転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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加速する狂気〜刻まれし悪〜

俺達はフリードに案内され山の中腹にある隠し砦に到着した、中には女子供や老人が大半で戦士と呼べる者はフリードを含め10人程しかいなかった…そして全員が今、涙を流していた…。

 

「フ…フリード…隊長…、申し訳ありま…せん…!」

 

『ラーズ!!しっかりしろ!気をしっかり保つんだ!!』

 

「父さん!しっかりしてよ!父さん!!」

 

「お父さん!」

 

隠し砦では1人の男の命が消えようとしていた…戦士ラーズ、十代の助けた少年・カイルの父である。

 

ラーズは暗黒界達に囚われていたが隙を見て脱走、しかし追い詰められ苦肉の策として効果モンスターを全て破壊する罠カード「ジャスティ・ブレイク」を発動…追っ手は倒したものの自身も効果モンスターだったため致命傷を負い、なんとか砦に辿り着いたのである…。

 

「遊海先生!!なんとかならないのかよっ!!」

十代が俺に問いかける…俺の持つ精霊の力でどうにかならないのかと…

 

「無理だ…ただダメージを受けただけなら回復魔法で治せる…しかしラーズは本来『ジャスティ・ブレイク』が発動した時点で破壊されているんだ…それを気合で乗り越えてここまで辿り着いた…これ以上は彼を苦しませるだけだ…!」

遊海は悔しそうに呟いた…愛する者との死別…、それを知っている故の悔しさだった…。

 

「隊長…仲間は…町外れにある収容所にいます…せめて彼等だけでも…!」

 

『わかっている…!彼等はわたしが助けてみせる!』

フリードはラーズの手を握り決意を伝える…

 

「…ラーズさん…俺は遊海と言います、俺達はヨハンという青髪の少年を探しています…、収容所でそれらしい少年を見かけませんでしたか…?」

遊海がラーズに話しかける…フリードの目線が痛いが…これも情報を集めるためだ…。

 

「…1人だけあの町の住人じゃない…そこの赤い服の子くらいの少年がいた…」

 

「ヨハン!!」

 

「十代!!落ち着け!!…ありがとうございますラーズさん…!」

 

「ハハハ…最後に…役に立ててよかった…」

遊海は興奮する十代を宥めラーズに礼を伝える…

 

「お父さん!死んじゃやだよ!!」

カイルが縋りつく…

 

「カイル…姉さんを…町のみんなを守れるような…強い戦士に…なるんだ…!」

 

「父さん!なる…!絶対になってみせる!!」

 

「ああ…安心した…、フリード隊長…我が子達を……」

ラーズはフリードにカイルの事を託し金色の粒子となり消滅した…その跡には彼の決闘盤だけが残っていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊海さん!起きてください!」

 

「!どうした翠!」

 

「十代君が…!」

 

「…やっぱり単独行動か!!」

 

ラーズを見送り、仮眠をとっていた俺は翠に起こされる…十代はやはり単独行動したか、ヨハンに対する罪悪感の現れなのか…今の十代は死に急ぎ過ぎている…!

 

「翠!俺は先行して十代を追う!翠はみんなと一緒に来てくれ!暗黒界から皆を守るんだ!」

 

「わかりました!気をつけて…!」

 

「ああ!…トフェニ!」

 

《御意!》

俺はトフェニの背中を借り、高い高度から十代を追いかけた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨハン…今助けるからな…!」

 

十代は単身ヨハンを助けるために収容所に辿り着いていた、しかし収容所には人の気配は無く十代は用心しながらヨハンを探索していた…そして。

 

「ヨハン…ヨハン!!」

そしてついに牢屋の端にて鎖に繋がれた少年を見つけた…しかし…。

 

《ヨハン…?》

 

「…別人かっ…!!」

牢にいた少年は別人だった、他の戦士達は別の場所に移され、戦士では無かった少年だけが置いてきぼりになっていたそうだ、そして十代は少年を助け脱出しようとするが…。

 

 

 

 

 

『そこまでだ!侵入者め!』

 

「お前は…!」

 

『我が名は暗黒界の騎士ズール!罠にかかったのがこんな小僧とは…見当ハズレだったな!』

 

収容所を出た十代を待ち構えていたのはズール率いる暗黒界の部隊だった、少年を囮に仲間の決闘者をおびきだそうとしたようだ。

 

『とりあえずその餓鬼は用済みだ…ハァッ!』

ズールが剣を抜き放ち、囚われていた少年を狙う!

 

『やらせるか!!カタストロフ・レーザー!!』

 

『何っ!?』

ズールの剣は上空から撃たれた光線に弾かれる…それを撃ったのは…

 

『十代!何を単独行動してるんだ!この大馬鹿者!!』

ゴチーン!!

 

「ふぎゃ!?ゆ、遊海先生!?」

飛び降りつつ十代に拳骨を喰らわせた遊海である…。

 

『貴様…何者だ!』

ズールが突然現れた遊海を警戒する…

 

「通りがかりの決闘者だ!別に覚えなくていいぞ?」

 

「遊海先生!どうしてここに!?」

十代が遊海に問いかける

 

「十代!お前が抜け出したせいで万丈目達が怒ってたぞ!…後でオシオキだからな…!!」

 

「ヒェッ!?この状況で勘弁してくれ〜!」

 

『おのれ…ふざけおって…!貴様!デュエルだ!この私をコケにした事…後悔させてやる!』

ズールはデュエルディスクを構える

 

「望むところだ!お前達のために死んだラーズの…無辜の人達の仇…とらせてもらう!」

 

 

 

 

 

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

 

 

ズールLP4000

遊海LP4000

 

 

 

 

 

 

 

『私のターン!ドロー!』

『出ろ!「ジェネティック・ワーウルフ」!』

科学により改造された人狼が現れる ATK2000

 

『ターンエンド!』

 

ズールLP4000

ワーウルフ 手札5

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「俺は手札から魔法カード『Eーエマージェンシーコール』を発動!効果により『E・HEROアナザー・ネオス』を手札に加える!」

 

「HEROだって!?先生が!?」

 

「十代!見ていろ!これが新たなHERO達だ!手札から『アナザー・ネオス』を召喚!」

異世界の可能性たるネオスが現れる ATK1900

 

「『ネオス』!?」

 

「そして手札から速効魔法『マスクチェンジ』を発動!自分フィールドの『アナザーネオス』を生贄に融合デッキから同じ属性の融合モンスターを特殊召喚する!」

 

『なんだと!?』

 

「いくぞ!光のヒーローよ!新たなる仮面を被り敵を蹴散らせ!変身召喚!『M・HERO光牙』!」

小さなヒーローが光を纏い進化を遂げる、そして両手に牙のような武器を付けたヒーローが現れる ATK2500

 

「変身召喚…!『M・HERO』…!すげぇ…!」

十代は命懸けのデュエルだという事を忘れて釘付けになる…その顔には以前のような笑顔があった

 

「そして『光牙』の効果を発動!相手のモンスター1体につき攻撃力を500アップする!」

ATK2500→3000

 

『くっ…!』

 

「さらに『光牙』のさらなる効果!墓地の『アナザーネオス』を除外し『ワーウルフ』の攻撃力を1900ダウンさせる!」

 

『なんだと!?』

 

ATK2000→100

 

「バトル!『光牙』で『ワーウルフ』を攻撃!『レイザーファング』!」

両手の牙でワーウルフを袈裟がけに切り裂いた!

 

『ぐぬぅ!!?』

 

ズールLP4000→1100

 

光牙3000→2500

「すげぇ!流石先生だ!!」

 

「ターンエンドだ!」

 

遊海LP4000

光牙 手札4

 

 

 

 

 

 

『チィ!強いな貴様…!我が軍に欲しいぐらいだ!』

 

「お前達のような仲間を大切にしない奴らとはゴメンだね!!」

 

『そうか…なら死ぬがいい!』

 

 

 

 

 

『私のターン!ドロー!』

『「パワー・マーダー」を召喚!』

黒い悪魔とトカゲを合わせたようなモンスターが現れる ATK1800

 

『さらにフィールド魔法「パワー・ゾーン」を発動!お互いのモンスターが戦闘で破壊された時、プレイヤーはその攻撃力分のダメージを受ける!』

黒い波動がフィールドに広がる…

 

『さらに装備魔法「闇・エネルギー」を「マーダー」に装備!効果により攻守を300アップする!』

闇の力がパワーマーダーを強化するATK1800→2100

 

『バトルだ!「パワーマーダー」で『光牙』を攻撃!』

 

「攻撃力の低いモンスターで攻撃!?」

 

「『光牙』の攻撃力は効果により3000だ!血迷ったか!」

 

『「マーダー」の効果を発動!このカードが元々の攻撃力より高い相手モンスターと戦闘をする時!このカードの攻撃力を1000アップする!』

 

「なんだと!?」

 

ATK2100→3100

 

『やれ!「パワーマーダー」!』

パワーマーダーが光牙を打ち砕いた

 

「くっ!?」

遊海LP4000→3900

 

『さらに「パワーゾーン」の効果を受けるがいい!!』

黒い波動が遊海にダメージを与える

 

「ぐああああああ!!!」

遊海LP3900→900

 

「遊海先生!!」

 

『バトルフェイズを終了!さらに私は手札から永続魔法「パワー・スピリッツ」をライフを1000払い発動!私の場に存在する攻撃表示モンスターは、そのモンスターの攻撃力より1000ポイント以上高い攻撃力を持つモンスターにしか戦闘で破壊されない!カードを伏せて…これでターンエンドだ!』

 

ズールLP100

パワーマーダー「闇エネルギー」 フィールド魔法パワーゾーン パワースピリッツ 伏せ1 手札1

 

 

「がっ…ハァ…ハァ…!大物喰らいのモンスターってわけか…!」

 

『そうだ!我がライフは100だがこれで充分!貴様は攻撃力3200以上のモンスターを出せなければ死ぬのだ!フハハハハ!!』

 

「先生が死ぬ…?そんな!そんな!?」

十代はパニックになる…自分が単独行動をしたばっかりに遊海先生が死ぬ…自分の無責任さに気づいたのだ…

 

「十代…心配するなよ、俺は…負けん!自分をヒーロー達を信じろ!!」

 

「ヒーロー達を…信じる…」

 

「そうだ!最後の瞬間まで諦めない…それが決闘者だ!」

 

 

 

 

 

 

 

「いくぜ!俺のターン…ドロー!!」

「十代!刮目しろ!地球の息吹を…見せてやる!」

 

「地球の…息吹…」

 

「俺は手札から『ヒーローアライブ』を発動!自分フィールドにモンスターがいない時、ライフを半分払いデッキからHEROモンスター、『シャドー・ミスト』を特殊召喚!」

黒い鎧の女性ヒーローが現れる ATK1000

 

遊海LP900→450

 

 

「『シャドーミスト』の効果!特殊召喚に成功した事によりデッキから2枚目の『マスクチェンジ』を手札に加える!」

 

「そして手札から『融合』を発動!手札から森の化身『フォレストマン』、海の化身『オーシャン』を融合!」

身体が木になっているヒーローと海を司るヒーローが渦に飛び込む!

 

「大いなる大地よ!母なる海よ!今こそ交わりて生命溢れる星となれ!!融合召喚!『E・HEROジ・アース』!!」

地球を体現する大いなるヒーローが現れる ATK2500

 

 

「『ジ・アース』…すごい力を感じる…!」

 

「さらに手札から『マスクチェンジ』を発動!『シャドーミスト』で変身召喚!悪を刈り取る猛き鬼…『M・HERO闇鬼』!」

黒い鎧の角を生やしたヒーローが現れる ATK2800

 

『ハッ…!大仰な事を言っておいて…その程度か?笑わせる!ハハハハハ!!』

 

「まだだ!『ジ・アース』の効果を発動!『闇鬼』を生贄に捧げその攻撃力分攻撃力をアップする!『地球灼熱(ジ・アース マグマ)』!」

闇鬼の力を受け取ったジ・アースの青い宝玉が赤く染まり二振りのマグマの剣を装備する…その姿は地球そのものの怒りを表しているようだった ATK2500→5300

 

『攻撃力…5300…だと…?』

 

「バトル!『ジ・アース』で『パワーマーダー』を攻撃!虐げられたみんなの怒りを思い知れ!『地球灼熱斬(アース・マグナ・スラッシュ)』!!」

大地の怒りがマーダー諸共ズールを呑み込んだ…

 

ズールLP0

 

遊海 WIN!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「十代〜!遊海先生ー!無事か〜!?」

デュエル終了直後、少し遅れて万丈目達が追いついてくる

 

「ああ!大丈夫だ!そっちは大丈夫だったか?」

 

「はい!途中で暗黒界のモンスター達に襲われたんですけど翠さんが蹴散らしちゃいました!」

 

「翠さんカッコよかったッス!綺麗なドレスを着て紫の糸で縛りあげて遠くにビューンって!!」

 

「えへへ!頑張っちゃいました!」

 

「ありがとう翠!みんなが無事でよかった!」

 

 

 

 

「遊海先生…すみませんでした!!」

十代は遊海に頭を下げる

 

「十代、お前は人を惹き付ける力を持っている…お前が動いたらみんなが動く、今回は俺と翠がいたからよかったけど…一歩間違えばみんな危険な目にあっていたはずだ…それを理解するんだ!」

 

「はい…すみませんでした!!」

 

「十代…謝る相手が違うだろう?」

 

「「「「……」」」」

遊海は後ろにいる万丈目達を指し示す…

 

 

 

 

「あっ…!?みんな!ゴメン…こんな危険な目に…みんなを…」

 

「本当にだ!まったく…こんな世界にオレ達を連れて来やがって…」

万丈目が十代に怒る…

 

「万丈目…」

 

「…と、言うとでも思ったか?」

 

「えっ…?」

 

「オレがこの世界に来たのはヨハンを助けるためだ!そのためにある程度の覚悟をしてきた!オレが怒ってたのはお前が1人で突っ走るからだ!オレ達は仲間だ!そのオレ達を放っておいて1人で突っ走るな十代!」

 

「そうザウルス!兄貴は1人じゃ無いドン!」

 

「私達がついてるわ!」

 

「十代、君1人で責任を感じる必要はないんだ!」

 

「この事件の責任は全員にある…もし俺がマルタンを早く見つけられれば結末は変わったかもしれない…!」

 

「十代、人は誰でもミスを犯す…しかしそれを補い合うのがフレンドだとミーは思うんだが…どう思う?」

 

「万丈目…剣山…明日香…吹雪さん…オブライエン…ジム…俺…俺は…!」

十代は膝をつき涙を流す…こんなに大切な仲間達を危険に晒していたのかと後悔し、そしてみんながいてよかったと涙したのだ…

 

「十代!その涙はヨハンに会った時のためにとっておけ!まだ先は長いぞ!」

遊海が十代の肩を叩く

 

「先生…俺、俺は…絶対にヨハンを助けだす!全員で無事に元の世界に帰ってみせる!!」

 

「その意気だ十代!さぁ、少し休もう…そしたら収容所の調査だ!何か手がかりが見つかるかもしれない!」

 

「ああ!燃えてきたぜ!」

 

 

 

 

その後俺達を心配して来てくれたフリードにジョン(ヨハン似の少年)を託し俺達は収容所を調査する、それにより足として「音速ダック」と暗黒界の本拠地の地図を手に入れた俺達はその場所に向かう事になった…!

 

「よし…行くぜみんな!」

 

「「「「「レッツ・ゴー!!」」」」」

 

 

 

「遊海さん…よかったんですか?みんなを元気づけちゃって…」

 

「ああ…やっぱり気が変わった、覇王の覚醒はもっと平和的にできるかもしれない…とりあえずはブロンを倒してから考えよう!」

 

「そうですね!わかりました!…そういえば…」

 

「ん?」

 

「ズールから飛び出したはずの『邪神経典』の玉はどこに行ったんでしょうか…?」

 

「…?そういえば見えなかったな…まぁ近くの誰かに宿った…のかな…?」

 

「うーん…?」

 

 

…その時、誰も気づいていなかった…遊海の右腕に「怒」「憎」「悲」「苦」の文字が刻まれている事に…そして…

 

「アニキ…やっぱりあんなの…デュエルじゃないッスよ…!」疑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ジョウケンハソロッタ…モウ少し…モウ少しだ!】

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