転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
「バトル!攻撃力9800の『アークロードパラディオン』で『ダーク・ホルスドラゴン』『ダークネフティス』『ダークパーシアス』『暗黒界の魔神レイン』『F・G・D』を全体攻撃!!!」
『「ミラーフォース」を発動!』
「墓地の『神樹のパラディオン』を除外し破壊を無効にする!いけぇっー!!!」
ミスターT1〜5 LP0
遊海 WIN!
「ハァ…ハァ…まだまだぁ…!こんな人数で俺を仕留められると思うなよ貴様ら…!!」
戦い始めて何時間経ったのだろう…空は夜の帳が落ち、時間の感覚があやふやになる…ミスターTを倒した数は200を越えたあたりから数えるのを止めた…しかし敵の数は数えきれない。
今までパラディオンで切り裂き…聖刻で燃やし…ライトロードで消し飛ばし…影霊衣で凍結させ…ギャラクシーで消滅させ…俺らしくも無いバーンで吹き飛ばし…自分でミスターTを殴り飛ばしたりもしたが敵は減る事は無い…むしろその数を増やしていく…それは当然の事だ…。
ダークネスとは世界の闇そのもの…それは物理的でもあり精神的なものでもある、人の心に闇がある限りダークネスは不滅…つまり俺が削れているのは総量の小数点以下の力だろう、つまりは徒労に過ぎない…つまりこれは俺のわがままだ、いつ止めてもいい…最終的に俺が闇に呑まれる事は確定事項だ。
アニメ終盤、ダークネスは十代以外全ての人類を取り込んだ…それは闇を克服した遊戯やラフェール達も例外ではない、完全なる徒労…しかし俺はこの戦いを止める訳にはいかない…俺が白波 遊海であるために闇に抵抗し続ける…!
『フム…存外粘るな白波 遊海…なら我らも戦い方を変えよう…』
9人のミスターTが融合し3人のミスターTになる…
「かかって…来い…!!」
『『『「デュエル!!」』』』
ミスターT1
ミスターT2 LP12000
ミスターT3
遊海LP12000
フィールドそれぞれ
遊海→T1〜T3→遊海 (2回目の遊海ターンから攻撃可能)
@遊海
「俺のターン!ドロー!」
「手札から『超重武者ビッグワラーG』を特殊召喚!」
草鞋を合わせたような機械が現れる DEF1800
「そして『ビッグワラーG』を2体分の生贄として『超重武者ビッグベンーK』を召喚!自身の効果により守備表示になる!」
機械の僧兵が現れ、胡座で座り込む ATK1000→DEF3500
「そして手札から『超重武者装留マカルガエシ』を手札から『ビッグベンK』に装備!ターンエンド!」
遊海LP12000
ビッグベン(マカルガエシ) 手札3
『多数のデッキを操る白波 遊海…』
『我らに隙を見せないようにデッキを入れ替え戦ってきた…』
『しかし…我らは一味違うぞ…』
@T1
『私のターンドロー!』
『カードを3枚伏せてターンエンド』
T1 LP12000
伏せ3 手札3
@T2
『私のターン、ドロー!』
『「天使の施し」を発動3枚引いて2枚捨てる…』
捨てたカード
死者蘇生
未来融合
『カードを4枚伏せてターンエンド』
T2 LP12000
伏せ4 手札2
「(…なんだ?死者蘇生を捨てた…?そして伏せカード計7枚…まさか…!?)」
遊海は顔を青褪めさせる
『私のターン…ドロー!…気づいたようだが、もう遅い…!』
『「堕天使ナース・レフキュル」を召喚!』
全身に包帯を巻いた堕天使が現れる ATK1400
「『レフキュル』…!しまった…【シモッチバーン】…!」
『『その通り!リバース罠「シモッチによる副作用」を発動!』』
T1とT2が同時に罠カードを発動する…そして次の手は…!
『そして伏せ罠カード「ギフトカード」2枚を発動!』
『同じく伏せ罠カード「ギフトカード」2枚を発動!』
「しまっ…!?」
『本来であればお前のライフを回復させるが…「レフキュル」と「シモッチ」により24000のダメージを喰らうがいい!!!』
癒やしの力は悪意により反転し…雷撃、そして病となり遊海に襲いかかった!
「ぐあああぁぁぁぁぁ!!?」
遊海LP 0
ミスターT WIN!
ー翠…!ー
翠Side
「バトル!『智天の神星龍』で『暗黒界の武神ゴルド』を攻撃!」
ミスターT LP0
翠 WIN!
《『ネフィリム』で『FGD』を攻撃!効果で『FGD』を破壊して『シェキナーガ』でダイレクトアタック!!》
ミスターT LP0
ウィンダ WIN!
《リバース罠「霊獣の連契」を発動!フィールドに「ガイアペライオ」と「聖霊獣騎ペトルフィン」がいるから伏せカードと『ダークホルスドラゴン』を破壊!『ガイアペライオ』でダイレクトアタック!》
ミスターT LP0
ウェン WIN!
「はぁ…はぁ…ウェン!ウィンダ!無事!?」
《うん!なんとか…!》
《大丈夫だよ〜…でもキリがないよ〜!》
遊海さんがアカデミアを離れて半日が経った…そして夕方に十代君がアカデミアを離れて町へと向かった…その直後からミスターTが現れて生徒達を襲っていた、私は生徒達を守りながらミスターTを倒している…もう50人から数えるのは諦めた、救いなのはミスターTの数が少ない事…遊海さんが奴らを引き付けてくれているからだと思う…。
「今のうちにレッド寮へいきましょう…あそこには結界を張ってあるから安心よ…!うっ…」
「翠さん!無理しないでください!もう10連戦してるんですよ!?」
膝をついた翠に明日香が駆け寄る…今、翠が守っているのは明日香・モモエ・ジュンコ・レイそして翔と万丈目計6人である…。
現在地はイエロー寮…ここに来るまで翠達は100人以上のミスターTと戦っていた、当然無傷とはいかず翠やウィンダたちにも相当なダメージが蓄積している…。
「翠さん!オレ達にも戦わせてくれ!これはアカデミアの…世界の危機だ!オレ達だって戦える!」
「そうっす!ボク達はアカデミアの決闘者ッす!あんな奴らケチョンケチョンに…!」
「…今はダメよ、夜は特にダークネスの力が増すわ!貴方達では敵わない…!今はとにかく守りを固めるの…!それに貴方達の心が耐えられない…!」
「どういう事ですか!?」
翠の話を聞いたレイが問い掛ける
「ミスターTは相手の心の弱みや心の闇を見透かす力を持っているの…、それで心が折れてしまったら『虚無』の世界へ呑み込まれて…他の人達から忘れられてしまうのよ…私達も既に影響が出ているわ…これを見て…!」
翠は3年生の名簿を取り出す…それはところどころ歯抜けになっていた…。
「あれ?この歯抜けの部分は…何?誰かいたっけ…?」
「元々こうだったんじゃ…?」
生徒達は首を傾げる…いない人を既に認識できないのだ…
「みんな…もし私達が倒れたら記憶に残っている人達を頼りなさい…!絶対に心を折らないで…!」
翠は立ち上がり前を睨む…
『『『ダークネス…ダークネス…』』』
「逃げなさい!みんな!レッド寮へ!!ウィンダ!ウェン!皆をお願い!」
「翠さん!逃げようよ!キリがないよ!!」
レイが翠の服の裾を掴む…
「レイちゃん…私は止まる訳にはいかないの、十代君も遊海さんも戦ってる…だから負けられないの…!!」
「翠さん…!」
「私は大丈夫!まだ奥の手もあるわ…行きなさい!!」
《みんな!こっちから!!》
《早く!!》
ウィンダ達の先導で生徒達は逃げていく…
「翠さん…どうかご無事で!」
明日香が翠へ声をかける
「ありがとう!明日香ちゃん!お姉さん元気100倍よ!!」
「さぁ…かかってきなさいミスターT!私の力を見せてあげる!!」
『ダークネス…ダークネス…!』
『『『「デュエル!」』』』
SideOUT
遊海Side
「ぐっ…あ…やられたなぁ、まさかそう来るかぁ…」
オーバーキル1万ダメージを喰らった俺は激しく吹き飛ばされ壁に叩きつけられた、肋骨2〜3本逝ったかな…腕にも力が入らない…
『白波 遊海、貴様はよく我らに抗った…しかしここまでだ…』
『貴様の精霊達はほぼ無力化した、諦めろ…』
ミスターTの言葉を聞いて視線を移す…トフェニは翼を折られ…フレアはたくさんの傷を刻み沈黙している、メガロックは…既に実体化を維持できず消滅している、アヤカは未だに抵抗を続けている…しかし敵モンスターの数が多く傷が増えていく…。
『さぁ…虚無に沈むがいい…!』
ミスターT達がその身を闇へと変化させ俺に迫る…身体はボロボロ、気力は底をついた…
『『『ダークネス…ダークネス!!』』』ズオッ…
闇が俺を捕らえる…身体が沈んでいく、身動きができない…思考があやふやになっていく…これで終わりか…
「とでも思ったか…ダークネス!!!」
バキン!!
『なんだと?』
俺を包んだ闇を強引に吹き飛ばす、身体がボロボロ?気力が無い?…それがなんだ?そんな事は…もう慣れた!!
「まだ…俺の心は…折れちゃいない!!俺の心を折りたかったらこの3倍…いや30倍持って来い!!」
痛みを耐えデュエルディスクを構える…それと同時にアヤカ以外の精霊達の実体化を解除させ休ませる、ここからは俺の戦いだ…!
『そうか…ならばこうしよう…!』
ミスターTがその姿を変える…その姿は…
『遊海プロ…あなたにはオレがトドメを刺そう!さぁ…ダークネスの世界へ…!』
「オブライエン!…既にやられていたか…!」
オブライエンに変化したミスターTを相手に構える…まだ負けられない!
「『デュエル!!』」
オブライエン(偽)LP4000
遊海LP4000
『オレのターン!ドロー!』
『手札から魔法カード「ファイヤーソウル」を発動!デッキから「ヴォルガニック・デビル」を除外し1500ダメージを与える!』
「なっ!?またかよ!!」
炎で象られたヴォルガニックデビルが遊海を飲み込む!
「ぐっ!?ぎゃあああああ!!!!」
遊海LP4000→2500
「ガッ…あ…ダメージ上げるんじゃねぇよ…チクショ…」
灼熱地獄から開放された遊海は倒れ込む…満身創痍の上に傷を焼き肺を燃やす灼熱、遊海は辛うじて耐えていた…
『まだだ!もう1枚「ファイヤーソウル」を発動!「ヘルフレイムエンペラー」を除外し1350ダメージを与える!』
「っ!?なっ…ぎぃ!!…ガッ…カハッ…」
地面から噴出した爆炎は遊海を打ち上げ容赦なく地面に叩きつける…
遊海LP2500→1150
『さらに「ヴォルガニックエッジ」を召喚!効果で500ダメージだ!』
顔の無いトカゲが召喚され火球が倒れた遊海に追い打ちをかける ATK1800
「!…カハッ…」
遊海LP1150→650
『ターンエンドだ…楽になれ白波 遊海…ダークネスの世界には苦しみも痛みも無い、さぁ…闇を受け入れろ…!』
オブライエン(偽)LP4000
エッジ 手札3
「(痛い…声が出ない…手足に力が入らない…左目が見えない…水が飲みたい……今はデュエル中だ…ターンを始めないと…)カ…カハッ!![読み上げシステム作動…ターンを開始します]」
遊海は地面にカードを伏せデュエルディスクの読み上げ機能を作動させる…既に体を起こす機能は身体に無く…気力だけでデュエルを続けようとする…
「そんな…遊海先生!!?な、何やってるんだよ!?」
「(この声は…十代…!)」
最悪のタイミングでの主人公の登場だった…
十代Side
俺は卒業デュエルの最中、オブライエンからの電話で童実野町の異変を知った、内容は「人が消え、多数のミスターTと誰かが戦闘している」という事だった…俺は急いで鮫島校長からボートを借り町へと向かった…。
そして約5時間後、俺は夜の町へと到着した…そして目にしたのは本体を現したアヤカと戦闘する多数のモンスターの姿だった…空を埋め尽くす黒いモンスターを一体で相手をするアヤカ、アイツがいるという事は遊海先生もこの場にいる…俺はそう思い町へと駆け出そうとした…しかし…
ズガーンッッ!!
「うわっ!!なんだ!?」
地震のような揺れが俺に襲いかかる…そして火柱が上がり…俺の精霊の眼はそれを、打ち上げられ落下する人の姿を見た…!
「そんな…違うよな!違うよな!!」
俺は一縷の望みを胸に火柱の上がった場所へ駆けつけた…
…駆けつけたその場所は地獄のようだった…アスファルトはめくれ、地割れが起き…灼熱の炎が肌を焦がす…そしてその地獄の中で人影…いや影そのものが倒れていた…その影の近くには赤いボロボロの帽子が…!
「そんな…遊海先生!!?何やってるんだよ!!」
俺は駆け出し焼け焦げた遊海先生の下へと向かった…!
「ヒュー…ヒュ…ヒュ…」
「遊海先生!しっかりしてくれ!先生!」
遊海先生の身体は焼け焦げ…顔すらも判らなくなっていた、苦しそうな息の音がする…腕にはデュエルディスクがあり、残りライフは650を指していた…
『やぁ十代…遅かったじゃないか、待っていたよ』
オブライエンが話しかけてくる…いや、奴らは…!!
「オブライエン…いや、ミスターT!貴様ら…遊海先生に何をしやがった!!」
俺は瞳をオッドアイに変えミスターTをにらみつける…!
『何って…白波 遊海を楽にしてあげようとしているのさ…彼はもう10時間以上我らと戦い続けている…1人でな…』
「なっ…!?」
俺は周囲を見渡す…そこには傷付き倒れたフレア、トフェニ、メガロックが半透明で気絶していた…
『精霊で我らを蹴散らし、打ち漏らしを決闘で仕留める…中々いい作戦だった、しかしそれも突破した…我らのうち400体近くやられたが些細な事だ、あとはソイツが消えれば邪魔者はきえる…』
「貴様ら…許さねぇ…!よくも遊海先生を!!!」
俺はデュエリストディスクを構える
「このデュエル、俺が……えっ?」ギュ…
立ち上がった俺のズボンの裾を弱い力が引っ張る…それは…遊海先生だった
「ヒュ…ヒュ…ヒュー…!」
意志の宿った右目で俺を見つめている…
「遊海先生!動いちゃだめだ!!」
十代はしゃがみ込み遊海を静止する…と
【相手…奴ら…違う…お前は…世界…救え…!】
頭に直接ノイズ混じりの遊海の思念が伝わる…そして…
【十代…ウソ…ごめん、世界を…救ってくれ…!『強制脱出装置』…発動…!】
「なっ…!?うわあぁぁ!!?遊海先生ぇぇぇぇ!!?」
遊海は握りしめていたカード…強制脱出装置を発動させ十代を海馬コーポレーションの方向へ飛ばす、十代はなす術無く夜の闇へと消えていった…。
遊海Side
【…戦いが終わったら…また…やろうな…十代…!】
辛うじて回復した身体を立ち上がらせる…受けたダメージはその身の回復速度を上回り、皮膚の感覚も消えた…しかし体内からの発狂しそうな激痛で意識を繋ぎ留める…
『往生際の悪い男だ…何故そこまでして戦い続ける?…と答える余裕も無いか…』
「ヒュ…ヒュ…ガピュ…!」
ミスターTの前に立つのは影のような黒さの人影…しかしその眼だけは爛々と輝いていた…。
[ドロー]
[手札からペンデュラムスケールにスケール2の『イグナイト・マスケット』スケール7の『イグナイト・ドラグノフ』をセッティング]
遊海の後ろに光の柱が立ち上がる…その中には鎧を着た2体の戦士がいる…
[ペンデュラム召喚!手札から『イグナイト・ウージー』『イグナイト・キャリバー』『イグナイト・イーグル』『イグナイト・マグナム』『超熱血球児』をペンデュラム召喚!]
時空に開いた穴から銃を持った4人の戦士とデフォルメされた野球戦士が現れる ATK1300 ATK2100 ATK1600 ATK0 ATK500→4500
『攻撃力4500だと!?』
[『超熱血球児』は自分フィールドの炎属性モンスターの数1体につき攻撃力を1000アップする、バトル…『超熱血球児』で『ヴォルガニック・エッジ』を攻撃!]
ヴォルガニックエッジが火球を撃ち出し…それを球児がピッチャーライナーで打ち返し大爆発を起こした!
『ぬぅぅぅ…!』
オブライエンLP4000→1300
[『イグナイト・キャリバー』でダイレクトアタック!]
イグナイトの特攻隊長が偽オブライエンを撃ち抜いた!
オブライエン(偽)LP0
遊海 WIN…
「カヒュ…ヒュ…ヒューー…ゴボッ…」
デュエルが終了し遊海は膝をつく…その姿はボロボロだった…
『ふむ…戦い方を変えよう…』
ミスターTは再び増殖し10人へと増える…
「ガ…あ…■■■■■■■■!!!」
遊海は気合いで立ち上がる…身体には痛みの感覚以外は存在しない、常人であれば既にショック死するレベルの痛みを遊海は耐え続けていた…
『そう無理する事は無い…物理的にお前を排除する…』
ミスターT達が掌を遊海に向ける…そして暗黒のエネルギーが遊海へと放たれた!
「■■■■■■■■■!!?」
もはや叫び声とも言えない声を上げながら遊海は吹き飛ばされる…右腕は消え去り、決闘盤に守られた左腕も、もはや肉片と化していた…再生が始まるがダメージが大きく…追いつかない。
「………」
『まだ諦めてはいないか…人間の限界はとうに超えている筈だが…』
「………!」
遊海の眼はミスターTを射抜くが如くに睨みつける…その心は未だに折れず残っていた…。
『人間とは理解し難いものだ…特に貴様だ白波 遊海、貴様は理解しているはずだ、こうして我らと戦っている事は無意味であり徒労でしか無い事を…!』
「………!」
『『献身的自己犠牲…それは我らの世界には不要だ…!』』
バシュッ
「!?!!!!!」
再びエネルギー弾が直撃し吹き飛ばされ…両足が消え去る…
『『『貴様は本来この世界にはいない者…要するに異物だ…!』』』バシュッバシュバシュ!
「!?!?!!!!?!!!」
多数のエネルギー弾が直撃し下半身がグチャグチャになる…既に眼は潰れ瞳は光を映さない
『『『『人々がダークネスに取り込まれるのは水が高きから低きに流れるようなもの…つまりはこの世の真実…しかし貴様はその流れに反し真理を否定した』』』』
「……」
『貴様は我らの世界に不要なモノだ…消え去れ…』
ズドーン!!!
特大のエネルギー球が全身を飲み込み大爆発を起こす…爆心地には何も残っていなかった…。
『やっと消滅したか…手間取ったが最大の障害は排除した、後は斎王が遊城 十代を始末すれば…「ピキッ」…?なんだ?』
ミスターTの身体が凍結する…
「…さっきからうだうだうるせぇんだよ…闇がこの世の真理?知った事か!…俺は死なねぇ…!俺は貴様らを倒し続けるだけだぁ!!!凍れ!!絶対零度!!」
復活した遊海がネクロスの力でミスターT軍団を広範囲で氷結させる!
『貴様…何故死んでいない!貴様の身体は四散したはず…!』
再び現れたミスターTは動揺する…
「ミスターT!俺を殺したかったらデュエルで殺せ!俺は…不死身だ!!!」
特典により遊海の消滅した身体は再生する…ただし例外はデュエルの勝敗による死亡である、遊海は命の掛かったデュエルで負ければ消滅する…逆を言えばデュエルで負けても命がかかっていなければ死なない。
ミスターTのデュエルは相手の心を折り、ダークネスに取り込む事を目的としたデュエル…よって命はかかっていない、つまり負けても心が折れなければ問題は無いのだ…!
「さぁ…かかってこいよ…!第二ラウンドだ!!」
『…そうか、読めたぞ…貴様の強さのカラクリが…!』
「なんだ『ザシュッ』と…ガッ…!?奇襲はいただけねぇな!!!」
後ろから胸を貫かれた遊海は振り向きざまにミスターTを殴りつける…しかし…
『(遊海…すまねぇ…やられた…!!)』
「なっ…があああああ!?」
遊海に凄まじい痛みが襲いかかる…この戦いで受けた全ての痛みが遊海に戻ってくる…!
『やはりな…貴様の二重人格にダメージを押し付けていたか、貴様の中の魂の繋がりを断ち切った…これで貴様にダメージが通る…』
「が…しまっ…た…!」
遊海は戦いに備えユウスケの魂と自分の魂を融合させ痛みの負荷を分割、受けるダメージを最小限に抑えていた…しかしミスターTの干渉でその融合が解けてしまっていた、その際ユウスケに肩代わりして貰っていたダメージは遊海へと返ってきてしまっていた…。
『(遊海!気をしっかりもて!!この痛みは幻痛だ!お前の身体は胸以外は無傷だ!!耐えろ!!)』
「(痛い…!痛い痛い痛い痛い!!!あああああ…!!!)」
『(チッ!ダメか…!しょうがねぇ!時間を稼げ!「閃光竜」「悪魔竜」「銀河眼」「時空龍」!!!)』
ユウスケは身体を操り4体の竜を召喚し、けしかける!!
『無駄な事を!!!』
ミスターTもダークモンスターを中心としたモンスターを出し応戦する…空中では怪獣決戦が繰り広げられていた…。
アヤカSide
《損傷率70%…使用可能兵装5割…マスターのダメージ蓄積率300%…敵モンスター数1000超》
自身の周囲を飛び回るダークモンスターを相手にしながらアヤカは思考する…今までにこれ程のダメージを受けた事があっただろうかと…
城塞のような自身の機体は既にボロボロ、兵装も既に使いモノにならない物が多数…人間的に言うのであれば満身創痍というところだろう…。
《拡散レーザーでモンスター500体を撃破…新たに1000出現…損傷率75%…マスターのダメージ蓄積率400%…》
マスターは未だに戦い続けている、他の精霊達は重症を負いマスターが下がらせた…マスターの身体は限界を超えている、第二人格のユウスケとの魂の融合により痛みを分割しダメージを最小限に抑えているが…それももう限界に近い…
《主砲損傷…使用不可…マスターの肉体の消滅を確認…特典にて再構成、ミスターT100体を撃破…損傷率80%…エマージェンシー…エマージェンシー…撤退ラインを超えました…》
マスターは戦いの前に言っていた、「これは俺のケジメなんだ」と…マスターのやろうとしている事はなんとなく判る…
《エマージェンシー…エマージェンシー…マスターとユウスケの融合が解除されました…ダメージのフィードバックが発生します…機体損傷率90%…反重力による浮遊を維持できません…マスターが新たに精霊を召喚…マスターのダメージ蓄積率1000%…》
ゆっくりと機体が降下する…周囲ではマスターの召喚した竜達がモンスターやミスターTを破壊していく…私はどうやらここまでのようだ…マスターは痛みのフィードバックで倒れ込んでいる…幸い閃光竜がマスターを守ってくれている…大丈夫だろう……回路がショートする、機械は痛みを感じない…ただ動かなくなるだけ、でも…親愛なるマスターに貰った心だけは…
《…高速で接近する生命反応、精霊反応をそれぞれ3づつ確認…コード・ゴールド…あとは…頼みます…!》
安全装置により機体はDT界へと強制転移される…マスター…どうか…ご無事…デ……
そしてアヤカは次元から姿を消した…
遊海Side
「ハッ…ハッ…痛えょ…クソッ…でもまだ倒れる訳にはいかない…!」
ついさっきアヤカが姿を消した、俺の精霊の中でも最強の体力を持っていたが…さすがに無理も無い…、よくやってくれた…
精霊達は全滅、体力は戻ったが気力は底をつきそうだ…
目の前には増え続けるミスターT軍団、そして空にはダークモンスターの軍団…ここまでか…
『白波 遊海…ここまでだ、あとは貴様を倒すのみ…さぁ…消えるがいい!』
無数のミスターTがデュエルディスクを構える…逃げ場は無い…
「来いよ…ミスターT…!」
俺もデュエルディスクを構える、俺が白波 遊海である限り…俺を慕ってくれるみんなのために…負けられない…!
《ギャオオオン!》《ガアァァァ!!》《グオォォォン!!》
『なにっ…!?』
「あれは…!伝説の竜!?」
轟いた咆哮…それはティマイオス・クリティウス・ヘルモスの鳴き声だった、精霊界最強の竜達はまたたく間に数多のダークモンスター達を殲滅した…。
「なんで…お前達が…」
「あたり前だろ!遊海!…俺達は親友じゃねぇか!」
「よくもオレの会社を壊してくれたな…貴様ら…!」
遊海を支えるように2人の人影が現れる…方やプロランキング1位…「最強の賭博師」、方やデュエルモンスターズを発展させた「最強のドラゴン使い」…そして…
「遊海…よく耐えてくれたね、大丈夫…ここからは僕達も手伝うよ!」
遊海の信頼する「決闘王」…
「遊戯…城之内さん…海馬社長…!?どうして…!」
世界最強の決闘者達がこの場へと再び結集した!
「ペガサス会長から『童実野町のピンチだ!』って聞いて急いで駆けつけたんだ!…まったくお前も無理するなぁ…ボロボロじゃねぇか!」
「フン、本社からの定時連絡が途切れてな…急いで戻ってきたら…!どういう事か説明して貰おうか!」
「僕はマジシャンガールから聞いたんだ!それで急いで戻ってきたんだよ!」
「みんな…!…敵はサングラスの男達『世界の闇』の使者ミスターT!アイツらが町のみんなを消したんだ!…あと会社を爆破したのも奴らです…」
遊海は簡潔に情報を伝える、長く付き合った彼らであればそれで事足りる…
「わかった!要するにグラサンの奴ら全員ぶっ飛ばせばいいんだな!やったるぜ!!」
城之内は指を鳴らし…
「…オレの夢の象徴をよくも…!!許さんぞ貴様ら!!!」
海馬は怒り…
「…世界の闇…もう一人のボクが封印したモノと同じもの…ボク達が倒す!」
遊戯は再び世界を救うために…全員がデュエルディスクを構える…
「遊戯…奴らを完全に倒す事は
「倒すのは…
「ああ…!」
「わかった…これが終わったら一度会いに行こうかな?」
『伝説の決闘者め…貴様らもダークネスに飲まれるがいい!』
『『『ダークネス…ダークネス…!』』』
「みんな…いくよ!!」
「「「いくぞぉぉぉっ!!!」」」
遊戯の掛け声と共に俺達はミスターTと衝突した…。