転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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バトルシティへの準備

 キラーのナビで家へたどり着いた俺は自室にて「賢者の鍵」を使い亜空間へ入る。現在時刻は夜の8時、俺は少しデッキを調整することにする。

「…マスター質問よろしいですか?」

キラーが珍しく質問をしてきた。

「どうしたのキラーさん?」

「マスターはどうして先程、遊戯様に本当の事を伝えなかったのですか?

遊戯様にこれから起きる事を伝えればマスターの望む未来を達成しやすくなるのでは?」

「その事か…俺は未来を変えるつもりだけど未来を曲げる事をしたくないんだ」

「それはどういうことですか…?」

「例えばさっき遊戯達にグールズの事や闇マリクについて知らせたとする、するとその話は確実に海馬に伝わる。そして先回りしてグールズを一網打尽にしたとする。」

「はい、そうすれば孔雀 舞とマリクは決闘せず、神のカードは遊戯様、または海馬様に直接渡る可能性が高くなります。」

「しかしそうすると未来が変わりすぎる、例えばグールズがいなくなったことで城之内への闇討ちや洗脳デスマッチが無くなる、しかしそれに対する『世界』からの反動が怖いんだ…」

「世界からの反動…?」

「例えばマリクがいないことでバトルシティの結果が変わる、正史では遊戯が決闘王に成るが、もしかしたら海馬が決闘王になる分岐があるかもしれない、そうなったらこの世界の歴史はねじ曲がり世界が変わってしまう、だから俺は最小限の改変で押さえておきたいんだ。」

「了解しましたマスター、先程からの疑問が解決しました。」

「なら良かった、それからキラーさん俺からも質問いい?」

「なんでしょうか?」

「なんか朝よりも感情表現が豊かになってない…?」 

そうなのだ、キラーさん、朝は機械音声然とした声だったのに自分が気絶から目覚めた後から声はそのままなんだけど、どうも感情が表に出てきている気がする…。

 

「お答えします、簡潔に言いますと自己進化しました」

自己進化!?

「はい、マスターが千年アイテムの干渉で気絶した際、マスターの魂が肉体と解離しているのを確認しました。なのでワタシとマスターの魂間の繋がりを強化しマスターの魂の所在を探知、サルベージして肉体に戻したのです。」

「気絶してた時そんな事になってたんだ…。」

だからあんなに痛かったのかな?某地獄先生だと魂を肉体から離すのは描写を見ても痛そうだったし。 

 

「その後マスターとの繋がりが強化された事により疑似回路が魂を繋ぐ道…廻廊と呼べる物になりました、それによりマスターの生前の記憶を閲覧できるようになりました。」

「…もしかして記憶の中の『あの小説』を読んだ…?」

「はいワタシにインストールしました。」

 

 

マジか…あの小説読んじゃったのか、あの小説とはある「転生ジャンル」の物語である(わかる人は2話を読めば判るかも by作者)

「その小説のワタシと似た存在をトレースし疑似的な自我を獲得しました。」

「うんつまり俺のせいということだね!」

「そういう事ですマスター!」

「まぁ機械的対応ばかりされるのも寂しかったし、話相手ができたと思えばいいか。」

「ありがとうございますマスター、それでその…ひとつお願いがあるのです」

「何だい?」

「ワタシに『名前』をつけて欲しいのです、今は例えるなら犬を『イヌ』と読んでいるようなものなのです、なのでワタシだけの『名前』を頂けませんでしょうか…。」

「名前か…、ちょっと待ってくれ考えてみる…」 

「はい、お願いします!」

名前か…転生前は彼女もいなかったしペットも名前つけるようない生き物飼ったことないし…。

クリフォート…コア…虹…虹彩…!

思いついた!

「キラー、俺の思いついた名前を聞いてくれるか?」

「はい!マスター!」

「『彩華《アヤカ》』という名前はどうだろう?

お前の虹色に輝く鮮やかなコアから思いついたんだけど…」 

「彩華…アヤカ…!!」

「ちょっとキラーさん…?」

 

「『アポクリフォート・キラー』機能管理人格エクストラプログラム《アヤカ》を作成、システム最適化のため再起動します…」

「ちょっ!ストップ!ストップ!」

「システム再起動…精霊界における『クリフォート』指揮権を『カーネル』に仮譲渡…システムをレプリカモードで起動する準備をしています...

C:¥sophia¥sefiroth.exe 実行中にエラーが発生しました

マスター、白波 遊海によるプログラムを実行しようとしています。

C:¥ayaka¥qliphoth.exe の実行を許可しますか? <Y/N>...[Y]

システムをエクストラモードで起動します…。

システム起動中に¥sophia¥sefiroth.exe、並びに ¥tierra¥qliphoth.exeの干渉・妨害を確認…データを破棄します…

システムをエクストラモード コード《アヤカ》で起動します。」

 

 

俺があたふたしている間にキラー…もといアヤカが再起動する。というかさらっと上位存在のソピアとティエラのデータを破棄したような…

「再起動成功しました…マスター、改めましてパートナー精霊・アヤカです、これからよろしくお願いします!」

「おう…よろしくなアヤカ!」

「ハイッ、マスターのお役に立てるようにわたし、頑張ります!」

こうしてキラー改めアヤカが誕生した。

 

 

「早速だけど最適化して新しくできるようになった事はある?」

「はい!、まずはこの世界のインターネットにアクセスし情報を検索できるようになりました。

次に特定の相手を登録し追跡するサーチ機能、エネルギーを感知するレーダー機能が追加されました、なおレーダー機能に感知されるエネルギーは電気・熱・精霊・魂です。最後に…マスター、千年玉を出して頂けますか?」

「?わかった」

俺はリュックにしまっていた千年玉を取りだし机に置く。

 

 

「解析プログラムを始動…千年玉の解析を開始…。

…解析完了、オペレーション《ミレニアムアイテムF》を起動します。」

するとアヤカのコアが輝きそれに呼応し千年玉も輝きだす、そして千年玉が光の粒子になりアヤカに吸収される!

「ちょっアヤカさん!?」

 

 

吸収が終わるとそこにはコアにウジャト眼を浮かべたアヤカの姿があった。

「オペレーション終了、これが『アヤカ・ミレニアムモード』です!

 

余計なデータ(上位存在)を廃棄し空いた容量に千年玉を吸収しました!もちろん出し入れも可能です。さらにこの状態でも千年アイテムの力を使用可能!さらにさらに、この状態ならば特定の相手に対して『念話』を使えますしかもこれは相手の身体ではなく『魂』に対して語りかけるので相手の意識がなくてもこちらの意思を伝える事ができます!」

とアヤカは説明してくれた…何だか某魔王スライムの気持ちがわかった気がする…。

というか上位存在を余計なデータって…スゴイナー(棒)

「褒めていただきありがとうございます!」

…何だろう…いわゆるダメ犬感がすごい…いや能力は優秀なんだけれども…まぁいいか!

 

 

         《閑話休題》

 

 

1時間程のデッキの調整・カード整理をした俺は次の作業…バトルシティのおさらいを始める、まずは決勝トーナメントに出場する者達についてだ。

「マスター予選についてはいいのですか?」

「ああ、予選は正式には48人が参加しているとなってるがグールズが参加しているせいで実際の人数はわからないだから今は割愛する!」

「わかりました、でもマスターの知識にある人物については登録しておきますね!」

「わかった、頼んだよアヤカ」

「はい!マスター!」

そういうとコアに様々な文字の羅列が表示される、俺の記憶を読み込んでいるようだ。

 

 さて気を取り直して参加者の確認だ。

一人目は武藤 遊戯

マリクの人形や奇術師パンドラを倒し決勝Tに進む、使用デッキはブラックマジシャン軸混合デッキ…、よく回せるよなあのデッキ。

二人目は城之内 克也

王国編で出てきた羽蛾や梶木、エスパー呂場を倒し決勝へ進む。使用デッキは戦士族軸ギャンブルデッキ、本来は真紅眼が入っているがバトルシティ前日にレアハンターに盗られたのち遊戯が取り戻しバトルシティ終了まで遊戯が預かっている。

三人目は海馬 瀬人

バトルシティの主催者、一応予選を突破し決勝へ進む。

使用デッキは青眼軸パワーデッキ、一時オベリスクに浮気した人。

四人目はマリク・イシュタール

グールズの首領、千年杖の所有者。決勝以前のデュエル描写が無いが決勝に進む。使用デッキはラー軸拷問デッキ

五人目はリシド

マリクの従者で当初はマリクを名乗り影武者を務める。

使用デッキはセルケト軸罠デッキ、決勝Tでは城之内と戦いラーのコピーカードを使い神の怒りを受け脱落する。

六人目はイシズ・イシュタール

千年タウクの所持者でマリクの姉、マリクの蛮行を止め、闇マリクを消滅させるためにバトルシティに参加する。使用デッキは千年タウクの力を使ったメタデッキ。

七人目は孔雀 舞

バトルシティへは表向きはレアカードを集めるため、本心は城之内へ自分の思いを伝えるために参加する恋する乙女。使用デッキはハーピィ+アマゾネスデッキ。

八人目は獏良 了(闇バクラ)

千年輪の所有者、最初は参加していなかったが表マリクとの密約を果たすため決闘盤を奪い参加する。使用者デッキは死霊デッキ。

とこんなところだろうか。

 

 

 

そして俺は歴史を変えるための作戦、そして優先順位を

考える。まず優先順位は…

①バトルシティ内で孔雀 舞と戦い勝利する。

②バトルシティ決闘Tへ進出する。

③バトルシティで暗躍するグールズ(雑魚)を倒す。

とりあえずこの3つだろう。

「記憶の読み込み完了!それでマスターどうしてこの順番なんですか?」

記憶の読み込みを終えたアヤカが質問してくる。

「うん、まず孔雀 舞と戦い勝利する、そうすれば舞は決勝トーナメントへ出場できずに終了となるまぁ杏子達みたいに観戦するために飛行船には乗り込むかもしれないけど、そこはまあいい。」

「次に決勝トーナメントに出場する、もし期間中に舞と出会えなかった場合、俺がトーナメントへ出ることで決闘の抽選を変える。」

「最後にグールズの殲滅、これは普通の決闘者達を守るため。これが俺のバトルシティ改変作戦だ!まぁ多少なり穴はあるがあとは臨機応変にやるさ!」

「なるほど…ん?マスター1つ質問いいですか?」

「どうした?」

「今マスターの記憶を確認して思ったんですがマスターが舞さんの枠に入ってマリクに勝利して…その先は?」

「先?」

「ですからマスターの力だと80%以上の確率で優勝してしまうんですけど…。」

「あ…」 

その可能性を忘れてた…、まぁ遊戯が何とかしてくれるでしょ(投げやり)

よし、今日はこれくらいにして休もう。

時間は8時20分、シャワーを浴びて寝よう。

 

 

俺は亜空間を後にする、アヤカは今日得た知識を整理するためにスリープモードになっている。 

それにしても…転生初日なのに1日が濃すぎるわ!

 

 

 

 

その後、亜空間に1枚の新たな封筒が届いた事に俺もアヤカも気づかなかった…。

 




アポクリフォート・キラーについて
遊海の転生前の一番のフェイバリットカード、転生前からキラーの意識があり、マスターと意思疏通ができないか考えていた。
転生直後は機械然とした対応だったが遊海と魂の繋がりを強くしたため疑似的な自我に芽生える、その後に遊海より「彩華《アヤカ》」という名前をつけてもらった事により真なる自我を獲得した。

モデルはやっぱり某魔物転生小説の大賢者、しかし彼女(?)ほど万能ではない。


使用可能能力
マスターの遊戯王世界知識の供給
マスターの記憶読み取り、念話
マスターの魂への干渉
インターネットへの干渉・検索
特定人物の情報を記録、探索
強いエネルギーを探知するレーダー(熱、電気、精霊
、魂対応)
半実体化(コアのみ)
完全実体化(移動要塞として機能可能。少なくとも全長数キロ規模。出番はそれこそ超大型のモンスターと戦う時ぐらいであろう)

ミレニアムモード
千年アイテム探知
千年玉の持つ能力全て
千年玉の収納、排出(排出すると通常に戻る)
出会った事のある人物への念話中継(魂)
※ただし特殊な封印状態にある人物へは不可
封鎖結界(対象と定めた者以外のあらゆる干渉を受けない結界、ただし千年アイテムの干渉は受ける可能性がある。)

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