転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
《それにしても…醜い姿になったものだねぇ…「地獄詩人ヘルボリマー」の方がマシなんじゃないかい?》
【お前ニ言わレたくないネ、ユベル…!】
異形と化した遊海はユベルと睨みあっていた…、ユベルはヨハンの姿では無く本人の姿で現れている。
《フフフ、それにしてもここまで上手くいくなんてね…ボクは自分の事が怖いよ…!》
【何ダト…?】
《君はずっとボクの手のひらの上で踊っていたに過ぎないのさ!アハハハ!》
《キミのはめていた黒いデス・ベルトには二種類の呪いをかけていたのさ!一つは魂を砕く「茨の呪い」…そして負の心を増幅させ怪物を目覚めさせる「悪魔の呪い」をね!》
【悪魔の呪い…だト…?】
《そうさ!君の「善」の魂を闇で浸食し「悪」へと塗り変える静かなる呪い…!君ともう一つの魂に気付かれないように、静かにゆっくりと蝕むのさ!そして君は邪神教義を吸収した事でついに変化したのさ!人を救う「英雄」から人を破滅させる「悪魔」にね!!》
【キサマ…!目的はナンだ!オレへの復讐か!?】
《何を言うんだい?十代への愛のために決まっているじゃないか…!》
【ナ…ニ…?】
遊海はあまりのぶっ飛んだ「愛」発言に呆然となる…
《キミを暴走させて彼の大切な者を全て壊すのさ…!そして十代はボクの愛を知るのさ!痛みと苦しみという名前の「愛」を!!》
【知っていタけど…狂いすギだ…!シカしユベル!ソレは叶わナい!】
《なんだって?》
【俺ハ、俺が白波 遊海であル限り…この「悪魔」ヲ抑えテみセる!!貴様の思イどオりにはならん…!!】
《強情だねぇ…もう理性を保つのも辛いだろうに…今楽にしてあげるよ…!》
ユベルはデュエルディスクを構える…
【貴様トデュエルする理由ハない!】
《ふーん…もしボクに勝てたら元に戻してあげようと思ったのに…残念だな〜!》
【…くっ…!世迷い事を…端から約束を守るつもりはナイんだろう?】
《何を言うんだい!デュエルとは古来から神聖なモノ…ボクだって約束は守るさ!なら証拠としてデュエルの間だけ顔を戻してあげるよ!》
ユベルが遊海に向けて手を翻す…すると遊海の顔が人間のものに戻る…
「…本当のようだな…!ならばお前を倒して…俺は翠の元に…戻る!!」
「《デュエル!!》」
ユベルLP4000
遊海LP4000
《ボクのターン!ドロー!》
《「サクリファイス・ロータス」を守備表示デュエル召喚!》
蓮の花の妖精が現れる DEF0
《カードを2枚伏せてターンエンド!》
ユベルLP4000
ロータス 伏せ2 手札3
「俺のターン!ドロー!!」
「自分フィールドにモンスターがいない時『フォトン・スラッシャー』は特殊召喚できる!」
光輝く剣士が現れる ATK2100
「さらに自分フィールドに『フォトン』モンスターがいる時、『フォトンバニッシャー』は特殊召喚できる!」
レーザー銃の銃士が現れる ATK2000
「2体のモンスターでオーバーレイ!」
剣士と銃士が銀河に飛び込む!
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!来い!『輝光帝ギャラクシオン』!!」
二刀流のレーザーブレードの戦士が現れる ATK2000
《フーン…それがエクシーズ召喚…面白いね…!》
「笑ってられるのも今のうちだ!!『ギャラクシオン』の効果を発動!ORUを一つ取り除き、手札から『竜』を特殊召喚する!!」
遊海の手に赤い槍が現れる
取り除いたORU
フォトンスラッシャー
「(希望の竜…俺に力を貸してくれ…!!)逆巻く銀河よ!希望の光となりわが僕に宿れ!」
槍を投合する!
「光の化身…ここに降臨!現れろ!『銀河眼の光子竜』!」
瞳に銀河を宿す竜がその姿を現す ATK3000
《攻撃力3000…いいね…!すごいじゃないか!》
「バトルだ!『ギャラクシオン』で『ロータス』を攻撃!さらにエクシーズ素材となっている『バニッシャー』の効果!『ギャラクシオン』が破壊したモンスターは除外される!」
《なんだって!?》
転生する花の精は役目を果たす事無く異次元へと消え去る
「『光子竜』でダイレクトアタック!『破滅のフォトン・ストリーム』!!」
破滅の光がユベルに迫る
《リバースカード「ドレインシールド」!!攻撃力分ライフを回復する!》
破滅の光はユベルの力に変わる
ユベルLP4000→7000
「チッ!しまった…!みすみすライフを…!」
《フフフ、ごちそうさま!》
「カードを伏せてターンエンド!」
《その時リバースカード「終焉の焔」!攻守0の「黒炎トークン」を2体特殊召喚!》
小さな黒い炎が現れる DEF 0 0
遊海LP4000
ギャラクシオン 光子竜 伏せ1 手札3
「生贄素材を…!」
《フフフ…見せてあげるよ、ボクの力をね!》
《ボクのターン!ドロー!》
《「黒炎トークン」2体を生贄に現われろ!ボク自身…『ユベル』!》
ユベル自身がフィールドに現れる ATK0
「来たか…!」
《フフフ、まだ終わりじゃないよ!手札から魔法カード「サンダー・クラッシュ」を発動!ボクを破壊してキミに300ダメージを与える!!》
ユベルの体が砕け散る、そこから雷撃が放たれ遊海に直撃する
「がああ!?…ま…マズイ!」
遊海LP4000→3700
《「ユベル」の効果を発動!ボクは十代への愛で進化する!デッキから『ユベルーDas Abscheulibh Ritter』を特殊召喚!》
ユベルの粒子が集まり「忌まわしき騎士」の名前を持つ第二形態が現れる ATK0
『アハハハハ!どうだいこの姿は…!』
ユベルが双頭の竜の間からその姿を生やす…その瞳は狂気に塗れていた…。
「くっ…!いきなりかよ…!」
《バトルだ!「ボク」で「銀河眼」を攻撃!効果によりボクは戦闘ダメージを受けず相手は攻撃されたモンスターの攻撃力分のダメージを受ける!「ナイトメア・ペイン」!》
「アニメ効果!?(マズイ…『銀河眼』の効果を使ったら…!)っぐおおぉぉお!!」
ユベルの炎を受けた光子竜がユベルに襲いかかる、しかしダメージは反射され遊海に襲いかかった…
遊海LP3700→700
《ボクはカードを伏せてターンエンド!》
ユベルLP7000
ユベルVr2 伏せ2 手札1
「ガッ…効くな…『銀河眼』のブレスは…」
《どうだい白波…君はボクに触れる事はできない…!どうする事もできないのさ!》
「くっ…俺は…オレは…!負けルわケには…いかナいンダー!!!」
遊海を闇のオーラが包みこむ…オーラが収まると遊海は異形の姿に戻っていた…!
《フフフ…いいぞ!さぁ…心の闇を曝け出せ!それがボクの最大のエネルギーとなるのさ!!》
【オレのターン!!闇よ集え…我にチカラを…!デビルドロー!】
遊海の腕に暗黒の力が集う…そしてカードをドローする…
【「RUMー七皇の剣」!発動!!時間ヲ統べル黄金の龍ヨ…我が手に勝利を齎スたメに顕現セヨ…!「A CNo.107! 超銀河眼の時空龍」!』
時空を統べる三頭龍が降臨する ATK4500
《攻撃力4500のドラゴンだと…!?》
【「超時空龍」のモンスター効果!ORUヲ一つ取り除キ発動!「タイム・タイラント」!!】
《ガアァァァ!!》
超時空龍が遊海の怒りを代弁するかのように咆哮をあげる、すると時空龍以外のモンスターやカードが灰色になる…
《何っ!?いったい何が…!》
【「超時空龍」は時間ヲ司る龍皇…コノターン、フィールドのカード効果は全テ無効にナリ…キサマはフィールドでカードの効果を発動でキなイ!!】
《なんだって!?》
【バトル!「超時空龍」!「ユベル(第二形態)」を攻撃!「アルティメット・タキオン・スパイラル」!!】
三条の光線が螺旋を描きユベルに直撃する…効果を封じられたユベルは呆気無く光に飲み込まれた。
《あ"あ"あ"あ"あ"!!?》
ユベルLP7000→2500
《ぐっ…まだだ!!いでよ我が真の姿!「ユベルーDas Extremer Traurig Drachen」!!》
悲哀の龍の名前を冠するユベルの最終形態が現れる…しかしその姿も灰色に染まっている… ATK0
《なっ…ボクの姿が灰色に…何故!?》
【イッタだろウ!この空間を支配シテいるのは…「超時空龍」だ!「ギャラクシオン」!「ユベル」を…切り裂ケぇぇェェ!!!】
ギャラクシオンは「誰にも傷つけられない龍」を…斬り裂いた
《ぎゃあああぁ!!?》
ユベルLP2500→500
【ターンエンド…ダ…!】
遊海LP700
超時空龍 ギャラクシオン 伏せ1 手札3
《クッ…アハハ…アハハハハハ!!》
傷付いたユベルは突如笑い始める…
【ナニが可笑しイ!ツギにオレがイチゲキをキメレバ…オレの勝ちダ!!】
《アハハハ…いやぁ、あまりにも滑稽でね…今の君の姿が!自分の意思で悪魔になっちゃったら手間ないね!アハハハ…!!》
【ナ…ニ…?】
遊海は自身の顔を確認する…ユベルに一時的に解呪されていた顔は悪魔の顔に戻っていた…。
【コレ…ハ…】
《アハハハ!何が楽しいデュエルを心がけるだ!君の本性は他の決闘者達と一緒さ!ただ勝利を貪欲に求める化物なんだよ!》
【チガウ…オレはデュエルを…タノシムため…に…】
《いいや、違わないね!君はボクと同じさ!ボクは十代に愛を届けるためなら何でもする!君は勝つためなら何でもする…同じだろう?》
【チガウ…!!】
《なら証拠をみせておくれよ!ボクのターン!ドロー!》
《「グレイブ・スクワーマー」を召喚!》
黄色いゾンビのような悪魔が現れる ATK 0
《ボクはこれでターンエンド!》
ユベルLP500
スクワーマー 伏せ3 手札1
【オレノターン!ドロー!】
【「ネオタキオン」!ユベルにトドメをさせ!「スクワーマー」を攻撃!「アルティメット・タキオン・スパイラル」!!コレデオワリダァぁ!!】
ブレスがチャージされる…!
《ああ…終わりだとも、君がね?》
【ナ…】
《リバースカード「ヘイト・バスター」!悪魔族が攻撃を受けた時に発動!「超時空龍」と「スクワーマー」を破壊し相手に4500のダメージを与える!!》
黄色い悪魔が龍へと特攻し…大爆発を起こした…
【ガッ…アアアアアアアアアアア!!?】
遊海LP0
ユベル WIN!
【ガッ…ゴ…ハッ…】
遊海は爆発により岩壁に叩きつけられていた…体からは金色の粒子が漏れている…
《フフフ…どうだい?痛いかい?白波…!》
【イタイサ…シカシ、オマエのオモウトオリにはナラン…オレが消滅すれば…アイツラに迷惑ハ…】
《消滅?…させるわけないじゃない…か!!》
【ナッ…!?グッアアアアアアアアアアア!!!?】
ユベルの腕が遊海の胸に突き刺さる…
《君が白波 遊海である限り悪魔にならないなら…
胸を貫いたユベルの腕は遊海の魂を浸食する…そしてその魂を書き換え…遊海の意識が失くなっていく…
【ガッ…ヤメロ…ヤメテクレ…!オレの…記憶が…消エテ…!】
《フフフ、さよなら白波 遊海、救済者は今…悪逆の魔王へと墜ちるのさ!アハハ…アハハハハハ!ああ!十代ボクの十代!!君の顔が楽しみだよ!君に仲間がいなくなった時…君はどんな顔をしているのかな?アハハ…アハハハハハ!!》
【ガ…ア…アアアアアア!!?】
思い出が…消えていく…
大切な思い出が
ア との出会いが…
遊 との友情が
精霊達の名前が
愛する人の姿が…
消えていく…
ああ…
思い出なんて…あったっけ?
そして全てが黒く/白く塗りつぶされ…俺の意識は…消失した…
《さぁ目覚めなよ!白波 遊海の心の闇を吸収した破壊の悪魔!君の力で十代の取り巻きを…!》
【GA……】
《ん?》
【Gaaaaaaaaー!!】
目覚めた遊海…否、悪魔は闇のオーラを発生させる…そこから数多のモンスター達が飛び出してくる…!
《なっ…!?なんだよこのモンスター達は…!》
ユベルは知らない…召喚されたモンスター達は世界を破滅させかけたモンスターであると…
【GoAaaaaaaa!!】
《まさか…コイツ理性が…!?》
ユベルの誤算…それは悪魔に理性がなかった事であろう…悪魔はあらぬ方向を見ると、そちらに向かっていく…。
【ハ…カ…イ…!ハカイィィィ!!!】
その様子はまさに狂戦士…ユベルにそれを制御する事は無理だった…。
《おい!悪魔!何処に!?》
【十代…コロ…ス!!】
《なっ…!?チッ、失敗か!消え去…なっ!?》
【ギシャアアア!!】
悪魔の召喚したモンスターが蒼い炎を放ちユベルの周囲を燃やし尽くす!
【Gaaaaaaa!!】
そして悪魔は遠くに見える岩の城へ向かっていった…。