朝起きると性格が【むっつりスケベ】になっていた。
とても嫌な夢を見た気がする。
それと同時に、何か大切なことを忘れているような気がするのだが、それが頭にもやが掛ったように思い出すことが出来ない。
それを思い出せないまま、ただズキリと痛む頭を抑えながらぼんやりと天井を眺める。
「少年よお姉さんが起こしに来てやったぞ」
ドアが開く音と共に隊長の声が聞こえた。
「ほーら、お姉さんが布団をはいでやるぞー」
「はがんでも自分で起きれる。つうか人の尻さわるなっ。セクハラで訴えるぞ」
「はっはっは。前にお姉さんの身体を這って回られたからな。そのお返しと考えてくれたまえ」
朝から隊長にからかわれるとは幸先の悪いスタートだ。
「む、ボッキュバーンになってないのか。つまらん奴だ」
「何のことだよ。つうか押し倒すな胸ぺたぺたすんな。お前は何がしたいんだっ」
「ちょっとあんた達朝からうるさい!」
アリシアが怒鳴りながらドアを蹴飛ばして入って来た。
お前こそ静かに入れんのか。
「アリシア。君もどうだ。普段のセクハラのお返しにセクハラというのは」
「まままマリアさんっ。なななななな何をっ!?」
「だからセクハラだ。少年はなかなか初心で顔を真っ赤にしてくれるから面白いぞ」
顔を赤めるアリシアにマリアはからかうように笑った。
「アリシアちゃん、大きな声を出してどうしたの?」
「お、お、お? ついにアルス君がアルス君がアルス君が一線を越えてしまったのか~!?」
そんな騒ぎを聞きつけてティナとニーナまで部屋の中に入って来た。
そして隊長にベタベタと触られている俺の姿を見るなり、ティナは顔を赤くし、ニーナがそれを茶化すかのようにまた口を動かす。
今日も俺の苦労は続きそうである。
今日は念願のエルフの里に行けた。俺がエルフと人間の掛け橋になろうと思ったけどナンパ失敗。おのれアリシアめ。
『ノアニールの洞窟』を調査。マリアさんの様子が少しおかしかったけどまあ大丈夫だろう。回復ポイントでアリシアに【ヒャド】をくらった。慣れてない魔法は俺のところに来ることが多いから気をつけないとな。それとこのことはあんまり気にすんなよー。
洞窟にあった『夢見るルビー』をエルフの女王に届けると『ノアニール』の人々の呪いを解いてくれた。話せば分かる人だ。あの二人が来世で結ばれることを祈ろう。
とりあえず俺の『鋼の剣』とアリシアの『身かわしの服』を買っておいた。
『ノアニール』を救ったということで村の人が歓迎パーティーをしてくれた。これで俺の知名度も上がっただろう。今後の旅で知名度の上昇は何かと便利だ。
だけど音楽がいまいち乗り悪かったから俺が指導しておいた。これで次ぎ来た旅人は感動に胸を躍らせて不思議な踊りを踊りだすはずだ。
夜遅くにヴァイオリンを弾いていたらみんなが来た。どうやら考えが顔に出ていたのか心配をかけてしまったらしい。少し元気が出た気がする。
性格がなぜか【むっつりスケベ】になったようだ。
アルスなら書かないことが数多く書かれた書き換えられた冒険の書。
同じNoは読み飛ばしされやすいだろうと踏んで仕掛けていたギミックですが、閲覧者数も少ないのでネタバラシを先にするあとがきでした。