転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話 作:S,K
十代Side 海上
「十代!まだなのか!」
「これで全速だ!」
「なんでアカデミアは海の真ん中にあるんだよ〜!!」
遊海先生に弾き飛ばされた俺は無人の海馬コーポレーションの近くへと着地した、その場所には療養しているはずの斎王の姿があった…斎王はミスターTの狙いがアカデミアと遊海先生達である事を教えてくれた…でもその直後、斎王は俺へとデュエルを挑んできた…。
爆弾の仕掛けられたKC社の屋上で俺と斎王は対峙した、斎王は美寿知を人質に取られ、助け出すために俺へと挑んできた…デュエルは結局俺がギリギリで勝つ事ができた、ダークネスに汚染されたカードをデッキに仕込まれて…さらにデッキ破壊で追い詰められたけどネオス達のお陰で斎王を開放する事ができた…そして直後に爆弾が起爆してビルが崩れ始めた…。
崩壊したビルから何とか逃げ出した俺はとにかく遊海先生を助けにいこうとした、遊海先生のいた辺りは炎に包まれ黒いモンスター達が飛び回っていた…でもアヤカの姿は既に消えていた、遊海先生は一人で戦い続けている…それを思うといてもたってもいられなかった…でもそんな俺に不思議な声が聞こえてきた…。
《精霊と人間を繋ぐ力を持つ者よ!彼の事は我らに任せよ!》
《我ら人と精霊を護る者!世界を黒く染める闇を祓う者!》
《お前は自分の成すべき事を成せ!それがあの者の意思だ!学び舎へと向かえ!!》
その声の直後、遊海先生のいる辺りに3匹の竜が現れた…遠くからだから姿はよく見えない、でも声の主はあの3匹だとわかった…俺はバイクを拝借して港へと向かう、遊海先生の意思を…『世界を救え』という意思に答えるために…!
そしてオブライエンから知らせを受けたヨハンと合流してボートに乗ってアカデミアへと向かっている…みんな!無事でいてくれ…!
Sideout
翠Side アカデミア
「バトルよ!『幻竜星チョウホウ』でダイレクトアタック!!」
ミスターT LP0
翠 WIN!
「っ…まだよ…!まだ負けられない!!十代君が戻ってくるまでは…!」
夜が明けたが翠はミスターTと戦い続けていた、逃した生徒達は先回りしたミスターTに倒され…残された翠は精霊達と共に校舎の玄関でミスターTを倒し続けていた…
『『ダークネス…ダークネス…!』』
《翠…キリがないよ…!》
《もうヘロヘロ…遊海兄も頑張ってるのに…!》
「だめー!挫けそうになるセリフは禁止ーー!!」
『お前一人で何ができる…』
『諦めてダークネスに身を委ねるがいい…』
ミスターTが翠へと迫る
「くっ…!私は十代君達が帰ってくる場所を守るの…だから負けない!!」
満身創痍の身体で翠も決闘盤を構える…
【…残念だがそれは無理な話だ白波 翠…】
「っ!?あなたは…藤原君…!」
ミスターTが決闘盤を下げ更に後ろに下がる…そして翠の目の前に黒いコートを着た青年…藤原が現れる
「なんであなたがここに…!吹雪君はどうしたの!?」
【フッ…手違いでね…ミスターTが倒してしまった、アイツはオレがダークネスに連れて行きたかったんだけど…しょうがない、翠さん…もう諦めてダークネスと1つになりましょう、ダークネスと1つなれば痛みも辛い事もありませんから…!】
「嫌よ…!私は戦うわ!ダークネスになんか負けない!」
【それは何のために?】
「帰ってくる場所を守るためよ!!」
【誰の?】
「それは……それは…?誰の…ため…?」
翠の気持ちが冷めていく…まるで胸に穴があいたような悲しみが翠へと襲いかかる…
《翠!何を言ってるの!?私達は遊海の帰ってくる場所を守るためにアカデミアに残ったんじゃない!!…まさか…!》
ウィンダがその可能性に気づく…遊海を忘却してしまった翠…そして目の前にいる黒幕…そこから導き出された答えを…
【察しがいいね精霊!そうさ…白波 遊海は既に倒した!あの人はオレの敵ではなかった!】
実際は遊海の戦闘不能による勝利だったのだが…翠の心を折るために嘘をついた…しかし…それは…
「ユルサナイ…」
翠からオーラが溢れだす…それは闇であり闇でないモノ…影のようなオーラだった
【っ!?…なんだこの殺気は…!何故この女からこんな殺気が…!】
藤原は知らなかった…彼の知る翠は穏やかで美味しい料理を作るお姉さんというイメージだった…しかしその実、翠のタクティクスは瞬間的に遊海を上回る…遊海が数多くのデッキを操る「最強」だとすれば、翠は少数のデッキを使いこなす「秀才」…そして藤原は翠の逆鱗へと触れた…
「私の大切な人を…大切な思い出を消したあなたを…!私は許さない!!!」
遊海の逆鱗は「大切な人を傷つけられたり馬鹿にされる事」…そして翠の逆鱗は「遊海を傷つけ、馬鹿にする事」…そして藤原はダークネスの力について1つ思い違いをしている、ダークネスの力は人の記憶を消す事はできても…抱いた感情までは消す事ができないのだ…!
【…!なんていう殺気だ…これが翠の本気、しかしこの世界をダークネスと1つにするために負けるわけにはいかない!!】
「許さない!許さないだからーー!!!」
2人は決闘盤を構える…1人は全てを闇に染めるために…1人は消された想い人を救うために…それぞれの負けられない戦いが始まる…!
「【デュエル!!】」
藤原LP4000
翠LP4000
【オレのターン!ドロー!!】
【オレは『クリアー・ファントム』を召喚!】
1つ眼の骸骨のような水晶に閉じられた悪魔が現れる ATK1200
【そしてフィールド魔法『クリアー・ワールド』を発動!さらに永続魔法『クリアー・ウォール』を発動!これによりオレは1000以下の戦闘ダメージを受けない!】
藤原の後ろに巨大な水晶が現れる
【ターンエンドだ!】
藤原LP4000
クリアーファントム フィールド魔法クリアーワールド クリアウォール 手札3
「私のターン!ドロー!」
「魔法カード『手札抹殺』を発動!私は手札を5枚捨てて5枚ドロー!」
【チイッ!!3枚捨てて3枚ドローだ!!】
墓地送り
@翠
シャドールドラゴン①
ヘッジホッグ②
ファルコン③
裏風の精霊
神の写し身との接触
@藤原
クリアー・キューブ
ヴィシャスナイト
クリアー・サクリファイス
「墓地に送られた『ファルコン』の効果!自身を裏守備で特殊召喚!『ヘッジホッグ』の効果!デッキから『シャドール・ビースト』を手札に加える!さらに『ドラゴン』の効果!『クリアー・ワールド』を破壊する!!」
墓地に送られた影のドラゴンの力で水晶が砕け散る!
【なんだと!?…『クリアー・ウォール』は『クリアー・ワールド』が無い時に破壊される…!!】
フィールドの崩壊と共に永続魔法も破壊される…気づけば周囲は朝にも関わらず再び闇へと包まれている、しかし翠にはそれを気にする余裕は無い…
「手札から魔法カード『影依融合』を発動!手札の『ファイヤーハンド』とフィールドの『ファルコン』を融合!…影の翼よ!炎の力を得て輝石を束ねる王となれ!融合召喚!『エルシャドール・エグリスタ』!!」
関節が様々な色の宝玉になっている巨大な人形が現れる、その背中からは炎のような赤い糸が伸びている ATK2450
「さらに手札から『シャドール・リザード』を召喚!」
白い鎧のような蜥蜴のような人形が現れる ATK1800
「そして手札から装備魔法『魂写しの同化』を『リザード』に装備!効果で『リザード』の属性を光属性に変更する!!」
リザードの背中に灰色の真空管が取り付き黄色に輝き始める
リザード 闇→光
「そして『同化』の効果を発動!手札の『ビースト』と光属性扱いの『リザード』で融合召喚を行える!!」
【何!?装備魔法の融合カードだと!?】
この時代には融合に関する装備魔法は墓地から融合モンスターを蘇生する『再融合』とレベル6以下の融合モンスターの攻撃力を上げる『フュージョン・ウェポン』しか無い…藤原からして見ればそれは破格の効果だった
「影を這う人形よ!光の力を得てシャドールの女王を呼び出さん!融合召喚!『エルシャドール・ネフィリム』!!」
巨大なる影の軍勢を率いる女王が降臨する ATK2800
「融合素材となった『ビースト』の効果!1ドロー!『リザード』の効果!デッキから『オルシャドール・セフィラルーツ』を墓地に送り、さらに自身の効果で特殊召喚!」
白い羽を生やした光と闇、相反する力を宿した勇者が現れる DEF1950
【1ターンで融合モンスター2体の連続召喚だと…!?なんていう展開力だ…!】
「バトルよ!『エグリスタ』で『ファントム』を攻撃!」
炎の巨人が水晶の悪魔を燃やし尽くす!
【ぐぅぅ…凄まじい力だ…!】
藤原LP4000→2750
【破壊された『ファントム』の効果を発動!『エグリスタ』を破壊し、お前のデッキから3枚を墓地に送る!】
爆炎から水晶の破片が飛び出しエグリスタと翠のデッキトップ3枚を破壊する
墓地送り
堕ち影の蠢き
アイスハンド
ファルコン
「破壊された『エグリスタ』の効果を発動!墓地から魔法カード『神の写し身への接触』を手札に加える!バトルを続けるわ!『ネフィリム』でダイレクトアタック!!」
影の女王が糸で藤原を切り裂いた…
【ぐっ…うああああああ!!?】
藤原LP0
翠 WIN!
呆気無く藤原と翠のデュエルは終わった…無理も無いがアニメオリカのチートカードでも9期性能のリアルチートに敵うはずもないだろう…。
【…何という力だ…ダークネスに身を委ねたオレ以上の
…】
藤原は最後の一撃で弾き飛ばされ倒れていた、その眼には翠への畏れが宿っている
「………」
翠は倒れている藤原へと歩みを進める…その背中には未だに闇のオーラが揺らめいている…
【(殺られる…!!)】
藤原は思わず眼を瞑る、自分は翠を怒らせた…彼女の夫であり恩師とも言える遊海を闇へと突き落とした…だからその報いを受けるのだと…
「…ごめんね藤原君…」
【えっ…?】
目を閉じていた藤原が最初に感じたのは痛みでも苦しみでも無く…自分を包み込む温かさだった。
恐る恐る目を開ける…自分は翠に抱き起こされ抱擁されていた…
「藤原君…あなたが苦しんでいる事に気づけなくてごめんね…!辛かったんだよね…!」
翠は涙を流しながら藤原へ謝る…そこには先程までの恐ろしい殺気は欠片も無かった…
「小さい頃にお父さんもお母さんもいなくなって…ずっと寂しかったんだよね…そして愛を受ける事が無くなってしまった…!」
藤原は幼少期を思い出す…両親を無くし孤児院へと預けられた自分は誰かから『愛』を受ける事はほぼ無かった…しかし愛はあった、寮母からは『親愛』を…学友達からは『友愛』を受ける事ができた…でも幼少期に自分が必要としていたのは両親からの『親子愛』だった…。
お父さんともっと遊びたかった…お母さんに抱きしめてほしかった…今となっては顔も思い出せない両親…藤原はこの時に理解した、自分は忘れられたくないんじゃない…人からの『愛』が欲しかったのだと…
「本当なら大人である私や遊海さんがあなたを守らなければならなかった…愛を教えてあげなくちゃならなかった…本当にごめんね…!!」
【翠…さん…っぐぅ!?あああああ!!】
抱きしめられた藤原の身体から闇が溢れ出す…そして藤原の身体が二重に歪んで見えるようになる…
「藤原君!大丈夫!?」
【オレは…何という事を…!/オノレェ!!転生者め!余計な事を!!!】
藤原とダークネスの力が分離する…そして半透明の邪悪な顔をした藤原と実体を持った藤原へと分離する…
「っ!ダークネス…!?」
【白波 翠…!もう少しでこの世界を闇に沈められたものを…!】
「…あなたには負けないわ…!遊海さんを助けるために…負けられ…な…い…」ドサッ
『翠さん!!』
藤原を離した翠はダークネスへと立ち向かおうとする…しかし遊海同様に身体を酷使していた翠にはその力は残っていなかった…起き上がろうとした勢いのまま翠は倒れ伏す…
「身体が…動かない…!動いて…動いてよぉ…!!」
翠は身体を起こそうとするが起きられない…
【丁度いい…藤原、その者を虚無へと落とせ…さすれば残る障害は遊城 十代とヨハン・アンデルセンのみ…そうすれば貴様と我の望む世界が完成するのだ…!】
闇藤原は邪悪な顔で藤原へと命令を下す…
『嫌だ…』
【なに…?】
『嫌だと言ったんだ!!オレはもうダークネスへは戻らない!!…オレはこの世界で生きる!!!』
翠によって立ち直った藤原はダークネスへと反旗を翻す、翠が教えてくれた愛を守るために…!
【…残念だ、汝とはわかりあったつもりでいたが…所詮は人間か…ハアッ!!】
『うわぁぁぁ!!』
「くぅ…!!」
闇藤原は手から波動を放ち2人を吹き飛ばす…
【ミスターT、この者達を始末しろ…】
『『ダークネス…ダークネス…』』
倒れた2人の周りに無数のダークネスが現れる
『…くそっ、ごめんなさい…遊海先生…!オレは…!』
【やれ…!】
『『『ダークネス…ダークネス!』』』
身動きのとれない二人にミスターTが襲いかかる…!
《ウィンド・ストーム!!》
《ウィンド・バリア!!》
【むっ…小賢しい精霊共め…!】
翠達を守るように現れたウィンダとウェンがミスターT達を吹き飛ばす!
《ダークネス!私達の事を忘れないでよね!!》
《翠姉達はわたし達が守る!!》
《キュイー!!》
「ウィンダ…ウェン…ごめんね…」
《いいの翠!あなたは頑張った!だから今度は私達の番!》
《十代君達が到着するまで耐えてみせるよ!!》
二人は杖を構える…藤原を闇から救い出した事を無駄にしないために…ミスターTへと戦いを挑む…!
《くぅ…やっぱり限界があるよね…そりゃ…》
《うぅ…ごめん…!》
ウィンダ達は本来であれば戦闘向きの精霊ではない、そういう事は影の女王や宝玉の王の役割だ…しかし二人はミスターTの大軍から翠達を守り続けた…でもそれももう限界だった…
【よく戦うものだ…何故そうまでしてその者達を守ろうとする…?】
《翠姉がわたし達の大切な人だから…!大切なマスターだからだよ!!》
《翠は私達の事を本当の家族のように扱ってくれた!だから私は翠を守る!!》
【ふん…くだらん…ハッ!!】
『『きゃああぁぁ!!』』
再び放たれた衝撃波が精霊達を吹き飛ばす…凄まじい闇の波動はウィンダ達にとてつもないダメージを与えた…
「ウェン!…ウィンダ…!!」
《う…ぐ…ごめん翠…ここまでみたい…》
ダメージを受けたウィンダの身体が消え始める…
《でも大丈夫…間にあった…わ…》
《ごめん…翠姉…どうか無事で…!》シュン
ウィンダ達はその場から消えてしまった…
「ごめん…ウィンダ…ウェン…!」
『っつ…ちくしょう…!せめてデッキがあれば…!』
倒れた翠も藤原も起き上がる事ができない…藤原にいたっては闇藤原にデッキと力を奪われてしまっている…。
【ではさらばだ…愚かな人間共よ…我と一つになるがい「速攻魔法『超融合』発動!!」なに!?】
二人を取り込もうとした闇藤原の目の前に眩い七色の光が現れる…
「この…光は…!」
「いくぜ!ヨハン!!『レインボー・ドラゴン』と『ネオス』を超融合!『レインボー・ネオス』を召喚!!」
《ウオォォォォ!!》
宝玉を束ねる究極竜と宇宙の力を得たHEROが融合し純白の羽を持つ友情のHEROが現れる!
「行っけ〜!十代!ネオス!!」
「レインボー・ネオス!ミスターTと黒い藤原を攻撃!レインボー・フレア・ストリーム!!」
【なっ…!?そんな馬鹿なぁぁぁ!?】
レインボー・ネオスの攻撃で闇藤原は消え去り…周囲を埋め尽くしていたミスターTも全て消滅したのだった…。
翠Sideout
十代Side
「ようやくついた!!…なんだアレ!?」
「あそこで誰かが戦っているんだ!!行こうヨハン!」
ボートをかっ飛ばして数時間…俺とヨハンはようやくアカデミアへと戻ってきた、そして俺達が目にしたのは日食で暗くなった中でぶつかる闇の波動と竜巻だった…原因の見当はつく…ウィンダや翠さんが誰かと戦っている…!俺とヨハンは急いで校舎へと向かった…。
「あれは…!翠さんと…藤原か!?」
《マスター!!》
「ちょっと待て!?敵が多すぎる!!」
校舎へと向かった十代達が目にしたのは数十人のミスターTに囲まれ倒れた翠と藤原らしき青年、そして黒いオーラを纏った藤原とそれらと戦う傷だらけのウィンダとウェンの姿だった…
《十代!あの精霊達もマスター達も凄まじいダメージを受けている!!早く助けなければ!!》
「わかってる…!でもどうやって助ければ…!」
幸いミスターT達は十代に気づいていない…しかし物量差がありすぎる…!
「そうだ十代!遊海先生みたいにカードの力を実体化させるんだ!それであいつらを吹き飛ばすんだ!!」
「カードの力…!でも俺にできるのか…!」
遊海はカードの力を使いこなし多数のモンスターを召喚したり魔法で人を回復させたりしていた…しかし十代にはその経験はほとんど無い…
「…やれるかやれないかじゃない…翠さん達を助けるんだ!!」
十代はデッキからカードを引く…そして…
「!、これなら!ヨハン!力を貸してくれ!!」
「わかった!受け取れ!十代!!」
ヨハンは自分のデッキから1枚のカードを十代に投げ渡す!
『『きゃあぁぁぁ!!』』
ウィンダとウェンが闇の波動で吹き飛ばされる…その瞬間、十代はウィンダと目が合った…
《(十代君…!お願い!!)》
そして二人はダメージに耐えられず消えてしまう…そして闇藤原が翠へと歩み寄る…!
「やらせるかぁぁぁ!!速攻魔法『超融合』発動!!『レインボー・ドラゴン』と『ネオス』を超融合!『レインボー・ネオス』を融合召喚!!」
十代の呼び声に応え友情のHEROが降臨する…後年十代は力を使いこなし未来からの使者と戦う…その力の片鱗が開放されたのだ…!
「ミスターT達を攻撃!レインボー・フレア・ストリーム!!」
虹の力を得たネオスの一撃が敵を全て消し飛ばした…
《マスター!!ご無事ですか!?》
オネストが藤原のもとへと飛び出す
『オネスト…お前なのか…?』
《はい!!この4年の間貴方を探し続けていたのです…!またお会いできてよかった…!!》
オネストは倒れていた藤原を抱き起こす…主人と精霊の久々の再会だった…
『オネスト…オレを覚えていてくれて…ありがと…う……』
《マスター…どうかゆっくり休んでください…》
オネストと再会した藤原は涙を流しながら意識を手放した…。
「翠さん!大丈夫…ではないよな…」
「おかえりなさい…十代君、レインボー・ネオス…かっこよかったわ…」
翠は力無く十代へと声をかける…全身傷だらけで片目も視えていないようだった…。
「翠さん、さっきの黒い藤原は何者だったんだ?」
「あいつは藤原君に取り憑いていたダークネスの力が形を成したものよ…藤原君本人はもう大丈夫だから…っつ…!」
「翠さん!あまり喋らないほうがいい…傷が多すぎる…」
「大丈夫よ、ヨハン君…これだけ伝えたら休ませてもらうから…十代君…まだこの異変は解決していないわ、見えるでしょう…太陽を隠す日食が…」
「…本当だ…藤原を無力化したはずなのにまだ太陽が戻らない…!」
中天にあるはずの太陽は未だに黒い月に覆われている…
「ここから先は…貴方の乗り越えるべき試練…あとはお願い…ね…」
「翠さん!!」
十代に後を託し翠も意識を手放した…。
「十代が乗り越えるべき試練…?いったい何なんだ?」
「…わからない、でもまだ何かあるはずだ…世界を元に戻すために…!」
十代達は気絶した翠達を介抱しながら事態の打開について話し合う…
「俺達にはまだ倒さなければならない敵がいるのか…?」
「でも…それが何なのかさえ俺達には…【オオォォォ…】っ!?なんだ…!」
突如無人であるはずのアカデミアから恐ろしい唸り声が聞こえてくる…
「行ってくれ十代!翠さん達はオレが守る!」
「…わかった!!」
そして十代はアカデミアの校舎へと向かった…全てに決着をつけるために…
「…頼んだぞ…十代!《ルビー!!!》ルビー?どうし…っ!?しまっ…!!?」
直後に闇に消えてしまったヨハン達に気付かずに…
「ハァ…ハァ…いったい声はどこから…!」
十代は謎の声を追い校舎中を走り回っていた
「ここは…コンピュータールーム…確か放送設備もあった筈だ…!」
十代は見えない敵に気をつけながらコンピュータールームへと入る…そこにはテレビ局のようにたくさんのモニターがあり、世界の都市を映していたが…十代が異変に気がつく…
「なんだよこれ…?人が消えている…!!」
ニューヨーク・ロンドン・パリ・東京・シドニー…世界の各都市が映るモニターの中…そこにはただの1人も人間は映っていなかった…
「どうしてこんな事が…!」
【…十代…遊城 十代……】
「何者だ!!」
突如として地の底から響くような声が十代の名を呼ぶ…
【汝と我…決着をつける時が来た…外に出るがいい…!】
「外だと…まさか!!」
十代は急いで外へと飛び出した…
「なっ…!ヨハン!翠さん!オネスト!!みんな何処へ行ったんだ!!」
十代が外に出るといる筈のヨハン達の姿は無く、静寂が支配していた…
『十代君!大変だにゃ!ヨハン君も翠さんも闇に飲み込まれてしまったんだにゃ!!』
「大徳寺先生!?」
ファラオに飲み込まれ難を逃れていた大徳寺が十代へと起きた出来事を伝える…そして…
【時は満ちた…決着をつける時だ…!】
日食と重なるように存在していた黒い球が降下し…その中から巨大なローブを着た悪魔が現れた…
【我が名はダークネス…世界の真実…もう1つの世界そのものたる神だ…】
「お前がダークネスの本体…黒幕か!!みんなを何処へやった!!」
十代は神を名乗るダークネスへと物怖じせずに問い詰める
『十代君!気をつけるにゃ!ダークネスが背負っている黒球…あの中にたくさんの人の思念を感じるにゃ!!』
「なんだって…まさか…!」
【然り…汝の探す者達は我が虚無の世界へと招待してある…】
「何が目的だ!!世界征服でもしようっていうのか!!」
【フッ…否…我に望みなど無い…我は世界の理に従い動く者…これは世界の法則だ…】
そしてダークネスは語る…世界が1枚のカードから生まれ、表と裏が生まれた…その裏側が自身そのものである事…そして消えた人々は心に闇を抱え…生きる事に疲れ自ら闇の世界へと堕ちた事…そして世界の異物…人間と精霊、2つの魂の融合した魂を持つ十代を排除するために顕現した事を…
「…ダークネス、俺はお前を許さない…!俺はお前みたいな奴を…身勝手な奴を倒すために闇の力を手に入れたんだ!!俺がいる限り…この世界は…みんなは渡さねぇ!!」
【ほう…今の話を聞いてなお真実を受け入れないか…ならば汝を滅殺する…この世界の始まり…デュエルモンスターズで…!】
ダークネスは背中に5枚の翼を展開する…
「それがお前のデュエルディスクって訳か…!でも俺は負けない!お前を打ち倒してみんなを救いだす!!」
『十代君!気をつけるのニャ!そいつは今までの相手とは違う…遊海君レベルのデュエリストニャ!!』
「わかってる!でも…絶対に倒してみせる!!」
【あのような転生者と同列に扱われるとはな…汝、我が裁きを受け世界の狭間を彷徨うがいい…!】
世界の命運を賭けたデュエルが始まった…
「【デュエル!!】」
十代Sideout
ー…ここは…何処だ…?俺は…?ー
ダークネスへと飲み込まれた遊海は暗い水の中のような場所で目を覚ました…周囲に人影は無く…傷ついているはずの身体からは痛みを感じなかった…。
ーそうか…遊戯達を逃して闇に飲み込まれたんだっけ…ー
遊海はそれまでの出来事を思い出す…ダークネスの侵攻を感じ童実野町でミスターTを相手に戦い続けた事…ピンチに遊戯達が駆けつけて一緒に戦ってくれた事…そして藤原と対峙し…勝利の一歩手前で限界を迎え倒れてしまった事を…
ー…今思えば無茶をしたな…ほぼ無限にでてくるミスターTを相手に戦いを挑むなんて…でも藤原を助けるためにはああやるしか無かった…後悔はない…ー
ダークネスに飲まれてなお遊海の心は闇へと墜ちてはいなかった…転生者である遊海は知っているからだ、今この時に十代がダークネスと戦っている事を…
ー…ダークネスに飲み込まれているからか…たくさんの人の不安が流れこんでくる…ー
ダークネスに飲まれている人の想いが脳裏に流れ込む…進路の不安…家族の不安…夢への不安…様々な想いが流れ込む…
ー俺にも確かに不安はある…俺がこのまま進み続けて大丈夫なのか…未来を変える事はできるのかどうか…でも俺は…前へと進み続ける…!ー
ダークネスの誤算は遊海の心の強さだろう…遊海は前世で人の光も闇も体験した…だから知っているのだ…人間の強さを…!
『みんな!!聞こえるか!!俺の声が聞こえるか!!!』
ー十代…ああ、聞こえてるよ…お前の力強い声が…!ー
暗黒の空間に小さな光が現れる…それは段々と数を増やし太陽のような輝きとなり暗黒の世界を照らしていく…十代の人々を鼓舞する声が闇に飲まれた人々の光を輝かせる…
そして幾筋もの光が世界から飛び出していく…!
【転生者…白波遊海よ…我の声が聞こえるか…】
「ダークネス…!」
人々が暗黒の世界から飛び出していく中…遊海の目の前に骸骨のような悪魔…ダークネスがその姿を現す…
「お前…十代と決闘してる筈だろ?なんでここにいる?」
遊海は警戒しながらダークネスへと問いかける
【我は虚無にして無限…自らの世界に分身を出す事は容易い事だ…この世界を俯瞰せし者よ…我に聞かせよ…】
「なんだ?」
【貴様は世界の行く末を知る者だ…ならば知っているだろう…この世界に待ち受ける破滅の未来を…!何故それを知りながら心を折らなかった…?】
「…知っているからこそだ…ダークネス」
【なに…?】
「確かに破滅の未来はある…でもそれに抗い…未来を救おうとした決闘者を俺は見た!…そして俺が…時代を担う決闘者が世界を救ってみせる!」
「『お前の出番はずっと先だ!ダークネス!!』」
【フッ…フハハハハハ!!…いいだろう…破滅を知りながらなお足掻く者…世界を救う勇者よ!やってみるがいい!貴様が折れた時こそが我が世界を掌握する時だ!せいぜい足掻くがいい!…我は世界の裏でその時を待っているぞ…!!】
ダークネスの言葉と共に世界が罅割れていく…そして俺の意識は光へと溶けていった…。
「遊海!しっかりして!遊海!!」
「っ…遊戯…?」
「フン…やっと目を覚ましたか、遅いぞ遊海…」
「まったく無茶しやがって…全部終わったみたいだぜ…人の光の勝ちだ!」
遊海が目を覚ますと見慣れた病院だった…部屋には遊戯・海馬・城之内の3人と小鳥状態のフレアがいた…窓から見える空は暖かい太陽の光が世界を照らしていた…。
《お疲れ様でしたユウミ…今はゆっくり休んでください…他の精霊達も皆無事です、安心してください!》
「ありがとうフレア…心配かけてごめん…」
《…その言葉はアヤカとミドリに言ってあげてください…2人とも貴方を心配しているはずですから…!》
「ああ…そうだな…」
こうして長きに渡った闇との戦いは一先ずの終わりを迎えたのだった…。