格』として受け入れられたズァークだった。

 

遊海も遊嗣を通じて『ズァークの意識が自分に宿っている』とは聞いていたが…こんな形で再会するとは思っていなかった…。

 

 

『マーリンの、言う通りだ…貴方なら、きっと来てくれる…信じて、た…』

 

「ズァーク!しっかりしろ…!」

体力の限界で崩れ落ちてしまうズァーク…その体を遊海が慌てて支える…。

 

 

『最初は、「覇王龍」としてアレを蹴散らし、続けてたけど…数が、減らなくて……このままじゃ、遊嗣が……』

 

《ならば…さらなる力で一気に吹き飛ばしましょう…!ユウミ!貴方の聖剣を!!》

 

「セイバー───ああ、それが一番手っ取り早い!!!」

ズァークの言葉を聞いたアルトリアが星の聖剣を解き放つ…その意図を察した遊海は魂の大剣たる『No.∞決闘の守護者(デュエル・ガーディアン)』を喚び出す!!

 

 

《束ねるは星の息吹…!輝ける命の奔流!!》

 

「この一撃は絶望を裂き、世界を照らす希望の光!!」

 

遊海とアルトリア…2人の詠唱と共に光の粒子が聖剣に集中する!!

 

 

《受けるがいい!約束された(エクス)──勝利の剣(カリバー)──!!》

 

「闇を祓え!!勝利へ導く(デュエル)──決着の剣(カリバー)──!!」

 

 

振るわれるのは絶望を斬り裂く星光の斬撃と最善を掴む決闘者の魂の一撃…それは地面を埋め尽くす怪物達を一瞬にして消し去った…!!

 

 

 

 

「す、すごい…!!これが、遊海さんの全力…!!」

初めて、遊海による全力攻撃を目の当たりにしたマシュが目を輝かせる…VRAINSの戦いにおいて、遊海はその力を振るう機会がほとんどなかった…だが、今ならばそれを止める枷はない!

 

 

『っ…気をつけ、て…!たまに、()()が混じってくる…!!』

 

「大物…!?」

 

《ユウミ!マシュ!警戒を…!来ます!》

しかし、その時ズァークが注意を促す…そして…黒い海から異形の電脳竜と巨大な寄生蟲が無数に現れる!!

 

 

「ハノイの騎士の『クラッキング・ドラゴン』!!」

 

「それに『パラサイト女王(クイーン)』か…!!確かに、これじゃキリがない!!」

現れるのは遊嗣が対峙した事のあるモンスター達…それに続いてキメラ達も再出現する…!!

 

 

 

「っ…セイバー!もう一撃!彩華も合わせてくれ!!」

 

《了解です!!》

 

《いきます!!》

再び聖剣を構える遊海とアルトリア…その時だった──

 

 

 

001

 

 

 

貴様らの呪いを返してやろう…!!

 

 

 

「ひっ…!?ああ…あああっ…!?」

 

「っ!?マシュ!?」

心象世界に低い女性の声が響く…それを聞いたマシュは震えが止まらなくなり、地面にへたり込む…!

 

 

溶け落ちるがいい!!強制封印/万魔神殿(パンデモニウム・ケトゥス)!!

 

 

「「《なっ…!?》」」

遊海達の背後から放たれるのは赤黒い破壊光線…それは遊海達の頭上を掠め、大地を埋め尽くす怪物を溶解させ、消し飛ばした…!!

 

 

 

 

「お、おい…!?今のは、まさか…!?」

 

《……蛇身女神、ゴルゴーン…!?》

その巨大さと周囲の暗さや敵影の多さによって、遊海達はその()()にすぐには気付けなかった…遊海達の背後……そこには巨大な半人半蛇の怪物…『iNo.0蛇身女神ゴルゴーン』が魔眼を輝かせていた…!

 

 

 

 

ADVENT BEAST

 

人類悪 顕現

 

 

 

 

 

「あっ…ああっ…!?」

 

《っ…マシュ!しっかりするのです!!恐怖に呑まれてはいけません!!》

その姿を見たマシュは体の震えを押さえられない…自分と遊嗣に()()()()を突き付けた怪物の出現は彼女の()()()()になってしまっていた…。

 

 

「前門の怪物の大群に、後門の人類悪…!!いつかのハートランドじゃないんだぞ!?」

絶望的な光景に流石の遊海も冷や汗を流す…物量(キメラ)(ビースト)、それを同時に相手にするのは──歴戦の英雄であっても()()()だった。

 

 

 

《■■■■■■!!!》

 

《っ…マスター!!》

 

「やべっ…!?」

そして…遊海の動揺を突いたキメラが遊海へと飛びかかる、遊海は魂の大剣を構え直し───

 

 

ザンッ

 

 

【───邪魔よ】

 

《■─────》

 

「っ…」

瞬間、キメラの首が飛ぶ……巨大な鎌がその命を刈り取る、そんな事ができるのは────

 

 

「ネーム、レス……」

 

【久しぶりね…遠い貴方……私は、()()…それでも、覚えてる…貴方が、私を救おうとしてくれた事を……】

大鎌を担ぐのは顔の見えない白髪の女性──遊海のトラウマから再現された『人類悪』──シャドウ・ネームレス……しかし、その様子に敵意はない。

 

 

【あの子を、守りたいの……あの人と同じ、優しい目をしたあの子を……もう、苦しめたくないの……】

 

「あっ……」

おそらくはキメラ達と同じ、悪夢の残骸から生まれたのだろうシャドウ・ネームレス…だが、その意思は──遊嗣を守る為に向けられていた。

 

その様子を見たマシュは思い出す…遊嗣達によって倒された彼女が消える間際に見せた──穏やかな笑顔を…。

 

 

 

「……ありがとう、お前の力を貸してくれ…ミドリ──彩華!!セイバー!!!」

 

《ええ…!今度こそ!!》

 

『オレだって、これぐらいなら!!四天の龍よ!!今一度、1つに!!』

 

《真体、顕現します!!》

さらなる援軍を得た遊海が号令を掛ける…!!

 

 

 

約束された(エクス)──勝利の剣(カリバー)──!!》

 

勝利へ導く(デュエル)──決着の剣(カリバー)──!!》

 

強制封印/万魔神殿(パンデモニウム・ケトゥス)!!】

 

《ネクサス・アーク・キャノン!!》

 

『クライシス・バースト!!』

 

 

地獄を斬り裂くのは二振りの聖剣、魔眼の光、虹色の破壊光線と覇王龍の息吹…現実世界ならば星を砕きかねない最強の合体攻撃は無数の怪物達…そして、その発生源になっていた暗い海さえも蒸発させた!!

 

 

 

 

 

「す、すごい…」

 

「ぜぇ…ぜぇ……流石に、キツいか…」

 

《私は、まだ余裕があります…!マシュが持っている鞘の、おかげですね…》

 

『ごめん…オレ達は、もう…ムリ……遊嗣が、眠ってるから…半分しか、力が……』

 

【お腹、空いちゃった…】

敵影全てを消し飛ばした遊海は苦しげに膝をつく…アルトリアは気合いで戦闘態勢を保ち、『覇王龍』から分離したズァークと四天の龍達は地面に崩れ落ちる…シャドウ・ネームレスも消耗が大きいようだった…。

 

 

《っ…この識別パターンはっ…!!マスター!!虚無の邪神…ダークネスが出現します!!!》

 

「なんっ…!?」

その時、警戒を続けていた彩華が警告を発する…蒸発した暗い海…その靄が一か所に集中───ありえざる()の姿を作り出す…!

 

 

 

滅びよ…滅びよ…!決闘者(デュエリスト)共…!!!

 

「っ──!!!何度も何度も出てくんなっ!!このクソったれぇぇっ!!!

現れるのはボロボロの黒いローブを纏った山羊の頭蓋骨を持つ『虚無の邪神』…その姿を見た遊海が思わず怒りの叫びを上げる…!!

 

 

 

「あれが、ダークネス…!」

 

《本体ではありません…おそらく、歴史改変の際に遊嗣が戦ったダークネスの()()…!それが遊嗣の精神に負荷をかけていたのです…!》

禍々しい気配を放つダークネス…否、悪夢の化身たるナイトメア・ダークネス…それが今回の事件の原因と思われた…!

 

 

「よくも、遊嗣を!!今度こそ…ぐっ…!?」

 

《ユウミ!っ…精神世界での戦いは、思った以上に負荷がかかるのですね…!?》

因縁の相手たるダークネスを今度こそ滅するべく立ち上がろうとする遊海…だが、立ち上がる事ができずにアルトリアに支えられる…。

 

肉体のない精神世界での戦いは()()()()のぶつかり合い…不死身の肉体による継戦が得意な遊海であっても、この世界での消耗は無視できない…!

 

 

 

「っ…遊海さん…!私が戦います!!アルトリアさん!お願いします!!」

 

《──ええ!虚無の神はデュエルによって退けるもの──そう聞いています!!》

 

「マシュ…!!」

その時、消耗の激しい遊海達を庇う為、マシュが前に出る…!

 

 

「私は、遊海さんや遊嗣さんみたいに強い力では戦えません…でも、デュエルモンスターズなら…条件は同じです!!」

遊海達の逸話を調べ、話を聞き…そして、遊嗣と共に戦ったマシュは知っている…相手が神や悪魔であったとしても──デュエルモンスターズはその差を覆すだけの力があるのだと!

 

 

「っ…不甲斐ない…!マシュ!きみならダークネスも倒せる!頑張れ!!」

 

「遊海さん…!ありがとうございます!!」

体力の回復を急ぎながら、マシュへと声援を送る遊海……憧れの英雄からの応援を受けたマシュは虚無の邪神へと立ち向かう!

 

 

 

【我が慈悲を受け入れよ…喜びも、悲しみもない虚無の安寧を…】

 

嫌です!!私は…遊嗣さんと一緒に、未来へと歩み続けます!!!」

背中に歪な翼を広げながら慈悲を騙るダークネス…だが、マシュは遊嗣を助ける為に虚無の世界の誘惑をキッパリと切り捨て…遊嗣を救う為の戦いが始まった!!

 

 

 

 

 

ADVENT BEAST

 
人類悪 陥穽

 

 

 

 

 

【「デュエル!!」】

 

ナイトメア・ダークネスLP4000

マシュLP4000

 

 

・マスタールール(新)適用

モンスターゾーンに融合・S・Xモンスターを特殊召喚可能

魔法・罠ゾーンの右端・左端がペンデュラムゾーン兼用化

 

 

 

 

【我のターン…】

【我は魔法カード『二重召喚』を発動…我はこのターン、2回の通常召喚が可能になる…我は『ダークネス・アイ』を召喚】

眼球を視神経ごと引き出したような姿の悪魔が現れる! ATK0

 

【『ダークネスアイ』が存在する時、モンスター1体をリリース無しで召喚できる…我はレベル6の『ダークネス・ブランブル』を召喚】

無数の眼球が実った悪魔の木が現れる! ATK2000

 

 

【さらに我はフィールド魔法『ダークネス』を発動…デッキから5枚の罠カードをランダムにセット…このセットカードは自分では確認できない】

 

「カードを、ランダムに…!?」

紅き月が闇の中に消え去り、ダークネスの背中の翼に5枚のカードが浮かび上がる…!

 

 

【我は、これでターンエンド】

 

ナイトメア・ダークネスLP4000

ダークネスアイ ブランブル ダークネス 伏せ5 手札1

 

 

 

「(空気が、ピリピリする…それに、私を飲み込もうとするみたいな()()……でも、私は負けられない…!遊嗣さんを助ける為に!!)──いきます!!」

ナイトメア・ダークネスの放つ殺気と底知れない気配に弱気になりそうになるマシュ…だが、彼女は恋人を守る為に気持ちを奮い立たせる!!

 

 

 

 

「私のターン!ドロー!!」

「私は『聖騎士イヴァン』を召喚!!」

深緑色の鎧を纏う騎士が現れる! ATK1700

 

「さらに装備魔法『聖剣カリバーン』を『イヴァン』に装備!攻撃力は500アップして、1ターンに1度500ライフを回復できます!そして『イヴァン』の効果発動!自分が『聖剣』を装備した時、攻撃力1000の『聖騎士トークン』1体を特殊召喚!」

それはマシュの得意とするプレイング…運命の聖剣が彼女のライフを回復し、騎士の相棒たる獅子が現れる! ATK1000

 

 

マシュLP4000→4500

 

 

「出てきてください!想いを繋ぐサーキット!召喚条件は戦士族モンスター2体!私は『聖騎士イヴァン』と『聖騎士トークン』をリンクマーカーにセッティング!サーキット、コンバイン!現れて!Link-2!『聖騎士の追想イゾルテ』!」

数奇な運命に翻弄された2人のイゾルテが現れる! ATK1600 ↙↘

 

 

「『イゾルテ』の効果発動!自身がリンク召喚に成功した時、デッキから『聖騎士の三兄弟』を手札に加えます…ただし、この効果で手札に加えたモンスターはこのターン、召喚・特殊召喚できず、効果を発動できません…さらに、2つ目の効果!私はデッキから『聖剣アロンダイト』『聖剣ガラティーン』『聖剣EX-カリバーン』『聖剣クラレント』を墓地に送る事で、デッキから墓地に送った『聖剣』装備魔法の枚数以下のレベルの『聖騎士』モンスター…レベル4の『聖騎士ガラハド』をデッキから特殊召喚します!」

イゾルテの導きによって白銀の鎧を纏う聖騎士が現れる! ATK1500

 

墓地送り

 

聖剣アロンダイト

聖剣ガラティーン

聖剣EX-カリバーン

聖剣クラレント

 

 

【その時、我は永続罠『虚無』を発動『虚無』の効果により、さらに永続罠『無限』を発動】

 

「っ!?伏せカードはランダムに伏せられて、フィールド魔法『ダークネス』の効果で場所は確認できないんじゃ…っ!!モンスター効果!!」

 

「っ!気をつけろマシュちゃん!!永続罠『ダークネス』の効果が発動する!!!」

順調な展開を続けるマシュ…だが、それを阻む為にダークネスは自身の力を解放する…!

 

 

【『無限』の効果によりこのカードと『虚無』の間に伏せられたカード全てを発動する…虚無と無限の間を埋めるモノ…それがダークネス…!我は永続罠『ダークネス1』『ダークネス3』『ダークネス2』を発動…最初に発動した『ダークネス1』の効果により、汝の『イゾルテ』と『ガラハド』を破壊する】

 

「そんなっ…!?」

邪悪な稲妻がマシュの聖騎士達を一掃する!

 

 

「でも…まだ、できる事はあります!!私はフィールド魔法『聖騎士と聖剣の巨城』を発動!!」

展開を阻止されたマシュはフィールド魔法を発動…暗黒の世界に妖精によって建てられた白亜の城──キャメロットがそびえ立つ!

 

「『聖騎士と聖剣の巨城』の効果発動!メインフェイズにこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで除外する事で、デッキからフィールド魔法『円卓の聖騎士』を発動!さらに、その後!デッキから『聖騎士アルトリウス』を特殊召喚できます!!」

 

《虚無の神であろうと…彼らの道行きを阻むなら、叩き斬る!!》

キャメロットの導きにより青いドレスを纏う少女騎士が現れる! ATK1800

 

 

「バトル!『アルトリウス』で『ダークネスアイ』を攻撃!!」

 

《斬り捨てる!!》

アルトリアが聖剣で目玉の悪魔を斬り捨てる!

 

ダークネスLP4000→2200

 

 

「まずは、一撃…!私はカードを2枚伏せて、ターンエンド…!!」

 

【『ダークネス・ブランブル』の効果発動…お互いのエンドフェイズに自分のライフが4000を下回っている時、自分のライフを4000にする…さらに、フィールド魔法『ダークネス』の効果発動…自分フィールドの罠カードを全てセットし、ランダムな場所に伏せ直す】

 

「そんなっ…!?」

 

 

ダークネスLP2200→4000

 

 

マシュLP4000

アルトリウス 円卓の聖騎士 伏せ2 手札2

 

 

 

 

「っ〜…!!なんで、ランダムセットなのに毎度毎度、俺達の嫌な効果ばっかり発動するんだ…!!マシュちゃん!ダークネスは発動順で効果の変わる3枚の永続罠を発動する!だが、奴の魔法・罠カードを1枚でも破壊すればフィールド魔法『ダークネス』のデメリット効果で盤面が崩れる!とにかく耐えるんだ!!」

 

「っ…はい!!」

幾度となく遊海達の前に現れるダークネス…その戦法を嫌というほど味わってきた遊海はマシュに最大限のアドバイスを送る…!

 

 

 

 

【我のターン、ドロー】

【『ダークネス・アウトサイダー』を召喚】

不気味な花の悪魔が現れる! ATK0

 

【『ダークネスアウトサイダー』の効果発動…手札の『ダークネス・シード』を墓地に送る事でこのカードを相手のデッキに加え、相手のデッキのモンスター1体を我のフィールドに特殊召喚する…我が選ぶのは──『魔聖騎士ランスロット』!】

 

「なっ…!?私のモンスターを!?」

悪魔の花の花弁の奥から不気味な触手が放たれる、それはマシュのデッキに突き刺さり…湖の騎士をデッキから引き摺り出す! ATK2000

 

 

【バトルだ…『魔聖騎士ランスロット』で『アルトリウス』を攻撃!】

 

「っ…速攻魔法『栄光の聖騎士団』を発動!自分フィールドの『聖騎士』モンスターが装備できる『聖剣』装備魔法をデッキから装備します!私は『天命の聖剣』を『アルトリウス』に装備!!装備モンスターは1ターンに1度、戦闘では破壊されません!!」

 

《くっ…!ランスロット卿…!!マシュ、感謝します…!!》

聖剣アロンダイトをアルトリアに叩き付けるランスロット…しかし聖なる盾の加護で破壊は免れる…!

 

マシュLP4000→3800

 

【『ダークネス・ブランブル』で『アルトリウス』を攻撃…さらに永続罠『無限』続けて『虚無』を発動…その効果により永続罠『ダークネス2』『ダークネス3』『ダークネス1』を発動…『ブランブル』の攻撃力を3000ポイントアップさせる!】

 

「っ─!!罠カード発動!『ダメージ・ダイエット』!!このターン私が受けるダメージを全て半分にっ、きゃああああああ!!?」

 

《マシュ!!ぐううっ!?》

 

「マシュ!!セイバー!!」

ブランブルの放った光線がマシュ達を容赦なく吹き飛ばす!!

 

 

ダークネス・ブランブル ATK2000→5000

 

マシュLP3800→2200

 

 

【我はこれでターンエンド…フィールド魔法『ダークネス』の効果により、罠カードはランダムにセットされる】

 

 

ダークネスLP4000

ブランブル ランスロット ダークネス 伏せ5 手札1

 

 

 

 

「ううっ…あ…?手、が……手が…透け、て…?」

 

「マシュ!マシュちゃん!しっかりしろ!!」

全身を襲う激痛に耐え、立ち上がろうとするマシュ…しかし、その手は()()()()()いた…掌の先に、暗い地面が透けて見えてしまっていたのだ…。

 

 

「(ああ…感じる……このままライフが0になったら、私は()()…生きる為の力が、体から零れていく……)……怖い……遊嗣さん……怖いっ……!!」

 

「っ─!!(当然だ…!あの子は、()()()()()()()()()()()()なんだ…!やっぱり、あの子を連れてくるべきじゃなかった!!!)」

マシュの口から漏れる恐怖…それを聞いてしまった遊海は後悔した…()()()()()マシュ・キリエライトは戦う存在ではない…恋人を助けたいと願う、普通の女の子でしかないのだ…!

 

 

 

「…怖い……だけど、()()()()()から…!本当に、怖いのは……()()()()()()()()、だから…!!こんな、痛み…こんな、恐ろしさ……遊嗣さんが経験した怖さに比べたら…痛みや苦しみに、比べたら…!!私は、まだ……戦える!!!」

マシュは震え、透け始めてしまった足に力を込めて立ち上がる。

 

彼女は覚えている…Aiオルタの失策によって命を落としかけた遊嗣を前に、何もできなかった()()を…自分の命を失う事よりも恐ろしいものを…。

 

そして…知っている───諦めなければ、必ず希望は残されているのだと!!

 

 

 

「私のターン!ドロー!!」

「スタンバイフェイズに、除外されていたフィールド魔法『聖騎士と聖剣の巨城』を発動!!」

 

【その瞬間、我は永続罠『虚無』さらに『無限』を発動…さらにその間に伏せられた永続罠『ダークネス3』『ダークネス1』『ダークネス2』発動…相手に3000ダメージを与える…!】

 

「なっ…!?墓地の罠カード『ダメージ・ダイエット』の効果発動!!墓地のこのカードを除外し、このターン受ける効果ダメージを半分にします!!っ…あああああっ───!!?

 

「マシュちゃん!!!」

再び放たれる災厄のコンボ…邪悪な稲妻がマシュの命の灯火を削り取る…!!

 

マシュLP2200→700

 

 

 

「く、うっ……遊嗣、さん……私に、力を…貸して…!!『聖騎士の三兄弟』、召喚…!!」

満身創痍のマシュ…彼女は途切れそうな意識を必死に繋ぎ留め、三人組の騎士を喚び出す! ATK1200

 

「『三兄弟』の、効果発動…このターン、『聖騎士』モンスターしか特殊召喚できなくなる代わりに、手札から…『聖騎士べディヴィエール』を、特殊召喚…!!」

アーサー王の忠臣たる騎士が現れる! ATK1600

 

 

「『三兄弟』の、効果…発動…!墓地の『イゾルテ』『イヴァン』『聖剣アロンダイト』をデッキに戻して、1枚ドロー…そして、私は、レベル4の『三兄弟』と『ベディヴィエール』で、オーバーレイ…エクシーズ、召喚!!現れて、ランク4!『聖騎士王アルトリウス』!!」

 

《この戦いの先に、勝利を!!》

銀河の爆発の中より聖剣を輝かせる騎士王が現れる! ATK2000

 

デッキ戻し

聖騎士の追想イゾルテ

聖騎士イヴァン

聖剣アロンダイト

 

 

 

「『アルトリウス』の効果、発動…!墓地の『天命の聖剣』『聖剣カリバーン』『聖剣ガラティーン』を、装備…!攻撃力を1500アップ…!!」

三本の聖剣が騎士王を守護する!

 

聖騎士王アルトリウス ATK2000→3500

 

 

「『聖剣カリバーン』の、効果発動…!1ターンに1度、ライフを500回復、します…!」

選定の剣の魔力がマシュの傷を癒す…。

 

 

マシュLP700→1200

 

 

「そして…『聖騎士王アルトリウス』の効果、発動…!1ターンに1度、ORUを1つ使い…装備している『聖剣』装備魔法1枚につき1枚、相手フィールドの魔法・罠カードを破壊します…!私は、フィールド魔法『ダークネス』と『ダークネス1』『ダークネス2』を、破壊!!」

 

《風よ…吼え上がれ!!風王鉄槌(ストライク・エア)!!》

 

【フィールド魔法『ダークネス』の効果により、自分フィールドの魔法・罠カード全てを破壊する…】

風の鉄槌がダークネスのフィールドで吹き荒れる!!

 

 

 

「さらに、墓地の『聖剣EX-カリバーン』の、効果発動…!墓地のこのカードを除外して…自分フィールドの『聖騎士』エクシーズモンスター1体に、カード名の違う『聖騎士』エクシーズモンスターを重ねて…エクシーズ召喚扱いで特殊召喚します!!私は、ランク4の『聖騎士王アルトリウス』で、オーバーレイ・ネットワークを再構築…ランクアップ、エクシーズチェンジ!!現れて、ランク5…!『神聖騎士王アルトリウス』!!」

 

《マシュ…!貴女の歩む道に、勝利を!!》

そして、アルトリアが最強の騎士王としてフィールドに降臨する! ATK2200

 

 

「『神聖騎士王アルトリウス』の、効果発動…!墓地の、『聖剣カリバーン』『聖剣ガラティーン』『天命の聖剣』を、装備!そして…『聖剣カリバーン』の効果で、ライフを500回復します…!!」

癒しの魔力がマシュの命を繋ぎ留める!

 

神聖騎士王アルトリウス ATK2200→3700

 

マシュ LP1200→1700

 

 

「はぁ…はぁ…!!『神聖騎士王アルトリウス』の効果、発動!ORUを1つ使い!相手モンスター1体を破壊します!『魔聖騎士ランスロット』を破壊!!」

 

《許せ、ランスロット卿…!!ストライク・カリバーン!!》

黄金の聖剣が闇に囚われし騎士を斬り捨てる!

 

 

「確実に、一歩ずつ!!バトル!!『神聖騎士王アルトリウス』で『ダークネス・ブランブル』を攻撃!!」

 

《虚無の神よ、見るがいい!この灯りは星の希望…地を照らす命の証──!!!》

マシュとアルトリア…2人の全霊と共に星の聖剣に光が集う──!!

 

 

 

【相手の攻撃宣言時、手札の『ダークネス・レインクロー』の効果発動…!手札のこのカードとフィールドの『ダークネス・ブランブル』を墓地に送り、デッキから『ダークネス・ネオスフィア』を特殊召喚する!】

 

「このタイミングで、新たなモンスターを!?」

しかし…ダークネスは自身の切り札、赤い髪の異形の悪魔を喚び出した! ATK4000

 

 

「そんな…攻撃力、4000…!?」

 

《くっ…!?》

異形の悪魔の登場によってエクスカリバーから光が失われていく…。

 

 

「私は、カードを1枚伏せて、ターンエンド…」

 

マシュLP1700

神聖騎士王アルトリウス(カリバーン ガラティーン 天命) 聖騎士と聖剣の巨城 伏せ1 手札1

 

 

 

 

 

「う、ううっ……」

 

「マシュ…!!(『天命の聖剣』を装備したセイバーなら、1ターンは攻撃に耐えられる…だが…ダークネスがそんな甘い手を打つはずがない…!!)」

ふらつく体を必死に支えながらダークネスと対峙するマシュ…その姿を遊海はただ見ている事しかできない…!

 

 

 

【────ねぇ…遠い貴方…お願いが、あるの…】

 

「っ…ネームレス…?」

その時、事態を見つめていたシャドウ・ネームレスが遊海へと声を掛ける…。

 

 

【私を、()()()()()()()()?】

 

「っ…!?」

 

『は…!?お、お姉さん、状況わかってます!?』

シャドウ・ネームレスの願い…それを聞いた遊海は思わず目を見開き、ズァークも思わず声を上げてしまう…!

 

 

 

「───()()、なんだな?」

 

【ええ…お願い…】

 

「お前──いいや、きみなら…翠も許してくれるよ」

 

『お、あ…ちょっと!お二人さん!?』

遊海にシャドウ・ネームレスの意図は分からない…だが、そのまっすぐな意思を感じた遊海は…彼女の氷のように冷たい体を静かに抱きしめた…。

 

 

 

【────ああ……温かい………私は、ずっと…帰りたかった……ただ、()()()と…生きていたかった……】

 

 

 

 

 

 

 

【我のターン…ドロー】

【『ダークネス・ネオスフィア』の効果発動…!1ターンに1度、相手フィールドの表側表示の魔法・罠カードを全てセット状態にし、ランダムに並べ直す】

 

「っ!?させません!!手札の『アヴァロンの魔女 モルガン』の効果発動!自分フィールドに『聖騎士』モンスターと『聖剣』装備魔法が存在し、相手がモンスター・魔法・罠カードの効果を発動した時!手札のこのカードを墓地に送り、自分フィールドの『聖剣』装備魔法、『聖剣カリバーン』を破壊する事でその効果を無効にします!!」

 

《消えなさい》

異形の悪魔から放たれた黒い魔力がアルトリアに襲いかかるが…天空から降りそそぐ無数の槍が干渉を阻む!

 

 

「そして、破壊された『聖剣カリバーン』は1ターンに1度、『聖騎士』モンスターの『神聖騎士王アルトリウス』に再び装備できます!」

 

聖騎士王アルトリウス ATK3700→3200→3700

 

 

 

「(相手のモンスターの攻撃力は、4000…この一撃は、まだ耐えられる……次のターン、『アルトリウス』の効果で…相手モンスターを破壊して…ドローか、罠カード『聖剣の導く未来』でモンスターを引き当てられれば…勝てる…!!)」

 

【汝、勝利を確信したな?…しかし、大きな希望は足元から崩れ去り、さらなる絶望を呼ぶ──我は装備魔法『巨大化』を『神聖騎士王アルトリウス』に装備する】

 

「『巨大化』…?装備モンスターの攻撃力を2倍にする装備魔法を、私のモンスターに…?」

 

「しまっ…!?マシュちゃん!!」

フィールドの状況を確認し、ダークネスへの勝利の道筋を見つけるマシュ…だが、ダークネスには既に──その希望を刈り取る準備が整っていた…。

 

 

【装備魔法『巨大化』…その効果により装備モンスターの攻撃力は2倍となる…ただし、その効果が発動するのは自分より相手のライフが()()()()()()()のみ…自分のライフが相手より多ければ───装備モンスターの攻撃力は()()となる】

 

「あっ…!?」

 

《っ──しまっ、た…》

それは、デュエルモンスターズ黎明期から存在する装備魔法が持つデメリット効果…太古の魔力がアルトリアを弱体化させ、聖剣が手元からこぼれ落ちる…!

 

 

神聖騎士王アルトリウス ATK3700→1850

 

 

「そん、な……」

 

【さらばだ、穢れなき魂を持つ者よ…希望も絶望もない、虚無の世界に身を委ねるがいい……バトルだ、『ダークネス・ネオスフィア』で『神聖騎士王アルトリウス』を攻撃…】

 

「マシュ!!!」

世界の景色がゆっくりと流れていく。

 

 

 

異形の悪魔が首を反転させ、禍々しい目玉が露わになる。

 

 

遊海がマシュへと駆け出す…だが、間に合わない…間に合ったとしても、何もできない。

 

 

禍々しい目玉が輝く…その目玉から放たれる怪光線は、確実にマシュの命を終わらせるだろう……何故ならば、このダークネスは()()──魂を虚無の世界に導く力など無いのだから。

 

 

 

 

 

「────遊嗣さん、ごめんなさい………貴方を、守りたかったのに……貴方と、一緒に…未来に行くって…約束したのに…!!」

マシュの瞳から涙が一滴、零れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──大丈夫、あなたは死なないわ……だって、あなたには大切な人が待っているんだもの…約束、ちゃんと守ってあげないとね?──

 

 

 

 

 

 

 

Side???

 

 

 

 

 

 

 

《マスター……マシュ!!しっかり!!》

 

「えっ…?アルトリア、さん…?」

気付いた時、マシュは見覚えのない──静かな水面の上のような床に立っていた。

周囲に広がるのは天の川が照らす夜の空…そして、水平線の彼方に光が見える…そして、目の前には青いドレス姿のアルトリアの姿あった。

 

 

 

「アルトリアさん…デュエル、は?私は…どうなって…?」

 

《…わかりません…私も、気付けばこの場所に引き込まれていました……しかし、おそらく…ここは───》

 

『ここはね、()()()()()()……生と死、夢と現実の狭間……まぁ、不思議な場所って思ってくれていいわ』

 

「《っ…!?》」

突然の事に戸惑うマシュとアルトリア…そこへ声が響く…その声の主は地面につくような長い白い髪を持つ、黒いワンピースを着た女性だった…。

 

 

「あなたはもしかして…シャドウ・ネームレス…さん?」

 

『そう、白波遊海のトラウマから生み出された…愛も、名前も喪った怪物……その()()…そして、絶望の中にいる貴女を導く者』

白い髪の女性──それは、シャドウ・ネームレスだった…しかし、その様子にかつてのような狂気はない…それどころか、マシュは彼女に対して不思議な()()()()を感じていた…。

 

 

 

『端的に言うとね、貴女に私の()を託しにきたの…ただ一度、この瞬間だけ…絶望を乗り越える為の力を…』

 

「貴女の、力…?」

 

『そう…私が、私である為の力───混沌の邪神によって生み出された呪いの再現───「iNo.0」──』

マシュに目的を告げるネームレス…その胸元から禍々しい光が飛び出す…その光は一枚のカードへと変化した…。

 

 

「遊海さんに、聞いた事があります…『ナンバーズは人の心を映す鏡』だったんだって…白紙のナンバーズを手にした人の心を読み取って、具現化したカードだと…でも、待ってください!そんな事をしたら、貴女が…!?」

 

『自分が生きるか死ぬかの状況なのに、優しいのね…そう、私は貴女に力を託して消える…その為に、()()を無くしてきたの』

ネームレスの手の中で少しずつカードのイラストが消え去っていく。

 

『人の心を映す鏡』たるナンバーズ……それを手にしたとある世界線の『無欲』な少年は白紙のナンバーズを状況に合わせて開眼させ、自ら白紙に戻す事もできた……ネームレスはそれを行なおうとしているのだ。

 

 

「どうして…!?貴女が、私を助ける理由なんて…私と遊嗣さんは、貴女を……!!」

 

『私は、偽者…誰かを傷付け、壊す為に生み出された()()………それでも…あの子を、守りたいの……再現された、植え付けられた()()でしかなくても……あなたと同じ、大切な()()()を守りたいの………優しい目をした、あの子を……それが、悪夢の中から這い出した───()()()()

 

「ネームレスさん…」

本来ならば、シャドウ・ネームレスの目的は()()()()…記録から再現された「iNo.」を白紙に戻す事などできない。

 

しかし、そこが()()()であるのならば()の話──「ナンバーズは白紙にできる」と認識すれば──それだけの()()()()があるのなら……夢は現実を凌駕する。

 

 

 

『あとはお願いね、セイバー…貴女は()()()()んでしょう?()()()()()()()()()を……』

 

《────ええ…ネームレス、いつか何処かで道を間違えてしまった()()の影───どうか、安らかに》

 

『ありがとう───頑張って、マシュちゃん!あなたは、大切な人の手を絶対に離さないでね?』

 

「あっ──」

アルトリアに何かを伝えたネームレスが消えていく…その最期の笑顔は───マシュのよく知る女性と重なったように見えた…。

 

 

 

キィン─

 

 

 

「ネームレスさん……」

白紙化されたナンバーズ…白い光がマシュの手の中に収まる…しかし、まだ開眼する気配はない…。

 

 

 

 

《マシュ…私が貴女の召喚に応じた時の事を覚えていますか?》

 

「アルトリアさん…?……はい…ミラー・リンクヴレインズの戦い…私が『聖騎士王アルトリウス』を喚び出そうとした時、不思議な魔法陣から…アルトリアさんが現れて………私の名前を…………あれ?どうして、()()()()()()()()()()()()()()??」

ネームレスが消え、その姿を見送ったアルトリアがマシュに問い掛ける…その質問を聞いたマシュはふと気付いた…何故、あの時…アルトリアは()()()()()()()()自分の名前を()()()()()()()と…。

 

 

《今の私は貴女の『デュエルモンスターズの精霊』として召喚に応じています…しかし、それよりも前…あるいは、この先の出来事かもしれませんが…この世界とは別の法則が敷かれた()()()…そこで、貴女は───私と同じ()()()()()()として、同じマスターの下で戦っていました》

 

「サーヴァント…?戦う…??マスター…???」

 

《……理解できないのも無理はありません…私も、その出来事を()()という形でしか知りませんから…とにかく、その世界の貴女はデュエリストではなく──円卓の騎士、ギャラハッド卿の力を宿し…身の丈以上の大盾を武器として戦う()()だったのです》

 

「私が、騎士…?」

それは遊戯王世界ではない()()()の話……アルトリアはふとした事からその世界の()()を得た──その世界における『マシュ・キリエライト』は()()()()として戦う騎士だったという……その話を聞いたマシュは目を回しそうになっている。

 

 

 

《その旅路の中…貴女は人類最後のマスターと共に2度、あるいは3度…()()()()()()()()…マーリンの言葉遊びではない、()()()()()()をマスターや仲間達と共に打倒し───貴女はその功績を以て()()()()()となった……その世界の歴史から戦いそのものが()()()()()になったとしても──その記録は確かに残ったのです》

 

「最新の、英霊……私が…?」

アルトリアの語る『別世界』の話…それはマシュによく似た少女達による世界を救う戦いの旅路だった…。

 

 

《マシュ…この窮地を乗り越えるには───貴女に、その()()()()()()()()の力を降ろすしかありません…!その為に、ネームレスはナンバーズを貴女に託したのです》

 

「私の力…を、ナンバーズに…?」

アルトリアの語る勝利への道筋──それはナンバーズに別世界の『マシュ・キリエライト』の力を降ろす事だった…。

 

 

《現実世界なら、そんな事は不可能でしょう…しかし、ここはユウジの精神世界という名の()()()…ならば、貴女はその力を扱う事ができるはず───夢の中ならば、誰もが『最強』になり得るのですから…!》

 

「アルトリアさん…」

夢の中…それは現実に縛られぬ()()()()()…創造力のままに人が空を飛び、英雄として戦い…今は亡き人とも再会できる()()()()()()の場所なのだ…!

 

 

 

《マシュ、貴女自身の『存在』と精霊の力としてある『繋がる力』…そして『円卓の盾』の持つ英雄の集う場所、という触媒…それを以て呼び掛けるのです!遥か彼方にある、貴女の()()()へと!》

 

「はい…!やってみます!!」

アルトリアの言葉を聞いたマシュはナンバーズの光を胸に抱いて祈る──遥か彼方──届くかもわからない()()へと…。

 

 

 

 

 

「(お願いします…遠い世界の私…!!私に、力を貸してください…!私は、守りたいんです…私の、大切な人を…私を、愛してくれた人を……だから…だから…!!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──貴女なら、大丈夫です!私の力…私と()()の至った答え……存分に使ってください!私の憧れた──何処かの世界の「普通の私」!……貴女の持つ盾と剣が…どうか、全てを守れる力となりますように…──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィン─!

 

 

 

「あっ─!?」

 

《これは…!》

マシュの胸元で光が弾ける…それは世界におけるイレギュラーにして「世界を正す力」

 

マシュの『大切なものを守りたいという想い』

 

円卓の盾(ラウンド・シールド)

 

…そして──『聖剣のアクセサリー(聖剣の基型)』が共鳴──白紙のナンバーズを開眼させる…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SideOUT

 

 

 

 

 

 

ドン!!!

 

 

 

「っ…マシュ!!!」

遊嗣の精神世界に遊海の絶叫が響く…彼が守らなければならなかった()()は…虚無の残滓によって、永遠に喪われてしまった…。

 

 

 

 

「貴様…貴様ァァァ!!ダークネスぅぅっ!!!!

 

【白波遊海…これが絶望…お前達に平穏など訪れぬ…!次は貴様を────なに…?】

 

キィン─!

 

怒りに呑まれ、世界を揺るがす殺意を放つ遊海…その様子を嘲笑うナイトメア・ダークネス…だがその時、マシュを飲み込んだ爆発の中から光が溢れ出す!!

 

 

 

 

「───虚無の邪神、ダークネス…貴方の攻撃は、打ち破られました……この守りは──絶対に貫けません!!」

 

「マシュ…!?この、気配は…!!」

爆煙の奥から凛とした少女の声が響く…それは空想の中でのみ成立する、恋する乙女の()()()()…覇王を護る最強の『盾』…その名は───

 

00

 

「精霊騎士──『S(シャイニング)No.0盾の聖騎士(シールダー・パラディーン)─マシュ・キリエライト』──出撃します!!!」

 

「シールダー、パラディーン…!!!ははっ…マジか、マジかよ!マシュちゃん!!!」

煙の中で白紙の未来を示す『0』が輝く。

 

最初に現れたのは曇りなき輝きを放つ白き大盾…そして、それを構えるのは白く光輝く騎士の鎧を纏いし桃色の髪の少女…その姿を見た遊海はただ驚く事しかできなかった…! DEF5000

 

 

 

【汝…その姿…!何をした!!】

 

「『盾の聖騎士(シールダー・パラディーン)』は自分フィールドの『聖剣』装備魔法を装備した『聖騎士』エクシーズモンスターが攻撃対象にされた時、そのモンスターの上に重ね、守備表示でエクシーズ召喚できます!!そして、このターン私が受けるダメージは全て0になり、『盾の聖騎士』は戦闘・効果では破壊されません!!」

 

【おのれ…!我はこれでターンエンド…!】

 

ダークネスLP4000

ダークネス・ネオスフィア 手札0

 

 

 

 

「マシュちゃん!大丈夫か!?」

 

「はい!見ていてください、遊海さん!この一撃で──遊嗣さんを蝕む悪夢を打ち祓います!!」

魂のランクアップの果て…遊馬の『ZEXAL』や遊海の『NEXUS』に比肩…否、それらを凌駕する力を手にしたマシュ…彼女はその力を解放する!

 

 

 

「私のターン!!」

「私は『盾の聖騎士』を攻撃表示に変更!!そして、効果発動!『盾の聖騎士』が表側守備表示から表側攻撃表示に変更されたターン!ORUを全て使い、自身の攻撃力を2倍にし!貫通能力を付与します!デッド・カウント…測定!!」

 

【なんだと!?】

マシュが守りの構えを解いた瞬間…彼女の体から凄まじい魔力が溢れ出す!

 

盾の聖騎士 DEF5000→ATK4000→8000

 

 

「バトル!『盾の聖騎士』で『ダークネス・ネオスフィア』を攻撃!!対災害・対空間異常宝具…展開!アンチブラックバレル、形成!!」

 

「────ブラック・バレル!?!」

マシュの宣言と共に白き十字の大盾が変形──巨大な砲塔を持つ聖剣『ノウム・レイ』へと換装される!!

 

 

「人類を陥れる虚無の孔……私の大切な人を苦しめる貴方を、私は許さない!私達は…一緒に、未来に行きます!!レイプルーフ・キリエライト!!!

照準を合わせたマシュが自身の名を冠する聖剣を撃ち放つ……彼女には、その力の詳しい理論も理屈も解らない。

 

 

しかし、その砲撃の本質は攻撃──()()()()

 

 

その本質は「間違った歴史」や「誤った未来」という()を塞ぐ、()()()()()()()対界宝具──それは、現実に開いた()()()()を塞ぐ()()()()()となる!

 

 

 

【馬鹿な…この我が、英雄でも、覇王でもない…人間の娘ごときに…!?オオッ…!?うおおお……!!!?

そして、断末魔の叫びを上げながら……虚無の神の残滓は遊嗣の精神世界から痕跡も残さず消え去った…。

 

 

 

 

ダークネスLP4000→0

 

マシュ WIN!

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……ありがとう、ございました…遠い世界の、私……それに、ネームレス…さん───」

 

「マシュ!!!」

悪夢を祓う決闘が終わる…そして、マシュの白き装甲とナンバーズは粒子となって消え去り──パジャマ姿になった彼女は地面に倒れ込む寸前で遊海に抱き抱えられた…。

 

 

 

「マシュちゃん…マシュ、よくやった…!頑張った…!!」

 

「遊海、さん……これで、大丈夫ですよね…?遊嗣さん…は、大丈夫、ですよね…?」

 

「ああ…!ダークネスが悪夢の原因なら、これで全部解決だ…!!それより、きみの治療をしないと!!」

満身創痍……瀕死のダメージを負いながら、マシュは遊海に恋人の無事を問いかけ…遊海は確信を以て答える。

 

今回の事件はダークネスの残した()()が原因になったと遊海は思っていたからだ…。

 

 

 

 

 

 

【ふむ…思ったよりも()()()()()…『虚無の神』、などという大層な肩書きの割に…人間1人も消去する事もできないとは】

 

 

 

 

 

「「っ…!?」」

その時、暗い世界に何者かの声が響く……その声に遊海もマシュも聞き覚えがあった…!

 

 

 

【イグニス統合計画、そして…ミラー・リンクヴレインズを基点とした人類支配計画も失敗に終わってしまったが……まぁいい、別のアプローチで人類を支配するまでだ】

 

「そん、な……なんで…!?!」

 

「光のイグニス、ライトニング…!?」

 

 

暗き世界を悪しき光が切り裂く…その中から現れた者、それは……彩華によって初期化され、新生サイバース世界で『光のイグニス・アーク』へと転生したはずの悪しきAI──光のイグニス・ライトニングだった…!




オリカ紹介



S(シャイニング)No.0盾の聖騎士(シールダー・パラディーン)─マシュ・キリエライト

ランク0 光属性 戦士族 ATK4000 DEF5000

同じランクのXモンスター2体

ルール上、このモンスターはランク1として扱う。
このモンスターは『No.』モンスター以外との戦闘では破壊されない。

このモンスターはX召喚、または以下の方法でのみEXデッキから特殊召喚できる。
●相手ターンのバトルフェイズに自分フィールド上に存在する「聖剣」装備魔法を装備した『聖騎士』Xモンスターが攻撃対象に選択された時に発動できる。そのモンスターの上に重ねてこのモンスターを表側守備表示でX召喚する。

①このモンスターが相手ターンにX召喚に成功した場合、ターン終了時まで、自分が受けるダメージは全て0になり、自分フィールドのカードは戦闘・効果では破壊されない。

②このモンスターが表側守備表示から表側攻撃表示に変更されたターンに発動できる。X素材を全て取り除き、このターンこのモンスターの攻撃力は2倍になり、攻撃力が相手モンスターの守備力を上回っていた時、その差分のダメージを与える。


ナンバーズの数字は円卓の盾の中心部に刻まれている。
(FGOのシールダー・パラディーンそのまま)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。