転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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魂を守りし者〜忘れられし精霊〜

『反応がひどいな…まったく…敵ではねぇよ…』

 

遊海を目覚めさせるために遊海の深層意識へと潜った翠達の目の前に現れたのは黒い服を着た遊海の姿だった。

 

「お前…遊海先生じゃないな…!何者だ!」

 

十代は瞳を金と青のオッドアイに変化させる、真に覇王として覚醒しユベルと融合した十代は遊海には及ばないが相当な実力者になっていた…。

 

「十代君大丈夫…彼は敵じゃないわ、ですよねユウスケさん?」

 

『ああ…この姿で会うのは初めてだな翠…』

 

「ユウスケ…?何者だ?」

 

『十代は会うのは初めてか?まあいい、(オレ)の名はユウスケ…遊海の負の感情から生まれた人格だ…まあ厳密には違うんだがな…』

 

「どういう事だ?」

 

「遊海さんが秘密結社ドーマと戦った時に敵の首魁に魂を与えられてできた人格なの、私も彼の事を知ったのは遊海さんと結婚してから…でも悪い人ではないわ…」

 

『補足ありがとよ翠…しかし来るのが…遅かったな…』

 

「ユウスケさん!?」

ユウスケは床へと倒れ込む…その身体…魂はよくみると傷だらけだった…。

 

「いったい何があったんだ!どうして遊海先生は目覚めない!」

 

『話すと少し長いが…構わないか?』

 

「ええ…教えてユウスケさん、遊海さんの中で何があったのか…!」

 

『ああ…わかった、話してやるよ…』

ユウスケはポツポツと話しだした…。

 

 

 

 

 

 

『始まりはデス・ベルトをつけてからだ…急に黒い茨が魂の中に入ってきて我や遊海の魂を締めけやがった…しかも遊海が精霊の力を使うほど締め付けも強くなってな、ついには我諸共に砕け散った…まあ冥界で王様が治してくれたからよかったが…まあそこはいい問題はその先だ!』

 

「その先…?」

 

『2回目の異世界へ向かったあとから遊海からのエネルギー…「負」の感情の供給がほとんど無くなったんだ、それこそ誰かに横取りされたみたいに!それで暗黒界の…ズールだったか?アイツを倒した直後に我は黒いスライムみたいな奴に吸収されちまったんだ!意識はあるけど魂のエネルギーを根こそぎ奪われちまった…そしたらソイツ…ティエラだったか?遊海の魂まで浸食して異形の悪魔みたいなモンスターに遊海を変えちまいやがった…我も中で反抗したんだが…暖簾に腕押しだったよ…。』

 

「それで…その先は…?」

 

『あとは詳しくは知らん、遊海は悪魔に変わっちまったあと丸藤 亮?に自分の後始末を頼んだあと気味悪いヤンデレ?みたいな奴にやられちまって完全に悪魔になっちまった…その時に我の意識も完全に呑まれてあとは知らないんだよ!あぐっ…!?いつつ…』

 

「すまないユウスケ、俺の…ユベルのせいで…」

 

『ん…?いやがるな!?出てこいクソ悪魔!!』

 

 

 

《(十代…出なきゃダメ…?)》

 

「(ダメ、すぐ出てこい)」

 

《(わかったよ…)》

 

 

十代は魂に宿るユベルに語りかける…すると十代の後ろに改心しヤンデレからツンデレになったユベルが現れる…。

 

『あっ!?やっぱりいやがったな貴様!お前が破滅の光のエネルギーを入れたせいで我も遊海も酷い目にあったんだからな!?具体的には記憶が消えたり翠に攻撃したり!一発殴らせ…!アイタタタ…』

ユベルを殴ろうとしたユウスケはダメージのせいか痛みに顔を歪める…

 

「ユーベール〜?」

 

《…悪かったよ、十代に愛を伝えようと色々やってたんだ…》

 

『まぁ…貴様はもう十代の仲間…パートナーだ、味方にはもうとやかくは言わねぇさ…たぶん遊海も許しちまうだろうしな…』

 

「ユウスケさん…」

 

『それでた…悪魔から破壊神になった遊海は十代と賢者の石によって倒され…我達の魂は賢者の石に込められた願い…「遊海先生を助けたい!」っていう願いで破壊神の魂と分離して助かった…まぁ累積ダメージで消滅はしたんだけどな…そして我がこの世界で目覚めたら…またいきなり襲われた…!』

 

「襲われた!?もうティエラはいないんだろう!?」

 

『ああ…あいつは完全に消滅したはずだ…でも別口でないきなり「貴様は闇!罪ありき!」ってな感じで滅茶苦茶に攻撃されて…こんな身体だよ…』

 

「その襲ってきた相手の特徴は?何かありましたか?」

 

『それは…自分達の目で見た方が早いな…我はここまでだ、遊海はソイツに幽閉されてる…そのせいでアイツは目覚めないんだ、かく言う我もエネルギー切れでな…起きているのが辛い…奴は扉の向こうだ…頼んだ…ぞ……』

 

「ユウスケ!?おい!しっかりしろ!!」

 

「だめだわ…完全に気を失ってる、きっと私達が来るのをボロボロの身体で待っていたんだわ…」

 

「ユウスケ…すまない俺達が早く気づけば…」

 

「反省はあと!遊海さんを助ける事が先決よ…!行きましょう!」

 

《翠殿…気をつけろ、扉の向こうから凄まじい『怒り』の波動を感じる…!》

 

「わかったわ…行きましょう!」

 

「はい!」

 

翠はユウスケを寝かせると扉へと向かった…そして慎重に扉を開け潜入した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…教会…神殿?」

扉を抜けた先は石造りの神殿のような場所だった…トフェニに言われた怒りの感情は感じず静かな空気が流れている…。

 

「翠さん…!祭壇のところに…何か…?」

 

「えっ…遊海さん!!」

 

「えっ!?あれが!?」

神殿の最奥…そこには弱々しい赤い光の玉が浮かんでいた…それは遊海の魂だけの姿だった…。

 

 

「一度だけ私は遊海さんの魂を見た事があるの!間違いないわ!」

 

「あれが遊海先生の魂…大徳寺先生は黄色だったな、とにかくあれで遊海先生を助け出せば《危ない!!》どわぁ!?」

遊海の元に行こうとした十代へ岩が降りそそぐ…トフェニが咄嗟に飛び出して十代を庇った…

 

「トフェニさん!大丈夫!?」

 

《翠殿…拙者より周りを…来ます!!》

トフェニの言葉と共に神殿の床が盛り上がる…!

 

【誰だ…誰だ我が領域に入る者は…!!許さん…許さんぞ!!!オオォォオッ!!】

 

怒りの籠もった声と共に声の主が現れる…岩の身体を持ち、その目に怒りの色を宿す者…それは…

 

「嘘…!?『メガロック・ドラゴン』…!?」 

 

「デケェ…!」

 

赤いオーラを纏ったメガロック・ドラゴンだった…。

 

 

 

 

 

 

 

【貴様ら…我が領域に何用だ!】

 

メガロックは翠達に問いかける

 

「私は遊海さんを目覚めさせ【闇の者!この魂は渡さんぞ!!】きゃあ!?」

メガロックは突然怒りだし岩を投げつける

 

【貴様らから強い闇の力を感じる…!コヤツは渡さんぞ!!】 

 

「闇の力なんて…そんな!」←闇属性・シャドール使い

 

「…俺はしょうがないな…」←正しき闇の覇王

 

 

【立ち去れ…立ち去れぇぇぇ!!】

メガロックは滅茶苦茶に岩を投げつける…

 

《十代!ダメだ!この精霊は暴走している!話をできる状態じゃない!!》

 

「ネオス!」

飛んできた岩を殴りつけながらネオスが話しかける

 

《相手を落ち着かせるんだ!!》

 

「なら私がデュエルで!」

 

「翠さん!俺がやる!こんな状況にしたんだ!俺が責任を取る!翠さんはトフェニを!」

 

「十代君…お願い!!」

 

 

 

 

「メガロック!デュエルだ!俺達は遊海先生を助けたいだけなんだ!それを証明する!」

 

【デュエルだと…?良いだろう闇の者よ!我が力で貴様らを駆逐してくれる!!】

 

 

メガロックの横に石版の山が積み上がる…

 

 

 

 

「【デュエル!!】」

 

 

 

 

 

 

メガロック・ドラゴンLP4000

十代LP4000

 

 

 

 

 

 

 

 

【我がターン!ドロー!】

【モンスターを伏せ、ターンエンド!】

 

 

メガロックLP4000

伏せモンスター1体 手札5

 

 

 

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「魔法カード『天使の施し』を発動!3枚引いて2枚捨てる!」

捨てたカード

ネクロダークマン

エッジマン

 

「墓地の『ネクロダークマン』の効果!このカードが墓地に存在する時、手札からレベル5以上の『HERO』モンスターを生贄なしで召喚できる!来い!『ネオス』!」

宇宙の波動を受けたヒーローが現れる ATK2500

 

「バトルだ!『ネオス』で裏守備モンスターを攻撃!ラス・オブ・ネオス!」

ネオスが手刀で裏守備のバックパックを背負った虫のようなモンスターを破壊する…

 

【『魔導雑貨商人』のリバース効果を発動!デッキから魔法・罠カードが出るまでデッキをめくり1枚を手札に加える!それ以外のカードは全て墓地に送る…ゆくぞ!】

 

めくったカード

 

ゴゴゴ・ゴーレム2

ゴゴゴ・ジャイアント

怒気土器2

ミッドピースゴーレム

マグネット・バルキリオン

磁石の戦士α

γ

β

ゴゴゴギガース

フォッシルダイナ・パキケファロ2

ギガストーンオメガ

ロックストーンウォーリアー2

メデューサワーム2

番兵ゴーレム

伝説の柔術家2

メタモルポット

カオスポッド

ロストガーディアン

ホプロムス2

災いの像

恵みの像

スモールピース

守護者スフィンクス

☆岩投げエリア

 

 

【『岩投げエリア』を手札に加える!】

 

「墓地を増やされた…!カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

十代LP4000

ネオス 伏せ2 手札3

 

 

 

 

 

「十代君!気をつけて!彼の切り札がくるわ!」

 

「ああ…!」

 

 

 

 

 

【我がターン!ドロー!】

【我は墓地の岩石族モンスター30体を除外し!我自身『メガロック・ドラゴン』を召喚!我が攻撃力は除外した岩石族モンスター1体につき700ポイントアップする…!!グオオォォォ!!】

メガロック自身がフィールドに現れ、その身体を巨大化させる ATK?→21000

 

「攻撃力21000!?なんだよそれ!?」

 

【さらにフィールド魔法『岩投げエリア』を発動!】

メガロックの後ろに投石機が現れる。

 

【バトルだぁぁ!!我で『ネオス』を攻撃!砕け散れ!鳴動富嶽!!!】

地面が隆起しネオスに迫る!

 

「やばい!リバースカードオープン『ヒーローバリア』!『E・HERO』モンスターがいる時に一度だけ攻撃を無効にする!うわああ!!?」

円盤状のバリアが展開し攻撃を防ぐ…しかしその余波により十代は吹き飛ばされてしまう。

 

【しぶとい奴め…!ターンエンドだ!】

 

メガロックLP4000

メガロック 岩投げエリア 手札6

 

 

 

「イタタタ…強烈すぎるぜ…なんつうパワーだ…!」

 

「十代君大丈夫!?」

 

「はい…!でもアレはどう倒したらいいんだ…!」

 

《十代…倒す必要はないさ…!》

 

「ユベル?」

メガロック・ドラゴンの対処に困った十代にユベルが話しかける

 

《カードを引くんだ!十代…ボクの力を見せてあげるよ》

 

「…わかった!」

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「リバースカードオープン!『リビングデッドの呼び声』!墓地の『エッジマン』を攻撃表示で召喚!」

金色の刃のヒーローが現れる ATK2600

 

 

【無駄だぁ…!そんなモンスターが我に敵うかぁ!!】

 

「まだだ!俺は『ネオス』と『エッジマン』を生贄に現われろ!『ユベル』!!」

《ああ!まかせてくれ…十代!》

十代と融合せし精霊が現れる ATK0

 

【攻撃力0?血迷ったか小僧!】

 

「迷ってないぜ!バトルだ!『ユベル』で『メガロックドラゴン』を攻撃だ!」

 

【馬鹿が!精霊諸共に吹き飛ぶがいい!鳴動富嶽!!】

隆起した地面がユベルに迫る

 

《吹き飛ぶのはお前だ!ボクの効果を発動!十代へのダメージは0になり、相手は攻撃モンスターの攻撃力分のダメージを受ける!頭を冷やすがいい!ナイトメア・ペイン!!》

ユベルに迫っていたエネルギーが跳ね返りメガロックに直撃した!

 

【な、なんだと〜!!ぐああぁぁぁ!!?】

 

メガロックLP0

 

十代 WIN!

 

 

 

 

 

 

 

 

《フン…十代を傷つけていいのはボクだけなのさ!頭を冷やしなよ!…というか弱いなお前…》

 

【ぐ…アアアア…】

メガロックは大ダメージを受けて動きを停止している

 

「サンキューユベル!今のうちに遊海先生を!」

十代はメガロックの横を走り抜け祭壇へと到達する

 

「遊海先生!助けに来たぜ…帰ろう、みんなも翠さんも待ってる!」

十代は遊海の魂に触れようとする…

 

【さ、触るな!小僧ぉぉぉ!!!】

 

「うわぁぁ!?まだ動けるのかよ〜!?」

メガロックが十代の足元を隆起させ、元の場所まで弾き飛ばす…

 

【邪悪な者に優介は…渡さん…我が…我が護らなければ…護る…護るのだぁぁぁ!……】ズズン

 

「へっ…?」

 

雄叫びをあげたメガロックはその動きを停止する…気を失ったようだった…

 

「まさか…このメガロックドラゴンは…?」

 

「翠さん?どうしたんだ?」

 

「十代君…少し待ちましょう…この子が目覚めるまで…」

 

「?…ああ…わかった、でも大丈夫なのか?起き上がったらまた襲って来るんじゃ…?」

 

「大丈夫…きっと敵ではないはずだから…」

 

そう言って翠は気絶したメガロックの頭を優しく撫でた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ぐ…ぬぅ…優介…無事…か…?】

しばらくしてメガロックは起き上がる…

 

「メガロック・ドラゴン!気がついた?」

 

【ぬっ!?邪悪なる者めまだ!!】

翠がメガロックに話しかける、メガロックは警戒し岩を操ろうとする…

 

「メガロックドラゴン!私よ『春美』よ!」

 

【ハルミ…春美だと?我がマスターの思い出の人だと?信じんぞ…証拠を見せろ!】

 

「証拠ならあるわ!召喚!『メガロック・ドラゴン』!」

翠はデュエルディスクでメガロックドラゴンを召喚する…その身体は少し小さめである

 

《ギュオ〜!!》

 

【むっ…!?まさしく主が託したカード…すまなかった…我を許してほしい…】

 

「翠さん…どういう事だ?」

事態を見守っていた十代が話しかける

 

「十代君、このメガロック・ドラゴンは遊海さんの破かれたカードの精霊なのよ…」

 

「えっ…えぇ〜!?」

 

【然り、我は心の深奥にて眠りし優介の精霊なり…】

 

「メガロック・ドラゴン…何があったのか教えてくれる?」

 

【わかった…語ろう…何があったのか…】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【我は優介の精霊なり、優介は我のカードを大切に扱ってくれた…1番の切り札だった…しかしあの日…我が依代たるカードは失われた…我は優介と離れたくなかった…だから優介の心の奥深くに入り込み…長き眠りへ入った…】

 

 

【我はもう目覚める事は無いと思っていた…しかし我は目覚めた…きっかけは凄まじい負のエネルギーだった…それが我に力を与え目覚める事ができた…そして最初に目にしたのが傷つき意識を失った優介の魂だった…!】

メガロックは悔しそうに爪を地面に突き刺す

 

【我が眠っている間に優介の魂はズタボロになっていた…我は優介を護らなければと思った…せめて魂が回復し意識が戻るまで…!しかし魂を闇を纏いし魂が奪おうとした、だからソイツを追い出しずっと優介を守っていたのだ!】

 

 

 

『やっぱりそういうわけか…勘違いも甚だしいぜメガロック…!』

 

【ぬっ!貴様!】

 

「ユウスケさん!?身体は大丈夫なの!?」

翠達が話しを聞いていると回復したユウスケが歩いてくる…

 

【ユウスケだと?優介が2人…?どういう事だ?】

 

『だから話をしただろう!お前が眠ってから20年近く経っていて優介は転生して遊海になって!我はコイツの負の人格だから闇があるのは当然だって!!』

 

【まさか…本当の事なのか春美?】

 

「そうよメガロック、私達は事故で転生したの…ちなみに今の私の名前は翠よ!それで遊海さんの奥さんなんだから!」

 

【そう…なのか…!ああ…我はなんという事を…!!】

 

『だから言っただろうが石頭!暴走してたのはわかってたけど話ぐらい聞いてくれ!!』

 

【面目ない…!】

 

 

 

 

 

 

「メガロック…遊海さんは大丈夫なの?」

 

【優…遊海は無事では無い…度重なるダメージで魂の力が弱りきっている…しかし回復させる方法はある…!】

 

「その方法は…?」

 

【…こうするのだ…!!!】

メガロックは自分の身体から凄まじいエネルギーを出しそれを遊海の魂へ吸収させる…

 

『メガロック!お前もしかして!!』

 

【察しがいいな闇の遊海…我が全エネルギーを遊海に与える…そうすれば魂を補強できる…】

 

《待ちなよ岩石竜!それはお前の消滅を意味しているんだよ?》

 

【承知している…しかしこれは我の罪滅ぼしだ…人の話を聞かず翠に攻撃をしてしまった…それに我が依代は既に無い…どの道消える運命だったのだ…遅かれ早かれそれが来るならば…我は真に遊海の力となり共に生き続けよう…!】

 

だんだんとメガロックの身体が薄くなっていく…

 

「メガロック!待って!遊海さんに一目でも!」

 

【必要は無い…遊海には新たな相棒がいる…我が使命…遊海の守護は任せよう、春美…優介…を…頼む…さらばだ……】

 

「「メガロック!!」」

 

 

遊海を1番近くで見守り続けた岩石竜はその身を粒子に変え消滅した…そして遊海の魂が強く輝き浮かび上がる…そして人型を取り戻した遊海がゆっくりと祭壇へと寝かせられる…

 

 

 

「遊海さん!!」

翠は祭壇へと駆け寄る

 

「う…ん…翠…?ここは…?」

 

「ゆ、遊海さん!よかった…よかったです〜!!」

翠は遊海へと抱きつき涙を流す…

 

「今、懐かしい夢を見てたんだ、小さい頃の夢…『メガロック・ドラゴン』と一緒に遊んでいる夢だった…小さい頃によく見ていたんだ…」

 

「遊海先生…」

 

「おお…十代にユベルか…2人が一緒にいるって事は決着は着いたんだな…頑張ったな十代…」

 

《…君は怒らないのかい遊海、君を利用したボクに対して…》

 

「ユベル…お前はもう仲間だろ?なら何も言わないさ…十代の力になってやってくれ…!」

 

《フン…つくづく優しいんだな…お前は…》

 

『遊海、目覚めたなら長居は無用だ!さっさと起きやがれ!というかエネルギー寄越せ!』

 

「ユウスケ!?…まさかここ精神世界か!?なら早く起きなきゃな!」

遊海は祭壇から飛び降りる

 

 

「魂の回廊再構築…接続確認…よしっ!アヤカ!聞こえるか?」

 

[マスター!無事だったんですね!!よかった!心配しました!]

神殿にアヤカの声が響く

 

「心配かけてごめんアヤカ!早速だけどサルベージを頼む!」

 

[了解です!翠さん・十代君の反応を確認…サルベージ開始!]

 

アヤカの声と共に2人とユベルの身体が浮かび上がる…

 

「あっちで会おう!先に戻っててくれ!」

 

「わかりました!」

 

「また後でな!遊海先生!」

そうして2人は姿を消した…

 

 

 

 

「さて…俺も戻るか!」

 

《あ…主殿…助けてください…!》

 

「トフェニ!?何やってるんだお前!?」

 

遊海の視線の先には瓦礫に埋まったままのトフェニの姿があった…

 

《…申し訳無い…》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん…?ここは…?」

翠が気がつくとそこは保険室だった…

 

「翠さん!よかった〜遊海先生のお見舞いにいったら十代様と翠さんが気絶しててびっくりしちゃったよ〜!」

翠のベッドの横にはレイが座っていた

 

「ごめんねレイちゃん、心配かけて…もう大丈夫だから!…そうだ遊海さん!」

 

「あっ!?翠さんどこ行くの〜!?」

翠は素足で保険室から駆け出した…そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊海さん!!」

 

 

「おはよう…翠!」

 

 

「はい…!おはようございます!」




〜遊海・翠再会後〜





「そうか…俺が眠っている間にそんな事が…」
遊海はバラバラの『メガロック・ドラゴン』を見て呟いた

「はい…遊海さんの中で眠っていたメガロックは遊海さんを助けるために消えてしまいました…」

「メガロック…俺は前世でお前が破かれた事が1番の後悔だったんだ…こんな不甲斐ないマスターなのに…お前は俺を守ってくれた…ありがとう…メガロック…!!」

遊海は一筋の涙を流す…それは頬を伝いメガロックのカードへと落ちた…すると…


ピカーッ!

「うわっ!?」

「何事ですか!?」

カードの残骸が空中へと浮かび上がりひかり輝く…そして…


ー白波 遊海…あなたの彼に対する想い…確かに受け取りました、私の力を持って…奇跡をここに!!ー


何処かで聞いたような女性の声が遊海の頭に響く…そして遊海の手には新生した『メガロック・ドラゴン』のカードがあった…。

「メガロックのカードが…再生した…!あっ…!」
遊海の胸から光の玉が飛び出しカードへと入り込む…


ー彼は力を使い果たして眠っています…しかし再び目覚めるはずです…あなたと精霊の行く末に幸があらん事を…ー

そして声は消えていった…


《マスター!?今のは何事ですか!?何か神様の反応がありましたけど!?》

「お、俺にもわからない…いったい…何が起きたんだ…?」

「遊海さん…もしかして…メガロックさんにまた会えるんですか…?」

「ああ…そうみたいだ!よかった…!よかったよ〜!!」

遊海は珍しく子供のように泣き出した…長い間会えなかった相棒に会える…それがわかった故の嬉し泣きだった…。

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