転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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久々の1日に2話投稿!!


次元を絆ぐ虹の橋〜最後の手助け〜

「みんな!急げ!テニスコートへの道を開くんだ!」

 

騒がしい…何かあったんだろうか…?というか俺は何をしてたんだっけ…?

 

「…何があった…?」

 

「セニョール遊海!目が覚めたノーネ!!」

俺が目を覚ますとクロノス先生が看病をしてくれていた…。

 

「クロノス先生…何が…?」

 

「元の世界と通信が繋がったノーネ!!それで帰れる可能性ができたノーネ!!」

 

「本当ですか…!」

 

クロノス先生によると三沢が元の世界のツバインシュタイン博士との通信に成功したらしい、それによりヨハンの求める最強カード「レインボードラゴン」をこちらの世界に転送、そこから世界移動できる可能性が出てきたそうだ…。

 

「それでレインボードラゴンを受け渡すエネルギーを発生させるためにデュエルをするノーネ!そのためにゾンビのうろつくテニスコートに突入するノーネ!!」

 

「なるほど…なら俺もいかない…と…!ぐっ…!」

 

「遊海先生ダメだ!あなたの…!?」

 

「三沢…何も言うな…いまは人手が必要な筈だ…!」

遊海は凄まじい殺気を放ち三沢を黙殺する…その瞳には覚悟が宿っていた…。

 

「わかりました…いきましょう遊海先生…!」

 

「ああ…いくぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「総員ヨハンを守れ!!ヨハンを必ずテニスコートに到達させるんだ!!」

 

「「「うおぉぉぉ!!!」」」

 

オブライエンを中心としたブルーベレー達がデュエルゾンビを引き付け道を開いていく…それは死地に向かう特攻…飲み込まれた生徒達は新たなデュエルゾンビに変貌する…

 

 

 

 

「くっ…数が多すぎる…!このままじゃ…!!」

 

「ワタシが残るノーネ!!ヨハン!三沢!オブライエン!前に進むノーネ!!」

 

「クロノス先生!?」

 

「我輩も残るでアール!!」 

 

「教頭は先に行くノーネ!!グレた息子に愛の鞭を振るうノーネ!!」

 

「クロノス先生…!!すまないでアール!!」

 

「生徒達…!特別授業を始め…!」

 

 

 

ヒュオ〜…

 

 

 

 

 

「な、何ナノね!?寒いノーネ!?」

 

デュエルゾンビを引き付けようとしたクロノスの元に冷たい空気が流れてくる…本来砂漠の夜は-20℃になる事もあるらしい…しかしこの世界では太陽が3つありそんな事はありえない…。

 

 

『すまない生徒達…少しの間…眠っていてくれ…』

 

 

ピキピキピキ…

 

「デュエ…」カチーン

 

「デュエルしよ…」ピキーン

 

「デュ…」カチコチ

 

「なっ…壁やゾンビ生達が凍っていくノーネ!?いったい何が…!」

 

『クロノス先生…ご無事でしたか…』

 

「セニョール遊海!?その姿は…!」

廊下の奥から現れたのは青白い龍の鎧を纏った遊海だった…その胸には小さな鏡が嵌っている、そして顔は黒い茨に完全に覆われていた…。

 

『アーマードウォーリアー・モードネクロス・トリシューラ…校内にいるゾンビ生達は全て眠ってもらいました…これで時間稼ぎにはなるでしょう…』

 

遊海は最後の力を使い新たな精霊変身を遂げた…その力でゾンビ達を凍らせ動きを止めたのだ…。

 

「遊海先生…アナータは…」

 

「クロノス先生…生徒達を頼みます…オレはアイツを押さえますから…」

 

「アイ〜ツ?」

 

コツ…コツ…

 

「気づかれていましたか…流石伝説の決闘者…瀕死であっても勘は鈍っていませんか…」

 

氷の回廊から現れたのは最後の留学生、アモンだった…その腕は異形の腕に変化している…

 

「セニョールアモン…!?その腕は…!」

 

「僕は異世界の王となる…そのために…お前を倒す…!」

 

『クロノス先生…行って下さい…早く…早く!!』

 

「わかったノーネ!!遊海先生!絶対に勝つノーネ!!」

 

『はい…!!』

 

 

 

 

 

「邪魔者は消えた…さぁ始めようか!」

 

『アモン…完璧を求める王の器を持つ者よ…しばらく付き合ってもらうぞ…!!』

 

 

 

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

 

 

 

 

アモンLP4000

遊海LP4000

 

 

 

 

 

「僕のターン!ドロー!」

 

「手札から永続魔法『召喚雲』魔法カード『宝札雲』を発動!さらに『召喚雲』の効果で『雲魔物ー羊雲』を手札から特殊召喚!」

小さな雲の塊が現れる DEF0

 

「さらに『羊雲』を通常召喚…!」

DEF0

 

「カードを一枚伏せてエンドフェイズ、『宝札雲』の効果で1ドロー!ターンエンド!」

 

アモンLP0

羊雲 羊雲 伏せ1 手札3

 

 

 

 

 

 

『堅実な手だな、隙なくこちらを見据え…動きを読もうとしている…』

 

「お前はアカデミアでの要注意人物の一人だからな…警戒もするさ…ユベルからの呪いはどうだ?」

 

『ああ…しっかり効いているさ…しかしまだ時間はある!』

 

 

 

 

 

 

 

『俺のターン…ドロー!』

 

『手札から「マンジュ・ゴッド」を召喚!効果により儀式モンスター「ヴァルキュルスの影霊依」を手札に加える』

 

たくさんの手を持った仏像のモンスターが現れる ATK1400

 

『そして手札から儀式魔法「影霊依の降魔鏡」を発動!手札の「儀式魔人リリーサー」と「影霊依の戦士 エグザ」を生贄に儀式召喚!降霊せよ!神界の第一位の王の魂!星8「ヴァルキュルスの影霊依」!!』

壮年の悪魔の力を纏った魔導師が現れる ATK2900

 

『生贄に捧げた「エグザ」の効果、デッキからドラゴン族儀式モンスター「ディサイシブの影霊依」を手札に加える』

 

『バトル!「ヴァルキュルス」で「羊雲」を攻撃!「氷結混沌魔術」!』

ヴァルキュルスの魔法が小さな雲を氷結させ砕け散る

 

「破壊された『羊雲』の効果!『雲魔物トークン』2体を特殊召か(ビーッ!ビーッ!)エラー音だと?!」

 

『儀式召喚に使った「リリーサー」の効果によりお前は特殊召喚ができない!』

 

「何っ!?」

 

『メイン2「ヴァルキュルス」の効果!「マンジュ」を生贄に捧げ1ドロー!…ターンエンド!』

 

遊海LP4000

ヴァルキュルス(リリーサー効果適用) 手札4

 

 

 

 

 

「くっ…特殊召喚を封じられたか…!しかし僕は負けるわけにはいかない!!」

 

 

「僕のターン!ドロー!」

「手札から『エア・サーキュレーター』を召喚!」

顔が扇風機になっているモンスターが現れる DEF600

 

「効果により手札の『羊雲』と『ストームドラゴン』をデッキに戻し2ドロー!」

 

「…カードを伏せてターンエンド…!(手札にはエグゾディアの『左足』と『右腕』がある…守りを固め特殊勝利を…!)」

 

アモンLP4000

サーキュレーター 羊雲 伏せ2 手札2

 

 

 

 

 

 

『アモン…何故、王にこだわる…?』

 

「…全ての人が平等に苦しみの無い世界を作るためだ!元の世界では無理だ…!しかしこの異世界なら…!!」

 

『何故諦める?』

 

「何…?」

 

『それは元の世界でもできるかも知れない事だ…すぐには無理だろう、しかし時間をかけて少しづつ人を変えていけば実現できる筈だ…』

 

「…僕はガラム財閥の影だ…元の世界に戻ればシドの部下に戻る事になる…だから僕は…」

 

『なら…飛び出せばいい…!』

 

「な…に…?」

 

『「ガラム財閥のアモン」ではなく「ただのアモン」として旅立てばいい…その理想をシドに…義両親に伝え自分の道を…日向の道を歩けばいい!』

 

「馬鹿な…そんな事…できるわけ…!!」

 

『1人では無理だろう…でもお前には、お前を愛してくれる人がいるはずだ!!』

 

「愛して…くれる人…エコー…俺は…」

 

『お前を縛る心の枷…砕いてやろう…』

 

 

 

 

 

『俺のターン!ドロー!』

 

『魔法カード「儀式の準備」を発動!デッキから『クラウソラスの影霊依』を手札に加える、そして墓地の「降魔鏡」を手札に加える!』

 

『「ヴァルキュルス」の効果!手札の「大魔導師」を生贄に1ドロー!生贄にした「大魔導師」の効果でデッキの「ユニコールの影霊依」を手札に加える!』

 

「くっ…リバース罠『ブレイク・ザ・シール』を発動!フィールドのもう一枚の『シール』を破壊しデッキから『封印されし左腕』を手札に加える!」

 

『儀式魔法「影霊依の万華鏡」を発動!エクストラデッキのレベル12『シューティング・クェーサー・ドラゴン』を墓地に送り手札からレベルの合計と同じレベルの儀式モンスター2体を儀式召喚する!!』

 

「なんだと…!?」

 

『現われろレベル3!霞の谷を守りし怪鳥の魂!「クラウソラスの影霊依」!レベル9!開放されし第3の龍の魂!「トリシューラの影霊依」!!』

迷いの風を吹かせる怪鳥と世界を氷結させた龍の魂を着た青年達が現れる DEF2300 ATK2700

 

『「トリシューラ」の効果!フィールドの「サーキュレーター」墓地の「羊雲」そして手札を一枚づつ除外する!「絶対氷結」!!』

 

「なっ…!『右腕』が…!?」

 

除外されたカード

 

羊雲

サーキュレーター

封印されし右腕

 

『さらに「降魔鏡」を発動!墓地の「大魔導師」と「リリーサー」を除外し儀式召喚!現われろ!開放されし第2の龍の魂!「グングニールの影霊依」!!』

赤い髪の龍の鎧を纏った女性が現れるATK 2500

 

『「グングニール」の効果発動!手札の「ユニコールの影霊依」を墓地に送り「羊雲」を破壊する!』

 

羊雲が氷結し砕け散る

 

「これは…俺の…」

 

『バトル!「グングニール」でダイレクトアタック!「氷結の魔槍」!!』

 

グングニールが杖を掲げると巨大な氷の槍が現れる、グングニールは飛び上がり杖で槍を打ち出した

 

「ぐうっ!?」

アモンLP4000→1500

 

『「トリシューラ」でダイレクトアタック!さらに手札から「ディサイシブの影霊依」の効果を発動!手札から捨てる事により攻撃力を1000アップする!』

巨大な砲門がトリシューラの背後に現れ力を与える

ATK2700→3700

 

「攻撃力3700…」

 

『アモン!受け取れ!希望の力を!|希望の創造三叉槍撃《ホープ・オブ・クリエーション・トライデント・シェイバー》!!』

 

トリシューラが剣を三叉槍に変化させ投げ放つ…その背後には希望を束ねたような神々しい龍の姿があった。

 

 

「…世界は…こんなにも…」

 

アモンLP0

 

遊海 WIN!

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…ぐ…僕は…」

 

「…気がついたかアモン…?」

 

「遊海プロ…僕は…?」

 

「起きてすぐにデュエルゾンビになられても困るからな…氷で拘束させてもらった…悪く思うな…」

 

アモンが目覚めると床に寝かせられ首以外が氷漬けになっていた…不思議と冷たさは感じなかった、近くには遊海が座りこんでいる…

 

「…俺の意見…納得してくれたか?」

 

「…はい…元の世界に帰ったら父と…エコーに相談してみようと思います…」

 

「そうか…歩いてみろ…自分の道を…」

 

ピシッ…

 

「?…今の音は…?」

アモンの耳に何かの罅割れる音が響く…自身の体を包む氷には変化は無い…

 

「…タイムリミットか…」

ピシ…ピシ…パリッ…

 

「遊海プロ…!?その体は…!!」

アモンが遊海に目を向けるとその体にヒビが入っていく…

 

「じゃあなアモン…みんなに…翠によろしく頼む…」

パリーン…

 

「遊海プロ…!そんな…そんな!!」

遊海の体は砕け散る…跡には決闘盤だけが残っていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗い…何も存在しない世界…いや…知覚する事ができない…。

 

俺の魂はユベルの呪いにより砕け散った…なんで思考できているのだろう…?不思議と身体もあるような気がする…。

 

 

『遊海、目を覚ませ…お前の魂はそんなに弱い魂だったか?』

聞き慣れた/懐かしい声が聞こえてくる…この声は…

 

 

 

 

遊海は目を開ける…そこに広がっていたのは古い石造りの神殿だった…そして…

 

『久しぶりだな遊海…元気だったか?』

玉座に座る者の姿が目に入る…逆立った髪…王を示す千年錐…それは…

 

「あ…アテム…?」

 

『ああ…俺だ!』

 

決闘王…アテムの姿だった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アテムがいるという事は…ここは夢か…?それとも冥界か?」

 

『ここは高次の世界…死した魂が集う場所の1つだ、いつもこの世界から相棒やお前達の事を見ていたんだ…まぁ…何回か干渉もしたがな…』

 

「干渉…まさか!ディーヴァとアヌビスの時のあれは…!」

 

『ああ…あれに干渉したのは俺だ、一度はお前の身体を借りて…二度目は直接アヌビスを倒しに行った、』

 

《まったく…お前はよく無理をするものだ…程々にしてくれるとありがたいのだが…》

 

「マハードさん…」

アテムの隣に現れたのは魔導師のマハードさんだった、その首には千年輪がかかっている

 

「でも…俺は魂を砕かれて…」

 

『魂が砕かれたのが異次元で幸いだった…あの世界は生と死の境界があやふやだったんだ、だから霧散する直前のお前の魂をマハードが回収して復活させる事ができたんだ…』

 

「なら…俺は…!」

 

『ああ、まだ生きている…元の世界に戻れば肉体も再構成されるはずだ!』

 

「ありがとう!アテム!マハード!…でも…帰り方が…」

 

「それなら心配は無い…来るぞ?」

 

「えっ?」

その瞬間神殿の地面から虹色の光が溢れ出す!

 

「うわ…!?この光は…!」

 

『世界を繋ぐ龍の光だ…ほら、迎えも来たぞ?』

 

『『『マスター!/主殿!/ユウミ!!』』』

 

「アヤカ!トフェニ!フレア!?どうして…!?」

 

虹色の光の中からアヤカ達精霊が飛び出してくる…どうしてここに…!?

 

《マスター!お忘れじゃないですか?私とマスターは魂で繋がっています!それを手繰り寄せて迎えに来たんです!…というか何勝手に消滅してるんですか!?ラインが消えた時私パニックになったんですからね!!》

 

《主殿、心配しておりました…アカデミアの面々も元の世界に帰還していますぞ!》

 

「アヤカ…トフェニ…」

 

 

 

 

《アテム王…》

 

『ラー…いや遊海の精霊フレアよ…友を頼む…無茶ばっかりする友をな!』

 

《はい!わかりました!》

 

 

 

「アテム…」

 

『遊海…俺が手助けできるのはこれが最後だろう…お前達の世界を…相棒を頼んだぞ!!』

 

「ああ!俺は俺なりのハッピーエンドを目指してみせる!だから見ていてくれアテム!」

 

『ああ!頼んだぞ我が友よ!』

アテムは拳をつき出す

 

「ああ!頼まれた!」

遊海も拳を合わせつき返す

 

「じゃあなアテム!マハード!またいつか…決闘しよう!!」

 

『さらばだ!!白波 遊海!世界を変える者よ!』

遊海は虹色の光に飛び込む、そして意識は光に溶けていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ファラオよ…あの者…遊海の抱えていたモノを伝えなくてよかったのですか…?》

 

『ああ…あれは遊海に課された最後の試練だ…俺がドーマとの戦いを乗り越えたように…奴も試練を乗り越えなければ…』 

 

《…辛い試練になるでしょう…》

 

『ああ、しかし見守ろう…その姿を、遊海…頑張ってくれ…!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊海さん!遊海さん!!目を覚ましてください!!!遊海さん!」

 

 

 

「…ここは…」

 

「あっ…遊海さん…!!」

 

「ムギュ!?く、苦しい…!!み、翠…!?」

見慣れた景色で目を覚ます…ここはアカデミアの保険室…?

 

「遊海さん!何処に行ってたんですか!?アモン君から遊海さんが死んだって聞いて私…私…うぇ〜ん!!!」

 

「ごめんな翠…少し冥界に行ってアテムに会ってきた…」

 

「それ9割方死んでるじゃないですか〜!!?本当に何やってるんですか!このアンポンタン〜!!!」

 

「翠!ごめん!ごめんってば〜!!」

 

「え〜ん!!!」

 

泣きじゃくる翠を宥めながら遊海は帰ってきた事を実感できた、窓からは青い空が見えている…。

 

そして…感じとる…次の戦いを…


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